JP2002180209A - 低熱膨張係数合金および表面処理低熱膨張係数合金 - Google Patents
低熱膨張係数合金および表面処理低熱膨張係数合金Info
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Abstract
表面処理低熱膨張係数合金を提供する。 【解決手段】 第1母材6の表面にカソード防食作用を
有する第1カソード防食被覆層7を被覆して表面処理低
熱膨張係数合金5を形成する。第1母材6は表面に圧縮
残留応力層9を有する低熱膨張係数合金10から成る。
第1カソード防食被覆層7は無機または有機ジンクリッ
チペイントから成り、無機または有機ジンクリッチペイ
ントは、亜鉛末11と樹脂13とから成る。圧縮残留応
力層9はサンドブラストなどのブラスト処理によって形
成され、このブラスト処理によって第1母材6の表面に
無機または有機ジンクリッチペイントの密着性を向上さ
せる凹凸が形成される。第1カソード防食被覆層7およ
び圧縮残留応力層9は腐食環境下における応力腐食割れ
の発生を防止する。
Description
用配管などに好適に適用可能な低熱膨張係数合金および
表面処理低熱膨張係数合金に関する。
ス、液化エチレンガスおよび液化窒素ガス等の低温液化
ガス移送用配管および付帯設備には、オーステナイト系
ステンレス鋼が用いられている。オーステナイト系ステ
ンレス鋼を使用した配管は、優れた低温特性と安定した
品質とを有しているけれども、比較的湿度の低い海塩粒
子付着環境下で、かつ溶接残留応力等の引張応力存在下
で応力腐食割れが発生しやすいことが知られている。ま
た、オーステナイト系ステンレス鋼を使用した配管で
は、低温冷却時の熱収縮対策として、ループ配管等の熱
応力吸収機構を設ける必要がある。
する方法は、特開昭55−24717号公報に開示され
ている。この先行技術には、成形されたステンレス鋼の
表面にガラスビーズホーニングによる表面加工を施して
残留応力を引張応力から圧縮応力に変化させ、表面から
深さ30μm〜200μmの範囲にわたって圧縮残留応
力層を形成する方法が記載されている。この先行技術で
は、砕けやすいガラスビーズが用いられるので、圧縮残
留応力層の深さを200μm以上にすることが困難であ
り、腐食によって圧縮残留応力層が早期に消失しやすい
という問題がある。
テナイト系ステンレス鋼を配管材料として用いる限り、
解決が困難な問題であり、この問題を解決するためには
熱膨張係数の低い材料を配管材料として用いる必要があ
る。熱膨張係数の低い材料としてはNiを多量に含有す
る36Ni−Fe合金などが知られている。
(たとえば前記36Ni−Fe合金)は、従来から機能
材料として用いられているものであり、構造材料として
腐食環境中で利用されることは想定されていない。本発
明者らの低熱膨張係数合金の耐食性に関する調査によれ
ば、大気環境下での全面腐食性はオーステナイト系ス
テンレス鋼に比べてやや劣るものの実用上の問題とはな
らない程度であること、塩化物イオン含有溶液中およ
び海塩粒子付着環境下では引張応力存在下で応力腐食割
れ感受性を有すること、比較的湿度の高い条件下でも
応力腐食割れ感受性を有することなどが判明した。これ
によって、海浜部の設備において低熱膨張係数合金を使
用した配管等が配管施工時および補修時に常温環境にさ
らされるときには、応力腐食割れの発生する恐れがある
ので、低熱膨張係数合金を低温液化ガス移送用配管とし
て用いるには応力腐食割れ防止対策を講じる必要があ
る。
すい環境下においても応力腐食割れの発生を防止するこ
とが可能であり、かつ低温液化ガス移送用配管材料とし
て適用可能な低熱膨張係数合金および表面処理低熱膨張
係数合金を提供することである。また本発明の他の目的
は、低熱膨張係数合金の応力腐食割れ防止方法を提供す
ることである。
一定の厚みにわたって圧縮残留応力が存在する層が形成
されていることを特徴とする低熱膨張係数合金である。
母材と、母材の表面に形成された塗料被覆層とを備える
ことを特徴とする表面処理低熱膨張係数合金である。
わたって圧縮残留応力が存在する層が形成された低熱膨
張係数合金から成る母材と、母材の前記層の表面に形成
された塗料被覆層とを備えることを特徴とする表面処理
低熱膨張係数合金である。
母材と、母材の表面に形成されたカソード防食作用を有
する物質を含むカソード防食被覆層とを備えることを特
徴とする表面処理低熱膨張係数合金である。
わたって圧縮残留応力が存在する層が形成された低熱膨
張係数合金から成る母材と、母材の前記層の表面に形成
されたカソード防食作用を有する物質を含むカソード防
食被覆層とを備えることを特徴とする表面処理低熱膨張
係数合金である。
表面に塗料被覆層が形成されていることを特徴とする。
無機ジンクリッチペイントまたは有機ジンクリッチペイ
ントから成ることを特徴とする。
溶射されたAl、ZnおよびAl−Zn合金のうちのい
ずれか1つから成ることを特徴とする。
圧縮残留応力を付与することを特徴とする低熱膨張係数
合金の応力腐食割れ防止方法である。
ブラスト、鋼球ショットブラストおよびグリッドブラス
トのうちのいずれか1つによって付与されることを特徴
とする。
に圧縮残留応力層が形成されているので、換言すれば引
張残留応力が存在しないので、引張応力と塩化物イオン
との共存下で発生しやすい応力腐食割れの発生を防止す
ることが可能となる。また圧縮残留応力がサンドブラス
ト、鋼球ショットブラストおよびグリッドブラストのう
ちのいずれか1つによって付与されるので、簡単な構成
で確実に、かつ所望の箇所に所望の深さで圧縮残留応力
を付与することができる。また低熱膨張係数合金から成
る母材の表面に塗料被覆層が形成されているので、外部
環境中の海塩粒子などの腐食性物質と母材との接触が遮
断され、これによってもまた応力腐食割れの発生を防止
することが可能となる。また低温での耐久性を有し、か
つ低温、常温の繰返し熱サイクルを受けても密着性の良
好な塗料を選べば、さらに長期にわたって応力腐食割れ
の発生を防止することができる。
にカソード防食作用を有する物質を含むカソード防食被
覆層が形成されているので、腐食環境下において母材の
電位をカソード側に保持することが可能となり、応力腐
食割れの発生を防止することができる。またカソード防
食被覆層が無機ジンクリッチペイントまたは有機ジンク
リッチペイントから成るので、簡単な塗装によって容易
にカソード防食作用の強い亜鉛を含むカソード防食被覆
層を形成することができる。
l、ZnおよびAl−Zn合金のうちのいずれか1つか
ら成るので、カソード防食作用の強いこれら金属を効率
的に被覆することができる。すなわち、Znの溶射被覆
層とジンクリッチペイント被覆層とを被覆層の層厚を同
一にして比較すると、Znの溶射被覆層の方がジンクリ
ッチペイント被覆層よりも多量のZnを被覆することが
可能となり、長期にわたってカソード防食作用を発揮す
ることができる。またこれらのカソード防食被覆層に母
材まで達する傷が生じてもカソード防食作用によって母
材の腐食の進行を抑制することが可能となり、応力腐食
割れの発生を防止することができる。
合金から成るもう1つの母材の表面に塗料被覆層または
カソード防食被覆層が形成されているので、圧縮残留応
力層の応力腐食割れ防止効果によって、さらに長期間に
わたって応力腐食割れの発生を防止することができる。
また、圧縮残留応力層を形成するためのブラスト処理に
よってもう1つの母材の表面粗さが大きくなるので、そ
のアンカー効果によって塗料被覆層またはカソード防食
被覆層の密着性を向上させることができる。またカソー
ド防食被覆層が形成された後、さらに塗料被覆層が形成
されるので、塗料被覆層の環境遮断効果によってカソー
ド防食被覆層のカソード防食効果の低下が抑制されるば
かりでなく、カソード防食被覆層の効果が低下しても塗
料被覆層によって母材が保護されるので、さらに長期間
にわたって応力腐食割れの発生を防止することができ
る。
もう1つの母材が表面処理の下地材として用いられるの
で、表面処理された低熱膨張係数合金を低温液化ガス配
管に適用すれば、低温冷却時の熱収縮対策のための熱応
力吸収機構を省略することが可能となる。
である低熱膨張係数合金1の構成を簡略化して示す断面
図である。低熱膨張係数合金1は、表面に圧縮残留応力
が存在する層(以後、圧縮残留応力層3とよぶ)を有す
る。圧縮残留応力層3は表面からほぼ一定の厚みW1に
わたって存在し、引張応力と塩化物イオンとの共存下で
発生しやすい応力腐食割れの発生を防止する。低熱膨張
係数合金1の成分は36%Ni−Feであり、その線膨
張係数は鋼の約1/10の約2×10-6/℃(−200
〜100℃)である。
厚W1は0.3〜1.0mmの範囲の値に設定されるこ
とが好ましい。好ましい圧縮残留応力層3の層厚の下限
値が0.3mmに設定されるのは、下限値未満の層厚の
圧縮残留応力層3では、大気環境下での腐食によって圧
縮残留応力層3が早期に消耗し、後述の表5の比較例1
に示すように応力腐食割れの発生する恐れがあるからで
ある。圧縮残留応力層3の層厚の上限値が1.0mmに
設定されるのは、上限値を超える層厚の圧縮残留応力層
3を形成するには長い加工時間を要するとともに、表面
粗さが大きくなるので局部腐食が生じやすくなり、長期
にわたって応力腐食割れを防止することができなくなる
からである。これに対して、圧縮残留応力層3の層厚が
0.3〜1.0mmの範囲では、後述の表5の実施例1
および実施例2に示すように腐食環境下においても応力
腐食割れの発生を防止することができる。
ショットブラスト、グリッドブラストなどのブラスト処
理およびショットピーニング処理などによって形成され
る。以下、サンドブラストおよび鋼球ショットブラスト
によって形成される圧縮残留応力層3の深さおよび大き
さについて説明する。低熱膨張係数合金から成る試験片
にビードオン溶接を行い、サンドブラストおよび鋼球シ
ョットブラストを施した後、X線応力測定法によって残
留応力の測定を行った。ブラスト条件、X線応力測定条
件を表1および表2にそれぞれ示す。表1の試験片欄の
平板材は溶接を行っていない試験片を表す。表1の除せ
い度はISO8501−1に規定される方法に従って測
定した。除せい度はブラスト噴射時間によって調整し
た。表1の試料番号A8はビードオン溶接後、ブラスト
処理を行わないで残留応力の測定を行った。表2の残留
応力測定深さは残留応力測定後、電解研磨によって試験
片を研磨して変化させた。
の深さと残留応力との関係を示すグラフであり、図3は
鋼球ショットブラスト処理材の表面からの深さと残留応
力との関係を示すグラフである。図2および図3中のA
1〜A8は表1の試料番号A1〜A8に対応する。図2
および図3から、ブラスト処理を施すことによって圧縮
残留応力が発生することが判る。また図3から、鋼球シ
ョットブラスト処理によって溶接材の引張残留応力が圧
縮残留応力に変化することが判る。また鋼球ショットブ
ラストの方がサンドブラストよりも深さ方向に深く、か
つ大きな圧縮残留応力を付与できることが判る。すなわ
ち、鋼球ショットブラストでは約500μmの深さまで
圧縮残留応力が認められ、サンドブラストでは約300
〜400μmの深さまで圧縮残留応力が認められる。ま
たサンドブラストでは粒径の大きいけい砂5号を用いる
方が粒径の小さいけい砂6号を用いるよりも大きな圧縮
残留応力を付与できることが判る。またサンドブラスト
における圧縮残留応力に及ぼす除せい度の影響はほとん
ど認められないことが判る。
したがって重くなるほど深くて大きい圧縮残留応力を付
与することができるので、ブラスト材の種類および大き
さを適正に設定することによって圧縮残留応力の深さお
よび大きさを調整することが可能となる。
残留応力層の層厚が充分に形成されているので、腐食環
境下においても応力腐食割れの発生を防止することがで
きる。また線膨張係数が小さいので、低温液化ガス移送
用配管および付帯設備に適用すれば、低温冷却時におけ
る熱収縮対策のための熱応力吸収機構を省略することが
可能となる。したがって、本実施の形態の低熱膨張係数
合金1を低温液化ガス移送用配管材料として好適に適用
することができる。また圧縮残留応力はブラスト処理に
よって付与することができるので、工場で造管後、外周
面全域にブラスト処理を施すことも可能であり、配管現
場で溶接部付近のみにブラスト処理を施すことも可能で
ある。また前述のように、ブラスト処理等で圧縮残留応
力を付与することによって応力腐食割れの発生を防止す
ることができるので、このような方法を低熱膨張係数合
金の応力腐食割れ防止方法として好適に用いることがで
きる。
面処理低熱膨張係数合金5の構成を簡略化して示す断面
図である。表面処理低熱膨張係数合金5は、第1母材6
と第1母材6の表面に形成された第1カソード防食被覆
層7とを備える。第1母材6は、圧縮残留応力層9を有
する低熱膨張係数合金10から成る。低熱膨張係数合金
10は前記低熱膨張係数合金1と同一の成分および線膨
張係数を有する。圧縮残留応力層9は前記圧縮残留応力
層3と同様にブラスト処理等によって形成される。第1
カソード防食被覆層7は、カソード防食作用を有する物
質を含む被覆層であり、無機ジンクリッチペイントまた
は有機ジンクリッチペイントから成る。無機および有機
ジンクリッチペイントは亜鉛末11と樹脂13とを含ん
で構成され、亜鉛のカソード防食作用によって優れた防
食性を示す。無機ジンクリッチペイントは、アルキルシ
リケートをビヒクルとし、無機質の塗膜を形成する。有
機ジンクリッチペイントはエポキシ樹脂をビヒクルと
し、有機質の塗膜を形成する。
厚は、10〜200μm、好ましくは15〜100μm
の範囲の値に設定することが好ましい。膜厚の下限値が
10μmに限定されるのは、下限値未満の膜厚ではピン
ホール等の塗膜欠陥が発生しやすくなるとともに、カソ
ード防食作用の維持が困難となるからである。膜厚の上
限値が200μmに限定されるのは、上限値を超える膜
厚では塗膜が割れやすくなり、塗膜剥離が生じやすくな
るからである。無機および有機ジンクリッチペイントは
スプレ塗装および刷毛塗りによって塗装される。
に無機または有機ジンクリッチペイントが被覆されてい
るので、後述の表5の実施例5に示すように腐食環境下
においても応力腐食割れの発生を長期にわたって防止す
ることができる。無機または有機ジンクリッチペイント
はカソード防食作用を有するので、被覆層に第1母材6
に達する傷が生じても健全部と同様に応力腐食割れの発
生を防止することができる。また圧縮残留応力層9は、
無機または有機ジンクリッチペイントから成る被覆層が
存在する間は消耗が抑制されるので、前記単独で存在す
る圧縮残留応力層3よりも層厚を薄く設定することが可
能である。圧縮残留応力層9の層厚は希望する耐用寿命
に応じて、たとえば100μmに設定される。
5を前記低温液化ガス移送用配管材料として適用するに
は、冷熱サイクルによって塗膜の剥離が生じないような
優れた塗膜密着性を有することが要求される。塗膜密着
性は素地である第1母材6の表面粗さに依存する。前述
のように本実施の形態では、圧縮残留応力を付与するた
めにブラスト処理が行われるので、ブラスト処理の条件
を圧縮残留応力の付与が可能であり、かつ適正な表面粗
さが得られるように設定すれば、圧縮残留応力の付与と
塗膜密着性の確保とを同時に実現することができる。以
下、ブラスト処理の条件と塗膜密着性との関係について
説明する。
ンドブラストおよび鋼球ショットブラストを施し、無機
および有機ジンクリッチペイントを塗装し、その後、冷
熱サイクル試験を実施して塗膜密着性を評価した。冷熱
サイクル試験は、塗装した板状試験片を液体窒素中に浸
漬し、引上げ後、水冷する冷熱サイクルを50回繰返す
ことによって行った。試験片の寸法は、厚さ:6mm、
幅:70mm、長さ:100mmであった。塗膜密着性
は、日本工業規格K5400に規定されている碁盤目付
着性試験、耐衝撃性試験および引張り付着力試験によっ
て評価した。ブラスト条件、塗装条件、表面粗さ測定結
果、碁盤目付着性試験結果および耐衝撃性試験結果を表
3に示す。また図5および図6にサンドブラストおよび
鋼球ショットブラスト材の表面粗さ曲線をそれぞれ示
す。表3に示すブラスト条件以外のブラスト条件は表1
の脚注に記載したブラスト条件と同一である。表3に示
す表面粗さの測定値は図5および図6に対応する。表面
粗さ欄のピーク数は、図5および図6に示す粗さ曲線に
おける測定長さ1mm内に存在するピークの個数を示
す。
る。 (a)サンドブラスト処理材B1〜B4の表面粗さは鋼
球ショットブラスト処理材B5〜B10の表面粗さより
も小さくピーク数が多い。すなわち、サンドブラスト処
理材のブラスト面は鋼球ショットブラスト処理材のブラ
スト面よりもピッチの短い粗さ曲線を示す。またサンド
および鋼球ショットブラスト処理材ともブラスト材の粒
径が大きくなるほど表面粗さが大きくなる。
スト処理材B1〜B4の方が鋼球ショットブラスト処理
材B5〜B10よりも塗膜剥離面積が小さく塗膜密着性
に優れている。これは、サンドブラスト処理材の方が鋼
球ショットブラスト処理材よりも表面粗さのピーク数が
多いことによるものと考えられる。すなわちピッチの短
い粗さ曲線を有するブラスト面を形成すれば、そのアン
カー効果によって冷熱サイクル試験後の塗膜密着性が向
上する。
処理材B1〜B4は無機および有機ジンクリッチペイン
トのいずれを塗布しても良好な塗膜密着性を示す。すな
わち、冷熱サイクル試験後の衝撃試験によって塗膜の剥
離および割れが生じない。これに対して、鋼球ショット
ブラスト処理材B5〜B10は、無機ジンクリッチペイ
ントを塗布したときには良好な塗膜密着性を示すもの
の、有機ジンクリッチペイントを塗布したときには冷熱
サイクル試験後の衝撃試験によって塗膜の剥離が発生す
る。有機ジンクリッチペイントを塗布したときに無機ジ
ンクリッチペイントを塗布したときよりも塗膜密着性が
低下するのは、有機ジンクリッチペイントの膜厚が厚い
ことによるものと考えられる。またサンドブラスト処理
材では、有機ジンクリッチペイントを塗布しても良好な
塗膜密着性を示すのは、膜厚が厚いことによる塗膜密着
性低下要因が前記表面粗さのピーク数が多いことによる
塗膜密着性向上要因によって相殺されることによるもの
と考えられる。
り付着力測定結果を示すグラフである。図7から、サン
ドブラスト処理材B1〜B4は無機および有機ジンクリ
ッチペイントのいずれを塗布しても40kg/cm2以
上の非常に良好な塗膜の引張り付着力を示し、冷熱サイ
クル試験後の塗膜密着性が良好であることが判る。これ
に対して、鋼球ショットブラスト処理材B5〜B10
は、無機ジンクリッチペイントを塗布したときには30
kg/cm2以上の良好な塗膜の引張り付着力を示すも
のの、有機ジンクリッチペイントを塗布したときには1
0〜20kg/cm2の低い塗膜の引張り付着力を示す
ことが判る。サンドブラスト処理では有機ジンクリッチ
ペイントを塗布しても良好な塗膜密着性を示し、有機ジ
ンクリッチペイントを塗布したときに塗膜密着性が低下
するのは前記(c)と同じ理由によるものである。
密着性を向上させるには、サンドブラスト処理材のよう
なピーク数の多い表面粗さを持つブラスト面を形成する
ことが必要である。すなわち、第1母材6の表面粗さの
単位長さ当りのピーク数を8個/mm以上に調整するこ
とが好ましい。これによって、アンカー効果を向上する
ことができる。このように無機および有機ジンクリッチ
ペイントの塗装下地処理も兼ねるブラスト処理として
は、冷熱サイクルにおける塗膜密着性と現地溶接部のブ
ラスト処理施工を考慮するとサンドブラスト処理が好ま
しい。
残留応力層9を有する第1母材6の表面にカソード防食
作用を有する無機または有機ジンクリッチペイントが塗
装されているので、腐食環境下においても応力腐食割れ
の発生を長期にわたって防止することができる。また最
外層に無機または有機ジンクリッチペイントから成る第
1カソード防食被覆層7が形成されているので、圧縮残
留応力層9の層厚を前記実施の第1形態の圧縮残留応力
層3よりも小さくすることができる。また第1母材6の
表面粗さのピーク数がアンカー効果が向上するように調
整されるので、塗膜密着性を向上することができる。ま
た本実施の形態は前記第1の実施の形態と同様の効果を
奏することができる。また前述のように、圧縮残留応力
層の表面に無機または有機ジンクリッチペイントを塗装
することによって、応力腐食割れを防止することができ
るので、このような方法を低熱膨張係数合金の応力腐食
割れ防止方法として好適に用いることができる。
面処理低熱膨張係数合金16の構成を簡略化して示す断
面図である。表面処理低熱膨張係数合金16は、前記実
施の第2形態の表面処理低熱膨張係数合金5と類似し、
対応する部分には同一の参照符号を付す。注目すべきは
第1母材6の表面に無機または有機ジンクリッチペイン
トから成る第1カソード防食被覆層7に代わって、溶射
されたAl、ZnおよびAl−Zn合金のうちのいずれ
か1つから成る第2カソード防食被覆層17が形成され
ている点である。第2カソード防食被覆層17の層厚
は、20〜500μm、好ましくは50〜300μmの
範囲の値に設定することが好ましい。層厚の下限値が2
0μmに限定されるのは、下限値未満の層厚ではピンホ
ール等の溶射欠陥が発生しやすくなり、カソード防食作
用の維持が困難となるからである。層厚の上限値が50
0μmに限定されるのは、上限値を超える層厚では溶射
皮膜が割れやすくなり溶射皮膜の剥離が生じやすくなる
からである。
に溶射されたAl、ZnおよびAl−Zn合金のうちの
いずれか1つから成る溶射被覆層17が形成されている
ので、後述の表5の実施例9に示すように腐食環境下に
おいても応力腐食割れの発生を防止することができる。
またこの溶射被覆層17はカソード防食作用を有するの
で、前記第2の実施の形態と同様に溶射被覆層17に第
1母材6に達する傷が生じても健全部と同様に応力腐食
割れの発生を防止することが可能である。また溶射被覆
層17が形成されているので、圧縮残留応力層9の層厚
を薄くすることができる。
は、第1母材6の表面にZnを含む被覆層が形成されて
いる。従来からZnを含む被覆層を有するSUS304
などのオーステナイト系ステンレス鋼を溶接すると亜鉛
が結晶粒界に侵入して液体金属脆性割れが発生すること
が知られている。表面にZnを含む被覆層が形成された
第1母材6において液体金属脆性割れが発生するか否か
を確認するために溶接試験を行った。無機ジンクリッチ
ペイントを塗装した第1母材6と、Znを溶射した第1
母材6と、無機ジンクリッチペイントを塗装したSUS
304と、Znを溶射したSUS304とをそれぞれ準
備し、ビードオン溶接をそれぞれ施した後、液体金属脆
性割れの有無を調査した。実験結果を表4に示す。
装した第1母材6とZnを溶射した第1母材6とには、
液体金属脆性割れが発生しないことが判る。また無機ジ
ンクリッチペイントを塗装したSUS304と、Znを
溶射したSUS304には液体金属脆性割れが発生する
ことが判る。このように、本実施の形態および前記実施
の第2形態の材料は、液体金属脆性割れが発生しないと
いう優れた特性を有するので、低温液化ガス移送用配管
材料として好適に使用される。
実施の形態と同一であり、効果についても同様の効果を
奏することができる。またこのような方法を前述のよう
に低熱膨張係数合金の応力腐食割れ防止方法として好適
に用いることができる。
面処理低熱膨張係数合金19の構成を簡略化して示す断
面図である。表面処理低熱膨張係数合金19は、前記実
施の第2形態の表面処理低熱膨張係数合金5と類似し、
対応する部分には同一の参照符号を付す。注目すべき
は、第1母材6の表面に無機または有機ジンクリッチペ
イントから成る第1カソード防食被覆層7に代わって塗
料被覆層20が形成されている点である。塗料被覆層2
0は、第1母材6と外部環境とを遮断する環境遮断用塗
料から成る。環境遮断用塗料としては、耐久性を有する
塗料、たとえばエポキシ樹脂系塗料およびウレタン樹脂
系塗料が好適に用いられる。この塗料はスプレ塗装また
は刷毛塗りによって塗装される。塗料被覆層20の膜厚
は、10〜500μm、好ましくは30〜200μmの
範囲の値に設定することが好ましい。膜厚の下限値が1
0μmに設定されるのは、下限値未満の膜厚ではピンホ
ール等の塗膜欠陥が発生しやすくなるからである。膜厚
の上限値が500μmに限定されるのは、上限値を超え
る膜厚では塗膜の割れが発生しやすくなり、防食効果が
低下するからである。
面に塗料が塗装されているので、後述の表5の実施例1
2に示すように腐食環境下においても応力腐食割れの発
生を防止することができる。また第1母材6の表面に前
述のように圧縮残留応力付与と塗装の下地処理とを兼ね
るブラスト処理が施されているので、塗装密着性が良好
である。本実施の形態のその他の構成は前記第2の実施
の形態と同一であり、効果についても同様の効果を奏す
ることができる。またこのような方法を前述のように低
熱膨張係数合金の応力腐食割れ防止方法として好適に用
いることができる。
表面処理低熱膨張係数合金23の構成を簡略化して示す
断面図である。表面処理低熱膨張係数合金23は前記表
面処理低熱膨張係数合金5に類似し、対応する部分には
同一の参照符号を付す。注目すべきは、表面に圧縮残留
応力層9を有する第1母材6に代わって、表面に圧縮残
留応力層が形成されていない第2母材24が用いられる
点である。第2母材24は、低熱膨張係数合金から成
り、表面に圧縮残留応力層が形成されていないばかりで
なく、溶接部等などでは引張残留応力が存在し、さらに
ブラスト処理に伴う下地処理としての凹凸も形成されて
いない。したがって、第2母材24の表面に被覆される
無機または有機ジンクリッチペイントから成る第1カソ
ード防食被覆層7の塗膜密着性を高めるには、ブラスト
処理に代わる下地処理を施す必要がある。本実施の形態
では、酸洗いによってさび落としと表面の粗面化が図ら
れる。ブラスト処理に代わる下地処理としては、電解酸
洗いおよび化成皮膜処理などを施してもよい。
カソード防食作用を有する無機または有機ジンクリッチ
ペイントの塗膜が形成されているので、引張残留応力が
存在していても後述の表5の実施例3に示すように腐食
環境下において塗膜健全部および傷部とも応力腐食割れ
の発生を防止することができる。本実施の形態のその他
の構成は前記第2の実施の形態と同一であり、効果につ
いても圧縮残留応力層の効果を除いて同様の効果を奏す
ることができる。またこのような方法を前述のように低
熱膨張係数合金の応力腐食割れ防止方法として好適に用
いることができる。
5形態の第1カソード防食被覆層7に代わって、前記第
2カソード防食被覆層17を第2母材24の表面に形成
するように構成してもよい。第2カソード防食被覆層1
7は前述のように溶射されたAl、ZnおよびAl−Z
n合金のうちの1つから成るので、カソード防食作用に
よって低熱膨張係数合金から成る第2母材24の耐食性
を高めることができる。このように、本実施の形態では
第2母材24の表面にカソード防食作用を有する前記溶
射材から成る被覆層が形成されているので、第2母材2
4に引張残留応力が存在しても、後述の表5の実施例7
に示すように腐食環境下において塗膜健全部および傷部
とも応力腐食割れの発生を防止することができる。本実
施の形態のその他の構成は前記実施の第5形態と同一で
あり、効果についても同様の効果を奏することができ
る。またこのような方法を前述のように低熱膨張係数合
金の応力腐食割れ防止方法として好適に用いることがで
きる。
5形態の第1カソード防食被覆層7に代わって前記塗料
被覆層20を第2母材24の表面に形成するように構成
してもよい。このように、本実施の形態では第2母材2
4の表面にエポキシ樹脂系塗料などから成る塗料被覆層
20が形成されているので、第2母材24に引張残留応
力が存在しても、後述の表5の実施例11に示すように
腐食環境下において応力腐食割れの発生を防止すること
ができる。本実施の形態のその他の構成は、前記実施の
第5形態と同一であり、効果についてもカソード防食作
用の効果を除いて同様の効果を奏することができる。ま
たこのような方法を前述のように低熱膨張係数合金の応
力腐食割れ防止方法として好適に用いることができる。
の第2形態の第1カソード防食被覆層7の表面に前記塗
料被覆層20をさらに形成するように構成してもよい。
本実施の形態では、圧縮残留応力層9を有する第1母材
6の表面に無機または有機ジンクリッチペイントから成
る塗膜7が形成されており、さらにその表面にエポキシ
樹脂系塗料等から成る塗膜20が形成されているので、
カソード防食作用を有する無機または有機ジンクリッチ
ペイントから成る塗膜7のカソード防食能が低下しても
前記塗膜20によって保護される。したがって、耐食性
が良好であり、後述の表5の実施例6に示すように腐食
環境下において塗膜健全部および傷部とも応力腐食割れ
の発生をさらに長期にわたって防止することができる。
本実施の形態のその他の構成は前記実施の第2形態と同
一であり、効果についても同様の効果を奏することがで
きる。またこのような方法を前述のように低熱膨張係数
合金の応力腐食割れ防止方法として好適に用いることが
できる。
第3形態の第2カソード防食被覆層17の表面に前記塗
料被覆層20をさらに形成するように構成してもよい。
本実施の形態では、圧縮残留応力層9を有する第1母材
6の表面に溶射されたAl、ZnおよびAl−Zn合金
のうちのいずれか1つから成る溶射被覆層17が形成さ
れており、さらにその表面にエポキシ樹脂系塗料などか
ら成る塗膜20が形成されているので、カソード防食作
用を有する溶射被覆層17のカソード防食作用が低下し
ても塗膜20によって保護される。したがって、耐食性
が良好であり、後述の表5の実施例10に示すように腐
食環境下において溶射被覆層の健全部および傷部とも応
力腐食割れの発生をさらに長期にわたって防止すること
ができる。本実施の形態のその他の構成は前記実施の第
3形態と同一であり、効果についても同様の効果を奏す
ることができる。またこのような方法を前述のように低
熱膨張係数合金の応力腐食割れ防止方法として好適に用
いることができる。
施の第5形態の第1カソード防食被覆層7の表面に前記
塗料被覆層20をさらに形成するように構成してもよ
い。本実施の形態では、圧縮残留応力層が形成されてい
ない第2母材24の表面に無機または有機ジンクリッチ
ペイントから成る塗膜7が形成されており、さらにその
表面にエポキシ樹脂系塗料などから成る塗膜20が形成
されているので、カソード防食作用を有する無機または
有機ジンクリッチペイントから成る塗膜7のカソード防
食効果が低下しても前記塗膜20によって保護される。
したがって耐食性が良好であり、第2母材24に引張残
留応力が存在していても後述の表5の実施例4に示すよ
うに腐食環境下において応力腐食割れの発生を防止する
ことができる。本実施の形態のその他の構成は前記実施
の第5形態と同一であり、効果についても同様の効果を
奏することができる。またこのような方法を前述のよう
に低熱膨張係数合金の応力腐食割れ防止方法として好適
に用いることができる。
施の第6形態の第2カソード防食層17の表面に前記塗
料被覆層20をさらに形成するように構成してもよい。
本実施の形態では圧縮残留応力層が形成されていない第
2母材24の表面に溶射されたAl、ZnおよびAl−
Zn合金のうちのいずれか1つから成る溶射被覆層17
が形成されており、さらにその表面にエポキシ樹脂系塗
料などから成る塗膜20が形成されているので、カソー
ド防食作用を有する溶射被覆層17のカソード防食効果
が低下しても塗膜20によって保護される。したがっ
て、耐食性が良好であり、第2母材24に引張残留応力
が存在しても、後述の表5の実施例8に示すように腐食
環境下において応力腐食割れの発生を防止することがで
きる。本実施の形態のその他の構成は前記実施の第6形
態と同一であり、効果についても同様の効果を奏するこ
とができる。またこのような方法を前述のように低熱膨
張係数合金の応力腐食割れ発生防止方法として好適に用
いることができる。
を具体的に説明する。本発明の構成要件を全て満たす実
施例1〜12の試験片と、本発明の構成要件は全て満た
すものの好適な条件範囲から外れた比較例1の試験片
と、本発明の構成要件を満たさない比較例2〜3の試験
片とを準備し、応力腐食割れ試験を実施して評価した。
熱膨張係数合金から成り、その成分は36%Ni−Fe
である。比較例3はステンレス鋼SUS304から成
る。試験片は正方形の板材であり、その寸法は厚さ:9
mm、幅:100mm、長さ:100mmであった。各
試験片には、直径70mmのリング状ビードオン溶接を
施し、表面に引張残留応力を付与した。さらにビード部
を600番のエメリ紙によって平坦に研磨仕上げを施し
た。実施例1〜12および比較例1は、このようにして
準備した各試験片に種々の表面処理を施して応力腐食割
れ試験を実施した。比較例2〜3はこのようにして準備
した試験片に表面処理を施さないで応力腐食割れ試験を
実施した。表面処理としては、サンドブラスト処理、無
機ジンクリッチペイントの塗装処理、Alの溶射処理お
よびエポキシ樹脂系塗料の塗装処理を実施した。
けい砂5号を用い、空気圧:5kg/cm2、ブラスト
距離:30mm、ブラスト角度:90°で実施した。圧
縮残留応力層の層厚は、ブラスト処理時間を調整して変
化させた。無機ジンクリッチペイントの塗膜厚、Al溶
射層の層厚およびエポキシ樹脂系塗料の塗膜厚は、20
μm、50μm、20μmにそれぞれ設定した。実施例
1〜12および比較例1〜3の表面処理条件、圧縮残留
応力層の層厚、応力腐食割れ試験条件、応力腐食割れ試
験結果および応力腐食割れ試験結果の評価基準を表5に
示す。
試験片の溶接ビードに沿うように直径:65mm、厚
さ:1mmのテトラフルオロエチレン製の板を押付けて
隙間腐食が発生する条件下で実施した。表5の脚注に記
載している塩水噴霧試験は事前腐食処理であり、保護層
を消耗させた状態で応力腐食割れ試験を行うために実施
した。表5から、実施例1〜12には、いずれも応力腐
食割れの発生が全く認められないことが判る。またカソ
ード防食作用を有する被覆層が形成された実施例3〜1
0においては、被覆層の健全部ばかりでなく被覆層の傷
部においても応力腐食割れの発生が全く認められないこ
とが判る。このように、実施例1〜12については応力
腐食割れに対する有効性が確認されるので、実施例1〜
12を低温液化ガス移送用配管材料として好適に用いる
ことができる。
発明の好ましい範囲の下限を外れた比較例1では、応力
腐食割れ試験条件CおよびDにおいて応力腐食割れが発
生した。しかしながら、応力腐食割れ試験条件Aおよび
Bにおいては応力腐食割れの発生が全く認められなかっ
た。すなわち、事前に腐食させた後、応力腐食割れ試験
を行う特に厳しい腐食環境の下では応力腐食割れが発生
するものの、通常の腐食環境の下では応力腐食割れが発
生しない。したがって、比較例2については腐食環境に
よっては低温液化ガス移送用配管材料として用いること
が可能である。また、防食対策を全く施していない比較
例2では、いずれの条件でも応力腐食割れが発生した。
素材がSUS304から成る比較例3については、応力
腐食割れ試験条件A、Cすなわち液温および塩化物イオ
ン濃度が高い応力腐食割れ試験条件の下で応力腐食割れ
が発生した。したがって比較例2および3については低
温液体ガス移送用配管材料として用いることができな
い。
係数合金の溶接部等の引張残留応力が存在する部分にブ
ラスト処理などによって圧縮残留応力層が形成されてい
るので、すなわち、引張残留応力がなく、圧縮残留応力
存在下では応力腐食割れが生じないので、応力腐食割れ
の発生を防止することができる。また低熱膨張係数合金
の溶接部等の引張残留応力が存在する部分に無機または
有機ジンクリッチペイントから成る第1カソード防食被
覆層、溶射されたAl、ZnおよびAl−Zn合金のう
ちのいずれか1つから成る第2カソード防食被覆層およ
び塗料被覆層のうちのいずれか1つが被覆されているの
で、低熱膨張係数合金の耐食性を向上させることができ
るとともに、応力腐食割れの発生を防止することができ
る。
力層を形成した後、これらの各被覆層を形成すれば、各
被覆層の密着性の向上も図られるので、応力腐食割れの
発生をさらに長期にわたって防止することが可能とな
る。また応力腐食割れの発生を防止できるので、圧縮残
留応力層を有する低熱膨張係数合金および表面処理低熱
膨張係数合金を低温液化ガス移送用配管として好適に用
いることができる。またこれによって、低温液化ガス移
送用配管の耐食性および耐応力腐食割れ性が向上するの
で、製品の信頼性が向上する。また低熱膨張係数合金か
ら成る母材が用いられるので、低温液化ガス移送用配管
の熱応力吸収機構を省略することが可能となる。
金1の構成を簡略化して示す断面図である。
応力との関係を示すグラフである。
と残留応力との関係を示すグラフである。
張係数合金5の構成を簡略化して示す断面図である。
である。
図である。
結果を示すグラフである。
張係数合金16の構成を簡略化して示す断面図である。
張係数合金19の構成を簡略化して示す断面図である。
膨張係数合金23の構成を簡略化して示す断面図であ
る。
Claims (10)
- 【請求項1】 表面からほぼ一定の厚みにわたって圧縮
残留応力が存在する層が形成されていることを特徴とす
る低熱膨張係数合金。 - 【請求項2】 低熱膨張係数合金から成る母材と、 母材の表面に形成された塗料被覆層とを備えることを特
徴とする表面処理低熱膨張係数合金。 - 【請求項3】 表面からほぼ一定の厚みにわたって圧縮
残留応力が存在する層が形成された低熱膨張係数合金か
ら成る母材と、 母材の前記層の表面に形成された塗料被覆層とを備える
ことを特徴とする表面処理低熱膨張係数合金。 - 【請求項4】 低熱膨張係数合金から成る母材と、 母材の表面に形成されたカソード防食作用を有する物質
を含むカソード防食被覆層とを備えることを特徴とする
表面処理低熱膨張係数合金。 - 【請求項5】 表面からほぼ一定の厚みにわたって圧縮
残留応力が存在する層が形成された低熱膨張係数合金か
ら成る母材と、 母材の前記層の表面に形成されたカソード防食作用を有
する物質を含むカソード防食被覆層とを備えることを特
徴とする表面処理低熱膨張係数合金。 - 【請求項6】 前記カソード防食被覆層の表面に塗料被
覆層が形成されていることを特徴とする請求項4または
5記載の表面処理低熱膨張係数合金。 - 【請求項7】 前記カソード防食被覆層が無機ジンクリ
ッチペイントまたは有機ジンクリッチペイントから成る
ことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の表面
処理低熱膨張係数合金。 - 【請求項8】 前記カソード防食被覆層が溶射されたA
l、ZnおよびAl−Zn合金のうちのいずれか1つか
ら成ることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載
の表面処理低熱膨張係数合金。 - 【請求項9】 低熱膨張係数合金の表面に圧縮残留応力
を付与することを特徴とする低熱膨張係数合金の応力腐
食割れ防止方法。 - 【請求項10】 前記圧縮残留応力がサンドブラスト、
鋼球ショットブラストおよびグリッドブラストのうちの
いずれか1つによって付与されることを特徴とする請求
項9記載の低熱膨張係数合金の応力腐食割れ防止方法。
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JP2000384145A JP3420568B2 (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | 低熱膨張係数材料 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007091430A1 (ja) * | 2006-02-10 | 2007-08-16 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | ボルト、および、ボルトの製造方法 |
JP2007211932A (ja) * | 2006-02-10 | 2007-08-23 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | ねじ締結部材、および、ねじ締結部材の製造方法 |
JP2012207295A (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-25 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 表面処理二相ステンレス鋼及びその製造方法 |
JP2017177190A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 株式会社神戸製鋼所 | 押出部材 |
-
2000
- 2000-12-18 JP JP2000384145A patent/JP3420568B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (6)
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US8607604B2 (en) | 2006-02-10 | 2013-12-17 | Mitsubishi Heavy Industries | Bolt and manufacturing method of bolt |
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