JP2009280922A - サテン織物 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた形態安定性を有し、ムレ感や静電気の発生が少なく、表面がソフトで清涼感に優れ、高級感のある光沢と鮮明な発色性を呈するサテン織物を提供する。
【解決手段】経糸及び緯糸に公定水分率が2〜8%のセルロース系フィラメント糸、好ましくはセルロースアセテートフラメント糸を用いて構成したサテン織物。優れた形態安定性を有し、ムレ感や静電気の発生が少なく、表面がソフトで清涼感に優れ、高級感のある光沢と鮮明な発色性を呈し、このサテン織物は、衣料用素材、特に婦人ドレス素材として極めて有用なるものである。
【選択図】なし
【解決手段】経糸及び緯糸に公定水分率が2〜8%のセルロース系フィラメント糸、好ましくはセルロースアセテートフラメント糸を用いて構成したサテン織物。優れた形態安定性を有し、ムレ感や静電気の発生が少なく、表面がソフトで清涼感に優れ、高級感のある光沢と鮮明な発色性を呈し、このサテン織物は、衣料用素材、特に婦人ドレス素材として極めて有用なるものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、サテン織物に係わり、さらに詳しくは快適な着用感と高級感に富んだサテン織物に関する。
サテン織物は、経糸が高密度に配置され緯糸が殆ど隠れた組織の織物であり、表面が光沢感、肌触り感に富む織物であり、近年は経糸にポリエステルフィラメント糸を用いてなるサテン織物が、イージィケア性に優れ、またファッション性にも優れた織物として知られているが、このサテン織物には、ポリエステルフィラメント糸のワキシーな風合い、低吸湿性からくるムレ感や静電気発生、屈折率が高いことからくる金属感のある光沢があり、また鮮明な発色性に欠ける等の問題がある。
かかる問題を解決する方策として、改質したポリエステルマルチフィラメントを用いた捲縮仮撚加工やアルカリ減量を施すことが考えられる(引用文献1、2)が、低吸湿性からくるムレ感や静電気発生があり、優れた清涼感は得られていない。またポリエステルフィラメント糸に代えてレーヨンフィラメント糸を用いることが考えられるが、通常のレーヨンフィラメント糸は、水膨潤性が高いことにより、収縮が大きく洗濯収縮、形態安定性、湿潤堅牢度等の問題や保水性が高く乾燥速度が遅い等の問題、さらにはウオータージェットによる製織が困難で製織コストの面でも不利である等の問題がある。
本発明の目的は、優れた形態安定性を有し、ムレ感や静電気の発生が少なく、表面がソフトで清涼感に優れ、高級感のある光沢と鮮明な発色性を呈するサテン織物を提供することにある。
本発明の要旨は、経糸及び緯糸に公定水分率が2〜8%のセルロース系フィラメント糸を用いてなるサテン織物にある。
本発明によれば、ムレ感や静電気の発生が少なく、表面がソフトで清涼感に優れ、高級感のある光沢と鮮明な発色性を呈する、衣料用途に好適なサテン織物を得る。
本発明のサテン織物は、その経糸及び緯糸に公定水分率が2〜8%、好ましくは3〜7%のセルロース系フィラメント糸を用いることが必要である。セルロース系フィラメント糸であっても、公定水分率が2%未満では、静電気の発生、ムレ感が生じ、また公定水分率が8%を超えると、水膨潤性が大きく洗濯収縮、形態安定性、湿潤堅牢度等の問題や乾燥速度が遅い等の問題を生じる。
公定水分率が2〜8%のセルロース系フィラメント糸は、セルロースを基本ポリマーととし繊維、即ちセルロース或いはその誘導体を原料とした再生繊維或いは半合成繊維からなるフィラメント糸であって、公定水分率が2〜8%のフィラメント糸であれば、その繊維の製造方法、種類、単繊維繊度、繊維断面形状等には特に限定はないが、染色したときの鮮明性、発色性、光沢、清涼感、セット性等の点から、セルロースアセテート繊維からなるフィラメント糸が好ましいものとして挙げられ、より具体的には公定水分率3.5%のセルローストリアセテート繊維、公定水分率6.5%のセルロースジアセテート繊維からなるフィラメント糸が挙げられる。
本発明のサテン織物において、経糸及び緯糸として用いるセルロース系フィラメント糸の繊度は、布強度、目付、布厚、ドレープ性の点から、好ましくは56〜167dtex、より好ましくは84〜110dtexである。本発明のサテン織物における緯糸としては、繊維の種類、形態、水分率等に特に限定はないが、セルロースアセテート系フィラメント糸が、染色した時の鮮明性、発色性、光沢。清涼感、セット性の更なる向上の点から好ましく、また、ポリエステルフィラメント仮撚加工糸とセルロースアセテート系フィラメント糸との仮撚加工糸での加撚方向とは逆方向に撚った合撚糸が、仮撚加工糸の解撚トルクによる膨らみ感の発生、両糸間の収縮差による合撚糸表面へのセルロースアセテート系フィラメント糸の顕出の点から、好ましく用いられる。
本発明のサテン織物は、5〜8枚サテン織物、バックサテン梨地織物、サテン面を織物の片面或いは両面に有するサテン織物等があり、経糸が高密度に配されて形成されたいわゆるサテン面を有し、かつサテン面を活用するための織物であれば特にサテン織物の種類には限定はないが、衣料用に適した目付が得られ易い点から、5〜8枚サテン織物であることが好ましい。なお、枚は織物組織の経糸、緯糸の1リピートの本数で、例えば5枚サテン織物とは1リピートが経糸、緯糸とも5本あるものである。
また、本発明のサテン織物において、経糸のカバーファクター(√dtex×本/吋)は、サテン面における経糸の公定水分率が2〜8%のセルロース系フィラメント糸の特徴を有効に発揮させるうえから、好ましくは1300〜4000、より好ましくは1500〜3600である。緯糸のカバーファクター(√dtex×本/吋)は、経糸のカバーファクターを保持する範囲で設定すればよい。
本発明のサテン織物の製織方法、使用する織機についても特に限定はないが、ウォータージェットによる製織によって生産コストでも有利に本発明のサテン織物を得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例において、洗濯収縮率は、JIS L1096 F−1法(低温ワッシャー法)に準拠して測定し、またそのときの外観変化を目視で判定した。
(実施例1)
経糸として、公定水分率3.5%のセルローストリアセテートフィラメント糸(ブライト84dtex/20フィラメント(f))にS方向に350回/mの撚りを加え、サイジングしたものを用いた。緯糸として、ポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(三角断面セミダル110dtex/72f)の捲縮仮撚加工糸1本と公定水分率3.5%のセルローストリアセテートフィラメント糸(ブライト110dtex/64f)1本とを2000回/mの撚りを加えS撚りとZ撚りの合撚糸をそれぞれ作成した。製織にはウォータージェット織機を用い、緯糸としてS撚り合撚糸とZ撚り合撚糸を1本交互に打ち込み、組織は表3飛びの5枚サテンで製織した。
経糸として、公定水分率3.5%のセルローストリアセテートフィラメント糸(ブライト84dtex/20フィラメント(f))にS方向に350回/mの撚りを加え、サイジングしたものを用いた。緯糸として、ポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(三角断面セミダル110dtex/72f)の捲縮仮撚加工糸1本と公定水分率3.5%のセルローストリアセテートフィラメント糸(ブライト110dtex/64f)1本とを2000回/mの撚りを加えS撚りとZ撚りの合撚糸をそれぞれ作成した。製織にはウォータージェット織機を用い、緯糸としてS撚り合撚糸とZ撚り合撚糸を1本交互に打ち込み、組織は表3飛びの5枚サテンで製織した。
得られた生機を常法により精錬、分散染料による黒色の染色加工、仕上加工を行い、経糸密度285本/吋、緯糸密度68本/吋に仕上げた。このときの経糸のカバーファクター(√dtex×本/吋)は、2612であった。得られたサテン織物は、ソフトな風合いで膨らみ感があり、セルローストリアセテートフィラメント糸に由来する爽やかな感触のものであり、また優雅な光沢と深みのある発色性に優れた黒が得られ、ドレープ性にも優れた高級感のあるものであった。また得られたサテン織物は、洗濯収縮率がタテ−0.9%、ヨコ−0.8%で、外観変化も4−5級で、形態安定性に優れるものであった。
(比較例1)
実施例1において、経糸をポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(三角断面ブライト84dtex/36f)に代え、緯糸をポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(円形断面ブライト110dtex/72f)に代えた以外は、実施例1と同様に製織し、染色して同じ経糸及び緯糸密度に仕上げてサテン織物を得た。得られたサテン織物は、硬い風合いでワキシーで光沢が強く、高級感に欠け、黒の鮮明性、発色性、ドレープ性、爽やかさにも欠けるものであった。
実施例1において、経糸をポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(三角断面ブライト84dtex/36f)に代え、緯糸をポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(円形断面ブライト110dtex/72f)に代えた以外は、実施例1と同様に製織し、染色して同じ経糸及び緯糸密度に仕上げてサテン織物を得た。得られたサテン織物は、硬い風合いでワキシーで光沢が強く、高級感に欠け、黒の鮮明性、発色性、ドレープ性、爽やかさにも欠けるものであった。
(実施例2)
経糸として、公定水分率3.5%のセルローストリアセテートフィラメント糸(ブライト61dtex/15f)にS方向に600回/mの撚りを加え、サイジングしたものを用いた。緯糸として、公定水分率3.5%のセルローストリアセテートフィラメント糸(ブライト50dtex/34f)1本とポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(円形断面セミダル22dtex/12f)1本とを2000回/mの撚りを加えS撚りとZ撚りの合撚糸をそれぞれ作成した。製織にはウォータージェット織機を用い、緯糸としてS撚り合撚糸とZ撚り合撚糸を1本交互に打ち込み、組織は表3飛びの5枚サテンで製織した。
経糸として、公定水分率3.5%のセルローストリアセテートフィラメント糸(ブライト61dtex/15f)にS方向に600回/mの撚りを加え、サイジングしたものを用いた。緯糸として、公定水分率3.5%のセルローストリアセテートフィラメント糸(ブライト50dtex/34f)1本とポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(円形断面セミダル22dtex/12f)1本とを2000回/mの撚りを加えS撚りとZ撚りの合撚糸をそれぞれ作成した。製織にはウォータージェット織機を用い、緯糸としてS撚り合撚糸とZ撚り合撚糸を1本交互に打ち込み、組織は表3飛びの5枚サテンで製織した。
得られた生機を実施例1と同様に精錬、分散染料による黒色の染色加工、仕上加工を行い、経糸密度248本/吋、緯糸密度120本/吋に仕上げた。このときの経糸のカバーファクター(√dtex×本/吋)は、1937であった。得られたサテン織物は、ソフトな風合いで膨らみ感があり、セルローストリアセテートフィラメント糸に由来する爽やかな感触のものであり、また優雅な光沢と深みのある発色性に優れた黒が得られ、ドレープ性にも優れた高級感のあるものであった。また得られたサテン織物は、洗濯収縮率も0%に近く、外観変化も殆どなく、形態安定性に優れるものであった。洗濯収縮率がタテ0%、ヨコ−1%で、外観変化も4〜5級で、形態安定性に優れるものであった。
(実施例3)
経糸として、公定水分率6.5%のセルロースジアセテートフィラメント糸(ブライト84dtex/21f)無撚りでサイジングしたものを用いた。緯糸として、公定水分率6.5%のセルロースジアセテートフィラメント糸(ブライト135dtex/32f)を無撚りで用いた。製織にはウォータージェット織機を用い、組織は表3飛びの5枚サテンで製織した。得られた生機を実施例1と同様に精錬、分散染料による黒色の染色加工、仕上加工を行い、経糸密度282本/吋、緯糸密度89本/吋に仕上げた。このときの経糸のカバーファクター(√dtex×本/吋)は、2585であった。得られたサテン織物は、ソフトな風合いで膨らみ感があり、セルロースジアセテートフィラメント糸に由来する爽やかな感触のものであり、また優雅な光沢と深みのある発色性に優れた黒が得られ、ドレープ性にも優れた高級感のあるものであった。また得られたサテン織物は、洗濯収縮率がタテ1.1%、ヨコ1.0%で、外観変化も殆ど認めらず、形態安定性に優れるものであった。外観変化も4〜5級で、形態安定性に優れるものであった。
経糸として、公定水分率6.5%のセルロースジアセテートフィラメント糸(ブライト84dtex/21f)無撚りでサイジングしたものを用いた。緯糸として、公定水分率6.5%のセルロースジアセテートフィラメント糸(ブライト135dtex/32f)を無撚りで用いた。製織にはウォータージェット織機を用い、組織は表3飛びの5枚サテンで製織した。得られた生機を実施例1と同様に精錬、分散染料による黒色の染色加工、仕上加工を行い、経糸密度282本/吋、緯糸密度89本/吋に仕上げた。このときの経糸のカバーファクター(√dtex×本/吋)は、2585であった。得られたサテン織物は、ソフトな風合いで膨らみ感があり、セルロースジアセテートフィラメント糸に由来する爽やかな感触のものであり、また優雅な光沢と深みのある発色性に優れた黒が得られ、ドレープ性にも優れた高級感のあるものであった。また得られたサテン織物は、洗濯収縮率がタテ1.1%、ヨコ1.0%で、外観変化も殆ど認めらず、形態安定性に優れるものであった。外観変化も4〜5級で、形態安定性に優れるものであった。
(比較例2)
実施例3において、経糸を公定水分率11%のビスコースレーヨンフィラメント糸(ブライト84dtex/24f)に代え、緯糸を公定水分率11%のビスコースレーヨンフィラメント糸(ブライト133dtex/40f)に代えた以外は、実施例3と同様に製織し、同じ経糸及び緯糸密度に仕上げてサテン織物を得た。得られたサテン織物は、洗濯収縮率がタテ4%、ヨコ3%で、外観変化も1級で、形態安定性に劣るものであった。
実施例3において、経糸を公定水分率11%のビスコースレーヨンフィラメント糸(ブライト84dtex/24f)に代え、緯糸を公定水分率11%のビスコースレーヨンフィラメント糸(ブライト133dtex/40f)に代えた以外は、実施例3と同様に製織し、同じ経糸及び緯糸密度に仕上げてサテン織物を得た。得られたサテン織物は、洗濯収縮率がタテ4%、ヨコ3%で、外観変化も1級で、形態安定性に劣るものであった。
本発明のサテン織物は、ムレ感や静電気の発生が少なく、表面がソフトで清涼感に優れ、高級感のある光沢と鮮明な発色性を呈し、広く衣料用素材として極めて有用なるものである。特に、本発明のサテン織物は、そのドレープ性、高級感のある発色性等からフォーマルドレス等の婦人ドレス用途に極めて好適なるものである。
Claims (2)
- 経糸及び緯糸に公定水分率が2〜8%のセルロース系フィラメント糸を用いて構成したサテン織物。
- 公定水分率が2〜8%のセルロース系フィラメント糸が、セルロースアセテート繊維からなるフィラメント糸である請求項1に記載のサテン織物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008131548A JP2009280922A (ja) | 2008-05-20 | 2008-05-20 | サテン織物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008131548A JP2009280922A (ja) | 2008-05-20 | 2008-05-20 | サテン織物 |
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JP2009280922A true JP2009280922A (ja) | 2009-12-03 |
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JP2008131548A Withdrawn JP2009280922A (ja) | 2008-05-20 | 2008-05-20 | サテン織物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018184675A (ja) * | 2017-04-25 | 2018-11-22 | 三菱ケミカル株式会社 | 清涼感に優れた織編物 |
-
2008
- 2008-05-20 JP JP2008131548A patent/JP2009280922A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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JP2018184675A (ja) * | 2017-04-25 | 2018-11-22 | 三菱ケミカル株式会社 | 清涼感に優れた織編物 |
JP7062881B2 (ja) | 2017-04-25 | 2022-05-09 | 三菱ケミカル株式会社 | 清涼感に優れた織編物 |
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