JP2009275223A - 流体装置被覆用の親水性接着カバー - Google Patents
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Abstract
【課題】新規接着混合物及び特に検査エレメントの製造に使用される接着混合物において、検査エレメント用カバーとして強い接着性と親水性の両性質を示す接着混合物を開発し、提供する。
【解決手段】アクリル接着剤及び界面活性剤を含む接着混合物によって、また、当該接着混合物を備えた接着箔の使用により、永久的な水密性とサンプル洗浄液等が自動的に装置内へ流れる検査エレメント。
【選択図】なし
【解決手段】アクリル接着剤及び界面活性剤を含む接着混合物によって、また、当該接着混合物を備えた接着箔の使用により、永久的な水密性とサンプル洗浄液等が自動的に装置内へ流れる検査エレメント。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規接着混合物、特に検査エレメントの製造に使用することのできる接着混合物に関する。
検査エレメントは、診断、特に医療診断において頻繁に使用される。検査エレメントは、例えば、それを使用して、血液、唾液又は尿のような生物学的流体中のブドウ糖、コレステロール、タンパク質、ケトン、フェニルアラニン又は酵素等の様々なパラメータを検出し又は定性的に若しくは定量的に測定することができる。このような検査エレメント又はシステムは、2つのクラス、すなわち湿式試薬を用いる分析システムと乾式試薬を用いるシステムに基本的に区別される。特にテストストリップのような検査キャリアの形で、又はディスク状テストキャリアの形で乾式試薬を用いる分析システム又は検査エレメントが、医療診断の分野で提供されている。サンプルは、検査エレメント内で、通常、適用部位から反応部位又は検出部位へと移動する。サンプルは、外力、例えば、遠心力又は毛細管力によって輸送することができる。毛細管力による輸送の利点は、サンプルが別の外部の手段を必要とすることなく「自動的に」適用部位からさらなる処理を行う所望の部位に移動することである。
一方、検査エレメントに備えられるチャネルは、検査エレメント内で、通常水性液体であるサンプル液の移動を可能にするために適切に設計する必要がある。しかしながら、検査エレメントを構成する従来の材料は、多くの場合、水性液体の毛細管流動を可能にするだけの十分な親水性を有していない。
流体検査エレメントのような検査エレメントは、通常、互いに接合された幾つかの層から成る。この多層構造により、所望の構造を検査エレメントに付与することができる。超音波溶接、ヒートシール法あるいは接着箔による接合及び/又は被覆のような様々な方法を使用して、個々の層を接合し又は検査エレメントを覆うことができる。
超音波溶接は、機器や工具の費用が高いという難点がある。さらに、設計変更の場合に融通性がないばかりか、設計変更時に新たなソノトロード(超音波金型)を作り直さなければならない。加えて、エレメント又はカバーの親水化が必要となる。
レーザー溶接も結局のところ機器費用が高く、またこの場合も流体検査エレメントの設計変更の際に自在な適応が容易にできるわけではない。それどころか、装置の設計変更の場合には、カバー用のマスクを変えなければならない。また、レーザー溶接の場合、検査エレメント又はカバーを親水化する必要がある。
ヒートシール法は、検査エレメント中の試薬がその処理に関連した熱に晒されるという難点がある。したがって、この方法は、熱安定性試薬用以外には全く使用できない。また、検査エレメント又はカバーの親水化も、この方法に必要である。
本発明の一の目的は、従来技術の少なくともいくつかの欠点を解決することのできる、
検査システムを被覆するための方法を提供することである。
検査システムを被覆するための方法を提供することである。
検査エレメント用カバーとして特に接着箔の形で用いることのできる接着混合物を開発して前記目的を達成した。
したがって、一の主題において、本発明は、(i)アクリル接着剤及び(ii)界面活性剤を含む接着混合物である。
本発明の接着混合物は、例えば、接着箔の形で検査エレメント用のカバーとして使用することができる。この発明の利点は、接着混合物が接着性に加えて強い親水性も示すことである。この接着混合物を流体装置のカバーとしての接着箔に使用した場合、この性質、すなわち接着性と親水性により、一方では、永久的な水密性と最終被覆が保証され、他方では、例えば、サンプル洗浄液又はすすぎ液が自動的に装置内へ流れることが保証される。
従来のよく接着する接着剤は、通常、非常に疎水的で、それ故、水性液体を吸い上げたり又は輸送したりすることができない。他方、強い親水性を有する従来の接着剤は、多くの場合、接着力が弱い。
本発明によれば、2つの所望の性質、すなわち親水性と接着性を互いに兼ね備えた接着混合物が提供される。前記性質の組合せは、2つの構成成分、すなわちアクリル接着剤の使用と界面活性剤の添加によりもたらされる。
本発明の接着混合物は、適用上の他の重要な基準も満たす。例えば、選択された添加剤、すなわち界面活性剤は、アクリル接着剤によく溶ける。界面活性剤の、特に本発明の好適な濃度での添加は、接着混合物を親水性にする一方で、好ましい接着性は、そのまま残る。界面活性剤のアクリル接着剤への添加によって、溶血は、特に本明細書で規定した好適な濃度では、生じない。アクリル接着剤に添加した界面活性剤は、水やサンプルと組合せても、接着剤を軟化させることも溶解させることもない。界面活性剤の添加は、接着混合物を永久的に親水性にし、単なる短期効果では終わらない。接着混合物自身は、透明素材として調製することが可能で、それ自身はいかなる蛍光も持たないか又は非常に低い自家蛍光を有するに過ぎない。界面活性剤とアクリル接着剤の使用により、接着混合物を溶剤なしで、特に有機溶媒及び軟化剤なしで調製することが可能となる。最後に、本発明の接着混合物は高温耐性である。
要約すると、本発明の接着混合物は、一連の長所の全てを有し、とりわけ流体装置のカバー用接着箔の接着剤として非常に適している。
構成成分(i)のアクリル接着剤は、具体的には分散体中にアクリル酸、好ましくはアクリル酸ベースの共重合体を含む接着剤である。固形分は、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、特に少なくとも52重量%、最も好ましくは少なくとも53.5重量%で、かつ好ましくは最大65重量%、より好ましくは最大60重量%、特に最大58重量%、最も好ましくは最大56.5重量%である。
粘度(25℃、50rpmにおける)は、好ましくは100mPas〜500 mPas、特に200〜350mPasである。
アクリル接着剤の、具体的にはアクリル酸ベースの共重合体を含む分散体のpHは、好ましくは2〜7、特に3.5〜5.5である。
適切なアクリル酸ベースの共重合体は、具体的にはアクリル酸モノマーをベースとする共重合体であり、任意で付加的なモノマー、例えば、エチレン性不飽和モノマー、好ましくはスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、ヘキセン又はヘキサジエンを有する。
アクリル酸ベースの共重合体は、好ましくは次式(I)で示す少なくとも一のモノマーを有する。
CH2=CH(R1)(COOR2) (I)
(式中、R1=H又はC1〜C10のアルキル、特にメチル、R2=H又はC1〜C30のアルキル、好ましくはC1〜C10のアルキル、特にC1〜C4のアルキルを示す)
前記モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとも呼ばれる。好ましいアクリル酸エステルは、メチル‐、エチル‐、ブチル‐、i−ブチル‐及び2−エチルヘキシルアクリレートである。好ましいメタクリル酸エステル(R1=メチル)は、メチル‐、エチル‐、ブチル‐、i−ブチル‐及び2−ヒドロキシエチル‐メタクリレートである。
(式中、R1=H又はC1〜C10のアルキル、特にメチル、R2=H又はC1〜C30のアルキル、好ましくはC1〜C10のアルキル、特にC1〜C4のアルキルを示す)
前記モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとも呼ばれる。好ましいアクリル酸エステルは、メチル‐、エチル‐、ブチル‐、i−ブチル‐及び2−エチルヘキシルアクリレートである。好ましいメタクリル酸エステル(R1=メチル)は、メチル‐、エチル‐、ブチル‐、i−ブチル‐及び2−ヒドロキシエチル‐メタクリレートである。
本発明によれば、アクリル酸ベースの共重合体の好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、一層好ましくは少なくとも85重量%で、かつ最大100重量%、好ましくは最大90重量%、いくつかの実施形態では最大85重量%は、式(I)のモノマーで形成されている。
本発明によれば、アクリル酸ベースの共重合体を式(I)のモノマーだけで形成することもできるが、他のモノマーが存在していてもよい。少なくとも一の官能基を包含するエチレン性不飽和コモノマー、特にオレフィン性不飽和モノマーが好ましい。このようなモノマーの例として、ビニルエステル類、ビニルハロゲン化物類、ビニリデンハロゲン化物類、芳香環又は複素環を有するビニル化合物、具体的には酢酸ビニル、ビニルホルムアミド、ビニルピリジン、エチルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン又はアセトニトリルのような化合物が挙げられる。オレフィン性不飽和モノマーに含まれる好ましい官能基は、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、酸アミド基、イソシアネート基又はアミノ基である。前記共重合体における式(I)のモノマーの重量%は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。
接着混合物は、本発明によると、構成成分(ii)として界面活性剤を含有する。界面活性剤は、接着混合物が全体的に親水性になる効果があり、それによって毛管内の水性液体の輸送を可能にする。界面活性剤は、接着混合物中にアクリル接着剤の固形分に基づいて好ましくは1〜10重量%の、より好ましくは1.5〜6%重量%の、さらに好ましくは2〜4重量%の、最も好ましくは2.5〜3重量%の量で含まれる。
非イオン性界面活性剤が界面活性剤として好ましく用いられる。例えば、C原子が4〜20個のアルカン鎖を含むN‐D‐グルコ‐N‐メチルアルカンアミドが好ましい。オクタノイル‐N‐メチルグルカミド(C15H31NO6)は、特に好ましい。Mega8とも呼ばれるこの界面活性剤オクタノイル‐N‐メチルグルカミドを使用することによって、とりわけ良い結果が得られた。Mega8は、280nmにおける吸収がなく、タンパク質変性をもたらさない。
本明細書に記載のように、本発明の接着混合物は、特に検査エレメントと共に使用するのに提供される。しかし、それに限定はされず、接着混合物の高い親水性と優れた接着性の両方が所望されるか又は都合の良い全ての場合に有利に使用することができる。
本発明のさらなる主題は、本明細書に記載された本発明の接着混合物を塗布した担体箔からなる接着箔である。それ故、本発明はまた、接着混合物で被覆された担体箔に関する。本発明の接着混合物を担体箔に塗布することによって、例えば、検査エレメントを接着する又は検査エレメントを覆うのに有利に用いることができる接着箔が形成される。
基本的には全ての平滑な非吸収性箔をカバー箔の材料として使用することができる。担体箔は、好ましくはプラスチック箔、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル又はポリエチレンテレフタレートでできた箔である。担体箔として金属箔、例えば、金箔又は銀箔を使用することもできる。本発明の接着混合物は、乾燥した層の厚さが少なくとも5μm、より好ましくは少なくとも10μm、好ましくは少なくとも15μmで、かつ最大500μm、特に最大100μm、好ましくは最大50μm、とりわけ好ましくは最大20μmとなる量で担体箔に塗布されることが好ましい。
担体箔自体は、好ましくは100μm〜1mm、特に200〜300μm、例えば250μmの厚さを有する。
接着混合物は、公知方法によって、例えば、ナイフコーティング法によって担体箔に塗布することができる。
本発明によれば、接着箔を、保護ライナーと共に、例えば、10〜50μm、特に30μm層厚のポリプロピレンでできた保護ライナーと共に、提供することもできる。基本的には、あらゆる保護ライナー材を使用することができるが、保護ライナーがどんな疎水性物質も接着層に放出しないように注意すべきである。したがって、シリコーン層を備えた保護ライナーはあまり好ましくない。
本発明の接着混合物を適用する好ましい分野は、検査エレメントでの使用である。それ故、本発明は、本明細書に記載の接着箔又は本明細書に記載の接着混合物を備えた構成部材を含む検査エレメントにも関する。
原則として、本発明の検査エレメントは、あらゆる検査エレメントとすることができる。好ましくは、診断検査エレメント、特に乾式試薬を有する検査エレメント(乾式化学検査エレメント)である。とりわけ好ましいのは、液流が検査エレメントの流体構造を通して導かれ得るような流体構造を有する検査エレメント(本明細書では流体検査エレメント又は流体装置とも呼ばれる)である。例えば、本発明の検査エレメントを使用して、血液、唾液又は尿のような生物学的流体中のブドウ糖、コレステロール、タンパク質、ケトン、フェニルアラニン又は酵素を測定することができる。検査エレメントは、好ましくはディスク状検査エレメント、例えば、米国特許出願公開第2004/0265171号に記載されているような検査エレメントである。対応する分析システムは、例えば、米国特許第4,456,581号、米国特許第4,580,896号、米国特許第4,814,144号又は欧州特許第1077771号で公知である。この場合、本発明の接着混合物は、特に接着箔の形で使用され、検査エレメントを覆う。本発明の接着カバーは、検査エレメントのデザインの違い又はデザイン変更に関わりなく広く被覆用に使用することができる。
特に好ましい実施形態において、検査エレメントは、例えば、欧州特許出願公開第1795894号に記載のSID装置である。
本発明を、さらに添付の図面及び以下の実施例によって説明する。
<SID装置の調製>
アクリル酸ベースの共重合体を含み、界面活性剤Mega8が添加された接着混合物(Ucecryl WB 3171接着剤)をナイフコーティング法によって厚さ250μmのプラスチック担体箔に塗布し、8分間110℃で乾燥させた。接着混合物が乾燥した層の厚さは、約15μmであった。続いて、塗布された接着混合物を有するプラスチック担体箔に保護ライナーを備えた。
アクリル酸ベースの共重合体を含み、界面活性剤Mega8が添加された接着混合物(Ucecryl WB 3171接着剤)をナイフコーティング法によって厚さ250μmのプラスチック担体箔に塗布し、8分間110℃で乾燥させた。接着混合物が乾燥した層の厚さは、約15μmであった。続いて、塗布された接着混合物を有するプラスチック担体箔に保護ライナーを備えた。
SID装置に使用するため、ぴったり合うカバーを前記接着箔からカッティングプロッターを用いて切り取り、その装置に接着した。機能検査では、血液サンプルが装置内を自動的に流れることが判明した。
担体箔を被覆した接着剤の親水性は、接触角の測定により決定した。接触角は、界面活性剤Mega8の濃度が接着剤の固形分に基づいて2重量%〜4重量%の場合16°〜34°の範囲にある。
Claims (12)
- (i)アクリル接着剤、及び
(ii)界面活性剤
を含む接着混合物で被覆された担体箔を含んでなる接着箔。 - 前記担体層箔上の接着混合物が乾燥した層の厚さが5〜50μmである、請求項1に記載の接着箔。
- 担体箔がプラスチック、特にポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル若しくはポリエチレンテレフタレート又は金属箔、特に金箔若しくは銀箔からなる、請求項1又は2に記載の接着箔。
- (i)アクリル接着剤、及び
(ii)界面活性剤
を含む接着混合物を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着箔及び/又は構成部材を含んでなる検査エレメント。 - 流路構造を備えた検査エレメントである、請求項4に記載の検査エレメント。
- (i)アクリル接着剤、及び
(ii)界面活性剤
を含む接着混合物で被覆された箔をカバーとして有する、請求項4又は5に記載の検査エレメント。 - 特に請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着箔に又は請求項4〜6のいずれか1項に記載の検査エレメントに使用するための接着混合物であって、
(i)アクリル接着剤、及び
(ii)界面活性剤
を含み、前記界面活性剤がオクタノイル‐N‐メチルグルカミドである前記接着混合物。 - 界面活性剤がアクリル接着剤の固形分に基づいて2重量%〜4重量%の量で接着混合物に含まれる、請求項7に記載の接着混合物。
- アクリル接着剤がアクリル酸ベースの共重合体の分散体である、請求項7又は8に記載の接着混合物。
- 分散体が40〜65重量%の固形成分を有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の接着混合物。
- アクリル酸ベースの共重合体が式(I)で示すモノマーの少なくとも一つから形成される、請求項7〜10のいずれか1項に記載の接着混合物。
CH2=CH(R1)(COOR2) (I)
(式中、R1=H又はC1〜C10のアルキル、R2=H又はC1〜C30のアルキルを表す) - アクリル酸ベースの共重合体が以下のモノマー、すなわちアクリル酸、アクリル酸エステル(メチル‐、エチル‐、ブチル‐、i−ブチル‐及び2−エチルヘキシルアクリレートから選択されるもの)、メタクリル酸及び/又はメタクリル酸エステル(メチル‐、エチル‐、ブチル‐、i−ブチル‐及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートから選択されるもの)の少なくとも一つを有する、請求項7〜11のいずれか1項に記載の接着混合物。
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