JP2009273949A - ステント - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数のループステントを複数のストラットによって接続したステントであって、全体として一様に撓むようにする
【解決手段】ステント主線2、ストラット4、スタビライザー用フック5を含む線状部品を接合パイプ7を介して接続した接続部を有するステント1に於いて、ストラット4及び記スタビライザー用フック5の直径がステント主線2の直径より大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、血管に代表される体内の管状組織の治療に用いられるステントに関し、特にステント主線に接続したスタビライザー用フックやストラットが安定した接続状態を維持し得るように構成したステントに関するのものである。
体内には血管、胆管、尿管或いは食道等多くの管状組織があり、夫々狭窄や閉塞等の特有の疾患が発生する虞がある。例えば血管の場合では、狭窄や閉塞、動脈瘤や静脈瘤等の疾患が生じることがある。特に、動脈瘤は破裂すると大出血を引き起こすという重大な疾患であり、速やかに治療する必要がある。このため、有効な治療を行なうために種々の器具の開発がなされている。
最近では、血管の狭窄部や動脈瘤を治療する際にステントと呼ばれる金属製の円筒状の器具が用いられることが多い。例えば、狭窄部を治療する場合には、ステントをシース或いはカテーテル(以下シースという)内に収容して患部に搬送し、患部に到達した後、シースから離脱させてバルーンによって拡径することで、狭窄部を拡大すると共に留置して治療するものである。また大動脈瘤を治療する場合には、ステントに人工血管を被覆したステントグラフトを動脈瘤の内側に留置し、このステントグラフトによって血液の圧力に対抗させ、これにより、動脈瘤に圧力が作用しないように治療するものである。
ステントとしては、網状に形成された金属製の円筒を用いた網状ステントや、特許文献1、2に記載されているように、丸棒状の線材をジグザグに折り曲げると共に線材の端部どうしを接合することで、全体の形状を円筒状に形成したループを用いたループステントが提供されている。
特に、ループステントを用いたステントでは留置すべき患部に対応させて、ループステントを単独で用いる場合と、患部の湾曲状態に合わせて複数のループステントを長手方向に配置すると共にこれらのループステントをストラットと呼ばれる線状部品によって互いに接続した複合ステントとして用いる場合とがある。
上記ステントでは、先頭に位置するループステントにはシースに収容されたステントを患部に留置する際に利用されるスタビライザー用フックが取り付けられている。更に、ステントを構成する何れかのループステントにはステントをシースに挿入する際に、或いは患部にステントを留置する際に該ステントの位置を調整したり、シースに引き戻す際に利用する線状部品も配置されている。
ステントを構成する、ループステント、先頭部分に取り付けられるスタビライザー用フック、隣設するループステントを接続するストラット、引き戻し用部材、は夫々金属製の丸棒状の線材によって形成されている。そして、ループステントとスタビライザー用フック、ループステントとストラット、ループステントと引き戻し用部材、の接続部位には夫々接続部が形成される。
ステントに於ける丸棒状の線材どうしを接続する接続部は、特許文献1,2に記載されているように、ループステントに於ける対象部位のステント主線を扁平に成形すると共に、ストラット、スタビライザー用フック、引き戻し用部材の端部を扁平に成形しておき、これらの成形部位を互いに重ね合わせて略矩形状に形成したパイプに挿入した後、このパイプをかしめることで構成されている。
上記の如く構成されたステントでは、縮径されてシースに挿入された状態で患部まで搬送され、患部に到達したときスタビライザー用フックを利用してシースから離脱した後、バルーンによって或いは自力で拡径する。そして患部で拡径したステントが対応する例えば血管の内壁面に接触して該血管を治療することが可能である。
特開2003−062087号公報 特開2004−097382号公報
上記従来技術において、ストラットの曲げ強度が弱いとストラット自体が曲がりすぎてしまい、ステント主線とストラットが接続部位付近において一様に撓まなくなり、よって、ステント全体としても形状がくずれてしまう、という問題が生じる。ストラットおよびステント主線が一様に撓まないと、血管壁等の内壁面に密着しなくなったり、動脈瘤等に落ち込んでしまったり、という問題が派生する
本発明の目的は、複数のループステントを複数のストラットによって接続したステントであって、全体として一様に撓むようにしたステントを提供することにある。
記課題を解決するために本発明に係るステントは、ステント主線、ストラット、スタビライザー用フックを含む線状部品を接合パイプを介して接続した接続部を有するステントに於いて、前記ストラット及び前記スタビライザー用フックの直径が前記ステント主線の直径より大きい
本発明に係るステントでは、ストラット及びスタビライザー用フックの直径がステント主線の直径より大きいため、ステントを患部の湾曲部等に適用させるときにストラットに生じる曲がりとループステントに生じる曲がりとを略均等に、或いはストラットの曲がりをループステントの曲がりよりも僅かに小さい程度にすることができる
このため、ステントを湾曲した管状組織に適用させたとき、このステントはループステント及びストラットが略一様に撓み、部分的に曲がりの大きさに変動が生じることがない
複数のループステントをストラットによって接続して構成したステントとシースとの関係の例を説明する図である。 拡径したループステントとストラットとの関係を説明する図である。 接続部の構成を説明する図である。 第2実施例に係るステントの接続部の構成を説明する図である。 第3実施例に係るステントの接続部の構成を説明する図である。
以下、本発明に係るステントの好ましい実施形態について説明する。本発明に係るステントは、生体に於ける血管や胆管,尿管或いは食道等の管状組織に対して適用されるものであり、これらの管状組織に狭窄や閉塞等の疾患が発生したとき、特に、血管の場合には、動脈瘤や静脈瘤が発生したとき、患部に留置されて該患部に於ける管状組織を補強する機能を有するものである。
本発明のステントは、金属製の丸棒状の線材によって構成されたステント主線やストラット、或いはスタビライザー用フック等を含む線状部品を組み合わせて構成したものであり、これらの線状部品の接続部が接合パイプを介して接続されたものである。即ち、本発明に於いて、ステントの形状や構造は限定するものではなく、ステントが線状部品によって構成されると共に線状部品の接続部が接合パイプを介して接続されていることを限定するものである。
従って、ステントが筒状ステントとして構成されているか、ループステントとして構成されているか、も問うものではなく、ステントを構成する筒状ステント、ループステントが線状の材料を利用しているか否かを問うものである。しかし、説明の煩雑さを避けるために以下、本発明のステントをループステントを用いて構成した場合について説明する。
ループステントは、金属製の丸棒状の線材(ステント主線)をジグザグに折り曲げると共に、両端部を突き合わせ溶接或いはスリーブに挿入してかしめることで筒状に形成されている。このループステントは、ステント主線の両端部が互いに突き合わされた状態で溶接或いはかしめられて相対的に回転不能に接続されているので、縮径してシースに挿入する際に変形することがなく、従って、シースから離脱して拡径する際に元の形状に正確に復帰することが可能である。
本発明に於いて、ステントの長さや太さは限定されるべきものではなく、留置すべき患部に対応させて最適な形状と太さを持って構成される。このため、ステントは、1個のループステントによって構成される場合と、複数個のループステントを長手方向に接続して構成される場合とがある。何れの場合でも、ステントの先頭側にスタビライザー用フックが接続され、後端側に向けて引き戻し部材が接続されている。また複数個のループを長手方向に接続して構成する場合には、ループどうしがストラットを介して接続されている。
本発明のステントでは、1個のループステントと、このループステントに接続されるスタビライザー用フックは必須であるが、ストラット及び引き戻し部材を含む他の部品は必須ではない。即ち、ストラットは複数のループステントを接続してステントを構成する際に必要な部品であり、1個のループステントによってステントを構成する際には必要としない。
上記の如く、ステントは、ループステント、スタビライザー用フック、ストラット及び引き戻し部材のみによって構成されるものではなく、必要に応じて前記各部材に加えて人工血管を被覆する際に用いるリングやフィンを含む複数の部品を有して構成される。これらの部品は、夫々断面が円形の金属製の線材を用いた線状部品として構成されている。
即ち、本発明に於いて線状部品とは、ステントを構成するのに必要な部品であって金属製の線材からなり、ループステント或いはストラットに対し接合パイプを介して接続される全ての部品を対象とするものである。従って、以下の説明では省略されている部品であっても本発明のステントを構成するものであれば含むものである。
本発明に於いて、ループステントやストラットに代表される線状部品を構成する金属製線材の材料は特に限定するものではなく、適度な弾性と可撓性を有し且つ生体組織に悪影響を及ぼす虞のない金属を素材とするものであれば利用することが可能である。このような金属としては、ステンレス鋼やNi−Ti合金からなる形状記憶合金等の金属製の線材があり、これらの材料を選択的に用いることが可能である。
線状部品の材料としては、生体適合性に対し高い信頼性を持ったオーステナイト系ステンレス鋼からなる線材を用いることが好ましく、特に、所定の径を持ったオーステナイト系ステンレス線材を予め設定された減面率で冷間線引き加工することで、組織をファイバー状に伸長させた線材は、長期間にわたって、適度な弾性と可撓性を維持し且つ高い靱性を有するため好ましい。
例えばループステントとストラットからなる線状部品の接続部では、ループステントを構成するステント主線に対しストラットの端部を重ね合わせ、この重ね合わせ部分が接合パイプに挿通されている。そして、接合パイプをかしめることで、線状部品であるループステントが線状部品であるループステントに接続されている。
本発明に於いて、接合パイプの形状を限定するものではなく、接続部に於ける線状部材を挿通することが可能な形状であれば良い。本発明は、線状部品を構成する線材の接続部に於ける断面形状を限定するものではない。即ち、接続部に於ける線材の断面形状は、円形や扁平な四角形、或いは他の形状の何れの形状であっても良く、例えば、接続部に於ける相対的な回転を可能とするか、或いは不能とするか等の、接続部に要求される条件に応じて適宜設定することが好ましい。
従って、円形を平たくした長円形のパイプであって良い。特に、線状部品の相対的な回転を防止し得るように構成する場合には、これらの線状部品の接続部位を扁平に成形すると共に、接合パイプとしては扁平に形成された線状部品を挿通することが可能なように断面が角型に形成されたものを用いることが好ましい。
また接合パイプの長さも特に限定するものではなく、線状部品どうしを確実に接続し得る長さであれば良い。特に、ステントがループステントである場合、該ループステントに対して線状部品を接続する工程はループステントとして製作された後となる。従って、接合パイプはループステントの端面どうしを溶接する以前にステント主線に挿通される。即ち、接合パイプはループステントに形成されたジグザグの屈曲部を円滑に通過し得ることが必要な条件となる。
このため、接合パイプは1個のパイプによって構成される場合もあるが、長さが短くジグザグの屈曲部を容易に通過し得るように形成された複数の単位パイプによって構成することが好ましい場合もある。従って、本発明では、接合パイプは必ずしも1個のパイプによって構成されているものに限定されず、複数個の単位パイプを連続させて構成したものを含む。
また接合パイプの材質も特に限定するものではなく、生体に対して悪影響を与えることがなく、且つかしめ力が作用したときこの力に応じて変形し、且つ長期間にわたって十分な強度を維持し得る材質であれば利用することが可能である。このような接合パイプを構成する材料として、オーステナイト系ステンレス鋼からなるパイプを用いることが好ましい。
本発明では、線状部品に接合パイプに係止される係止部を形成することで、線状部品であるループステント又はストラットに作用した力によって、これらの線状部品が接合パイプから引き抜かれようとしたとき、係止部が接合パイプに係止されて接続状態を維持する。
線状部品に形成される係止部は必ずしも接合部に於ける両方の線状部品に形成する必要はないが、端部が接合パイプに挿通される線状部品には係止部を形成することは必須である。即ち、接続部に配置された接合パイプから線状部品が離脱することを防止するには、接合パイプから離脱する虞のある線状部品に係止部を形成することで良い。従って、ループステントとストラットとの接続部では、ストラットの接合パイプに挿通される端部に係止部を形成することで、ストラットの接合パイプからの離脱を防止することが可能である。
しかし、端部が接合パイプに挿通される線状部品に係止部を形成した場合、この線状部品が接合パイプから離脱することは防止し得るが、接合パイプが他方の線状部品に沿って移動してしまう虞が生じる。例えば、ループステントとストラットとの接続部に於いて、ストラットにのみ係止部が形成されている場合、ストラットに作用する力によって、該ストラットと接合パイプがループステントのステント主線に沿って移動してしまう虞が生じる。このような移動をも防止するにはループステントにも係止部を形成することが好ましい。
このように、係止部を両方の線状部品に形成するか、一方の線状部品に形成するかは特に限定するものではなく、接続部を構成する線状部品の機能に応じて適宜設定することが好ましい。
線状部品に形成する係止部の形状や構造は特に限定するものではなく、該線状部品に接合パイプから引抜方向の力が作用したときに接合パイプに係止されることが可能な形状、或いは構造であれば良い。
即ち、係止部としては、線状部品を構成する線材の一部の形状を変形させて該変形部を係止部として接合パイプに係止させる構造や、接合パイプと該接合パイプに挿通されている線状部品とを溶着させて係止する構造等があり、線状部品を構成する線材の太さや作用する力の大きさに対応させて適宜選択することが好ましい。
例えば、線状部品を構成する線材の一部を変形させる場合、接合パイプからはみ出した線材を略直角に折り曲げてこの折曲部分を接合パイプの端部に係止させるようにすることが可能であり、また線材の接合パイプからはみ出した部分を反対方向に180度折り返してこの折返部分を接合パイプの端部に係止させるようにすることも可能である。このような形状を持った係止部は、接続部に於ける線状部品が線材の端部を接合パイプに挿通して構成されている場合に好ましい。
また線状部品を構成する線材であって、接合パイプの端部から離隔した部位をプレスして膨出部を形成しこの膨出部分を接合パイプの端部に係止させるようにすることも可能である。更に、接合パイプに挿通される部位に予めプレスして楔状に形成しておき、接合パイプをかしめる際に、楔状の形成部分を接合パイプに食い込ませるようにして係止することも可能である。このような形状を持った係止部では、接続部に於ける何れの線状部品にも適用することが可能である。
上記の如く、線状部品に形成される係止部が線材の一部の変形を伴うものである場合、変形の大きさによっては、予め線材に於ける係止部に対応する部位を焼鈍しておくことが好ましい。特に、線状部品の強度を得るために焼入れ処理や加工硬化させた線材では、線材に対して塑性加工を行うのに伴ってひびや割れが生じる虞があるため、焼鈍によって軟化させておくことで確実な加工を行うことが可能となる。
また線状部品を挿通した接合パイプの外周側から極めて細く絞ったレーザビームを照射して点溶接し、或いはスポット溶接して係止部とすることも可能である。この場合、接合パイプに挿通された両方の線状部品と接合パイプとを溶接することで、該溶接部を係止部として機能させることが可能である。
上記の如く、係止部は必ずしも線状部品の形状を変化させて形成したものである必要はなく、溶接や接着等の線材の形状の変化を伴うことのない構造であっても良い。
尚、線状部品に形成された係止部が接合パイプからはみ出した部位での変形(線材の折り曲げや折り返し、プレスによる膨出部分等)を伴うような場合、この変形部分に生じた鋭いエッジやバリがバルーンや人工血管等に対し悪影響を与えることがないように研磨して、折曲部や折返端が接合パイプの外径と略同じ寸法になるようにしておくことが好ましい。
次に本発明に係るステントの実施例について図を用いて説明する。図1は複数のループステントをストラットによって接続して構成したステントとシースとの関係の例を説明する図である。図2は拡径したループステントとストラットとの関係を説明する図である。図3は接続部の構成を説明する図である。
図1、2に示すように、本実施例に係るステント1は、ステント主線2をジグザグ状に曲げ加工し、ステント主線2の端面どうしを突き合わせ溶接することで、ループ状に形成した複数のループステント3を直列に配置し、これらのループステント3を少なくとも2本のストラット4を介して接続した複合ステントとして構成されている。また先頭に位置するループステント3にはスタビライザー用フック5が接続されている。
ループステント3に於けるステント主線2の突き合わせ溶接部位及びその近傍では、ファイバー状に伸長したオーステナイト組織が、溶接による熱影響を受けて粗大化した粒状組織となり強度が低下する。このため、溶接部位及びその近傍には保護パイプ6が配置され、該保護パイプ6によって溶接による劣化部分が補強されている。
また、ループステント3とストラット4との接続部、及びループステント3とスタビライザー用フック5との接続部には接合パイプ7が配置されており、接合パイプ7にステント主線2と後述するような係止部が形成されたストラット4或いはスタビライザー用フック5が挿入されてかしめによって一体的に接続されると共に、係止部が接合パイプ7に係止されるように構成されている。
ループステント3を構成するステント主線2は、オーステナイト系ステンレス鋼、特に、インプラント用ステンレスとして好ましく利用されているSUS316Lからなる線材を冷間線引き加工によって組織をファイバー状に伸長させることで、加工硬化を発揮させると共に機械的性質を向上させた材料を用いている。このような材料によって構成したループステント3では、生体に対する適合性が良好で且つ適度な拡張力を発揮するため、目的の患部に到達してシースから離脱したとき、元の形状に復帰して長期間にわたって患部を補強することが可能である。
またストラット4及びスタビライザー用フック5もステント主線2と同様のオーステナイト系ステンレス鋼の線材、特にSUS316Lからなる線材を冷間線引き加工によって組織をファイバー状に伸長させた材料を用いている。
ループステント3、ストラット4、スタビライザー用フック5を構成する線材の太さは留置対象となる器官によって異なるものの、本実施例ではループステント3のステント主線は直径が約0.4mm〜0.5mm程度であり、ストラット4、スタビライザー用フック5は直径が約0.5mm程度である。
保護パイプ6及び接合パイプ7は、ステント主線2と同様にインプラント用ステンレスとして好ましく利用されているSUS316Lからなるパイプを用いている。保護パイプ6、接合パイプ7はかしめ加工が施されるため、使用前に硬化させることはない。
保護パイプ6は、ジグザグ状に形成されたステント主線2を突き合わせ溶接する直前に該ステント主線2に挿通される。このため、保護パイプ6は溶接部位を保護するのに十分な長さを持った1本のパイプとして構成されている。
接合パイプ7は、ステント主線2をジグザグに形成した後、端部を溶接する以前にステント主線2に挿通される。このため、接合パイプ7は、ジグザグ状に形成されたステント主線2の最小半径部分(ジグザグの屈曲部)を容易に通過し得る程度の長さであることが必要となり、短い長さを持った複数の単位パイプを連接させて接合パイプ7としている。例えば、ステント主線2の径が0.45mmである場合、接合パイプ7を構成する単位パイプの長さを0.98mmに設定し、この単位パイプを3個連接させることで接合パイプ6を構成している。
次に、ステント1に於ける接続部の構造について図3により説明する。尚、ステント1に於ける接続部は、ループステント3とストラット4、ループステント3とスタビライザー用フック5の接続部位、及び図示しない他の線状部品どうしの接続部位に夫々形成される。しかし、これらの接続部は同じ構成であり、代表してループステント3のステント主線2とストラット4との接続部の構成について説明する。
本実施例に係るステント1の接続部はループステント3のステント主線2とストラット4を接合パイプ7に挿通してかしめることで構成され、係止部はストラット4の接合パイプ7から突出させた端部4aに形成された折返部11によって構成されている。
ステント主線2及びストラット4は、SUS316Lの素線を冷間線引き加工して組織をファイバー状に伸長させた線材を利用して構成されている。また接合パイプ7もSUS316Lのパイプを利用して構成されている。
接合パイプ7は、同じ寸法と材質を持った3個の単位パイプ7a〜7cと、これらの単位パイプ7a〜7cの長手方向の両側に配置された2個の補助パイプ7d、7eと、を有して構成されている。各パイプ7a〜7eは予めループステント3のステント主線2に挿通されており、該ステント主線2に沿ってストラット4を接続する接続部となる位置まで移動している。
ストラット4の端部4aは所定の長さ範囲が予め焼鈍により軟化しており、ステント主線2に沿って接合パイプ7に挿通されて該接合パイプ7から突出し、この端部4aを180度折り返した折返部11が形成され、この折返部11によって係止部が構成されている。そして、折返部11が形成されたストラット4は、接合パイプ7をかしめることでステント主線2に接続されている。
即ち、本実施例に係るステント1の接続部は、予めステント主線に挿通された接合パイプ7を、ストラット4を接続すべき位置に移動させておき、この接合パイプ7に端部4aを焼鈍したストラット4を挿通して端部4aを突出させる。そしてストラット4の接合パイプ7から突出している端部4を180度折り返して折返部11を形成した後、ストラット4のステント主線2に対する位置を調整する。
このようにしてストラット4のステント主線2に対する位置(ループステント3に対するストラット4の位置)を調整した後、ストラット4を矢印a方向に引っ張って折返部11を接合パイプ7の端面に係合させ、この状態で接合パイプ7を構成する単位パイプ7a〜7cを強固にかしめると共に補助パイプ7d、7eをかしめ或いはつぶす。
上記の如くしてループステント3のステント主線2に対し接合パイプ7を利用してストラット4を接続することが可能である。このように構成された接続部では、折返部11を構成するストラット7の端面は面取りがなされており、更に、ステントグラフトを拡径する際に折返部11がバルーンに損傷を与えることがないように、ステント主線2や接合パイプ7との間に形成される段差が可及的に小さくなるように形成される。
尚、折返部11は必ずしも接合パイプ7によるかしめに先立って形成する必要はなく、接合パイプ7にストラット4を挿通して端部4aを突出させた後、接合パイプ7のかしめを行い、その後、端部4aを180度折り返して折返部11を形成しても良い。
またループステント3のステント主線2に於けるストラット4の接続位置、及びストラット4の接合パイプ7に挿通されてかしめられる位置、夫々の断面形状は元の円形のままであっても良く、また扁平状に成形されていても良い。
このような接続部を有するステント1では、ストラット4に図3に示す矢印a方向の力が作用し、この力に応じてストラット4が矢印a方向へ滑ろうとしても、折返部11が接合パイプ7の端面に当接して係止されるため、ストラット4が接合パイプ7から離脱することがない。
上記接合パイプ7では、主として単位パイプ7a〜7cによってループステント3を構成するステント主線2とストラット4との接続を行い、補助パイプ7d、7eによってストラット4がステント主線2に対し急激な角度で曲がるのを防止している。
次に、複数のループステント3をストラット4によって接続すると共にスタビライザー用フック5を接続したステント1を患部に留置する手順について図1により簡単に説明する。
ステント1には円筒状のグラフト21が形成されており、シース22の内径に対応させて縮径されて該シース22内に収容されている。シース22にはダイレーター23が収容され、更に、先端が外部に露出したガイドワイヤ24が収容されている。ステント1の先頭に設けたスタビライザー用フック5は、ダイレーター23に設けた切欠23aに引っ掛けられている。
そして、医師が手元にある操作部を操作してダイレーター23によってスタビライザー用フック5を器官に固定し、この状態でシース22を手元にひくことで、スタビライザーはシース22から引き出されて拡径し、患部に留置されて該患部を治療することが可能でる。
次に、ステント1に構成された接続部に於けるストラット4に形成される係止部の異なる実施例について図4により説明する。尚、本発明のステントでは、接続部に於ける係止部の形状や構造以外の構成(ループステント3やストラット4の構成)は同じであるため、接続部の構造について説明するものとする。
図4(a)は、ストラット4の端部4aに膨出部12を形成し、この膨出部12によって係止部を構成したものである。膨出部12はプレス加工によって形成することが可能であり、接合パイプ7の直径を選択することによって、ストラット4を接合パイプ7に挿通するのに先立って形成しておくことも可能である。
このように、ストラット4の端部4aに膨出部12からなる係止部を形成した場合には、該膨出部12が接合パイプ7の端面と当接して係止され、ストラット4に接合パイプ7から引き抜く方向の力が作用した場合でも離脱することがない。
同図(b)は、ストラット4の端部4aを略直角に折り曲げた折曲部13を形成し、この折曲部13によって係止部を構成したものである。折曲部13は、ストラット4を接合パイプ7に挿通する以前に形成しても良く、また接合パイプ7に挿通して該接合パイプ7をかしめた後、形成しても良い。
このように、ストラット4の端部4aに折曲部13からなる係止部を形成した場合には、該折曲部13が接合パイプ7の端面と当接して係止され、ストラット4に接合パイプ7から引き抜く方向の力が作用した場合でも離脱することがない。
以上説明した第1実施例に於ける折返部11、第2実施例に於ける膨出部12、折曲部13は、夫々ストラット4の端部4aに形状の変化を与えることで係止部を構成したものである。このように、ストラット4の端部4aの形状を変化させて係止部を構成するような場合、係止部の形状は前記形状に限定されるべきものではなく、係止部としての機能、即ち、ストラット4に接合パイプ7から引き抜く方向の力が作用したとき、この力に応じて接合パイプ7に係止されるような形状であれば良い。
従って、係止部としては、ループステント3のステント主線2とストラット4と接合パイプ7の内面との間に形成される空間に楔を差し込んでも良く、またストラット4の端部に刃物で切り込みを入れてフィン状の突起を形成しても良い。
次に、ステント1に構成された接続部に於けるストラット4に形成される係止部の更に異なる実施例について図5により説明する。本実施例のステント1では、係止部の構造が前述の各実施例と異なり、ストラット4の形状の変化を伴うことがない。
図5(a)は、ループステント3を構成するステント主線2に挿通した接合パイプ7にストラット4を挿通してかしめた後、接合パイプ7とストラット4を溶接し、この溶接点14により係止部としたものである。
接合パイプ7とストラット4を溶接する方法としては、スポット溶接、或いはレーザ溶接があり、何れも好ましく利用することが可能である。このような溶接法を採用した場合には、溶接方向を選択することで、接合パイプ7、ストラット4、ステント主線2に貫通させた溶接点14を形成し、或いは接合パイプ7とストラット4とを貫通させた溶接点14を形成することが可能である。
このように、ストラット4と接合パイプ7を溶接して溶接点14からなる係止部を形成した場合には、該溶接点14が接合パイプ7と一体化して係止され、ストラット4に接合パイプ7から引き抜く方向の力が作用した場合でも離脱することがない。
同図(b)は、接合パイプ7に挿通されたストラット4の接合パイプ7から突出した端部4aにレーザ溶接、レーザ溶射により肉盛部15を形成し、この肉盛部15によって係止部を構成したものである。
このように、ストラット4の端部4aに肉盛部15からなる係止部を形成した場合には、該肉盛部15が接合パイプ7の端面と当接して係止され、ストラット4に接合パイプ7から引き抜く方向の力が作用した場合でも離脱することがない。
以上説明した第3実施例では、接続部に於ける係止部をストラット4自体の変形を伴うことなく、溶接によるストラット4と接合パイプ7との一体化、或いは溶接による肉盛により、係止部としたものである。このような構造であっても、ストラット4に接合パイプ7から引き抜く方向の力が作用したとき、この力に応じて接合パイプ7に係止されることが可能である。
尚、前述の各実施例では、係止部をストラット4の端部4aに形成した場合について説明したが、必要に応じてループステント3のステント主線2に係止部を形成しても良いことは当然である。
特に、ステント主線2とストラット4の両方に係止部を形成した場合には、ループステント3とストラット4との接続部の位置がずれることがなく、ステント1の形状を安定して維持することが可能となる。
本発明に係るステント1は、ステントを湾曲した管状組織に適用させたとき、このステントはループステント及びストラットが略一様に撓み、部分的に曲がりの大きさに変動が生じることがない
1 ステント
2 ステント主線
3 ループステント
4 ストラット
4a 端部
5 スタビライザー用フック
6 保護パイプ
7 接合パイプ
7a〜7c 単位パイプ
7d、7e 補助パイプ
11 折返部
12 膨出部
13 折曲部
14 溶接点
15 肉盛部
21 グラフト
22 シース
23 ダイレーター
23a 切欠
24 ガイドワイヤ

Claims (2)

  1. ステント主線、ストラット、スタビライザー用フックを含む線状部品を接合パイプを介して接続した接続部を有するステントに於いて、
    前記ストラット及び前記スタビライザー用フックの直径が前記ステント主線の直径より大きいことを特徴とするステント。
  2. 前記ステント主線は直径が0.4mm〜0.5mmであり、前記ストラット及び前記スタビライザー用フックは直径が0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載のステント。
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