JP2009277598A - 塗工方法、表層膜形成装置、表層膜、並びに非水電解液二次電池 - Google Patents

塗工方法、表層膜形成装置、表層膜、並びに非水電解液二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】多孔質の基材に固形成分と液状成分とを含む原料を塗工して表層膜を形成する場合に、基材内部の気体の外部への放出により表層膜に欠陥が発生するのを防止することができる塗工方法および表層膜形成装置、並びに、それにより欠陥の発生が防止された表層膜および非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】本発明の塗工方法は、極板素材10に固形成分と液状成分とを含む原料3を塗工して耐熱多孔膜層を形成するに際して、多孔質の材料からなる極板素材10の内部に含まれる気体を予め液状物質4と置換する工程を実行した後に、原料3を極板素材10に塗工するものである。液状物質4は、前処理用塗工部2により極板素材10の表面に塗工される。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗工方法、表層膜形成装置、表層膜、並びに非水電解液二次電池に関し、さらに詳しくは、電池用極板等の多孔質の基材の表面に、耐熱性膜などの機能性膜を形成するための塗工方法および表層膜形成装置、それにより形成される表層膜、並びにそれを使用して製造される非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、正極活物質(リチウム含有酸化物など)、負極活物質(炭素質材料やSi化合物など)ともに容量密度が高いので、あらゆる機器の電源として用途が拡大している。近年、さらなる高容量化、高出力化、大型化が求められる一方、このような電池が不慮の事態により異常短絡が発生した場合の過熱が懸念されている。
現在、正極板と負極板とを電子的に絶縁するセパレータとして、主にポリオレフィンなどの樹脂からなる微多孔質フィルムが用いられている。この微多孔質フィルムは非水電解質を保持する能力に優れる反面、高温下で変形しやすいので、電池内部で異常短絡が発生すると、過熱によって短絡箇所を中心に欠損が拡大し、さらなる過熱を招く虞がある。
そこで特許文献1および特許文献2に示すように、負極板の表面に酸化マグネシウムまたはアルミナを含む多孔質耐熱層を形成することにより、高熱が発生してセパレータが溶融しても、正極板と負極板とが直接接触することを防ぐ短絡防止技術が提案されている。
特開2003−142078号公報 WO2005/081336号公報
上述したように、電池の内部短絡に起因する発熱によりセパレータ等が破損することを避けるために、負極板の表面等に耐熱層を設けることが行われている。この場合は、以下に示すような別の問題が発生する。
すなわち、図3(a)に示すように、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池において、電池用極板30は、金属基盤31と、その上に活物質等からなる電極合剤を塗工して形成された極板多孔膜層32と、その表面に形成された耐熱多孔膜層33とから構成される。ここで、耐熱多孔膜層33は、極板多孔膜層32の表面に、固形成分であるフィラーをN−メチル−2−ピロリドン等の液状成分により分散したスラリーからなる原料を塗工して形成される。
このとき、図3(b)に矢印で示すように、原料中の液状成分が極板多孔膜層32に浸透していく。その結果、図3(c)に示すように、極板多孔膜層32内部の空孔に蓄えられていた空気が行き場を失い、圧縮されて、未だ乾燥していない耐熱多孔膜層33を突き破る形で外部に放出される。
そのようにして空気が放出された跡は、図3(d)に示すように、周囲からの原料の回り込みにより多少は修復されるものの、クレーター状の凹部34となる。これにより、その部分の膜厚は周囲よりも薄くなり、耐熱性が低下する。
このため、上記クレーター状の凹部34においても必要とされる耐熱性を確保し得るように、耐熱多孔膜層33全体の膜厚を厚くする必要が生じる。したがって、耐熱多孔膜層33の膜厚を本来必要とされる膜厚よりも厚めに設計する必要が生じ、製品の小型化の障害となるとともに、製造コストが増大する。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、多孔質の基材に固形成分と液状成分とを含む原料を塗工して表層膜を形成する場合に、基材内部の気体の外部への放出により表層膜に欠陥が発生するのを防止することができる塗工方法および表層膜形成装置、並びに、それにより欠陥の発生が防止された表層膜および非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の塗工方法は、多孔質の基材に固形成分と液状成分とを含む原料を塗工して表層膜を形成するに際して、
前記基材の内部に含まれる気体を予め液状物質と置換する工程を実行した後に、前記原料を前記基材に塗工する。
ここで、前記基材は、金属基盤に電極合剤を塗工してなる電池用極板であるのが好ましい。
前記置換する工程は、前記基材に前記液状物質を予め塗工する工程から構成されるのが好ましい。
前記液状物質は、前記原料の液状成分と同一の材料から構成されるのが好ましい。
前記液状物質は、N−メチル−2−ピロリドンであるのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明の表層膜形成装置は、多孔質の基材に固形成分と液状成分とを含む原料を塗工して表層膜を形成する主塗工手段と、
前記主塗工手段による塗工の前処理として、前記基材の内部に含まれる気体を置換するための液状物質を前記基材に予め塗工する前処理用塗工手段と、を具備する。
また、上記目的を達成するために、本発明の表層膜は、上記の塗工方法により形成される。
また、上記目的を達成するために、本発明の非水電解液二次電池は、上記の塗工方法を使用して表層膜が形成された極板を備える。
本発明によれば、多孔質の基材に固形成分と液状成分とを含む原料を塗工して表層膜を形成するに際して、基材の内部に含まれる気体を予め液状物質と置換する工程を実行した後に、原料が基材に塗工される。これにより、原料の液状成分が基材にしみ込むことにより、基材内部の気体が、未だ乾燥していない表層膜を突き破る形で外部に放出されるのを防止することができる。したがって、気体の放出により、クレーター状の凹部などの欠陥が表層膜の表面に形成されるのを防止することができる。
この結果、表層膜が部分的に薄くなってしまうのを防止することができるので、耐熱性膜などの機能性膜において、その機能性が部分的に損なわれてしまうのを回避することができる。これにより、欠陥の存在する部分においても必要な機能性を確保することができるように、表層膜全体の厚みを本来必要とされる厚みよりも厚めに設計する等の必要がなくなる。したがって、材料の無用の消費を抑えて、コストの削減を図ることができるとともに、表層膜の厚みを薄くできることから、それが形成される部材のサイズダウンも図れる。
以上のような効果を奏し得る本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池の極板(正極板、負極板)に表層膜としての耐熱多孔膜層を形成する場合に特に有用である。非水電解液二次電池においては、更なる高容量化・安全化の要請から、信頼性が高く且つできるだけ厚みの小さい耐熱多孔膜層を極板の表面に形成することが強く望まれるからである。
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る表層膜形成装置の概略図である。図2Aは、表層膜形成装置により表層膜が形成される基材である極板素材の断面図、図2Bは、極板素材に表層膜が形成された状態の断面図である。
図1の表層膜形成装置は、例えばリチウムイオン二次電池の正極および負極を構成するシート状極板の少なくとも一方の製造に使用することができるものである。この表層膜形成装置は、長尺帯状の極板素材10の表面に耐熱多孔膜層11を形成するように、極板素材10に所定組成の原料を塗工する主塗工部1を備える。また、表層膜形成装置は、主塗工部1による原料の塗工の前に、多孔質の素材である極板素材10内部の気体(空気)を除去するように、上記気体と置換される液状物質を塗工する前処理用塗工部2を備えている。
ここで、図2Aに示すように、極板素材10は、金属箔からなる金属基盤10aと、その表面に電極活物質等からなる電極合剤を塗工して形成される極板多孔膜層10bとから構成されている。
主塗工部1は、固形成分であるフィラーをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の液状成分に分散させたスラリーからなる原料3を保持するための容器1aと、容器1a内の原料3に一部分が浸かるように配設されるコーティングロール1bと、コーティングロール1bの表面から余分の原料3を掻き落とすドクターブレード1cとから構成される。
ここで、長尺帯状の極板素材10は、複数のガイドロール5A〜5Gによりガイドされて、一方の面が主塗工部1のコーティングロール1bと一定の圧力で接触した状態で矢印6Aの方向に送られる。
コーティングロール1bは、周面に図示しない凹部(グラビアパターン)が彫刻されたいわゆるグラビアロールであり、容器1aに保持された原料3に下部のみが浸かるように配設される。原料3に浸かったコーティングロール1bの周面には原料3が付着し、上記グラビアパターンには原料3が保持される。この状態でコーティングロール1bは図1の矢印6Bの方向に回転される。
ドクターブレード1cは、コーティングロール1aの原料3に浸かった部分が、コーティングロール1aの回転により原料3の液面よりも上に移動した後、極板素材10と接触する前の位置でコーティングロール1aの表面と接して、余分の原料3を掻き落とすように配設されている。
以上の構成により、コーティングロール1b周面のグラビアパターンに保持された原料3が電極素材10の一方の面に転写されて、電極素材10に、表層面である耐熱多孔膜層11が形成される。
なお、ドクターブレード1cは、本発明には必須の構成要素ではなく、省略することも可能である。また、コーティングロール1a周面のグラビアパターン、並びにコーティングロール1aの半径、幅等は特に限定されない。さらには、原料3の粘度や塗工速度次第では、グラビアパターンを設けることなく原料3の塗工を行うことも可能である。
また、原料3の塗工方式としては、上述したグラビアコート法以外に、ダイコート法などの塗工方式を使用することができる。これらの塗工法は、電極合剤の塗工にも用いられる。また、原料3は、スプレーやスポンジロールを使用した簡易な塗工方式により塗工することも可能である。
次に、前処理用塗工部2を説明する。前処理用塗工部2は、主塗工部1の前段に配設される塗工部であり、液状物質4を保持するための容器2aと、容器2a内の液状物質4に一部分が浸かるように配設される、周面に所定のグラビアパターンが形成されたコーティングロール2bと、コーティングロール2bの表面から余分の液状物質4を掻き落とすドクターブレード2cとから構成される。
ここで、前処理用塗工部2のコーティングロール2bにも、ガイドロール5A〜5Gによりガイドされて、極板素材10の上記一方の面、つまり主塗工部1により原料3が塗工されるのと同一の面が接触している。前処理用塗工部2のコーティングロール2bは、矢印6Cの方向に回転しており、容器2a内で液状物質4に浸かった部分は、余分の液状物質4がドクターブレード2cにより掻き落とされた後、極板素材10の上記一方の面と接触し、これにより液状物質4が極板素材10の上記一方の面に塗工される。
以上のようにして、主塗工部1により原料3が極板素材10の一方の面に塗工される前に、その同じ面に前処理用塗工部2により液状物質4が塗工される。これにより、図2Aに複数の矢印で示すように、塗工された液状物質4が極板素材10の極板多孔膜層10bに浸透する。この結果、極板多孔膜層10bに含まれている気体(例えば空気)が液状物質4と置換され、極板多孔膜層10bの外部に放出されて、極板多孔膜層10bの内部から気体が除去される。したがって、それに続いて、主塗工部1により原料3を極板素材10に塗工しても、原料3の液状成分の極板多孔膜層10bへの浸透により、極板多孔膜層10b内部の気体が、未だ乾燥しない原料3(耐熱多孔膜層11)を突き破る形で外部に放出されることはない。
これにより、図2Bに示すように、クレーター状の凹部の存在しない厚みの均一な耐熱多孔膜層11を形成することが可能となる。したがって、上記クレーター状の凹部が発生した場合を考慮して、そのような凹部においても十分な耐熱性を確保することができるように、耐熱多孔膜層11の厚みを本来必要とされる厚みよりも厚めに設定する等の必要はなくなる。これにより、耐熱多孔膜層11の厚みを抑えて、例えば極板多孔膜層10bの厚みを厚くすることができる。したがって、非水電解液二次電池の更なる高容量化・高出力化を図ることができる。また、原料3の消費を抑えて、製造コストを削減することができる。
なお、本実施の形態においては、前処理用塗工部2による液状物質4の塗工のシステムは、主塗工部1による原料3の塗工のシステムと同一であり、ドクターブレード2cが省略可能であることも同様である。また、コーティングロール2a周面のグラビアパターン、並びにコーティングロール2aの半径、幅等が特に限定されないこと、さらには、液状物質4の粘度や塗工速度次第では、コーティングロール2aにグラビアパターンを設ける必要がないことも同様である。
また、液状物質4の塗工方式としては、上述したグラビアコート以外に、ダイコートなどの塗工方式を使用することができる外、スプレーやスポンジロールを使用した簡易な塗工方式により塗工することも可能である。さらには、本発明は、液状物質4の塗工に限らず、極板多孔膜層10b内の気体を液状物質4と置換することができる方法であれば、どのような方法によってもよい。例えば容器に入れた液状物質4に極板素材10を浸すことにより、極板多孔膜層10b内の気体を液状物質4と置換して、同様の効果を得ることも可能である。
以下に、極板素材10について具体的に説明する。
正極用の極板素材10においては、極板多孔膜層10bを形成するよう金属基盤10aに塗工される正極合剤に含ませる活物質の例として、コバルト酸リチウムおよびその変性体(アルミニウムやマグネシウムを含む共晶化合物など)、ニッケル酸リチウムおよびその変性体(一部ニッケルをコバルト置換させたものなど)、並びにマンガン酸リチウムおよびその変性体などの複合酸化物を挙げることができる。
また、上記正極合剤に含ませる結着剤の例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または変性アクリロニトリルゴム粒子バインダー(日本ゼオン(株)製BM−500Bなど)を増粘効果のあるカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、または可溶性変性アクリロニトリルゴム(日本ゼオン(株)製BM−720Hなど)と組み合わせたものを挙げることができる。また、結着剤として、単独で結着性・増粘性の双方を有するポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidine DiFluoride:PVDF)およびその変性体を、単独または、上記の結着剤と組み合わせて用いても良い。
また、上記正極合剤に含ませる導電剤には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、および各種グラファイトを単独あるいは組み合わせたものを用いて良い。
これらの活物質、結着剤および導電剤を含む正極合剤を、グラビアコート法により塗工する場合は、その塗工法式に最適な粘度となるように混練する必要がある。ここで、混練方法は特に限定されるものではない。
負極用の極板素材10においては、極板多孔膜層10bを形成するよう金属基盤10aに塗工される負極合剤に含ませる活物質の例として、各種天然黒鉛および人造黒鉛、シリサイドなどのシリコン系複合材料、並びに各種合金組成材料を挙げることができる。
ここで、本発明の塗工方法および表層膜の適用により、上記活物質の中でも特に高い導電性を示しつつも極板表面(極板多孔膜層10b表面)の凹凸の増大を招くために添加が抑えられてきた気相成長法炭素繊維(VGCF)の多量使用が可能となる。これは、本発明の塗工方法および表層膜によれば、正極板の耐熱多孔膜層11に特に薄い部分が発生しないために、極板多孔膜層10b表面の凹凸が増大しても、それによる影響を最小限に抑えられるからである。
また、上記負極合剤に含ませる結着剤には、PVDFおよびその変性体をはじめとする各種バインダーを用いることができるが、リチウムイオンの受入れ性を向上させるという観点から、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)粒子およびその変性体と、カルボキシメチルセルロース(CMC)をはじめとするセルロース系樹脂とを併用したり、前者に後者を少量添加して用いたりするのがより好ましい。
これらの活物質、結着剤および導電剤を含む負極合剤を、グラビアコート法により塗工する場合は、その塗工法式に最適な粘度となるように混練する必要がある。ここで、混練方法は特に限定されるものではない。
次に、耐熱多孔膜層11について具体的に説明する。
耐熱多孔膜層11は、正極板および負極板のいずれかに接着して形成される必要がある。耐熱多孔膜層11は、上述したとおり、固形成分であるフィラーと、これを分散させる液状成分とを含む原料3を塗工して形成されるが、原料3は結着剤を含むのが好ましい。
原料3に含ませる結着剤は、負極板の耐熱多孔膜層11については、非水溶性であるのが好ましい。その理由は、高性能化の観点から、現状では、非水電解液二次電池の負極板は、殆どがスチレン−ブタジエン共重合体などのゴム粒子結着剤と、セルロース系などの水溶性増粘剤を併用したものだからである。そのような負極板の耐熱多孔膜層11に水溶性の結着剤を用いた場合、極板多孔膜層10b中の増粘剤が乾燥前の耐熱多孔膜層11に含まれる水分により膨潤し、負極板が変形し、歩留が大幅に低下するという不具合を引き起こすからである。
また、原料3の固形成分であるフィラーは、無機酸化物でなければならない。各種樹脂の微粒子もフィラーとして一般的に用いられるが、前述のように耐熱性が必要である上に、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池の使用範囲内で電気化学的に安定している必要があるからである。このような条件を満たしつつ、塗料化するのに適した無機酸化物からなる材料をフィラーとして用いるのが最も好ましい。
そのような無機酸化物の具体例としては、電気化学的安定性に優れている点からアルミナ(酸化アルミニウム)を挙げることができる。そして、原料3は、耐熱多孔膜層11に占めるフィラーの含有率が例えば50重量%以上99重量%以下となるように調製される。なお、フィラーを構成する無機酸化物は複数種類を混合して用いることが可能である。また、複数種類の無機酸化物により多層構造の耐熱多孔膜層11を形成することも可能である。
次に、前処理用塗工部2による塗工処理についてさらに具体的に説明する。前処理用塗工部2により塗工される液状物質4は、原料3の液状成分と化学的に反応しない物質である必要がある。その理由は、液状物質4と原料3とが化学的に反応してしまうと、結着剤の溶解性が低下し、結着剤を核とした凝集体が発生してしまうからである。そのような観点から、液状物質4は原料3の液状成分と同じ組成であることが好ましい。しかしながら、乾燥効率をよくするという観点からは、液状物質4に、原料3の液状成分よりも低沸点であるものを用いることも好ましい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
〈比較例1〉
人造黒鉛3kgを、日本ゼオン(株)製スチレン−ブタジエン共重合体ゴム粒子結着剤BM−400B(固形分40重量%)75g、CMC30gおよび適量の水とともに双腕式練合機にて撹拌し、ペースト状の負極合剤塗料(以下、負極ペーストという)を調製した。上記負極ペーストを金属基盤である10μm厚の銅箔の両面に、ダイコート法により塗布し、乾燥し、総厚が180μmとなるように圧延し、極板素材である負極フープを得た。
また、メディアン径0.3μmのアルミナ970gを、日本ゼオン(株)製ポリアクリロニトリル変性ゴム結着剤BM−720H(固形分8重量%)375gおよび適量のNMPとともに双腕式練合機により撹拌し、耐熱多孔膜層の原料である多孔膜塗料を調製した。次に、上記負極フープの両面に片側5μmずつグラビアコート法により上記多孔膜塗料を塗工し、乾燥して耐熱多孔膜層を形成し、負極板を作製した。作製された負極板を比較例1とする。比較例1について、耐熱多孔膜層の表面に、極板多孔膜層の内部からの気体の放出に起因する欠陥が存在しないかを調べた結果を下記表1に示す。
〈実施例1〉
上記負極フープの一方の面に、上記多孔膜塗料を塗工する直前に、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)単体からなる液状物質をグラビアコート法により塗工した。その後、上記負極フープの同じ面に、5μmの耐熱多孔膜層を形成するように、グラビアコート法にて上記多孔膜塗料を塗工し、乾燥した。
次いで、上記負極フープの他方の面にも同じ処理を行って負極板を作製した。作製された負極板を実施例1とする。実施例1について、耐熱多孔膜層の表面に極板多孔膜層の内部からの気体の放出に起因する欠陥が存在しないかを調べた結果を下記表1に示す。
〈実施例2〉
上記負極フープの一方の面に、上記多孔膜塗料を塗工する直前に、金属ロールにポリプロピレン製の不織布を巻き付けたものに液状物質であるNMPをしみ込ませ、それを上記負極フープに接触させて、NMPを塗工した。その後、上記負極フープの同じ面に、20μmの耐熱多孔膜層を形成するように、グラビアコート法にて上記多孔膜塗料を塗工し、乾燥した。
次いで、上記負極フープの他方の面にも同じ処理を行って負極板を作製した。作製された負極板を実施例2とする。実施例2について、耐熱多孔膜層の表面に極板多孔膜層の内部からの気体の放出に起因する欠陥が存在しないかを調べた結果を下記表1に示す。
Figure 2009277598
表1に示すように、比較例1では、クレーター状の凹部が耐熱多孔膜層の表面に発生したのに対して、NMPからなる液状物質を原料の塗工直前に塗工した実施例1、2では、クレーター状の凹部は発生しなかった。これにより、均一な厚みの耐熱多孔膜層を得ることができた。
本発明によれば、表面に凹部などの欠陥のない表層膜を多孔質の基材に形成することができる。したがって、特にリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池の極板の作製に本発明を適用すると、高性能化・高安全性が図れるため有用である。
本発明の一実施の形態に係る表層膜形成装置の概略図である。 同表層膜形成装置により耐熱多孔膜層が形成される前の状態を示す断面図である。 同表層膜形成装置により耐熱多孔膜層が形成された後の状態を示す断面図である。 従来の表層膜形成装置により耐熱多孔膜層の原料が塗工されたときに耐熱多孔膜層に欠陥が発生するプロセスを示す断面図であり、(a)は理想的な耐熱多孔膜層、(b)は原料が塗工された直後の状態、(c)は気体が外部に放出される状態、並びに(d)は耐熱多孔膜層に欠陥が発生した状態、をそれぞれ示す。
符号の説明
1 主塗工部
2 前処理用塗工部
3 原料
4 液状物質
10 極板素材(基材)
11 耐熱多孔膜層(表層膜)

Claims (8)

  1. 多孔質の基材に固形成分と液状成分とを含む原料を塗工して表層膜を形成するに際して、
    前記基材の内部に含まれる気体を予め液状物質と置換する工程を実行した後に、前記原料を前記基材に塗工する塗工方法。
  2. 前記基材は、金属基盤に電極合剤を塗工してなる電池用極板である請求項1記載の塗工方法。
  3. 前記置換する工程は、前記基材に前記液状物質を予め塗工する工程から構成される請求項1または2記載の塗工方法。
  4. 前記液状物質は、前記原料の液状成分と同一の材料から構成される請求項1〜3のいずれかに記載の塗工方法。
  5. 前記液状物質は、N−メチル−2−ピロリドンである請求項1〜4のいずれかに記載の塗工方法。
  6. 多孔質の基材に固形成分と液状成分とを含む原料を塗工して表層膜を形成する主塗工手段と、
    前記主塗工手段による塗工の前処理として、前記基材の内部に含まれる気体を置換するための液状物質を前記基材に予め塗工する前処理用塗工手段と、を具備する表層膜形成装置。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の塗工方法により形成された表層膜。
  8. 請求項2〜5のいずれかに記載の塗工方法を使用して表層膜が形成された極板を備える非水電解液二次電池。
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