JP2009270147A - 滑り防止用溶射皮膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐食性および耐剥離性に優れた滑り防止用溶射皮膜を1工程の溶射により実現可能な滑り防止用溶射皮膜の形成方法の提供。
【解決手段】基材1よりも硬度が高い金属材料からなる線材と、基材1よりも自然電位が低い金属材料からなる線材との2つの線材を用いて、基材1上に同時に溶射を行い、基材1上に、基材1よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料の粒子2と、基材1よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料の粒子3とが重なり合い、あたかも合金のような挙動を示す粗い擬合金皮膜4を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、橋梁ジョイント、立体駐車場、マンホール上蓋、鉄鋼製階段ステップ、車両ステップやタンクローリー車上面などの屋外にて使用される鋼材表面の滑り防止を目的として施される耐食性および耐剥離性に優れた滑り防止用溶射皮膜の形成方法に関する。
橋梁において、膨張収縮や振動を吸収するために、両端に伸縮継手(ジョイント)が取り付けられている。このジョイントの表面部材はフェースプレートといい、鋼鉄または鋳物で作られている。このフェースプレートは、雨雪で濡れた場合、滑りやすくなり、この上を車両が通行する際、特にトラック等の大型車や二輪車等の車両が横風等で横滑りしやすくなるので、これを防止するために滑り止め加工が施される。
この従来の橋梁ジョイントの滑り止め加工は、耐摩耗性金属としてのアモルファス合金の溶射(例えば、非特許文献1参照。)や、樹脂モルタルなどによって施工されているが、橋梁ジョイントは屋外に設置されるので、雨等で濡れてしまう。そして、この水が皮膜表面、端部や表面傷などから侵入し、皮膜と基材との界面に達すると、界面において異種金属接触腐食が生じ、耐摩耗性金属の電位が基材よりも高いので基材の方が腐食し、溶射皮膜が浮き上がってしまうので、割れや剥離が生じることになる。
また、他の滑り止め方法として、例えば特許文献1に記載のように、鋼材表面に、骨材を含有するプライマーを塗布し、粗い表面を有するプライマー層を形成せしめ、該プライマー層上に鉄よりもイオン化傾向の大きい金属を溶射し、溶射被膜層を形成せしめ、次いで該溶射被膜層上に、耐摩耗性骨材を含有する被覆材を塗布し、粗い表面を有する耐摩耗性滑り止め層を形成する鋼材表面の滑り止め方法が提案されている。
この滑り止め方法では、鋼材と耐摩耗性滑り止め層の間に金属溶射被膜を介在させているため、犠牲防食作用効果により鋼材の防食が阻止でき、それゆえ、従来法のように鋼材表面に直接耐摩耗性滑り止め層を形成させる方法に比較して、鋼材の腐食が原因で発生しやすいふくれ等が防止できるとされている。
特開平7−100430号公報 "鋼製伸縮装置フェースプレート滑り止め加工 アモルファス合金溶射 セラミック溶射 現場溶射",[online],鋼橋ネットサービス,[2007年11月19日検索],インターネット<URL:http://www.e-bridge.jp/eb/introacs/pro_120004/summary.php>
特許文献1に記載の滑り止め方法では、確かに界面からの剥離は減少すると思われるが、耐剥離性は樹脂プライマーの密着力に依存するため、基材と耐摩耗性滑り止め層との密着力は低く、車両通過時の衝撃等により寿命は短くなる。また、耐摩耗性滑り止め層は樹脂であるため硬度や強度が低く、摩耗寿命は短い。さらに、樹脂製では硬化に時間を要するため、既設の橋梁へ施工した場合は施工後、通行可能になるまで数日を要するので、実質的に使用することができない。
そこで、本発明においては、耐食性および耐剥離性に優れた滑り防止用溶射皮膜を短時間で施工可能な滑り防止用溶射皮膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明の滑り防止用溶射皮膜の形成方法は、基材よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料からなる線材と、基材および耐摩耗性金属材料よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料からなる線材との2つの線材を用いて、基材上に同時に溶射を行い、基材上に2つの線材の溶融粒子が混在する擬合金溶射皮膜を形成することを特徴とする。
本発明により基材上に形成された滑り防止用溶射皮膜は、基材よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料の粒子と、基材および耐摩耗性金属材料よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料の粒子とが重なり合い、あたかも合金のような挙動を示す擬合金溶射皮膜となる。そして、この2種の金属材料の粒子が重なり合った擬合金溶射皮膜は、基材表面においては耐摩耗性金属材料の粒子がその表面粗さによって滑り防止作用を発揮する。また、この擬合金溶射皮膜は、犠牲防食作用的には基材および耐摩耗性金属材料よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料に支配されるようになるので、基材および耐摩耗性金属材料が腐食することがなく、溶射皮膜が浮き上がって割れが生じたり剥離が生じたりすることがない。
ここで、基材は鉄系材料であり、耐摩耗性金属材料は、耐摩耗性が高い鉄、クロムのいずれかを含む合金または純金属、あるいはアモルファス金属であり、犠牲防食性金属材料は、防錆性に優れたアルミニウム、亜鉛、マグネシウムのいずれかを主成分とする合金または純金属であることが望ましい。
また、本発明の滑り防止用溶射皮膜の形成方法では、溶射後、ケイ酸ソーダ、アリキルシリケートまたはシリコンの合成樹脂を封孔処理剤として封孔処理を行うことが望ましい。これらの粘度の低く浸透性が良い合成樹脂を封孔処理剤として使用することにより、封孔処理剤が表面に厚く残らずに擬合金皮膜の表面粗さを保つことが可能となる。
本発明によれば、基材よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料からなる線材と、基材および耐摩耗性金属材料よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料からなる線材との2つの線材を用いて、基材上に同時に溶射を行い、基材上に2つの線材の溶融粒子が混在する擬合金溶射皮膜を形成することにより、基材表面においては耐摩耗性金属材料の粒子がその表面粗さによって滑り防止作用を発揮するとともに、基材および耐摩耗性金属材料よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料が犠牲防食作用を発揮するので、耐食性および耐剥離性に優れた滑り防止用溶射皮膜を得ることができる。また、金属材料の溶射であるため乾燥硬化時間が短く、施工後1時間程度の短時間で完全に乾燥硬化し、すぐに利用可能となる。また、従来、耐摩耗性金属材料が腐食で消耗してしまった場合に滑り防止性能の低下が生じるので、この耐摩耗性金属材料にある程度の耐食性が必要であったが、本発明では、基材よりも自然電位の低い犠牲防食性金属材料の防食効果があるので、耐摩耗性金属材料の耐食性に対する要望は低くなる。
以下、本発明の実施の形態における滑り防止用溶射皮膜の形成方法による橋脚ジョイントの滑り防止加工について説明する。図1は本実施形態における滑り防止用溶射皮膜の形成方法により滑り防止加工が施された橋脚ジョイント表面部分の拡大断面図である。
まず、基材としての橋脚ジョイントの表面をブラスト処理用金属系研削材やブラスト処理用非金属系研削材などの研削材を用いてブラストし、粗面を得る。そして、滑り防止目的の金属線材と、防錆目的の金属線材とを1本ずつ用いて、アーク溶射機にて同時に溶射する。アーク溶射機は、2種類の金属線材を同時に送り、この2種類の線材をアークにより溶融してエアーにより噴出させて溶射することが可能な市販のものを用いる。
なお、滑り防止目的の金属線材としては、基材である橋脚ジョイントの鋼材よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料として、耐摩耗性の高い鉄、クロムのいずれかを含む合金または純金属、あるいはアモルファス金属、例えば、クロム鋼、ニクロム系材料やアモルファス材料等からなる線材を用いるが、材料費が安く、耐食性も十分にあり、硬い材料である18クロム鋼が最適である。
また、防錆目的の金属線材としては、基材である橋脚ジョイントの鋼材および上述の滑り防止目的の金属線材よりも自然電位が低く、防錆性に優れた犠牲防食性材料を使用する。この場合、犠牲防食性金属材料として、アルミニウム、亜鉛、マグネシウムのいずれかを主成分とする合金または純金属を用いるが、市販の材料としてアルミニウム−5%マグネシウム合金を用いることが望ましい。なお、純金属の亜鉛でも十分に防錆目的は達成できるが、白錆が生じ、比較的消耗が早いため、寿命が短くなる。また、アルミニウムでも防錆目的は達成できるが、比較的自然電位が高いため、点錆に注意する必要がある。
また、溶射時には、溶射粒子を粗くするため、溶射量を増やすなど溶射条件を調整したり、基材表面に対する溶射角度を20〜60°、より好ましくは30〜45°として溶射したりする。これにより、溶射皮膜の粗さが、十点平均粗さで150μm以上となるようにする。また、溶射皮膜の厚さは目的に応じて100〜1000μm厚に形成する。なお、ここでは溶射皮膜の厚さが増すほど、皮膜表面が粗くなる傾向を示す。
こうして橋脚ジョイント表面には、図1に示すように橋脚ジョイントの基材1の表面に、基材1よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料の粒子2と、基材1および耐摩耗性金属材料の粒子2よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料の粒子3とが重なり合い、あたかも合金のような挙動を示す擬合金皮膜4からなる滑り防止用溶射皮膜が形成される。この擬合金皮膜4は、前述のように基材1よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料の粒子2と、基材1および耐摩耗性金属材料の粒子2よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料の粒子3との2つの金属材料を同時に溶射するものであるため、低コストであるうえ、乾燥硬化時間が短く、施工後1時間程度の短時間で完全に乾燥硬化し、すぐに車両の通行が可能となる。
この2種の金属材料の粒子2,3が重なり合って形成された擬合金皮膜4は、基材1表面においては基材1よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料の粒子2がその表面粗さによって滑り防止作用を発揮する。また、この擬合金皮膜4は、犠牲防食作用的には基材1および耐摩耗性金属材料の粒子2よりも自然電位が低い金属材料(粒子3)に支配されるようになるので、基材1が腐食することがなく、擬合金皮膜4が浮き上がって割れが生じたり剥離が生じたりすることがない。
また、擬合金皮膜4の溶射後、浸透性が良く、溶射皮膜の表面に厚く残らないケイ酸ソーダ、アリキルシリケートまたはシリコンの合成樹脂にて封孔処理を行うことが望ましい。これらの粘度の低く浸透性が良い合成樹脂を封孔処理剤として使用することにより、封孔処理剤が表面に厚く残らずに擬合金皮膜の表面粗さを保つことが可能となる。
上記本実施形態における滑り防止用溶射皮膜の形成方法により滑り防止加工を施したテストピースについて耐久性試験および滑り防止性能確認試験を行った。図2は耐久性試験の様子を示す斜視図、図3は図2の耐久性試験機上に配置されたテストピースの平面図である。
耐久性試験には、図3に示すようにA〜Lの12個のテストピース10を環状に配置して行った。この耐久性試験機は、図2に示すように回転台11上で環状に配置したA〜Lの12個のテストピース10を回転させ、回転可能に軸支された車輪12と接触させることにより、テストピース10上の滑り防止用溶射皮膜の耐久性を試験するものである。
A〜Lのテストピース10の仕様は表1の通りである。なお、A〜DおよびI〜Kは、基材よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料からなる線材と、基材および耐摩耗性金属材料よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料からなる線材との2つの線材を用いて溶射を行った実施例、EおよびFは犠牲防食性金属材料からなる線材のみを用いて溶射を行った比較例、GおよびHは耐摩耗性金属材料からなる線材のみを用いて溶射を行った比較例である。
また、試験方法は、次のラベリング試験方法による。輪荷重を20万回載荷し、BPN値および表面粗さ(十点平均粗さPz)の推移を測定した。測定頻度は1〜3万回載荷時が5000回毎、3〜10万回載荷時が10000回毎、10〜20万回載荷時が20000回毎とした。
なお、試験条件は表2の通りである。
また、BPN値および表面粗さの許容値については、表3の値以上とした。
図4は試験回数によるすべり抵抗性能(BPN値)の経時変化図である。図4から分かるように試験回数10万回超でBPN値の許容値40を下回ったサンプルもあったが、試験回数20万回までほぼ許容値40前後で一定のBPN値を保っており、非常に高いすべり抵抗性を維持できることが確認できた。
また、図5は耐摩耗性比較試験の結果を示す図である。図5に示すように耐摩耗試験においても非常に高い耐摩耗性を確認できた。特に、溶射皮膜YNS−03(溶射材料Ni−Cr/Al−Mg)、溶射皮膜YNS−04(溶射材料18Cr/Al−Mg)では、溶射皮膜Al−5%Mg(溶射材料Al−Mg)と比較して非常に優れた耐摩耗性を有することが確認できた。
また、複合サイクル試験機にてYNS−04(溶射材料18Cr/Al−Mg)のアーク溶射皮膜(膜厚400μm)(実施例1)、Zn−15%Alのガスフレーム溶射皮膜(膜厚120μm)(比較例1)、Alのガスフレーム溶射皮膜(膜厚120μm)(比較例2)の腐食試験を行った。比較例1,2は、橋梁等への長期防錆法として、その性能が認められている防食溶射仕様である。その結果、比較例1では2000時間程度で腐食が始まり、3500時間経過後には比較例1,2ともに腐食が進行していたにも拘わらず、実施例1では3500時間経過後でも腐食は見られず、その耐食性が確認できた。
次に、各溶射被膜について自然電位の測定を行った。測定は、各溶射皮膜を5%塩水(35℃、PH約6.1、77mS/cm)に浸漬して行った。図6は各溶射被膜について5%塩水に浸漬した場合の時間の経過に伴う自然電位の変化を、時間軸をリニアスケールとして示した図、図7は時間軸をログスケールとして示した図である。以下、図6および図7の測定結果について考察した。
(1)SUS440Cについて
SUS440Cは、18Crのステンレス鋼であり、機械的特性(強度、硬度)に優れた耐摩耗性金属材料であるが、耐食性に関してはステンレス鋼の中では低いものに属す。測定結果にもその現象は見られ、ごく初期のみ不動態化する傾向にあり、電位は高い方に変化しているが、不動態皮膜はすぐに破壊され、電位の低い活性状態に移行している。これはステンレス鋼としては極当たり前の現象であり、すぐに発錆しても当然である。
(2)軟鋼について
軟鋼は、元々5%塩分の水溶液中で活性状態(腐食状態)にあるので、自然電位は鉄が腐食状態にある普通に観察される自然電位と同様の値を示している。当然腐食し、赤錆に覆われる。
(3)Al−Mgについて
自然電位は最も低いが、初期に高い自然電位を示している。自然電位は表面の酸化状態で異なるので、溶射法の影響があると考えられる。しかし、時間の経過とともに腐食が進行すると、この表面の影響は小さくなるので、低いところで安定するものと考えられる。
(4)18Cr/Al−Mgについて
浸漬直後ではやや低い自然電位を示しており、Al−Mgの影響を強く受けているが、18Crをカソードとして腐食反応が大きいので直ぐに溶解してしまい、自然電位はやや高い値となる。溶解したマグネシウムイオンは直ぐ傍にあるカソード(18Cr)のアルカリの影響を受けてMg(OH)2となり、18Cr表面に析出する可能性が高い。これにより、腐食反応は大幅に減少するので18Cr/Al−Mg間の腐食電流が小さくなり、Al−Mgの消耗も小さくなる。活性なAl−Mgと18Cr間の反応が安定することから、自然電位も安定したものと考えられる。但し、時間の経過とともに表面は18Crの露出が多くなり、大きい面積のカソードの影響を受け、自然電位は高くなると予想されるが、実際にもわずかではあるが自然電位は高くなる傾向にあり、自然電位はステンレス鋼の方へ徐々に変化していくと予想される。ある程度Al−Mgが腐食すると、部分的にはAl−Mgで固定されていた18Cr粒子は剥離してしまい、再び表面がAl−Mgリッチになるので、電位の上昇は抑えられる。なお、18CrはAl−Mgのカソード防食下にあり、腐食することはないので、18Crから赤錆が生じることはない。しかし、Mg(OH)2が付着すると予想されるので、金属光沢はなくなると考えられる。なお、水溶液中の静的条件での自然電位であり、摩耗を伴う条件ではこれより条件が厳しいが、実現場では連続して濡れるわけではないのでかなり長時間Al−Mgの効果は期待できると考えられる。
本発明の滑り防止用溶射皮膜の形成方法は、橋梁ジョイント、立体駐車場、マンホール上蓋、鉄鋼製階段ステップ、車両ステップやタンクローリー車上面などの屋外にて使用される鋼材表面の滑り防止用溶射皮膜の形成に有用である。
本実施形態における滑り防止用溶射皮膜の形成方法により滑り防止加工が施された橋脚ジョイント表面部分の拡大断面図である。 耐久性試験の様子を示す斜視図である。 図2の耐久性試験機上に配置されたテストピースの平面図である。 試験回数によるすべり抵抗性能(BPN値)の経時変化図である。 耐摩耗性比較試験の結果を示す図である。 各溶射被膜について5%塩水に浸漬した場合の時間の経過に伴う自然電位の変化を、時間軸をリニアスケールとして示した図である。 各溶射被膜について5%塩水に浸漬した場合の時間の経過に伴う自然電位の変化を、時間軸をログスケールとして示した図である。
符号の説明
1 基材
2 耐摩耗性金属材料の粒子
3 犠牲防食性金属材料の粒子
4 擬合金皮膜
10 テストピース
11 回転台
12 車輪

Claims (5)

  1. 基材よりも硬度が高い耐摩耗性金属材料からなる線材と、前記基材および耐摩耗性金属材料よりも自然電位が低い犠牲防食性金属材料からなる線材との2つの線材を用いて、前記基材上に同時に溶射を行い、前記基材上に前記2つの線材の溶融粒子が混在する擬合金溶射皮膜を形成することを特徴とする滑り防止用溶射皮膜の形成方法。
  2. 前記擬合金溶射皮膜の表面粗さは、十点平均粗さで150μm以上であることを特徴とする請求項1記載の滑り防止用溶射皮膜の形成方法。
  3. 前記擬合金溶射皮膜は、アーク溶射により100〜1000μm厚に形成することを特徴とする請求項1または2に記載の滑り防止用溶射皮膜の形成方法。
  4. 前記基材は鉄系材料であり、
    前記耐摩耗性金属材料は、鉄、クロムのいずれかを含む合金または純金属、あるいはアモルファス金属であり、
    前記犠牲防食性金属材料は、アルミニウム、亜鉛、マグネシウムのいずれかを主成分とする合金または純金属である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の滑り防止用溶射皮膜の形成方法。
  5. 前記溶射後、ケイ酸ソーダ、アリキルシリケートまたはシリコンの合成樹脂を封孔処理剤として封孔処理を行うことを特徴とする請求項4記載の滑り防止用溶射皮膜の形成方法。
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