JP2009279582A - 複合半透膜の製造方法 - Google Patents

複合半透膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009279582A
JP2009279582A JP2009104724A JP2009104724A JP2009279582A JP 2009279582 A JP2009279582 A JP 2009279582A JP 2009104724 A JP2009104724 A JP 2009104724A JP 2009104724 A JP2009104724 A JP 2009104724A JP 2009279582 A JP2009279582 A JP 2009279582A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
composite semipermeable
water
chlorine dioxide
functional layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009104724A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5126155B2 (ja
Inventor
Takao Sasaki
崇夫 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2009104724A priority Critical patent/JP5126155B2/ja
Publication of JP2009279582A publication Critical patent/JP2009279582A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5126155B2 publication Critical patent/JP5126155B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

【課題】 高い溶質除去性と高い水透過性を有する複合半透膜を製造する。同時に、高い生産性を簡便かつ安全な方法によって実現しうる複合半透膜を製造する。
【解決手段】 微多孔性支持膜上に多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によるポリアミド分離機能層を設け、未反応物量を0.5g/m以下に低減した後、二酸化塩素と接触させて改質する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液状混合物から溶質成分を選択分離するために使用される高性能な複合半透膜を製造する方法に関する。特に、かん水や海水の脱塩処理に有用な高脱塩性と高透水性に加え、高耐久性をあわせ有する複合半透膜を製造するための方法に関する。
液状混合物の分離処理に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、溶媒の相変化を伴わないことや分離の駆動力となる加圧技術の進歩により、省エネルギー・省資源のためのプロセスとして膜分離法が広く利用されている。膜分離法に使用されている分離膜には、精密ろ過(MF)膜、限外ろ過(UF)膜、逆浸透(RO)膜などがある。さらに近年は、分離性能としては逆浸透(RO)膜と限外ろ過(UF)膜の境界に位置する、ルースRO膜やNF(Nano-Filtration)膜が開発され、例えば海水処理、カン水処理、有害物を含んだ水から飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、廃水処理、有価物の回収などに用いられてきた。
現在市販されている逆浸透膜、ルースRO膜、NF膜の多くは複合半透膜である。中でも、多官能アミンと多官能酸誘導体との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドからなる分離機能層を多孔性支持膜上に被覆して得られる複合半透膜は、透過性や選択分離性の高い逆浸透膜として広く用いられている。
ここで、複合半透膜の脱塩性能、透水性能を向上させるために、ポリアミド分離機能層を各種試薬で処理する方法が提案されている。例えば、アンモニアやアルキルアミン、アルコール類、塩酸、有機酸、または、無機塩による接触処理または浸漬処理が提案されている(特許文献1〜5参照)。これらの方法によって処理することで複合分離膜の性能を向上させることができるが、膜性能向上効果や、処理方法の作業性や安全性等において問題があり、より簡便で安全な処理方法でもって効率よく膜性能を向上させる技術が望まれている。
一方、界面重縮合によって形成された架橋芳香族ポリアミドの超薄層を過硫酸化合物水溶液で処理し、膜の耐酸化剤性を向上させる、複合半透膜の製造方法が提案されている(特許文献6参照)。しかし、この製造方法で膜を改質しても透水性能を十分に向上させることは困難であり、なお透水性能が低いという問題があった。
さらに、架橋芳香族ポリアミドからなる超薄膜を塩素含有水溶液に接触させる半透性複合膜の製造方法や、逆浸透分離素子を塩素含有水溶液で処理する逆浸透膜分離素子の処理方法が提案されている(特許文献7、8)。これは、遊離塩素を含む水溶液をポリアミドと接触させることによって性能を向上させるものであるが、遊離塩素は水中で不安定であるために反応の制御が難しい問題があった。
また、半透膜を長期間性能変化なしに保存するために好適な、二酸化塩素を含む水溶液と接触する保存方法が提案されている(特許文献9)。これはカビなどの微生物を繁殖させることなく、二酸化塩素と長時間接触させることによって性能を安定に保つものであるが、微生物の繁殖による性能変化を相殺する効果に止まっていた。
このように、従来の製造方法によって得られる複合半透膜は依然として問題があり、各種水処理においてより安定した運転性や簡易な操作性があり、さらに膜交換頻度の低減などによる低コスト追求や耐久性を備えることが求められている。
特表2000−504270号公報 特開平6−327953号公報 特開2000−237559号公報 特開2003−117360号公報 特開2003−117361号公報 特開平5−96140号公報 特開昭63−54905号公報 特開平7−80261号公報 特開昭62−234508号公報
本発明は、高い溶質除去性と高い水透過性を有し、かつ高い耐久性を有する複合半透膜を製造でき、同時に、高い生産性を簡便かつ安全な方法によって実現しうる複合半透膜を製造できる方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するための本発明は、微多孔性支持膜上での重縮合によりポリアミド分離機能層を形成し、二酸化塩素と接触させることによってポリアミド分離機能層を改質し、膜性能の向上を図るものであり、以下のとおり特定される。
(1)複合半透膜の製造方法であって、微多孔性支持膜上に多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によるポリアミド分離機能層を形成する工程、次いで、複合半透膜中の未反応物量を0.5g/m以下に低減する工程、その後、前記ポリアミド分離機能層を二酸化塩素と1秒〜24時間の間で接触させる改質処理工程を経ることを特徴とする複合半透膜の製造方法。
(2)前記改質処理工程が、前記ポリアミド分離機能層を二酸化塩素を含む溶液と接触させるものであり、前記二酸化塩素を含む溶液がpH6以上10以下の水溶液である、(1)に記載の複合半透膜の製造方法。
本発明の製造方法によれば、複合半透膜の改質による膜性能の向上、とりわけ透水性能の向上を、より簡便に安全な方法によって達成することができ、逆浸透膜による河川水からの浄水製造等において好適な性能を有する複合半透膜を製造することができる。
本発明における複合半透膜は、実質的に分離性能を有する分離機能層が、実質的に分離性能を有さない微多孔性支持膜上に被覆されてなり、該分離機能層は多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応によって得られる架橋ポリアミドからなるものである。ここで多官能アミンとしては、脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンとがあり、これらに含まれる少なくとも1つのアミン成分を用いる。
脂肪族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する脂肪族アミンであり、好ましくはピペラジン系アミンおよびその誘導体である。例えば、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,3,5−トリメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2,3,5−トリエチルピペラジン、2−n−プロピルピペラジン、2,5−ジ−n−ブチルピペラジンなどが例示され、性能発現の安定性から、特に、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジンが好ましい。
また、芳香族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミンであり、特に限定されるものではないが、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンなどがあり、そのN−アルキル化物としてN,N−ジメチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジエチルメタフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N−ジエチルパラフェニレンジアミンなどが例示され、性能発現の安定性から、特にメタフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好ましい。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物であり、上記アミンとの反応によりポリアミドを与えるものであれば特に限定されない。多官能酸ハロゲン化物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸の酸ハロゲン化物を用いることができる。酸ハロゲン化物の中でも、酸塩化物が好ましく、特に経済性、入手の容易さ、取り扱い易さ、反応性の容易さ等の点から、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロライドが好ましい。上記多官能酸ハロゲン化物は単独で用いることもできるが、混合物として用いてもよい。
多官能酸ハロゲン化物を溶解する有機溶媒としては、水と非混和性であり、かつ多孔性支持膜を破壊しない有機溶媒を用いることが好ましく、架橋ポリアミドの生成反応を阻害しないものであればいずれであっても良い。その代表例としては、液状の炭化水素、トリクロロトリフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられるが、オゾン層を破壊しない物質であることや入手のしやすさ、取り扱いの容易さ、取り扱い上の安全性を考慮すると、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、1−デセンなどの単体あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
次に、微多孔性支持膜上での重縮合によりポリアミド分離機能層を形成させて複合半透膜を製造するための好ましい方法について説明する。複合半透膜中の実質的に分離性能を有するポリアミド分離機能層は、例えば、前述の多官能アミンを含有する水溶液と、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する、水とは非混和性の有機溶媒溶液を用い、後述の微多孔性支持膜上で反応させることにより形成される。ここで、多官能アミンを含有する水溶液の濃度は、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜15重量%である。
多官能アミンを含有する水溶液や多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液には、両成分間の反応を阻害しないものであれば、必要に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸捕捉剤、界面活性剤、酸化防止剤等の化合物が含まれていてもよい。
本発明において、微多孔性支持膜は、ポリアミド分離機能層を支持するために使用される。微多孔性支持膜の構成は特に限定されないが、好ましい微多孔性支持膜としては、布帛により強化されたポリスルホン支持膜などを例示することができる。微多孔性支持膜の孔径や孔数は特に限定されないが、均一で微細な孔あるいは片面からもう一方の面まで徐々に大きな微細な孔を有していて、その微細孔の大きさは、その片面の表面が100nm以下であるような構造であることが好ましい。
本発明に使用する微多孔性支持膜としては、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造したものを使用することができる。
微多孔性支持膜に使用する素材は特に限定されず、例えば、ポリスルホン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル等のホモポリマーあるいはブレンドポリマー等が使用できるが、化学的、機械的、熱的に安定性の高い、ポリスルホンを使用するのが好ましい。具体的製法を次に例示する。ポリスルホンのジメチルホルムアミド(以降、DMFと略す)溶液を、密に織ったポリエステル織物あるいは不織布の上に略一定の厚さに塗布し、ドデシル硫酸ソーダ0.5重量%とDMF2重量%とを含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分に直径数10nm以下の微細な孔が形成された微多孔性支持膜を製造することができる。
微多孔性支持膜の表面に、多官能アミンを含有する水溶液を被覆させる際には、該水溶液が表面に均一にかつ連続的に被覆されるように、公知の塗布方法により、例えば、該水溶液を微多孔性支持膜表面にコーティングする方法や、微多孔性支持膜を該水溶液に浸漬する方法等で行えばよい。次いで、過剰に塗布された該水溶液を液切り工程により除去する。液切りの方法としては、例えば、膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法等がある。液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の全部あるいは一部を除去してもよい。その後、多官能アミンを含有する水溶液で被覆された微多孔性支持膜の上に、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布し、両成分の反応によりポリアミド分離機能層を形成させる。
塗布する有機溶媒溶液中における多官能酸ハロゲン化物の濃度は特に限定されないが、少なすぎると活性層であるポリアミド分離機能層の形成が不十分となり欠点になる可能性があり、多過ぎるとコスト面から不利になるため、有機溶媒溶液中で0.01〜1.0重量%程度が好ましい。反応後の有機溶媒の除去は、通常の方法、例えば空気吹きつけによる乾燥等で行うことができる。
そして、本発明では、上述の工程により調製されたポリアミド分離機能層を、二酸化塩素と接触させる工程により複合半透膜を得る。
ポリアミド分離機能層を二酸化塩素と接触させる方法は、ポリアミド分離機能層に二酸化塩素を直接吹き付ける方法やポリアミド分離機能層を二酸化塩素を含む水溶液に接触させる方法などが挙げられ、取り扱いやすさの点でポリアミド分離機能層を二酸化塩素を含む水溶液と接触させるのが好ましい。ポリアミド分離機能層を二酸化塩素を含む溶液と接触させる方法は特に限定されず、複合半透膜全体を二酸化塩素の水溶液中に浸漬しても良いし、水溶液をポリアミド分離機能層の少なくとも一部に塗布しても良く、ポリアミド分離機能層と二酸化塩素が接触するのであればよい。
二酸化塩素は、市販品のほか、2種類以上の化合物を混合して二酸化塩素を発生させる公知の方法、例えば、1)亜塩素酸水溶液と塩素ガスとの混合、2)亜塩素酸水溶液と次亜塩素酸水溶液との混合、3)亜塩素酸水溶液と無機酸との混合、4)塩素酸ナトリウムと無機酸との混合なども利用できる。二酸化塩素は遊離塩素と異なり、水と反応して次亜塩素酸を発生せず、アンモニアとの反応でクロラミンを発生しない特徴を持つ。つまり、ポリアミド分子中に存在するアミド、アミンと反応して窒素原子が塩素化されてさらに酸化が進んで膜の劣化を進める懸念のない化合物である。上記の二酸化塩素を発生させる方法で、不純物に遊離塩素を含む場合には、遊離塩素に対して十分量の活性水素が結合した窒素原子を持つ化合物を添加することが好ましい。活性水素が結合した窒素原子を持つ化合物とは、アンモニア、1級アミン、2級アミン、アミド化合物などが挙げられる。また、二酸化塩素は紫外線など光の照射を受けると分解し、遊離塩素を発生する。これを避けるために、ポリアミド分離機能層と二酸化塩素を含む溶液を照度10以下の遮光条件下で接触させることが好ましい。
二酸化塩素を含む溶液は、ポリアミドの加水分解防止と溶液の安定性の観点からpH2以上でポリアミド分離機能層と接触させる。pHが6以上の領域で性能向上の効果を大きく発揮し、その効果はpHが13以下の領域が好ましく、さらにpH10以下の領域が特に好ましい。pH13を超えると、ポリアミドの加水分解のために膜性能が低下する。
また、二酸化塩素に接触させる前に膜改質への効果を高めるため、ポリアミド分離機能層を洗浄水で洗浄して余分な未反応物(例えば芳香族系モノマー)や夾雑物を除去することが必要である。鋭意検討の結果、過剰な未反応物や夾雑物が一定量以上存在すると膜改質の効果が得られないことを見出した。これは、未反応物や夾雑物が後続の二酸化塩素との反応で新たな化合物を生じ、膜に残存するためと考えられる。この洗浄処理に用いる洗浄液としては、未反応物の抽出のために、水とアルコールの少なくとも一方を含むものであればよいが、非引火性という観点から水を含む洗浄液、即ち洗浄水を用いる。この洗浄水には、水の他に、アルコール等が含有されていてもよい。
また、洗浄水は、その粘性を下げ膜中の未反応物の抽出効果を高めるために、温度を50℃以上にする。好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。膜の種類にもよるが、洗浄液の温度を常温(25℃)で膜中の未反応物を抽出するには、通常約1日かかるので、洗浄時間短縮という観点からも洗浄液の温度を上げることが必要である。
この洗浄処理によって、膜中に含まれる未反応物を0.5g/m以下、好ましくは0.2g/m以下に低減させる。より好ましくは0.1g/m以下、さらに好ましくは0.07g/m 以下、特に好ましくは0.05g/m以下に低減させる。なお、未反応物量の測定は、例えば複合半透膜を10cm×10cmに切り出してエタノール50gに8時間浸漬し、エタノールに抽出された成分のクロマトグラフィーおよび質量分析で求められる。
上記洗浄処理によって、例えば1%二酸化塩素水溶液による処理時間を低減し、かつ性能向上の効果が大きくなる。反応時間は複合半透膜の生産性の観点から、1秒間以上、24時間以下であることが必要であるが、その範囲内で適宜濃度を調整することができる。
また、二酸化塩素との接触工程を施す複合半透膜が湿潤状態にないときは、処理前に水と必要な時間接触し十分な湿潤状態とすることが好ましい。ここで湿潤状態とは、被処理膜中に水を含有することであり、含水率(=膜中の水分量/膜の全重量)でもって定量的に表すことができる。有機化合物溶液による処理を施す際の複合半透膜の含水率は、5%以上が好ましく、さらに25%以上が好ましい。
本発明の方法における二酸化塩素との接触で得られた複合半透膜は、25℃、pH=6.5、濃度0.2重量%の塩化ナトリウム水溶液を0.5MPaの操作圧力で透過させたときの塩除去率が90%以上という構造の複合半透膜に対し、特に効果的であり、大幅な透水性能向上効果が得られる。この結果、優れた塩除去率とともに、透過水量が0.8m/m・日以上という優れた透水性能の複合半透膜とすることができる。
本発明で特定した処理を行って得られる複合半透膜は、溶媒と溶質とを分離するための逆浸透膜として用いられる。例えば、操作圧力0.1〜3.0MPaで逆浸透膜として用いることにより、原水中に含まれる無機物や有機物などの有害物質およびその前駆物質の除去を行うことができる。
このように逆浸透膜処理する時には、操作圧力を低くすると使用するポンプの容量が少なくなり電力費が低下する反面、膜が目詰まりしやすくなり透過水量が経時的に少なくなる傾向がある。逆に、操作圧力を高くすると前記の理由で電力費が増加し、透過水量が多くなる傾向がある。また、透過水量が高すぎると膜面のファウリングによる目詰まりを起こす可能性があり、低いとコスト高となる。したがって、濃度0.2重量%の塩化ナトリウム水溶液に相当する浸透圧を有するかん水を運転コストを抑えて安定運転を行うためには、操作圧力を0.1〜3.0MPaの範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0MPa、さらに好ましくは0.1〜1.0MPaの範囲内である。また、同様の理由から、透過水量の範囲を、0.5〜5.0m/m・dの範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0m/m・d、さらに好ましくは0.8〜2.0m/m・dの範囲内である。
また、効率的に供給水を処理して造水コストを下げるためには、原水供給量に対する透過水量の割合、すなわち回収率は80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらには90%以上が良い。ただし99.5%を超えると膜面のファウリングによる目詰まりを起こす可能性が高くなるので、99.5%を超えないことが好ましい。
なお、本発明において、複合半透膜の形態は限定されるものではなく、中空糸膜でも平膜でもよい。また、本発明により改質処理して得られる改質半透膜は液体分離に用いる場合、通常の方法でエレメントやモジュールを形成させて用いられるが、その形態もモジュール型、スパイラル型など特に限定されるものではない。
以下の実施例において、塩除去率は、供給液中の塩濃度、透過液中の塩濃度を測定し、次式により求めた。
塩除去率(%)={1−(透過液中の塩濃度)/(供給液中の塩濃度)}×100
また、透水量は、単位時間(日)に単位面積(m)当たりの膜を透過する透過水量(m/m・d)で表示した。
膜中の未反応物量の測定は、膜を10cm×10cmに切り出してエタノール50gに8時間浸漬し、エタノールに抽出された成分のクロマトグラフィーおよび質量分析で求めた。
<参考例1〜4>
微多孔性支持膜としては、次の手法により製造した布帛補強ポリスルホン支持膜(限外濾過膜)を用いた。すなわち、単糸繊度0.5dtexのポリエステル繊維と1.5dtexのポリエステル繊維との混繊からなり、通気度0.7cm/cm・秒、平均孔径7μm以下の、縦30cm、横20cmの大きさの湿式不織布をガラス板上に固定し、その上に、ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒でポリスルホン濃度15重量%の溶液(2.5ポアズ:20℃)を、総厚み200μmになるようにキャストし、直ちに水に浸積してポリスルホンの微多孔性支持膜を作製した。
次に、この微多孔性支持膜を、m−フェニレンジアミン2.0重量%およびε−カプロラクタム2.0重量%を含む水溶液中に2分間浸漬した後、その表面に、デカンにトリメシン酸クロライドを0.1重量%になるように溶解した溶液を160cm/mの割合になるように塗布し、さらに過剰の溶液を除去し、表面上での重縮合によりポリアミド分離機能層を形成させた。このとき、未反応物量は0.56g/mであった。そこで、蒸留水を洗浄水として表1に示す洗浄条件で膜の洗浄を施して未反応物量を低減させた(参考例2〜4)。
このようにして得られたポリアミド分離機能層を持つ半透膜は、pH6.5に調整した0.2重量%の塩化ナトリウム水溶液を原水とし、0.5MPa、25℃の条件下で逆浸透テストを行った。その結果、透水量は0.75m/m・d、塩化ナトリウムの塩除去率は93.0%であった。
Figure 2009279582
<比較例1、実施例1〜3>
参考例1〜4で得られたポリアミド分離機能層を持つ半透膜を、pH8に調整した0.5重量%二酸化塩素水溶液に室温中2分間接触させた。次いで膜を水溶液から取り除いた後、直ちに水で洗い、室温にて保管した。得られた複合半透膜を、上記参考例と同条件で性能試験したところ、この膜の透水量および塩化ナトリウムの塩除去率は、それぞれ表2に示す通りであった。
<実施例4>
参考例3で得られたポリアミド分離機能層を持つ半透膜を、pH3に調整した0.5重量%二酸化塩素水溶液に室温中2分間接触させた。次いで膜を水溶液から取り除いた後、直ちに水で洗い、室温にて保管した。得られた複合半透膜を、上記参考例と同条件で性能試験したところ、この膜の透水量は0.94m/m・d、塩化ナトリウムの塩除去率は92.4%であった。
<実施例5〜7>
参考例3で得られたポリアミド分離機能層を持つ半透膜を、表2に示すpHの二酸化塩素水溶液と接触させた。pHの調整は硫酸又は水酸化ナトリウムを使用し、pH以外の条件は実施例1の条件と同一とした。これらの膜の透水量および塩化ナトリウムの塩除去率は、それぞれ表2に示す通りであった。
Figure 2009279582
実施例1〜7および比較例1の結果から、本発明の方法に従い、膜中の未反応物量を0.5g/m以下に低減する工程の後に、二酸化塩素と接触させる工程を経ることにより、膜透水量を大幅に向上させることができることが明らかである。さらに、塩除去率の向上を含めた膜性能の向上はpH6からpH10の領域で顕著である。
<参考例5>
微多孔性支持膜をm−フェニレンジアミンの3.4重量%水溶液に2分間浸漬した後、デカンにトリメシン酸クロライドを0.15重量%になるように溶解した溶液を用いた以外は参考例1と同様の方法で複合半透膜を得た。膜の洗浄は60℃の蒸留水で2分間行なった。このとき、未反応物量は0.19g/mであった。このようにして得られたポリアミド分離機能層を持つ半透膜は、pH6.5に調整した3.5重量%の塩化ナトリウムを含む水溶液を原水とし、5.5MPa、25℃の条件下で逆浸透テストを行った。その結果、透水量は0.73m/m/日、塩除去率は99.7%であった。
<実施例8>
参考例5で得られたポリアミド分離機能層を持つ半透膜を、pH9の二酸化塩素水溶液と接触させた。pHの調整は硫酸又は水酸化ナトリウムを使用し、pH以外の条件は実施例1の条件と同一とした。上記参考例5と同条件で性能試験したところ、この膜の透水量は1.02m/m・d、塩化ナトリウムの塩除去率は99.7%であった。
実施例8の結果から、本発明の方法に従い、膜中の未反応物量を0.5g/m以下に低減する工程の後に、二酸化塩素と接触させる工程を経ることにより、膜透水量を大幅に向上させることができることが明らかである。
本発明法により得られる複合半透膜は、溶媒と溶質とを分離するための逆浸透膜として用いられる。例えば、原水中に含まれる無機物や有機物などの有害物質やその前駆物質を除去する膜分離法において用いられる。

Claims (2)

  1. 複合半透膜の製造方法であって、微多孔性支持膜上に多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によるポリアミド分離機能層を形成する工程、次いで、複合半透膜中の未反応物量を0.5g/m以下に低減する工程、その後、前記ポリアミド分離機能層を二酸化塩素と1秒〜24時間の間で接触させる改質処理工程を経ることを特徴とする複合半透膜の製造方法。
  2. 前記改質処理工程が、前記ポリアミド分離機能層を二酸化塩素を含む溶液と接触させるものであり、前記二酸化塩素を含む溶液がpH6以上10以下の水溶液である、請求項1に記載の複合半透膜の製造方法。
JP2009104724A 2008-04-25 2009-04-23 複合半透膜の製造方法 Expired - Fee Related JP5126155B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009104724A JP5126155B2 (ja) 2008-04-25 2009-04-23 複合半透膜の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008115086 2008-04-25
JP2008115086 2008-04-25
JP2009104724A JP5126155B2 (ja) 2008-04-25 2009-04-23 複合半透膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009279582A true JP2009279582A (ja) 2009-12-03
JP5126155B2 JP5126155B2 (ja) 2013-01-23

Family

ID=41450610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009104724A Expired - Fee Related JP5126155B2 (ja) 2008-04-25 2009-04-23 複合半透膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5126155B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0592130A (ja) * 1991-10-01 1993-04-16 Toray Ind Inc 逆浸透法用複合膜の製造方法
JPH1057999A (ja) * 1996-08-23 1998-03-03 Nippon Sangyo Kikaku:Kk 汚水又は汚泥の浄化方法
JP2000093771A (ja) * 1998-09-24 2000-04-04 Toray Ind Inc 流体分離膜およびその製造方法
JP2001521808A (ja) * 1997-11-04 2001-11-13 ザ ダウ ケミカル カンパニー 複合ポリアミド膜の性能向上処理
JP2005066464A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Nitto Denko Corp 液体分離膜及びその製造方法
JP2008080187A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Toray Ind Inc 複合半透膜およびその用途

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0592130A (ja) * 1991-10-01 1993-04-16 Toray Ind Inc 逆浸透法用複合膜の製造方法
JPH1057999A (ja) * 1996-08-23 1998-03-03 Nippon Sangyo Kikaku:Kk 汚水又は汚泥の浄化方法
JP2001521808A (ja) * 1997-11-04 2001-11-13 ザ ダウ ケミカル カンパニー 複合ポリアミド膜の性能向上処理
JP2000093771A (ja) * 1998-09-24 2000-04-04 Toray Ind Inc 流体分離膜およびその製造方法
JP3525759B2 (ja) * 1998-09-24 2004-05-10 東レ株式会社 流体分離膜およびその製造方法
JP2005066464A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Nitto Denko Corp 液体分離膜及びその製造方法
JP2008080187A (ja) * 2006-09-26 2008-04-10 Toray Ind Inc 複合半透膜およびその用途

Also Published As

Publication number Publication date
JP5126155B2 (ja) 2013-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5895838B2 (ja) 分離膜エレメントおよび複合半透膜の製造方法
JP5262668B2 (ja) 複合ナノろ過膜
JP5131028B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP4618081B2 (ja) 複合半透膜の処理方法および製造方法
JPWO2010050421A1 (ja) 複合半透膜およびその製造方法
JP2010094641A (ja) 複合半透膜の処理方法
JP4525296B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP5267273B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2011125856A (ja) 複合半透膜の製造方法およびポリアミド複合半透膜
JP2006021094A (ja) 複合半透膜及びその製造方法
JP7342528B2 (ja) 複合半透膜および複合半透膜の製造方法
JP5130967B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2009078218A (ja) 複合半透膜の製造方法
KR20170047114A (ko) 수처리 분리막의 제조방법 및 이에 의하여 제조된 수처리 분리막 및 수처리 분리막을 포함하는 수처리 모듈
KR20120077997A (ko) 폴리아마이드계 역삼투 분리막의 제조방법 및 그에 의해 제조된 폴리아마이드계 역삼투 분리막
JP5062136B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP5120006B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2009262089A (ja) 複合半透膜の製造方法
JP5126155B2 (ja) 複合半透膜の製造方法
JP2005177741A (ja) 半透膜の処理方法ならびに改質半透膜およびその製造方法
JP2000093771A (ja) 流体分離膜およびその製造方法
JP3780734B2 (ja) 複合半透膜
JP4470472B2 (ja) 複合半透膜及びそれを用いた水の製造方法
JP2005144211A (ja) 複合半透膜及びその製造方法ならびに流体分離素子の処理方法
JP2009034669A (ja) 複合半透膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120328

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120920

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121002

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121015

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5126155

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees