JP2011080855A - マイクロチップ - Google Patents

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Abstract

【課題】試薬をマイクロチップ内で長期間安定して保存することができ、精密な検査・分析を行なうことができるマイクロチップを提供する。
【解決手段】樹脂から構成されるマイクロチップであって、気密包装された状態で41日間、温度25℃で保存したときの、マイクロチップ外に放出されるシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積重量が、マイクロチップを構成する樹脂1gあたり、それぞれ0.058μg以下、0.003μg以下および0.013μg以下であるマイクロチップである。
【選択図】図2

Description

本発明は、DNA、タンパク質、細胞、免疫および血液等の生化学検査、化学合成ならびに、環境分析などに好適に使用されるμ−TAS(Micro Total Analysis System)などとして有用なマイクロチップに関する。
近年、医療や健康、食品、創薬などの分野で、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)や酵素、抗原、抗体、タンパク質、ウィルスおよび細胞などの生体物質、ならびに化学物質を検知、検出あるいは定量する重要性が増してきており、それらを簡便に測定できる様々なバイオチップおよびマイクロ化学チップ(以下、これらを総称してマイクロチップと称する。)が提案されている。
上記マイクロチップとしては、試薬保持槽を、たとえばその内部に有しており、検査・分析の対象となる検体(たとえば、血液等)を処理するための、あるいは該検体と反応させるための試薬を試薬保持槽にあらかじめ内蔵する試薬内蔵型マイクロチップが知られている(たとえば、特許文献1)。
このようなマイクロチップは、実験室で行なっている一連の実験・分析操作を、数cm角で厚さ数mm〜数cm程度のチップ内で行なえることから、検体および試薬が微量で済み、コストが安く、反応速度が速く、ハイスループットな検査ができ、検体を採取した現場で直ちに検査結果を得ることができるなど多くの利点を有し、たとえば血液検査等の生化学検査用として好適に用いられている。
一般に、マイクロチップは、成型容易性などの観点から、各種の樹脂から構成されることが多い。しかし、マイクロチップを樹脂から構成する場合、樹脂内に残存する揮発性有機化合物がマイクロチップ内に内蔵された試薬に悪影響を与えるという問題があった。
すなわち、樹脂は通常、微量の未反応モノマーや重合時に使用する有機溶媒を含有するが、これらが揮発性の有機化合物である場合、この揮発性有機化合物は、樹脂が調製された段階から徐々に放出される。したがって、試薬内蔵型マイクロチップを樹脂から構成する場合、試薬が保存された試薬保持槽内に揮発性有機化合物が徐々に放出されることにより、試薬の安定性が損なわれるという問題があった。試薬の安定性の低下(劣化)は、精密な検査・分析を阻害し得る。この問題は、試薬が試薬保持槽に長期間保存される場合(たとえば、試薬内蔵型マイクロチップ製造時から使用時までの期間が長い場合など)や、試薬保持槽の容積に対して保存される試薬の量が微量である場合に特に顕著である。
また、樹脂調製時から試薬内蔵型マイクロチップ作製時までの期間がロットごとに異なり、したがって、試薬を試薬保持槽に注入する段階において樹脂内に残存している揮発性有機化合物量がロットごとに異なるため、試薬保持槽に保存された試薬の安定性低下の度合いがロットごとに異なるという問題もあった。
特開2007−33456号公報
本発明の目的は、試薬をマイクロチップ内で長期間安定して保存することができ、もって、精密な検査・分析を行なうことができるマイクロチップを提供することである。
本発明は、樹脂から構成されるマイクロチップであって、気密包装された状態で41日間、温度25℃で保存したときの、マイクロチップ外に放出されるシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積重量が、マイクロチップを構成する樹脂1gあたり、それぞれ0.058μg以下、0.003μg以下および0.013μg以下であるマイクロチップを提供する。
上記樹脂は、温度55℃以上80℃以下で、24時間以上加熱処理されたものであることが好ましい。また、上記樹脂は、スチレン−ブタジエン共重合体であることが好ましい。本発明のマイクロチップは、試薬が充填された試薬保持部を備えることが好ましい。
本発明のマイクロチップによれば、試薬をマイクロチップ内で長期間安定して保存することができ、これにより、精密な検査・分析を行なうことが可能となる。
実施例で作製した個包装された試薬内蔵型マイクロチップの構成を模式的に示す断面図である。 加熱処理を行なうことなく、41日間、温度25℃で保存したときのGC/MSスペクトルである。 加熱処理(温度55℃、相対湿度65%RH、加熱時間168時間)を行なった後、41日間、温度25℃で保存したときのGC/MSスペクトルである。 実施例1における反応試薬の安定性評価試験の結果を示す図である。
<マイクロチップ>
本発明のマイクロチップは、各種化学合成、検査・分析等を行なうことができる、樹脂から構成されるチップであり、好ましい実施形態において、試薬内蔵型マイクロチップである。「試薬内蔵型マイクロチップ」とは、該マイクロチップを用いて行なわれる検査・分析の対象となる検体(たとえば、血液等)を処理する、あるいは該検体と反応させるための液体試薬などの試薬をあらかじめチップ内部に保持しているマイクロチップである。本発明のマイクロチップは、通常、内部に流体回路を有しており、この流体回路を用いて、各種化学合成、検査・分析等を行なう。
本発明のマイクロチップは、たとえば、第1の基板上に、表面に溝を備える第2の基板を、第2の基板の溝形成側表面が第1の基板に対向するように貼り合わせて構成することができる。この場合、マイクロチップは、その内部に、第2の基板表面に設けられた溝と第1の基板における第2の基板に対向する側の表面とから構成される空洞部からなる流体回路を備える。第2の基板表面に形成される溝の形状およびパターンは、特に制限されるものではないが、当該溝および第1の基板表面によって構成される空洞部の構造が、所望される適切な流体回路構造となるように決定される。第1の基板における第2の基板側表面にも、流体回路を形成し得る溝が形成されてもよい。なお、3枚以上の基板を用いてマイクロチップを構成することもできる。
基板同士を貼り合わせる方法としては、特に限定されるものではなく、たとえば貼り合わせる基板のうち、少なくとも一方の基板の貼り合わせ面を融解させて溶着させる方法(溶着法)、接着剤を用いて接着させる方法などを挙げることができる。溶着法としては、基板を加熱して溶着させる方法;レーザ等の光を照射して、光吸収時に発生する熱により溶着する方法(レーザ溶着法);超音波を用いて溶着する方法などを挙げることができる。
本発明のマイクロチップの大きさは、特に限定されず、たとえば縦横数cm程度、厚さ数mm〜1cm程度とすることができる。
本発明のマイクロチップを構成する樹脂(上記各基板の材質)は、特に制限されず、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート樹脂(PAR)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリメチルペンテン樹脂(PMP)、ポリブタジエン樹脂(PBD)、スチレン・ブタジエン樹脂(スチレン−ブタジエン共重合体)、生分解性ポリマー(BP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの熱可塑性樹脂を用いることができる。なかでも、スチレン・ブタジエン樹脂(スチレン−ブタジエン共重合体)が好ましい。
基板表面に、流体回路を構成する溝(流路パターン)を形成する方法としては、特に制限されず、転写構造を有する金型を用いた射出成形法、インプリント法などを挙げることができる。
本発明のマイクロチップにおいて、流体回路は、流体回路内の流体に対して適切な様々な処理を行なうことができるよう、流体回路内の適切な位置に配置された種々の部位を備えており、これらの部位は、微細な流路を介して適切に接続されている。
本発明のマイクロチップが試薬内蔵型マイクロチップである場合、その流体回路は、これを構成する部位の1つとして、通常、試薬を保持するための試薬保持槽を備える。流体回路内に設けられる試薬保持槽は、1つのみであってもよいし、2以上あってもよい。また、試薬は、1つのマイクロチップ内に1種のみ内蔵されていてもよいし、2種以上内蔵されていてもよい。
試薬内蔵型マイクロチップにおいて、試薬保持槽には、通常、マイクロチップの一表面から内部の試薬保持槽まで貫通する貫通口である、試薬を試薬保持槽に注入するための試薬注入口が設けられる。このようなマイクロチップは、通常、試薬注入口から試薬が注入された後、マイクロチップ表面に当該試薬注入口を封止するためのラベルまたはシールが貼着されて、使用に供される。
本発明のマイクロチップにおいて流体回路は、試薬保持槽以外の部位を備えていてもよく、かかる部位としては、たとえば流体回路内に導入された検体から特定成分を取り出すための分離部;検体(検体中の特定成分を含む。以下同じ。)を計量するための検体計量部;試薬を計量するための試薬計量部;検体と試薬とを混合するための混合部;得られた混合液についての検査・分析(たとえば、混合液中の特定成分の検出または定量)を行なうための検出部などを挙げることができる。本発明のマイクロチップは、これら例示された部位のすべてを有していてもよく、いずれか1以上を有していなくてもよい。また、これら例示された部位以外の部位を有していてもよい。これらの部位は、所望する流体処理を行なうことができるよう、流体回路内の適切な位置に配置され、かつ微細な流路を介して接続されている。
検体と試薬とを混合させることによって最終的に得られた混合液は、特に限定されないが、たとえば、該混合液が収容された部位(たとえば検出部)に光を照射して透過する光の強度(透過率)を検出する方法等の光学測定などに供され、検査・分析が行なわれる。
検体からの特定成分の抽出(不要成分の分離)、検体および/または試薬の計量、検体と試薬との混合、得られた混合液の検出部への導入などのような流体回路内における種々の流体処理は、マイクロチップに対して、適切な方向の遠心力を順次印加することにより行なうことができる。マイクロチップへの遠心力の印加は、マイクロチップを、遠心力を印加可能な装置(遠心装置)に載置して行なうことができる。遠心装置は、回転自在なローター(回転子)と、該ローター上に配置された回転自在なステージとを備えている。該ステージ上にマイクロチップを載置し、該ステージを回転させてローターに対するマイクロチップの角度を任意に設定することにより、マイクロチップに対して任意の方向の遠心力を印加することができる。
ここで、本発明のマイクロチップは、気密包装された状態で41日間、温度25℃で保存したときの、マイクロチップ外に放出されるシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積重量(累積放出重量)が、マイクロチップを構成する樹脂1gあたり、それぞれ0.058μg以下、0.003μg以下および0.013μg以下であることを特徴としている。このような特徴を有する本発明のマイクロチップによれば、マイクロチップを構成する樹脂から徐々に放出される揮発性有機化合物による試薬への悪影響を抑制することができ、試薬保持槽内にて、試薬を長期間安定して保存することが可能となる。これにより、マイクロチップ製造時から使用時までの期間が長い場合であっても、保存された試薬の劣化が低減されているため、精密な検査・分析を行なうことができる。また、本発明のマイクロチップは、製造後の揮発性有機化合物の放出量が十分に低いものであり、したがって、試薬を試薬保持槽に注入する段階における樹脂内に残存する揮発性有機化合物量が低いレベルにあるため、試薬安定性のロット間の振れを低く抑えることができる。
上記各揮発成分の累積放出重量は、上述のように、気密包装された状態で41日間、温度25℃でマイクロチップを保存した直後に測定される値である。「気密包装された状態」とは、マイクロチップをアルミラミネートされた包装フィルムを用いて個包装し、密閉した状態をいう。保存開始の起算点は、マイクロチップ製造直後であり、試薬内蔵型マイクロチップにおいては、試薬保持槽に試薬を注入した時点である。
シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの各累積重量は、41日間の保存終了後の個包装されたサンプル内の気体を、シリンジ等を用いて採取し、GC/MS測定を行なうことにより算出される。すなわち、当該気体中のシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの同定および濃度をGC/MS測定により算出し、得られた濃度を、マイクロチップを構成する樹脂1gに対する重量に換算することにより、各揮発成分の累積重量を求めることができる。
<マイクロチップの製造方法>
シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積放出重量がそれぞれ上記範囲内であるマイクロチップは、所定の加熱処理を施した樹脂を用いることにより製造することができる。所定の加熱処理とは、具体的には、一定温度以上の環境下に樹脂を一定時間以上晒すことを意味する。樹脂の加熱処理は、マイクロチップを構成する基板に成型した後で行なわれてもよいし、マイクロチップの形態にした後(ただし、試薬保持槽に試薬を注入する前である)に行なわれてもよい。また、マイクロチップを構成する基板に成型する前に行なうこともできる。
加熱処理の温度は、30℃以上であることが好ましく、55℃以上であることがより好ましい。加熱処理温度が30℃未満の場合、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積放出重量が十分低減されたマイクロチップを得ることが困難である。また、加熱処理温度は、樹脂のガラス転移温度または荷重たわみ温度以下であることが好ましく、具体的には、樹脂としてスチレン・ブタジエン樹脂を用いる場合、80℃以下であることが好ましい。樹脂のガラス転移温度または荷重たわみ温度を超える温度で加熱処理を行なうと、基板に成型した後またはマイクロチップの形態にした後に加熱処理を行なう場合、その形状が崩れる恐れがある。加熱処理の温度は、特に好ましくは55℃付近である。
加熱処理温度が55℃以上の場合、加熱処理時間は、24時間以上とすることが好ましく、120時間以上とすることがより好ましい。加熱処理時間が24時間未満の場合、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積放出重量が十分低減されたマイクロチップを得ることが困難である。
好ましい加熱処理時間は、加熱処理温度によって変化し、加熱処理温度が高いほどシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンが放出しやすいため、加熱処理時間は短くて済む。加熱処理温度T(単位:℃)と加熱処理時間H(単位:時間)との積をTH(単位:℃×時間)とするとき、加熱処理は、TH≧1320を満たすことが好ましく、TH≧6600を満たすことがより好ましい。
また、加熱処理時の相対湿度は、比較的高く設定することが好ましく、たとえば60%RH以上、より好ましくは65%RH以上とすることができる。これにより、樹脂内部からの水分の蒸散を防止することができ、試薬保持槽に試薬を注入してからマイクロチップ使用時までにおける、樹脂による試薬からの吸水を防止することができる。
試薬内蔵型マイクロチップを、たとえば、2枚もしくはそれ以上の樹脂基板を貼り合わせることにより作製する場合、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積放出重量がそれぞれ上記範囲内であるマイクロチップは、たとえば、次の工程を含む製造方法により製造することができる。
(1)樹脂を成型することにより、マイクロチップを構成する2枚以上の樹脂基板を作製する工程、
(2)樹脂基板を貼り合わせてマイクロチップを作製する工程、
(3)加熱処理を施す工程、および
(4)試薬保持部に試薬を注入する工程。
工程(1)における樹脂基板の作製は、たとえば射出成形法などにより行なうことができる。樹脂基板の少なくとも1つは、流体回路を構成する溝(流路パターン)を表面に備えている。樹脂基板を貼り合わせる方法は上述のとおりである。工程(3)の加熱処理は、たとえば工程(1)と(2)の間または工程(2)と(4)の間に行なうことができる。工程(4)を終えた後、マイクロチップ表面に試薬注入口を封止するためのラベルまたはシールが貼着して試薬内蔵型マイクロチップが完成される。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
(1)試薬内蔵型マイクロチップの作製
以下の手順で、複数の試薬内蔵型マイクロチップを作製した。まず、ペレット状のスチレン・ブタジエン樹脂を用いて、射出成形法により、2枚の樹脂基板を作製した。一方の樹脂基板は、流体回路を構成する溝(流路パターン)が表面に形成されている。また、この樹脂基板の2つの試薬保持槽を構成する溝が形成された位置に、試薬注入口となる基板の厚み方向に貫通する貫通口を設けた。ついで、これらの2枚の樹脂基板を、表面に溝を備える樹脂基板の溝形成側表面が他方の樹脂基板に対向するようにレーザ溶着法により貼り合わせてマイクロチップを作製した。
次に、得られたマイクロチップを、温度55℃、相対湿度65%RHの環境下に、1.5〜120時間静置することにより加熱処理を行なった。ついで、試薬注入口から、反応試薬R1液(ヘモグロビンAlc測定用試薬、商品名「ラピディアオートHbAlc−L」)および反応試薬R2液(抗HbAlc剤)のそれぞれを、異なる試薬保持槽に20μL注入した後、封止ラベルで試薬注入口を封止し、ただちに、得られた試薬内蔵型マイクロチップを、アルミラミネートされた包装フィルムで個包装した。個包装された試薬内蔵型マイクロチップの構成を模式的に示す断面図を図1に示す。
(2)シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積放出重量の算出
個包装された試薬内蔵型マイクロチップを41日間(保存開始の起算点は、試薬保持槽に試薬を注入した時点である)、温度25℃で保存した。保存終了後、包装フィルム内部の気体をシリンジで採取し、当該気体中のシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの濃度をGC/MS測定により算出した。結果を表1に示す。表1に示される数値の単位は[μg/L]であり、採取した気体1L中に含まれる各成分の重量[μg]を示している。また、表2に、表1に示される各成分の濃度を、試薬内蔵型マイクロチップを構成するスチレン・ブタジエン樹脂1gに対する各成分の重量に換算した結果を示す。表2に示される数値が、41日間、温度25℃で保存した際における、マイクロチップ外に放出されるシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの、樹脂1gあたりの累積重量(累積放出重量)[μg]である。なお、表1および表2には、加熱処理を行なっていない試薬内蔵型マイクロチップについての結果も併せて示した。また、表3にGC/MS測定の分析条件を示した。
Figure 2011080855
Figure 2011080855
Figure 2011080855
表2に示されるように、加熱処理時間を120時間以上とすることにより、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積放出重量がそれぞれ、0.058μg以下、0.003μg以下および0.013μg以下となることがわかる。図2および図3は、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積放出重量が加熱処理により低減されることを定性的に示す図であり、図2は加熱処理を行なうことなく、41日間、温度25℃で保存したときのGC/MSスペクトルであり、図3は加熱処理(温度55℃、相対湿度65%RH、加熱時間168時間)を行なった後、41日間、温度25℃で保存したときのGC/MSスペクトルである。
(3)試薬保持槽に保存された反応試薬の安定性評価
反応試薬R2液のみを試薬保持槽に注入したこと以外は、上記と同様にして作製した加熱処理条件の異なる(加熱処理なしを含む5種類)試薬内蔵型マイクロチップを上記と同様にして個包装し、マイクロチップ内に保持されたR2液の保存期間中(温度25℃、41日間)における安定性(劣化の程度)を評価した。結果を表4に示す。
この評価試験では、R2液の劣化の程度を評価するための指標として、マイクロチップ内で実際の血液検査と同様の流体処理によって得られる混合液の吸光度変化(測光開始後10秒から60秒の50秒間の吸光度差)を用いており、吸光度差が小さくなるほど、R2液の劣化の程度が大きいと評価される。図4の縦軸「出力」は、この吸光度差を示している。より具体的には、一定の保存期間(0、7、14、21、27、34および41日)経過後に、マイクロチップ内に血液代替品であるキャリブレーター(ヘモグロビンAlc濃度12.6%)およびR1液を注入し、測定専用装置「バナリストエース」(ウシオ電機製)を用いてマイクロチップに対して遠心力を印加することにより、キャリブレーターとR1液との混合(R1液はラテックス液であり、この混合によりラテックス粒子の表面にヘモグロビンまたはヘモグロビンAlcが吸着する)、得られた混合液とR2液との混合(ラテックス粒子表面に吸着したヘモグロビンAlcの割合(濃度)に応じてラテックス粒子が経時的に凝集する)を順次行ない、ついで同装置を用いて最終的に得られた混合液に対して測定光を照射して吸光度変化を測定した。R2液の劣化の程度が高いと、ラテックス粒子が本来有すべき凝集性が達成されず、その結果、吸光度変化が低下する。
Figure 2011080855
表4に示される結果より、加熱処理時間を120時間以上とし、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積放出重量をそれぞれ、スチレン・ブタジエン樹脂1gあたり0.058μg以下、0.003μg以下および0.013μg以下とすることにより、保存中における反応試薬の劣化が十分に抑制され、反応試薬をマイクロチップ内で長期間安定して保存できることがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (4)

  1. 樹脂から構成されるマイクロチップであって、
    気密包装された状態で41日間、温度25℃で保存したときの、マイクロチップ外に放出されるシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンおよびエチルベンゼンの累積重量が、前記樹脂1gあたり、それぞれ0.058μg以下、0.003μg以下および0.013μg以下であるマイクロチップ。
  2. 前記樹脂は、温度55℃以上80℃以下で、24時間以上加熱処理されたものである請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記樹脂は、スチレン−ブタジエン共重合体である請求項1または2に記載のマイクロチップ。
  4. 試薬が充填された試薬保持部を備える請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロチップ。
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