JP2009274881A - 燃料改質装置および燃料改質方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロ波を吸収しにくいアンモニア等であっても、比較的低温で効率よく改質できる燃料改質装置を提供する。
【解決手段】本発明は、触媒反応によりアンモニアおよびヒドラジンの少なくとも一方からなる窒化水素系ガス燃料Gを分解して水素および窒素を生成する燃料改質装置である。本発明の燃料改質装置は、遷移金属およびその酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含む改質触媒23と、改質触媒23を収容するとともに窒化水素系ガス燃料Gが供給され改質触媒23と窒化水素系ガス燃料Gとが接触する反応容器21と、改質触媒23にマイクロ波を照射して加熱するマイクロ波照射手段22と、を備える。
マイクロ波を改質触媒に照射すると、改質触媒自体が加熱されて活性化される。さらに、窒化水素系ガス燃料は触媒金属との反応性が高いため、マイクロ波による触媒の活性化とあわせて相乗的に改質反応が促進される。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素を製造する燃料改質装置、特に、燃料電池に供給される水素の製造に最適な燃料改質装置および燃料改質方法に関する。
近年、水素を燃料とする燃料電池で駆動される自動車の開発が活発に行われている。水素を燃料とする燃料電池からの排ガスは、内燃機関からの排ガスのように有害物質や二酸化炭素を含まない。つまり、燃料電池は、環境汚染や地球温暖化を抑制できるクリーンエネルギーとして最適である。
しかし、水素は取り扱いが困難であり、貯蔵や運搬が容易ではない。そのため、貯蔵運搬性に優れるメタノールやエタノールといった炭化水素系燃料を改質することで水素ガスを得る方法が、検討されている。炭化水素系燃料の改質方法のひとつに水蒸気改質がある。水蒸気改質では、改質反応は吸熱反応であるため、外部からバーナや電気ヒータなどで反応系を加熱する必要がある。特に、特許文献1には、400℃程度の低温域でも効率よく炭化水素系燃料の改質を行うことができる水蒸気改質が開示されている。具体的には、セリア担体にロジウムの微粉を担持したペレット状の触媒を用い、マイクロ波の照射により加熱された触媒にエタノールと水との混合液を気化してなる混合ガスを接触させ、改質を行う。
一方、エタノールの代わりにアンモニアを分解して水素を生成する方法が注目されている。アンモニアは、室温において液化状態で貯蔵することが可能であり、炭化水素系燃料と違って改質において二酸化炭素を発生しないという利点もある。また、体積当たりおよび重量当たり多くのHを生成するので、水素源として有望である。たとえば、特許文献2には、ニッケル/アルミナ触媒を用い、800〜900℃においてアンモニアを分解する改質方法が開示されている。また、特許文献3には、アルミナおよびセリアを混合した多孔質担体に白金およびロジウムを担持したペレット触媒を用い、アンモニアを分解する改質方法が開示されている。
特開2007−774号公報 特開2005−145748号公報 特開2003−40602号公報
特許文献1に記載の改質方法では、触媒にマイクロ波を照射するが、実質的には改質されるエタノールと水との混合ガス自体がマイクロ波を吸収するため、効率よく改質反応が進行する。ところが、アンモニアは、マイクロ波をほとんど吸収しない。そのため、アンモニアは、マイクロ波を用いた改質には適さない。また、特許文献2では、分解触媒としてニッケル系の触媒を用い800〜900℃の高温でアンモニアの分解が行われているが、より低温での分解を進行させるには、特許文献3のように貴金属の使用が不可欠である。
本発明は、上記問題点に鑑み、マイクロ波を吸収しにくいアンモニア等であっても、比較的低温で効率よく改質できる燃料改質装置および燃料改質方法を提供することを目的とする。
本発明の燃料改質装置は、触媒反応によりアンモニアおよびヒドラジンの少なくとも一方からなる窒化水素系ガス燃料を分解して水素および窒素を生成する燃料改質装置であって、
遷移金属およびその酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含む改質触媒と、
前記改質触媒を収容するとともに前記窒化水素系ガス燃料が供給され該改質触媒と該窒化水素系ガス燃料とが接触する反応容器と、
前記改質触媒にマイクロ波を照射して加熱するマイクロ波照射手段と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の燃料改質方法は、触媒反応によりアンモニアおよびヒドラジンの少なくとも一方からなる窒化水素系ガス燃料を分解して水素および窒素を生成する燃料改質方法であって、
遷移金属およびその酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含む改質触媒にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程と、
前記マイクロ波照射工程中に前記改質触媒に前記窒化水素系ガス燃料を接触させて該窒化水素系ガス燃料を改質する燃料改質工程と、
からなることを特徴とする。
本発明の燃料改質装置および燃料改質方法では、アンモニアおよびヒドラジンの少なくとも一方からなる窒化水素系ガス燃料を改質する。これらの窒化水素系ガス燃料は、改質されても二酸化炭素を排出しない。また、加圧により容易に液化するため、貯蔵運搬性に優れる。すなわち、窒化水素系ガス燃料は、水素源として好適である。
ところが、上記窒化水素系ガス燃料は、マイクロ波をほとんど吸収しない。しかし、遷移金属およびその酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含む改質触媒は、窒化水素系ガス燃料の改質において触媒作用を示すとともにマイクロ波の吸収が極めて高い。そのため、マイクロ波を改質触媒に照射すると、改質触媒自体が加熱されて活性化される。さらに、窒化水素系ガス燃料は触媒金属との反応性が高いため、窒化水素系ガス燃料がマイクロ波をほとんど吸収しなくても、マイクロ波による触媒の活性化とあわせて相乗的に改質反応が促進される。
また、改質触媒にマイクロ波が照射されると、主として改質触媒の表層部が高温状態になると考えられる。すなわち、バーナや電気ヒータを用いた外部加熱による昇温と比較して、全体としては低温での改質が可能になる。その結果、窒化水素系ガス燃料の供給量を高くしても、転化率(改質率)を高い状態で維持できる。
本発明の燃料改質装置および燃料改質方法では、改質触媒として貴金属を使用しなくても低温での改質が可能となる。したがって、改質を低廉に行うことができる。
また、本発明の燃料改質装置は、水素極と空気極とを有する燃料電池に水素を供給するように構成された燃料電池システムに用いられるとよい。
以下に、本発明の燃料改質装置および燃料改質方法を実施するための最良の形態を説明する。
[燃料改質装置]
本発明の燃料改質装置は、触媒反応によりアンモニアおよびヒドラジンの少なくとも一方からなる窒化水素系ガス燃料を分解して水素および窒素を生成する燃料改質装置である。窒化水素系ガス燃料は、加圧により容易に液化するため、液状で貯蔵運搬が可能である。改質の際には、気化させてガス状で用いられる。窒化水素系ガス燃料が改質されると、水素と窒素を生成する。たとえば、窒化水素系ガス燃料がアンモニアである場合には、以下の式で表される触媒反応により分解されて改質される。
2NH → N + 3H
すなわち、アンモニア1モルの分解により1.5モルのHが生成(改質後の水素濃度の理論値は75%)する。また、内容積50リットルの圧力容器に充填された液化アンモニアからは7.2kgのHを生成することができる。なお、アンモニアの分解反応は、触媒を用いない場合には1000℃以上の高温領域で起こるが、改質触媒の利用により低温領域での改質が可能となる。
本発明の燃料改質装置は、主として、改質触媒と、改質触媒を収容する反応容器と、改質触媒にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段と、を備える。
反応容器は、改質触媒を収容するとともに窒化水素系ガス燃料(以下「燃料ガス」と略記することもある)が供給され、その中で改質触媒と燃料ガスとが接触し触媒反応が行われる。反応容器の形状に特に限定はないが、管状であるのが好ましく、一端部から燃料ガスが供給され、改質触媒が収容された中央部を通過し、他端部より生成された改質ガス(主として水素を含む)が排出されるとよい。
反応容器は、マイクロ波を透過しやすく、かつ、耐熱性の高い材料からなるのが好ましい。たとえば、石英ガラス、アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア、マグネシアなどが挙げられる。なお、反応容器の周囲は、断熱材で被覆されていてもよい。断熱材には、マイクロ波を透過しやすい材料、たとえば、アルミナファイバーなどを用いるとよい。
改質触媒は、触媒成分として、遷移金属およびその酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含む。遷移金属元素を含む改質触媒は、窒化水素系ガス燃料との反応性が高く、マイクロ波を吸収しやすい。なお、遷移金属元素は、周期表の3〜11族である。遷移金属元素として具体的には、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、が挙げられ、特に、Ni、Co、Feおよびこれらの酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含む改質触媒は、マイクロ波の吸収が極めて高いため好ましい。また、改質触媒は、貴金属を含まなくてもよい。低温域での効率よい改質を目的として、従来から貴金属を含む触媒が多く用いられている。本発明の燃料改質装置においては、貴金属を用いなくても低温域で効率のよい改質を行うことができる。
改質触媒は、燃料ガスとの接触面積が大きくなるような形態で反応容器に収容されるのがよい。そのため、各種基材に触媒成分を担持させて用いるとよい。基材として、アルミナ、シリカ、マグネシアなどのセラミックス製の多孔質担体を用いることができる。たとえば、ペレット状の多孔質基材に触媒成分を担持したペレット触媒、触媒成分を担持したハニカム形状の基材、などが挙げられる。このとき、触媒成分の担持量は、改質触媒全体を100質量%としたときに、10〜70質量%さらには20〜40質量%が好ましい。10質量%未満では、マイクロ波の吸収が悪くなるとともに触媒としての効果も低下するため、改質が十分に行われないことがある。担持量が多いほどマイクロ波の吸収は高くなるが、70質量%を超えると、改質触媒の製造が困難となるため好ましくない。
マイクロ波照射手段は、改質触媒にマイクロ波を照射して加熱する手段である。マイクロ波照射手段には、マグネトロン、ジャイラトロン、クライストロン、固体素子発振器などのマイクロ波発振器を用いるのが好ましい。マイクロ波周波数は、通常、0.3〜30GHz(波長10mm〜1m)が用いられるが、特に1〜10GHzの範囲が好ましい。
マイクロ波発振器は、たとえば、同軸ケーブルや導波管を介して空胴共振器に接続されて用いられる。この構成により、マイクロ波発振器から発生したマイクロ波が、空胴共振器内に導入され、マイクロ波は共振される。そして、空胴共振器には反応容器が挿入され、改質触媒にマイクロ波が集中して照射される。空胴共振器は、単一モードの直方体型空胴共振器、単一モードの円筒型空胴共振器、または、多重モードのマイクロ波オーブン(電子レンジ)のいずれを用いてもよい。単一モードの空胴共振器は、改質触媒を急速に加熱することができるので、極めて短時間で改質を行うことができる。一方、多重モードのマイクロ波オーブンは、空胴共振器内の共振を制御する必要がなく、任意の位置に改質触媒を配設することができる。本発明の燃料改質装置では、加熱速度と加熱効率の点において、空胴共振器として単一モード方式を用いるのが好ましい。
以上説明した本発明の燃料改質装置により水素を得る際には、はじめに、マイクロ波照射手段により改質触媒にマイクロ波を照射する。次いで、マイクロ波が照射されて昇温された反応容器内にアンモニアガスなどの燃料ガスを供給する。燃料ガスは、マイクロ波の照射により活性化された改質触媒と接触して分解される。反応後には、窒素および場合によっては未反応の燃料ガスとともに水素が得られる。
[燃料改質方法]
本発明の燃料改質方法は、触媒反応によりアンモニアおよびヒドラジンの少なくとも一方からなる窒化水素系ガス燃料を分解して水素および窒素を生成する燃料改質方法であって、マイクロ波照射工程と、マイクロ波照射工程中に行われる燃料改質工程と、からなる。本発明の燃料改質方法には、上記本発明の燃料改質装置を用いるのが好適である。
マイクロ波照射工程は、改質触媒にマイクロ波を照射する工程である。改質触媒については、既に説明した通りである。また、照射するマイクロ波についても既に説明した。このとき、改質触媒の温度は400℃以上さらには500℃以上に昇温するとよい。また、本発明の燃料改質方法によれば、低温域であっても効率よく改質を行うことができるため、800℃以上の高温にする必要はない。すなわち、改質触媒の温度の上限は800℃未満さらには700℃以下、650℃以下としてもよい。なお、ここでいう改質触媒の温度とは、改質触媒層を構成する触媒粒子の表面の微視的な高温部の温度ではなく、改質触媒層全体の温度である。
燃料改質工程は、マイクロ波照射工程中に、改質触媒に窒化水素系ガス燃料を接触させて窒化水素系ガス燃料を改質する工程である。改質触媒に窒化水素系ガス燃料(燃料ガス)を接触させる際には、燃料ガスの供給速度をガス空間速度SV(供給する燃料ガスの体積/改質触媒の体積/時間)にして1000〜50000hr−1さらには3000〜30000hr−1とするのが望ましい。1000hr−1未満では改質される燃料ガスの量が少ないため実用的ではない。また、本発明の燃料改質方法によれば、ガス空間速度が上昇しても転化率(改質率)の低下が抑制されるが、50000hr−1を超えると燃料ガスの転化率が著しく低下するため望ましくない。
以上、本発明の燃料改質装置および燃料改質方法の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の燃料改質装置および燃料改質方法の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
[燃料改質装置]
実施例の燃料改質装置について、図1および図2に基づいて説明する。なお、図1は、燃料改質装置の全体構成の概略を示すブロック図である。また、図2は、燃料改質装置の一部を示す模式図である。
燃料改質装置は、燃料供給部10と改質反応部20とからなる。燃料供給部10は、燃料ガスGを液体の状態で貯留し送出する燃料貯留送出部11およびこの液体を気化して燃料ガスGを得る蒸発部13をもつ。蒸発部13は、液体燃料流路12を介して燃料貯留送出部11と連通する。また、蒸発部13は、燃料ガス流路14を介して改質反応部20に連通する。
改質反応部20は、石英ガラス製で筒状の反応管21とマイクロ波照射手段22とを備える。反応管21内の長手方向中央部には、改質触媒23が保持されている。反応管21の長手方向一端部は燃料ガスGが供給される供給口21iであり、長手方向他端部は反応後の改質ガスG’を排出する排出口21eである。改質触媒23が収容されている中央部の外周は、断熱材24で覆われている。
マイクロ波照射手段22は、マイクロ波発振器としてマグネトロン29および空胴共振器30を有する。マグネトロン29は、空胴共振器30に導波管28を介して接続されている。空胴共振器30は、アルミニウム製で略直方体状の箱状であり、その内部に反応管21の中央部(改質触媒23が保持される部分)が内蔵されるように反応管21が挿入される。
空胴共振器30は、長手方向の一端30Aに導波管28が接続され、マイクロ波が導入されるようになっており、単一モードの共振を生じるようにマイクロ波周波数に対する断面寸法(マイクロ波の進行方向である長手寸法×幅寸法)が決められている。なお、後に説明するアンモニアガスの改質では、空胴共振器30の共振モード(電磁界モード)としてTE10n(nは整数)モードを用いた。また、nの値を3とした。そして、マグネトロン29は2.45GHzで用いるため、空胴共振器30は、断面寸法が110mm×55mmの直方体状である。
また、空胴共振器30は、反応管21に燃料ガスGが供給されている間に空胴共振器30を共振状態にするための調整手段として、マイクロ波の反射率を0に近づけるべくマイクロ波が入射される開口面積を変化させ得るアイリス(可変結合窓)32、および、空胴共振器30の周波数のマイクロ波周波数に対するずれを補正すべく空胴共振器30の長手寸法を変化させ得るプランジャ34、を備えている。アイリス32の開口面積、空胴共振器30の長手寸法(プランジャ34の位置)は、反応管21に供給される燃料ガスGの種類および流量、改質触媒23の種類や量に応じて、図示しない制御手段により適宜調整される。なお、空胴共振器30の共振状態とは、空胴共振器30の周波数がマイクロ波周波数に一致する状態であり、この状態では反射率(反射電力)がほぼ0となる。
そして、反応管21は、その中央部が、共振状態の空胴共振器30内における電界強度Eが最大となる部位(定在波の腹位置:図2参照)に配置される。すなわち、上記の通りTE103モードの空胴共振器30における長手方向および幅方向の各中央部に改質触媒23が配置されることで、マイクロ波のエネルギーは改質触媒23に集中して照射される。
燃料ガスGは、供給口21iから反応管21内に供給される。燃料ガスGは、マイクロ波の照射によって加熱されている改質触媒23に接触する。両者が接触することで、燃料ガスGは分解されて水素リッチの改質ガスG’が生成され、排出口21eから排出される。
[アンモニアガスの改質]
上記の燃料改質装置を用い、下記の手順によりアンモニアガスの改質を行った。
はじめに、改質触媒23を作製した。担体基材としてアルミナ、触媒成分として酸化ニッケル(NiO)を用い、全体を100質量%としたときにNiOが30質量%となるようにアルミナ担体にNiOを担持した化合物をペレット状にした。得られた改質触媒23は、前述のように反応管21の中央部に収容した。そして、改質触媒23が挿入された反応管21を電界最大位置に設置した後、空胴共振器30が共振状態になるようにアイリス32の開口面積とプランジャ34の位置を調整した。
マイクロ波の照射を開始すると、10秒後に、改質触媒23は室温から500℃に昇温された。そして、反応管21の供給口21Aからアンモニアガスを供給すると、マイクロ波の照射を開始してから20秒後には、アンモニアガスを安定して改質できた。このときのマイクロ波出力は、約60W(改質温度500℃)であった。
[評価]
上記の燃料改質装置を用い、改質温度が異なる条件のもとでアンモニアガスの改質を行った。このとき、アンモニアガスの供給量は、いずれの改質温度においても0.2L/分(SV=4700/hr)とした。なお、改質温度は、放射温度計により測定した改質触媒23の全体の表面温度である。また、ガス空間速度SVは、分解前のアンモニアガスと改質触媒23の体積比から計算した。
それぞれの改質温度においてアンモニアガスを所定の時間反応管21に供給して得られた改質ガスG’の水素濃度を測定した。その結果を図3に示す。また、図3には、比較例として、マイクロ波を用いず従来の電気ヒータを用いた外部加熱により改質触媒を昇温させた他は同じ条件の下でアンモニアガスの改質を行った場合の結果をあわせて示す。なお、比較例の改質温度は、熱電対により測定した改質触媒23の全体の表面温度である。
実施例および比較例のいずれの方法においても、改質温度が高い方が、水素濃度が高かった。特に、マイクロ波を用いた実施例では、改質温度600℃で理論値(75%)と同等の水素濃度が得られ、アンモニアガスをほぼ完全に分解できた。また、500℃であっても約70%の水素濃度が得られた。一方、外部加熱を用いた比較例では、700℃の高温としても水素濃度は70%に満たなかった。
次に、上記の燃料改質装置を用い、ガス空間速度SVが異なる条件の下でアンモニアガスの改質を行った。このとき、改質温度は、いずれのSVにおいても800℃とした。
上記の条件の下で改質して得られた改質ガスG’からアンモニア転化率(分解率)を求めた。その結果を図4に示す。また、図4には、比較例として、マイクロ波を用いず従来の外部加熱により改質触媒を昇温させた他は同じ条件の下でアンモニアガスの改質を行った場合の結果をあわせて示す。
実施例および比較例のいずれの方法においても、SVが高い方が、転化率が低下した。しかし、マイクロ波を用いた実施例では、SVを高くしても転化率の低下が小さく、47000/hrでの転化率は80%であった。これは、比較例の約2倍の転化率であった。
本発明の実施例に係る燃料改質装置の概略全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施例に係る燃料改質装置を構成する空胴共振器を示す模式図である。 本発明の実施例に係る燃料改質方法による改質温度と水素濃度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係る燃料改質方法によるガス空間速度SVとアンモニア転化率との関係を示すグラフである。
符号の説明
21:反応容器
22:マイクロ波照射手段
23:改質触媒
30:空胴共振器

Claims (9)

  1. 触媒反応によりアンモニアおよびヒドラジンの少なくとも一方からなる窒化水素系ガス燃料を分解して水素および窒素を生成する燃料改質装置であって、
    遷移金属およびその酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含む改質触媒と、
    前記改質触媒を収容するとともに前記窒化水素系ガス燃料が供給され該改質触媒と該窒化水素系ガス燃料とが接触する反応容器と、
    前記改質触媒にマイクロ波を照射して加熱するマイクロ波照射手段と、
    を備えることを特徴とする燃料改質装置。
  2. 前記改質触媒は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびこれらの酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含む請求項1記載の燃料改質装置。
  3. 前記改質触媒は、貴金属を含まない請求項1または2記載の燃料改質装置。
  4. 前記マイクロ波照射手段は、マイクロ波発振器と、該マイクロ波発振器に接続され前記反応容器が挿入される空胴共振器と、を有する請求項1記載の燃料改質装置。
  5. 水素極と空気極とを有する燃料電池に水素を供給するように構成された燃料電池システムに用いられる請求項1記載の燃料改質装置。
  6. 触媒反応によりアンモニアおよびヒドラジンの少なくとも一方からなる窒化水素系ガス燃料を分解して水素および窒素を生成する燃料改質方法であって、
    遷移金属およびその酸化物からなる群から選ばれる1種以上を含む改質触媒にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程と、
    前記マイクロ波照射工程中に前記改質触媒に前記窒化水素系ガス燃料を接触させて該窒化水素系ガス燃料を改質する燃料改質工程と、
    からなることを特徴とする燃料改質方法。
  7. 前記改質触媒は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む請求項6記載の燃料改質方法。
  8. 前記改質触媒は、貴金属を含まない請求項6または7記載の燃料改質方法。
  9. 前記マイクロ波照射工程は、前記改質触媒を300℃以上800℃未満に昇温させる工程である請求項6記載の燃料改質方法。
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