JP2009282140A - 画像表示パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部環境に伴う表示特性の変化が抑制された画像表示パネルを提供する。
【解決手段】画像表示セル10の少なくとも一方主面に偏光板110が貼り合わされており、 偏光板110は、透明フィルム51と、偏光子21と、厚み15μm以下の複屈折層31とをこの順に有し、かつ、偏光子21と該複屈折層31とが第1の接着層61を介して積層されており、画像表示セル10と該偏光板110は、偏光板110の複屈折層31側主面が画像表示セ10ルと対向するように、第2の接着層62を介して貼り合わせられている画像表示パネルにより、上記課題が解決される。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像表示セルの少なくとも一方主面に偏光板が貼り合わされた画像表示パネルに関する。
画像表示パネル、中でも液晶パネル、画像表示セルに偏光板が貼り合わされた構造を有している。偏光板としては、一般に偏光子を透明フィルムとしての2枚の透明フィルムによって挟持する構造を有するものが用いられており、かかる透明フィルムとしては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂からなるフィルムが広く用いられている。また、液晶表示装置においては、液晶セルの複屈折による光学的な歪みの補償等を目的として、光学補償子としての複屈折層が設けられたものが広く採用されている。このような複屈折層は、偏光板を形成する偏光子と画像表示セルの間に配置される。
複屈折層としては、ポリマーフィルムを延伸したものが広く用いられているが、フィルムにある程度の厚みがないと延伸することができないため、結果として画像表示パネルが厚型化する傾向がある。それに対して、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミド等の複屈折発現性の高い非晶性ポリマーをコーティング膜として形成したものを複屈折として用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
2003−344657号公報
しかしながら、上記のように複屈折層としてコーティング膜を用いた画像表示パネルは、加熱、あるいは加湿環境に長時間暴露されると、表示不良を生じ易い傾向があった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、コーティング膜のように厚みの小さい複屈折を用いた場合でも、外部環境に伴う表示特性の変化が抑制された画像表示パネルを提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる表示特性の変化が、偏光板の偏光子保護フィルムとして用いられている透明フィルムの光学特性の変化、及び寸法変化によるパネルの反りに起因することを見出した。そして、かかる課題の解決に向けて鋭意検討の結果、所定の構成を有する画像表示パネルによって、表示特性の変化を抑制し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、画像表示セルの少なくとも一方主面に偏光板が貼り合わされている画像表示パネルに関し、該偏光板が、透明フィルムと、偏光子と、複屈折層とをこの順に有し、かつ、該偏光子と該複屈折層とが第1の接着層を介して積層された画像表示パネルに関する。前記複屈折層の厚みは厚み15μm以下である。画像表示セルと偏光板は、偏光板の複屈折層側主面が画像表示セルと対向するように、第2の接着層を介して貼り合わせられている。
本発明の一実施形態においては、前記複屈折層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群より選択される1以上の非晶性ポリマーを含有することが好ましく、また、別の実施形態においては、前記複屈折層が、液晶性化合物の配向層であることが好ましい。また、該複屈折層は、コーティングにより形成されたものであることが好ましい。
本発明の画像表示パネルの一実施形態においては、液晶層の複屈折を光学的に補償する観点から、前記複屈折層の面内の主屈折率をnx、nyとし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、屈折率分布がnx≧ny>nzであることが好ましい。
また、本発明の画像表示パネルの前記画像表示セルとしては、液晶セルを好適に採用し得る。また、該液晶セルは、VAモードの液晶セルであることが好ましい。
さらに、本発明は、前記画像表示パネルの製造方法に関する。本発明の画像表示パネルの製造方法においては、前記偏光板の長尺シートをロール原反として準備するロール原反準備工程と、該ロール原反からシート製品を繰り出し、切断手段を用いて前記偏光板を所定サイズに切断する切断工程と、該切断工程後に、前記偏光板を接着層を介して画像表示セルに貼り合わせる貼合工程と、を有することが好ましい。
また、本発明は、前記画像表示パネルを有する、画像表示装置に関する。
本発明の画像表示パネルは、偏光子21、第1の接着層61、複屈折31、第2の接着層62、画像表示セル10がこの順で積層されており、偏光子21と画像表示セル10の間に、複屈折31とは別体として設けられる透明フィルムを廃している。かかる構成によって、透明フィルムの光学特性変化に伴う画像表示装置の表示特性変化を生じない。また、偏光板の厚みが薄いため、外部環境に由来してフィルムに寸法変化が生じた場合でも、画像表示セルに付与される応力が小さい。そのため、画像表示パネルに反りが生じ難く、結果として表示不良を生じ難い。さらには、フィルムの積層数が少ないために画像表示パネルの薄型化が可能であり、低コスト化にも寄与し得る。
[画像表示パネルの構成概要]
本発明の画像表示パネルの構成概要を、図1を参照しながら説明する。本発明の画像表示パネルは、画像表示セル10の少なくとも一方主面に偏光板110を有している。偏光板110は、透明フィルムと51と、偏光子21と、複屈折層31とがこの順で積層されている。偏光子21と複屈折層31とは第1の接着層61を介して積層されており、両者の間は、他のフィルムを介していない。透明フィルム51と偏光子21とは、接着層63を介して貼りあわされていることが好ましい。また、複屈折層31の厚みは15μm以下である。画像表示セル10と偏光板110とは、偏光板110の複屈折層31側の主面が画像表示セルと対向するように、第2の接着層62を介して積層されており、両者の間は、他のフィルムを介していない。
画像表示セル10は、一対の基板11、12と、基板11、12間に挟持された表示媒体13とを有する。すなわち、複屈折層31は、画像表示セル10の基板11(又は12)と貼り合わせられ、一体化されている。なお、基板11、及び12としては、一般にはガラス基板が用いられる。なお、図1においては、画像表示セル10の基板12側にも、透明フィルム51’、偏光子21’、複屈折層31’が積層された偏光板120が貼りあわされた実施形態を示しているが、本発明はかかる実施形態に限定されず、画像表示セル10の少なくとも一方主面が上記の構成を有していればよい。
このように、偏光子21と画像表示セル10との間に、複屈折層31以外の光学フィルムを有さない構成を採用することで、複屈折層と透明フィルムが別体のものとして偏光子と画像表示セルの間に設けられた従来の画像表示装置において生じていた、透明フィルムの光学特性変化の問題が解消される。また、偏光板の厚みが薄いため、温度や湿度等の外部環境変化に由来するフィルムの寸法変化が生じた場合でも、画像表示セルに付与される応力が小さくなる。そのため、画像表示パネルに反りが生じ難く、結果として表示不良を生じ難い。さらには、フィルムの積層数が少ないために画像表示パネルの薄型化が可能であるため、偏光板をロール状に形成した場合の巻き径(直径)や重量が小さくなり、結果としてより長尺のロール状とすることが可能であるため、生産性やハンドリング性にも優れる。
以下、本発明の画像表示パネル100を構成する、偏光板110、画像表示セル10、及び該偏光板110を形成する偏光子21、透明フィルム51並びに複屈折層31、及びそれらを積層するための接着層について説明する。
[画像表示セル]
(液晶表示セル)
本発明の画像表示パネル100に用いられる画像表示セル10としては、代表的には液晶セルが挙げられる。液晶セル10は、一対の基板11、12と、基板11、12間に挟持された表示媒体としての液晶層13とを有する。一般的な構成においては、一方の基板に、カラーフィルター及びブラックマトリクスが設けられており、他方の基板に、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線及びソース信号を与える信号線と、画素電極及び対向電極とが設けられている。上記基板11、12の間隔(セルギャップ)は、スペーサー等によって制御できる。上記基板11、12の液晶層13と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜等を設けることができる。
基板11、12を形成する材料は特に制限されないが、一般には0.1〜2mm程度の厚みを有するガラス製の基板が用いられる。また、液晶層は、電圧(電界)を付与することによってその配向状態を変化させるものが用いられる。
このような液晶セルとしては、例えばツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モードや、水平配向(ECB)モード、垂直配向(VA)モード、インプレーンスイッチング(IPS)モード、フリンジフイールドスイッチング(FFS)モード、ベンドネマチック(OCB)モード、ハイブリッド配向(HAN)モード、強誘電性液晶(SSFLC)モード、反強誘電液晶(AFLC)モード等種々の液晶セルが挙げられる。特に、本発明においては、後述する複屈折層が、ネガティブCプレート、あるいは二軸プレートとして作用し得るものである場合は、かかる光学補償形態と合致する液晶セルを好適に採用し得る。代表的には垂直配向(VA)モードの液晶セルが挙げられる。
(液晶セル以外の画像表示セル)
上記液晶セル以外の画像表示セル10としては、例えば、有機ELセルやプラズマセルが挙げられる。有機ELパネルやプラズマパネルにおいては、表面反射による画質の低下を抑制する観点等から視認側に偏光板を設けた構成が採用される場合がある。
以下においては、主に画像表示セル10として液晶セルを採用した液晶パネルの場合を中心に説明するが、本発明はかかる液晶パネルに限定されるものではなく、上記のような各種の画像表示セルを用いた画像表示パネルに適用することができる。
[偏光板]
本発明の画像表示パネル100に用いられる偏光板110は、偏光子21の一方主面に
保護フィルムとしての透明フィルム51が設けられており、他方主面に複屈折層31が設けられている。
[偏光子]
偏光子とは、自然光や偏光から任意の偏光に変換し得るフィルムをいう。本発明に用いられる偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得るが、自然光又は偏光を直線偏光に変換するものが好ましく用いられる。
本発明においては、偏光子21として、目的に応じて任意の適切ものが採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。また、米国特許5,523,863号等に開示されている二色性物質と液晶性化合物とを含む液晶性組成物を一定方向に配向させたゲスト・ホストタイプのO型偏光子、米国特許6,049,428号等に開示されているリオトロピック液晶を一定方向に配向させたE型偏光子等も用いることができる。
このような偏光子の中でも、高い偏光度を有するという観点から、ヨウ素を含有するポリビニルアルコール系フィルムによる偏光子が好適に用いられる。偏光子に適用されるポリビニルアルコール系フィルムの材料には、ポリビニルアルコール又はその誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等が挙げられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸や、そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。ポリビニルアルコールの重合度は、1000〜10000程度、ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。
前記ポリビニルアルコール系フィルム中には可塑剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオール及びその縮合物等が挙げられ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。可塑剤の使用量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系フィルム中20重量%以下とするのが好適である。
前記ポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)は、常法に従って、一軸延伸処理、ヨウ素染色処理が少なくとも施される。さらには、ホウ酸処理、ヨウ素イオン処理を施すことができる。また前記処理の施されたポリビニルアルコール系フィルム(延伸フィルム)は、常法に従って乾燥されて偏光子となる。
また、偏光子には亜鉛を含有させることもできる。偏光子に亜鉛を含有させることは、加熱環境下における色相劣化抑制の点で好ましい。偏光子中の亜鉛の含有量は、亜鉛元素が、偏光子中に0.002〜2重量%含有される程度に調整することが好ましい。さらには、0.01〜1重量%に調整することが好ましい。偏光子中の亜鉛含有量が前記範囲において、耐久性向上効果がよく、色相の劣化を抑える上で好ましい。
亜鉛含浸処理には、亜鉛塩溶液が用いられる。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等の水溶液の無機塩化合物が好適である。これらの中でも、硫酸亜鉛が亜鉛の偏光子中における保持率を高めることができることから好ましい。また、亜鉛含浸処理には、各種亜鉛錯体化合物を用いることができる。亜鉛塩水溶液中の亜鉛イオンの濃度は、0.1〜10重量%程度、好ましくは0.3〜7重量%の範囲である。また、亜鉛塩溶液はヨウ化カリウム等によりカリウムイオン及びヨウ素イオンを含有させた水溶液を用いるのが亜鉛イオンを含浸させやすく好ましい。亜鉛塩溶液中のヨウ化カリウム濃度は0.5〜10重量%程度、さらには1〜8重量%とするのが好ましい。
前記処理の施されたポリビニルアルコール系フィルム(延伸フィルム)は、常法に従って、水洗浄工程、乾燥工程に供することができる。
偏光子の厚みとしては、任意の適切な厚みが採用され得る。偏光子の厚みは、代表的には5〜80μmであり、好ましくは10〜50μmであり、さらに好ましくは20〜40μmである。上記の範囲であれば、光学特性や機械的強度に優れる。
[透明フィルム]
透明フィルム51は、偏光子の傷付きや、ヨウ素の昇華による劣化を防止したり、偏光板の強度を上昇とした偏光子の保護フィルムとして偏光子に積層される。かかる透明フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性等に優れるものが用いられる。具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。中でも、偏光板の加湿耐久性を高める観点からは、透湿度が小さいものが好適に用いられる。
なお、透明フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等が挙げられる。透明フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
透明フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性等の点より1〜500μm程度である。中でも1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、5〜150μmがさらに好ましく、20〜100μmが特に好適である。
なお、従来の画像表示パネルにおいては、偏光子の両面に透明フィルムを有する偏光板が主に用いられており、特に偏光子と画像表示セルの間に配置されることとなる透明フィルムは、その光学的な歪み、すなわち複屈折が偏光状態を変換して、画像表示パネルの表示特性に影響を及ぼし得ることから、複屈折の小さいものや、あるいは複屈折を有していても、複屈折の値や遅相軸の方向が面内において可及的に均一であるものが好適に用いられていた。それに対して、本発明の画像表示パネルおいては、図1に示すように、偏光子21と画像表示セル10の間には複屈折層31を有しているが、保護フィルムとして別体に設けられたフィルムを有しておらず、透明フィルム51は偏光子21の画像表示セル10と対向しない側の面に配置される。そのため、透明フィルム51の複屈折は画像表示パネルの表示特性に直接的には影響を与えず、従来の偏光子の両面に透明フィルムを有する偏光板に比してその選択範囲が広い。
複屈折層と透明フィルムが別体のものとして画像表示セルと偏光子との間に設けられている従来の画像表示パネルにおいては、該透明フィルムとして、複屈折を低く抑えたり、高い均一性を得る観点から、トリアセチルセルロースに代表されるようなセルロース樹脂や、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂等からなるものが広く用いられている。それに対して、本発明の画像表示パネルを構成する透明フィルム51は、画像表示セル10と偏光子21の間に配置されるものではない。そのため、透明フィルム51が有する複屈折は、画像表示装置の表示特性に直接的には影響を与えないため、その選択肢が広い。そのため、透明フィルム51としては、前記した複屈折を低く抑制し得る材料に加えて、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるようなポリエステル系の樹脂等からなる透明フィルムも好適に用いることができる。
このような透明フィルムの材料として好適に用い得るポリエステル系樹脂は特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等のジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のジオールを、それぞれ1種を重縮合してなるホモポリマー、又はジカルボン酸1種以上とジオール2種以上を重縮合してなる共重合体、あるいはジカルボン酸2種以上と1種以上のジオールを重縮合してなる共重合体、及びこれらのホモポリマーや共重合体を2種以上ブレンドしてなるブレンド樹脂のいずれかのポリエステル樹脂を挙げることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましく用いられる。
ポリエステルフィルムは、例えば上記のポリエステル樹脂をフィルム状に溶融押出、キャスティングドラムで冷却固化させてフィルムを形成させる方法等によって得られる。かかるリエステルフィルムとしては、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれも用いることができる。例えば、複屈折が小さいものが要求される場合には無延伸フィルムを好適に用いることができる。また、複屈折を液晶パネルの光学補償に用いる場合等においては、延伸フィルムを好適に用いることができる。また、延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムは強度の点からも好適に用いられる。
ポリエステルフィルムが延伸フィルムである場合、その延伸方法は特に限定されず、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法等を採用することができる。延伸手段としては、ロール延伸機、テンター延伸機やパンタグラフ式あるいはリニアモーター式の二軸延伸機等、任意の適切な延伸機によることができる。
ポリエステルフィルムの厚みは前記の如く1〜500μm程度であり、中でも1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、5〜150μmがさらに好ましく、20〜100μmが特に好適である。厚みが前記範囲より小さいと、フィルムが破断しやすくなり、偏光板に適用したときの強度に問題が生じたり、水分遮断性が不十分となり、偏光子の耐久性に劣る場合がある。厚みが前記範囲より大きいと、フィルムの屈曲性に欠け、ハンドリング性が低下したり、ポリエステルフィルム自身の製造が困難となる場合がある。
(易接着層)
透明フィルム51の偏光子と接着する側の面には、易接着層を形成することができる。特に、透明フィルム51として、前記ポリエステル系フィルムのように、偏光子との接着性が低いものを用いる場合には、偏光子と透明フィルムの接着性を向上させる観点から易接着層を形成することが好ましい。かかる易接着層としては、親水性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール系化合物、親水性ポリエステル系化合物、ポリビニル系化合物、(メタ)アクリル酸化合物、エポキシ樹脂、ポリウレタン化合物、天然高分子化合物等により形成されたものが挙げられる
(表面処理層)
さらに、透明フィルム51の偏光子21を接着させない側の面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理層を設けてもよい。
[複屈折層]
複屈折層31は、偏光子21と画像表示セル10の間に配置され、偏光子を射出して画像表示セルに入射する光、あるいは画像表示セルを射出して偏光子に入射する光の偏光状態を変換する目的で用いられる。かかる複屈折層としては、高温多湿等の環境下における画像表示パネルの反りを抑制する観点から、厚みが15μm以下のものが採用される。厚みは12μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。
該複屈折層を形成する材料は特に制限されないが、上記厚みで所望とする光学補償能を有する観点から、液晶性化合物や、所定の非晶性ポリマー等、複屈折発現性の高いものが好適に用いられる。
複屈折層の形成に用いられる液晶性化合物としては、負の屈折率異方性を有するもの、正の屈折率異方性を有するもののいずれも用いることができる。負の屈折率異方性を有する液晶性化合物としては、ディスコティック液晶化合物が挙げられる。ディスコティック液晶化合物とは、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されている、ベンゼン誘導体や、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクル等が挙げられ、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶と呼ばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、ディスコティック液晶化合物は、熱、光等で硬化反応する重合性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる)を有するものが通常用いられる。
一方、正の屈折率異方性を有する液晶性化合物としては、棒状のネマチック液晶性化合物が挙げられる。「棒状液晶化合物」とは、分子構造中にメソゲン基を有し、該メソゲン基の長軸方向の屈折率が、短軸方向に比べて大きいものであり、加熱、冷却等の温度変化によるか、又はある量の溶媒の作用により、液晶相を示す化合物をいう。捧状液晶化合物としては、任意の適切なものを選択し得るが、室温では結晶又はガラス状態を示し、高温にするとネマチック液晶相を発現するものを好適に用いることができる。上記棒状液晶化合物は、成膜前は液晶相を示すが、成膜後は、例えば、架橋反応によって網目構造を形成し、液晶相を示さなくなるものであってもよい。上記のような性質の棒状液晶化合物を用いることで、例えば、液晶相を示す状態で、ハイブリッド配列を形成した後に、冷却ないし架橋することによって、その配列状態を固定することができる。
上記メソゲン基は、液晶相を形成するための構造部分であり、通常、環構造単位を含む。上記メソゲン基の具体例としては、ビフェニル基、フェニルベンゾエート基、フェニルシクロヘキサン基、アゾキシベンゼン基、アゾメチン基、アゾベンゼン基、フェニルピリミジン基,ジフェニルアセチレン基、ジフェニルベンゾエート基、ビシクロヘキサン基、シクロヘキシルベンゼン基、ターフェニル基等が挙げられる。なお、これらの環構造単位の末端は、例えば、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。中でも、メソゲン基として、ビフェニル基、フェニルベンゾエート基を有するものが好ましく用いられる。
上記棒状液晶化合物は、メソゲン基を主鎖及び/又は側鎖に有する高分子物質(高分子液晶)であっても良いし、分子構造の一部分にメソゲン基を有する低分子物質(低分子液晶)であっても良い。高分子液晶は、液晶状態から冷却することで分子の配向状態を固定化できるため、生産性に優れる。一方、低分子液晶は、配向性が高く、透明性の高い位相差層を容易に得ることができる。
なお、上記の液晶性化合物を用いた複屈折層においては、最終的な複屈折層中の化合物が前記化合物である必要はなく、重合性不飽和基の反応等により液晶性を失ったものも含まれる。
これらの液晶層を所定方向に配向させる方法は特に限定されないが、配向膜上に液晶性化合物を含有する塗布液を塗布し、各種公知の方法により、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向、傾斜配向等に配向させることができる。また、液晶性分子の配向方向が複屈折層の厚み方向で連続的に変化したハイブリッド配向としたものを用いることもできる。さらには、液晶性化合物に必要に応じてカイラル剤を添加する等によって、コレステリック配向の液晶層としたものを用いることもできる。
複屈折層の形成に用いられる非晶性ポリマーとしては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。これらのポリマーは、耐熱性、耐薬品性に優れ、剛性に富み、透明性に優れ、かつ、高い複屈折発現性を有する観点から好ましい。
上記ポリマーの分子量は、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは2,000〜500,000の範囲である。
上記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記式(1)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
上記式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子又はC10アルキル基で置換されたフェニル基、及びC10アルキル基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基である。好ましくは、R〜Rは、それぞれ独立して、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子又はC10アルキル基で置換されたフェニル基、及びC10アルキル基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基である。
上記式(1)中、Zは、例えば、C20の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、又は、下記式(2)で表される基である。
上記式(2)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R基、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(C基、又は、NR基であり、複数の場合、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。また、wは、1から10までの整数を表す。Rは、それぞれ独立して、水素又はC(Rである。Rは、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、又はC20アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素、又は塩素である。
上記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレン又はアントラセンから誘導される4価の基が挙げられる。また、上記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C10のアルキル基、そのフッ素化誘導体、及びFやCl等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された上記多環式芳香族基が挙げられる。
この他にも、例えば、特表平8−511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記一般式(3)又は(4)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記一般式(5)で示されるポリイミド等が挙げられる。なお、下記式(5)のポリイミドは、下記式(3)のホモポリマーの好ましい形態である。
上記一般式(3)〜(5)中、G及びG’は、それぞれ独立して、例えば、共有結合、CH基、C(CH基、C(CF基、C(CX基(ここで、Xは、ハロゲンである。)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(CHCH基、及び、N(CH)基からなる群から選択される基であり、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。
上記式(3)及び式(5)中、Lは、置換基であり、d及びeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、又は、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。上記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、及びC1−3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基を有する置換フェニル基が挙げられる。また、上記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素が挙げられる。dは、0から2までの整数であり、eは、0から3までの整数である。
上記式(3)〜(5)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、及び置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子又は基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。上記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。上記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基が挙げられる。また上記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基が挙げられる。fは、0から4までの整数であり、gは、0から3までの整数であり、hは、1から3までの整数である。また、g及びhは、1より大きいことが好ましい。
上記式(4)中、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、及び置換アルキル基からなる群から選択される基である。その中でも、R10及びR11は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記式(5)中、M及びMは、それぞれ独立して、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、又は、置換フェニル基である。上記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。また、上記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、及びC1−3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基を有する置換フェニル基が挙げられる。
上記式(3)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記式(6)で表されるもの等が挙げられる。
さらに、上記ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーが挙げられる。
上記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。上記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
上記ピロメリット酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリット酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリット酸二無水物等が挙げられる。上記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。上記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。上記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。上記2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2’−ビス(トリハロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
上記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンが挙げられ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、及びその他の芳香族ジアミンが挙げられる。
上記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−及びp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼン及び1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンからなる群から選択されるジアミン等が挙げられる。上記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、及び3,3’−ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。上記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、及び1,5−ジアミノナフタレン等が挙げられる。上記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、及び2,4−ジアミノ−S−トリアジン等が挙げられる。
また、芳香族ジアミンとしては、上記の他に、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記ポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載された、下記一般式(7)で表されるポリアリールエーテルケトンが挙げられる。
上記式(7)中、Xは、置換基を表し、qは、その置換数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、又は、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子が挙げられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。上記低級アルキル基としては、例えば、Cの直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基が好ましく、より好ましくはCの直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及び、tert−ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基及びエチル基である。上記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の上記低級アルキル基のハロゲン化物が挙げられる。上記低級アルコキシ基としては、例えば、Cの直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくはCの直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、及び、tert−ブトキシ基が、さらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基及びエトキシ基である。上記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の上記低級アルコキシ基のハロゲン化物が挙げられる。
上記式(7)中、qは、0から4までの整数である。上記式(7)においては、q=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。
また、上記式(7)中、Rは、下記式(8)で表される基であり、mは、0又は1の整数である。
上記式(8)中、X’は置換基を表し、例えば、上記式(7)におけるXと同様である。上記式(8)において、X’が複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。q’は、上記X’の置換数を表し、0から4までの整数であって、q’=0が好ましい。また、pは、0又は1の整数である。
上記式(8)中、Rは、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、m−若しくはp−フェニレン基、又は、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−若しくはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、若しくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等が挙げられる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、上記Rとしては、下記式(9)〜(15)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
上記式(7)中、Rとしては、下記式(16)で表される基が好ましく、下記式(16)において、R及びpは上記式(8)と同義である。
さらに、上記式(7)中、nは重合度を表し、例えば、2〜5000の範囲であり、好ましくは、5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合であってもよい。
さらに、上記式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記一般式(17)で表すことができる。なお、下記式において、nは上記式(7)と同様の重合度を表す。
上記式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記式(18)〜(21)で表されるもの等が挙げられ、下記各式において、nは、上記式(7)と同様の重合度を表す。
また、これらの他に、上記ポリアミド又はポリエステルとしては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミドやポリエステルが挙げられ、それらの繰り返し単位は、例えば、下記一般式(22)で表すことができる。
上記式(22)中、Yは、O又はNHである。また、Eは、例えば、共有結合、Cアルキレン基、ハロゲン化Cアルキレン基、CH基、C(CX基(ここで、Xはハロゲン又は水素である。)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(R)基、及び、N(R)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。上記Eにおいて、Rは、C1−3アルキル基及びC1−3ハロゲン化アルキル基の少なくとも一種類であり、カルボニル官能基又はY基に対してメタ位又はパラ位にある。
また、上記式(22)中、A及びA’は、置換基であり、t及びzは、それぞれの置換数を表す。また、pは、0から3までの整数であり、qは、1から3までの整数であり、rは、0から3までの整数である。
上記Aは、例えば、水素、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、OR(ここで、Rは、上記で定義したとおりである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、C1−9アルコキシカルボニル基、C1−9アルキルカルボニルオキシ基、C1−12アリールオキシカルボニル基、C1−12アリールカルボニルオキシ基及びその置換誘導体、C1−12アリールカルバモイル基、並びに、C1−12アリールカルボニルアミノ基及びその置換誘導体からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。上記A’は、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。上記置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン、C1−3アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基及びこれらの組み合わせが挙げられる。上記tは、0から4までの整数であり、上記zは、0から3までの整数である。
上記式(22)で表されるポリアミド又はポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記一般式(23)で表されるものが好ましい。
上記式(23)中、A、A’及びYは、上記式(22)で定義したとおりであり、vは0から3の整数、好ましくは、0から2の整数である。x及びyは、それぞれ0又は1であるが、共に0であることはない
さらに、上記式(22)で表されるポリエステル(ただし、式(22)において、Yは酸素原子である)として、例えば、特開2004−70329号公報に開示されているような芳香族ポリエステルを用いることも好ましい。かかるポリエステルは、式(22)において、A=水素、E=共有結合、p=0、q=1としたものであり、具体的には、ポリエステルのモノマーとしてのアルコール成分としてビスフェノール類、酸成分としてイソフタル及び/又はテレフタル酸を用い、これらを重縮合することにより得られるポリエステルと同等の構造を有するものが挙げられる。かかるアルコール成分として用いられるビスフェノール類としては、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフェノール、4,4’−(2,2’−アダマンタンジイル)ジフェノール、4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール、4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノール、4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデンビスフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデンビスフェノール等が挙げられる。
また、かかるビスフェノール成分を有するポリエステルとしては、例えば、ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデンビスフェノール)テレフタレート、ポリ(4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビスフェノール−コ−(2−ノルボルニリデン)−ビスフェノールテレフタレート、ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン)−ビスフェノール−コ−(4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラブロモ)−ビスフェノールテレフタレート、ポリ(4,4’−イソプロピリデン−ビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、あるいはこれらの共重合体が挙げられる。
また、ポリエステルのアルコール成分としてのビスフェノール類として、下記の一般式(24)、(25)で表されるものを用いたポリエステルと同様の構造を有するポリエステルも好適に用いることができる。

上記式(24)中、R21は、C〜C10の直鎖若しくは分枝のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、R22は、C〜C10アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。

上記式(25)中、R23及びR24は、それぞれ独立してC〜C10アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。R25〜R28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜C10シクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す(ただし、R25〜R28のうち、少なくともいずれか1つは水素原子でない)。
上記式(24)を満足するビスフェノールとしては、例えば4,4’−2−ブチリデンビスフェノール、4,4’−イソペンチリデンビスフェノール、4,4’−2−ペンチリデンビスフェノール、4,4’−3−ペンチリデンビスフェノール、4,4’−2−ヘキシリデンビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等が挙げられる。
また、上記式(25)を満足するビスフェノールとしては、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル-4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロへキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
また、ポリエステルのモノマー成分として、2,6−ジヒドロキシナフタレンや、1,5−ジヒドロキシナフタレン等のビスフェノール以外の芳香族ジオールを用いたポリエステルと同様の構造を有するポリエステルも好適に用いることができる。
このような非晶性ポリマーを用いて複屈折層を形成する方法は特に制限されず、押出成形、カレンダー法、溶媒キャスティング法等で製造することができるが、複屈折発現性を大きくする観点からは溶媒キャスティング法(コーティング法)により成形することが好ましい。
上記した非晶性ポリマーは、溶液として基材上表面に塗布し乾燥させることで、溶剤の蒸発過程で、ポリマー自身の性質により分子が基材の面と平行に、すなわち層の面内に自発的に配向し易い傾向がある。また、芳香環を有する分子は芳香環の面内方向とその法線芳香とで分極率異方性が大きいために、複屈折も大きくなる。そのため、上記非晶性ポリマーを溶液として基材上にコーティングすることで得られる複屈折層は、層の面内方向と厚み方向の屈折率差すなわち複屈折が大きく、厚みが小さくとも光学補償に必要とされる位相差を有するものとすることができる。
このような非晶性ポリマーをコーティングによって複屈折層とする場合、そのポリマー溶液としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な溶液が採用され得る。当該溶液は、ポリマーの粉末又はペレットを溶剤に溶解させたものでもよく、ポリマーの合成、あるいは精製過程で得られる溶液をそのまま用いてもよい。本発明においては、ポリイミド粉末を溶剤に溶解させたものが好ましく用いられる。欠点や輝点等の光学的欠陥の少ない複屈折層が得られるからである。
上記ポリマー溶液の全固形分濃度は、使用されるポリマーの種類、溶解性、塗布粘度、ぬれ性、目的とする厚み等によって変化し得る。全固形分濃度は、溶剤100重量部に対して好ましくは2〜100重量部であり、より好ましくは10〜50重量部であり、最も好ましくは10〜40重量部である。上記の範囲であれば、薄く、かつ、表面均一性、光学均一性に優れた複屈折層を形成することができる。
ポリマー溶液を形成する溶剤としては、上記ポリマーを均一に溶解して溶液を形成し得る任意の適切な液体物質が採用され得る。上記溶剤は、ベンゼンやヘキサン等の非極性溶媒であってもよく、水やアルコール等の極性溶媒であってもよい。また、上記溶剤は、水等の無機溶剤であってもよく、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族及び芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、セロソルブ類等の有機溶剤であってもよい。
かかる溶剤の具体例としては、アルコール類には、n−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタジオール、フェノール、パラクロロフェノール等が挙げられる。ケトン類には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン等が挙げられる。エーテル類には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等が挙げられる。エステル類には、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等が挙げられる。脂肪族及び芳香族炭化水素類には、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素類には、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン等が挙げられる。アミド類には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。セロソルブ類には、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、酢酸メチルセロソルブ等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で、又は任意に選ばれる2種類以上の溶剤を混合して用いられる。
上記溶剤の沸点は、好ましくは55〜230℃であり、さらに好ましくは70〜150℃である。上記の範囲の沸点を有する溶剤を選択することによって、乾燥工程でポリマー溶液中の溶剤が急激に蒸発することを防ぎ、表面均一性の高い複屈折層を得ることができる。上記の範囲の沸点を有する溶剤としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤が挙げられる。
上記ポリマー溶液の粘度としては、目的に応じて任意の適切な粘度が採用され得る。当該粘度は、23℃におけるせん断速度1000(1/s)で測定した値が、好ましくは50〜600(mPa・s)であり、さらに好ましくは100〜300(mPa・s)であり、最も好ましくは120〜200(mPa・s)である。上記の範囲であれば、非常に薄く、かつ、表面均一性、光学均一性に優れた複屈折層を形成することができる。
ポリマー溶液を塗布するための基材としては、特に限定されず、無機化合物の基材(SUSベルト、銅薄板、ガラス、Siウエハ等)、ポリマーフィルム又は金属板等を用いることができる。また、前記ポリマーフィルムの形成材料としては、例えば、ポリオレフイン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アモルファスポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース系ポリマー(トリアセチルセルロース(TAC)等)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル樹脂や、これらの混合物等が挙げられる。
上記ポリマー溶液を塗布する方法としては、特に制限はなく、任意の適切なコータを用いた塗布方式を用いることができる。上記コータの具体例としては、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ナイフコータ、ロッドコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、エアドクタコータ、キスコータ、ディップコータ、ビードコータ、ブレードコータ、キャストコータ、スプレイコータ、スピンコータ、押出コータ、ホットメルトコータ等が挙げられる。これらのなかでも、本発明にはリバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ロッドコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータが好ましく用いられる。上記のコータを用いた塗布方式であれば、非常に薄く、かつ、表面均一性、光学均一性に優れた複屈折層を形成することができる。
上記ポリマー溶液の乾燥方法としては、任意の適切な乾燥方法が採用され得る。乾燥方法の具体例としては、熱風又は冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波若しくは遠赤外線等を利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロール又は金属ベルト等を用いた加熱方法や温度制御方法を挙げることができる。
上記ポリマー溶液の乾燥温度は、好ましくは50〜250℃であり、さらに好ましくは80〜150℃である。乾燥は一定温度で行ってもよく、段階的又は連続的に温度を上昇又は下降させながら行ってもよい。段階的な乾燥処理を行うことによって、より一層表面均一性に優れた複屈折層を形成することができる。段階的な乾燥の具体例としては、例えば40〜140℃(好ましくは40〜120℃)の温度で1次乾燥を行った後、150〜250℃(好ましくは150〜180℃)の温度で2次乾燥を行う二段階の乾燥処理が挙げられる。
上記ポリマー溶液の乾燥時間としては、任意の適切な乾燥時間が採用され得る。表面均一性に優れた複屈折層を得るためには、乾燥時間は、好ましくは1〜20分であり、さらに好ましくは1〜15分であり、最も好ましくは2〜10分である。
複屈折層の残留揮発成分量としては、特に制限はないが、好ましくは0を超え5%以下、さらに好ましくは0を超え3%以下である。このような範囲であれば、位相差値の安定性に優れた複屈折層が得られる。上記複屈折層の残留揮発成分量は、250℃で10分間加熱したときの、加熱前後の重量減少量から求めることができる。
複屈折層の23℃における波長590nmの光で測定した透過率は、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。
上述のごとく、非晶性ポリマーをコーティングすることによって形成された複屈折層は、一般に面内と厚み方向の屈折率が異なる、所謂Cプレートの性質を有する。フィルム面内の主屈折率をnx、nyとし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、屈折率分布がnx≒ny>nzであるものは「ネガティブCプレート」と称され、nz>nx≒nyであるものは「ポジティブCプレート」と称される。なお、上記nx≒nyとは、厳密にnx=nyに限定されず、液晶表示装置の表示特性に実用上悪影響を及ぼさない程度に、フィルム面内の複屈折率が小さいものであれば、ネガティブCプレートに包含される。具体的には、複屈折層の厚みをdとしたときに、(nx−ny)×dで表される面内レターデーションReが、好ましくは0〜10nm、より好ましくは0〜5nm、さらに好ましくは0〜3nmであるものを指す。なお、レターデーションは波長590nmにおける測定値を指す(以下においても同様とする)。
また、複屈折層は、ポリマー溶液を基材上にコーティングし、乾燥中あるいは乾燥後に延伸してフィルム面内に張力を加え、延伸方向の分子の配向を高めることによって、二軸プレートとすることもできる。「二軸プレート」とは、フィルム面内の主屈折率をnx、nyとし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、屈折率分布がnx>ny>nz、又はnz>nx>nyを満足するものをいう。
上記延伸方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横同時二軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法等が挙げられる。延伸手段としては、ロール延伸機、テンター延伸機や二軸延伸機等の任意の適切な延伸機が用いられ得る。また、加熱延伸を行う場合には、温度を連続的に変化させてもよく、段階的に変化させてもよい。延伸工程を、2回以上に分割してもよい。延伸方向は、フィルム長手方向(MD方向)であってもよく、幅方向(TD方向)であってもよい。また、特開2003−262721号公報等に記載された延伸法を用いて、斜め方向に延伸してもよい。
複屈折層が二軸プレートである場合の複屈折層の面内レターデーションReは、好ましくは10〜350nmであり、より好ましくは30〜200nmである。複屈折層のReは、画像表示パネルによって適宜選択することができる。例えば、有機ELパネルにおける反射防止を目的とした円偏光板を形成する観点においては、面内レターデーションは波長の1/4に近いことが好ましい。一方、液晶パネルにおける液晶セルの複屈折を補償する場合においては、該液晶セルの光学特性等に応じて適宜設計することができる。複屈折層の面内レターデーションは、複屈折層を形成するポリマーの種類や、複屈折層の製造方法、厚み、延伸温度、延伸倍率等を変化させることにより適切に調整し得る。
複屈折層が二軸プレートである場合の複屈折層の遅相軸(x方向)の、角度(配向角ともいう)の面内バラツキは、小さければ小さいほど、好ましい。配向角のバラツキとしては、フィルム幅方向で等間隔に設けた5点の測定箇所の配向角のバラツキの範囲が、好ましくは±2.0°以内であり、より好ましくは±1.0°以内であり、さらに好ましくは±0.5°以内である。
複屈折層を二軸プレートとして用いる場合、偏光子の吸収軸と複屈折層の遅相軸との関係は、特に制限されず、画像表示パネルの種類等に応じて適宜選択できるが、平行、直交又は45°のいずれかであることが好ましい。複屈折層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのバラツキは、両者が平行に配置される場合、好ましくは0±1.0°であり、さらに好ましくは0±0.5°であり、最も好ましくは0±0.3°である。両者が直交に配置される場合、バラツキは、好ましくは90±1.0°であり、さらに好ましくは90±0.5°であり、最も好ましくは90±0.3°である。両者が45°で配置される場合、バラツキは、好ましくは45±1.0°であり、さらに好ましくは45±0.5°であり、最も好ましくは45±0.3°である。
複屈折層がCプレート、二軸プレートのいずれの場合においても、(nx−nz)×dで表される厚み方位レターデーションRthは、好ましくは50〜800nmであり、より好ましくは80〜400nmであり、さらに好ましくは100〜300nmである。このようなRthの範囲であれば、例えばVAモード又はOCBモードの液晶セル厚み方向のレターデーションを複屈折層単独で光学補償できるので、液晶パネルの薄型化に貢献し得る。なお、複屈折層のRthは、画像表示セルの種類や、画像表示セル10の偏光板110が設けられた主面とは異なる主面側に設けられた位相差板の光学特性等に応じて最適化され得る。複屈折層のRthは、複屈折層を形成するポリマーの種類や、複屈折層の製造方法、厚み、延伸温度、延伸倍率等を変化させることにより適切に調整し得る。
[複屈折層と偏光子の積層]
前記複屈折層31と偏光子21とは、第1の接着層61により両者を空気間隙なく積層することが望ましい。第1の接着層61は接着剤により形成される。かかる接着剤は光学的に透明であれば、特に制限されず水系、溶剤系、ホットメルト系、ラジカル硬化型の各種形態のものや、粘着剤とも称される感圧接着剤を用いることができる。これらの中でも、水系接着剤が好適である。
第1の接着層61を形成する接着剤として水系接着剤を用いる場合、かかる水系接着剤は特に限定されるものではないが、例えば、ビニルポリマー系、ゼラチン系、ビニル系ラテックス系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリエステル系、エポキシ系等を例示できる。このような水系接着剤からなる接着層は、水溶液の塗布乾燥層等として形成し得るが、その水溶液の調製に際しては、必要に応じて、架橋剤や他の添加剤、酸等の触媒も配合することができる。前記水系接着剤としては、ビニルポリマーを含有する接着剤等を用いることが好ましく、中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。またポリビニルアルコール系樹脂には、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸等の水溶性架橋剤を含有することができる。特に偏光子としてポリビニルアルコール系のポリマーフィルムを用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する接着剤を用いることが、接着性の点から好ましい。さらには、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤が耐久性を向上させる点からより好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールが挙げられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は一種を単独で又は二種以上を併用することができる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は特に限定されないが、接着性の点からは、平均重合度100〜5000程度、好ましくは1000〜4000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%である。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルホルムアミド又はジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等が挙げられる。またポリビニルアルコールにジケテンガス又は液状ジケテンを直接接触させる方法が挙げられる。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に制限はなない。0.1モル%未満では接着層の耐水性が不充分であり不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%程度、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは2〜7モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると、耐水性の向上効果が小さい。アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
架橋剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤に用いられているものを特に制限なく使用できる。前記ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びこれらのケトオキシムブロック物又はフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジ又はトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物が挙げられる。これらの中でもアミノ−ホルムアルデヒド樹脂やジアルデヒド類が好ましい。アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはメチロール基を有する化合物が好ましく、ジアルデヒド類としてはグリオキザールが好適である。中でもメチロール基を有する化合物である、メチロールメラミンが特に好適である。また、架橋剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を用いることができる。
前記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂の種類等に応じて適宜設計できるが、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常、4〜60重量部程度、好ましくは10〜55重量部程度、さらに好ましくは20〜50重量部である。かかる範囲において、良好な接着性が得られる。
なお、偏光子と複屈折層の積層に伴う局所的な凹凸欠陥(クニック欠陥)の発生を抑止する観点からは、接着剤には、前記のポリビニルアルコール系樹脂、架橋剤の他に、平均粒径が1〜100nmの金属化合物コロイドを含有することもできる。かかる金属化合物コロイドとしては、アルミナコロイド、シリカコロイド、ジルコニアコロイド、チタニアコロイド及び酸化スズコロイド等が挙げられる。具体的には、特開2008−15483号公報に記載のものを好適に用いることができる。
接着剤である樹脂溶液の粘度は特に制限されないが、1〜50mPa・sの範囲のものが用いられる。偏光板の作製にあたって生じるクニックは、樹脂溶液の粘度が下がるに従って、クニックの発生も多くなる傾向があるが、かかる金属コロイドを含有する接着剤によれば、1〜20mPa・sの範囲のような低粘度の範囲においても、クニックの発生を抑えることができ、樹脂溶液の粘度に拘らず、クニックの発生を抑えることができる。アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、一般的なポリビニルアルコール樹脂に比べて、重合度を高くすることができず、前記のような低粘度で用いられていたが、上記の如く金属化合物コロイドを含有することによって、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合にも、樹脂溶液の低粘度によって生じるクニックの発生を抑えられる。
接着剤である樹脂溶液の調製法は特に制限されない。通常は、ポリビニルアルコール系樹脂及び架橋剤を混合し、適宜に濃度を調製したものに、必要に応じて金属化合物コロイド等を配合することで、樹脂溶液が調製される。また、ポリビニルアルコール系樹脂として、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いたり、架橋剤の配合量が多いような場合には、溶液の安定性を考慮して、得られる樹脂溶液の使用時期等を考慮しながら、架橋剤を順次混合することができる。なお、偏光板用接着剤である樹脂溶液の濃度は、樹脂溶液を調製した後に適宜に調整することもできる。
第1の接着層61が水系接着剤等により形成される場合には、当該接着層の厚みは10〜300nm程度である。接着層の厚みは、均一な面内厚みを得ることと、十分な接着力を得る点から、より好ましくは、10〜200nm、さらに好ましくは20〜150nmである。
水系接着剤を塗布した後は、偏光子と複屈折層をロールラミネーター等により貼り合わせる。前記接着剤の塗布は、複屈折層、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着層を形成する。乾燥温度は、5〜150℃程度、好ましくは30〜120℃で、120秒間以上、さらには300秒間以上である。
なお、本発明の画像表示パネルにおいては、前述の如く偏光子21と、複屈折層31、画像表示セル10とがこの順で積層されており、偏光子21と複屈折層31の間、あるいは複屈折層31と画像表示セル10との間には、他のフィルムを介していない。そのため、複屈折層31を作製するにあたって用いた基材は、画像表示パネルの形成にあたって除去する必要がある。基材は、複屈折層を形成後、偏光子と貼り合わせる前に除去することもできるが、偏光子と貼り合わせた後に画像表示セルと貼り合わせる前に除去することが好ましい。複屈折層は厚みが小さいために自己支持性が低く、単体でハンドリングすることが困難な場合が多いため、偏光子と貼り合わせる前に基材を除去すると、偏光子との貼り合わせの際の複屈折層のハンドリングが困難となる場合がある。それに対して、複屈折層が基材上に形成された状態で、複屈折層と偏光子を貼り合わせ、貼り合わせると略同時、あるいは貼り合わせ後に基材を除去することによって、かかるハンドリングの困難性を解消することができ、生産性の向上に寄与し得る。
[透明フィルムと偏光子の積層]
前記偏光子21と透明フィルム51との積層は、重ね置いただけでもよいが、ハンドリング性や、表示特性の安定性の観点からは、接着層により両者を空気間隙なく積層することが好ましい。両者を積層するための接着層は特に制限されず、透明フィルムと偏光子間の第1の接着層61として前記したもの等を好適に用いることができる。
[その他の光学層]
以上、本発明の画像表示パネルを構成する、偏光板、画像表示セル、及び該偏光板を形成する偏光子、複屈折層、透明フィルム並びに接着層について、その好ましい実施形態や製造方法について説明してきたが、本発明の画像表示パネルはこれらの具体的な実施形態に限定されるものではない。さらに、本発明の画像表示パネルは上記以外の光学層を含み得る。かかる光学層としては、例えば上記以外の偏光板(及びそれに用いる偏光子、透明フィルム、複屈折層、接着層)や、その他の接着層、位相差板、輝度向上フィルム、反射層等が挙げられる。
(偏光板)
本発明の画像表示パネルにおいては、画像表示セルの少なくとも一方主面に、偏光板110が、画像表示セル10、複屈折層31、偏光子21、透明フィルム51の順で貼り合わされていれば、画像表示セルの他方主面はどのような構成を有していてもよい。画像表示セルが液晶パネルである透過型の液晶パネルにおいては、画像表示セルの他方主面も偏光板を有していることが好ましい。かかる偏光板としては、各種公知のものを用いることができ、偏光子の片面にのみ透明フィルムが設けられたものであってもよく、両面に透明フィルムが設けられたものであってもよい。図2に、画像表示セルの両面に偏光板が貼り合わされた実施形態の一例を示す。なお、図2においては、簡単のため、各接着層は省略している。
画像表示セルの他方主面に貼り合わされる偏光板120としては、前記偏光板110と同様のものを用いることもできるし、その他の積層構造を有する偏光板を用いることもできる。例えば、図2に示す如く、偏光子41の両面に透明フィルム52及び53が設けられたものであってもよい。
前記偏光子41に積層される透明フィルム52及び53としては、前記偏光板110における透明フィルム51として前記したのと同様のものを好適に用いることができる。ただし、偏光子41の画像表示セル10側に配置される透明フィルム53は、その複屈折が画像表示パネルの表示特性に影響を及ぼし得るため、複屈折を有さない光学等方性のものか、あるいは、複屈折を有する場合であってもその位相差値や光軸の方向の面内均一性に優れたものを用いることが好ましい。また、かかる透明フィルム53として、後述する位相差板を用いることもできる。
なお、光学等方性や均一性に優れる透明フィルムとしては、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1つを用いるのが好ましい。
(輝度向上フィルム)
輝度向上フィルムは、液晶表示装置等のバックライトや裏側からの反射等により自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光又は所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層したものは、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルムで反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して画像表示に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。輝度向上フィルムは、液晶セルの光源側に設けられて使用されることが多いが、WO2006/038404号国際公開パンフレットに開示されているように、画像表示パネルの視認側に設けて使用することもできる。
輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すもの等、適宜なものを用いうる。
(位相差板)
位相差板としては、高分子素材を一軸又は二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したもの等を用いることができる。また、複屈折層31として説明したコーティング層等も好適に用いることができる。
(反射層)
上記偏光板に反射層を設けることで、反射型偏光板とすることができる。反射型偏光板は、偏光板に視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置等を形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすい等の利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ前記透明フィルムを介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式等の適宜な方式にて行うことができる。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常は液晶セルの裏側(バックライト側)に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等を形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
(光学層の積層)
なお、輝度向上フィルム、反射層、位相差板等の光学層は、画像表示パネルの製造過程で順次別個に積層する方式にて形成することができるが、予め積層して積層偏光板としたものは、品質の安定性や組立作業等に優れ、製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。これらの積層においては、各光学層の光学軸(位相差フィルムの遅相軸や、偏光子の吸収軸等)は目的とする位相差特性等に応じて適宜な配置角度とすることができる。
(粘着剤層)
各光学層の積層や、光学フィルムの画像表示セルへの貼り合わせは接着層を介して行うことができるが、特に取り扱いの容易性等からは、感圧接着剤、すなわち粘着剤層を介して積層することが好ましい。粘着剤層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性等に優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や画像表示セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示表示装置の形成性等の点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
(離型フィルム)
また、上記粘着剤層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に離型フィルム(セパレータ)が仮着されてカバーすることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層に接触することを防止できる。離型フィルムとしては、上記厚み条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したもの等の、従来に準じた適宜なものを用いうる。
[画像表示パネルの形成方法]
本発明の画像表示パネルの形成にあたっては、前記偏光板110を、複屈折層31側主面が画像表示セル10と対向するように、第2の接着層62を介して貼り合わせる。第2の接着層は特に限定されず、各種の接着剤を用いて形成することができるが、特に取り扱いの容易性等からは、感圧接着剤、すなわち粘着剤層を介して積層することが好ましい。粘着剤としては、前記したものを好適に用いることができる。
かかる粘着剤層は、偏光板110の複屈折層31側主面、画像表示セル10の基板11(又は12)側主面のいずれに付設してもよいが、ハンドリング性の観点からは、偏光板110側に付設することが好ましい。画像表セルルは一般に可撓性を有さないのに対して、偏光板等のフィルムは可撓性を有しているため、取り扱いが容易となるからである。
偏光板と画像表示セルの積層は上記の接着層を用いて各種公知の方法で行うこともできる。ところで、上記の偏光板110は、偏光子21の一方主面に複屈折層31、他方主面に透明フィルム51を有しており、偏光子の表裏で層構造が異なるため、偏光子に付与される外部応力がフィルムの表裏で異なる場合がある。この外部応力の差によって、フィルムは湾曲性を有しやすい。このように湾曲しやすいフィルムは、従来の製造工程では、画像表示装置に加工することが困難となる場合がある。
従来の画像表示パネルの形成においては、偏光板を長尺(帯状)のシート状製品のロール原反として製造したものを、所定サイズ(画像表示セルのサイズに従ったサイズ)に切り出し、これをパネルメーカーにおいて画像表示セルに貼り合わせることが一般に行われている。このような従来の製造工程を、湾曲しやすいフィルムに適用した場合、偏光板がロール状で存在する状態においては、搬送ライン間に掛け渡されているために、その張力によって湾曲挙動が抑制されているものの、これを画像表示セルのサイズと合致するように切り出すと、偏光板の湾曲挙動を抑制していた張力が開放されるため、湾曲が生じ、ハンドリングが困難となる場合がある。
このようなハンドリングの困難性を解消する観点において、本発明の画像表示パネルは、長尺のロール状に形成された偏光板110を、張力の存在下で繰り出しながら連続的に画像表示セルと貼り合せる連続方式により形成することが好ましい。このように、ロール状の偏光板を切り出す工程と、画像表示セルへの貼り合わせを1箇所で連続的に行うことによって、偏光板の湾曲が抑制され、ハンドリングの問題を解決し得る。
このような製造方法の一例においては、図3に示すように、偏光板110の複屈折層31側に第2の接着層62と離型フィルム14とを有することが好ましい。また、接着層62としては、粘着剤層が好ましい。このような積層構造を有する接着層付きの長尺偏光板を準備し、続く切断工程においては、これを連続的に繰り出して、レーザ装置やカッター等の切断手段を用いて離型フィルム14を切断せずに偏光板110及び第2の接着層62を所定サイズに切断する。これにより、離型フィルム14を切断せずに偏光板110と接着層62を切断することができる。よって、搬送張力が付与された状態の離型フィルム14上に接着層62を介して偏光板110が形成されたままであるため、偏光板の湾曲が抑制される。
次いで、切断工程後に、離型フィルム14を除去しながら、偏光板110を接着層62を介して画像表示セル10に貼り合わせる。このような工程を経ることによって、離型フィルム14を剥離して偏光板110の湾曲が抑制された状態で、偏光板110と画像表示セル10とを貼り合わせることが可能となる。
さらに、このような方法によれば、従来、偏光板を製造するメーカで行っていた長尺偏光板からの切り出しと、パネルメーカーで行っていた画像表示セルへの貼り合わせを、1箇所で連続的に行うことによって、クリーン包装や輸送梱包、梱包解体等の作業が不要となるため、生産性向上のみならず、コスト削減にも寄与し得る。
[画像表示装置]
このようにして得られた画像表示パネルは、必要に応じて駆動回路等を組み込むことによって画像表示装置とすることができる。また、画像表示装置が透過型液晶表示装置である場合には、一般に光源も組み込まれる。かかる光源としては、直下型バックライト、サイドライト型バックライト、面状光源等を用いることができる。さらに、画像表示装置の形成に際しては、例えば拡散層、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板等の適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
このようにして得られた画像表示装置は、従来の画像表示装置と同様に、任意の適切な用途に使用し得る。特に本発明の画像表示装置は、その構成に起因して、パネルの反りが小さく、耐久性に優れるため、高温多湿等の環境に曝されることが多い表示機器にも好適に採用することができる。その用途は、例えば、パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等が挙げられる。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例、参考例、及び比較例の評価は、下記の方法により行ったものである。
[測定、評価方法]
(厚み)
厚みは、15μmを超えるものについては、ダイヤルゲージ[PEACLCK社製 商品名「DG−205」]、15μm以下のものについては、干渉式の厚み計[大塚電子社製 商品名「MCPD3000」]により測定した。
(レターデーション)
自動複屈折測定装置[王子計測機器社製 商品名「KOBRA21ADH」)を用い、測定波長590nmにおける正面方向及びフィルムを遅相軸中心で40°傾けた際のレターデーションを測定し、これらの値から、面内屈折率が最大となる方向、それと垂直な方向、フィルムの厚さ方向それぞれの屈折率nx、ny、nzを算出した。これらの値及び厚み(d)から、面内レターデーション:(nx−ny)×d、厚み方向レターデーション:(nx−nz)×d、を求めた。なお、実施例1〜3における複屈折層のレターデーションの測定に際しては、基材の有する複屈折の影響を排除するため、複屈折層を基材から剥離し、粘着剤を用いてガラス板上に転写することによりおこなった。
(色相)
液晶表示装置の色相を、[ELDIM社製の商品名「EZ−Contrast」]を用いて測定した。その後、表示装置を60℃、湿度90%の環境試験器中に500h保持した後、室温環境に戻して色相を再度測定し、色相変化を評価した。
(パネルの反りの測定)
液晶パネルを、80℃の空気循環式恒温オーブン中に500時間保持した後、室温に戻した。液晶パネルの主面が鉛直方向に沿い、かつ液晶パネルの矩形の長辺方向が水平となるように壁に立て掛け、その最大凸高さ(壁からのパネルまでの最大距離)をJIS1級の金尺を用いて測定した。
[実施例1]
(偏光子の作製)
平均重合度2700、厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを周速の異なるロール間で染色しながら延伸搬送した。まず、30℃の水浴中に1分間浸漬させてポリビニルアルコールフィルムを膨潤させつつ搬送方向に1.2倍に延伸した後、30℃のヨウ化カリウム濃度0.03重量%、ヨウ素濃度0.3重量%の水溶液中で1分間浸漬することで、染色しながら、搬送方向に、全く延伸していないフィルム(原長)を基準として3倍に延伸した。次に、60℃のホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%の水溶液中に30秒間浸漬しながら、搬送方向に、原長基準で6倍に延伸した。次に、得られた延伸フィルムを70℃で2分間乾燥することで偏光子を得た。なお、偏光子の厚みは30μm、水分率は14.3重量%であった。
(複屈折層の作製)
機械式攪拌装置、ディーンスターク装置、窒素導入管、温度計及び冷却管を取り付けた反応容器(500mL)内に2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物[クラリアントジャパン(株)製]17.77g(40mmol)、及び2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル[和歌山精化工業(株)製]12.81g(40mmol)を加えた。続いて、イソキノリン2.58g(20mmol)をm−クレゾール275.21gに溶解させた溶液を加え、23℃で1時間攪拌して(600rpm)均一な溶液を得た。次に、反応容器を、オイルバスを用いて反応容器内の温度が180となるように加温し、温度を保ちながら5時時間攪拌して黄色溶液を得た。更に3時間攪拌を行ったのち、加熱及び攪拌を停止し、放冷して室温に戻すと、ポリマーがゲル状となって析出した。
上記反応容器内の黄色溶液にアセトンを加えて上記ゲルを完全に溶解させ、希釈溶液(7重量%)を作製した。この希釈溶液を、2Lのイソプロピルアルコール中に攪拌を続けながら少しずつ加えると、白色粉末が析出した。この粉末を濾取し、1.5Lのイソプロピルアルコール中に投入して洗浄した。さらにもう一度同様の操作を繰り返して洗浄した後、前記粉末を再び濾取した。これを60℃の空気循環式恒温オーブンで48時間乾燥した後、150℃で7時間乾燥して、下記式(6)のポリイミド粉末を得た(収率85%)。上記ポリイミドの重合平均分子量(Mw)は124,000、NMRにより求めたイミド化率は99.9%であった。
上記ポリイミド粉末をシクロヘキサノンに溶解し、15重量%のポリイミド溶液を調製した。この溶液を、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム[富士フィルム製 商品名「フジタックTD80UL」]に、コンマコーターより35μmの塗布厚みで一方向に塗布した。次に、100℃の空気循環式乾燥オーブン中で10分間乾燥して溶剤を蒸発させ、厚み約4.8μmの薄膜を得た。得られたフィルムを160℃で1.1倍に固定端1軸延伸し、厚み4.4μmの二軸プレート(ポリイミド複屈折層)を得た。この複屈折層の面内レターデーションは54nm、厚み方向レターデーションは274nmであった。
(接着剤の調製)
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度1200、ケン化度98.5%モル%、アセトアセチル基変性度5モル%)100重量部に対して、メチロールメラミン50重量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度3.7重量%の水溶液を調製した。この水溶液100重量部に対して、正電荷を有するアルミナコロイド(平均粒子径15nm)を固形分濃度10重量%で含有する水溶液18重量部を加えて金属コロイド含有接着剤水溶液を調製した。接着剤溶液の粘度は9.6mPa・sであり、pHは4〜4.5の範囲であり、アルミナコロイドの配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して74重量部であった。
なお、アルミナコロイドの平均粒子径は、粒度分布計(日機装製、製品名「ナノトラックUAP150」により、動的光散乱法(光相関法)により測定したものである。
(偏光板の作製)
上記偏光子の一方主面に上記のポリイミド複屈折層を、他方主面に厚み75μmの二軸延伸ポリエステルフィルム[東レ社製 商品名「ルミラー S10」]を、上記ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。なお、ポリイミド層は基材が積層されたままの状態で偏光子と貼り合わせた後に基材を除去した。このようにして得られた偏光板の厚みは109μmであった。
(液晶パネル及び液晶表示装置の作製)
VAモードの液晶セルを備える32インチの液晶テレビ[ソニー社製 商品名「BRAVIA 32S2500」]から液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた偏光板を取り除いて、該液晶セルのガラス面(表裏)を洗浄した。続いて、上記液晶セルのバックライト側主面に、上記のポリイミド複屈折層を備える偏光板を厚み20umのアクリル系粘着剤層を介して、貼り合せた。液晶セルの視認側には、偏光子の両側にトリアセチルセルロースフィルムが積層された市販の偏光板[日東電工社製 商品名 「NPF SEG1423」を厚み20umのアクリル系粘着剤層を介して貼り合せた。なお、偏光板の貼り合わせに際しては、元の液晶パネルにおいて備えられていた偏光板と吸収軸の配置角度が同様となるように配置した。
[実施例2]
上記実施例1の偏光板の作製において、厚み75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを用いる代わりに、上記ポリイミド複屈折層の作製において用いたのと同様のトリアセチルセルロースフィルム[富士フィルム製 商品名「フジタックTD80UL」]を用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板を作製した。得られた偏光板の厚みは114μmであった。この偏光板を用いて、上記実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
[実施例3]
(複屈折層の作製)
攪拌装置を備えた反応容器中、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン2.70g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.06gを1M水酸化ナトリウム溶液25mlに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライドとイソフタル酸クロライドの混合物2.03gを30mlのクロロホルムに溶解させた溶液を攪拌しながら一度に加え、室温で90分間攪拌した。その後、重合溶液を静置分離してポリマーを含んだクロロホルム溶液を分離し、ついで酢酸水で洗浄し、イオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾過し、減圧下で乾燥することで、下記式(I)の白色ポリエステル粉体ポリマー3.41g(収率92%)を得た。
上記ポリエステル粉末をシクロペンタノンに溶解し、15重量%のポリエステル溶液を調製した。この溶液を、ノルボルネン系樹脂フィルム[日本ゼオン社製 商品名「ゼオノアフィルム]に、コンマコーターより40μmの塗布厚みで一方向に塗布した。次に、100℃の空気循環式乾燥オーブン中で10分間乾燥して溶剤を蒸発させ、厚み約7.0μmの薄膜を得た。得られたフィルムを160℃で1.2倍に固定端1軸延伸し、厚み5.7μmの二軸プレート(ポリエステル複屈折層)を得た。この複屈折層の面内レターデーションは60nm、厚み方向レターデーションは268nmであった。
(偏光板、液晶パネル、液晶表示装置の作製)
上記実施例1の偏光板の作製において、ポリイミド複屈折層を用いる代わりに、上記ポリエステル複屈折層を用いた以外は実施例1と同様にして、偏光板を作製した。得られた偏光板の厚みは111μmであった。これを光源側偏光板として用いて、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
[比較例1]
(偏光板の作製)
実施例1と同様のポリイミド粉末をシクロヘキサノンに溶解し、15重量%のポリイミド溶液を調製した。この溶液を、トリアセチルセルロースフィルム[富士フィルム社製 商品名「フジタックTD80UL」]に、コンマコーターより20μmの塗布厚みで一方向に塗布した。次に、100℃の空気循環式乾燥オーブン中で10分間乾燥して溶剤を蒸発させ、厚み約3.0μmの薄膜を得た。得られたフィルムを160℃で1.2倍に固定端1軸延伸した。このトリアセチルセルロースフィルム上にポリイミド複屈折層が形成された延伸フィルムの厚みは67μmであった。これを、セルロースフィルム側がガラスと対向するように粘着剤を用いてガラス板に貼り合わせてレターデーションを測定したところ、面内レターデーションは52nm、厚み方向レターデーションは270nmであった。
(偏光板、液晶パネル、液晶表示装置の作製)
実施例1の偏光板の作製において、ポリイミド複屈折層を用いる代わりに、上記のトリアセチルセルロースフィルム上にポリイミド複屈折層が形成された延伸フィルムの、トリアセチルセルロースフィルム側の面が偏光子と対向するように接着剤を介して偏光子と貼り合せた以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板の厚みは172μmであった。これを光源側偏光板として用いて、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
[評価]
実施例2及び比較例1の液晶表示装置の60℃、湿度90%の加熱・加湿試験前後での色相を図4及び図5に示す。図4及び図5のそれぞれにおいて、(a)、(b)は、加熱・加湿試験前の色度を表し、(c)、(d)は、試験後の色度を表す。また、(a)、(c)は、方位角45°(視認側偏光板の吸収軸方向に対して45°の方向)において、極角を0〜80°まで変化させた際の色度(x、y)をプロットしたものであり、(b)、(d)は、極角60°において、方位角を0〜360°まで変化させた際の色度をプロットしたものである。
図4(実施例1)の(a)と(c)、(b)と(d)をそれぞれ対比すると、加熱・加湿試験の前後での色相の変化が小さいのに対して、図5(比較例1)の(a)と(c)、(b)と(d)をそれぞれ対比すると、加熱・加湿試験の前後での色相の変化(カラーシフト)が大きいことがわかる。また、図4においても、試験前後で若干の色相変化が見られるものの、カラーシフトの方向が略同じであるため、その変化が認識され難い。一方、図5においては、試験前後でのカラーシフトの方向が異なっているため、その変化が目立ち易い。
また、80℃の加熱試験後のパネルの反りは、実施例1が.1.5mm、比較例1が4.5mmであり、本願の構成により、パネルの反りが小さくなっていることが分かる。
本願のように、偏光子と画像表示セルの間に複屈折層とは別体として設けられた保護フィルムを有していない構造により、温度や湿度等の外部環境に伴う特性変化が小さく、かつ、パネルの反りが抑制された画像表示パネルが得られることがわかる。
本発明の画像表示パネルの一実施形態を表す概略断面図である。 本発明の画像表示パネルの一実施形態を表す概略断面図である。 接着層および離型フィルムを有する偏光板の積層構造を表す概略断面図である。 実施例1の液晶表示装置の加熱・加湿試験前後での色相を示す図である。(a)、(b)は、加熱・加湿試験前(c)、(d)は試験後を表す。(a)、(c)は、方位角45°方向、(b)、(d)は、極角60°における色度変化に対応している。 比較例1の液晶表示装置の加熱・加湿試験前後での色相を示す図である。(a)、(b)は、加熱・加湿試験前(c)、(d)は試験後を表す。(a)、(c)は、方位角45°方向、(b)、(d)は、極角60°における色度変化に対応している。
符号の説明
10 画像表示セル(液晶セル)
11、12 基板
13 表示媒体(液晶層)
14 離型フィルム
21 偏光子
31 複屈折層
41 偏光子
51、52 透明フィルム
61、62、63 接着層
100 画像表示パネル(液晶パネル)
110、120 偏光板

Claims (9)

  1. 画像表示セルの少なくとも一方主面に偏光板が貼り合わされており、
    該偏光板は、透明フィルムと、偏光子と、厚み15μm以下の複屈折層とをこの順に有し、かつ、該偏光子と該複屈折層とが第1の接着層を介して積層されており、
    該画像表示セルと該偏光板は、偏光板の複屈折層側主面が画像表示セルと対向するように、第2の接着層を介して貼り合わせられている画像表示パネル。
  2. 前記複屈折層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群より選択される1以上の非晶性ポリマーを含有する、請求項1記載の画像表示パネル。
  3. 前記複屈折層が、液晶性化合物を含有する、請求項1記載の画像表示パネル。
  4. 前記複屈折層が、コーティングにより形成されたものである、請求項1〜3のいずれか記載の画像表示パネル。
  5. 前記複屈折層の面内の主屈折率をnx、nyとし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、屈折率分布がnx≧ny>nzである、請求項1〜4のいずれか記載の画像表示パネル。
  6. 前記画像表示セルが、液晶セルである、請求項1〜5のいずれか記載の画像表示パネル。
  7. 前記液晶セルが、VAモードの液晶セルである、請求項6記載の画像表示パネル。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載の画像表示パネルを製造する方法であって、
    前記偏光板の長尺シートをロール原反として準備するロール原反準備工程と、
    該ロール原反からシート製品を繰り出し、切断手段を用いて前記偏光板を所定サイズに切断する切断工程と、
    該切断工程後に、前記偏光板を接着層を介して画像表示セルに貼り合わせる貼合工程と、
    を有する、画像表示パネル製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか記載の画像表示パネルを有する、画像表示装置。
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