JP2009274476A - 車両用ドア - Google Patents
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Abstract
【課題】固定窓を有する車両用ドアにおいて、軽量化を図るとともに、修理時の作業性を良好にする。
【解決手段】車両用ドアは、ドア本体部2と、ドア本体部2に固定窓を構成するように取り付けられる板状の固定窓構成部材4とを備えている。固定窓構成部材4は、樹脂材を成形してなる。固定窓構成部材4には、ドア本体部2に係止する係止部41が一体成形されている。
【選択図】図3
【解決手段】車両用ドアは、ドア本体部2と、ドア本体部2に固定窓を構成するように取り付けられる板状の固定窓構成部材4とを備えている。固定窓構成部材4は、樹脂材を成形してなる。固定窓構成部材4には、ドア本体部2に係止する係止部41が一体成形されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両に配設される車両用ドアに関し、特に、窓がドア本体部に対し動かないように固定されている固定窓を備えた構造の技術分野に属する。
従来より、例えば、車両側部に配設されているドアの窓は開閉可能にするのが一般的であるが、車両後部に配設されているバックドア等においては窓を開閉する要求度合いが低いことから、固定窓とされることがある。この固定窓を有する車両用ドアとしては、例えば、特許文献1に開示されているように、ドア本体部の上部に窓枠を設け、この窓枠に板ガラスを接着剤により接着するようにしたものが知られている。
実開平5−29816号公報
ところが、板ガラスは重たいので、特許文献1の車両用ドアのように窓を板ガラスで構成すると、板ガラスを取り付ける部分に高い強度が要求されてドア本体部の軽量化が難しく、ひいてはドアが重くなってしまう。
また、そのように重い板ガラスをドア本体部に接着するにあたっては強力な接着剤が必要である。従って、例えば、ドアの修理時に板ガラスを取り外さなければならない場合に、板ガラスが外れにくく、取り外し作業性が悪いという問題がある。また、板ガラスを再度組み付ける場合には、板ガラスの接着面に残っている古い接着剤を剥がした後、新しい接着剤を塗布して窓枠に接着した後、乾燥させなければならず、作業が煩雑である。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、固定窓を有する車両用ドアにおいて、軽量化を図るとともに、修理時の作業性を良好にすることにある。
上記目的を達成するために、第1の発明では、ドア本体部と、上記ドア本体部に、固定窓を構成するように取り付けられる板状の固定窓構成部材とを備えた車両用ドアにおいて、上記固定窓構成部材は、樹脂材を成形してなり、上記ドア本体部に係止する係止部が一体成形されている構成とする。
この構成によれば、固定窓構成部材の係止部をドア本体部に係止させることで、固定窓構成部材がドア本体部に固定されて固定窓が構成される。この固定窓構成部材は樹脂製であるため、係止部を容易に一体成形することが可能である。さらに、樹脂製の固定窓構成部材は、従来の板ガラスに比べて軽く、よって、ドア本体部は板ガラスを保持する場合に比べて低強度で済み、軽くなる。また、固定窓構成部材を取り外す際には、ドア本体部に係止している係止部をドア本体部から外せばよく、接着剤を用いて接着している場合に比べて作業性が向上する。
第2の発明では、第1の発明において、ドア本体部には、ネジ部を有する締結部材が挿通する挿通孔が形成され、固定窓構成部材の係止部には、上記締結部材のネジ部が螺合するネジ孔が形成されている構成とする。
この構成によれば、締結部材をドア本体部の挿通孔に挿通してから固定窓構成部材の係止部のネジ孔に螺合させると、固定窓構成部材がドア本体部に締結固定される。一方、締結部材を緩めることにより、固定窓構成部材をドア本体部から取り外すことが可能になる。
第3の発明では、第1または2の発明において、固定窓構成部材の係止部は、ドア本体部に引っ掛かるように形成されている構成とする。
この構成によれば、固定窓構成部材の係合部をドア本体部に引っ掛けることにより、固定窓構成部材がドア本体部に取り付けられた状態となる。
第4の発明では、第1から3のいずれか1つの発明において、ドア本体部は固定窓構成部材の外周部を保持する窓枠を有し、上記固定窓構成部材は上記窓枠の車両外側に配置されるとともに、該固定窓構成部材の外周部が該窓枠の一部を覆うように形成され、上記固定窓構成部材の外周部は光不透過性の樹脂材で構成され、該外周部の車室側に係止部が設けられている構成とする。
この構成によれば、固定窓構成部材がドア本体部の窓枠に保持された状態で、係止部が車両外側から見えなくなる。
第5の発明では、第1から3のいずれか1つの発明において、ドア本体部は固定窓構成部材の外周部を保持する窓枠を有し、上記固定窓構成部材には、上記窓枠を車両外側から覆うガーニッシュが一体成形され、係止部は上記ガーニッシュの車室側に設けられている構成とする。
この構成によれば、ガーニッシュを固定窓構成部材に一体成形することで部品点数が少なくなる。そして、このガーニッシュの車室側に係止部が設けられているので、係止部が車両外側から見えなくなる。
第6の発明では、第1から5のいずれか1つの発明において、固定窓構成部材には、ドア本体部のベルトライン部を車両外側から覆うベルトラインモールが一体成形され、係止部は上記ベルトラインモールの車室側に設けられている構成とする。
この構成によれば、ベルトラインモールを固定窓構成部材に一体成形することで部品点数が少なくなる。そして、このベルトラインモールの車室側に係止部が設けられていることで、係止部が車両外側から見えなくなる。
第1の発明によれば、固定窓を構成する固定窓構成部材を、樹脂材を成形してなるものとしたので、固定窓構成部材自体を軽くでき、さらに、固定窓構成部材が取り付けられるドア本体部も軽くでき、よって、車両用ドアを軽量化することができる。そして、固定窓構成部材は成形性の良好な樹脂材からなるものなので、固定窓構成部材にはドア本体部に係止する係止部を容易に一体成形でき、この係止部を形成したことで、固定窓構成部材の取り外し及び取り付け作業性を良好にすることができる。
第2の発明によれば、ドア本体部の挿通孔に挿通した締結部材を固定窓構成部材のネジ孔に螺合させるようにしたので、取り外し作業性を悪化させることなく、固定窓構成部材をドア本体部に確実に固定することができる。
第3の発明によれば、固定窓構成部材の係止部をドア本体部に引っ掛かるように形成したことで、固定窓構成部材の取り付け及び取り外し作業性をより一層良好にすることができる。
第4の発明によれば、固定窓構成部材をドア本体部の窓枠の車両外側に配置し、固定窓構成部材の外周部を光不透過性の樹脂材で構成し、その外周部の車室側に係止部を設けたので、係止部が車両外側から見えなくなり、よって、固定窓構成部材に係止部を設けたドアの見栄えを良好にすることができる。
第5の発明によれば、ガーニッシュを固定窓構成部材に一体成形することで部品点数を少なくして組立工数を低減できる。そして、このガーニッシュの車室側に係止部を設けたことで、係止部が車両外側から見えなくなり、よって、固定窓構成部材に係止部を設けたドアの見栄えを良好にすることができる。
第6の発明によれば、第5の発明と同様に、部品点数を少なくして組立工数を低減できるとともに、ドアの見栄えを良好にすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ドア1を車室側から見た側面図である。この車両用ドア1は、乗用自動車(図示せず)の側部における車両後側に配設される後部用ドアであり、窓枠3を有するドア本体部2と、窓枠3に固定されて固定窓を構成する固定窓構成部材4とを備えている。このように窓枠3に固定窓構成部材4を固定しているため、このドア1においては窓を開けることができないが、後部座席には乗員が座る頻度が低く、しかも、空調装置によって快適性を維持できることから、ほとんど問題とならない。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ドア1を車室側から見た側面図である。この車両用ドア1は、乗用自動車(図示せず)の側部における車両後側に配設される後部用ドアであり、窓枠3を有するドア本体部2と、窓枠3に固定されて固定窓を構成する固定窓構成部材4とを備えている。このように窓枠3に固定窓構成部材4を固定しているため、このドア1においては窓を開けることができないが、後部座席には乗員が座る頻度が低く、しかも、空調装置によって快適性を維持できることから、ほとんど問題とならない。
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」というものとする。
ドア本体部2は、該ドア本体部2の車外側を構成するアウターパネル10と、車室側を構成するインナーパネル11(図1に示す)とを有している。図1に示すように、ドア本体部2の前端部には、上下方向に延びる回転軸を有する一対のヒンジ12、12が上下方向に間隔をあけて設けられている。また、ドア本体部2の後端部には、車体側の係合部材(図示せず)に係脱するラッチ機構13が設けられている。ドア本体部1は、ヒンジ12、12を介して車体に固定された状態で、ヒンジ12、12の回転軸周りに回動して開閉動作し、閉状態では、ラッチ機構13が車体側の係合部材に係合して閉状態が保持されるようになっている。
アウターパネル10及びインナーパネル11は、鋼板をプレス成形してなるプレス成形品である。アウターパネル10は、上下方向の中間部が車外側へ向けて膨らむように形成されている。図3に示すように、アウターパネル10の上縁部であるベルトライン部には、フランジ10aが上方へ向けて延出するように設けられている。フランジ10aには、固定窓構成部材4を締結固定するための締結部材としてのスクリューS1(図1にも示す)がそれぞれ挿通する複数の挿通孔10b(図3にもそのうちの1つのみ示す)が前後方向に間隔をあけて形成されている。アウターパネル10のフランジ10aと固定窓構成部材4の車室内面との間には、シール材40が配設されている。このシール材40は、固定窓構成部材4の全周に亘って環状に延びている。また、図2に示すように、アウターパネル10には、上記ラッチ機構13を操作するためのアウターハンドル14が配設されている。
図1に示すように、インナーパネル11の前縁部、下縁部及び後縁部には、アウターパネル10側へ向けて延びる周壁部11aが形成されている。周壁部11aの先端部は、アウターパネル10の周縁部に沿って延びるように折り曲げられており、アウターパネル10の周縁部に対しヘミング加工によって接合されるようになっている。図3に示すように、インナーパネル11とアウターパネル10との間には、ドア袋部15が形成されている。図1に示すように、ドア袋部15の下側には、前後方向に延びる補強部材16が配置されている。この補強部材16の前端部がドア本体部2の前部に固定され、後端部がドア本体部2の後部に固定されている。
図3に示すように、インナーパネル11の上縁部には、上記アウターパネル10のフランジ10aの車室側の面に重なるフランジ11bが設けられている。フランジ11bには、アウターパネル10のフランジ10aの挿通孔10bと一致する挿通孔11cが形成されている。
図1に示すように、インナーパネル11のドア袋部15に対応する部位には、複数のサービスホール11d、11d、…が形成されている。インナーパネル11におけるサービスホール11dの縁部には、アウターパネル10側へ向けて延び、アウターパネル10を内側から支持する補強板部11eが一体成形されている。この補強板部11eのアウターパネル10側の端部は、アウターパネル10に接着されている。この補強板部11eによってアウターパネル10に張り剛性を持たせることができるようになっている。また、補強板部11eは、サービスホール11dを形成する際にインナーパネル11の一部を抜いた部位で構成されている。従って、別体の補強部材は不要となり、その結果、ドア本体部2の軽量化及び要具費の低減を図ることができるようになっている。
また、図3に示すように、ドア本体部2のインナーパネル11には、該インナーパネル11の車室側を覆うように形成されたドアトリム20が取り付けられている。このドアトリム20の上側は、フランジ10bよりも上まで延びている。尚、図1ではドアトリム20を省略している。
窓枠3は、インナーパネル11に一体成形されている。つまり、窓枠3は、インナーパネル11の成形時に一緒に成形されたプレス成形品である。窓枠3は、図1に示すように、ドア本体部2の前部から上方へ延びる前辺部30と、前辺部30の上端部から後側へ向けて下降しながら湾曲して延びる上辺部31と、上辺部31の後端部から下方へ向けてドア本体部2の後部まで延びる後辺部32とで構成されている。
図4及び図5に示すように、前辺部30には、車外側へ向けて開放して上下方向に延びるチャンネル部30aが形成されている。このチャンネル部30aの車幅方向の寸法は、下側へ行くほど長く設定されている。このように前辺部30の断面形状を下側へ行くほど拡大させているのは、前辺部30のうち、ドア本体部2との接続部位である下部に最も高い剛性が要求されるからである。チャンネル部30aの前壁部30b及び後壁部30cは、チャンネル部30aの前後幅が車外側へ行くほど拡がるように傾斜して延びている。
後壁部30cの車外側の縁部には、後側へ延びる後側フランジ状部30dが形成されている。後側フランジ状部30dの後縁部には、車外側へ向けて突出する突出部30eが形成されている。また、前壁部30bには、ウエザーストリップ(図示せず)が取り付けられている。また、前壁部30bの車外側の縁部には、平板部30fが形成されている。平板部30fは、前側へ延びるように形成されている。平板部30fには、固定窓構成部材4を締結固定するための締結部材としてのスクリューS2(図1に示す)が挿通する複数の挿通孔30g(図4にはそのうちの1つのみ示す)が上下方向に間隔をあけて形成されている。後側フランジ状部30dと固定窓構成部材4の車室内面との間には、シール材40が配設されている。
チャンネル部30a内には、該チャンネル部30aと同様に車外側へ向けて開放したチャンネル形状の補強板34が配設されている。補強板34は、チャンネル部30aの内面に沿って上下方向に延び、前壁部30b及び後壁部30cに溶接されている。
この補強板34の下端部は、下方へ向けて開放しており、この開放部は、図4に示すように、蓋部材33によって閉塞されている。蓋部材33の周縁部には、上方へ向けて折り曲げられた折り曲げ部33aが形成されている。この折り曲げ部33aが、補強板34の内面に接合されている。尚、この実施形態1では、補強板34の下端部の開放部を蓋部材33で閉塞するようにしているが、蓋部材33は省略してもよい。また、チャンネル部30aの前後方向の寸法は、下側へ行くほど拡大させてもよい。
補強板34の前部には、前方へ延び、平面部30fの車外側の面に重なる延出板部34aが形成されている。延出板部34aには、平板部30fの挿通孔30gと一致する挿通孔34bが形成されている。
また、図6に示すように、窓枠3の上辺部31は、前辺部30と同様に、チャンネル部31aを有している。このチャンネル部31aには、補強板35が溶接されている。上辺部31の断面形状は、前辺部30の下部の断面形状に比べて小さく設定されている。これは、上辺部31の剛性が前辺部30の下部に比べて低くて済むためである。また、上辺部31には、固定窓構成部材4の上縁部が固定される上側固定部31bがチャンネル部31aから上方へ突出するように形成されている。また、チャンネル部31aの下部は下方へ延出しており、その延出した部分と固定窓構成部材4の車室内面との間には、シール材40が配設されている。さらに、上辺部31の上部には、ウエザーストリップ(図示せず)を固定するための固定部材39が取り付けられている。この固定部材39は、鋼板製である。
また、窓枠3の後辺部32も、図示しないが、上辺部31と同様に構成されている。
固定窓構成部材4は、例えばポリカーボネート等の透明な樹脂材を成形してなるものであり、従来の板ガラスに比べて軽くなっている。よって、窓枠3の剛性は板ガラスを保持する場合に比べて低くて済むので、その分、ドア本体部2も軽量化されている。図3及び図4に示すように、固定窓構成部材4の下部は、ベルトライン部のフランジ10aの略全体を覆うように形成されている。固定窓構成部材4の下部には、挿通孔10b、11cに一致するボス(係止部)41が形成され、このボス41の内面には、下部ネジ孔41aが該固定窓構成部材4を貫通するように形成されている。シール材40は、ボス41よりも下側に位置している。
また、固定窓構成部材4の下部の車外側には、図2及び図3に示すように、ドア本体部2のベルトライン部を覆うベルトラインモール38が取り付けられている。ベルトラインモール38は、黒色等の光不透過性の樹脂材からなり、固定窓構成部材4の前後方向両端に亘って延びている。ベルトラインモール38の上縁部は、固定窓構成部材4のボス41よりも上側の部位に接合され、ベルトラインモール38の下縁部は、アウターパネル10の表面に接合されている。このベルトラインモール38により、ボス41、スクリューS1及びシール材40を隠すことができるようになっている。
図5に示すように、固定窓構成部材4の前部は、窓枠3の補強板34の延出部34aを覆うように形成されており、その前縁部は、前辺部30に沿って上下方向に延びている。固定窓構成部材4の前部には、挿通孔30g、34bに一致するボス(係止部)42が形成され、このボス42の内面には、前部ネジ孔42aが該固定窓構成部材4を貫通するように形成されている。また、固定窓構成部材4の前部には、前部ネジ孔42aよりも後側に、ガーニッシュ50を取り付けるためのガーニッシュ取付孔43が形成されている。ガーニッシュ50は、図2にも示すように、窓枠3の前辺部30を車外側から覆うように形成された上下方向に長い板状部材であり、例えば黒色に着色された光不透過性の樹脂材で構成されている。ガーニッシュ50の後部は、車幅方向に見たとき、窓枠3の前辺部30の後縁部に重なるように形成されている。また、ガーニッシュ50の前部は、前辺部30の前端部に重なるように延びている。ガーニッシュ50の前端部には、前辺部30の前端部に引っ掛かるようにU字状に折り曲げられた引っ掛け部51が形成されている。また、ガーニッシュ50の車室側の面には、ガーニッシュ取付孔43に対応して車室側へ向けて突出する柱状部52が形成されている。柱状部52の突出方向先端部には、ガーニッシュ取付孔43の径よりも大きい拡径部52aが形成されている。この柱状部52aはガーニッシュ取付孔43に車外側から嵌入された状態で、拡径部52aがガーニッシュ取付孔43の周縁部に係合して抜けないようになっている。ガーニッシュ50によって、ボス42、スクリューS2及びシール材40を隠すことができるようになっている。
図6に示すように、固定窓構成部材4の上部には、車外側へ向けて突出して前後方向に延びるように形成されたモール状部44が設けられている。このモール状部44の形成により、固定窓構成部材4の表面に表側段差部44aが形成されるとともに、裏面には裏側段差部44bが形成されている。また、モール状部44の上縁部には、窓枠3の上側固定部31bに引っ掛かるように下方に開放するU字状に折り曲げられた上側係止部44cが形成されている。モール状部44の表面には、黒色に着色された表側フィルムF1が貼り付けられている。この表側フィルムF1は、上側係止部44cを覆うように形成されている。固定窓構成部材4の裏面には、裏側段差部44bよりも下側の領域に、表側フィルムF1と同様な裏側フィルムF2が貼り付けられている。裏側フィルムF2は、窓枠3の上辺部31を下縁部まで覆う大きさとされている。裏側フィルムF2によってシール材40が隠れるようになっている。また、表側フィルムF1の下部と、裏側フィルムF2の上部とは、車幅方向に見て重複しており、これら表側フィルムF1と裏側フィルムF2とによって上辺部31全体が隠れるようになっている。
また、図示しないが、固定窓構成部材4の後部には、上部と同様にモール状部が形成され、表側フィルムと裏側フィルムとが貼り付けられている。
次に、上記のように構成された車両用ドア1を製造する場合について説明すると、まず、アウターパネル10及びインナーパネル11を一体化してドア本体部2を形成する。その後、シール材40を窓枠3の所定部位に塗布する。一方、樹脂材を成形して固定窓構成部材4を得る。このとき、樹脂材は成形性が良好であるため、下部ネジ孔41a、前部ネジ孔42a及びモール状部44の上側係止部44cを容易に形成できる。この固定窓構成部材4には、ガーニッシュ50を取り付けるとともに、表側フィルムF1及び裏側フィルムF2を貼り付けておく。
そして、固定窓構成部材4を窓枠3に取り付ける際には、始めに、上側係止部44cを窓枠3の上側固定部31bに引っ掛けて固定窓構成部材4を窓枠3に仮に取り付ける。しかる後、図3に示すスクリューS1をインナーパネル11側から下側挿通孔11c、10bに挿通させて下部ネジ孔41aに螺合させるとともに、図5に示すスクリューS2を前側挿通孔30g、34bに挿通させて前部ネジ孔42aに螺合させる。これにより、固定窓構成部材4が窓枠3に締結固定されるので、従来のような強力な接着剤は不要である。
また、固定窓構成部材4を窓枠3に取り付けた状態では、スクリューS1、S2やネジ孔41a、42aはガーニッシュ50及びベルトラインモール38で覆われて車外から見えなくなり、さらに、窓枠3は、ガーニッシュ50、表側フィルムF1及び裏側フィルムF2で覆われて車外から見えなくなる。よって、ドア1の見栄えは良好である。
一方、ドア1の修理時に固定窓構成部材4を取り外す必要が生じた場合には、窓枠3への取付時に強力な接着剤が用いられていないので、スクリューS1、S2を緩めた後、固定窓構成部材4を持ち上げてから、上側係止部44cを窓枠3の上側固定部31bから外すだけでよい。尚、シール材40は若干接着力を有しているが、その接着力は固定窓構成部材4を外れないように固定できるほどの強力なものではないので、固定窓構成部材4を取り外す際の作業性は殆ど悪化しない。また、古いシール材40を固定窓構成部材4から剥がすのも容易である。尚、ドア1の修理後には、固定窓構成部材4を上述したように窓枠3に取り付ければよい。
以上説明したように、この実施形態1に係る車両用ドア1によれば、固定窓構成部材4を、樹脂材を成形してなるものとしたので軽くでき、ひいては、固定窓構成部材4が取り付けられるドア本体部2も軽くできる。よって、車両用ドア1を軽量化することができる。そして、固定窓構成部材4は成形性の良好な樹脂材からなるものなので、固定窓構成部材4には上側係止部44cやネジ孔41a、42aを容易に一体成形でき、これらを形成したことで、固定窓構成部材4の取り外し及び取り付け作業性を良好にすることができる。
また、固定窓構成部材4をスクリューS1、S2でドア本体部2に締結固定するようにしたので、取り外し作業性を悪化させることなく、固定窓構成部材4をドア本体部2に確実に固定することができる。
また、固定窓構成部材4の上側係止部44cをドア本体部2の窓枠3に引っ掛かるように形成したことで、固定窓構成部材4をサッシュ3に仮に取り付けておくことができ、固定窓構成部材4の取り付け及び取り外し作業性を良好にできる。
また、ネジ孔41a、42aや上側係止部44cが車外側から見えないので、これらを設けた場合におけるドア1の見栄えを良好にすることができる。
尚、上記実施形態1では、固定窓構成部材4に表側フィルムF1及び裏側フィルムF2を貼り付けるようにしているが、これに限らず、黒色等の塗料で塗装してもよい。また、ガーニッシュ50、ベルトラインモール38、表側フィルムF1及び裏側フィルムF2は、光を通さないように着色されていればよく、黒色以外の色であってもよい。
また、固定窓構成部材4はスモーク色であってもよい。
また、表側フィルムF1を貼る代わりに固定窓構成部材4の表面の外周部を塗装する場合には、固定窓構成部材4を成形する成形型内で塗装する、いわゆるインモールドコーティングで塗装するようにしてもよい。このインモールドコーティングを行う場合には、図示しないが、成形型を構成する固定型と可動型とのうち、固定窓構成部材4の表面を成形する型を、その外周部分と内側部分とに分割して、外周部分を内側部分に対して型開き方向に移動可能にする。また、成形型には、インモールドコーティング用の塗料を型内に噴射する噴射器を設ける。この噴射器の噴出口は、固定窓構成部材4の表面の外周部に向くように配置しておく。このように構成された成形型でインモールドコーティングを行う場合には、まず、可動型と固定型とを型閉じした状態で、キャビティに溶融樹脂材を射出して固化させて固定窓構成部材4を得る。その後、固定窓構成部材4の表面側に位置する型の外周部分のみを型開き方向に僅かに移動させる。すると、固定窓構成部材4の表面の外周部と、型との間に隙間が生じる。しかる後、その隙間へ向けて、例えば黒色の塗料を噴射器から噴射すると、固定窓構成部材4の表面の外周部に塗料が付着して塗膜が形成される。上記した型の外周部分の型開き方向への移動量は、例えば20μm〜30μm程度であればよいが、この範囲に限定されるものではなく、形成したい塗膜の厚さに応じて適宜設定可能である。
インモールドコーティングで塗装することで、塗膜の表面は成形型の成形面に沿う形状となる。すなわち、固定窓構成部材4の塗装面にヒケ等の凹みが生じていても、その凹みに塗料が充填されることになって、凹みが塗膜の表面まで現れにくく、塗装面の見栄えを良好にすることができる。また、閉じられた成形型内で塗装を行うことができるので、塗膜にゴミ等の異物が付着することは殆どなく、不良品の発生割合を低減できる。さらに、塗料を型内に噴射するようにしているので、噴射した塗料の全てを固定窓構成部材4の表面に付着させることができ、塗料の無駄を抑制できる。尚、固定窓構成部材4の裏面にインモールドコーティングで塗装するようにしてもよい。
《発明の実施形態2》
図7〜図9は、本発明の実施形態2に係る車両用ドア1を示すものである。この実施形態2の車両用ドア1は、ガーニッシュ及びベルトラインモールが固定窓構成部材4に一体成形されている点と、上部に設けられている係止部が別の色の樹脂材で一体成形されている点とで実施形態1のものと異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
図7〜図9は、本発明の実施形態2に係る車両用ドア1を示すものである。この実施形態2の車両用ドア1は、ガーニッシュ及びベルトラインモールが固定窓構成部材4に一体成形されている点と、上部に設けられている係止部が別の色の樹脂材で一体成形されている点とで実施形態1のものと異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
固定窓構成部材4の内側部分は、透明な樹脂材で形成された平板形状の透明部60とされる一方、外周部は、ベルトラインモール部61(図7に示す)、ガーニッシュ部62(図8に示す)、上部モール部63(図9に示す)及び後側モール部(図示せず)で構成されている。これらベルトラインモール部61、ガーニッシュ部62、上側モール部63及び後側モール部は、例えば黒色に着色された光不透過性の樹脂材で形成されている。
図7に示すように、透明部60の下縁部には、下方へ突出して該下縁部に沿って前後方向に延びる突条部60aが形成されている。突条部60aの肉厚は、透明部60の内側部分の肉厚よりも薄く設定されている。透明部60の下部には、ベルトラインモール部61が形成されている。ベルトラインモール部61は、透明部60の下縁部から車外側へ向けて下降傾斜して延びる傾斜部61aと、傾斜部61aの外端部から下方へ延びる縦板部61bとを備えている。縦板部61bの車室側の面には、車室側へ向けて突出する複数の下側ファスナー部61cが挿通孔10bに対応して形成されている。下側ファスナー部(係止部)61cは筒状に形成されており、その内側にはスクリューS1が螺合するネジ孔61dが形成されている。
図8に示すように、透明部60の前縁部には、前方へ突出して該前縁部に沿って前後方向に延びる突条部60aが形成されている。透明部60の前部には、ガーニッシュ部62が形成されている。ガーニッシュ部62は、透明部60の前部から前方へ延びる板状に形成されており、全体として、透明部60よりも車外側に位置している。ガーニッシュ部62の肉厚は、透明部60の肉厚よりも薄く設定されている。ガーニッシュ部62の前縁部には、実施形態1のガーニッシュ50と同様の引っ掛け部62aが形成されている。また、ガーニッシュ部62の車室側の面には、車室側へ向けて突出する複数の前側ファスナー部62bが挿通孔30gに対応して形成されている。これら前側ファスナー部(係止部)62bは、上記下側ファスナー部61cと同様に形成されており、スクリューS2が螺合するネジ孔62cを有している。
図9に示すように、透明部60の車室内面の上部には、段差部60bが形成されている。段差部60bは、窓枠3の上辺部31の下端部に対向している。透明部60の段差部60bよりも上側は、段差部60bよりも下側に比べて薄肉となっている。透明部60の車外側の面には、上縁部近傍に凹条部60cが前後方向に延びるように形成されている。上側モール部63は、透明部60の段差部60bよりも上側に沿って延びる内側部63aと、凹条部60cに入り込むように形成された外側部63bとを備えており、透明部60の上縁部を車外側と車内側とから挟むようにして透明部60と一体化されている。外側部63bは、上方へ延びており、その上端部には、実施形態1のモール状部44の係止部44cと同様な係止部63cが形成されている。また、外側部63bは、車外側へ向けて湾曲形成されている。シール材40は、内側部63aの下部に位置している。
また、後側モール部は、上側モール部63と同様に構成されている。
上記のように構成された固定窓構成部材4は、透明部60を無色透明な樹脂材で成形した後に、ベルトラインモール部61、ガーニッシュ部62、上側モール部63及び後側モール部64を黒色の樹脂材で透明部60に一体成形して得る。このとき、突条部60aはベルトラインモール部61及びガーニッシュ部62に埋め込まれて、ベルトラインモール部61及びガーニッシュ部62に係合した状態となるので、全体が強固に一体化する。そして、固定窓構成部材4をドア本体部2に取り付ける際には、係止部63c及びガーニッシュ部62の引っ掛け部62aを窓枠3に引っ掛けてから、スクリューS1、S2を挿通孔10b、30gに挿通させてネジ孔61d、62cに螺合させる。
このとき、ガーニッシュ部62及びベルトラインモール部61が黒色であるため、スクリューS1、S2やファスナー部61c、62bは車外から見えることはなく、さらに、窓枠3は、ガーニッシュ部62、ベルトラインモール部61、上側モール部63及び下側モール部で覆われて車外から見えなくなる。よって、ドア1の見栄えは良好である。
以上説明したように、この実施形態2に係る車両用ドア1によれば、実施形態1と同様に、固定窓構成部材4を樹脂材で構成したので、車両用ドア1を軽量化することができるとともに、固定窓構成部材4の取り外し及び取り付け作業性を良好にすることができる。
また、ガーニッシュ部62やベルトラインモール部61を固定窓構成部材4に一体成形したので部品点数を少なくして組立工数を低減できる。
尚、この実施形態2では、ガーニッシュ部62、ベルトラインモール部61及びモール部63、64は、光を通さないように着色されていればよく、黒色以外の色であってもよい。
また、実施形態2において、固定窓構成部材4の透明部60は、スモーク色であってもよい。
また、上記実施形態1、2では、本発明を車両側部に配設されるドア1に適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明は、車両後部に配設されるバックドアに適用することもできる。また、本発明は、スライドドアに適用することもできる。
また、上記サッシュ3は、ロール成形されたものであってもよい。
以上説明したように、本発明に係る車両用ドアは、例えば、車両側部に配設されるドアに適している。
1 車両用ドア
2 ドア本体部
4 固定窓構成部材
41、42 ボス(係止部)
44c 上側係止部
61c 下側ファスナー部(係止部)
62b 前側ファスナー部(係止部)
63c 係止部
2 ドア本体部
4 固定窓構成部材
41、42 ボス(係止部)
44c 上側係止部
61c 下側ファスナー部(係止部)
62b 前側ファスナー部(係止部)
63c 係止部
Claims (6)
- ドア本体部と、
上記ドア本体部に、固定窓を構成するように取り付けられる板状の固定窓構成部材とを備えた車両用ドアにおいて、
上記固定窓構成部材は、樹脂材を成形してなり、上記ドア本体部に係止する係止部が一体成形されていることを特徴とする車両用ドア。 - 請求項1に記載の車両用ドアにおいて、
ドア本体部には、ネジ部を有する締結部材が挿通する挿通孔が形成され、
固定窓構成部材の係止部には、上記締結部材のネジ部が螺合するネジ孔が形成されていることを特徴とする車両用ドア。 - 請求項1または2に記載の車両用ドアにおいて、
固定窓構成部材の係止部は、ドア本体部に引っ掛かるように形成されていることを特徴とする車両用ドア。 - 請求項1から3のいずれか1つに記載の車両用ドアにおいて、
ドア本体部は固定窓構成部材の外周部を保持する窓枠を有し、
上記固定窓構成部材は上記窓枠の車両外側に配置されるとともに、該固定窓構成部材の外周部が該窓枠の一部を覆うように形成され、
上記固定窓構成部材の外周部は光不透過性の樹脂材で構成され、該外周部の車室側に係止部が設けられていることを特徴とする車両用ドア。 - 請求項1から3のいずれか1つに記載の車両用ドアにおいて、
ドア本体部は固定窓構成部材の外周部を保持する窓枠を有し、
上記固定窓構成部材には、上記窓枠を車両外側から覆うガーニッシュが一体成形され、
係止部は上記ガーニッシュの車室側に設けられていることを特徴とする車両用ドア。 - 請求項1から5のいずれか1つに記載の車両用ドアにおいて、
固定窓構成部材には、ドア本体部のベルトライン部を車両外側から覆うベルトラインモールが一体成形され、
係止部は上記ベルトラインモールの車室側に設けられていることを特徴とする車両用ドア。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008124916A JP2009274476A (ja) | 2008-05-12 | 2008-05-12 | 車両用ドア |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008124916A JP2009274476A (ja) | 2008-05-12 | 2008-05-12 | 車両用ドア |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009274476A true JP2009274476A (ja) | 2009-11-26 |
Family
ID=41440304
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008124916A Pending JP2009274476A (ja) | 2008-05-12 | 2008-05-12 | 車両用ドア |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2009274476A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10730453B2 (en) | 2016-10-11 | 2020-08-04 | Hyundai Motor Company | Garnish and vehicle door including the same |
CN112124054A (zh) * | 2019-06-25 | 2020-12-25 | 本田技研工业株式会社 | 车辆用门 |
-
2008
- 2008-05-12 JP JP2008124916A patent/JP2009274476A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10730453B2 (en) | 2016-10-11 | 2020-08-04 | Hyundai Motor Company | Garnish and vehicle door including the same |
CN112124054A (zh) * | 2019-06-25 | 2020-12-25 | 本田技研工业株式会社 | 车辆用门 |
JP2021003962A (ja) * | 2019-06-25 | 2021-01-14 | 本田技研工業株式会社 | 車両用ドア |
CN112124054B (zh) * | 2019-06-25 | 2023-09-01 | 本田技研工业株式会社 | 车辆用门 |
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