JP2009269846A - 温度感受性リポソーム - Google Patents

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Abstract

【課題】温度感受性と生体内での長期の血中滞留性とを有するリポソームを提供する。
【解決手段】ポリエチレングリコール部分と感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物が、リポソーム膜に担持されてなる温度感受性リポソームにより、上記の課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リポソームに温度感受性を付与できる高分子化合物を含み特定温度でその膜構造が崩壊する温度感受性リポソーム、リポソームに温度感受性を付与できる高分子化合物、及び該温度感受性リポソームと薬剤とからなる温度感受性薬剤放出システムに関する。
リポソームは、リン脂質などからなる脂質二重膜で構成され、数十〜数百nm程度の粒径を持つ閉鎖小胞体で、様々な物質を封入することができるナノカプセルとして機能することが知られている。近年、生体由来のリン脂質を用いて作成したリポソームと、抗癌剤や治療用遺伝子のような薬剤とからなる、目的の部位に薬剤を送達するための薬物送達システム(DDS)が開発されている。このような用途に用いられるリポソームは、親水性の薬剤を閉鎖小胞体の内部の親水性領域に内包するか、及び/又は疎水性の薬剤を脂質二重膜に担持することができる。
リポソームを用いたDDSの開発は広く行われており、血管中でのリポソームの滞留性を向上させたり、目的とする臓器に確実にリポソームを送達するためにリポソーム表面を抗体で修飾したりすることなどが行われている。
リポソームを用いて例えば抗癌剤を目的部位に送達するメカニズムとしては、次のようなことが考えられる。癌細胞周辺の微小血管には200nm程度の穴が多く存在している。よって、抗癌剤を含有するリポソームの粒径を200nm程度とすることにより、該リポソームは目的とする癌細胞付近で微小血管から漏れ出して、目的の癌細胞に到達することができる。このようにして、抗癌剤含有リポソームは、目的とする癌細胞周辺部位に特異的にかつ高濃度で蓄積することができる。一方、正常な細胞の周辺の微小血管にはこのような穴が存在しないので、正常な細胞周辺ではリポソームが血管から漏れ出すことはない。
しかしながら、リポソームが含有する薬剤の効能を得るためには、薬剤含有リポソームが上記のメカニズムで目的部位に到達した後に、該薬剤がリポソームから効率的に放出されることが必要である。
特定の部位で内包物を放出できるリポソームとして、特定温度で崩壊して内包物を放出できるリポソームについて研究されており、抗癌剤を内包させたこのようなリポソームを癌の温熱療法と併用することにより、優れた治療効果が得られることが知られている。
特開2003−212755号(特許文献1)には、感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物を、その疎水性部分を介してリポソーム膜に保持したリポソームが開示されている。このようなリポソームは、内包物を特定温度で放出することができるので、例えば医薬品を内包してなるリポソームをヒトに投与し、患部を温めることによりその部分で内包物を放出させることができることが記載されている。
特許文献1には、このリポソームは、10〜100℃程度の温度範囲で脂質二重膜の構造が崩壊し、該リポソームに内包される成分が放出されることも記載されている。
特開2006−306794号(特許文献2)には、感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物と、ポリエチレングリコール(PEG)とがリポソーム膜に担持されてなる温度感受性リポソームが開示されている。
特開2003−212755号公報 特開2006−306794号公報
本発明者らは、温度感受性と生体内での長期の血中滞留性とをリポソームに付与できる高分子化合物について鋭意研究を重ね、ポリエチレングリコール部分と感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物をリポソーム膜に担持させることにより、リポソームに上記の特性を付与できることを見出して、本発明を完成した。
本発明は、ポリエチレングリコール部分と感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物が、リポソーム膜に担持されてなる温度感受性リポソームを提供する。
また、本発明は、ポリエチレングリコール部分と感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物も提供する。
さらに、本発明は、上記の温度感受性リポソームと薬剤とからなる温度感受性薬剤放出システムも提供する。
本発明の温度感受性リポソームは、ある特定の温度範囲でリポソームの膜構造が崩壊してリポソームが保持する薬剤を放出することができる温度感受性薬剤放出システムを提供できる。また、本発明の温度感受性リポソームは、ポリエチレングリコールから構成されることから、より長い血中滞留性を示すこともできる。
例えば、本発明の温度感受性リポソームに、薬剤として抗癌剤を含有させた上記の温度感受性薬剤放出システムは、ヒトを含む対象者に投与し、投与後の適当な時期に患部を特定の温度に加熱する温熱療法を施すことにより、患部で特異的に効率よく抗癌剤を放出させることができ、より好ましいDDSとすることができる。
本発明において、リポソーム膜構造が特定の温度で崩壊される機構は明確ではないが、おそらく、温度が上昇すると高分子化合物の感熱応答性部分が脱水和し、感熱応答性部分の疎水性が増大して、当初リポソーム膜外で担持されていた感熱応答性部分の全体又は一部がリポソーム膜に入り、リポソーム膜の構造が崩壊すると考えられる。
本発明のリポソームは、リポソーム膜構成脂質と、ポリエチレングリコール(PEG)部分、感熱応答性部分及び疎水性部分を有する高分子化合物とから構成される。具体的には、上記の高分子化合物がリポソーム膜に担持されてなる。本明細書において、物質が「リポソーム膜に担持される」とは、該物質がリポソーム膜に結合していてもよいし、リポソーム膜を構成する脂質二重膜に該物質の一部分もしくは全体が会合などにより埋め込まれていてもよい。
高分子化合物について
上記の高分子化合物は、好ましくは、PEG部分と、水和可能なヘテロ原子を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマーと、疎水性ビニル系モノマーとの共重合体である。共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体などを含む。
本明細書において、「PEG部分」とは、ポリエチレングリコール及びその誘導体に由来する、オキシエチレン基が重合した構造を含む部分を意味する。好ましくは、PEG部分は、高分子化合物の製造のための、ポリオキシエチレンを側鎖として有する重合開始種に由来する部分である。
ポリエチレングリコールの誘導体としては、ポリエチレングリコールのヒドロキシ基が、メトキシ基などのアルコキシ基、クロロなどのハロゲン含有基などで置換されている化合物が挙げられる。
上記のPEG部分の分子量は、120〜12000が好ましく、より好ましくは350〜12000、さらに好ましくは350〜5000である。
上記の感熱応答性部分は、好ましくは、水和可能なヘテロ原子を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマーに由来する。
上記の感熱応答性ビニル系モノマーが有する水和可能なヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子などが挙げられる。水和可能なヘテロ原子の数の上限は、重合を行える範囲であれば特に限定されない。水和可能なヘテロ原子を含む基としては、−CH2−CH2−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−NHCOO−などが挙げられる。
上記の疎水性部分は、好ましくは、疎水性ビニル系モノマーに由来する。
疎水性ビニル系モノマーとしては、炭素数3〜40個程度、特に炭素数4〜30個程度の各種の脂肪族、脂環族又は芳香族の炭化水素基を有するビニル系モノマーを使用できる。
上記の高分子化合物において、ヘテロ原子を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマーと疎水性ビニル系モノマーとの共重合比率は、各モノマーの種類によっても異なるが、通常300:1〜3:1程度、特に200:1〜10:1程度が好ましい。この範囲内であれば、高分子化合物をリポソーム膜に安定に保持できる。
高分子化合物の数平均分子量のうち感熱応答性部分に該当する量は、特に制限されないが、通常、数百〜数十万程度である。特に、1,000〜30,000程度、さらに特に10,000〜20,000程度であり得る。
上記の高分子化合物全体の分子量は、特に制限されないが、通常、数平均分子量で数百〜数十万程度とすればよい。この範囲内であれば、リポソーム膜に安定に保持される。より好ましくは、数平均分子量は2,000〜50,000程度、さらに好ましくは10,000〜25,000程度、特に好ましくは11,000〜22,000程度である。この範囲の数平均分子量であることにより、リポソーム膜構造の崩壊温度をより狭い温度範囲とすることができる。
上記の高分子化合物の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、通常1〜2程度、特に1.0〜1.3程度が好ましい。
本発明に用いられる高分子化合物の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれ以下の実施例に記載の方法により測定した値である。
上記の高分子化合物は、より好ましくは、以下の式:
1−(A)m−(B)n−R4
(式中、R1はPEG部分であり、Aは水和可能なヘテロ原子を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマーに由来する基であり、Bは疎水性ビニル系モノマーに由来する基であり、R4は水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基又は重合停止剤に由来する基であり、mは5〜500、nは1〜10である)で表されるブロック共重合体である。
上記の高分子化合物の好適な具体例としては、以下の式(I):
Figure 2009269846
(式中、R1は、PEG部分であり、
2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、アルデヒド基、フェニル基、ビフェニル基又は炭素数7〜14のアラルキル基であり、
3は炭素数4〜30の炭化水素基であり、
4は水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基又は重合停止剤に由来する基であり、mは5〜500、nは1〜10、yは0〜4である。〕
で表される化合物が挙げられる。
上記の式(I)におけるR1は、上記の範囲の分子量を有するPEG部分である。PEG部分は、好ましくは、以下の式:
Figure 2009269846
(式中、R5は、炭素数1〜3のアルキル基であり、R6は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、lは上記の範囲のPEG部分の分子量を与える数である)で表される。PEG部分は、より好ましくは、以下の式:
Figure 2009269846
で表される。
上記の式(I)におけるR2は、上記列挙した基のうち、特に炭素数1〜4個程度のアルキル基が好ましい。
上記の式(I)におけるR3は、炭素数4〜30個程度の炭化水素基であるが、このような基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。特に、炭素数8〜30個程度の直鎖アルキル基が好ましい。
上記の式(I)におけるmとnとの比率は、R1、R2、R3、R4の種類及びオキシエチレン鎖の長さなどによっても異なるが、m:nが300:1〜3:1程度、特に200:1〜10:1程度となるようにすればよい。
上記のように、yは0〜4程度であり、y=0の場合にはオキシエチレンは存在しない。オキシエチレン鎖が長いと、リポソーム膜構造の崩壊温度が比較的高くなり得る。
上記の高分子化合物の好ましい例は、次に挙げるものである。
Figure 2009269846
(上記の各式中、R1は、上記のPEG部分であり、R2はCH3、C2H5、n-もしくはイソ-C3H7又はn-もしくはイソ-C4H9であり、R4は水素原子又はメトキシ基のような重合停止剤に由来する基であり、m及びnは、高分子化合物の数平均分子量(Mn)が11,000〜50,000程度であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.3程度となるような値である。)
なお、上記の式(II)〜(IV)の化合物は、式(II)〜(IV)における側鎖としてのオクタデシルオキシ基がドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基又はヘキサデシルオキシ基で置換された化合物が少量混合していてもよい。
また、上記の式(II)〜(IV)の化合物において、式(II)〜(IV)における側鎖としてのオクタデシルオキシ基がドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基又はヘキサデシルオキシ基で置換された化合物も好ましい例として挙げることができる。
上記の式(I)の高分子化合物は、PEG部分を有する重合可能な単量体を、プロトン酸と混合して重合開始種を調製し、適切な溶媒中で上記の水和可能なヘテロ原子を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマー及び疎水性ビニル系モノマーを重合させることにより得ることができる。
上記のプロトン酸としては、トリフルオロ酢酸、HCl、酢酸などのカルボン酸、メタンスルホン酸などのスルホン酸などを用いることもできる。
上記の高分子化合物は、上記のR1で表されるポリオキシエチレンを含む基を側鎖に有する重合可能な単量体(以下、PEG含有単量体という)とプロトン酸を用いて重合開始種を調製し、適切な溶媒中で上記の感熱応答性ビニル系モノマーをカチオン重合により重合させ、次いで上記の疎水性ビニル系モノマーを共重合させることがより好ましい。
PEG含有単量体としては、ポリオキシエチレンを有するビニル系モノマーが好ましい。
上記のPEG含有単量体は、所望の分子量のポリエチレングリコール又はその誘導体とアセチレンとを反応させることにより得ることができる。あるいは、所望の分子量のポリエチレングリコール又はその誘導体をメタンスルホニルクロリドと反応させた後に、エチレングリコールモノビニルエーテルと反応させて得ることもできる。
上記のカチオン重合は、エチルアルミニウムセスキクロライド、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を触媒として用いることが好ましい。
上記のカチオン重合は、ルイス塩基の存在下に行うことが好ましく、ルイス塩基としては、1,4-ジオキサンなどのエーテル類や酢酸エチルなどのエステル類が挙げられる。
上記の重合に用い得る溶媒としては、トルエン、ヘキサン、これらの混液などが挙げられる。
疎水性ビニル系モノマーの共重合は、アンモニア性メタノール、アンモニアなどを加えることにより停止することができる。具体的には、例えばJournal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 30, p.2407-2413 (1992);Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 43, p.1155-1165 (2005); Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 43, p.2712-2722 (2005)に記載される方法などにより製造することができる。
カチオン重合方法としては、特に、リビングカチオン重合が好ましい。リビングカチオン重合法は、例えば特開平1-108202号公報、特開平1-108203号公報、特開2001-055408号公報、特開2000-198825号公報、特開平8-269118号公報に記載されている。
リビングカチオン重合によると、モノマーが無くなるか又は重合停止剤を添加するまで成長末端が消滅しないため、感熱応答性部分及び疎水性部分の各鎖長ひいては高分子化合物の分子量を容易に所望の値にすることができる。また、他の重合法に比べて、狭い分子量分布の高分子材料を得ることができる。
上記の重合において、上記の感熱応答性ビニル系モノマーは、PEG含有単量体1モルに対して50〜300モル等量用いることが好ましく、より好ましくは60〜250モル等量、さらに好ましくは75〜200モル等量である。
上記の重合において、上記の疎水性ビニル系モノマーは、PEG含有単量体1モルに対して1〜30モル等量用いることが好ましく、より好ましくは1〜20モル等量である。
上記のPEG部分と感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物は、該高分子化合物を用いてリポソームを作製することにより、リポソームに温度感受性及び血中滞留時間の延長の特性を付与できる。
よって、本発明は、リポソームに温度感受性及び血中滞留時間の延長の特性を付与できる、PEG部分と感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物も提供する。
リポソーム膜構成脂質について
本発明の温度感受性リポソームにおいて、リポソーム膜構成脂質としては、リポソームの膜脂質として通常用いられる両親媒性の脂質を用いることができる。このような脂質としては、例えばホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、大豆ホスファチジルコリン、卵黄ホスファチジルコリンなどのリン脂質が挙げられる。これらのリン脂質の構成脂肪酸としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。特に、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンが好ましい。
また、活性物質として遺伝子を含有する場合には、上記のリン脂質の他に、公知のカチオン性の合成脂質を用いることができる。このようなカチオン性の合成脂質としては、例えばN−(α−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシルグルタメート、N−〔1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル〕−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド及び1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパンなどの第4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの脂質は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
リポソーム膜構成脂質には、コレステロール、ラノステロール、エルゴステロールなどのステロールが含まれていてもよい。
温度感受性リポソームについて
本発明の温度感受性リポソームの粒径は、0.05〜10μm程度であればよく、使用目的に応じて種々の粒径とすることができる。例えば、抗癌剤を温度感受性リポソームに保持させて、癌細胞に送達するための温度感受性薬剤放出システムとして用いる場合には、通常0.05〜0.2μm程度、特に0.05〜0.1μm程度の粒径であることが好ましい。
本発明の温度感受性リポソームは、上記の粒径の範囲内であれば、一層の脂質二重膜からなる単層リポソーム、又は複数の脂質二重膜からなる多重層リポソームのいずれであってもよい。
上記の温度感受性リポソームは、上記の高分子化合物を、リポソーム膜構成脂質及び高分子化合物の全モル数に対して0.01〜30モル%の量で用いて得られるのが好ましく、より好ましくは0.05〜6モル%である。
本発明の温度感受性リポソームは、公知のリポソームの製造方法において、上記のようなリポソーム膜構成脂質と、上記の高分子化合物とを、上記の比になるような割合で接触させることにより製造することができる。
公知のリポソームの製造方法としては、エクストルーダー法、超音波法、フレンチプレス法などが挙げられる。これらの方法の詳細は、「リポソーム」(野島庄七、砂本順三、井上圭三編、南江堂)及び「ライフサイエンスにおけるリポソーム」(寺田弘、吉村哲郎編、シュプリンガー・フェアラーク東京)に記載されている。
例えば、エクストルーダー法により本発明のリポソームを製造する方法について説明する。所定量のリポソーム膜構成脂質及び高分子化合物を、クロロホルムなどの適当な有機溶媒に溶解させた溶液をそれぞれ調製し、容器内に入れて混合する。次いで、エバポレーターを用いて溶媒を除去し、容器壁にリポソーム膜構成脂質と高分子化合物とからなる薄膜を形成させる。この膜は、さらに3〜12時間程度真空乾燥させることが好ましい。次いで、この容器内に緩衝液などの適当な溶液を投入し、超音波処理又はボルテックスミキサーなどを用いて強く攪拌することによりリポソームを形成させることができる。得られたリポソーム分散液をエクストルーダーに通し、そのフィルター孔径を適宜設定することにより、リポソームの粒径を調節することができる。
上記のようにして得られたリポソーム分散液から、担持されなかった高分子化合物などを、ゲルろ過法、超遠心法、透析法などにより除去することができる。除去したい物質が電荷を有する場合には、イオン交換クロマトグラフィーを用いることもできる。
上記の製造方法において、リポソーム膜構成脂質を用いて上記のようなエクストルーダー法などにより予めリポソームを形成させた後に、高分子化合物を添加して、該高分子化合物をリポソーム膜に担持させることもできる。
上記のような方法により製造される本発明の温度感受性リポソームにおいて、高分子化合物の感熱応答性部分及びPEG部分は、リポソーム膜の外側表面に担持されるものであってもよいし、リポソーム膜の内側表面に担持されるものであってもよいし、リポソーム膜の外側表面及び内側表面の両方に担持されるものであってもよい。
本発明の温度感受性リポソームは、上記の感熱応答性部分と疎水性部分を有する別の高分子化合物をさらに含み得る。このような高分子化合物を含むことにより、温度感受性リポソームの構造が崩壊される温度をより制御しやすいと考えられる。
温度感受性薬剤放出システムについて
上記の温度感受性リポソームと薬剤とからなる温度感受性薬剤放出システムも本発明の一つである。
上記の薬剤は、親水性物質及び疎水性物質のいずれであってもよい。親水性物質である場合は、温度感受性リポソームの内部の閉鎖空間の親水性領域に含有され、疎水性物質である場合は、温度感受性リポソーム膜に担持されることとなる。
上記の薬剤としては、特に限定されないが、例えば温熱療法と併用される抗癌剤、抗炎症剤などが挙げられる。抗癌剤としては、シスプラチン、カルボプラチン、テトラプラチン、イプロプラチンなどの金属錯体;アドリアマイシン(ADR)、マイトマイシン、アクチノマイシン、アンサマイトシン、ブレオマイシン、Ara-C、ダウノマイシンなどの制癌抗生物質;5-FU、メトトレキセート、TAC-788などの代謝拮抗剤;BCNU、CCNUなどのアルキル化剤;インターフェロン(α、β、γ)、各種インターロイキンなどのリンホカインなどが挙げられる。また、抗炎症剤としては、プレドニン、リンデロン、セレスタミンなどが挙げられる。
上記の温度感受性リポソームは、上記の薬剤の代わりに疾患の治療のための遺伝子も含み得る。このような遺伝子としては、特に限定されないが、例えば、重症複合型免疫不全症の治療のためのアデノシンデアミナーゼ遺伝子、家族性高コレステロール血症の治療のためのLDL受容体遺伝子、癌治療のためのインターフェロン(IFN)−α、β又はγ遺伝子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)遺伝子、各種インターロイキン(IL)遺伝子、腫瘍壊死因子(TNF)−α遺伝子、リンホトキシン(LT)−β遺伝子、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)遺伝子、T細胞活性化共刺激因子遺伝子などが挙げられる。その他、アルツハイマー病、脊椎損傷、パーキンソン病、動脈硬化症、糖尿病、高血圧症などの治療のための遺伝子も挙げられる。
上記の薬剤の量は特に限定されず、薬剤の種類などにより適宜選択することができる。
上記の温度感受性薬剤放出システムの製造において、温度感受性リポソームに薬剤を含有させる方法としては、薬剤の種類に応じて公知の方法を用いることができる。該方法としては限定されないが、例えば上記の温度感受性リポソームの製造方法に従って温度感受性リポソームを形成させた後に、薬剤を含む溶液に該リポソームを浸漬させて薬剤をリポソームの内部に取り込ませる方法、上記の温度感受性リポソームの製造方法において薄膜が形成された容器内に、薬剤を含む溶液を投入した後にリポソーム膜構造を形成させて薬剤を封入する方法などが挙げられる。
本発明の温度感受性薬剤放出システムは、さらに少なくとも1種の医薬添加剤を含むのが好ましい。該温度感受性薬剤放出システムは、錠剤、粉末、カプセルなどの固形製剤の形態であってもよいが、注射製剤のような液体製剤の形態が好ましい。該液体製剤は、用時に水又は他の適切な賦形剤で再生する乾燥製品として提供してもよい。
上記の錠剤及びカプセルは、通常の方法により腸溶コーティングを施すことが望ましい。腸溶コーティングとしては、当該分野において通常用いられるものを利用できる。また、カプセルは粉末又は液体のいずれを含有することもできる。
上記の温度感受性薬剤放出システムが液体製剤である場合、医薬添加剤は、担体(例えば生理食塩水、滅菌水、緩衝液など)、膜安定剤(例えばコレステロールなど)、等張化剤(例えば塩化ナトリウム、グルコース、グリセリンなど)、抗酸化剤(例えばトコフェロール、アスコルビン酸、グルタチオンなど)、防腐剤(例えばクロルブタノール、パラベンなど)などを含み得る。上記の担体は、温度感受性リポソームを製造する際に用いる溶媒であり得る。
上記の温度感受性薬剤放出システムが固形製剤である場合、医薬添加剤は、賦形剤(例えば乳糖、ショ糖のような糖類、トウモロコシデンプンのようなデンプン類、結晶セルロースのようなセルロース類、アラビアゴム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウムなど)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールなど)、結合剤(例えばマンニトール、ショ糖のような糖類、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、崩壊剤(例えば馬鈴薯澱粉のようなデンプン類、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース類、架橋ポリビニルピロリドンなど)、着色剤、矯味矯臭剤などを含み得る。
上記の温度感受性薬剤放出システムは、上記の薬剤を含む温度感受性リポソームをそのまま、又は凍結乾燥させて、上記の医薬添加剤と混合することにより製造することができる。薬剤を含む温度感受性リポソームを凍結乾燥する場合、凍結乾燥する前に適当な賦形剤を添加しておくのがよい。
本発明の温度感受性薬剤放出システムを対象者に投与して、患部を40℃以上、好ましくは40〜47℃、さらに好ましくは42〜45℃付近の温度に加熱することにより、温度感受性リポソームの膜構造を崩壊させて薬剤を患部で放出させることができる。このような方法により、患部に到達したリポソームから薬剤を特異的に効率よく放出させることが可能になる。
よって、本発明により、治療又は予防を必要とする対象者に、上記の温度感受性薬剤放出システムの有効量を経口又は非経口的に投与し、一定期間経過後に対象の患部上方の皮膚を加熱することを含む、疾患の治療又は予防方法が提供される。
上記の対象者は、哺乳動物が好ましく、特に好ましくはヒトである。
上記の一定期間は、温度感受性薬剤放出システムの投与後少なくとも3時間が好ましく、より好ましくは3〜48時間、さらに好ましくは6〜24時間、さらにより好ましくは6〜12時間である。
本発明の治療方法において、患部の上方の皮膚を加熱する温度としては、投与された温度感受性薬剤放出システムの少なくとも一部分が破壊されかつ患部の上方の皮膚に火傷が発生しない程度の温度であればよい。例えば、患部の上方の皮膚の温度が38〜50℃、より好ましくは39〜47℃、さらに好ましくは42〜45℃程度の温度になるように加熱することにより、温度感受性薬剤放出システムの少なくとも一部分を破壊することができる。上記の加熱の際には、患部上方の皮膚に火傷が発生しないように、加熱する部位の皮膚に保護布などをあててもよい。
患部の上方の皮膚を加熱する方法としては、温熱療法において用いられる方法であれば特に限定されず、例えばレーザー、マイクロ波のような電磁波を照射する方法が挙げられる。
上記の温度感受性薬剤放出システムは、非経口及び経口経路のいずれによっても投与することができる。例えば薬剤として抗癌剤を用いる場合は、非経口経路、特に静脈注射による投与が好ましい。
上記の温度感受性薬剤放出システムの投与量は、対象の重篤度及びリポソームに含有される薬剤の量に応じて適宜選択することができる。
本発明を、以下の実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例で製造した物質は、次の測定方法により特性を決定した。
<分子量の測定方法>
高分子化合物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、それぞれゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)の結果から算出した。GPCは、高速液体クロマトグラフ(TSKgelカラムG-200HXL+G-3000 HXL+G-4000HXL(東ソー社製)、溶離液:クロロホルム)を用いて行い、そのクロマトグラフィーの結果から、被験化合物の分子量をポリスチレンを標準物質として算出することにより、ポリスチレン換算Mw及びMnとして求めた。
<脂質濃度の測定>
リン脂質の定量は、リン脂質C−テストワコー(和光純薬(株))を用いて行った。試料溶液(リポソーム分散液)及び標準溶液をそれぞれ発光溶液とよく混合し、37℃で5分間加温した。波長600nmで試料溶液の吸光度を、日本分光(株)製V-520型紫外・可視分光光度計を用いて測定し、得られた吸光度より試料溶液の脂質濃度を決定した。
<リポソーム粒径の測定>
リポソームの粒径は動的光散乱法によって求めた。25℃に調整したHBS緩衝液(20mM Hepes、150mM NaCl 、pH7.4) (2ml)にリポソーム分散液を脂質濃度0.5mMとなるように加え、大塚電子(株)製ELS-8000Fを用いて粒径を測定した。
<リポソームへのアドリアマイシンの封入効率の測定>
リポソームにアドリアマイシン(ADR)を加え、30℃で1時間放置した後のリポソーム分散液10μlをメタノールに溶解させた(全量2ml)。このメタノール溶液の499nmにおける吸光度を日本分光(株)製V−560型紫外・可視分光光度計を用いて測定した。この値をテストワコーCによって求めた脂質濃度で割ることによって脂質に対するADRの割合を求め、この値をADRの封入効率100%の値とした。この値で、カラムを通して内包されなかったADRを除去したリポソーム分散液について同様に測定した値を除することによって、ADRのリポソームへの封入効率を求めた。
以下の実施例では、分子量750のPEGをPEG部分として有し、水和可能なヘテロ原子を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマーとしての2-(2-エトキシ)エトキシエチルビニルエーテル(EOEOVE)と、疎水性ビニル系モノマーとしてのオクタデシルビニルエーテル(ODVE)とを重合させた高分子化合物の製造方法について記載する。
以下の高分子化合物の名称(PEG(750)-EOEOVE(X)-ODVE(Y))では、「PEG(750)-」は、分子量750のPEG部分を有することを表し、「-EOEOVE(X)-」のXは、EOEOVEの重合度を表し、「-ODVE(Y)」のYは、反応させたODVEの重合開始種に対するモル比を表す。
実施例1 PEG(750)-EOEOVE(87)-ODVE(4.5)の高分子化合物の製造
(1)PEG含有単量体の製造
Figure 2009269846
乾燥したガラス器具に、63 gのメトキシポリエチレングリコール(mPEG, Mw = 750, Aldrich)を入れてトルエンで共沸乾燥させ、冷ました後に200 mLの脱水ジクロロメタンに溶解させた。0℃で、メタンスルホニルクロリド(6.9 mL, 1.06当量, ナカライテスク)とトリエチルアミン(12.4 mL, 1.06当量, Aldrich)を撹拌しながら滴下し、20時間反応後、溶液を濾過した。溶媒を濃縮した後、0℃のジエチルエーテルに加えて再沈殿させた。その後、析出した生成物を回収し、減圧乾燥して化合物(V)を得た(参考文献: Bioconjugate Chem. 1996, 7, 363〜368)。
Figure 2009269846
乾燥したガラス器具に、乾燥窒素下、水素化ナトリウム(2.00 g, 60 % in oil, 50 mmol, ナカライテスク)を入れた。オイルを脱水ヘキサンで洗い流した後、脱水テトラヒドロフラン(THF)(150 mL)を加えた。そこへ、エチレングリコールモノビニルエーテル(8.82 g, 100 mmol, 東京化成工業)をゆっくり滴下していき、アルコキシドへと変換した。反応が完全に進行した後、上記のようにして製造した化合物(V)(21.00 g, 25 mmol)を加えて室温で撹拌しながら24時間反応させた。THFをエバポレートし、100 mLのジクロロメタンで希釈して、10 mL程度の蒸留水で4回水洗した。ジクロロメタンをエバポレートし、75 mLのベンゼンに溶かして、4時間共沸乾燥させた。それをジエチルエーテル(0℃、350 mL)に加え、析出した生成物を減圧乾燥することで、PEG含有単量体として、メトキシポリオキシエチレンを側鎖に有するビニルモノマーを得た(参考文献: Polymer Bulletin 2002, 48, 221〜224)。
(2)PEG含有単量体と感熱応答性ビニルモノマー及び疎水性ビニルモノマーとの重合
Figure 2009269846
次の反応は、工業用ドライヤーでベーキングした後に室温まで冷ました三方活栓付きシュレンク内、乾燥窒素下で行った。トルエン、添加塩基としての1,4-ジオキサン(最終濃度:1.2 mol/L)、上記のようにして製造したPEG含有単量体とトリフルオロ酢酸を等モル量混ぜ合わせることで調整しておいた重合開始種(最終濃度:それぞれ4 mmol/L)、水和可能なヘテロ原子を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマーとしての2-(2-エトキシ)エトキシエチルビニルエーテル(EOEOVE) (最終濃度:0.35 mol/L)を、それぞれガラス製注射器を用いて順にシュレンクに入れて撹拌し、0℃に冷却した。そこへ、触媒としての市販のエチルアルミニウムセスキクロライドのトルエン溶液(1.0 mol/L)を20 mmol/Lになるように加えることで重合を開始した。
23分後、第1モノマー(EOEOVE)がほぼ消費された重合溶液に、第2モノマー(疎水性ビニル系モノマー)としてのオクタデシルビニルエーテル(ODVE)を、重合開始種のモル数に対して4.5等量加えた。さらに12分後に、重合開始種のモル数に対して大過剰の0.1容量%アンモニア水含有のメタノールを加えて重合を停止した。重合溶液はジクロロメタンで希釈後、イオン交換水で10回分液して触媒残渣を取り除き、溶媒をエバポレートして、PEG(750)-EOEOVE(87)-ODVE(4.5)を得た。
得られた高分子化合物の分子量分布(Mw/Mn)及びMnはGPCで、組成比はプロトン核磁気共鳴(1H-NMR)(JEOL JNM-LA 400)により求めた。これにより、得られた高分子化合物のMn=9700、Mw/Mn=1.04、EOEOVEの重合度=87、ODVEの重合度=5であることがわかった。
実施例2 PEG(750)-EOEOVE(131)-ODVE(4)の高分子化合物の製造
実施例1において、EOEOVEの最終濃度を0.53 mol/Lとし、ODVEを重合開始種のモル数に対して4等量加えた以外は実施例1と同様にして、PEG(750)-EOEOVE(131)-ODVE(4)の高分子化合物を得た。
得られた高分子化合物は、Mn=10000、Mw/Mn=1.08、EOEOVEの重合度=131、ODVEの重合度=4であった。
実施例3 PEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3)の高分子化合物の製造
実施例1において、EOEOVEの最終濃度を0.70 mol/Lとし、ODVEを重合開始種のモル数に対して3等量加えた以外は実施例1と同様にして、PEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3)の高分子化合物を得た。
得られた高分子化合物は、Mn=13000、Mw/Mn=1.08、EOEOVEの重合度=174、ODVEの重合度=3であった。
比較例1 EOEOVE(87)-ODVE(4.5)の製造
溶媒としてトルエン(6.2 ml)、添加塩基として酢酸エチル(10 mmol)、モノマーとして(2-エトキシ)エトキシエチルビニルエーテル(EOEOVE)(3.5 mmol)、重合開始剤として1-メトキシエトキシエチルアセテート(0.04 mmol)を用いた。これらをシュレンク管に分取して0℃に冷却後、同様に冷却したエチルアルミニウムセスキクロライド溶液(0.2 mmol)を添加することで重合を開始した。さらに、ブロック共重合体を合成するため、EOEOVEモノマーの重合終了時に、トルエンで希釈したオクタデシルビニルエーテル(ODVE)(0.18 mmol)を逐次添加した。ODVEモノマーの重合終了時にアンモニア性メタノールを重合系中に添加することによって重合反応を停止した。
次いで、ジクロロメタンで希釈したブロック共重合体溶液を希塩酸で洗浄して重合開始剤の残渣を除去することにより、ブロック共重合体を精製した。その後、系を中性に戻し、溶媒、未反応モノマー種残渣などを除去するためにエバポレートした。完全に未反応モノマーを除去するために、減圧乾燥機で8時間乾燥した(80℃、0.1 mmHg)。得られたブロック共重合体(高分子化合物)の分子量分布(Mw/Mn)およびMnはGPCで、組成比はNMRにより求めた。これにより、Mn=15000、Mw/Mn=1.24のブロック共重合体が得られた。得られた共重合体のEOEOVE/ODVEの共重合比率は、ほぼ100/5であった。
実施例4 温度感受性リポソームの製造
(EYPC / コレステロール / PEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3) = 51.6 : 46.4 : 2 (mol %)の比の各成分からなる温度感受性リポソームの製造)
卵黄ホスファチジルコリン(EYPC、日本油脂社製)のクロロホルム溶液(10 mg/ml) 0.4 ml 、コレステロール(SIGMA社製)のクロロホルム溶液(10 mg/ml) 0.174 mlおよび実施例3で製造したPEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3)のメタノール溶液(10 mg/ml) 0.582 ml (重量比率、1 : 0.436 : 1.46)を10 mlナスフラスコに入れて混合し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し薄膜を形成させた。その後、硫酸アンモニウム水溶液(300mM 硫酸アンモニウム(pH 5.2)) 0.8mlを加え、薄膜がはがれるまで超音波照射した。さらに、凍結融解を4回繰り返すことによってリポソームを調製し、エクストルーダーを用いて孔径100nmのポリカーボネート膜に通して、リポソームの粒径を揃えた。得られたリポソーム分散液をHepes バッファー (HBS)(20mM Hepes, 150mM NaCl (pH 7.4))で平衡化させたセファロース4Bカラムに通して、リポソームに担持されていない高分子化合物を除去するとともにリポソーム内外層のpH勾配を形成させた。
その後、リポソーム分散液に100μg/μmol脂質の濃度になるようにアドリアマイシン(ADR)水溶液(10 mg/ml)を加え、遮光して30℃で1時間放置し、さらに冷蔵庫で1日静置することによって、リポソームにADRを内包させたADR含有リポソームを得た。このADR含有リポソームの分散液をHBSで平衡化させたセファロース4Bカラムに通すことによって、リポソームに内包されなかったADRを除去した。
上記のようにして測定したADRの封入効率は、約100%であった。
実施例5 温度感受性リポソームの製造
(EYPC / コレステロール / PEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3) = 50.5 : 45.5 : 4 (mol %)の比の各成分からなる温度感受性リポソームの製造)
実施例4において、PEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3)のメタノール溶液(10 mg/ml)を1.189 ml用いた(重量比率、1 : 0.436 : 2.97)以外は実施例4と同様にして、ADR含有上記の組成の温度感受性リポソームを得た。
上記のようにして測定したADRの封入効率は、約100%であった。
実施例6 温度感受性リポソームの製造
(EYPC / コレステロール / PEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3) = 49.5 : 44.5 : 6 (mol %)の比の各成分からなる温度感受性リポソームの製造)
実施例4において、PEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3)のメタノール溶液(10 mg/ml)を1.82 ml用いた(重量比率、1 : 0.436 : 4.55)以外は実施例4と同様にして、ADR含有上記の組成の温度感受性リポソームを得た。
上記のようにして測定したADRの封入効率は、約100%であった。
実施例7 温度感受性リポソームの製造
(EYPC / コレステロール / PEG(750)-EOEOVE(87)-ODVE(4.5) = 51.6 : 46.4 : 2 (mol %)の比の各成分からなる温度感受性リポソームの製造)
実施例4において、PEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3)のメタノール溶液(10 mg/ml) 0.582 mlの代わりに、実施例1で得られたPEG(750)-EOEOVE(87)-ODVE(4.5)のメタノール溶液(6 mg/ml)を0.525 ml用いた(重量比率、1 : 0.436 : 1.31)以外は実施例4と同様にして、ADR含有上記の組成の温度感受性リポソームを得た。
上記のようにして測定したADRの封入効率は、約100%であった。
実施例8 温度感受性リポソームの製造
(EYPC / コレステロール / PEG(750)-EOEOVE(131)-ODVE(4) = 51.6 : 46.4 : 2 (mol %)の比の各成分からなる温度感受性リポソームの製造)
実施例4において、PEG(750)-EOEOVE(174)-ODVE(3)のメタノール溶液(10 mg/ml) 0.582 mlの代わりに、実施例2で得られたPEG(750)-EOEOVE(131)-ODVE(4)のメタノール溶液(10 mg/ml)を0.446 ml用いた(重量比率、1 : 0.436 : 1.12)以外は実施例4と同様にして、ADR含有上記の組成の温度感受性リポソームを得た。
上記のようにして測定したADRの封入効率は、約100%であった。
実験例1 高分子化合物の相転移温度の測定
実施例1〜3の高分子化合物及び比較例1のポリマーの相転移温度を、示差走査熱量計(DSC)測定により評価した。各高分子化合物のメタノール溶液(10.0 mg/ml) 1 mlを矛先ナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターによって溶媒を除去し、薄膜を形成させた。その後、蒸留水100μlを加え、voltexで攪拌し分散させた。その溶液(50μl)を測定用のアルミパンに封入し、セイコー電子製DSC-120を用いて吸熱量測定を行った。また示差走査熱量測定は昇温速度0.5℃/分で行った。
結果を、図1に示す。図1の結果から、PEG部分を有する本発明の高分子化合物は、40℃付近で吸熱を示し、この温度領域で親水性から疎水性に転移することがわかる。PEG部分を有さない比較例1のポリマーの相転移温度は37℃付近であるので、PEG部分を有することにより、相転移温度がわずかに上昇したようである。また、感熱応答性部分であるEOEOVEの重合度が大きくなるにつれて、吸熱ピークがよりシャープになり、球熱量が増大している。よって、感熱応答性部分の重合度が大きいほど、効率よく相転移し、狭い温度領域で疎水性が高いドメインを形成すると考えられる。
実験例2 曇点と高分子化合物の濃度との関係
所定濃度の実施例1〜3の高分子化合物のHBS緩衝液中の分散液の700nmにおける吸光度を、日本分光(株)製V−560型紫外・可視分光光度計を用いて昇温速度0.5℃/分で測定した。ここで、温度上昇に対して吸光度が上昇し始める温度を曇点とした。
図2に、高分子化合物の各濃度での曇点の変化を示す。
実施例1の高分子化合物は低濃度で曇点が高く、0.5 mg/ml以上の濃度では曇点が38℃付近である。一方、実施例2及び3の高分子化合物は、その濃度に関わらず曇点が38℃付近である。これらのことから、感熱応答性部分の重合度が比較的短いと、鎖長が短くなるので分子間の相互作用が抑制され、転移が起こりにくいことが示唆される。
実験例3 リポソームからのアドリアマイシンの放出
上記の実施例4、7及び8のADR含有リポソームを用いて、以下のアドリアマイシン(ADR)の放出試験に従って、リポソームからのADRの放出率を測定した。
<アドリアマイシンの放出試験>
薬剤として、蛍光物質であり、抗癌剤として知られるアドリアマイシン(ADR)を用いて、以下の方法でリポソームからのADRの放出について調べた。
ADRを含有するリポソームをHBS緩衝液(20mM Hepes、150mM NaCl 、pH7.4)に分散させ、このリポソーム分散液の温度を10℃に設定した。10%ウシ胎児血清(FBS)含有又はFBS非含有HBS緩衝溶液を所定の温度にし、このFBS含有又は非含有HBS緩衝溶液3 mlに、該リポソーム分散液をリポソーム脂質濃度が13μMとなるように加え、所定の時間経過後に蛍光強度を、日本分光(株)製FP-6200型蛍光光度計を用いて測定した。
ADRは高濃度において消光するので、リポソーム内部に封入されているときには蛍光を発しないが、リポソーム内部からリポソーム外部の緩衝液中に放出されると蛍光を発する。よって、緩衝液を昇温させながらリポソーム分散液の蛍光をモニターすることにより、リポソームからのADRの放出の程度を調べることができる。ADRの励起波長及び蛍光波長はそれぞれ468 nm及び590 nmとした。
リポソームからのADRの放出率(%)は、以下の式を用いて算出した。
放出率(%)=(Ft−Fi)/{(F'f×1.07)−Fi}×100
ここで、Ftは、所定の温度で所定の時間インキュベートしたときの蛍光強度;
'fは、所定の温度で60μlの界面活性剤(Triton X-100)を添加してリポソームを破壊したときの蛍光強度;
iは、10℃における初期の蛍光強度。
結果を、図3に示す。図3(A)は、FBS非含有HBS緩衝液中で界面活性剤を加えて5分経過したときの実施例4(■)、実施例7(◆)及び実施例8(▲)のリポソームからのADR放出率を示す。
図3(B)は、10% FBS含有HBS緩衝液中で界面活性剤を加えて5分経過したときの実施例4(■)、実施例7(◆)及び実施例8(▲)のリポソームからのADR放出率を示す。
これらの結果から、本発明の温度感受性リポソームは、ある特定の温度に達すると、血清が存在していても内包物を放出可能であることがわかる。
実験例4 リポソームからのアドリアマイシンの放出
上記の実施例4、5及び6のADR含有リポソームを用いて、実験例1と同様にして、リポソームからのADRの放出率を測定した。
結果を、図4に示す。図4(A)は、FBS非含有HBS緩衝液中で界面活性剤を加えて5分経過したときの実施例4(●)、実施例5(◆)及び実施例6(▲)のリポソームからのADR放出率を示す。
図4(B)は、10% FBS含有HBS緩衝液中で界面活性剤を加えて5分経過したときの実施例4(■)、実施例5(◆)及び実施例6(▲)のリポソームからのADR放出率を示す。
これらの結果から、本発明の温度感受性リポソームは、膜成分における高分子化合物の含有量が多くなると、より急激に内容物を放出することがわかる。
実施例1〜3の高分子化合物の示差走査熱量計(DSC)測定の結果を示す。 高分子化合物の各濃度での曇点の変化を示す。 (A)FBS非含有HBS緩衝液中で界面活性剤を加えて5分経過したときの実施例4(■)、実施例7(◆)及び実施例8(▲)のリポソームからのADR放出率を示す。(B)10% FBS含有HBS緩衝液中で界面活性剤を加えて5分経過したときの実施例4(■)、実施例7(◆)及び実施例8(▲)のリポソームからのADR放出率を示す。 (A)FBS非含有HBS緩衝液中で界面活性剤を加えて5分経過したときの実施例4(●)、実施例5(◆)及び実施例6(▲)のリポソームからのADR放出率を示す。(B)10% FBS含有HBS緩衝液中で界面活性剤を加えて5分経過したときの実施例4(■)、実施例4(◆)及び実施例6(▲)のリポソームからのADR放出率を示す。

Claims (7)

  1. ポリエチレングリコール部分と感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物が、リポソーム膜に担持されてなる温度感受性リポソーム。
  2. ポリエチレングリコール部分と感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物を、リポソーム膜構成脂質と接触させることにより得られる請求項1に記載の温度感受性リポソーム。
  3. ポリエチレングリコール部分の分子量が、350〜12000である請求項1又は2に記載の温度感受性リポソーム。
  4. ポリエチレングリコール部分と感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の温度感受性リポソームと薬剤とからなる温度感受性薬剤放出システム。
  6. 薬剤が、抗癌剤である請求項5に記載の温度感受性薬剤放出システム。
  7. 少なくとも1種の医薬添加剤をさらに含む請求項5又は6に記載の温度感受性薬剤放出システム。
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