JP2009275114A - 樹脂組成物及びそれを含む被膜形成材料 - Google Patents

樹脂組成物及びそれを含む被膜形成材料 Download PDF

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Abstract

【課題】スクリーン印刷に好適に使用でき、高温高湿下において安定した電気特性を得ることができ、更に保存安定性が良好で、硬化後のポリイミドフィルムとの張り付き性を低減できる樹脂組成物及びそれを含む被膜形成材料を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、(A)樹脂と、(B)無機及び/又は有機フィラーとを含む樹脂組成物であって、前記(A)樹脂の数平均分子量が22,000〜50,000である。また、数平均分子量が異なる(A)樹脂を2以上混合した溶剤を含む樹脂溶液に、(B)無機フィラー及び/又は有機フィラーが分散している。被膜形成材料は、上記樹脂組成物を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及びそれを含む被膜形成材料、特に、スクリーン印刷機、ディスペンサ、スピンコータ、などの塗布方法に適したチクソトロピー性を有する樹脂組成物及びそれを含む被膜形成材料に関する。
近年、電子部品の分野においては、小型化、薄型化、高速化への対応から、耐熱性、電気特性及び耐湿性に優れる樹脂として、エポキシ樹脂に代わり、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂が使用されている。これらの樹脂は、樹脂構造が剛直であり薄膜基材に用いた場合、硬化後の基材が大きく反り、硬化膜は柔軟性に欠け、屈曲性に劣る問題がある。
そこで、低反り性、柔軟性を改善するために、樹脂を可撓化及び低弾性率化し変性されたポリアミドイミド樹脂(特許文献1、特許文献2及び特許文献3)が提案されている。これらの樹脂では、印刷性や作業性を向上させるために、無機フィラーや有機フィラー等を樹脂溶液に分散させている。また、基材と樹脂やフィラーと樹脂同士の密着性を向上させるために、各種カップリング剤や表面処理剤等の添加剤が使用されている。
特開昭62−106960号公報 特開平8−12763号公報 特開平7−196798号公報
しかしながら、上記特許文献1から3記載の被膜形成材料は、高温高湿下で通電した場合、電気特性を低下させる一因であると懸念されている。
また、これらの被膜形成材料をスクリーン印刷後硬化したものを巻き取る際、フレキシブル配線板(銅配線が施されたポリイミドフィルム)の銅配線が施されていない反対面と被膜形成材料が貼り付くという問題があり、従来ではポリイミドフィルムと被膜材料間にスペーサを設けているのが実情である。
上記課題は例えばイソシアネートを末端に有する樹脂に酸無水物を結合させるなどで硬化を促進させることで改善することもできるが、保存安定性が悪化し、スクリーン印刷時に増粘による不具合を生じさせる。
また、上記特許文献1から3記載の被膜形成材料は、高温高湿下で通電した場合、電気特性を低下させる一因であると懸念されている。
本発明の樹脂組成物は、高温高湿下において安定した電気特性を得ることができ、更に保存安定性が良好で、硬化後のポリイミドフィルムとの張り付き性を低減できる。この樹脂組成物はフレキシブル配線板などの電子部品に好適に用いることができ、信頼性の高い電子部品が得られるという効果を奏する。
本発明は、(A)少なくとも1つとの酸無水物基を有する樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)ハイドロタルサイト及びシリカを含む無機フィラー、を含有する熱硬化性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記(A)成分は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂のイソシアネート残基を、酸無水物基を有する3価以上のポリカルボン酸またはその誘導体で反応せしめて得られる樹脂である前記熱硬化性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記(A)成分が、ポリカーボネート骨格を有することを特徴とする前記熱硬化性樹脂組成物に関する。
また本発明は、前記(C)を含む無機フィラー含有量が、前記(A)樹脂100重量部に対して、1〜5質量%であり、前記無機フィラー中に占めるシリカの含有率が5〜30質量%である前記熱硬化性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント基板の保護膜用である前記熱硬化性樹脂組成物に関する。
本発明の樹脂組成物は、高温高湿下において安定した電気特性を得ることができ、更に保存安定性が良好で、硬化後のポリイミドフィルムとの張り付き性を低減できる。この樹脂組成物はフレキシブル配線板などの電子部品に好適に用いることができ、信頼性の高い電子部品が得られるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる樹脂組成物及び被膜形成材料の一実施の形態を詳細に説明する。なお、この一実施の形態により本発明が限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物は、(A)少なくとも1つの酸無水物基を有する樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)シリカを含む無機フィラーを必須成分として含有する。
[(A)成分:少なくとも1つの酸無水物基を有する樹脂]
(A)成分の少なくとも1つの酸無水物基を有する樹脂としては、ブタジエン構造やシリコーン構造を有するエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリブタジエン、水添加ポリブタジエン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリテトラフルオロ樹脂、ポリシリコーン、メラミン樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の樹脂の主鎖及び/又は側鎖に酸無水物基を導入したものが挙げられる。これらは、単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。また、酸無水物基を有する樹脂と酸無水物を有さない樹脂を併用することもできる。
酸無水物基を導入する方法としては、ブタジエン構造やシリコーン構造を有するエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリブタジエン、水添加ポリブタジエン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリテトラフルオロ樹脂、ポリシリコーン、メラミン樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド樹脂由来のエポキシ残基、イソシアネート残基、水酸基残基及びカルボキシル基等と下記一般式(I)及び/又は一般式(II)を反応させて得ることができる。
Figure 2009275114

(式(I)中、Zは有機基を表し、Wは、水酸基、イソシネート基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基を表す。)
Figure 2009275114

(式(II)中、Zは下記有機基を表す。Wは、水酸基、イソシネート基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基を表す。)
また、本発明の(A)樹脂は、主にフレキシブル基板にも対応させるため、可撓性及び低弾性率であることが好ましい。(A)樹脂を可撓性及び低弾性率にするためには、樹脂の主鎖に可撓性を向上できる成分を導入することが挙げられ、例えば、ポリブタジエン骨格、シリコーン樹脂骨格及び/又はポリカーボネート骨格を有する樹脂が好ましい。
また、耐熱性、電気特性、耐湿性、耐溶剤性及び耐薬品性を向上させるためには、樹脂の主鎖中に耐熱性を向上できる成分を導入することが挙げられ、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド若しくはポリアミド又はこれらの骨格を有する樹脂が好ましい。中でも、可撓化、低弾性率化及び高耐熱性化の観点から、ポリカーボネート骨格及びイミド骨格を有する樹脂が好ましい。
本発明において、(A)成分として使用することができるポリカーボネート骨格を含む樹脂は、通常、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオール等を、末端にカルボキシル基を有する化合物、酸無水物を有する化合物及び/又は末端にイソシアネート基を有する化合物と反応させることで得られる。
また、本発明において、(A)成分として使用することができるイミド結合を含む樹脂は、通常、(a)酸無水物基を有する三価のポリカルボン酸及びその誘導体、並びに酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸から選ばれる1種以上の化合物と、(b)イソシアネート化合物又はアミン化合物とを反応させて得られる。
(a)成分の酸無水物基を有する三価のポリカルボン酸及びその誘導体は、特に限定されないが、例えば、式(III)及び(IV):
Figure 2009275114
Figure 2009275114

(式(III)及び(IV)中、R’は、水素、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示し、Y1は、−CH2−、−CO−、−SO2−、又は−O−である)
で示される化合物を使用することができる。
耐熱性、コスト面等から、トリメリット酸無水物が、特に好ましい。酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸は、特に限定されないが、例えば、式(V):
Figure 2009275114

(式中、Y2は、式(V)で示される基:
Figure 2009275114

である)で示されるテトラカルボン酸二無水物を使用することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、これらのほかに必要に応じて、酸成分として、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等)等を併用することができる。この場合、分子鎖中にアミド結合も形成される。
(b)成分のイソシアネート化合物は、例えば、式(VII):
Figure 2009275114

(式中、複数個のRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基であり、m及びnは、それぞれ独立に1〜20の整数である)
で示されるジイソシアネート類を用いることができる(以下、(b−1)化合物とする)。
上記式(VII)で示される化合物は、式(VIII):
Figure 2009275114

(式中、Rは、独立に炭素数1〜18のアルキレン基であり、mは、1〜20の整数である)
で示されるカーボネートジオール類と、式(IX):
OCN−X−NCO (IX)
(式中、Xは、二価の有機基である)
で示されるジイソシアネート類を反応させることにより得られる。
式(IX)のジイソシアネート類のXは、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基、又は非置換若しくはメチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基で置換されているフェニレン基等のアリーレン基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、より好ましくは1〜18である。ジフェニルメタン−4,4’−ジイル基、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイル基等の芳香族環を2つ有する基も好ましい。
上記の式(VIII)で示されるカーボネートジオール類としては、例えば、α,ω−ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、α,ω−ポリ(3−メチル−ペンタメチレンカーボネート)ジオール等が挙げられ、市販されているものとしては、ダイセル化学(株)製の商品名PLACCEL、CD−205、205PL、205HL、210、210PL、210HL、220、220PL、220HL等が挙げられる。これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記式(IX)で示されるジイソシアネート類としては、例えば、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3,2’−、3,3’−、4,2’−、4,3’−、5,2’−、5,3’−、6,2’−又は6,3’−ジメチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3,2’−、3,3’−、4,2’−、4,3’−、5,2’−、5,3’−、6,2’−又は6,3’−ジエチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3,2’−、3,3’−、4,2’−、4,3’−、5,2’−、5,3’−、6,2’−又は6,3’−ジメトキシジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−3,4’−ジイソシアネート;ジフェニルエーテル−4、4’−ジイソシアネート;ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート;トリレン−2,6−ジイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート;p−キシリレンジイソシアネート;ナフタレン−2,6−ジイソシアネート;4,4’−[2,2ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネート類において、式(IX)におけるXが芳香族環を有する芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、式(IX)で示されるジイソシアネート類としては、本発明の目的の範囲内で、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネート、あるいは三官能以上のポリイソシアネートを使用することができる。式(IX)で示されるジイソシアネート類は、経日変化を避けるために必要なブロック剤で安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としては、アルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
上記の式(VI)で示されるカーボネートジオール類と式(IX)で示されるジイソシアネート類との配合割合は、水酸基数とイソシアネート基数の比率が、イソシアネート基/水酸基=1.01以上になるようにすることが好ましい。
上記の式(VIII)で示されるカーボネートジオール類と式(IX)で示されるジイソシアネート類との反応は、無溶媒あるいは有機溶媒の存在下で行うことができる。反応温度は、60〜200℃とすることが好ましく、より好ましくは80〜180℃である。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択することができる。例えば、1〜5L(リットル)のフラスコスケールで2〜5時間とすることができる。
このようにして得られる化合物(b−1)のイソシアネート化合物の数平均分子量は、500〜10,000であることが好ましく、1,000〜9,500であることがより好ましく、1,500〜9,000であることが特に好ましい。数平均分子量が500未満であると、反り性が悪化する傾向があり、10,000を超えると、イソシアネート化合物の反応性が低下し、ポリイミド樹脂化することが困難となる傾向がある。
なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値とする。また、本発明の数平均分子量及び分散度は、以下のように定義される。
a)数平均分子量(Mn
n=Σ(Nii)/Ni=ΣXii
(Xi=分子量Miの分子のモル分率=Ni/ΣNi
b)重量平均分子量
w=Σ(Nii 2)/ΣNii=ΣWii
(Wi=分子量Miの分子の重量分率=Nii/ΣNii
c)分子量分布(分散度)
分散度=Mw/Mn
(b)成分のイソシアネート化合物として、化合物(b−1)以外の化合物(以下、化合物(b−2)とする)を使用することもできる。化合物(b−2)としては、化合物(b−1)以外のイソシアネート化合物であれば特に限定されず、例えば、式(IX)で示されるジイソシアネート類、三価以上のポリイソシアネート類等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。化合物(b−2)のイソシアネート化合物の数平均分子量の好ましい範囲は、上記の化合物(b−1)と同様である。
特に耐熱性の点から、化合物(b−1)と化合物(b−2)とを併用することが好ましい。なお、化合物(b−1)及び化合物(b−2)をそれぞれ単独で用いる場合は、フレキシブル配線板用の保護膜としての柔軟性、反り性等の点から、化合物(b−1)を使用することが好ましい。
化合物(b−2)としては、その総量の50〜100重量%が芳香族ポリイソシアネートであることが好ましく、耐熱性、溶解性、機械特性、コスト面等のバランスを考慮すれば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
化合物(b−1)と化合物(b−2)を併用する場合、化合物(b−1)/化合物(b−2)の当量比で0.1/0.9〜0.9/0.1とすることが好ましく、0.2/0.8〜0.8/0.2とすることがより好ましく、0.3/0.7〜0.7/0.3とすることが特に好ましい。当量比がこの範囲にあると、良好な反り性、密着性と良好な耐熱性等の膜特性をともに得ることができる。
(b)成分のうちアミン化合物としては、上記の(b)成分のイソシアネート化合物におけるイソシアナト基をアミノ基に転換した化合物が挙げられる。イソシアナト基のアミノ基への転換は、公知の方法により行うことができる。アミン化合物の数平均分子量の好ましい範囲は、上記の化合物(b−1)と同様である。
また、(a)成分の酸無水物基を有する三価のポリカルボン酸又はその誘導体及び/又は酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸の配合割合は、(b)成分中のイソシアネート基の総数に対する(a)成分中のカルボキシル基と酸無水物基の総数の比が、0.6〜1.4となるようにすることが好ましく、0.7〜1.3となるようにすることがより好ましく、0.8〜1.2となるようにすることが特に好ましい。この比が0.6未満又は1.4を超えると、ポリイミド結合を含む樹脂の分子量を高くすることが困難となる傾向がある。
なお、(a)成分として式(I)で示される化合物、(b)成分として化合物(b−1)を用いた場合、次の式(X):
Figure 2009275114

(式中、R、X、m、nは上記で定義したとおりである)
で示される繰り返し単位を有するポリアミドイミド樹脂を得ることができる。
また、(a)成分として式(IV)で示される化合物、(b)成分として化合物(b−1)を用いた場合、次の式(XI):
Figure 2009275114

(式中、R、X、m、n、Y1は上記で定義したとおりである)
で示される繰り返し単位を有するポリアミドイミド樹脂を得ることができる。
また、(a)成分として式(V)で示される化合物、(b)成分として化合物(b−1)を用いた場合、次の式(XII):
Figure 2009275114

(式中、R、X、m、n、Y2は上記で定義したとおりである)
で示される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂を得ることができる。
本発明において、(A)成分として使用されるイミド結合を含む樹脂の製造方法における(a)酸無水物基を有する三価のポリカルボン酸及びその誘導体、並びに酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸から選ばれる1種以上の化合物と、(b)イソシアネート化合物又はアミン化合物との反応は、有機溶媒、好ましくは非含窒素系極性溶媒の存在下に、遊離発生してくる炭酸ガスを反応系より除去しながら加熱縮合させることにより行うことができる。
上記非含窒素系極性溶媒としては、エーテル系溶媒、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル;含硫黄系溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン;エステル系溶媒、例えば、γ−ブチロラクトン、酢酸セロソルブ;ケトン系溶媒、例えば、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン;芳香族炭化水素系溶媒、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
生成する樹脂を溶解する溶剤を、選択して使用するのが好ましい。合成後、そのままペーストの溶媒として好適なものを使用することが好ましい。高揮発性であって、低温硬化性を付与でき、かつ効率良く均一系で反応を行うためには、γ−ブチロラクトンが最も好ましい。溶媒の使用量は、生成するイミド結合を含む樹脂の0.8〜5.0倍(重量比)とすることが好ましい。0.8倍未満では、合成時の粘度が高すぎて、攪拌不能により合成が困難となる傾向があり、5.0倍を超えると、反応速度が低下する傾向がある。
反応温度は、80〜210℃とすることが好ましく、100〜190℃とすることがより好ましく、120〜180℃とすることが特に好ましい。80℃未満では反応時間が長くなり過ぎ、210℃を超えると反応中に三次元化反応が生じてゲル化が起こり易い。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。
また、必要に応じて、三級アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スズ、亜鉛、チタニウム、コバルト等の金属又は半金属化合物等の触媒存在下に反応を行っても良い。
このようにして得られた樹脂の数平均分子量は、22,000〜50,000であり、24,000〜45,000であることがより好ましく、26,000〜40,000であることが特に好ましく、その時の分散度は1.5〜3.5が好ましく、2.0〜3.0がより好ましい。数平均分子量が22,000未満であると、ポリイミドフィルムとの貼り付きが生じやすい傾向にあり、数平均分子量が50,000を超えると、樹脂の粘性が高くなり、無機フィラー及び/又は有機フィラーの混合性やスクリーン印刷等の作業性が低下する傾向があり好ましくない。
上記のイミド結合を含む樹脂の場合、熱硬化性を向上させるために、(A)成分以外に各種エポキシ樹脂を添加することもできる。硬化剤としてのエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート828等)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製の商品名YDF−170等)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)性の商品名エピコート152、154;日本化薬(株)製の商品名EPPN−201;ダウケミカル社製の商品名DEN−438等)、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製の商品名EOCN−125S、103S、104S等)、多官能エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製の商品名Epon1031S;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名アラルダイト0163;ナガセ化成(株)製の商品名デナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等)、アミン型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート604;東都化成(株)製の商品名YH434;三菱ガス化学(株)製の商品名TETRAD−X、TERRAD−C;日本化薬(株)製の商品名GAN;住友化学(株)製の商品名ELM−120等)、複素環含有エポキシ樹脂(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名アラルダイトPT810等)、脂環式エポキシ樹脂(UCC社製のERL4234、4299、4221、4206等)等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上組合せて使用することができる。これらのエポキシ樹脂のうち、1分子中にエポキシ基を3個以上有するアミン型エポキシ樹脂は、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性の向上の点で特に好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を1個だけ有するエポキシ化合物を含んでいてもよい。このようなエポキシ化合物は、(A)成分であるイミド結合を含む樹脂全量に対して0〜20重量%の範囲で使用することが好ましい。このようなエポキシ化合物としては、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等がある。また、3,4−エポキシシクロヘキシル、メチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物を使用することができる。
これらのエポキシ樹脂の使用量は、(A)成分であるイミド結合を含む樹脂100重量部に対して好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜45重量部、さらに好ましくは3〜40重量部とされる。エポキシ樹脂の配合量が1重量部未満では、硬化性、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性が低下する傾向にあり、50重量部を超えると、耐熱性及び粘度安定性が低下する傾向にある。
エポキシ樹脂の添加方法としては、添加するエポキシ樹脂を(A)成分であるイミド結合を含む樹脂を溶解する有機溶剤と同一の有機溶剤に溶解してから添加してもよく、また、直接添加してもよい。
[(B)成分:無機フィラー]
本発明における(B)成分として用いられる無機フィラーは、ハイドロタルサイト及びシリカを含むものである。また、本発明の効果を損ねない程度にハイドロタルサイトやシリカ以外の無機フィラー及び/又は有機フィラーを加えることができる。
ハイドロタルサイト及びシリカ以外の無機フィラーとしては、例えば、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta25)、ジルコニア(ZrO2)、窒化ケイ素(Si34)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga23)、スピネル(MgO・Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al23/5SiO2)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、チタン酸アルミニウム(TiO2−Al23)、イットリア含有ジルコニア(Y23−ZrO2)、ケイ酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)、有機ベントナイト、カーボン(C)、ハイドロタルサイト(MgAl(OH)12CO・3HO)等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を使用することもできる。
これらの中でも特に、スクリーン印刷性、電気特性をも良好にできる観点から、硫酸バリウムを含むことが好ましい。
有機フィラーとしては、アミド結合、イミド結合、エステル結合又はエーテル結合を有する耐熱性樹脂の微粒子が好ましい。このような耐熱性樹脂としては、耐熱性と機械特性の観点から好ましくはポリイミド樹脂若しくはその前駆体、ポリアミドイミド樹脂若しくはその前駆体、又はポリアミド樹脂の微粒子が用いられる。
有機フィラーとしての耐熱性樹脂は、以下のようにして製造することができる。
まず、ポリイミド樹脂は、(a)芳香族テトラカルボン酸二無水物と(b)芳香族ジアミン化合物とを反応させて得ることができる。
(a)芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビスフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テロラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物、4,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。
上記(a)芳香族テトラカルボン酸二無水物には、目的に応じて芳香族テトラカルボン酸二無水物以外のテトラカルボン酸二無水物を、芳香族テトラカルボン酸二無水物の50モル%を超えない範囲で用いることができる。このようなテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス{エキソービシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物}スルホン、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
次に、(b)芳香族ジアミン化合物としては、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4’−ジアミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3,4’−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。
上記(b)芳香族ジアミン化合物には、目的に応じて芳香族ジアミン化合物以外のジアミン化合物を芳香族ジアミン化合物の50モル%を超えない範囲で用いることができる。このようなジアミン化合物としては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルポリシロキサン等が挙げられる。上記(a)芳香族テトラカルボン酸二無水物と上記(b)芳香族ジアミン化合物とは、ほぼ等モルで反応させることが膜特性の点で好ましい。
(a)芳香族テトラカルボン酸二無水物と(b)芳香族ジアミン化合物との反応は、有機溶媒中で行う。有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ2(1H)−ピリミジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化合物;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコ−ルジメチル(又はジエチル、ジプロピル、ジブチル)エーテル、トリエチレングリコール(又はジエチル、ジプロピル、ジブチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はジエチル、ジプロピル、ジブチル)エーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ブタノール、オクチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル等のアルコール類;フェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トリクロロエタン、テトタクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等が用いられる。これらの有機溶媒は、単独又は混合して用いられる。溶解性、低吸湿性、低温硬化性、環境安全性等を考慮するとラクトン類、エーテル類、ケトン類等を用いることが好ましい。
反応温度は80℃以下、好ましくは0〜50℃で行う。反応が進行するにつれ反応液は徐々に増粘する。この場合、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が生成する。このポリアミド酸を部分的にイミド化してもよく、これもポリイミド樹脂の前駆体に含まれる。
ポリイミド樹脂は、上記反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環して得られる。脱水閉環は、120℃〜250℃で熱処理する方法(熱イミド化)や脱水剤を用いて行う方法(化学イミド化)で行うことができる。120℃〜250℃で熱処理する方法の場合、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて水を共沸除去してもよい。
脱水剤を用いて脱水閉環を行う方法は、脱水剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等を用いるのが好ましい。このとき必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジンイミダゾール等の脱水触媒を用いてもよい。脱水剤又は脱水触媒は、芳香族テトラカルボン酸二無水物1モルに対し、それぞれ1〜8モルの範囲で用いることが好ましい。
ポリアミドイミド樹脂又はその前駆体は、前記ポリイミド樹脂又はその前駆体の製造において、芳香族テトラカルボン酸二無水物の代わりに、トリメリット酸無水物又はトリメリット酸無水物誘導体(トリメリット酸無水物のクロライド等)等の三価のトリカルボン酸無水物又はその誘導体を使用して製造することができる。また、芳香族ジアミン化合物及びその他のジアミン化合物の代わりに、アミノ基以外の残基がそのジアミン化合物に対応するジイソシアネート化合物を使用して製造することもできる。使用できるジイソシアネート化合物としては、前記芳香族ジアミン化合物又はその他のジアミン化合物とホスゲン又は塩化チオニルを反応させて得られるものがある。
ポリアミド樹脂は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、これらのジクロライド、酸無水物等の誘導体と前記した芳香族ジアミン化合物又はこれと他のジアミン化合物を反応させることにより製造することができる。
エステル結合を有する耐熱性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂が挙げられ、ポリエステル樹脂としては、上記のテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、これらのジクロライド、酸無水物等の誘導体と1,4−ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール化合物を反応させて得られるものがある。
また、ポリアミドイミド樹脂としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物と、イソフタル酸ジヒドラジドを必須成分として含有する芳香族ジアミン化合物とを反応させて得られるポリアミドイミド樹脂が好ましく用いられる。芳香族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族ジアミン化合物としては、前記のものが用いられる。イソフタル酸ジヒドラジドの芳香族ジアミン化合物中のモル比は1〜100モル%とすることが好ましい。1モル%未満では変性ポリアミドイミド樹脂に対する耐溶解性が低下する傾向にあり、イソフタル酸ジヒドラジドの含有量が多いと本発明のペーストによって形成される層の耐湿性が低下する傾向にあるので10〜80モル%がより好ましく、20〜70モル%が特に好ましく用いられる。このポリアミドイミド樹脂は芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物との配合比、使用有機溶媒、合成法等を前記ポリイミド樹脂の合成と同様にして得ることができる。
トリメリット酸無水物及び必要に応じてジカルボン酸とポリイソシアネートを反応させて得られるポリアミドイミド樹脂は、加熱することにより有機溶剤に不溶性になりやすく、このポリアミドイミド樹脂からなる有機微粒子を使用することもできる。このポリアミドイミド樹脂の製造方法については、前記したポリアミドイミド樹脂の製造方法と同様にして製造することができる。
微粒子化の方法としては、例えば、非水分散重合法(特公昭60−48531号公報、特開昭59−230018号公報)、沈殿重合法(特開昭59−108030号公報、特開昭60−221425号公報)、樹脂溶液から改修した粉末を機械粉砕する方法、樹脂溶液を貧触媒に加えながら高せん断下に微粒子化する方法、樹脂溶液の噴霧溶液を乾燥して微粒子を得る方法、洗剤又は樹脂溶液中で溶剤に対して溶解性の温度依存性を持つ樹脂を析出微粒子化する方法等がある。
本発明における無機微粒子及び/又は有機微粒子としては、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒子径をもつものが好ましく用いられる。平均粒子径が50μmを超えると後述するチキソトロピー係数が1.1以上のペーストが得られにくくなり、最大粒子径が100μmを超えると塗膜の外観、密着性が不十分となる傾向がある。平均粒子径は、より好ましくは、30μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは1μm以下であり、最大粒子径はより好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは40μm以下である。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)成分である樹脂を有機溶剤に溶解して樹脂溶液とし、(B)成分である無機微粒子及び/又は有機微粒子を分散させて製造することができる。
本発明の樹脂組成物において、(B)成分として用いる無機微粒子及び/又は有機微粒子の含有量は、(A)成分100重量部に対して1〜250重量部とすることが好ましく、30〜200重量部とすることがより好ましく、50〜100重量部とすることが特に好ましい。(B)成分の含有量がこれよりも少ない場合、ペーストの粘度及びチキソトロピー係数が低くなり、ペーストの糸引きが増加するとともに印刷後のペーストの流れ出しが大きくなり、膜厚も薄膜化する傾向があり、電気特性が劣る傾向になる。また、(B)成分の含有量がこれより多い場合、ペーストの粘度及びチキソトロピー係数が高くなり、ペーストの基材への転写性が低下するとともに印刷膜中のボイド及びピンホールが増加する傾向がある。
(A)成分の樹脂を溶解する有機溶剤としては、非含窒素系極性溶媒としてエーテル系溶媒、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル;含硫黄系溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン;エステル系溶媒、例えば、γ−ブチロラクトン、酢酸セロソルブ;ケトン系溶媒、例えば、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン;芳香族炭化水素系溶媒、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。生成する樹脂により溶解性が異なるので、樹脂を溶解可能な溶剤を選択して使用する。
熱硬化性樹脂の溶液に無機及び/又は有機の微粒子を分散させる方法としては、通常、塗料分野で行われているロール練り、ミキサー混合等が適用され、十分な分散が行われる方法であれば良い。
本発明の樹脂組成物には、塗工時の作業性及び被膜形成前後の膜特性を向上させるため、消泡剤、レベリング剤等の界面活性剤類、染料又は顔料等の着色剤類、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、滑剤を添加することもできる。
本発明の樹脂組成物は、回転型粘度計での粘度が25℃で20Pa・s〜80Pa・sであり、特に30〜50Pa・sであることが好ましい。また、チキソトロピー係数が1.1以上であることが好ましい。粘度が20Pa・s未満であると、印刷後のペーストの流れ出しが大きくなるとともに膜厚が薄膜化する傾向があり、粘度が80Pa・sを超えるとペーストの基材への転写性が低下するとともに印刷膜中のボイド及びピンホールが増加する傾向がある。またチキソトロピー係数が1.1未満であると、ペーストの糸引きが増加するとともに印刷後のペーストの流れ出しが大きくなり、膜厚も薄膜化する傾向がある。
ここで、樹脂組成物の粘度は、E型粘度計(東機産業社製、RE80U型)を用いて、試料量0.2ml又は0.5mlで測定した回転数10rpmの粘度として表される。またペーストのチキソトロピ−係数(TI値)はE型粘度計(東機産業社製、RE80U型)を用いて、試料量0.2ml又は0.5mlで測定した回転数1rpmと10rpmのペーストのみかけ粘度、η1とη10の比η1/η10として表される。
本発明は、また上記の樹脂組成物を、フレキシブル配線板の配線パターンにスクリーン印刷した後、熱硬化させて硬化膜を形成し、保護膜としたフレキシブル配線板に好適に使用できる。特に、配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板の表面の保護膜用途に適している。熱硬化の条件は、メッキ層の拡散を防ぎ、かつ保護膜として好適な反り性、柔軟性を得る観点から、好ましくは、80℃〜130℃、特に好ましくは90℃〜120℃であるが、この範囲には限定されず、例えば、50〜200℃、中でも、50〜140℃の範囲で硬化させることもできる。また、加熱時間は、メッキ層の拡散を防ぎ、かつ保護膜として好適な反り性、柔軟性を得る観点から、60〜150分、好ましくは、80〜120分であるが、この範囲には限定されず、1〜1,000分、例えば、5〜300分、中でも、10〜150分の範囲で硬化させることもできる。
[被膜形成材料]
本発明の樹脂組成物は、上述した樹脂組成物を含み、各種電気製品や電子部品の被膜形成材料としてスクリーン印刷、ディスペンサ、スピンコートなどの塗布方法に好適に用いられる。特に、スクリーン印刷に好適に用いられる。
本発明による樹脂組成物は、例えば、半導体素子、プリント基板分野などの電子部品用オーバーコート材、液状封止材、層間絶縁膜、表面保護膜、ソルダレジスト層、接着層などとして好適に用いられる。また、エナメル線用ワニス、電気絶縁用含浸ワニス、注型ワニス、マイカ、ガラスクロス等の基材と組み合わせたシート用ワニス、MCL積層板用ワニス、摩擦材料用ワニスなどにも使用できる。また、樹脂被膜が回路基板等から剥離することなく、基材と樹脂同士の密着性及び印刷作業性に優れるため、信頼性の高い電子部品が得られる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
合成例1
[高分子樹脂の合成]
攪拌機、油分分離機付冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた3リットルの四つ口フラスコに、γ-ブチロラクトン61.72g、プラクセルCD−220(ダイセル化学工業株式会社製、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオールの商品名)74.64g(0.37モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.46モル)トルエンジイソシアネート58.4g(0.34モル)を仕込み、150℃まで昇温した。150℃で4時間反応させた。
次いで、無水トリメリット酸88.4g(0.46モル)を仕込み70℃で3時間反応させた。次いで再び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート6.76g(0.027モル)トルエンジイソシアネート0.0034g(0.00002モル)を仕込み、120℃で1時間、180℃で3時間反応させた。反応後、γ-ブチロラクトンを341.6g仕込み冷却し、2−ブタノンオキシム(和光純薬工業株式会社製)を9.5g(0.11モル)を仕込み、120℃で3時間反応させて、数平均分子量38,000の樹脂を得た。数平均分子量は、反応時間毎に反応溶液を少量採取し、ガードナー製の気泡粘度計による粘度変化率を観察することで調整することができる。得られた樹脂をγ-ブチロラクトンで希釈し、不揮発分50重量%のポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
(合成例2)
攪拌機、油分分離機付冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた3リットルの四つ口フラスコに、γ-ブチロラクトン61.72g、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「プラクセルCD−220」)74.64g(0.37モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.46モル)トルエンジイソシアネート58.4g(0.34モル)を仕込み、150℃まで昇温し、150℃で4時間反応させた。
次いで、上記反応物に、無水トリメリット酸88.4g(0.46モル)を仕込み70℃で3時間反応させた。次いで再び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート6.76g(0.027モル)、トルエンジイソシアネート0.0034g(0.00002モル)を仕込み、120℃で1時間、180℃で3時間反応させた。反応後、γ‐ブチロラクトンを341.6g仕込み冷却し、さらに無水ピロメリット酸0.02g(0.0001モル)を仕込み、120℃で3時間反応させて、数平均分子量38,000の樹脂(ポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂:本発明の(A)成分)を得た。数平均分子量は、反応時間毎に反応溶液を少量採取し、ガードナー製の気泡粘度計による粘度変化率を観察することで調整することができる。得られた樹脂をγ-ブチロラクトンで希釈し、不揮発分50重量%のポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
実施例1
合成例1で得られた数平均分子量が38,000のポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂溶液を混合し、樹脂分100重量部に対して、溶剤処理液を1重量部、消泡剤(A)(楠本化成工業株式会社製 商品名:ディスパロン230)0.1重量部、20℃で30分間攪拌した。更に、硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製 商品名:B−31)を70重量部、ハイドロタルサイト(堺化学株式会社製 商品名:HT−P)20重量部、シリカ(日本アエロジル株式会社製 商品名:R−974)10重量部を予めビーズミルで分散したものを配合し、必要に応じてγ−ブチロラクトン等の溶剤を加えて20℃で1時間攪拌し、更に、アミン型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製 商品名:YH−434L)を10重量部加え、20℃で1時間攪拌し、ポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。
実施例2
実施例1においてハイドロタルサイトを30重量部にした以外は、実施例1と全く同様の操作を行いポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。
実施例3
実施例1においてハイドロタルサイトを50重量部にした以外は、実施例1と全く同様の操作を行いポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。
実施例4
実施例1においてシリカを20重量部にした以外は、実施例1と全く同様の操作を行いポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。
実施例5
実施例1においてシリカを30重量部にした以外は、実施例1と全く同様の操作を行いポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。
比較例1
実施例1においてハイドロタルサイトを配合しない以外は実施例1全く同様の操作を行いポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。
比較例2
実施例1においてシリカを配合しない以外は実施例1全く同様の操作を行いポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。
比較例3
実施例1においてシリカの代わりにタルク(日本タルク株式会社製 商品名:ST−200)を配合した以外は実施例1全く同様の操作を行いポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。
比較例4
合成例2で得られた数平均分子量が38,000のポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂溶液を混合し、樹脂分100重量部に対して、溶剤処理液を1重量部、消泡剤(A)(楠本化成工業株式会社製 商品名:ディスパロン230)0.1重量部、20℃で30分間攪拌した。更に、硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製 商品名:B−31)を70重量部、ハイドロタルサイト(堺化学株式会社製 商品名:HT−P)20重量部を予めビーズミルで分散したものを配合し、必要に応じてγ−ブチロラクトン等の溶剤を加えて20℃で1時間攪拌し、更に、アミン型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製 商品名:YH−434L)を10重量部加え、20℃で1時間攪拌し、ポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を得た。
上記の実施例及び比較例で得られたポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物及びポリアミドイミド樹脂組成物のポリイミドフィルムとの張り付き特性を下記の方法で測定し、結果を表1に示した。
印刷性
35μmの銅箔上に、得られたポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を印刷機(ニューロング株式会社製 商品名:LS―34GX)とメッシュ版(株式会社ムラカミ製 150メッシュ)により、印刷速度100mm/secで30mm角を印刷し、印刷直後のレベリング性及び樹脂組成物の糸引きを目視で観察した。レベリングが良好で且つ糸引きがない場合を○、レベリングが若干悪く、糸引きもある場合を△、レベリング、糸引きが顕著にある場合を×とする。
印刷外観
35μmの銅箔上に、得られたポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を印刷機(ニューロング株式会社製 商品名:LS―34GX)とメッシュ版(株式会社ムラカミ製 150メッシュ)により、印刷速度100mm/secで30mm角を印刷し、
印刷後の外観(泡跡、凝集物など)を100倍率の顕微鏡で観察した。泡跡、凝集物がない場合を○、若干ある場合を△、顕著にある場合を×とする。
電気特性
ポリイミド基材上にライン幅15μm、スペース幅15μmでくし型状にスズメッキされた銅電極を覆うように、得られたポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を印刷機(ニューロング株式会社製 商品名:LS−34GX)とメッシュ版(株式会社ムラカミ製 150メッシュ)で印刷速度100mm/secで印刷し、空気雰囲気下で120℃、60分加熱硬化してポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂被膜付きポリイミド基材くし型電極を得た。得られたポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂被膜付きポリイミド基材くし型電極を連続抵抗測定機(IMV株式会社製 商品名:Ion Migration Tester MIG−8600)と不飽和型プレッシャークッカ(株式会社平山製作所製 商品名:HAST PC−422R8D)を用いて温度120℃、湿度85%、印加電圧60V、印加時間100時間の条件で通電後の108Ω以上の抵抗の保持を確認する。評価は同条件で3回行ない、3回とも抵抗の保持が確認できれば良好である。
貼り付き性
印刷後のポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を空気環境下で120℃、60分で硬化させた試験片をリール状のポリイミドフィルムに挟み、巻き取った後500gの荷重をかけ、25℃で48時間放置する。所定時間放置した後の試験片をポリイミドフィルムから剥がれる荷重を測定する。フィルムから剥がれる荷重はゼロに近いほど良好である。
保存安定性
作製したポリカーボネート変性ポリアミドイミド樹脂組成物を25℃の温度下でE型粘度計の10rpmで粘度を測定する。測定後設定温度7℃の冷蔵庫内に保管し、1ヶ月後に同条件で粘度を測定し、下記に示す式で作製時からの増粘率を算出した。
増粘率=1ヶ月後の粘度/作製時の粘度
Figure 2009275114
以上の結果から、次のことが判った。
樹脂組成物中にハイドロタルサイト及びシリカを配合することで、高温高湿下において安定した電気特性を得ることができ、更に保存安定性が良好で、硬化後のポリイミドフィルムとの張り付き性を低減できる。しかし、過剰な配合量は消泡性、レベリング性の悪化など印刷外観上不具合を生じ、好ましくない。
以上説明したように、本発明による樹脂組成物及び被膜形成材料は、各種電気製品や電子部品の被膜形成材料としてスクリーン印刷、ディスペンサ、スピンコートなどの塗布方法に好適に用いられる。また、硬化後のポリイミドフィルムとの貼り付きが生じにくいことから、ポリイミドフィルムと硬化膜間のスペーサを排除できるなど作業性、コスト面で有用である可能性がある。

Claims (5)

  1. (A)少なくとも1つの酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂、(B)ハイドロタルサイト及びシリカを含む無機フィラー及び(C)エポキシ樹脂、を含有する熱硬化性樹脂組成物。
  2. (A)少なくとも1つの酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂が、
    下記一般式(I)
    Figure 2009275114

    (式中、複数個のRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基であり、Xは2価の有機基であり、m及びnは、それぞれ独立に1〜20の整数である)で示されるポリウレタン構造を含む熱硬化性樹脂である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分が、イソシアネート残基を、酸無水物基を有する3価以上のポリカルボン酸またはその誘導体で反応せしめて得られるイミド結合、アミドイミド結合、アミド樹脂から選択される少なくとも1種の結合を有する樹脂である請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(B)ハイドロタルサイト及びシリカを含む無機フィラー含有量が、前記(A)樹脂100重量部に対して、50〜100重量%であり、前記無機フィラー中に占めるハイドロタルサイトの含有率が20〜50質量%であり、更にシリカの含有率が10〜30質量%である請求項1から請求項3のうち、いずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント基板の保護膜用である請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
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