JP2009275821A - 制振装置及び車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】振動発生源1から伝達された制振するべき位置の振動を検出し振動信号を出力する振動検出手段5と、制振するべき位置と異なる位置に設けられ制振力を発生させる加振手段10と、振動検出手段5の振動信号に基づいて加振手段10に加振指令を出力する加振指令発生手段3と、振動検出手段5の振動信号及び加振手段10から振動検出手段5までの伝達特性に基づいて加振指令の位相を決定し位相指令として出力する値設定部37と、位相勾配制限値が予め設定され前回と今回の位相差が位相勾配制限値より大きい場合一制御周期毎に位相勾配制限値以下として複数制御周期で変化するように位相指令を制限して加振指令発生手段へ出力する位相変化勾配制限手段とを備える。
【選択図】図1
Description
この発明によれば、制振装置により振動発生源から伝達された制振するべき位置における振動の制振を安定的に行うことができ、乗員に快適な乗り心地を提供することが出来る。
値設定部37は、エンジンパルス信号の周波数fに対する振幅テーブルおよび位相テーブルを備えている。この2つのテーブルには、経年変化や温度変化前における、加振手段から振動検出手段までの振動伝達特性、すなわちアクチュエータの発生力から加速度センサが検出する加速度までの伝達関数Gを予め測定した結果に基づき、その逆特性である振幅成分|1/G(jω)|および位相成分∠1/G(jω)が記録されている。そして値設定部37は、周波数検出部31が検出したエンジンパルス信号の周波数fを入力し、この周波数fに関係付けられた位相成分∠1/G(jω)と振幅成分|1/G(jω)|を2つのテーブルからそれぞれ読み出す。そして、値設定部37は、位相成分をPとして変化量抑制部42へ出力し、振幅成分を(1/G)として正弦波発振器38へ出力する。
ここで、変化勾配制限値sとは、固定角度hよりも小さな値の制御値をいうものであり、例えば、固定角度hの1/20(0.05)に設定される。
加算器41の出力−(A’/G)sin(ωt+φ’+P+Δp)は、バンドパスフィルタ51に出力される加振指令である。
制振すべき周波数が変化した場合、過渡状態では、制振力には複数の周波数成分が存在する。そのため、たとえば変化後の周波数近傍に制振対象の共振周波数が存在する場合には、制振力には周波数が共振周波数と一致し、かつ共振振動を低減できる振動の位相とは異なる位相の成分が含まれる場合があるため、共振周波数を加振してしまい、制御が不安定化することがある。
このBPF51により、制振すべき周波数以外の制振力を除去することにより、制振効果を高め、かつ、制御が不安定化するのを防止することができる。
ここでΔφは、加速度センサ5で検出した成分φと、制御部3内にて生成した成分φ’との差であり、経年変化等による振動伝達特性の変化を数値化したものである。すなわち、経年変化等によって、実際の車体における振動伝達特性が値設定部37で記憶している振動伝達特性と異なるほど、Δφが0から遠ざかることになる。
本発明では、このΔφが0になるように加振指令の位相を位相補正量Δpにより補正する。以下、位相補正量Δpについて説明する。
Δp(f、n)=Δp(f、n−m) (φ=0)
Δp(f、n)=Δp(f、n−m)−h (0≦Δφ≦π)
Δp(f、n)=Δp(f、n−m)+h (−π≦Δφ≦0)
なお、n、mはn≧mの整数であり、hは前述した予め設定された固定角度である。すなわち、あるサンプリング周期における位相補正量Δp(f、n)は、そのmサンプリング周期前のΔp(f、m−n)に0またはhを加減算して求める。
Δp(40Hz、n)=Δp(40Hz、n−1)+1°=0°
ここで、加算する値を所定の小さい値としているのは、位相ずれ量を正確に求めるには、演算量が増大すること、一度の補正で大きい補正を行うと制御が不安定になる可能性があることが理由である。経年変化による特性の変化は、短い時間で変化するものではないため、一度に補正する値は小さい値にしておき、制御動作を安定に保ったまま徐々に補正しようとするものである。この動作によって、補正値テーブル44は、常に経年変化等によって特性変化に伴う振動伝達特性Gが変化した場合の位相補正値が記憶されることになる。
たとえば図8及び以下の式に示すように、f=40Hzの位相補正量Δp=0°に予め設定された値h=1を加えてΔp=1°とする場合に、その近傍の周波数におけるΔpについてもh=1の1/2または1/4の値を加える。
Δp(39.8Hz、n)=Δp(39.8Hz、n−1)+0.25°
Δp(39.9Hz、n)=Δp(39.9Hz、n−1)+0.5°
Δp(40.0Hz、n)=Δp(40.0Hz、n−1)+1°
Δp(40.1Hz、n)=Δp(40.1Hz、n−1)+0.5°
Δp(40.2Hz、n)=Δp(40.2Hz、n−1)+0.25°
このようにすることによって、1つの周波数における位相補正量のみが大きくなってしまうことを防止し、周波数毎の位相補正量の変化を連続的にすることができるため、位相補正を安定的に行うことが可能となる。
なお、前後位相補正は、更新しようとする周波数fを中心に前後対称とならなくても良く、たとえば図12に示すように、Δp(f−k、n)は中心周波数fから遠ざかるごとに一定値(例えば、0.25)を減じていくようにし、Δp(f+k、n)は中心周波数fから遠ざかるごとに指数的に減じていくようにしても良い。また、予め設定した周波数帯域では中心周波数fを中心に前後対称となるようにΔp(f−k、n)、Δp(f+k、n)を更新し、それ以外の周波数帯域では前後非対称になるように更新しても良い。このように周波数に対して更新する量を変化させることによって、たとえば車体フレーム2の共振点付近や、ノイズが多い周波数帯域付近での位相補正量の変化を滑らかにすることができるので、位相補正を安定的に行うことが出来る。
また、図2に示すリニアアクチュエータ10を使用して、制振力を発生するものとして説明したが、補助質量11を振動させることによって振動を抑制することができる反力を発生できる駆動源であれば、補助質量11を振動させる手段は何でもよい。
Claims (2)
- 振動発生源から伝達された制振するべき位置での振動を検出して振動信号として出力する振動検出手段と、
前記制振するべき位置と異なる位置に設けられ、前記制振するべき位置での振動を打ち消すための制振力を発生させる加振手段と、
前記振動検出手段が出力した振動信号に基づいて、前記加振手段が発生するべき制振力の加振指令を出力する加振指令発生手段と、
前記振動検出手段が出力した振動信号及び前記加振手段から前記振動検出手段までの伝達特性に基づいて、前記加振指令発生手段によって出力される加振指令の位相を決定し位相指令として出力する値設定部と、
一制御周期毎に変化することが可能な位相の変化量を表わす位相勾配制限値が予め設定されていて、所定制御周期毎に出力される前記位相指令を記憶し、前回の位相指令と今回の位相指令との位相差が前記位相勾配制限値より大きい場合は、一制御周期毎の位相差を該位相勾配制限値以下として複数制御周期にわたって変化するように各制御周期毎に位相指令を制限して前記加振指令発生手段へ出力する位相変化勾配制限手段とを備えることを特徴とする制振装置。 - 請求項1に記載の制振装置を備えることを特徴とする車両。
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