JP2007286688A - 工作機械の干渉検出方法及び制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】工具や刃物台などの移動部材相互の干渉をそれらの3次元モデルデータを用いて予測ないし検出する技術に関し、NCプログラムの2つの同期指令間で個別動作する複数の移動部材相互の干渉をより確実に、かつ少ない演算時間で予測ないし事前に検出することを可能にする。
【解決手段】工具及びワークを含む複数の移動部材の動作を個別に制御するNCプログラムの同期指令間の干渉を、複数の移動部材の3次元モデルデータと、同期指令間で前記複数の移動部材のそれぞれに与えられる移動指令とに基づいて、複数の移動部材の3次元の移動領域データを生成し、生成した複数の移動領域データ間の干渉の有無を検出することにより、工作機械の移動部材相互の干渉を事前に予測する。
【選択図】 図3

Description

この発明は、NC工作機械を運転したときに、工具や刃物台などの移動部材が他の機械部材に干渉(衝突ないし不適切な接触)するのを3次元モデルデータを用いて予測ないし検出する技術に関するもので、特に移動する複数の機械部材相互の干渉を予測ないし検出する技術に関するものである。
NC工作機械でワークを加工するときは、当該ワークの加工動作を行わせるためのNCプログラムを作成し、当該NCプログラムで所望の加工動作が実現されるかどうかを検査する試験加工を行い、その試験加工で発見されたプログラム誤りを修正して、その後実際のワークの連続加工(生産加工)を行っている。
NC工作機械の運転では、加工動作を行う例えば刃物台や工具などの移動部材が、プログラム誤りのために予期せぬタイミングで動いたり意図しない方向や速度で動いて、他の機械部材と干渉するということが起こる。工作機械の刃物台などは、加工反力に耐えることができる大きな力で駆動されており、加工反力によって変形しない十分な剛性を付与するために、重く大きく作られているので、予期せぬ干渉が起こると、工具折損事故などが発生する。
そこで、試験加工時における機械部材相互の干渉をコンピュータ内の演算処理により検出する技術が提供されている。すなわち、コンピュータに干渉のおそれのある機械部材の3次元モデルデータを登録し、NCプログラムのブロックを先読みして対象となる移動部材の3次元モデルを仮想空間で移動させ、移動させた3次元モデルが他の機械部材の3次元モデルと干渉するかどうかをコンピュータ内部の演算処理によって判定することにより、工具やワークを含む工作機械の機械部材相互の干渉を予測ないし検出する技術が提案されている。
上記従来技術は、NCプログラムのブロック毎に移動対象となる移動部材を仮想空間で徐々に移動させて、他の機械部材の3次元モデルとの干渉を検出することにより、実際の移動部材の干渉を予測ないし事前に検出するというものである。
工作機械の中には、個別に制御される複数の移動部材を備えたものがある。例えば、複数の刃物台を備えた旋盤では、複数の刃物台がそれぞれのNCプログラムで個別に制御されている。そして、例えば主軸の回転を伴う旋削加工から主軸を固定(停止)して行うドリル加工やミーリング加工に移るとき、ワークのロードアンロードを行うときなどの必要なタイミングで、両刃物台のNCプログラムに同期指令(待合せ指令)を与えて複数の刃物台の動作終了を待ち、主軸の速度変更などを行った後、それぞれの刃物台に次の個別動作の指令を与えるようにしている。
個別移動する移動部材相互の位置関係を正確に予測することは困難である。そこでこのような複数の移動部材相互の干渉は、従来、刃物台を移動させる送りモータのサーボアンプなどで検出されている現実の移動部材の位置に基づいて行っている。そのため、干渉が検出されたときにすぐ機械を止めることができるように、早送り速度などに制限を設けている。
特開平6−55407号公報 特開2006−4128号公報
3次元モデルを現実の機械部材の位置に基づいて行う干渉検出では、演算速度の制約から、移動部材の位置検出を行うサンプリング間隔が長くなり、図4に示すように、一方の移動部材41の2つのサンプリング点s1、s2の間の移動領域43に他の移動部材42が入り込んだときなどに検出漏れが起こる。
また、干渉を検出しながら行う試験加工では、前述したように早送り速度に制限を設けたりしているので、干渉検出モードでの運転は、加工時間が長くなる。そのため、試験加工の後に行う同一ワークの連続加工の場合は、干渉を検出しないモードで運転する。複数の刃物台がそれぞれ個別のNCプログラムで制御されている場合のように制御系が複数系統ある場合、干渉検出モードでの各移動部材の動作速度の低下が一律でないので、干渉検出モードで運転した試験加工時と干渉を検出しないモードで運転する連続加工時とで、移動部材相互の位置関係が異なってくる。このため、試験加工では検出されなかった干渉が連続運転時に生ずるということが起こる。
すなわち、従来技術では、試験加工のときと実際の生産加工のときとで同時並行的に個別移動する複数の移動部材相互の間に動作指令や移動速度の遅速があったときは、生産加工時に試験加工では検出できなかった干渉が起こる危険があるという問題があった。この問題は、連続加工中に何らかの原因で移動部材の速度に遅速が生じたときにはいつでも起こりうる問題である。
この発明は、それぞれのNCプログラムの指令に基づいて2つの同期指令間で個別動作する複数の移動部材を備えた工作機械の当該移動部材相互の干渉をより確実に、かつ少ない演算時間で予測ないし事前に検出することが可能な技術手段を提供することを課題としている。
上記課題を解決したこの発明の工作機械の移動部材相互の干渉検出方法は、工具及びワークを含む複数の移動部材を備えた工作機械の当該移動部材相互の干渉を予測する工作機械の干渉検出方法であって、前記移動部材の動作を制御するNCプログラムによる繰返し動作の開始及び終了を含む所定の同期指令で待ち合せ動作を行う複数の移動部材間の干渉を、当該複数の移動部材の3次元モデルデータと、前記所定の同期指令間で前記複数の移動部材のそれぞれに与えられる移動指令とに基づいて、当該複数の移動部材の3次元の移動領域データを生成し、生成した複数の移動領域データ間の干渉の有無を検出することにより、工作機械の移動部材相互の干渉を事前に予測するというものである。
本願の請求項2の発明は、上記この発明の緩衝検出方法を実施するのに好適な工作機械の制御装置を提供するものである。本願の請求項2の発明に係る工作機械の制御装置は、不動部材とNCプログラムの指令により個別に運転される複数の駆動装置及び当該駆動装置に連結された複数の移動部材とを機械部材として備える工作機械の制御装置であって、工具及びワークを含む前記機械部材の3次元モデルデータ及び予め読取った前記NCプログラムの指令に基づいて前記移動部材と不動部材又は移動部材相互間の干渉を前もって検出する干渉検出手段を備えている制御装置において、前記干渉検出手段は、前記NCプログラムの同期指令間で個別に移動する少なくとも複数の移動部材についてその同期指令間の1つ又は複数ブロックの移動指令を予め読取る読取り手段22、32と、前記複数の移動部材の3次元モデルデータ37と読取った前記移動指令に基づいて前記同期指令間における前記複数の移動部材の移動領域データ35U、35Dを生成する移動領域データ生成手段33と、生成した複数の移動領域データから複数の移動領域の重なりの有無を検出する重なり検出手段34とを備えていることを特徴とする工作機械の制御装置である。
移動部材は、空間上の異なる2つ以上の位置を移動する部材で、一部が移動する部材、例えば回転中心軸に対して非対称な部分を備えた回転体や揺動する部材を含み、NCプログラムの制御によって動作するワークローダの腕や把持爪も含まれる。これらの移動部材の3次元モデルデータは、それぞれの移動部材の3次元空間における外形を定義するデータである。
同期指令は、個別に制御されている複数の移動部材の当該指令より前に行われる動作の完了を待合せる指令で、複数の移動部材の動作に遅速が生じたときは、この指令で同期が取られた後、これに続く動作が開始される。
移動領域データは、3次元モデルデータで定義される3次元モデルをNCプログラムで指令された移動開始位置から移動終了位置まで移動したときに、その3次元モデルが通過する空間を定義するデータである。一般的には、NCプログラムの2つの同期指令間の最初の移動指令ブロックにおける移動開始位置と最後の移動指令ブロックにおける移動終了位置との間の、NC装置の複数の移動指令に従って当該3次元モデルを回転ないし掃引することによって得られる3次元領域を定義するデータである。
2つの同期指令間に多数の移動指令ブロックがあると、移動領域の形状が複雑になる。この場合において、複数の移動部材の1ブロック毎の移動領域データの組合わせで演算すると時間がかかるときは、移動領域全体を簡単な立体に近似して演算してもよい。
この発明では、前後の同期指令で同期が取られる間の複数の移動部材それぞれの移動領域データを用いて、当該複数の移動部材の干渉を予測ないし検出するので、複数の移動部材の動作に予期せぬ遅速が生じたときや、どちらかの移動部材がその移動途中で停止してしまうような事態が生じたときの干渉も完全に検出することができる。従って、どのような運転条件でも両移動部材間に干渉が生じないようにNCプログラムを修正することができる。またその干渉の検出演算も基本的には一対の3次元モデルである移動領域データ間の干渉検出演算を行えばよいので、演算時間も短くできるという効果がある。
以下、主軸軸線の上下に刃物台を備えた旋盤を例にして、この発明の実施形態を説明する。図1において、1は旋盤の加工領域、2はNC装置、3はNC装置2に接続されたコンピュータである。
図において、11L及び11Rは、加工領域1を区画している隔壁、12は図には表れていない主軸の先端に装着されたワークチャック、13はチャック12の把持爪、14はチャック12に把持されたワーク、15Uは主軸軸線の上方(反オペレータ側)に配置された上刃物台、16Uは上刃物台15Uに搭載されている上タレット、17a及び17bはホルダ18Uを介して上タレット16Uに装着された工具、15Dは主軸軸線の下(オペレータ側)に配置された下刃物台、16Dは下刃物台15Dに搭載されている下タレット、17c及び17dはホルダ18Dを介して下タレット16Dに装着されている工具である。図には上下のタレット16U、16Dに装着された工具がそれぞれ2個ずつ示されており、例えば17aはエンドミル、17bはドリル、17cは中ぐりバイト、17dは外周加工用のバイトである。
図1の隔壁11L及び11Rは不動部材であり、ワーク14が円筒体であれば、チャック12及びワーク14は不動部材として扱うことができる。把持爪13は移動部材であるが、最大に開いた状態での主軸軸線回りの回転体としてモデリングを行えば、不動部材として扱うことができる。刃物台15U及び15Dは、Z及びX軸方向に移動可能で、かつ上刃物台15UはB軸(Y軸回り)に旋回可能で、これらは移動部材であり、刃物台15U、15Dに割出回転可能に搭載されたタレット16U、16D及びこれらに装着されたホルダ18U、18D及び工具17a、17b、17c、17dは、移動部材である。
図に示した例で、プログラムミスでバイト17dを用いて加工を行う工程に中ぐりバイト17cの選択指令が記述されると、下刃物台15Dが外周加工として記述されている移動を行ったとき、移動部材である中ぐりバイト17cと不動部材とみなしたチャック12やその把持爪13との干渉が生じる。この例が移動部材と不動部材との干渉である。
また、下刃物台15Dでワーク端面の中ぐり加工を行う動作と、上刃物台15Uの旋回動作とが同時に行われたときに、移動部材である上下の工具相互の干渉が起こる危険がある。この発明は、このような移動部材相互の干渉を上下の刃物台15U、15Dの移動タイミングや上刃物台15Uの旋回タイミングに遅速が生じたときでも、少ない演算時間で確実に回避可能にするものである。
NC装置2は、メモリに読み込まれたNCプログラム21U、21D、当該NCプログラムのブロック読取部22、読み込んだブロックの指令を解析して対応する移動部材の各移動軸の送りモータを制御する軸制御部23を備えている。また、移動部材の実際の移動位置を基にして機械部材相互の干渉が検出されたとき等に、移動部材を強制的に停止させる強制停止装置24を備えている。
上下の刃物台15U、15Dは、図2に示すように、それぞれ異なるNCプログラム21U、21Dによって制御されている。各プログラムには、それぞれ対応する刃物台に対する移動指令を含むブロック群が記載されており、このNCプログラムのブロックを順次実行することによって、刃物台15U、15Dが個別に移動する。一方、プログラム21U、21Dには、必要な位置に図にM100(WAIT)、M101(WAIT)のようにMコードで示された同期指令が記載されている。上下の刃物台15U、15Dは、この同期指令の位置で先に加工動作を終了した方が相手方の加工動作の終了を待ち、対応する同期指令(M100とM100)で同期を取った後、次のブロック群の先頭ブロックで指令される動作を開始する。
コンピュータ3には、旋盤の加工領域1に配置されている機械部材の3次元モデルデータ37が登録されている。干渉検出手段31は、先読み指令部32と、移動領域データ生成部33と、重なり検出部34とを備えている。移動部材相互の干渉を検出するとき、先読み指令部32は、NC装置のブロック読取部22に前後の同期指令間の複数ブロックを一括して読取り、移動領域データ生成部33に送るよう指令する。移動領域データ生成部33は、移動対象となっている移動部材の3次元モデルデータと、ブロック読取部22から受取ったブロック群の移動指令に基づいて、複数の3次元モデルを順次仮想空間内で移動させたときの移動領域を定義する3次元移動領域データ35U、35Dを生成する(図3参照)。重なり検出部34は、生成された移動領域データ35U、35Dを用いて、機械部材の3次元モデルデータ37相互の干渉を検出するときと同様な演算により、複数の移動領域データ35U、35D相互の重なりを検出する。
もし、複数の移動領域データ35U、35D間に干渉領域36が存在すれば、NCプログラム21U、21Dの2つの同期指令(M100とM101)の間で上下の刃物台15U、15Dないしこれらに装着した工具17a、17b、17c、17dなどの制御対象となる移動部材相互が干渉する危険があり、干渉領域36が存在しなければ、対象となる移動部材相互の移動タイミングにどのような遅速が生じても、少なくとも2つの同期指令間ではその移動部材相互が干渉するおそれは全くないということになる。
重なり検出部34が干渉領域36を検出したとき、コンピュータ3はNC装置2に同期指令M100の位置でブロック読取動作を中断するよう指令して必要な警報を発するようにすることができる。これにより旋盤は、同期指令M100の位置で停止し、移動部材相互の干渉が事前に防止される。
従ってこの発明によれば、干渉検出モードで行われる試験加工においても、早送り速度に制限を設ける必要が無くなる。また移動部材の移動領域全体についての干渉の有無を判断するので、サンプリング間隔による検出漏れが生じる余地がない。更に前後の同期指令間の移動領域データを用いているので、実際に起こりうる干渉のみが検出され、どのような運転状況でも起こることのない干渉が検出されることもない。
この発明の一実施形態を示すブロック図 2系統のNCプログラムを示す説明図 複数のの工具の移動領域と干渉領域を示す説明図 サンプリング間隔に起因する検出ミスの発生を示す説明図
符号の説明
1 旋盤
2 NC装置
3 コンピュータ
15U,15D 刃物台
17a〜17d 工具
21U,21D NCプログラム
22 ブロック読取部
31 干渉検出手段
32 先読み指令部
33 移動領域データ生成部
34 重なり検出部
35U,35D 移動領域データ
36 干渉領域
37 3次元モデルデータ

Claims (2)

  1. 工具及びワークを含む複数の移動部材を備えた工作機械の当該移動部材相互の干渉を予測する工作機械の干渉検出方法であって、前記移動部材の動作を制御するNCプログラムによる繰返し動作の開始及び終了を含む所定の同期指令で待ち合せ動作を行う複数の移動部材間の干渉を、当該複数の移動部材の3次元モデルデータと、前記所定の同期指令間で前記複数の移動部材のそれぞれに与えられる移動指令とに基づいて、当該複数の移動部材の3次元の移動領域データを生成し、生成した複数の移動領域データ間の干渉の有無を検出することにより予測する、工作機械の移動部材相互の干渉検出方法。
  2. 不動部材とNCプログラムの指令により個別に運転される複数の駆動装置及び当該駆動装置に連結された複数の移動部材とを機械部材として備える工作機械の制御装置であって、
    工具及びワークを含む前記機械部材の3次元モデルデータ及び予め読取った前記NCプログラムの指令に基づいて前記移動部材と不動部材又は移動部材相互間の干渉を前もって検出する干渉検出手段を備えている制御装置において、
    前記干渉検出手段は、前記NCプログラムの同期指令間で個別に移動する少なくとも複数の移動部材についてその同期指令間の1つ又は複数ブロックの移動指令を予め読取る読取り手段(22,32)と、
    前記複数の移動部材の3次元モデルデータ(37)と読取った前記移動指令に基づいて前記同期指令間における前記複数の移動部材の移動領域データ(35U,35D)を生成する移動領域データ生成手段(33)と、
    生成した複数の移動領域データから複数の移動領域の重なりの有無を検出する重なり検出手段(34)とを備えていることを特徴とする、
    工作機械の制御装置。
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