JP2009272320A - 電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】150℃以上の高温長時間使用に耐えることのできる電解コンデンサを提供することを目的としている。
【解決手段】リード線を備えた両極箔とセパレータを巻回して形成したコンデンサ素子に電解液を含浸し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、前記リード線を封口体の貫通孔に貫通して開口部を封口体により封口してなる電解コンデンサにおいて、前記リード線を引き出したコンデンサ本体の端面に、液晶ポリマーの被覆層を形成する。この液晶ポリマーは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるものであり、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成する。好適には芳香族基がエステル結合で連結しているような液晶ポリマーを挙げることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解コンデンサに係り、特に、150℃以上の高温での使用に耐え得る電解コンデンサに関するものである。
従来から用いられている電解コンデンサは、電極引き出し手段であるリード線を備えた電極箔を、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、駆動用電解液を含浸したコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納する。そして、この外装ケースの開口部に封口体を装着し、その後、開口部を加締め加工によって封口して、電解コンデンサが形成される(特許文献1)。
通常、この電解コンデンサ用封口体としては、ブチルゴムやエチレンプロピレンゴムからなる封口ゴムが用いられる。また、小型、低インピーダンス、100WV級の電解コンデンサのコンデンサ素子に含浸される電解液としては、従来より、γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、フタル酸、マレイン酸等の第三級アミン塩を溶質とするものなどが知られている。
特開平9−7901号公報 特開2006−199769号公報
近年、自動車の電装品やインバータ照明に用いられる電解コンデンサの使用環境温度は150℃以上へと高温化しているが、上記のような従来の電解コンデンサの高温使用は125℃が限界であるため、150℃以上での長時間使用には耐えることができなかった。
このように、従来の電解コンデンサを150℃以上の高温下で長時間使用することができない原因は、従来の封口ゴムの耐熱性にあることが判明している。すなわち、150℃以上の高温下で使用すると、従来の封口ゴムは熱酸化劣化を起こして、ゴム特性が劣化し、ゴム強度の低下、気密性の低下をもたらすため、電解液が透散して、電解コンデンサの特性が低下する。さらに、電解コンデンサ内部の電解液溶媒の蒸気圧が上昇して、封口ゴムからの透過量が増大して、電解コンデンサの特性が低下する。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解消するために提案されたものであり、その目的は、150℃以上の高温長時間使用に耐えることのできる電解コンデンサを提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するため、150℃以上の高温下で長時間使用しても、封口ゴムの熱酸化劣化を防止することができる手段について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、封口ゴムの表面に、液晶ポリマーからなる被覆層を形成することにより、上記課題を解決することができることが分かった。
(液晶ポリマー)
本発明に使用される液晶ポリマーは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるものであり、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成するものである。好適には芳香族基がエステル結合で連結しているような液晶ポリマーを挙げることができる。なお、この液晶ポリマーは、エステル結合の一部がアミド結合に置き換わったような液晶ポリマーも含む概念である。特に、このような分子内にアミド結合を有する液晶ポリマーは、後述する液晶ポリマー溶液において液晶ポリマーの溶媒に対する溶解性が良好となるという利点があることを本出願人は提唱している(特許文献2)。
具体的に好適な液晶ポリマーを例示すると、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び水酸基を有する芳香族アミンの組み合わせを重合して得られるもの、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と水酸基を有する芳香族アミンとを重合して得られるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、
などが挙げられる。
なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び水酸基を有する芳香族アミンの代わりに、それらのエステル形成性やアミド形成性誘導体を使用してもよい。
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び水酸基を有する芳香族アミンは、エステル形成性・アミド形成性を阻害しない程度であれば、その芳香環上に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を置換基として有していてもよい。
カルボン酸のエステル形成性・アミド形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、ポリエステル生成反応を促進するような、酸塩化物、酸無水物などの反応性が高い誘導体となっているもの、あるいはカルボキシル基がエステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性・アミド形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
さらに、アミノ基のエステル形成性・アミド形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルやポリアミドを生成するように、アミノ基がカルボン酸類とアミドを形成しているものなどが挙げられる。なお、ここでいうエステル交換はアミド結合形成反応も含む概念である。
液晶ポリマーの繰り返し構造単位としては、下記のものを例示することができる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位:
Figure 2009272320
上記の構造単位は、その芳香環上の水素原子がハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位:
Figure 2009272320
上記の構造単位は、その芳香環上の水素原子がハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
水酸基を有する芳香族アミンに由来する構造単位:
Figure 2009272320
上記の構造単位は、その芳香環上の水素原子がハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
なお、上記のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。上記のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、典型的にはフェニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
中でも、本発明に適用する液晶ポリマーとして特に好適なものは、以下の(イ)、(ロ)及び(ハ)で示される構造単位を含み、これらの構造単位の合計に対して、(イ)で示される構造単位が30〜80モル%、(ロ)で示される構造単位が10〜35モル%、(ハ)で示される構造単位が10〜35モル%の液晶ポリマーを挙げることができる。
(イ)−O−Ar−CO−
(ロ)−CO−Ar−CO−
(ハ)−X−Ar−NH−
(式中、Arは、フェニレン、ナフチレン又はビフェニレン;Arは、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン又は下記(ニ)で表される基;Arは、フェニレン又は下記(ニ)で表される基;XはO又はNHをそれぞれ表す。なお、Ar、Ar及びArの芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(ニ)−Ar11−Z−Ar12
(式中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表す。ZはO、CO又はSOを表す。)
(イ)で示される構造単位として、Arが1,4−フェニレンの構造単位(A)及び/又はArが2,6−ナフチレンの構造単位(A)が好ましく、液晶ポリマー溶液を調製し易い点で(A)が特に好ましい。
(ロ)で示される構造単位として、Arが1,4−フェニレンの構造単位(B)、Arが1,3−フェニレンの構造単位(B)及び/又はArが2,6−ナフチレンの構造単位(B)が好ましく、液晶ポリマー溶液を調製し易い点で(B)が特に好ましい。
(ハ)で示される構造単位として、Arが1,4−フェニレンの構造単位(C)及び/又はArが1,3−フェニレンの構造単位(C)が好ましく、液晶ポリマー溶液を調製し易い点で(C)が特に好ましい。
液晶ポリマーに関し、より溶媒に対する溶解性を良好にするためには、前記(A)で表される構造単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。
構造単位の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(c)が挙げられる。
(a):
前記構造単位(A)、(B)、(C)からなるポリエステル、
前記構造単位(A)、(B)、(C)からなるポリエステル、
前記構造単位(A)、(B)、(B)、(C)からなるポリエステル、
前記構造単位(A)、(B)と(B)の混合物、(C)からなるポリエステル、
前記構造単位(A)、(B)と(B)の混合物、(C)からなるポリエステル。
前記構造単位(A)、(B)、(C)からなるポリエステル。
(b):前記(a)において、(C)の一部または全部を(C)に置換したポリエステル。
(c):前記(a)において、(A)の一部を(A)に置換したポリエステル。
液晶ポリマーとしては、高い溶解性と低い透湿性を兼ね備えているという点において、(A)及び/又は(A)の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位の合計が全構造単位の合計に対して30〜80モル%、(C)及び/又は(C)の水酸基を有する芳香族アミンに由来する構造単位の合計が全構造単位の合計に対して10〜35モル%、(B)、(B)及び/又は(B)の芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位の合計が全構造単位の合計に対して10〜35モル%のものが好ましく、(A)が全構造単位の合計に対して30〜80モル%、(C)が全構造単位の合計に対して10〜35モル%、(B)及び/又は(B)の芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位の合計が全構造単位の合計に対して10〜35モル%の液晶ポリマーがより好ましい。
液晶ポリマーの重量平均分子量は、5000〜500000であると好ましい。
本発明に用いる液晶ポリマーの製造方法は、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び水酸基を有する芳香族アミンを過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物(芳香族ヒドロキシカルボン酸アシル化物及び水酸基を有する芳香族アミンアシル化物)のアシル基と、芳香族ヒドロキシカルボン酸アシル化物及び芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基とがエステル交換を起こすようにして重縮合するといった溶融重合が挙げられる。アシル化物としては、予めアシル化して得た芳香族ヒドロキシカルボン酸アシル化物や水酸基を有する芳香族アミンアシル化物を溶融重合に供してもよい。
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の使用量が、フェノール性水酸基とアミノ基の合計の1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の使用量が1.0倍当量未満では、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶ポリマーの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化反応は、130〜180℃で5分〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく、より好ましくは、無水酢酸である。
エステル交換においては、アシル化物のアシル基の合計がカルボキシル基の合計の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
アシル化して得たアシル化物と芳香族ジカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行なってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行なうことができる。
ただし、これらの触媒は、生成する液晶ポリマーから除去されず、液晶ポリマーに残存したままとなることがある。そのため金属を含む触媒を用いた場合、液晶ポリマーに残存した金属が電解コンデンサに対して悪影響を及ぼすことがあり、かかる点から触媒としては前記有機化合物触媒が好ましい。
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固相重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリエステルを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、熱処理により行うことができる。具体的には、例えば、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた液晶ポリマーは、公知の方法によりペレット化してもよい。
封口ゴムの表面をコートする液状の液晶ポリマーとしては、液晶ポリマーを所定の溶媒に溶解した5〜30wt%の液晶ポリマー溶液を用いる。この範囲を超えると液晶ポリマー溶液の流動性が低下するため、均一な層を形成することが困難であり、この範囲未満では本発明の効果が低下する。液晶ポリマー溶液を製造するには、通常、液晶ポリマーを溶媒に投入し、80〜150℃程度で溶媒の沸点以下の温度で、1〜10時間程度、攪拌すればよい。なお、前記液晶ポリマーにおいて液晶ポリマー、溶媒以外の成分が含まれることもあるが、液晶ポリマーと溶媒の合計に対して液晶ポリマーが5〜30wt%であればよい。
液晶ポリマーの溶媒としては、使用する液晶ポリマーの種類により適宜好適なものが使用できるが、例えば、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジエチルホルムアミド、N、N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン及びテトラメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテートから選ばれる非プロトン性極性溶媒、パラクロロフェノールなどのハロゲン化フェノール類を好適な溶媒として挙げることができる。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用できる。中でも、前記溶媒としては非プロトン性極性溶媒を含むものであるとより好ましく、非プロトン性極性溶媒からなるものであると特に好ましい。中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N、N−ジメチルアセトアミドが好適である。
(液晶ポリマーの被覆層形成方法)
電解液を含浸したコンデンサ素子を外装ケースに収納し、開口部に封口ゴムを配し、絞り加工によって封口した後、再化成を行って電解コンデンサを作製する。この電解コンデンサの封口ゴムの上面(リード線を引き出したコンデンサ本体の端面)に上記の液晶ポリマー溶液をディスペンサ等で滴下、塗布した後、乾燥して液晶ポリマーの被覆層を形成する。なお、液晶ポリマー溶液をアプリケータ等で塗布しても良い。
なお、乾燥温度は、60〜200℃が好ましい。また乾燥時間は、15分〜5時間が好ましい。また、電解コンデンサの再化成工程は、前述の液晶ポリマーの被覆層の形成前であっても、形成後であってもよい。
また、コンデンサ本体の端面にリード線を貫通して引き出し、絶縁板を設置した表面実装型電解コンデンサにおいても、液晶ポリマーの被覆層をコンデンサ本体の端面に形成することができる。さらに、絶縁板の貫通孔と、貫通孔に挿通したリード線との間隙に液晶ポリマーの被覆層を形成すると、リード線の折り曲げ加工時に、リード線と電極箔との接合部へのストレスが緩和されて、漏れ電流特性が向上するという効果も得られる。また、コンデンサ本体の端面のうち、外装ケースの絞り加工部と封口体との界面を覆って液晶ポリマーの被覆層を形成すると、熱酸化劣化により収縮した封口体と前記外装ケースの絞り加工部との隙間が生じやすいが、この部分を覆って液晶ポリマーの被覆層が形成されているため、電解液の透過を抑制できる。
液晶ポリマーの被覆層の厚みは、3μm以上が好ましく、3μm未満であると被覆層が電解液の透過を遮断しきれないため、電解液の透過を抑制することが難しい。この被覆層の厚みは、10〜150μmが好適である。
また、電解液の遮断性を高めるため、液晶ポリマーの被覆層を厚く形成することもできるが、単層で形成する場合はこの液晶ポリマーからなる被覆層に凹凸や塗りムラが生じやすく、均一な被覆層を形成することが困難である。このため、液晶ポリマーの被覆層を重ね塗りして複数層に形成することによって、均一な厚みの被覆層が形成されやすくなるとともに、被覆層の機械的強度が向上するため、特に高温時における封口ゴムの熱変形を抑えることができ、電解コンデンサが150℃以上の高温、長時間において安定的に使用できるようになる。
(封口ゴム)
封口ゴムは、エチレンプロピレンターポリマー(EPDM)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR:通称ブチルゴム)及びブタジエンスチレンゴム(SBR)などがあげられるが、電解液の遮断性の優れたブチルゴムが好ましい。この弾性ゴムには、マイカやタルク(偏平状が好適)、焼成クレー、含水ケイ素、無水ケイ素、カーボンブラック等が添加されている。
(電解液の溶媒)
電解液の溶媒として、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等のスルホラン系溶媒を用いると、蒸気圧が低いので、電解液の透過量が少なく、高温特性はさらに向上する。また、γ−ブチロラクトン等のラクトン系の溶媒を副溶媒として用いると、インピーダンス特性が向上するのでより好ましい。
本発明の電解コンデンサは、封口ゴムの上面に、耐熱性が高く、電解液の溶媒の透過性が低い液晶ポリマーの被覆層を形成しているので、150℃以上の高温下で長時間使用した場合でも封口ゴムの劣化を防止することができる。その結果、電解液の透散が抑制され、電解液溶媒の封口ゴムからの透過量が抑制されるので、150℃以上の高温、長時間の使用に耐えることができる。
すなわち、封口ゴムの高温下での劣化は、表面からの熱酸化の進行によるので、ゴム表面に耐熱性の高い液晶ポリマーの被覆層を形成すると、封口ゴム表面の熱酸化が抑制されて、ゴム特性の劣化が抑制される。また、電解液の溶媒の減少が抑制されると、電解液の保持量の減少による静電容量の低下とtanδの上昇を抑制することができる。
また、液晶ポリマーと封口ゴム、ケースの絞り加工をした端面、およびリード線貫通孔との接着性を向上させるために、各種接着剤やプライマー等を塗布することができる。その他の表面処理方法として、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線照射処理、下塗り材塗布方法などを封口ゴム端面に施してもよい。
このような表面処理が施された面に液晶ポリマーの被覆層を形成すると、この液晶ポリマーとケースの絞り加工をした端面、リード線貫通孔及び封口ゴムとの密着性がよくなることから、高温雰囲気において液晶ポリマーの被覆層の剥離が少なくなるため、電解液の透過性を低く抑えることができ、信頼性に優れた電解コンデンサが形成される。
以上述べたように、本発明によれば、150℃以上の高温長時間使用に耐えることのできる電解コンデンサを提供することができる。
以下、本発明を図面及び実施例を用いて具体的に説明する。
(液晶ポリマー10wt%のN−メチル−2−ピロリドン溶液の製造例)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシー6−ナフトエ酸941g(5.0モル)、4−アミノフェノール273g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸1123g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、偏光顕微鏡観察により200℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
前記のようにして製造した液晶ポリマーを粗粉砕機で粉砕することにより、液晶ポリマーのポリマー粉末を得た。このポリマー粉末を、窒素雰囲気の条件下260℃で3時間保持し固相重合を行った。かかる液晶ポリマーは、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−アミノフェノール及びイソフタル酸の構造単位を含み、その含有モル比(共重合比)は、50:25:25である。
上記固相重合を行った液晶ポリマー10gをN−メチル−2−ピロリドン90gに加え、140℃、4時間攪拌し、褐色透明な溶液を得た。なお、目視で判断したところ、完全に溶解していた。この溶液を攪拌及び脱泡し、液晶ポリマー溶液を得た(初期粘度:965センチポイズ)。なお、溶液粘度の測定は次の方法で実施した。B型粘度計〔東機産業製、「TVL-20型」、ローターNo.21(回転数:5rpm)〕を用いて液晶ポリマー溶液を110mlのスクリュー管瓶(ラボラン社製)に入れ、23℃における溶液粘度を測定した。
(実施例1)
図1に示すように、陽極箔及び陰極箔をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子4に電解液を含浸し、このコンデンサ素子4をアルミニウムからなる外装ケース2に収納し、コンデンサ素子から導出されたリード線5を貫通させる貫通孔を備えた封口ゴム3を外装ケース2の開口部に設置するとともに、絞り加工によって封口した後、再化成を行って電解コンデンサ1を作製した。なお、電解液としては、スルホラン50wt%、γ−ブチロラクトン25wt%、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムフタル酸塩25wt%の混合液を用いた。
この電解コンデンサ1のコンデンサ本体の端面(封口ゴムの上面、絞り加締め部6を含む)に、製造例で得た液晶ポリマー10wt%のN−メチル−2−ピロリドン溶液をディスペンサで滴下塗布した後、100℃で1時間乾燥し、コンデンサ本体の端面に、液晶ポリマーの被覆層7を形成した。封口ゴムとして、ブチルゴムを用いた。
(従来例1)
上記実施例1と同様にして電解コンデンサを作製し、コンデンサ本体の端面に液晶ポリマーの被覆層を形成しなかった。
[比較結果]
上記のようにして作製した実施例1と従来例1の電解コンデンサの電解液の透過量を比較するために、150℃雰囲気に1000時間、2000時間放置して電解コンデンサの電解液の重量変化率を測定したところ、次の表1に示すような結果が得られた。
Figure 2009272320
票1から明らかなように、1000時間以降で、実施例1の電解液の透過量は、従来例1に比べて改善されており、実施例の封口ゴムの表面に液晶ポリマーの被覆層を形成することにより、封口ゴムの表面からの熱酸化が抑制されていることが示された。また、電解コンデンサでは一般に、電解液の保持量が減少すると静電容量が低下し、tanδが上昇することが知られているが、実施例では電解液の減少が従来例に比べて抑制されているため、電解コンデンサの電気特性の劣化を抑制することができると考えられる。さらに、従来例1の試験後の封口ゴム表面は、高温雰囲気により封口ゴム表面に熱変形が生じていたが、実施例1の試験後の封口ゴム表面については、変形等の異常は認められなかった。
本発明の電解コンデンサの構成の一例を示す断面図
符号の説明
1…電解コンデンサ
2…外装ケース
3…封口ゴム
4…コンデンサ素子
5…リード線
6…絞り加締め部
7…液晶ポリマーの被覆層

Claims (9)

  1. リード線を備えた両極箔とセパレータを巻回して形成したコンデンサ素子に電解液を含浸し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、前記リード線を封口体の貫通孔に貫通して開口部を封口体により封口してなる電解コンデンサにおいて、
    前記リード線を引き出したコンデンサ本体の端面には、溶媒と液晶ポリマーとを含む液晶ポリマー溶液により形成された被覆層を有することを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 前記被覆層は、外装ケースと封口体の界面を覆って形成されたことを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記液晶ポリマーが、以下の式(イ)、(ロ)及び(ハ)で示される構造単位を含み、これらの構造単位の合計に対して、式(イ)で示される構造単位が30〜80モル%、式(ロ)で示される構造単位が10〜35モル%、式(ハ)で示される構造単位が10〜35モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解コンデンサ。
    (イ)−O−Ar−CO−
    (ロ)−CO−Ar−CO−
    (ハ)−X−Ar−NH−
    (式中、Arは、フェニレン、ナフチレン又はビフェニレン;Arは、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン又は式(ニ)で表される基;Arは、フェニレン又は式(ニ)で表される基;XはO又はNHをそれぞれ表す。なお、Ar、Ar及びArの芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
    (ニ)−Ar11−Z−Ar12
    (式中、Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表す。ZはO、CO又はSOを表す。)
  4. (イ)が下記式(A)で示される繰り返し構造単位を含有することを特徴とする請求項3記載の電解コンデンサ。
    Figure 2009272320
  5. (ロ)が下記式(B)で示される繰り返し構造単位を含有することを特徴とする請求項3記載の電解コンデンサ。
    Figure 2009272320
  6. (ハ)が下記式(C)で示される繰り返し構造単位を含有することを特徴とする請求項3記載の電解コンデンサ。
    Figure 2009272320
  7. 前記液晶ポリマー溶液の濃度は、5〜30wt%であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  8. 前記被覆層の厚みが、3μm以上であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  9. 前記被覆層は複数層から構成されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
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