本発明は、前述のスクリーン印刷法により生じるダレの現象を利用する発明であり、従来のパターンとは反転パターンとなるトッドパターンのペースト吐出領域を有するスクリーン版からドットパターンのコンタクトホールを形成する発明である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
〔第1の実施の形態〕
本発明にかかる第1の実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態においてスクリーン印刷法によりコンタクトホールを有する層間絶縁膜を形成するためのスクリーン版11を示す。
このスクリーン版は、500メッシュのステンレス線からなるものであり、スクリーン版の表面の一部は、形成されるパターンに応じて乳剤が形成されペーストが透過しない構成となっている。本実施の形態では、641×481個の矩形のペースト吐出領域12(乳剤により遮断されていない開口)が、二次元的に各々127μmピッチで配列している。尚、図1では、ペースト吐出領域12の数等は都合により一部のみの記載となっている。また、このペースト吐出領域12は、87×87μmである。
これより、相互に隣接する最も近接するペースト吐出領域である、領域12aと領域12bまた、領域12aと領域12dとの間隔A、間隔Bは、各々40μmであり、次に近接するペースト吐出領域12である領域12aと領域12cとの間隔Cは、56.6μmである。
本実施の形態において用いられる絶縁ペーストは、上記スクリーン版を用いスクリーン印刷を行った際に、最も近接するペースト吐出領域から吐出した絶縁ペースト同士はダレの影響により相互に接続されるのに対し、その次に近接するペースト吐出領域から吐出した絶縁ペースト同士はダレの影響を受けても接触することがない条件のものである。即ち、スクリーン印刷法において、40μmの間隔でペーストが吐出した場合には、ダレの影響により相互に接続され一体化し、56.6μmの間隔でペーストが吐出した場合には、ダレの影響を受けても接触することなく分離したままの状態を保った条件となるものである。即ち、スクリーン印刷法において絶縁ペーストを印刷した場合に生じるダレを利用し、ドットパターンのペースト吐出領域が形成されているスクリーン版により、スクリーン印刷を行った場合に形成されるドットパターンの絶縁ペーストのパターンの最も近接したもの同士が接触し一体化することにより、最も近接する絶縁ペースト同士により囲まれた領域にコンタクトホールが形成されるものである。
このような絶縁ペーストとしては、後述するように25℃の環境下において、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した粘度が50〔rpm〕で、30から100〔Pa・s〕である絶縁ペーストが挙げられる。
尚、形成されるコンタクトホールの形状は、スクリーン版におけるペースト吐出領域の形状、絶縁ペーストの粘度、メッシュ数、紗厚、乳剤厚等のスクリーン版の使用に基づくものの他、スキージ速度、クリアランス、スキージのゴム硬度、アタック角等の印刷条件に依存する。また、矩形のペースト吐出領域の場合では、菱形形状等になることが多い。吐出した絶縁ペーストは、その後乾燥等を行うことにより、硬化させ層間絶縁膜が形成される。
次に、本実施の形態に用いられるスクリーン版の形成方法について説明する。
最初に、スクリーン版枠にナイロンメッシュを介して500番のステンレスメッシュをダブルバイアスコンビネーションの形で、所定の張力を持たせ貼り付ける。
次に、ステンレスメッシュの一面に乳剤塗布とベークを繰返し、所定の厚さの乳剤を形成する。
次に、形成された乳剤面に、87×87μmのペースト吐出領域が、127μmピッチで、マトリックス状に2次元的に配列されたペースト吐出領域と同じ形状のパターンの形成されたCrマスクを密着させ、露光装置により露光を行う。
次に、露光後のスクリーン版を現像することにより、露光装置により露光された領域の乳剤は剥離するため、この後、露光されなかった領域の乳剤を熱硬化させることにより、ペースト吐出領域が2次元的にマトリックス状に配列されたスクリーン版が形成される。これにより、最も近接するペースト吐出領域の間隔が40μmとなるスクリーン版を得ることができる。
次に、このようにして作製されたスクリーン版を用いて層間絶縁膜をスクリーン印刷法により形成する方法について図2に基づき説明する。
最初に、図2(a)に示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる基板21上に上記のように作製したスクリーン版22を用いて、絶縁ペースト23の印刷を行った。絶縁ペーストは、高分子樹脂と有機溶剤からなる有機ビヒクル中に0.01〜数μmの大きさの絶縁フィラーを分散させたインクであり、せん断応力がかかると低粘度化し、せん断応力がなくなると粘度が回復する性質を有するものである。本実施の形態において用いた絶縁ペースト23は、シリカペーストであり、0.2〜0.6μmの大きさのシリカフィラー、ポリエステル樹脂、ブチルカルビトールアセタート等からなり、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した粘度が50〔rpm〕で、62〔Pa・s〕である。スクリーン版22とPETからなる基板21とのクリアランスは、1.5〔mm〕であり、ゴム硬度70のスキージを用いアタック角度70〔度〕、印刷速度60〔mm/s〕で印刷を行った。図2(a)に示すように、スキージ24直下では、クリアランスが0となるが、図2(b)に示すように、スキージ24の移動に伴い、スキージ24の後方では版離れが進行し、スクリーン版22のペースト吐出領域から絶縁ペーストがPET21基板に転写去れ、絶縁ペーストからなるパターン25が形成される。この後、絶縁ペーストはダレにより最も近接する絶縁ペーストのパターン同士は接触し一体化する。
このことをより詳しく、図1、図3に基づき説明する。図3は、本実施の形態により形成された層間絶縁膜の表面の上面図である。図1に示すスクリーン版のペースト吐出領域12a、12b、12c、12dから、各々絶縁ペーストが吐出し、図3の波線により示すように、基板21上に絶縁ペーストのパターン25a、25b、25c、25dが形成されるが、このパターンはダレにより最も近接する絶縁ペーストのパターン25同士が接触し一体化する。
即ち、本実施の形態では、最も近接する絶縁ペーストのパターン25同士(25aと25b、25bと25d、25dと25c、25cと25a)は、ダレにより波線の矢印の方に進行し、相互に接触し一体化するものの、その次に隣接する絶縁ペーストのパターン25同士(25aと25c、25bと25d)は、接触することがないため、25a、25b、25c、25dの4つの絶縁ペーストのパターン25により一つのコンタクトホール26aが形成されるのである。このため、641×481個のペースト吐出領域12を有するスクリーン版22により基板21に印刷された後は、640×480個のコンタクトホール26を有する層間絶縁膜が形成される。尚、本実施の形態において形成されるコンタクトホール26は、正方形、菱形、星形状のものが形成される。
次に、図2(c)に示すように、スクリーン印刷により絶縁ペーストの印刷が終了したPETからなる基板21を強制対流式オーブン27に入れて加熱し、絶縁ペーストを硬化させた。尚、この際の強制対流式オーブン27における硬化条件は、120℃の温度、30分である。
このような工程により形成した層間絶縁膜の一部における金属顕微鏡による写真を図4に示す。図4に示すように、層間絶縁膜において、コンタクトホール(ホール)が形成されており、測定の結果640×480個のホール全てが開口していることが確認された。
次に、このように形成された層間絶縁膜の表面形状の様子を図3、図5に基づき説明する。図3に示されるように、PETからなる基板21上に、コンタクトホール26が、二次元的にマトリックス状に配列されている。
このように層間絶縁膜28の形成された基板21の断面構成を図5に示す。図3における波線A1−A2により切断した断面図を図5(a)に、波線B1−B2により切断した断面図を図5(b)に、波線C1−C2により切断した断面図を図5(c)に示す。図5(a)では、コンタクトホール26a、26b、26cが形成されており、コンタクトホール26間においては、吐出された絶縁ペーストのパターン25a、25cが吐出された領域であり盛り上がった形状となっている。即ち、吐出された絶縁ペーストのパターン25aと25cとの間においては、ダレは生じるものの絶縁ペースト同士が接触しないため、コンタクトホール26aが形成されるのである。
一方、図5(b)に示すように、吐出された絶縁ペーストのパターン25aと25bとの間においては、ダレにより絶縁ペーストのパターン25aと25bが相互に接合しているため、コンタクトホールが形成されることはない。よって、絶縁ペーストのパターン25aと25bが形成された領域の層間絶縁膜は盛り上がった状態となっているが、絶縁ペーストのパターン25aと25bと間の領域においては、絶縁ペーストがダレにより接合するため、層間絶縁膜が薄く形成される。
同様に、図5(c)に示すように、吐出された絶縁ペーストのパターン25aと25dとの間においても、ダレにより絶縁ペーストのパターン25aと25dが相互に接合しているため、コンタクトホールが形成されることはない。よって、絶縁ペーストのパターン25aと25dが形成された領域の層間絶縁膜は盛り上がった状態となっているが、絶縁ペーストのパターン25aと25dと間の領域においては、絶縁ペーストがダレにより接合するため、層間絶縁膜が薄く形成される。このようにして、図1に示すドットパターンのペースト吐出領域12を有するスクリーン版11より、図3に示すドットパターンのコンタクトホール26を得ることができる。
尚、コンタクトホールの大きさが、200〜300〔μm〕程度であれば、本実施の形態によることなく、通常のパターン、即ち、スクリーン版の乳剤によりペースト吐出領域により囲まれたパターンにより、コンタクトホールを形成することが可能である。
本実施の形態では、PETからなる基板21を用いたが、この他、ガラス基板、石英基板、セラミックス基板、PES(ポリエーテルサルフォン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等のプラスチック基板、Si、GaAs等の半導体基板を使用することも可能である。
また、本実施の形態では、絶縁ペーストとしてシリカフィラー、ポリエステル樹脂、ブチルカルビトールアセタート等からなるシリカペーストを用いたが、この他、ファインピッチ印刷に対応できる材料であれば使用することが可能である。フィラーとしては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム等の絶縁フィラー、誘電体フィラーを使用することが可能である。高分子樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等の樹脂を使用することができる。また、有機溶媒としては、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、エチレンカルビトール、エチレンカルビトールアセテート、アルファテルピネオール、イソホロン、ジクライム等の高沸点溶媒を使用することができる。また、必要に応じて分散剤、消泡剤、増粘剤等の添加物を加える場合もある。
また、本実施の形態では、熱硬化型ペーストについて説明したが、本実施の形態では、硬化方式については各種方式を採用することも可能である。具体的には、光硬化型、光硬化と熱硬化の併用、または、乾燥後に焼成を行うことにより樹脂自体をバーンアウトさせるタイプのものであってもよい。
また、本実施の形態におけるスクリーン版は、ステンレスメッシュ上に乳剤によりペースト吐出領域を形成しているが、Ni、Cu等の金属泊によってペースト吐出領域を形成し、ステンレスメッシュに固着させたサスペンデッドメッシュを用いても良い。また、ファインピッチ印刷に対応できるメッシュ数、一般的には、400メッシュ以上であれば、高分子繊維で編んだメッシュも使用することが可能である。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、ペースト吐出領域間のスペースと、形成されるコンタクトホールの関係を調べたものである。スクリーン版は、321×241個の正方形のペースト吐出領域について、127〔μm〕周期で、隣接するペースト吐出領域の間隔を二次元的のマトリックス状に、10〔μm〕、20〔μm〕、30〔μm〕、40〔μm〕、50〔μm〕、60〔μm〕、80〔μm〕と変化させたものを作製した。尚、スクリーン版のメッシュは、500メッシュ、乳剤厚は、15〔μm〕である。
上記スクリーン板上に、第1の実施の形態において用いた絶縁ペーストと同じ絶縁ペーストを用い、ゴム硬度80のスキージを用い、クリアランスが、1.5〔mm〕、アタック角70〔度〕、印刷速度が、30〔mm/s〕の条件で、絶縁ペーストをPET基板に印刷し、その後、120〔℃〕で30〔分〕の硬化を行った。絶縁膜の硬化後、コンタクトホールの形状を金属顕微鏡により観察した結果を表1に示す。
表1に示されるように、ペーストの吐出領域が正方形の場合であって、隣接するペースト吐出領域間のスペースを10〔μm〕とした場合では、相互に最も近接する絶縁ペーストのパターンのみならず、次に近接する絶縁ペーストのパターンもダレにより、相互に接触してしまい、コンタクトホールが殆ど形成されなかった。一方、隣接するペースト吐出領域間のスペースを60〔μm〕とした場合では、最も近接する絶縁ペーストのパターンについて、一部ダレによっても接触しないものがあり、部分的にコンタクトホールが形成されない領域があった。更に、隣接するペースト吐出領域間のスペースを80〔μm〕とした場合では、最も近接する絶縁ペーストのパターンについては、全ての絶縁ペーストのパターンについて、ダレにより接触することがなく、全てのコンタクトホールが形成されることがない状態、即ち、絶縁材料の孤立パターンが形成されてしまい、コンタクトホール同士がつながった構造となった。尚、隣接するペースト吐出領域間のスペースが20〔μm〕、30〔μm〕、40〔μm〕、50〔μm〕の場合では、全て最も近接する絶縁ペーストのパターン同士については、ダレにより接触し一体となり、その次に隣接する絶縁ペーストのパターン同士については、ダレによっては接触することがなく、320×240個のコンタクトホール全てが開口を有するものであった。この結果より、スクリーン版の隣接するペースト吐出領域間のスペースは、20〜50〔μm〕であることが望ましい。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、絶縁ペーストの粘度と、形成されるコンタクトホールの関係を調べたものである。スクリーン版は、321×241個の円形のペースト吐出領域について、127〔μm〕周期で、隣接するペースト吐出領域の間隔を二次元的のマトリックス状に、40〔μm〕であるものを作製した。尚、スクリーン版のメッシュは、530メッシュ、乳剤厚は、10〔μm〕である。
上記スクリーン板上に、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した粘度が50〔rpm〕で、10〔Pa・s〕、30〔Pa・s〕、62〔Pa・s〕、100〔Pa・s〕、150〔Pa・s〕である各々の絶縁ペーストについて、前記スクリーン版を介し、PETからなる基板上に印刷を行い、120℃、30分で硬化を行った。他の印刷条件は第2の実施の形態と同様にして、硬化を行った後のコンタクトホールの形状を金属顕微鏡により観察した。この結果を表2に示す。
絶縁ペーストの粘度が、10〔Pa・s〕の場合では、印刷により形成された絶縁ペーストのパターンが、相互に最も近接する絶縁ペーストのパターンのみならず、次に近接する絶縁ペーストのパターンもダレにより、相互に接触してしまい、コンタクトホールが殆ど形成されなかった。一方、絶縁ペーストの粘度が、150〔Pa・s〕の場合では、最も近接する絶縁ペーストのパターンについて、一部ダレによっても接触しないものがあり、部分的にコンタクトホールが形成されない領域があった。尚、絶縁ペーストの粘度が、30〔Pa・s〕、62〔Pa・s〕、100〔Pa・s〕の場合では、全ての最も近接する絶縁ペーストのパターン同士については、ダレにより接触し一体となり、その次に隣接する絶縁ペーストのパターン同士については、ダレによっては接触することがなく、320×240個のコンタクトホール全てが開口を有するものであった。この結果より、用いられる絶縁ペーストの粘度は、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した粘度が50〔rpm〕で、30〜100〔Pa・s〕であることが望ましい。
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、本発明に基づく多層配線基板及び多層配線基板の形成方法である。
図6に基づいて、本実施の形態における多層配線基板の構成を説明する。図6(a)は、本実施の形態における多層配線基板の上面図であり、図6(b)は、図6(a)において、波線D1−D2において切断した本実施の形態における多層配線基板の断面図である。
本実施の形態における多層配線基板の下部電極32は、基板31上に形成されており、図6(a)における紙面上、左右方向に伸びており、上下方向に127〔μm〕ピッチで640本の下部電極32形成されている。この下部電極32上には、絶縁膜34が形成されており、この絶縁膜34には、下部電極32の表面が露出するようにコンタクトホールが640×480個形成されている。このコンタクトホールの形状は、幅が、20〜40〔μm〕程度の菱形であり、このコンタクトホールには、金属が充填されビアホール35が形成されている。絶縁膜34上に形成された640×480個の上部電極36は、各々コンタクトホールを介し、下部電極32と接続されている。
図7に基づき、本実施の形態における多層配線基板の製造方法について説明する。
最初に、図7(a)に示されるように、PETからなる基板31上に、スクリーン印刷法によって、Agペーストを印刷し、140〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、下部電極32を形成した。下部電極32は、図面上、左右の方向に伸びるものであり、紙面に対し垂直方向に127〔μm〕ピッチで、640本形成されている。尚、下部電極32の線幅は60〔μm〕である。印刷に用いたAgペーストは、0.1〜1.0〔μm〕の大きさのAgフィラーをアクリル樹脂とブチルカルビトールからなる有機ビヒクルに分散させたインクであり、粘度は、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した場合において、10〔rpm〕で、240〔Pa・s〕である。
下部電極32の印刷に用いたスクリーン版は、ステンレス500メッシュで、ナイロンメッシュとダブルバイアスコンビネーション貼りとし、乳剤の厚さは、10〔μm〕である。印刷を行う際には、クリアランスが1.5〔mm〕、ゴム硬度70のスキージを用い、アタック角70〔度〕で、印刷速度は80〔mm/s〕である。尚、下部電極32周辺には、アライメントを行うためのアライメントマークも同時に形成されている。
次に、図7(b)に示すように、第1の実施の形態と同様の方法により、二次元のマトリックス状に配列された640×480個のコンタクトホール33が下部電極32上に形成されるように、絶縁ペーストをスクリーン印刷により印刷し、120〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、絶縁膜34を形成する。尚、640×480個のコンタクトホール33を下部電極32上に形成するため、下部電極32を形成する際に同時に形成したアライメントマークと、スクリーン版に事前に形成されたアライメントマークによる位置合わせを行った後、絶縁ペーストの印刷を行う。この際、同時にスクリーン版に形成されたアライメントマークも基板31上に転写される。
次に、図7(c)に示すように、電解メッキ法によって、形成されたコンタクトホール33内にNiを析出させることにより、ビアホール35を形成した。
次に、図7(d)に示すように、ビアホール35上にスクリーン印刷法によって、Agペーストを印刷し、140〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、上部電極36を形成した。形成された上部電極36は、100×100〔μm〕の矩形形状を有するものであり、基板31表面上に二次元的に127〔μm〕ピッチで、640×480個形成されている。このように、確実に全ての上部電極36をビアホール35上に形成するためには、絶縁膜34を形成する際に同時に形成されたアライメントマークと、上部電極36を形成するためのスクリーン版に形成されているアライメントマークとの位置合わせを行った後、上部電極36をスクリーン印刷により形成した。
上部電極36の印刷に用いたAgペースト、スクリーン版、印刷条件等は、下部電極32を形成する際の条件と同様である。この上部電極36と下部電極32との間に、0.01〔V〕の電圧を印加して、導通を調べたところ、全ての上部電極36は下部電極32と電気的に接続されていた。
本実施の形態では、下部電極32を形成した後、第1の実施の形態と同様の方法により、二次元的なマトリックス状に配列された640×480個の微細なコンタクトホール33を下部電極32上に形成し、更に、コンタクトホールを導電材料で埋め込み、その後ビアホール35上に上部電極36を形成するため、微細なビアホール35によって、上部電極36からなる上部配線と下部電極32からなる下部配線が接続された多層配線を容易に作製することができる。
尚、本実施の形態では、コンタクトホール33の埋め込みは、Niの電解メッキ法により行ったが、導電材料はNiに限定されるものではなく、Al、Ag、Au、Cr、Cu、Pt等の金属や合金、カーボンを使用することが可能である。また、コンタクトホール33の充填方法としては、無電解メッキ法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、ディスペンサー法、インクジェット法、フォトリソグラフィー等の方法を用いることができる。
また、本実施の形態では、下部電極32及び上部電極36について、Agペーストを用いたスクリーン印刷法により形成したが、材料や形成方法は、これに限定されるものではなく、材料としては、Al、Ag、Au、Cr、Cu、Pt等の金属や合金、カーボン、ITO、SnO2等の酸化物透明導電材料を使用することが可能である。また、形成方法についても、電解メッキ法、無電解メッキ法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、ディスペンサー法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等の方法を用いることができる。尚、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、ディスペンサー法、インクジェット法等の印刷法は、電解メッキ法、無電解メッキ法、フォトリソグラフィー法と比較してプロセスが簡略化されるため、より低コストで多層配線を形成することができる。
本実施の形態では、2層配線の場合について説明を行ったが、本実施の形態における方法を繰り返すことにより、3層以上の多層配線の形成を行うことができる。
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態は、本発明に基づく多層配線基板及び多層配線基板の形成方法である。
図8に基づいて、本実施の形態における多層配線基板の構成を説明する。図8(a)は、本実施の形態における多層配線基板の上面図であり、図8(b)は、図8(a)において、波線E1−E2において切断した本実施の形態における多層配線基板の断面図である。
本実施の形態における多層配線基板の下部電極42は、基板41上に形成されており、図8(a)における紙面上、左右方向に伸びており、上下方向に127〔μm〕ピッチで640本の下部電極42形成されている。この下部電極42上には、絶縁膜44が形成されており、この絶縁膜44には、下部電極42の表面が露出するようにコンタクトホールが640×480個形成されている。このコンタクトホールの形状は、幅が、20〜40〔μm〕程度の菱形であり、このコンタクトホールには、上部電極45を形成する際に同時に金属が充填される、これにより、絶縁膜44上に形成された640×480個の上部電極45は、各々コンタクトホールを介し、下部電極32と接続されている。
図9に基づき、本実施の形態における多層配線基板の製造方法について説明する。
最初に、図9(a)に示されるように、PETからなる基板41上に、スクリーン印刷法によって、Agペーストを印刷し、140〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、下部電極42を形成した。下部電極42は、図面上、左右の方向に伸びるものであり、紙面に対し垂直方向に127〔μm〕ピッチで、640本形成されている。尚、下部電極42の線幅は60〔μm〕である。印刷に用いたAgペーストは、0.1〜1.0〔μm〕の大きさのAgフィラーをアクリル樹脂とブチルカルビトールからなる有機ビヒクルに分散させたインクであり、粘度は、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した場合において、10〔rpm〕で、240〔Pa・s〕である。
下部電極42の印刷に用いたスクリーン版は、ステンレス500メッシュで、ナイロンメッシュとダブルバイアスコンビネーション貼りとし、乳剤の厚さは、10〔μm〕である。印刷を行う際には、クリアランスが1.5〔mm〕、ゴム硬度70のスキージを用い、アタック角70〔度〕で、印刷速度は80〔mm/s〕である。尚、下部電極42周辺には、アライメントを行うためのアライメントマークも同時に形成されている。
次に、図9(b)に示すように、第1の実施の形態と同様の方法により、二次元のマトリックス状に配列された640×480個のコンタクトホール43が下部電極42上に形成されるように、絶縁ペーストをスクリーン印刷により印刷し、120〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、絶縁膜44を形成する。尚、640×480個のコンタクトホールを下部電極42上に形成するためには、下部電極42を形成する際に同時に形成したアライメントマークと、スクリーン版に事前に形成されたアライメントマークによる位置合わせを行った後、絶縁ペーストの印刷を行う。この際、同時にスクリーン版に形成されたアライメントマークも基板41上に転写される。
次に、図9(c)に示すように、スクリーン印刷法によって、Agペーストを印刷し、140〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、コンタクトホール43内にAgペーストを埋め込むと共に、上部電極45を同時に形成した。形成された上部電極36は、100×100〔μm〕の矩形形状を有するものであり、基板41表面上に二次元的に127〔μm〕ピッチで、640×480個形成されている。このように、確実に全ての上部電極45について、コンタクトホール43を介し下部電極42と接続をとるためには、絶縁膜44を形成する際に同時に形成されたアライメントマークと、上部電極45を形成するためのスクリーン版に形成されているアライメントマークとの位置合わせを行った後、コンタクトホール43の埋め込みと上部電極45をスクリーン印刷により形成した。
上部電極45の印刷に用いたAgペースト、スクリーン版、印刷条件等は、下部電極42を形成する際の条件と同様である。この上部電極45と下部電極42との間に、0.01〔V〕の電圧を印加して、導通を調べたところ、全ての上部電極45は下部電極42と電気的に接続されていた。
本実施の形態では、下部電極42を形成した後、第1の実施の形態と同様の方法により、二次元的なマトリックス状に配列された640×480個の微細なコンタクトホール43を下部電極42上に形成し、更に、コンタクトホール43を導電材料で埋め込と同時に、上部電極45を形成するため、微細なコンタクトホール43に形成された電極によって、上部電極45からなる上部配線と下部電極42からなる下部配線が接続された多層配線を容易に作製することができる。
尚、本実施の形態では、上部電極45について、Agペーストを用いたスクリーン印刷法により形成したが、コンタクトホール43の埋め込みと上部電極45の形成を同時に行うことが可能である材料や形成方法であれば適用可能である。具体的には、材料としては、Al、Ag、Au、Cr、Cu、Pt等の金属や合金、カーボン等の導電ペーストや導電インクを使用することができ、この場合、印刷に適した粘度に調節することにより使用が可能となる。また、形成方法についても、グラビアオフセット印刷法、ディスペンサー法、インクジェット法等の方法を用いることができる。尚、本実施の形態において説明したスクリーン印刷法は、他の印刷法と比較して厚膜の形成に適しているため、コンタクトホール43の埋め込みと上部電極45の形成を同時に行う際には、適している。
本実施の形態では、2層配線の場合について説明を行ったが、本実施の形態における方法を繰り返すことにより、3層以上の多層配線の形成を行うことができる。
〔第6の実施の形態〕
次に、第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態は、本発明に基づくアクティブマトリックス回路基板及びアクティブマトリックス回路基板の形成方法である。
図10に基づいて、本実施の形態におけるアクティブマトリックス回路基板の構成を説明する。尚、図10では、TFTの個数を減らした簡略化した構成を示している。図10(a)は、本実施の形態におけるアクティブマトリックス回路基板の上面図であり、図10(b)は、図10(a)において、波線F1−F2において切断した本実施の形態におけるアクティブマトリックス回路基板の断面図である。
本実施の形態におけるアクティブマトリックス回路基板は、ポリイミド(PI)からなる基板51上に、二次元的なマトリックス状に、127〔μm〕ピッチで、640×480個のTFT(薄膜トランジスタ)が配列されている。TFTは、基板51上に形成されたAlにより形成されたゲート電極52、ドレイン電極54、ソース電極55を電極とし、SiO2からなるゲート絶縁膜53、a−Siにより形成された半導体層56からなるものである。このTFT上には絶縁膜57が形成されており、TFTのドレイン電極54は、この絶縁膜57に形成されたコンタクトホールを介し、127〔μm〕ピッチで、100×100〔μm〕の大きさで形成された個別電極59と接続される。
また、各々のゲート電極52は、480本のゲート引き出し配線61に接続されており、各々のソース電極55は、640本のソース引き出し配線62に接続されており、ゲート引き出し配線61及びソース引き出し配線62は、不図示のICドライバーに接続されている。
ICドライバーからゲート引き出し配線61を介しゲート電極52に選択信号が入力されるとともに、ソース引き出し配線62を介しソース電極55にデータ信号が入力することによりTFTが動作する。具体的には、選択信号が入力されたゲート電極52を有するTFTは、ソース電極55に入力されたデータ信号により、ON動作またはOFF動作を行うものである。
次に、本実施の形態におけるアクティブマトリックス基板の製造方法について説明する。
最初に、図11に示すように、PIからなる基板51上に、ゲート電極52を形成する。具体的には、基板51上にAl膜をスパッタリングにより成膜した後、成膜したAl膜の表面にフォトレジストを塗布し、プリベークを行った後、露光装置による露光、現像を行うことにより、形成されるゲート電極52と同じレジストパターンを形成する。この後、RIE(反応性イオンエッチング)等によるエッチングによりレジストの形成されていない領域のAl膜を除去することにより、Alからなるゲート電極52を形成する。尚、図11(a)は、基板51の上面図であり、図11(b)は、図11(a)において、波線G1−G2において切断した断面図である。
次に、図12に示すように、基板51上に形成されたゲート電極52を覆うようにSiO2からなるゲート絶縁膜53を形成する。具体的には、ゲート引き出し配線61の領域上のみゲート絶縁膜53が形成されないようにマスキングを行った状態で、プラズマCVDによりSiO2からなるゲート絶縁膜53を形成する。尚、図12(a)は、基板51の上面図であり、図12(b)は、図12(a)において、波線H1−H2において切断した断面図である。
次に、図13に示すように、ドレイン電極54、ソース電極55を形成する。具体的には、基板51におけるゲート絶縁膜53上に、Al膜をスパッタリングにより成膜した後、成膜したAl膜の表面にフォトレジストを塗布し、プリベークを行った後、露光装置による露光、現像を行うことにより、形成されるドレイン電極54、ソース電極55と同じレジストパターンを形成する。この後、RIE等によるエッチングによりレジストの形成されていない領域のAl膜を除去することにより、Alからなるドレイン電極54、ソース電極55を形成する。尚、図13(a)は、基板51の上面図であり、図13(b)は、図13(a)において、波線J1−J2において切断した断面図である。
次に、図14に示すように、a−Si(アモルファスシリコン)からなる半導体層56を形成する。具体的には、基板51上のゲート絶縁膜53が形成されている面に、プラズマCVD法によりa−Si膜を形成した後、成膜されたa−Si膜上にフォトレジストを塗布し、プリベークを行った後、露光装置による露光、現像により、形成される半導体層56のパターンと同一のレジストパターンを形成する。この後、RIE(反応性イオンエッチング)等によるエッチングによりレジストの形成されていない領域のa−Si膜を除去することにより、ドレイン電極54及びソース電極55に接してa−Siからなる半導体層56を形成する。これにより、640×480個のa−Siからなる半導体層56が、127〔μm〕ピッチで、二次元的マトリックス状に形成される。尚、図14(a)は、基板51の上面図であり、図14(b)は、図14(a)において、波線K1−K2において切断した断面図である。
次に、図15に示すように、形成されたTFT上に絶縁膜57を形成する。具体的には、第1の実施の形態に記載されているスクリーン版を用い、0.2〜0.6μmの大きさのシリカフィラー、ポリエステル樹脂、ブチルカルビトールアセタート等からなり、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した粘度が50〔rpm〕で、62〔Pa・s〕である絶縁ペーストを用いた。具体的には、スクリーン版とのクリアランスは、1.5〔mm〕であり、ゴム硬度70のスキージを用いアタック角度70〔度〕、印刷速度60〔mm/s〕で印刷を行った。尚、絶縁膜57を形成することにより形成されるコンタクトホール58は、各々ドレイン電極54上に形成されるようにアライメントを行った後印刷を行った。これにより、640×480個のTFTのドレイン電極54上に、640×480個のコンタクトホール58が形成される。
絶縁ペーストの印刷が終了した基板51を強制対流式オーブン内において加熱し、絶縁ペーストを硬化させることにより絶縁膜57を形成した。尚、図15(a)は、基板51の上面図であり、図15(b)は、図15(a)において、波線L1−L2において切断した断面図である。
次に、図10に示すように、個別電極59を形成する。具体的には、Agペーストを用いスクリーン印刷法により、コンタクトホール58にAgペーストを充填しつつ、個別電極の印刷を行い、その後、140〔℃〕で30〔分〕加熱を行うことにより、コンタクトホールに電極を形成すると共に、個別電極59を形成した。
これにより、図10に示すアクティブマトリックス回路基板を作製した。形成された個別電極59は、100×100〔μm〕の矩形形状であり、127〔μm〕ピッチで、二次元的マトリックス状に、640×480個形成されている。尚、形成された個別電極59は、コンタクトホールに形成された電極を介し、640×480個のTFTのドレイン電極54に接続されている。
尚、個別電極59の印刷に用いたAgペーストは、0.1〜1.0〔μm〕の大きさのAgフィラーをアクリル樹脂とブチルカルビトールからなる有機ビヒクルに分散させたインクであり、粘度は、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した場合において、10〔rpm〕で、240〔Pa・s〕である。
個別電極59の印刷に用いたスクリーン版は、ステンレス500メッシュで、ナイロンメッシュとダブルバイアスコンビネーション貼りとし、乳剤の厚さは、10〔μm〕である。印刷を行う際には、クリアランスが1.5〔mm〕、ゴム硬度70のスキージを用い、アタック角70〔度〕で、印刷速度は80〔mm/s〕である。
本実施の形態におけるアクティブマトリックス回路基板は、第5の実施の形態と同様な方法で、コンタクトホールにおける電極を形成している。このため、従来のスクリーン印刷法により形成したコンタクトホールよりも微細化させることが可能となる。これにより、従来の印刷法で作製したアクティブマトリックス回路基板よりも、微細化並びに高集積化させることが可能となる。また、コンタクトホールの形成をスクリーン印刷により行っているため、フォトリソグラフィー法によりアクティブマトリックス回路基板を作製する場合に比べて、安価に短時間で作製することが可能となる。特に、本実施の形態では、個別電極の印刷とコンタクトホールの埋め込みとを同時に行っているため、より安価にアクティブマトリックス基板を作製することが可能となる。
尚、本実施の形態では、第5の実施の形態と同様に、コンタクトホールの埋め込みと個別電極の印刷を同時に行っているが、第4の実施の形態に示されるように、コンタクトホールを形成した後、電解メッキ法、無電解メッキ法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、ディスペンサー法、インクジェット法、フォトリソグラフィー等の方法によりコンタクトホールに導電性材料を埋め込んでビアホールを形成した後、ビアホール上に個別電極を形成しても良い。
また、本実施の形態では、半導体層56としてa−Siを半導体材料として用いたが、この他、poly−Si、IGZO、ZnO、Cu2O等の酸化物半導体、ペンタセン、ポリチオフェン、トリアリールアミン系高分子化合物等の有機半導体を用いることが可能である。また、本実施の形態では、スイッチング素子として、TFTについて記載したが、SIT等のトランジスタやダイオードを用いてもよい。また、本実施の形態では、TFTの電極を形成する際に、フォトリソグラフィー法により作製を行ったが、この他、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、インクジェット法、ディスペンサー法等の印刷手法を用いることにより、より一層安価にアクティブマトリックス回路基板を作製することが可能である。このような印刷法では、材料として、Ag、Au、Cr、Cu、Pt等の金属や合金、カーボン等の導電性ペースト、導電性インクを使用することが可能であり、各々印刷法においては、導電性ペーストや導電性インクを各々適した粘度に調整することにより、使用することが可能となる。
また、本実施の形態では、TFTのゲート絶縁膜53として、SiO2を用いたが、これ以外にも、SiON、Si3N4等の無機絶縁膜やパリレン、ポリイミド、ポリビニルフェノール等の高分子樹脂を用いることも可能である。
特に、電極材料及びゲート絶縁膜を高分子材料により形成した場合では、アクティブマトリックス回路基板の全プロセスを印刷法により形成することが可能となり、アクティブマトリックス回路基板を極めて安価に作製することが可能となる。
〔第7の実施の形態〕
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態は、本発明にかかる画像表示装置である。
具体的には、第6の実施の形態において作製したアクティブマトリックス回路基板を用い、画像表示素子として液晶表示素子を形成したものである。
図16に基づき、本実施の形態に係る画像表示装置について説明する。
第6の実施の形態において作製したアクティブマトリックス回路基板の駆動回路上に、ブレード法により、UV硬化型エポキシ樹脂を塗布した後、UV照射を行って硬化させ上部保護膜61を形成する。上部保護膜63は、アクティブマトリックス回路基板のバリア層として機能するものであることのほか、アクティブマトリックス回路基板の平坦化層としての機能も有している。
次に、形成された上部保護膜63上に、可溶性ポリイミドからなる配向膜64を形成する。具体的には、上部保護膜63上に、可溶性ポリイミドを塗布し、110〔℃〕による加熱を行って、溶媒を蒸発させ配向膜64を形成した。
次に、ポリカーボネートからなる対向基板65上にスパッタリングによりITO膜を成膜し、このITO膜上にフォトレジストを塗布し、プリベークした後、露光装置による露光、現像を行い、レジストパターンを形成する。この後、RIE等によりエッチングによりレジストパターンの形成されていないITO膜を除去することにより、ITOからなる透明共通電極66を形成する。この後、透明共通電極66上に、可溶性ポリイミドからなる配向膜67を前述と同様の方法により形成した。
この後、対向基板65における配向膜67とアクティブマトリックス回路基板における配向膜64とが向き合うようにギャップを設けた状態でシール接着した。この後、2つの基板により形成されているギャップに、表示層68となるTN液晶を封入することにより、反射型液晶表示装置が形成される。
この液晶表示装置は、アクティブマトリックス回路基板における駆動回路により駆動するものであり、フォトリソグラフィー法により形成した反射型液晶表示装置と比較して、ほぼ同等の画質であった。
本実施の形態における画像表示装置は、微細なコンタクトホールをスクリーン印刷法により作製しているため、フォトリソグラフィー法により作製したものと比べ、極めて安価に製造することができる。
尚、本実施の形態においては、画像表示装置として液晶表示素子を用いたものについて説明を行ったが、この他、エレクトロルミネッセンス素子、電気泳動素子、トナーディスプレイ、エレクトロウエッティング素子、エレクトロクロミック素子等を用いることが可能である。
〔第8の実施の形態〕
次に、第8の実施の形態について説明する。本実施の形態は、本発明に基づく多層配線基板及び多層配線基板の形成方法であり、コンタクトホールの一部を絶縁材料により充填した構造のものである。
図17に基づいて、本実施の形態における多層配線基板の構成を説明する。図17(a)は、本実施の形態における多層配線基板の上面図であり、図17(b)は、図17(a)において、波線M1−M2において切断した本実施の形態における多層配線基板の断面図である。
本実施の形態における多層配線基板の下部電極72は、基板71上に形成されており、図17(a)における紙面上、左右方向に伸びており、上下方向に127〔μm〕ピッチで640本の下部電極72形成されている。この下部電極72上には、絶縁膜74が形成されており、この絶縁膜74には、下部電極72の表面が露出するようにコンタクトホールが640×480個形成されている。このコンタクトホールの形状は、幅が、20〜40〔μm〕程度の菱形である。一部のコンタクトホールについては、ポリビニルフェノール樹脂を主成分とする絶縁材料を充填し充填絶縁層75を形成し、これ以外のコンタクトホールについては、電解メッキ法によりNiを析出させて、これを充填させることによりビアホール76を形成する。絶縁膜74上に形成された640×480個の上部電極77のうち、コンタクトホールにビアホール76の形成されているものについては、下部電極72と接続されている。
このような構成は、任意の上部電極77と下部電極72を接続する場合において有効である。
図18、図19に基づき、本実施の形態における多層配線基板の製造方法について説明する。
最初に、図18(a)に示されるように、PETからなる基板71上に、スクリーン印刷法によって、Agペーストを印刷し、140〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、下部電極72を形成した。下部電極72は、図面上、左右の方向に伸びるものであり、紙面に対し垂直方向に127〔μm〕ピッチで、640本形成されている。尚、下部電極72の線幅は60〔μm〕である。印刷に用いたAgペーストは、0.1〜1.0〔μm〕の大きさのAgフィラーをアクリル樹脂とブチルカルビトールからなる有機ビヒクルに分散させたインクであり、粘度は、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した場合において、10〔rpm〕で、240〔Pa・s〕である。
下部電極72の印刷に用いたスクリーン版は、ステンレス500メッシュで、ナイロンメッシュとダブルバイアスコンビネーション貼りとし、乳剤の厚さは、10〔μm〕である。印刷を行う際には、クリアランスが1.5〔mm〕、ゴム硬度70のスキージを用い、アタック角70〔度〕で、印刷速度は80〔mm/s〕である。尚、下部電極72周辺には、アライメントを行うためのアライメントマークも同時に形成されている。
次に、図18(b)に示すように、第1の実施の形態と同様の方法により、二次元のマトリックス状に配列された640×480個のコンタクトホール73が下部電極32上に形成されるように、絶縁ペーストをスクリーン印刷により印刷し、120〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、絶縁膜74を形成する。尚、640×480個のコンタクトホール73を下部電極72上に形成するためには、下部電極72を形成する際に同時に形成したアライメントマークと、スクリーン版に事前に形成されたアライメントマークによる位置合わせを行った後、絶縁ペーストの印刷を行う。この際、同時にスクリーン版に形成されたアライメントマークも基板71上に転写される。
次に、図18(c)に示すように、下部電極72と後述する上部電極の電気的接続をとる必要がないコンタクトホール73について、ディスペンサー法によりポリビニルフェノール樹脂を埋め込み、120〔℃〕で、30〔分〕の加熱を行うことにより、充填絶縁層75を形成した。
次に、図19(a)に示すように、電解メッキ法によって、形成されたコンタクトホール73のうち、充填絶縁層75の形成されていないコンタクトホール73内にNiを析出させることにより、ビアホール76を形成する。
次に、図19(b)に示すように、ビアホール76上にスクリーン印刷法によって、Agペーストを印刷し、140〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、上部電極77を形成した。形成された上部電極77は、幅が60〔μm〕のライン形状のものであり、ビアホール76の形成されているコンタクトホール73において、下部電極72と接続される。
尚、確実に上部電極77を所定のビアホール76上に形成するため、絶縁膜74を形成する際に同時に形成されたアライメントマークと、上部電極77を形成するためのスクリーン版に形成されているアライメントマークとの位置合わせを行った後、上部電極77をスクリーン印刷により形成した。
上部電極77の印刷に用いたAgペースト、スクリーン版、印刷条件等は、下部電極72を形成する際の条件と同様である。この上部電極77と下部電極72との間に、0.01〔V〕の電圧を印加して、導通を調べたところ、全ての上部電極77は下部電極72と電気的に接続されていた。
本実施の形態では、上部電極77をライン状に形成して、任意の下部電極72とコンタクトホール73を介し接続をとる場合、通常は電気的な接続をとる必要のないコンタクトホール73を避けながら上部電極77の配線を行う必要があるが、本実施の形態では、電気的接続をとる必要のないコンタクトホール73には、充填絶縁層75が形成されており、この充填絶縁層75の形成されたコンタクトホール73上において上部電極77を形成しても下部電極72と電気的な接続はされないため、上部電極77の配線幅を広くとることができ、歩留まりの向上、動作の安定性の向上を図ることができる。
本実施の形態では、2層配線の場合について説明を行ったが、本実施の形態における方法を繰り返すことにより、3層以上の多層配線の形成を行うことができる。
〔第9の実施の形態〕
次に、第9の実施の形態について説明する。本実施の形態は、本発明に基づく多層配線基板及び多層配線基板の形成方法であり、コンタクトホールの一部を絶縁材料により充填した構造のものである。
図20に基づいて、本実施の形態における多層配線基板の構成を説明する。図20(a)は、本実施の形態における多層配線基板の上面図であり、図20(b)は、図20(a)において、波線N1−N2において切断した本実施の形態における多層配線基板の断面図である。
本実施の形態における多層配線基板の下部電極82は、基板81上に形成されており、図20(a)における紙面上、左右方向に伸びており、上下方向に127〔μm〕ピッチで640本の下部電極82形成されている。この下部電極82上には、絶縁膜84が形成されており、この絶縁膜84には、下部電極82の表面が露出するようにコンタクトホールが640×480個形成されている。このコンタクトホールの形状は、幅が、20〜40〔μm〕程度の菱形である。一部のコンタクトホールについては、ポリビニルフェノール樹脂を主成分とする絶縁材料を充填し充填絶縁層85を形成し、これ以外のコンタクトホールについては、上部電極を形成する際に同時に金属材料が充填される。これにより、絶縁膜84上に形成された640×480個の上部電極86のうち、コンタクトホールに充填絶縁層85の形成されていないものについては、下部電極82と接続されている。
このような構成は、任意の上部電極86と下部電極82を接続する場合において有効である。
図21に基づき、本実施の形態における多層配線基板の製造方法について説明する。
最初に、図21(a)に示されるように、PETからなる基板81上に、スクリーン印刷法によって、Agペーストを印刷し、140〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、下部電極82を形成した。下部電極82は、図面上、左右の方向に伸びるものであり、紙面に対し垂直方向に127〔μm〕ピッチで、640本形成されている。尚、下部電極82の線幅は60〔μm〕である。印刷に用いたAgペーストは、0.1〜1.0〔μm〕の大きさのAgフィラーをアクリル樹脂とブチルカルビトールからなる有機ビヒクルに分散させたインクであり、粘度は、Brookfield粘度計において、No.14ローターを用いて測定した場合において、10〔rpm〕で、240〔Pa・s〕である。
下部電極82の印刷に用いたスクリーン版は、ステンレス500メッシュで、ナイロンメッシュとダブルバイアスコンビネーション貼りとし、乳剤の厚さは、10〔μm〕である。印刷を行う際には、クリアランスが1.5〔mm〕、ゴム硬度70のスキージを用い、アタック角70〔度〕で、印刷速度は80〔mm/s〕である。尚、下部電極82周辺には、アライメントを行うためのアライメントマークも同時に形成されている。
次に、図21(b)に示すように、第1の実施の形態と同様の方法により、二次元のマトリックス状に配列された640×480個のコンタクトホール83が下部電極82上に形成されるように、絶縁ペーストをスクリーン印刷により印刷し、120〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、絶縁膜84を形成する。尚、640×480個のコンタクトホールを下部電極82上に形成するためには、下部電極82を形成する際に同時に形成したアライメントマークと、スクリーン版に事前に形成されたアライメントマークによる位置合わせを行った後、絶縁ペーストの印刷を行う。この際、同時にスクリーン版に形成されたアライメントマークも基板81上に転写される。
次に、図21(c)に示すように、下部電極82と後述する上部電極の電気的接続をとる必要がないコンタクトホール83について、ディスペンサー法によりポリビニルフェノール樹脂を埋め込み、120〔℃〕で、30〔分〕の加熱を行うことにより、充填絶縁層85を形成した。
次に、図21(d)に示すように、スクリーン印刷法によって、Agペーストを印刷し、140〔℃〕、30〔分〕の硬化を行うことにより、充填絶縁層85の形成されていないコンタクトホール83内にAgペーストを埋め込むと共に、上部電極86を形成する。形成された上部電極86は、幅が60〔μm〕のライン形状のものであり、充填絶縁層85の形成されていないコンタクトホール83において、下部電極82と接続される。
尚、確実に上部電極86と所定の下部電極82との電気的接続をとるために、絶縁膜84を形成する際に同時に形成されたアライメントマークと、上部電極86を形成するためのスクリーン版に形成されているアライメントマークとの位置合わせを行った後、充填絶縁層85の形成されていないコンタクトホール83の埋め込みと上部電極86をスクリーン印刷による形成を行った。
上部電極86の印刷に用いたAgペースト、スクリーン版、印刷条件等は、下部電極82を形成する際の条件と同様である。この上部電極86と下部電極82との間に、0.01〔V〕の電圧を印加して、導通を調べたところ、全ての上部電極86は下部電極82と電気的に接続されていた。
本実施の形態では、上部電極86をライン状に形成して、任意の下部電極82とコンタクトホール83を介し接続をとる場合、通常は電気的な接続をとる必要のないコンタクトホール83を避けながら上部電極86の配線を行う必要があるが、本実施の形態では、電気的接続をとる必要のないコンタクトホール83には、充填絶縁層85が形成されており、この充填絶縁層85の形成されたコンタクトホール73上において上部電極86を形成しても下部電極82と電気的な接続はされないため、上部電極86の配線幅を広くとることができ、歩留まりの向上、動作の安定性の向上を図ることができる。
尚、本実施の形態では、上部電極86について、Agペーストを用いたスクリーン印刷法により形成したが、コンタクトホール83の埋め込みと上部電極86の形成を同時に行うことが可能である材料や形成方法であれば適用可能である。具体的には、材料としては、Al、Ag、Au、Cr、Cu、Pt等の金属や合金、カーボン等の導電ペーストや導電インクを使用することができ、この場合、印刷に適した粘度に調節することにより使用が可能となる。また、形成方法についても、グラビアオフセット印刷法、ディスペンサー法、インクジェット法等の方法を用いることができる。尚、本実施の形態において説明したスクリーン印刷法は、他の印刷法と比較して厚膜の形成に適しているため、コンタクトホール83の埋め込みと上部電極86の形成を同時に行う際には、適している。
本実施の形態では、2層配線の場合について説明を行ったが、本実施の形態における方法を繰り返すことにより、3層以上の多層配線の形成を行うことができる。また、ビアホールを形成する必要がないためより低コストで作製することが可能となる。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。