JP2009282625A - 工作機械及び工作機械の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子カム制御において、動作時間が不定な補機動作の完了と同時に後続の作業を実行することができて、加工能率を向上させることができる工作機械を提供すること。
【解決手段】中央演算ユニット52は、前記基準軸の動作量が所定値に達したことに応じて補機動作を開始させ、前記補機動作中において、補機動作終了時における前記基準軸の動作量の値をもとにシフト値を計算する。計算されたシフト値はシフトデータ記憶部57,58に記憶される。そして、記憶されたシフト値を前記基準軸の実際の動作量の値に加算して、補機動作終了時における前記移動体の移動位置に対応した動作量の値とする。電子カム制御部59,60は、前記補機動作終了にともない、保持された動作量の値に続くタイミングから前記電子カムデータテーブルに従って工作機械の電子カム動作を行わせる。
【選択図】図2
【解決手段】中央演算ユニット52は、前記基準軸の動作量が所定値に達したことに応じて補機動作を開始させ、前記補機動作中において、補機動作終了時における前記基準軸の動作量の値をもとにシフト値を計算する。計算されたシフト値はシフトデータ記憶部57,58に記憶される。そして、記憶されたシフト値を前記基準軸の実際の動作量の値に加算して、補機動作終了時における前記移動体の移動位置に対応した動作量の値とする。電子カム制御部59,60は、前記補機動作終了にともない、保持された動作量の値に続くタイミングから前記電子カムデータテーブルに従って工作機械の電子カム動作を行わせる。
【選択図】図2
Description
この発明は、NC(numerical control)データから変換された電子カムデータにより各機構部の動作を電子カム制御するようにした工作機械及びその工作機械の制御方法に関するものである。特に、この発明は、流体駆動シリンダ等の動作時間が不定なアクチュエータを有する工作機械であって、そのアクチュエータの動作制御を含む工作機械及びその工作機械の制御方法に関するものである。なお、ここで、前記流体駆動シリンダ等の動作時間が不定なアクチュエータを補機として扱い、動作時間が不定な動作を補機動作とする。
前記電子カムデータは、基準軸の動作量に対応して工作機械の動作を定めた制御プログラムを指す。そして、この電子カムデータを用いる電子カム制御においては、テーブルデータに定義された基準軸の位置と、制御軸(制御される軸)の位置あるいはコマンドの指令タイミングとの関係を保つことにより、工作機械の動作が制御される。また、この電子カム制御においては、前記補機の動作を指令するMコードの完了チェック等が行われることなく、工作機械の動作が所定の手順に従って自動的に進行される。ところで、流体駆動シリンダによって動作される工具折損検出装置等、動作時間が不定な補機が存在する場合、モータ等の動作時間が特定可能な機構部の動作と補機の動作とが問題なく進行されるように電子カムデータを作り込む必要がある。つまり、流体駆動シリンダ等を用いた補機は、個々の動作時間が不定である。このため、補機の動作が短時間で終了した場合は、次の動作までに余分な待ち時間が生じ、逆に、補機の動作が長時間に及んだ場合は、動作が終了する前に別の動作が開始されて、補機と別の機器や被加工物とが衝突したりするおそれが多分にある。
このため、電子カムデータの作成に関する特許文献1に記載の工作機械においては、あらかじめ補機の動作時間を複数回実測し、その実測時間の最大値が抽出される。そして、その最大値に余裕時間を加算することにより、動作時間を算出する。あるいは、動作時間と余裕時間との合計値から近似式が作成されて、その近似式に対して係数が演算されて動作時間を算出される。そして、これらの動作時間のデータを用いて、電子カム制御に用いられる補機の動作時間のデータを作成していた。
特開2007−200018号公報
ところが、前述した特許文献1に記載された工作機械においては、補機動作時間について、最大動作時間に余裕時間が加算された電子カムデータとなる。そして、その電子カムデータ内容が一連の動作として連続されて具現化される。このため、多くの場合、設定された補機動作時間が、実際の動作時間より長くなることは避けられない。従って、本来、運転の効率化を目指して電子カム制御が採用されるのであるが、逆に、電子カム特有の制御によって作業効率の向上に支障を来すおそれがあった。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。そして、その目的は、電子カム制御において、動作時間が不定な補機動作指令が行われた場合、その補機動作の完了の認識と同時に、後続の作業を実行することができて、加工能率を向上させることができる工作機械及び工作機械の制御方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、工作機械に関するこの発明においては、基準軸の動作量に対応して補機動作の実行及び移動体の移動位置を定めた電子カムデータテーブルと、前記補機動作の終了時における前記基準軸の実際の動作量をもとに前記動作量のシフト値を計算するシフト値計算手段と、前記シフト値計算手段によって計算されたシフト値を記憶する記憶手段と、前記基準軸の実際の動作量に前記記憶手段に記憶されたシフト値を加算した加算値を用いて前記電子カムデータテーブルに定められた補機動作の実行及び移動体の移動を行う電子カム制御部とを備えたことを特徴とする。
従って、この発明においては、電子カム制御によりシリンダ等の動作時間が不定な補機動作指令を行った場合、その補機動作の完了を認識したと同時に、次の電子カム動作を実行することができる。よって、余分な待ち時間が発生したり、逆に衝突等の不都合が発生したりすることを防止することができて、運転能率の向上を図ることができる。
また、前記の構成において、前記シフト値計算手段は、前記補機動作の終了時における前記基準軸の実際の動作量と前記電子カムデータテーブルに定められた補機動作終了後の前記基準軸の動作量とをもとにシフト値を計算するように構成するとよい。このように構成した場合には、電子カムデータテーブルに補機動作終了後の基準軸の動作量を設定しておくことにより、補機動作の終了時に、その終了時における基準軸の実際の動作量と電子カムデータテーブルに定められた補機動作終了後の基準軸の動作量とをもとに、シフト値を計算することができる。
さらに、前記の構成において、前記電子カム制御部は、複数の系統の動作を別々に制御し、前記シフト値計算手段は系統ごとにシフト値を計算するように構成するとよい。このように構成した場合には、複数の系統ごとに被加工物または工具の移動位置を制御して、シフト処理を実行することができる。
さらに、前記の構成において、前記電子カム制御部は複数の系統の動作を別々に制御し、前記シフト値計算手段はさらに系統間の待ち合わせ完了時における前記基準軸の実際の動作量をもとに前記シフト値を計算するように構成するとよい。このように構成した場合には、複数の系統間で待ち合わせを最短時間にすることが可能となり、工作機械全体としての加工能率の向上を図ることができる。
さらに、工作機械に関するこの発明においては、基準軸の動作量に応じて補機動作の実行及び移動体の移動位置を定めた電子カムデータテーブルと、前記補機動作の終了時に、前記電子カムテーブルに定められた補機動作終了後の動作量に対応した動作から引き続いて工作機械の電子カム動作を行わせる電子カム制御部とを備えたことを特徴とする。
従って、この発明においては、前記と同様に、電子カム制御によりシリンダ等の動作時間が不定な補機動作指令を行った場合、その補機動作の完了を認識したと同時に、電子カム動作を実行することができる。
さらに、工作機械の制御方法に関するこの発明においては、基準軸の動作量に対応して補機動作の実行及び移動体の移動位置を定めた電子カムデータテーブルに基づいて補機動作を開始させ、前記補機動作の終了時における前記基準軸の実際の動作量をもとに前記実際の動作量のシフト値を計算するとともに、計算されたシフト値を記憶手段に記憶し、前記基準軸の実際の動作量に前記記憶手段に記憶されたシフト値を加算し、その加算された加算値を用いて前記電子カムデータテーブルに定められた補機動作の実行及び移動体の移動を行うことを特徴とする。
従って、この発明においても、電子カム制御によりシリンダ等の動作時間が不定な補機動作指令を行った場合、その補機動作の完了を認識したと同時に、次の電子カム動作を実行することができる。
以上のように、この発明によれば、電子カム制御において、シリンダ等の動作時間が不定な補機動作指令が行われた場合、その補機動作の完了の認識と同時に、電子カム動作を実行することができて、運転能率を向上させることができるという効果を発揮する。
以下に、この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態の工作機械21は、系統1と系統2とを備え、系統1には、被加工物(ワーク)を把持する主軸S1,バイト等の工具TS1を有する刃物台64及び工具折損検出装置67が備えられている。前記主軸S1は主軸台63上に支持されている。そして、主軸S1は、主軸台63とともにその軸線方向に沿うZ1軸方向に移動される。刃物台64はZ1軸方向と直交するX1軸方向に移動される。前記工具折損検出装置67に設けられた補機としてのシリンダ68により、検出子が主軸S1上の被加工物中心を通り過ぎた位置と、そこから後退する位置との間において移動される。すなわち、この工具折損検出装置67は、主軸S1上の製品の加工終了と同時にピストンロッド先端の前記検出子をシリンダ68により加工位置に向かって前進させる。そして、検出子が前進端に達したことをセンサ69により検出して、そのセンサ69が検出信号を出力する。この検出信号に基づいて、ただちにシリンダ68が復動して、検出子は後退する。ここで、工具が折損している場合は、その工具による主軸S1上の製品の切り落としが実行されないため、検出子が主軸S1上の被加工物と衝突して前進が阻まれ、センサ69からの検出信号は出力されない。そして、移動開始から一定時間経過しても検出信号が出力さない場合は、工作機械は工具折損状態を認識する。
図1に示すように、この実施形態の工作機械21は、系統1と系統2とを備え、系統1には、被加工物(ワーク)を把持する主軸S1,バイト等の工具TS1を有する刃物台64及び工具折損検出装置67が備えられている。前記主軸S1は主軸台63上に支持されている。そして、主軸S1は、主軸台63とともにその軸線方向に沿うZ1軸方向に移動される。刃物台64はZ1軸方向と直交するX1軸方向に移動される。前記工具折損検出装置67に設けられた補機としてのシリンダ68により、検出子が主軸S1上の被加工物中心を通り過ぎた位置と、そこから後退する位置との間において移動される。すなわち、この工具折損検出装置67は、主軸S1上の製品の加工終了と同時にピストンロッド先端の前記検出子をシリンダ68により加工位置に向かって前進させる。そして、検出子が前進端に達したことをセンサ69により検出して、そのセンサ69が検出信号を出力する。この検出信号に基づいて、ただちにシリンダ68が復動して、検出子は後退する。ここで、工具が折損している場合は、その工具による主軸S1上の製品の切り落としが実行されないため、検出子が主軸S1上の被加工物と衝突して前進が阻まれ、センサ69からの検出信号は出力されない。そして、移動開始から一定時間経過しても検出信号が出力さない場合は、工作機械は工具折損状態を認識する。
前記系統2には、被加工物を把持する背面主軸S2及び回転ドリル等の工具TS2を有する固定刃物台66が設けられている。背面主軸S2は背面主軸台65上に支持されている。そして、背面主軸S2は背面主軸台65とともに前記Z1軸方向と平行なZ2軸方向及びそれと直交するX2軸方向に移動される。
この実施形態においては、主軸S1及び背面主軸S2を移動体とする。
図2に示すように、この実施形態の工作機械21は、制御ユニット部22を備えている。そして、この制御ユニット部22により、主軸回転用モータ23、工具送り用モータ24、主軸台送り用モータ25、背面主軸台送り用モータ26、背面主軸回転用モータ27及びシリンダ切替用バルブ28等の各種機器の動作がそれぞれ制御される。
図2に示すように、この実施形態の工作機械21は、制御ユニット部22を備えている。そして、この制御ユニット部22により、主軸回転用モータ23、工具送り用モータ24、主軸台送り用モータ25、背面主軸台送り用モータ26、背面主軸回転用モータ27及びシリンダ切替用バルブ28等の各種機器の動作がそれぞれ制御される。
前記主軸回転用モータ23は、駆動回路31及び主軸回転制御回路32を介して制御ユニット部22に接続され、前記被加工物が把持される主軸S1の回転を駆動する。パルスエンコーダ33は、主軸回転用モータ23の回転に同期された回転検出信号を発生して、主軸回転制御回路32に対して出力する。前記主軸回転制御回路32は、制御ユニット部22から出力される主軸回転速度指令信号と、パルスエンコーダ33から出力される主軸回転速度信号とを比較して、その差に応じた制御信号を生成する。そして、その制御信号は、駆動回路31に対して出力される。この駆動回路31は、この制御信号に基づいて、主軸S1の回転速度が主軸回転速度指令値と一致するように、主軸回転用モータ23への供給電力を制御する。
前記工具送り用モータ24は、駆動回路35及び工具送り制御回路36を介して制御ユニット部22に接続され、前記刃物台64,すなわち工具TS1を、主軸S1の回転中心軸に対して直交する方向(図2にX1で示すX軸方向)に移動させる。パルスエンコーダ37は、工具送り用モータ24の所定回転角度ごとに回転検出信号を発生して、工具送り制御回路36に対して出力する。前記工具送り制御回路36は、パルスエンコーダ37から出力された回転検出信号に基づいて、実際の工具TS1の移動位置を認識するとともに、認識した実際の工具TS1の移動位置と制御ユニット部22から出力される工具位置指令信号とを比較して、この比較結果に基づいて工具移動のための駆動信号を生成する。そして、その駆動信号は、駆動回路35に対して出力される。駆動回路35は、この駆動信号に基づいて、工具TS1の実際の移動位置が指令位置と一致するように工具送り用モータ24への供給電力を制御する。
前記主軸台送り用モータ25は、駆動回路38及び主軸台送り制御回路39を介して制御ユニット部22に接続され、被加工物が把持される主軸S1をその回転中心軸に対して平行なZ1方向に移動させる。パルスエンコーダ40は、主軸台送り用モータ25の所定回転角度ごとに回転検出信号を発生して、主軸台送り制御回路39に対して出力する。前記主軸台送り制御回路39は、パルスエンコーダ40から出力される回転検出信号に基づいて、主軸S1の実際の移動位置を認識するとともに、認識した実際の移動位置と制御ユニット部22から出力される主軸台送り指令信号とを比較して、この比較結果に基づいて主軸台送り駆動信号を生成する。そして、この主軸台送り駆動信号は、駆動回路38に対して出力される。駆動回路38は、主軸台送り駆動信号に基づいて、主軸台の実際の移動位置,すなわち被加工物の実際の移動位置が指令位置と一致するように主軸台送り用モータ25への供給電力を制御する。
前記背面主軸台送り用モータ26は、駆動回路41及び背面主軸台送り制御回路42を介して制御ユニット部22に接続され、被加工物が把持される背面主軸S2を支持する背面主軸台を、背面主軸S2の回転中心軸に対して平行なZ2軸方向及びそれと直交するX2方向に移動させる。パルスエンコーダ43は、背面主軸台送り用モータ26の所定回転角度ごとに回転位置信号を発生して、背面主軸台送り制御回路42に対して出力する。前記背面主軸台送り制御回路42は、パルスエンコーダ43から出力される回転位置信号に基づいて、実際の背面主軸台の移動位置を認識するとともに、認識した実際の背面主軸台の移動位置と制御ユニット部22から出力される背面主軸台送り指令信号とを比較して、この比較結果に基づいて背面主軸台送り駆動信号を生成する。そして、この背面主軸台送り駆動信号は、駆動回路41に対して出力される。駆動回路41は、前記背面主軸台送り駆動信号に基づいて、背面主軸台、すなわち、被加工物の実際の移動位置が指令位置と一致するように背面主軸台送り用モータ26への供給電力を制御する。なお、実際には、背面主軸台をZ2軸方向とX2軸方向とのそれぞれに移動させるためのモータ及び回路を有するが、それぞれの説明は省略する。
前記背面主軸回転用モータ27は、駆動回路44及び背面主軸回転制御回路45を介して制御ユニット部22に接続され、前記背面主軸S2、すなわち被加工物を回転駆動させる。パルスエンコーダ46は、背面主軸回転用モータ27の回転に同期された回転検出信号を発生して、背面主軸回転制御回路45に対して出力する。そして、この背面主軸回転制御回路45は、制御ユニット部22から出力される背面主軸回転速度指令信号と、パルスエンコーダ46から出力される背面主軸回転速度信号とを比較して、その差に応じた制御信号を生成する。そして、その制御信号は、駆動回路44に対して出力される。前記駆動回路44は、前記制御信号に基づいて、背面主軸S2の実際の回転速度が指令値と一致するように、背面主軸回転用モータ27への供給電力を制御する。
前記シリンダ切替用バルブ28は、I/O(input/output)ボード48及びプログラマブルロジックコントローラ49を介して制御ユニット部22に接続されている。このシリンダ切替用バルブ28は、補機としてのシリンダ等を動作させるものである。例えば図1に示すように、工具折損検出装置67のシリンダ68を工具折損検出のために切り替え駆動させる。
前記プログラマブルロジックコントローラ49は、制御ユニット部22から作動指令が出力されたとき、I/Oボード48を介してシリンダ切替用バルブ28に駆動信号を出力する。
前記制御ユニット部22は、中央演算ユニット52、クロック信号発生回路53、分割タイミング信号発生回路54、電子カムデータテーブル記憶部55、基準軸位置カウンタ56、系統1側のシフトデータ記憶部57、系統2側のシフトデータ記憶部58、系統1側の電子カム制御部59及び系統2側の電子カム制御部60を備えている。
前記中央演算ユニット52は、制御ユニット部22全体の信号処理等を司る演算部であって、周知のマルチプロセッシング処理を行う。
前記クロック信号発生回路53は、所定の周期、例えば0.25ミリ秒周期のクロック信号を生成し、分割タイミング信号発生回路54に対して出力する。分割タイミング信号発生回路54は、クロック信号発生回路53から出力されたクロック信号をカウントし、そのカウントの結果に基づいて例えば1ミリ秒経過するごとに分割タイミング信号を生成して中央演算ユニット52に対して出力する。この分割タイミング信号発生回路54から出力される1ミリ秒周期の分割タイミング信号は後述するシフト処理のための走査信号として使用される。なお、クロック信号及び分割タイミング信号の周期は上述した数値に限られることなく、中央演算ユニット52の処理能力等を考慮して適宜設定可能である。
前記クロック信号発生回路53は、所定の周期、例えば0.25ミリ秒周期のクロック信号を生成し、分割タイミング信号発生回路54に対して出力する。分割タイミング信号発生回路54は、クロック信号発生回路53から出力されたクロック信号をカウントし、そのカウントの結果に基づいて例えば1ミリ秒経過するごとに分割タイミング信号を生成して中央演算ユニット52に対して出力する。この分割タイミング信号発生回路54から出力される1ミリ秒周期の分割タイミング信号は後述するシフト処理のための走査信号として使用される。なお、クロック信号及び分割タイミング信号の周期は上述した数値に限られることなく、中央演算ユニット52の処理能力等を考慮して適宜設定可能である。
図3に示すように、前記電子カムデータテーブル記憶部55は、系統1,2にそれぞれ対応する電子カムデータテーブル55A,55Bを有する。これらの電子カムデータテーブル55A,55Bは、主軸S1、背面主軸S2、刃物台64、背面主軸台65の移動位置を基準軸の動作量に対応して定めた移動軸データテーブル55a,55b、及び補機動作の指令等、各種の指令を行うタイミングを基準軸の動作量に対応して定めたコマンドテーブル55c,55dをそれぞれ有している。図7には、系統1を単独で動作させるようにした電子カムデータテーブル55Aの移動軸データテーブル55a内のZ軸データテーブル及びコマンドテーブル55cのそれぞれ一部が示されている。図11には、系統1と系統2とを同時に動作させるようにした系統1及び系統2における電子カムデータテーブル55A,55Bにおける移動軸データテーブル55a,55b内のZ軸データテーブル及びコマンドテーブル55c,55dのそれぞれ一部が示されている。
この場合、前記電子カムデータテーブル55A,55Bに記述された電子カムデータによる電子カム制御において、中央演算ユニット52は、基準軸の動作量の値(A0,A1・・・・・)データと、基準軸の動作量ごとに対応してそれぞれ設定された移動体の位置データとから、移動体の移動指令データを生成する。この実施形態では、前記基準軸は、クロック信号発生回路53から発生されるクロック信号の出力をディメンションとした仮想的な軸で構成されている。
また、前記コマンドテーブル55c,55dによる補機動作の指令は、例えば基準軸の動作量(正確には動作量に後述のシフト値を加算した加算値)が所定値に達したことに応じて、前記シリンダ切替用バルブ28を駆動させるためのものである。この指令により、中央演算ユニット52は、シリンダ切替用バルブ28を駆動させて、図1に示すシリンダ68を動作(補機動作)させる。
さらに、前記中央演算ユニット52は、補機動作の終了時における基準軸の実際の動作量と、コマンドテーブル55c,55dに定められた補機動作終了後の基準軸の動作量(記述された動作量)とをもとに、後述のシフト値を系統ごとに計算する。この実施形態では、コマンドテーブル55c,55d、基準軸位置カウンタ56及び中央演算ユニット52によって、シフト値を計算するためのシフト値計算手段が構成されている。
前記基準軸位置カウンタ56は、クロック信号発生回路53から出力されたクロック信号の発生回数をカウントし、そのカウントの結果に基づいて基準軸の動作量のデータを生成する。そして、この基準軸の動作量のデータは中央演算ユニット52に出力されて、前記の電子カム制御や後述のシフト処理等に用いられる。前記系統1側のシフトデータ記憶部57及び系統2側のシフトデータ記憶部58は、補機動作の終了時に中央演算ユニット52により計算されたシフト値を、系統ごとに記憶する。この実施形態では、系統1側のシフトデータ記憶部57及び系統2側のシフトデータ記憶部58により、シフト値を記憶する記憶手段が構成されている。
そして、前記中央演算ユニット52は、系統1側のシフトデータ記憶部57及び系統2側のシフトデータ記憶部58に記憶されたシフト値を、基準軸の実際の動作量に加算して、その加算された基準軸の動作量を示す前記加算値を電子カム制御のために出力する。
図4及び図5に示すように、前記系統1側の電子カム制御部59は、X軸制御部59a、Z軸制御部59b及びコマンド処理部59cを有している。また、前記系統2側の電子カム制御部60は、X軸制御部60a、Z軸制御部60b及びコマンド処理部60cを有している。そして、各系統の電子カム制御部59,60は、図8及び図12に示す各種のプログラムを格納している。また、前記電子カムデータテーブル55A,55B内のデータに基づいて、前記モータ23〜27や補機等を系統ごとに制御する。
そして、系統1に関する移動軸データテーブル55aに基づいて、系統1の機構部を駆動する工具送り用モータ24及び主軸台送り用モータ25等の動作が制御される。この制御によって、主軸台63上の主軸S1は、図2に矢印で示すように、主軸台63とともにZ1軸方向に移動制御される。一方、刃物台64上の工具TS1は、刃物台64とともに同図に矢印で示すようにX1軸方向に移動制御される。
また、系統1に関するコマンドテーブル55cに基づいて、シリンダ切替用バルブ28、前記主軸回転用モータ23の動作が制御される。この制御により、シリンダ68が動作されて、つまり補機動作されて、工具の折損の有無が検出されるとともに、主軸S1が回転制御される。そして、センサ69から検出信号が出力されたとき、工具折損検出動作が終了する。
さらに、系統2に関する移動軸データテーブル55bに基づいて、系統2の機構部の前記背面主軸台送り用モータ26及び背面主軸回転用モータの回転が制御される。この制御によって、背面主軸S2は、背面主軸台65とともに図1に矢印で示すようにX2軸方向に移動制御されるとともに、回転制御される。
さらに、系統2に関するコマンドテーブル55dに基づいて、前記背面主軸回転用モータ27の動作が制御される。
次に、前記のように構成された工作機械21において、電子カムの制御により、系統1の機構部を単独で動作させて被加工物の加工を行う場合の一例を、図6〜図9を中心に詳細に説明する。
次に、前記のように構成された工作機械21において、電子カムの制御により、系統1の機構部を単独で動作させて被加工物の加工を行う場合の一例を、図6〜図9を中心に詳細に説明する。
この被加工物の加工時には、中央演算ユニット52、基準軸位置カウンタ56、電子カムデータテーブル記憶部55の系統1の移動軸データテーブル55a、同コマンドテーブル55c、系統1側のシフトデータ記憶部57、系統1側の電子カム制御部59のX軸制御部59a、同Z軸制御部59b、同コマンド処理部59cを用いて、主軸回転用モータ23の回転による主軸S1の回転、工具送り用モータ24の回転による工具TS1のX軸方向の移動位置、及び主軸台送り用モータ25の回転による被加工物(主軸S1)のZ軸方向の移動位置、シリンダ切替用バルブ28によるシリンダ68の動作等が制御される。
ここで、図7は移動軸データテーブル55aのZ軸データテーブル及びコマンドテーブル55cの一部を示すものである。なお、電子カムデータテーブル55AにはX軸データテーブルも存在するが、図7では省略する。図7において、「A0」〜「A3000」は、基準軸の動作量の値を示す。「Z0」〜「Z9.98」「Z10.0」は、主軸S1のZ軸方向における移動位置を示し、例えば「Z0」は、主軸S1のZ軸方向における原位置を表し、「Z10.0」は、主軸S1が原位置からZ軸方向に10mm前進移動した位置を示す。また、「P1500」は後述のシフト先を定めたコマンド(以下、Pコマンドとする)を示し、「M10」は補機動作を指令するためのいわゆるMコードと称されるコマンドを示し、「WM」は、シフト処理を実行するためのコマンド(以下、WMコマンドとする)を示す。なお、Pコマンドの後に続く1500の値は、補機動作の動作時間を考慮して余裕を持って電子カムデータテーブル作成時に設定された値である。
さて、本実施形態の電子カム制御のデータ及び信号の処理を示す図6において、基準軸の動作量を示す基準軸位置カウンタ56の出力は、シフト値が加算されて電子カム制御部59のX軸制御部59a,Z軸制御部59b及びコマンド処理部59cに対して出力される。そして、X軸,Z軸制御部59a,59bは系統1側の電子カムデータテーブル55AのX軸データテーブル及びZ軸データテーブルに記憶されているデータを参照して、制御される軸(制御軸:この場合はX1軸及びZ1軸)の指令位置を求め、前回の処理周期における指令位置との差分を移動指令として主軸台送り用モータ25及び工具送り用モータ24に出力する。
そして、図7に示すZ軸データテーブルの位置指令データに基づいて被加工物の加工が進行して、基準軸の動作量が「A999」のタイミングとなったとき、コマンドテーブル55cのPコマンドにより、補機動作の完了後に開始する基準軸の動作量「1500」がコマンド処理部59cに記憶される。引き続き、「A1000」のタイミングで、主軸S1のZ軸方向への動作が停止される。ここで、Z軸方向への移動が停止するのは、「A1000」の次に移動軸データテーブル55aに記載された「A1500」のタイミングにおけるZ位置を「A1000」と同一の「Z10.0」に設定しているからである。これは、移動軸データテーブル55a作成時に、補機動作完了時の制御軸の位置を補機動作開始時と同一値に設定することで達成される。電子カムデータテーブル55A及び55Bは図示しない作成プログラムにより作成される。このプログラム内に、Pコマンド及びWMコマンドの記述位置を補機動作の前後とすることと、Pコマンドで設定した補機動作終了時の動作量における制御軸位置を補機動作開始時と同一とするといった決まりが補機動作記述時のアルゴリズムとして記載されている。
Z軸方向の移動停止と同時に、コマンドテーブル55cのMコードによる指令が実行され、シリンダ切替用バルブ28の作動により、図1に示すシリンダ68の補機動作が開始される。このため、主軸S1のZ軸方向への移動停止中において、工具折損検出装置67による工具折損検出動作が実行される。なお、工具折損検出動作中は、同一系統内の他の制御軸も全て移動動作を停止している。
さらに、基準軸の動作量が「A1001」のタイミングとなったとき、コマンドテーブル55cのWMコマンドにより、前記シフト処理動作が実行される。このシフト処理動作は、図8に示すフローチャートの各ステップ(以下、単にSという)に従って実行され、前記センサ69から補機動作の完了信号が出力されるまで継続される。なお、このフローチャートの動作は、系統1側の電子カム制御部59に格納された電子カム実行プログラムが中央演算ユニット52の制御のもとに実行されるものである。
すなわち、図8のフローチャートのS11においては、系統1の動作中において、Pコマンドで設定された基準軸の動作量「1500」のデータがコマンド処理部59c内に存在するか否かが判別される。この判別において、基準軸の動作量「1500」が存在する場合にはS12に進む。基準軸の動作量「1500」が存在しない場合には、このプログラムが終了する。次のS12においては、基準軸の実際の動作量を示す基準軸位置カウンタ56の値と、Pコマンドで設定された基準軸の動作量「1500」との差によりシフト値が求められ、そのシフト値が系統1側のシフトデータ記憶部57に記憶される。例えば、基準軸位置カウンタ56の値が「1200」の場合は、
1500(設定値)−1200(実際の動作量)=300
のシフト値「300」のデータがシフトデータ記憶部57に記憶される。
1500(設定値)−1200(実際の動作量)=300
のシフト値「300」のデータがシフトデータ記憶部57に記憶される。
そして、このシフトデータ記憶部57のシフト値は、図6から明らかなように、基準軸位置カウンタ56の値に加算される。従って、中央演算ユニット52からX軸制御部59a及びZ軸制御部59b及びコマンド処理部59cに入力される基準軸の値は、このシフト処理の間は常時「1500」となる。このため、Z軸は、「Z10.0」で表される10mm前進した停止位置を保持する。
続いて、S13においては、Mコードの完了信号が出力されたか否か、すなわちシリンダ68の補機動作が終了して、センサ69から検出信号が出力されたか否かが判別される。この判別において、完了信号が出力された場合にはS14に進行し、完了信号が出力されていない場合にはS12の処理に戻る。このS12及びS13を巡る走査は図2に示す分割タイミング信号発生回路54から出力される分割タイミング信号の発生周期ごとに実行される。前記完了信号が出力された場合は、S14において、コマンド処理部59cに設定されたPコマンドの値「1500」がクリアされ、シフト処理動作が終了する。
そして、前記のようにPコマンドの値がクリアされると、以降はシフト値が一定となる。つまり、Z軸制御部59bにより、基準軸の動作量(「A1500」)以降のZ軸方向の移動が再開(図7のZ軸データテーブルにおいては、後退開始)される。従って、例えば基準軸位置カウンタ56の実際の値が「A1200」のタイミングにおいて、シリンダ68の補機動作が終了した場合には、実際の基準軸位置カウンタ56の動作量の「A1500」の出力まで時間待ちすることなく、基準軸位置カウンタ56の出力にシフト値「300」が加算されて電子カム制御が実行される。
よって、図9に示すように、電子カムデータテーブル55Aに設定された加工時間配分と、実際の加工に要する時間配分とを比較すると、主軸S1がZ軸方向に移動しない区間、すなわちZ軸を停止させてシリンダ68を補機動作させる区間において、シフト処理して、シフト値を求めることにより、基準軸のカウントアップ「A1500」を待つことなく補機動作終了と同時に「A1500」以降の動作を実施させることができる。その結果、被加工物から1つの製品を加工するのに要する時間を短縮することができて、工作機械の運転能率を向上させることができる。なお、基準軸位置カウンタ56及び系統1シフトデータ記憶部の動作量及びシフト値は、1つの製品の加工毎にクリアされる。
次に、前記とは異なる工作機械の運転態様を、図10〜図13に基づいて説明する。この運転態様においては、電子カムの制御により工作機械21の系統1及び系統2の機構部を同時に動作させて、待ち合わせ処理を行うようにしている。
さて、被加工物の加工時には、前記とほぼ同様に、中央演算ユニット52、基準軸位置カウンタ56、電子カムデータテーブル記憶部55の系統1側の移動軸データテーブル55a、同コマンドテーブル55c、系統2側の移動軸データテーブル55b、同コマンドテーブル55d、系統1側及び系統2側のシフトデータ記憶部57,58、系統1側及び系統2側の電子カム制御部59,60の各X軸制御部59a,60a、同Z軸制御部59b,60b、同コマンド処理部59c,60cを用いて、主軸回転用モータ23の回転による主軸S1の回転、背面主軸回転用モータ27による背面主軸S2の回転、工具送り用モータ24の回転による工具TS1のX軸方向の移動位置、主軸台送り用モータ25の回転による主軸S1のZ軸方向の移動位置、背面主軸台送り用モータ26の回転による背面主軸S2のZ軸及びX軸方向の移動位置、シリンダ切替用バルブ28によるシリンダ68の動作等が制御される。
そして、この運転態様における電子カム制御のデータ及び信号の処理を示す図10において、基準軸の動作量を示す基準軸位置カウンタ56の出力には、系統1シフトデータ記憶部57に記憶されたシフト値が加算されて図3に示す系統1の電子カムデータテーブル55Aに対応して設けられた電子カム制御部59(図4参照)に対して出力される。また、同様に基準軸位置カウンタ56の出力には、系統2シフトデータ記憶部58に記憶されたシフト値が加算されて図3に示す系統2の電子カムデータテーブル55Bに対応して設けられた電子カム制御部60(図5参照)に対して出力される。そして、中央演算ユニット52は系統1の電子カムデータテーブル55AのX軸データテーブル(図示しない)及びZ軸データテーブルを備えた移動軸データテーブル55aと、系統2の電子カムデータテーブル55BのX軸データテーブル(図示しない)及びZ軸データテーブルを備えた移動軸データテーブル55bとに記憶されているデータを参照して、制御される軸(この場合はX1軸及びX2軸及びY1軸及びY2軸)の指令位置を求め、前回の処理周期における指令位置との差分を移動指令として主軸台送り用モータ25,背面主軸台送り用モータ26に対して出力する。
図11に一部を例示するように、前記系統1の電子カムデータテーブル55Aにおける移動軸データテーブル55aのZ軸データテーブルには、前記の場合と同様に、基準軸の動作量「A0,A500…」にそれぞれ対応して、Z1軸の位置指令データ「Z0,Z0…」が記述されている。また、系統1のコマンドテーブル55cには、前記の場合と同様に、基準軸の動作量「A999」に対応してシフト先を定めたPコマンド、「A1000」に対応してMコード、及び「A1001」に対応してWMコマンドが設定されている。さらに、この系統1側のコマンドテーブル55cには、動作量「A2999」に対応してシフト先を定めたPコマンドが設定されるとともに、「A3000」に対応して、系統2との間で待ち合わせ機能を実行させるための「WW」で記述されたコマンド(以下WWコマンドという)が設定されている。
前記系統2の移動軸データテーブル55bにおけるZ軸データテーブルには、基準軸の動作量「A0,A500…」それぞれに対応して、Z2軸の位置指令データ「Z0,Z500…」が記述されている。そして、Z軸データテーブルには基準軸の動作量「A1500〜A3000」の範囲の値に対応して、Z2軸が所定の移動位置における停止状態を維持することを指令する「Z10.0」が記述されている。また、系統2のコマンドテーブル55dには、基準軸の動作量「A1499」に対応して、シフト先を定めたPコマンドが設定されるとともに、「A1500」に対応して系統1との間で待ち合わせ機能を発揮させるための「WW」で記述された待ち合わせ用のコマンド(以下WWコマンドという)が設定されている。
そして、前記系統1及び系統2の電子カムデータテーブル55A,55Bに基づいて、各電子カム制御部59,60により、系統1及び系統2がそれぞれ独自に制御される。この場合、系統1においては、前記図7の場合と同様に、シリンダ68の補機動作の開始から完了まで、シフト処理により系統1の電子カム制御部59に出力される基準軸の動作量が一定値となる。また、系統1及び系統2においては、系統間での待ち合わせ処理が実行される。この場合、図11及び図13に示すように、基準軸の動作量(正確にはシフト値を加算した加算値)「A1500」に対応して系統2においてコマンドテーブル55dのWWコマンドに従って待ち合わせ処理が実行される。そしてその後に、基準軸の移動量「A3000」に対応して系統1においてコマンドテーブル55cのWWコマンドに従って待ち合わせ処理が実行される。
すなわち、系統2においては、図11に示す系統2の移動軸データテーブル55bにおけるZ軸データテーブルの位置指令データに基づいて被加工物の加工が進行して、基準軸の動作量の値が「S1499」となったとき、コマンドテーブル55dのPコマンドにより、待ち合わせ完了後の基準軸の動作量の設定値「3000」が系統2側の電子カム制御部60のコマンド処理部60cに記憶される。引き続き、動作量「A1500」のタイミングで、コマンドテーブル55dのWWコマンドにより、以下に示す待ち合わせ処理動作が実行される。
この待ち合わせ処理動作は、前述したシフト処理の機能を利用して実行されるものであって、図12に示すフローチャートの各ステップに従って実行され、他系統との待ち合わせ完了まで繰り返し行われる。
すなわち、図12のフローチャートのS21においては、系統2の動作中において、コマンド処理部60cにPコマンドで設定された基準軸の動作量のデータが存在するか否かが判別される。この判別において、基準軸の動作量のデータが存在する場合にはS22に進行し、基準軸の動作量のデータが存在しない場合には待ち合わせ処理動作が終了する。次のS22においては、基準軸の実際の動作量と、Pコマンドで設定された基準軸の動作量との差によりシフト値が求められ、そのシフト値が系統2側のシフトデータ記憶部58に記憶される。例えば、基準軸位置カウンタ56の実際の動作量が「A1500」の場合は、
3000−1500=1500
のシフト値「1500」が系統2側のシフトデータ記憶部58に記憶される。
3000−1500=1500
のシフト値「1500」が系統2側のシフトデータ記憶部58に記憶される。
そして、このシフトデータ記憶部58のシフト値は、図10から明らかなように、基準軸位置カウンタ56の値、すなわち基準軸の実際の動作量「A1500」に加算される。従って、系統2の電子カム制御部60のZ軸制御部60b及びコマンド処理部60cに入力される基準軸の動作量を示す値は、「A3000」となり、その待ち合わせ処理の間、その値が保持される。
続いて、S23においては、他系統(系統1)のWWコマンドの実行が確認されて他系統が待ち合わせ状態にあるか否かが判別される。この判別において、待ち合わせに達している場合にはS24に進行し、待ち合わせに達していない場合にはS22に戻り、分割タイミング信号発生回路54から出力される分割タイミング信号毎にS22及びS23を巡る走査が実行される。そして、双方の系統がWWコマンドで指定される待ち合わせ状態になった場合は、次のS24において、コマンド処理部60cに設定されたPコマンドの基準軸の設定値「3000」がクリアされ、待ち合わせ処理動作が終了する。
従って、例えば基準軸位置カウンタ56の実際の値が「A2700」のタイミングにおいて、両系統の待ち合わせ処理動作が終了した場合には、動作量の「A3000」の出力まで時間待ちすることなく、
基準軸位置カウンタの出力にシフト値「300」が加算され、電子カム制御が実行される。この場合、系統1においては、Z軸テーブルの基準軸の動作量の値「A2999」,「A3000」にそれぞれ対応して、コマンドテーブル55dにPコマンドにより「3000」の値が設定されるとともに、待ち合わせを示すWWコマンドが記述されている。このため、系統1電子カム制御部59に入力されている基準軸の動作量が「A3000」のタイミングでWWコマンドに従って図12で示した待ち合わせ動作に移行する。系統1の待ち合わせ処理では、S21においてPコマンドで設定された値「3000」があるので、S22に進み、設定された値と基準軸の実際の動作量との差を系統1のシフトデータ記憶部57に格納する。例えば、系統1の補機動作において、シフト値「300」が格納されていた場合、基準軸の実際の動作量が「2700」のタイミングで電子カムデータテーブルに記憶された「A3000」に対応する動作が実行される。この場合、S22では、シフト値として「300」が格納されることになる。次に、S23で他系統の待ち合わせ状態を確認し、既に系統2が待ち合わせ状態であるので、S24に進んでコマンド処理部59cに設定されたPコマンドの設定値をクリアする。そして、この場合、前記にように、系統1においては、補機動作にともなって制御軸の停止時間が短縮され、加工時間全体が短縮されている。そして、その短縮された加工終了に対して系統1,2の待ち合わせ処理が実行される。
基準軸位置カウンタの出力にシフト値「300」が加算され、電子カム制御が実行される。この場合、系統1においては、Z軸テーブルの基準軸の動作量の値「A2999」,「A3000」にそれぞれ対応して、コマンドテーブル55dにPコマンドにより「3000」の値が設定されるとともに、待ち合わせを示すWWコマンドが記述されている。このため、系統1電子カム制御部59に入力されている基準軸の動作量が「A3000」のタイミングでWWコマンドに従って図12で示した待ち合わせ動作に移行する。系統1の待ち合わせ処理では、S21においてPコマンドで設定された値「3000」があるので、S22に進み、設定された値と基準軸の実際の動作量との差を系統1のシフトデータ記憶部57に格納する。例えば、系統1の補機動作において、シフト値「300」が格納されていた場合、基準軸の実際の動作量が「2700」のタイミングで電子カムデータテーブルに記憶された「A3000」に対応する動作が実行される。この場合、S22では、シフト値として「300」が格納されることになる。次に、S23で他系統の待ち合わせ状態を確認し、既に系統2が待ち合わせ状態であるので、S24に進んでコマンド処理部59cに設定されたPコマンドの設定値をクリアする。そして、この場合、前記にように、系統1においては、補機動作にともなって制御軸の停止時間が短縮され、加工時間全体が短縮されている。そして、その短縮された加工終了に対して系統1,2の待ち合わせ処理が実行される。
よって、図13に示すように、系統1及び系統2において、電子カムデータテーブル55A,55Bに設定された加工時間配分と、実際の加工に要する時間配分とを比較すると、シリンダ68を補機動作させる区間に加えて系統2の待ち合わせ区間においても、所要時間を短縮することができる。その結果、系統1及び系統2において、被加工物から1つの製品を加工することに要する時間を短縮することができて、工作機械21全体としての加工能率を向上させることができる。
以上に述べたこの発明の実施形態においては、以下の効果がある。
(1) 電子カム制御によりシリンダ等の動作時間が不定な補機動作指令を行った場合、その補機動作の完了を認識したと同時に、次の動作を実行することができる。よって、余分な待ち時間が発生したり、逆に衝突等の不都合が発生したりすることを防止することができて、運転能率の向上を図ることができる。
(1) 電子カム制御によりシリンダ等の動作時間が不定な補機動作指令を行った場合、その補機動作の完了を認識したと同時に、次の動作を実行することができる。よって、余分な待ち時間が発生したり、逆に衝突等の不都合が発生したりすることを防止することができて、運転能率の向上を図ることができる。
(2) 複数の系統間における待ち合わせを最短時間にすることが可能となり、工作機械全体としての加工能率の向上を図ることができる。
(3) 補機の複数の動作時間の抽出が不要となり、電子カムデータの作成が容易となる。
(3) 補機の複数の動作時間の抽出が不要となり、電子カムデータの作成が容易となる。
なお、この実施形態は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化してもよい。
・3つ以上の複数系統の機構部を備える工作機械にこの発明を具体化すること。
・3つ以上の複数系統の機構部を備える工作機械にこの発明を具体化すること。
・ 補機動作にともなうシフト処理の間、前記実施形態においては、基準軸の実際の動作量の値とPコマンドにより設定された値との差を常時算出した。そして、電子カム制御部は、この差で表されるシフト値を実際の動作量の値に加算するようにした。これに代えて、シフト処理の間、実際の動作量の値を無効化して、図8及び図12のS14及びS24においてPコマンドにより設定された値がクリアされるまでは、Pコマンドで設定された値をシフト値として電子カム制御部に供給するように構成してもよい。このように構成すれば、基準軸の実際の動作量の値とPコマンドで設定された値との差を常時算出する処理が不要となる。この場合、補機動作の完了に応じて完了時の実際の動作量と設定された動作量との差を算出してシフト値を決定すればよい。
21…工作機械、22…制御ユニット部、23…主軸回転用モータ、24…工具移動用モータ、25…主軸台送り用モータ、26…背面主軸台送り用モータ、27…背面主軸回転用モータ、28…シリンダ切替用バルブ、52…中央演算ユニット、53…クロック信号発生回路、54…分割タイミング信号発生回路、55A,55B…電子カムデータテーブル記憶部、55c,55d…コマンドテーブル、56…基準軸位置カウンタ、57…シフトデータ記憶部、58…シフトデータ記憶部、59…電子カム制御部、60…電子カム制御部、68…シリンダ、S1…主軸、S2…背面主軸、TS1,TS2…工具。
Claims (6)
- 基準軸の動作量に対応して補機動作の実行及び移動体の移動位置を定めた電子カムデータテーブルと、
前記補機動作の終了時における前記基準軸の実際の動作量をもとに前記動作量のシフト値を計算するシフト値計算手段と、
前記シフト値計算手段によって計算されたシフト値を記憶する記憶手段と、
前記基準軸の実際の動作量に前記記憶手段に記憶されたシフト値を加算した加算値を用いて前記電子カムデータテーブルに定められた補機動作の実行及び移動体の移動を行う電子カム制御部と
を備えたことを特徴とする工作機械。 - 前記シフト値計算手段は、前記補機動作の終了時における前記基準軸の実際の動作量と前記電子カムデータテーブルに定められた補機動作終了後の前記基準軸の動作量とをもとにシフト値を計算することを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
- 前記電子カム制御部は、複数の系統の動作を別々に制御し、前記シフト値計算手段は系統ごとにシフト値を計算することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の工作機械。
- 前記電子カム制御部は複数の系統の動作を別々に制御し、前記シフト値計算手段はさらに系統間の待ち合わせ完了時における前記基準軸の実際の動作量をもとに前記シフト値を計算することを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載の工作機械。
- 基準軸の動作量に応じて補機動作の実行及び移動体の移動位置を定めた電子カムデータテーブルと、
前記補機動作の終了時に、前記電子カムデータテーブルに定められた補機動作終了後の動作量に対応した動作から引き続いて工作機械の電子カム動作を行わせる電子カム制御部と
を備えたことを特徴とする工作機械。 - 基準軸の動作量に対応して補機動作の実行及び移動体の移動位置を定めた電子カムデータテーブルに基づいて補機動作を開始させ、
前記補機動作の終了時における前記基準軸の実際の動作量をもとに前記実際の動作量のシフト値を計算するとともに、計算されたシフト値を記憶手段に記憶し、
前記基準軸の実際の動作量に前記記憶手段に記憶されたシフト値を加算し、その加算された加算値を用いて前記電子カムデータテーブルに定められた補機動作の実行及び移動体の移動を行うことを特徴とする工作機械の制御方法。
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