JP2007211932A - ねじ締結部材、および、ねじ締結部材の製造方法 - Google Patents

ねじ締結部材、および、ねじ締結部材の製造方法 Download PDF

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Nobukazu Tezuka
宣和 手塚
Kazuharu Hirokawa
一晴 廣川
Keisuke Ihara
圭祐 伊原
Taiji Torigoe
泰治 鳥越
Hiroshi Ishikawa
博司 石川
Ryuichi Yamamoto
隆一 山本
Yukihiro Hashimoto
幸弘 橋本
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Abstract

【課題】従来のねじ締結部材では、おねじとめねじとの噛み合い部の疲労強度を改善するには限界がある。
【解決手段】おねじ10の表面もしくはめねじ20の表面のうち少なくともいずれか一方に、硬度が母材よりも低い表面軟質皮膜部21を、設ける。この結果、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20とが噛み合う噛み合い部における片当りや局所的な高応力の発生を抑制することができる。これにより、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部の疲労強度を改善することができるので、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されることに対して有効である。
【選択図】 図1

Description

この発明は、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されることに対して有効であるねじ締結部材、および、そのねじ締結部材の製造方法に関するものである。
ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されるねじ締結部材としては、たとえば、ガスタービンのロータスピンドルボルトおよびナットなどがある。以下、ガスタービンのロータスピンドルボルトおよびナットからなるねじ締結部材について図8および図9を参照して説明する。
図8において、符号「100」は、ガスタービンの圧縮機のロータである。前記ロータ100は、ロータスピンドルボルト(ガスタービン用締結ボルト)101(以下、単に「ボルト101」と称する)およびナット102により締結されている多数枚のディスク103と、前記多数枚のディスク103に固定されている動翼104と、から構成されている。なお、前記多数枚のディスク103は、周方向にほぼ等間隔に配置されている複数本の前記ボルト101および複数個の前記ナット102により、締結されている。前記ボルト101および前記ナット102は、ねじ締結部材を構成する。
前記ロータ100においては、ガスタービンの起動や停止に伴って熱伸び差が発生したり、また、スラストや遠心力や自重たわみ状態での回転などにより変動荷重が加わって伸び縮みが発生したりするので、前記ボルト101および前記ナット102の締付力が変化する。このために、図9に示すように、前記ボルト101のおねじと前記ナット102のめねじとの噛み合い部、すなわち、ねじ噛み合い部105においては、変動応力(引っ張り応力や曲げ応力)が負荷される。そして、前記ねじ噛み合い部105に変動応力が負荷されると、前記ねじ噛み合い部105においては、摩耗や疲労損傷を起こし易くなる。そこで、前記ねじ噛み合い部105の疲労強度(特に、フレッティング(フレッチング)疲労強度)を改善する必要がある。
ねじ締結部材(ボルトおよびナット)の疲労強度を改善した技術は、従来からある(たとえば、特許文献1、特許文献2)。以下、従来のねじ締結部材について説明する。従来のねじ締結部材は、ナットのめねじに嵌合するボルトのおねじを、引っ張り方向へ、先細状に整形したもの(特許文献1)である。また、ボルト首下丸み部を製品ボルト首下丸み部局率半径の1.2〜3.0倍の範囲のボルトを成形し、そのボルト首下丸み部に冷間加工を施して所定の曲率半径に整形加工したもの(特許文献2)である。
ところが、前者(特許文献1)は、ボルトのおねじを引っ張り方向に先細状に整形してボルトのおねじにかかる引張応力を均一化するものであって、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部における片当りや局所的な高応力の発生を抑制するものではない。このために、前者は、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を改善するには限界がある。また、後者(特許文献2)は、ボルト首下丸み部に冷間加工を施してボルト首下丸み部の表面硬度を上昇させかつボルト首下の丸み部に圧縮残留応力を付与するが、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部における片当りや局所的な高応力の発生を抑制するものではない。このために、後者も、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を改善するには限界がある。
特公昭56−53651号公報 特開平7−180714号公報
この発明が解決しようとする問題点は、従来のねじ締結部材では、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を改善するには限界があるという点にある。
この発明(請求項1に記載の発明)は、少なくともおねじの表面またはおよび少なくともめねじの表面に、硬度が母材よりも低い表面軟質皮膜部を、設ける、ことを特徴とする。
また、この発明(請求項2に記載の発明)は、表面軟質皮膜部の厚さが、おねじの表面粗さの最大値とめねじの表面粗さの最大値との和よりも大きい、ことを特徴とする。
さらに、この発明(請求項3に記載の発明)は、おねじおよびめねじをそれぞれ形成する切削加工の工程と、少なくともおねじの表面またはおよび少なくともめねじの表面に、硬度が母材よりも低い表面軟質皮膜部を、設ける加工処理の工程と、からなる、ことを特徴とする。
さらにまた、この発明(請求項4に記載の発明)は、加工処理の工程において、少なくともおねじの表面またはおよび少なくともめねじの表面に設ける表面軟質皮膜部の厚さが、おねじの表面粗さの最大値とめねじの表面粗さの最大値との和よりも大きい、ことを特徴とする。
さらにまた、この発明(請求項5に記載の発明)は、少なくともめねじの表面に、硬度がナットの母材よりも低い表面軟質皮膜部を、設け、少なくともおねじの表面に、表面硬度が上昇しかつ圧縮残留応力が付与された表面硬化部を、設ける、ことを特徴とする。
さらにまた、この発明(請求項6に記載の発明)は、表面軟質皮膜部の厚さが、おねじの表面粗さの最大値とめねじの表面粗さの最大値との和よりも大きく、表面硬化部が、メッシュサイズ#150のメッシュを通過し得る粒径以下の粒を少なくともおねじの表面に当てる加工処理により、設けられている、ことを特徴とする。
さらにまた、この発明(請求項7に記載の発明)は、めねじを形成する切削加工の工程と、少なくともめねじの表面に、硬度がナットの母材よりも低い表面軟質皮膜部を、設ける加工処理の工程と、おねじを形成する切削加工の工程と、少なくともおねじの表面に、表面硬度が上昇しかつ圧縮残留応力が付与された表面硬化部を、設ける加工処理の工程と、からなる、ことを特徴とする。
さらにまた、この発明(請求項8に記載の発明)は、加工処理の工程において、少なくともめねじの表面に設ける表面軟質皮膜部の厚さが、おねじの表面粗さの最大値とめねじの表面粗さの最大値との和よりも大きく、少なくともおねじの表面に表面硬化部を設ける加工処理が、メッシュサイズ#150のメッシュを通過し得る粒径以下の粒を少なくともおねじの表面に当てる加工処理である、ことを特徴とする。
この発明(請求項1に記載の発明)のねじ締結部材は、おねじの表面もしくはめねじの表面のうち少なくともいずれか一方に、硬度が母材よりも低い表面軟質皮膜部を、設けることにより、ボルトのおねじとナットのめねじとが噛み合う噛み合い部における片当りや局所的な高応力の発生を抑制することができる。このために、この発明(請求項1に記載の発明)のねじ締結部材は、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を改善することができるので、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されることに対して有効である。
また、この発明(請求項2に記載の発明)のねじ締結部材は、表面軟質皮膜部の厚さがおねじの表面粗さの最大値とめねじの表面粗さの最大値との和よりも大きいので、ボルトのおねじとナットのめねじとを噛み合わせた際に、ボルトの母材とナットの母材とが表面軟質皮膜部から表面に露出することがない。このために、この発明(請求項2に記載の発明)のねじ締結部材は、ボルトの母材とナットの母材とが噛み合ってボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部における片当りや局所的な高応力が発生するのを確実に防止することができ、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を確実に改善することができる。
さらに、この発明(請求項3に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、切削加工工程で形成したおねじの表面もしくはめねじの表面のうち少なくともいずれか一方に、硬度が母材よりも低い表面軟質皮膜部を、加工処理工程で設けるものであるから、この表面軟質皮膜部により、ボルトのおねじとナットのめねじとが噛み合う噛み合い部における片当りや局所的な高応力の発生を抑制することができる。このために、この発明(請求項3に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を改善することができるので、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されることに対して有効であるねじ締結部材を製造することができる。
さらに、この発明(請求項4に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、おねじの表面粗さの最大値とめねじの表面粗さの最大値との和よりも大きい厚さの表面軟質皮膜部を、おねじの表面もしくはめねじの表面のうち少なくともいずれか一方に、加工処理して設けるものである。このために、この発明(請求項4に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、ボルトのおねじとナットのめねじとを噛み合わせた際に、ボルトの母材とナットの母材とが表面軟質皮膜部から表面に露出することがない。この結果、この発明(請求項4に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、ボルトの母材とナットの母材とが噛み合ってボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部における片当りや局所的な高応力が発生するのを確実に防止することができ、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を確実に改善することができるねじ締結部材を製造することができる。
さらにまた、この発明(請求項5に記載の発明)のねじ締結部材は、ナットの少なくともめねじの表面に、硬度がナットの母材よりも低い表面軟質皮膜部を、設けることにより、ボルトのおねじとナットのめねじとが噛み合う噛み合い部における片当りや局所的な高応力の発生を抑制することができる。しかも、この発明(請求項5に記載の発明)のねじ締結部材は、ボルトの少なくともおねじの表面に設けられている表面硬化部により、おねじの表面の硬度が上昇し、かつ、おねじの表面に圧縮残留応力が付与されることとなる。このために、この発明(請求項5に記載の発明)のねじ締結部材は、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を改善することができるので、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されることに対して有効である。
さらにまた、この発明(請求項6に記載の発明)のねじ締結部材は、表面軟質皮膜部の厚さがおねじの表面粗さの最大値とめねじの表面粗さの最大値との和よりも大きいので、ボルトのおねじとナットのめねじとを噛み合わせた際に、ボルトの母材とナットの母材とが表面軟質皮膜部から表面に露出することがない。このために、この発明(請求項6に記載の発明)のねじ締結部材は、ボルトの母材とナットの母材とが噛み合ってボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部における片当りや局所的な高応力が発生するのを確実に防止することができる。しかも、この発明(請求項6に記載の発明)のねじ締結部材は、メッシュサイズ#150のメッシュを通過し得る粒径以下の粒を少なくともおねじの表面に当てて、おねじの表面に表面硬化部を加工処理するものである。このために、この発明(請求項6に記載の発明)のねじ締結部材は、おねじの表面の硬度が上昇し、かつ、おねじの表面に圧縮残留応力が付与される一方、おねじの表面の粗さによりおねじの疲労強度の改善に対して影響を与えるようなことがない。この結果、この発明(請求項6に記載の発明)のねじ締結部材は、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を確実に改善することができる。
さらにまた、この発明(請求項7に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、切削加工工程で形成したナットの少なくともめねじの表面に、硬度がナットの母材よりも低い表面軟質皮膜部を、加工処理工程で設けるものであるから、この表面軟質皮膜部により、ボルトのおねじとナットのめねじとが噛み合う噛み合い部における片当りや局所的な高応力の発生を抑制することができる。しかも、この発明(請求項7に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、切削加工工程で形成したボルトの少なくともおねじの表面に表面硬化部を加工処理工程で設けるものであるから、この表面硬化部により、おねじの表面の硬度が上昇し、かつ、おねじの表面に圧縮残留応力が付与されることとなる。このために、この発明(請求項7に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を改善することができるので、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されることに対して有効であるねじ締結部材を製造することができる。
さらにまた、この発明(請求項8に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、おねじの表面粗さの最大値とめねじの表面粗さの最大値との和よりも大きい厚さの表面軟質皮膜部を、ナットの少なくともめねじの表面に、加工処理して設けるものである。このために、この発明(請求項8に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、ボルトのおねじとナットのめねじとを噛み合わせた際に、ボルトの母材とナットの母材とが表面軟質皮膜部から表面に露出することがない。この結果、この発明(請求項4に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、ボルトの母材とナットの母材とが噛み合ってボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部における片当りや局所的な高応力が発生するのを確実に防止することができる。しかも、この発明(請求項8に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、メッシュサイズ#150のメッシュを通過し得る粒径以下の粒を少なくともおねじの表面に当てて、おねじの表面に表面硬化部を加工処理するものである。このために、この発明(請求項8に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、おねじの表面の硬度が上昇し、かつ、おねじの表面に圧縮残留応力が付与される一方、おねじの表面の粗さによりおねじの疲労強度の改善に対して影響を与えるようなことがない。この結果、この発明(請求項8に記載の発明)のねじ締結部材の製造方法は、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部の疲労強度を確実に改善することができるねじ締結部材を製造することができる。
以下、この発明にかかるねじ締結部材の実施例1のうちの2例、および、この発明にかかるねじ締結部材の製造方法の実施例1のうちの2例を図1〜図7に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例1によりこの発明が限定されるものではない。図1(A)は、この実施例1にかかるねじ締結部材のナットのめねじの構造を示す一部拡大断面図、図1(B)は、この実施例1にかかるねじ締結部材のボルトのおねじの構造を示す一部拡大断面図である。図2(A)は、この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法の切削加工工程で形成されたボルトのおねじの表面粗さおよびナットのめねじの表面粗さを示す一部拡大断面図、図2(B)は、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法の加工処理工程で表面軟質皮膜部が設けられたナットのめねじの構造を示す一部拡大断面図である。図4(A)は、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法の表面硬化部の加工処理工程の一例を示す説明図、図4(B)は、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法の表面硬化部の加工処理の一条件を示す説明図である。
図1〜図3は、この発明にかかるねじ締結部材の実施例1、および、この発明にかかるねじ締結部材の製造方法の実施例1を示す。まずは、この発明にかかるねじ締結部材の実施例1について説明する。図1(A)において、符号「2」は、ナットである。前記ナット2は、たとえば、鋼製から構成されている。また、前記ナット2は、ねじ孔が切削加工により構成されている。前記ねじ孔の内面には、めねじ20が切削加工により形成されている。前記ナット2のめねじ20の表面には、硬度が前記ナット2の母材よりも低い表面軟質皮膜部21が、設けられている。
前記表面軟質皮膜部21は、たとえば、Cu−Ni−In溶射コーティング、サーメテルWコーティング、銀メッキ、銅メッキなどにより設けられている。図2(A)および(B)に示すように、前記表面軟質皮膜部21の厚さ(膜厚)Tは、ボルト1のおねじ10の表面12の粗さの最大値T1と前記ナット2のめねじ20の表面22の粗さの最大値T2との和よりも大きくする。この結果、前記ボルト1のおねじ10と前記ナット2のめねじ20とをねじ込んだ際に、前記ボルト1のおねじ10の表面12と前記ナット2のめねじ20の表面22とが前記表面軟質皮膜部21から露出して相互に接触することがない。
前記表面軟質皮膜部21の厚さTにより、前記ナット2のめねじ20の有効径を変更させる必要がある。すなわち、前記ナット2において、前記表面軟質皮膜部21を設ける場合のめねじ20の有効径D0(すなわち、母材のめねじの有効径D0)を、前記表面軟質皮膜部21を設けない場合のめねじ20の有効径D(すなわち、完成品のめねじの有効径D)に対して、前記表面軟質皮膜部21の厚さTとほぼ同等の寸法分大きくする必要がある。
一方、前記表面軟質皮膜部21の厚さTを大きくし過ぎると、完成品のめねじの有効径Dに対して母材の目ねじの有効径D0が大きくなり過ぎて、本来あるべきねじ山が小さくなり過ぎるので、強度不足となる虞がある。このために、前記表面軟質皮膜部21の厚さTは、本来あるべきねじ山が小さくなり過ぎて強度不足とならない程度(X)を最大値とする。この結果、前記表面軟質皮膜部21の厚さTは、以下の範囲となる。すなわち、T1+T2<T<(X)となる。前記表面軟質皮膜部21の厚さTは、ねじの公差により異なり、たとえば、ねじ2級公差の場合(2級の嵌めあいの場合)、約25μm程度である。
以下、図1(A)に示すナット2の製造方法(この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法)の一例について図2(A)および(B)を参照して説明する。まず、切削加工の工程において、ナット2のねじ孔を構成し、かつ、このねじ孔の内面にめねじ20を形成する。このめねじ20の有効径D0は、完成品のめねじの有効径Dよりも表面軟質皮膜部21の厚さT分ほど大きい。つぎに、加工処理の工程において、ナット2のめねじ20の表面に、硬度がナット2の母材よりも低い表面軟質皮膜部21を、たとえば、Cu−Ni−In溶射コーティング、サーメテルWコーティング、銀メッキ、銅メッキなどにより設ける。
一方、前記ボルト1は、たとえば、ニッケル系の超合金から構成されている。なお、前記ボルト1としては、ニッケル系の超合金のほかに、たとえば、鉄、低合金鋼、ステンレス、その他の超合金から構成されているものであっても良い。また、前記ボルト1は、頭部と、軸部と、ねじ部と、が切削加工により構成されている。前記ねじ部の外面には、有効径dのおねじ10が切削加工により形成されている。
この実施例1にかかるねじ締結部材のナット2(図1(A)に示すナット2)、および、この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法(図2(A)および(B)に示すナットの製造方法)により製造されたナット2は、少なくともめねじ20の表面に、硬度がナット2の母材よりも低い表面軟質皮膜部21を、設けることにより、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20とが噛み合う噛み合い部における片当りや局所的な高応力の発生を抑制することができる。このために、この実施例1にかかるねじ締結部材のナット2、および、この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたナット2は、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部の疲労強度を改善することができるので、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されるねじ締結部材、たとえば、図8に示すようなガスタービンのロータスピンドルボルトおよびナットとして有効である。
また、この実施例1にかかるねじ締結部材のナット2、および、この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたナット2は、表面軟質皮膜部21の厚さTがボルト1のおねじ10の表面粗さの最大値T1とナット2のめねじ20の表面粗さの最大値T2との和よりも大きいので、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20とを噛み合わせた際に、ボルト1の母材とナット2の母材とが表面軟質皮膜部21から表面に露出することがない。このために、この実施例1にかかるねじ締結部材のナット2、および、この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたナット2は、ボルト1の母材とナット2の母材とが噛み合ってボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部における片当りや局所的な高応力が発生するのを確実に防止することができ、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部の疲労強度を確実に改善することができる。
以下、この実施例1にかかるねじ締結部材のナット2、および、この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたナット2の有効性について、図3に示す試験片を使用したフレッティング疲労試験(フレッチング疲労試験)、すなわち、移動試験片を接触片で一定の面圧となるように挟み、局所の応力振幅を与える試験の実施の結果を示す説明図に基づいて説明する。
図3の縦軸は、破損繰返し数を示す。この図3に示すように、従来品(従来のナット)は、破損繰返し数が約1.1×10の6乗回のときに破損が生じた。これに対して、本発明品1(この実施例1にかかるねじ締結部材のナット2、および、この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたナット2であって、表面軟質皮膜部21がメッキの場合)は、破損繰返し数が約1.4×10の6乗回のときに破損が生じた。また、本発明品2(この実施例1にかかるねじ締結部材のナット2、および、この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたナット2であって、表面軟質皮膜部21がCu−Ni−In溶射コーティングの場合)は、破損繰返し数が約1.1×10の7乗回を超えても破損が発生していない。すなわち、本発明品1、2のナットは、従来品のナットに比較して十分な疲労強度が得られることとなる。
このように、この実施例1にかかるねじ締結部材のナット2、および、この実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたナット2は、図8に示すようなガスタービンのロータスピンドルボルトとからなるねじ締結部材など、すなわち、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されるねじ締結部材(ボルトおよびナットからなるねじ締結部材)として有効である。
なお、前記の実施例1にかかるねじ締結部材、および、前記の実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法において、ナット2のめねじ20に表面軟質皮膜部21を設けたものである。ところが、この発明においては、表面軟質皮膜部をボルトのおねじに設けても良いし、また、表面軟質皮膜部をボルトのおねじとナットのめねじとの双方に設けても良い。このボルトのおねじとナットのめねじとの双方に表面軟質皮膜部を設ける場合、この双方に設ける表面軟質皮膜部の厚さは、片方に設ける表面軟質皮膜部の厚さの約2分の1とすることが好ましい。
図4〜図7は、この発明にかかるねじ締結部材の実施例2、および、この発明にかかるねじ締結部材の製造方法の実施例2を示す。図1(B)において、符号「1」は、この実施例1にかかるボルトである。前記ボルト1は、たとえば、ニッケル系の超合金から構成されている。なお、前記ボルト1としては、ニッケル系の超合金のほかに、たとえば、鉄、低合金鋼、ステンレス、その他の超合金から構成されているものであっても良い。また、前記ボルト1は、頭部と、軸部と、ねじ部と、が切削加工により構成されている。前記ねじ部の外面には、有効径dのおねじ10が切削加工により形成されている。そして、前記ボルト1の少なくともおねじ10の表面には、表面硬度が上昇しかつ圧縮残留応力が付与された表面硬化部11が、設けられている。
前記表面硬化部11は、メッシュサイズ#150、すなわち、目が100μm×100μmのメッシュを通過し得る粒径以下の粒を、前記ボルト1の少なくともおねじ10の表面に当てる加工処理、たとえば、ショットブラストやショットピーニングなどにより、設けられている。
以下、図1(B)に示すボルト1の製造方法(この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法)の一例について図4(A)および(B)を参照して説明する。まず、切削加工の工程において、ボルト1の頭部と軸部とねじ部とを構成し、かつ、ねじ部の外面に有効径dのおねじ10を形成する。つぎに、加工処理の工程において、ボルト1の少なくともおねじ10の表面に、表面硬度が上昇しかつ圧縮残留応力が付与された表面硬化部11を、設ける。
前記の加工処理の工程は、メッシュサイズ#150、すなわち、目が100μm×100μmのメッシュを通過し得る粒径以下の粒を、ボルト1の少なくともおねじ10の表面に当てる加工処理の工程、たとえば、ショットブラストやショットピーニングなどにより、行われる加工処理の工程である。
前記の加工処理の工程は、図4(A)および(B)に示すような条件において、表面硬化部11を加工処理する。すなわち、ボルト1のおねじ10をボルト1の軸心回りに回転させる速度であるボルトネジ歯周速(S)が80mm/s、ブラストガン13をボルト1の軸心に対して平行に移動させる速度であるブラストガン移動速度(V)が2mm/s、ブラストガン13からボルト1のおねじ10までの距離である照射距離(L)が500mm、ブラストガン13からブラスト材をボルト1のおねじ10に当てる力であるブラスト材供給圧(P)が0.55MPa、ブラストガン13からボルト1のおねじ10に当てるブラスト材の粒径がメッシュサイズ#150(目が100μm×100μm)のメッシュを通過し得る粒径以下である。
この実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたボルト1は、図8に示すようなガスタービンのロータスピンドルボルトとナットとからなるねじ締結部材など、すなわち、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されるねじ締結部材(ボルトおよびナットからなるねじ締結部材)として有効である。
以下、この実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたボルト1の有効性について、図5に示す耐疲労強度検証試験装置3を使用した耐疲労強度検証試験に基づいて説明する。
前記耐疲労強度検証試験装置3の台座30の横孔31中に試験用のボルト1を通す。前記ボルト1の一端もしくは両端にナット2を締め付けて、前記ボルト1を前記台座30に所定の引張荷重で固定する。また、前記台座30の竪孔32に押し棒33を通して前記ボルト1に当てる。さらに、前記ボルト1に応力計測器34を試験部分35の近傍に設ける。前記応力測定器34は、前記試験部分35に亀裂が生じたか否かを判断するための測定器であって、測定値が急激に変化したときには前記試験部分35に亀裂が生じたことを示す。そして、室温大気中の試験環境下において、前記押し棒33で前記ボルト1に所定の繰返し曲げ荷重を与えて前記ボルト1の試験部分35(ボルト1の歯面やねじ底)の疲労試験を行う。なお、前記所定の引張荷重は、前記ボルト1が塑性変形する荷重の約3分の2の荷重であり、また、所定の繰返し曲げ荷重は、前記ボルト1が塑性変形する荷重の約2〜2.5%の荷重である。
前記耐疲労強度検証試験装置3を使用した耐疲労強度検証試験の結果を図6に示す。なお、図6の縦軸は、前記押し棒33によりボルトに与えた所定の繰返し曲げ荷重の回数を示す。この図6に示すように、従来品(従来のボルト)は、所定の繰返し曲げ荷重の回数が約6.3×10の6乗回のときに、前記試験部分に亀裂が生じた。これに対して、本発明品3(この実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたボルト1)は、所定の繰返し曲げ荷重の回数が約1.2×10の7乗回を超えても、前記試験部分35に亀裂が発生していない。すなわち、本発明品3は、従来品に比較して約2倍以上の疲労強度が得られることとなる。因みに、試験片を使用したフレッティング疲労試験(フレッチング疲労試験)、すなわち、移動試験片を接触片で一定の面圧となるように挟み、局所の応力振幅を与える試験の実施の結果、本発明品3の試験片が従来品の試験片と比較して約10倍以上の疲労強度が得られた。
以上から明らかなように、この実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたボルト1は、従来のボルトと比較して約2倍以上の疲労強度が得られるので、図8に示すようなガスタービンのロータスピンドルボルトとナットとからなるねじ締結部材など、すなわち、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されるねじ締結部材(ボルトおよびナットからなるねじ締結部材)として有効である。
ここで、この実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法において、粒(ブラスト材)を少なくともおねじ10の表面に当てて、その少なくともおねじ10の表面に、表面硬度が上昇しかつ圧縮残留応力が付与された表面硬化部11を、加工処理により設けているものである。前記表面硬化部11を前記の加工処理により設ける場合において、最も重要な要因となるのは、少なくともおねじ10の表面に当てる粒(ブラスト材)の粒径である。
すなわち、この実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法においては、疲労強度を向上させるために、少なくともおねじ10の表面の「硬度向上」と「圧縮残留応力の付与」とを目的とするものである。ところが、少なくともおねじ10の表面に当てる粒の粒径により、少なくともおねじ10の表面の「粗さ」が変化してねじ底の疲労強度に大きく影響する。
以下、粒径の大きさによる疲労強度の影響を図7を参照して説明する。図7に示すように、少なくともおねじ10の表面の「表面硬さ向上」と「圧縮応力付与」とは、粒径の大きさにより影響を受けない。一方、少なくともおねじ10の表面の「表面粗さ」は、粒径の大きさにより影響を受ける。すなわち、メッシュサイズ#46(目が355μm×355μm、すなわち、ブラスト材粒径の目安)、メッシュサイズ#80(目が180μm×180μm、すなわち、ブラスト材粒径の目安)、メッシュサイズ#100(目が150μm×150μm、すなわち、ブラスト材粒径の目安)の粒径の場合、少なくともおねじ10の表面の「表面粗さ」が大きくなり、ねじ底の疲労強度が図4に示す従来品と大差がない。一方、メッシュサイズ#150(目が100μm×100μm、すなわち、ブラスト材粒径の目安)、メッシュサイズ#360(目が70μm×70μm、すなわち、ブラスト材粒径の目安)の粒径の場合、少なくともおねじ10の表面の「表面粗さ」が小さくなり、図6に示す本発明品3とほぼ同様のねじ底の疲労強度が得られる。
このように、この実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法においては、メッシュサイズ#150(目が100μm×100μm)のメッシュを通過し得る粒径以下、好ましくは、メッシュサイズ#150(目が100μm×100μm、すなわち、ブラスト材粒径の目安)、メッシュサイズ#360(目が70μm×70μm、すなわち、ブラスト材粒径の目安)の粒径のブラスト材を少なくともおねじ10に当てるものである。
また、この実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、この実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法において、少なくともおねじ10の表面に当てる粒の材質としては、錆びない非鉄材、たとえば、アルミナ(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、シリカ(SiO2)を使用する。
そして、前記の実施例1にかかるねじ締結部材のナット2、および、前記の実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたナット2と、前記の実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、前記の実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたボルト1と、からなるねじ締結部材は、前記の実施例1にかかるねじ締結部材のナット2、および、前記の実施例1にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたナット2の作用効果と、前記の実施例2にかかるねじ締結部材のボルト1、および、前記の実施例2にかかるねじ締結部材の製造方法により製造されたボルト1の作用効果と、の相乗効果により、ボルト1のおねじ10とナット2のめねじ20との噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されるねじ締結部材(ボルトおよびナットからなるねじ締結部材)として非常に有効である。
この発明にかかるねじ締結部材およびこの発明にかかるねじ締結部材の製造方法は、ボルトのおねじとナットのめねじとの噛み合い部に繰り返し応力が発生するような部位に使用されるねじ締結部材およびねじ締結部材の製造方法として有用である。
この発明にかかるねじ締結部材の実施例1を示すナットとボルトとの一部拡大断面図である。 この発明にかかるねじ締結部材の製造方法の実施例1を示すナットの製造方法の説明図である。 この発明にかかるねじ締結部材の実施例1のナット、および、この発明にかかるねじ締結部材の製造方法の実施例1により製造されたナットの試験片を使用したフレッティング疲労試験(フレッチング疲労試験)の実施の結果を示す説明図である。 この発明にかかるねじ締結部材の製造方法の実施例2を示すボルトの製造方法の説明図である。 この発明にかかるねじ締結部材の実施例2のボルト、および、この発明にかかるねじ締結部材の製造方法の実施例2により製造されたボルトの耐疲労強度検証試験装置を使用した耐疲労強度検証試験の状態を示す説明図である。 この発明にかかるねじ締結部材の実施例2のボルト、および、この発明にかかるねじ締結部材の製造方法の実施例2により製造されたボルト(本発明品3)と従来品との耐疲労強度検証試験装置を使用した耐疲労強度検証試験の結果を示す説明図である。 この発明にかかるねじ締結部材、および、この発明にかかるねじ締結部材の製造方法における、粒径の大きさによる疲労強度の影響を示す説明図である。 ガスタービンのロータスピンドルボルトとして使用されている従来のボルトを示す説明図である。 ねじの噛み合い分を示す一部拡大断面図である。
符号の説明
1 ボルト
10 おねじ
11 表面硬化部
12 おねじの表面
13 ブラストガン
2 ナット
20 めねじ
21 表面軟質皮膜部
22 めねじの表面
3 耐疲労強度検証試験装置
30 台座
31 横孔
32 縦孔
33 押し棒
34 応力計測器
35 試験部分
d おねじの有効径
D 完成品のめねじの有効径
D0 母材のめねじの有効径
T 表面軟質皮膜部の厚さ
T1 おねじの表面粗さの最大
T2 めねじの表面粗さの最大
S ボルトネジ歯周速
V ブラストガン移動速度
L 照射距離
P ブラスト材供給圧
100 ロータ
101 ボルト
102 ナット
103 ディスク
104 動翼
105 ねじ噛み合い部

Claims (8)

  1. おねじを有するボルトと、めねじを有するナットと、から構成されているねじ締結部材において、
    少なくともおねじの表面またはおよび少なくともめねじの表面には、硬度が母材よりも低い表面軟質皮膜部が、設けられている、ことを特徴とするねじ締結部材。
  2. 前記表面軟質皮膜部の厚さは、前記おねじの表面粗さの最大値と前記めねじの表面粗さの最大値との和よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のねじ締結部材。
  3. おねじを有するボルトと、めねじを有するナットと、から構成されているねじ締結部材の製造方法において、
    前記おねじおよび前記めねじをそれぞれ形成する切削加工の工程と、
    少なくともおねじの表面またはおよび少なくともめねじの表面に、硬度が母材よりも低い表面軟質皮膜部を、設ける加工処理の工程と、
    からなる、ことを特徴とするねじ締結部材の製造方法。
  4. 前記加工処理の工程において、少なくともおねじの表面またはおよび少なくともめねじの表面に設ける前記表面軟質皮膜部の厚さは、前記おねじの表面粗さの最大値と前記めねじの表面粗さの最大値との和よりも大きい、ことを特徴とする請求項3に記載のねじ締結部材の製造方法。
  5. おねじを有するボルトと、めねじを有するナットと、から構成されているねじ締結部材において、
    少なくともめねじの表面には、硬度が前記ナットの母材よりも低い表面軟質皮膜部が、設けられており、
    少なくともおねじの表面には、表面硬度が上昇しかつ圧縮残留応力が付与された表面硬化部が、設けられている、
    ことを特徴とするねじ締結部材。
  6. 前記表面軟質皮膜部の厚さは、前記おねじの表面粗さの最大値と前記めねじの表面粗さの最大値との和よりも大きく、
    前記表面硬化部は、メッシュサイズ#150のメッシュを通過し得る粒径以下の粒を少なくともおねじの表面に当てる加工処理により、設けられている、
    ことを特徴とする請求項5に記載のねじ締結部材。
  7. おねじを有するボルトと、めねじを有するナットと、から構成されているねじ締結部材の製造方法において、
    前記めねじを形成する切削加工の工程と、
    少なくともめねじの表面に、硬度が前記ナットの母材よりも低い表面軟質皮膜部を、設ける加工処理の工程と、
    前記おねじを形成する切削加工の工程と、
    少なくともおねじの表面に、表面硬度が上昇しかつ圧縮残留応力が付与された表面硬化部を、設ける加工処理の工程と、
    からなる、ことを特徴とするねじ締結部材の製造方法。
  8. 前記加工処理の工程において、少なくともめねじの表面に設ける前記表面軟質皮膜部の厚さは、前記おねじの表面粗さの最大値と前記めねじの表面粗さの最大値との和よりも大きく、
    少なくともおねじの表面に前記表面硬化部を設ける前記加工処理は、メッシュサイズ#150のメッシュを通過し得る粒径以下の粒を少なくともおねじの表面に当てる加工処理である、
    ことを特徴とする請求項7に記載のねじ締結部材の製造方法。
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