JP2005298542A - ブロックコポリマー及びその製造方法 - Google Patents

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Koichiro Matsuki
光一郎 松木
Jinka Kin
仁華 金
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

【課題】 可逆的な相互作用によって様々な機能性を有する物質を固定または放出することが可能で、しかもその前後で粒子内のモルフォルジ−等の変化が生じても、溶液系内への分散安定性が悪化することなく用いることができるポリマーミセルを形成可能なブロックコポリマーを提供すること。
【解決手段】 ポリアルキレンエーテルからなるブロック(X)と、炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)からなるブロック(Y)と、前記ブロック(Y)の有するアシル基と異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)又はアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)からなるブロック(Z)とから構成され、且つ前記ブロック(Y)と前記ブロック(Z)とが直結しており、各々のブロックの数平均重合度が5〜10000の範囲にあるブロックコポリマー。
【選択図】 なし

Description

本発明は親水性のブロック、疎水性のブロック、及び機能性物質と相互作用可能なブロックを有するブロックコポリマーであり、また、該ブロックコポリマーの自己組織化機能によって形成されるナノスケールの高分子ミセルが形成可能な該ブロックコポリマーの製造方法に関する。
機能性の物質を固定化する研究は古くから行われており、金属をはじめ光増感剤、発色剤、DNA、電子受容体や電子供与体、電子伝達物質等を固体表面や高分子の主鎖または側鎖に共有結合或いはイオン結合等で固定する方法をはじめ、シクロデキストリンに代表される包接化合物や多孔質物中に内包する方法等が考えられてきた。これらのように機能性物質を固定化する目的は、機能性物質を特定の場所に集中的に存在させることによって、物質のもつ機能を相乗的に効率よく発現させることにあった。
一方、機能性物質を均一に分散させる試みも大変古くから行われており、機能基を有するシリカや粘土、或いは顔料等の微粉末を界面活性剤あるいは界面活性剤型高分子等でカプセル化することによって溶液中に分散させる方法や、または水中に分散したミセルやベシクル中に疎水性相互作用によって機能性物質を包含する方法、アクリル酸またはHEMA(ヒドロキシエチルメタアクリレート)含有コポリマー等に代表される水溶性モノマーを含有した、水分散性高分子が形成する粒子中に内含する方法等が開発されている。
さらにこれらの性質を応用した材料としては、DDS(ドラッグデリバリーシステム)に代表されるような必要な量の機能性物質を必要な時に、必要な場所へ運ぶことができる素材開発が行われている。水分散性のスターポリマーやデンドリマー(例えば非特許文献1参照。)、両親媒性ジブロックコポリマー(例えば非特許文献2、非特許文献3参照。)、のような材料が提案されている。機能性物質を自在に必要な時に、必要な場所で、必要な量を放出させるためには、両親媒性ブロックコポリマー中への可逆的な固定化方法が必要となる。また両親媒性ブロックポリマーは機能性物質を固定化する前後で、常に安定に分散していることが重要な因子である。固定化の方法に疎水性相互作用を利用した場合(例えば非特許文献4参照。)、両親媒性ブロックコポリマーが形成する高分子ミセル中で機能性物質は会合等により凝集してしまい、高分子ミセル中で機能性物質を分子分散させることが困難である。よって定量的に機能性物質を放出させることはできない。分子分散させるためには機能性分子をイオン結合または配位結合によって固定化する方法を用いた方が有利であるが(例えば、非特許文献5参照。)、この場合機能性分子を固定化する前後において、高分子ミセル内のモルフォルジーが変化するため、高分子ミセルの系内へ対する分散安定性が悪化することになる。
Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1990,29,138-175 ACS.polym.Mater.Sci.Eng.,1998,79,278-279 J.Am.Chem.Soc.,1999,121,11247-11248 J.Contrl.Rel.,1993,24,119-132 Macromolecules, 1999,32,1140-1146、WO02002/026241
本発明が解決しようとする課題は、可逆的な相互作用によって様々な機能性を有する物質を固定または放出することが可能で、しかもその前後で粒子内のモルフォルジ−等の変化が生じても、溶液系内への分散安定性が悪化することなく用いることができるポリマーミセルを形成可能なブロックコポリマーとその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、親水性のブロック、疎水性のブロック、及び機能性物質と可逆的な相互作用が可能なブロックを有するブロックコポリマーが上記課題を克服できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、ポリアルキレンエーテルからなるブロック(X)と、炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)からなるブロック(Y)と、前記ブロック(Y)の有するアシル基と異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)又はアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)からなるブロック(Z)とから構成され、且つ前記ブロック(Y)と前記ブロック(Z)とが直結しており、各々のブロックの数平均重合度が5〜10000の範囲にあるブロックコポリマーを提供する。
さらに、本発明はポリアルキレンエーテル(a)の片末端又は両末端に、ハロゲン原子又はスルホン酸エステル基を有するポリアルキレンエーテル誘導体に、環状イミノエーテルモノマー(b)をリビングカチオン重合させ、次いで、前記環状イミノエーテルモノマー(b)とは異なる環状イミノエーテルモノマー(c)をカチオン重合させることにより、ポリアルキレンエーテルブロック(A)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)とは異なるアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)とからなるブロックコポリマーの製造方法、及び前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)又は前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)のいずれかのブロック中のアシル基を選択的に加水分解してポリ(アルキレンイミン)鎖とするブロックコポリマーの製造方法を提供する。
本発明は医療診断薬、癌治療薬、光機能材料、触媒機能材料、色材、金属インキ等の技術分野で広く利用できるブロックコポリマーである。詳しくは、本発明は親水性のブロック、疎水性のブロック、及び機能性物質と可逆的な相互作用が可能なブロックを有するブロックコポリマーであり、その安定した自己組織化機能によって形成されるナノスケールのブロックコポリマーである。従って、本発明のブロックコポリマーは、機能性物質と可逆的な相互作用が可能なブロックに医療診断薬、癌治療薬、光機能物質、触媒機能物質、色素、金属インキ等を導入することで、それぞれの機能を効率よく発現させることが可能であり、多岐にわたる分野での先端材料として有効である。
本発明のブロックコポリマーは、親水性のブロックと疎水性のブロックに加えて、機能性物質と相互作用するブロックの3種類で構成され、それぞれ3種類の異なる役割を有するブロックからなる3元ブロックコポリマーである。分散安定性因子をコントロールする親水性ブロックと疎水性ブロックが機能性物質と相互作用するブロックとは独立に構築しているため、該ブロックコポリマーの自己組織化能力を最大限に発揮させることが可能となり、機能性物質を有する、有しないに関わらずナノスケールの高分子ミセルを容易に形成できるブロックコポリマーである。
また、該高分子ミセルは、それを形成するブロックコポリマーの機能性物質と相互作用するブロックに医療診断薬、癌治療薬、光機能物質、触媒機能物質、色素、金属インキ材料等を導入することで、それぞれの機能を効率よく発現させることが可能となり、多岐にわたる分野での先端材料として有効である。
本発明のブロックコポリマーは、ポリアルキレンエーテルからなるブロック(X)と、炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)からなるブロック(Y)と、前記ブロック(Y)の有するアシル基と異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)又はアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)からなるブロック(Z)とから構成され、且つ前記ブロック(Y)と前記ブロック(Z)とが直結しており、各々のブロックの数平均重合度が5〜10000の範囲のものである。
本発明のブロックコポリマーを構成するポリアルキレンエーテルからなるブロック(X)(以下、ブロック(X)と略記する。)は、アルキレン鎖が酸素原子でつながれたポリマーのブロックであり、アルキレン鎖は直鎖状でも分岐状でもよく、例えばメチル基等の分岐を有していてもよい。また該ブロック(X)は親水性ブロックとしての役割を果たすブロックであり、その性質を損なうものでなければ特に制限を加えるものではない。代表的なポリアルキレンエーテルとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。特に前記ブロック(X)が、一般式(1)
Figure 2005298542
(式(1)中、nは2又は3であり、mは5〜10000の範囲である。)で表されるブロックであることが好ましい。前述したように、上記式(1)中、nはブロック(X)が親水性であれば特に制限を加えるものではないが、nは2又は3のものが親水性に優れるため好ましく、nが2であるポリエチレングリコールが特に好ましい。また上記式(1)中、mは5〜10000、好ましくは5〜1000の範囲であることがよい。
本発明のブロックコポリマーを構成する炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)からなるブロック(Y)(以下、ブロック(Y)と略記する。)は、炭素数が3以上のアシル基であれば如何なるアシル基でも問題ない。炭化水素系アシル基、フッ素系アシル基等、特に制限を加えられるものではない。また該ブロックの主鎖の構造はアルキレン鎖が窒素原子で結合したものであり、アルキレン鎖はリビングカチオン重合によって合成可能な構造であれば、メチル基、エチル基等の分岐等があってもよい。
前記ブロック(Y)としては、一般式(2)
Figure 2005298542
(式(2)中、Rはアシル基を表し、nは2又は3であり、mは5〜10000の範囲である。)
で表されるブロックを好適に用いることができる。
上記式(2)で表されるような、炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)からなるブロック(Y)の具体例は、ポリプロピオニルエチレンイミン、ポリプロピオニルプロピレンイミン、ポリ(N−ブチリルエチレンイミン)、ポリ(N−ブチリルプロピレンイミン)、ポリ(N−イソブチリルエチレンイミン)、ポリ(N−イソブチリルプロピレンイミン)、ポリ(N−ピバロイルエチレンイミン)、ポリ(N−ピバロイルプロピレンイミン)、ポリ(N−ラウロイルエチレンイミン)、ポリ(N−ラウロイルプロピレンイミン)、ポリ(N−ステアロイルエチレンイミン)、ポリ(N−ステアロイルプロピレンイミン)、ポリ(N−(3−(パーフルオロオクチル)プロピオニル)エチレンイミン)、ポリ(N−(3−(パーフルオロオクチル)プロピオニル)プロピレンイミン)等の如き脂肪族飽和カルボン酸でアシル化されたポリ(アルキレンイミン)類、
ポリ(N−(メタ)アクリロイルエチレンイミン)、ポリ(N−(メタ)アクリロイルプロピレンイミン)、ポリ(N−オレオイルエチレンイミン)、ポリ(N−オレオイルプロピレンイミン)等の如き脂肪族不飽和カルボン酸でアシル化されたポリ(アルキレンイミン)類、
ポリ(N−ベンゾイルエチレンイミン)、ポリ(N−ベンゾイルプロピレンイミン)、ポリ(N−トルイロイルエチレンイミン)、ポリ(N−トルイロイルプロピレンイミン)、ポリ(N−ナフトイルエチレンイミン)、ポリ(N−ナフトイルプロピレンイミン)、ポリ(N−シンナモイルエチレンイミン)、ポリ(N−シンナモイルプロピレンイミン)等の如き芳香族カルボン酸でアシル化されたポリ(アルキレンイミン)類等である。
本発明のブロックコポリマーを構成する、前記ブロック(Y)の有するアシル基と異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)又はアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)からなるブロック(Z)(以下、ブロック(Z)と略記する。)は、前記ブロック(Y)と直接結合するブロックである。該ブロック(Z)がアシル基を有している場合には、前記ブロック(Y)の有するアシル基と異なるアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)である。前記ブロック(Z)がアシル基を有する場合の該アシル基としては、前記ブロック(Y)が有するアシル基と異なったアシル基であれば如何なるアシル基でもよく、炭化水素系アシル基、フッ素系アシル基等、特に制限を加えられるものではない。またブロック(Z)がアシル基を有さない場合は、該ブロック(Z)はポリ(アルキレンイミン)からなるブロックである。
本発明のブロックコポリマーを構成するブロック(Z)の主鎖の構造はアルキレン鎖が窒素原子で結合したものであり、アルキレン鎖は直鎖状でも分岐状であってもよく、メチル基、エチル基等の分岐等があってもよい。
本発明のブロックコポリマーを構成するブロック(Z)としては、一般式(3)
Figure 2005298542
(式(3)中、Rは水素原子、又は式(2)中のRで表されるアシル基とは異なるアシル基を表し、nは2又は3であり、mは5〜10000の範囲である。)
で表されるブロックを好適に用いることができる。前記式(3)中、Rが水素原子のとき、該ブロック(Z)はアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)であり、Rがアシル基である場合は、式(3)中のRで表されるアシル基とは異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)を表す。
上記式(3)で表されるような、ブロック(Z)の具体例は、上記ブロック(Y)で例示した、飽和脂肪族カルボン酸でアシル化されたポリ(アルキレンイミン)類、不飽和脂肪族カルボン酸でアシル化されたポリ(アルキレンイミン)類、芳香族カルボン酸でアシル化されたポリ(アルキレンイミン)類等の他、ポリ(エチレンイミン)、ポリプロピレンイミン等のポリ(アルキレンイミン)、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)、ポリ(N−ホルミルプロピレンイミン)、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)、ポリ(N−アセチルプロピレンイミン)等の炭素数が2以下のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)が挙げられる。
本発明のブロックコポリマーは、上記(X)、(Y)、及び(Z)の各ブロックが、親水性、疎水性、あるいは機能性物質との可逆的な相互作用を有することにより、可逆的な相互作用によって様々な機能性を有する物質を固定または放出が可能なポリマーミセルを形成できる。上記したようにブロック(X)は親水性を有するブロックである。ブロック(Y)とブロック(Z)は、ブロック(Z)がアシル基を有するか否か、いずれもアシル基を有する場合には各々の有するアシル基により取り得る性質が異なる。
ブロック(Z)がアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)からなるブロック、具体的には下記式(3a)
Figure 2005298542
(式(3a)中、n、mはそれぞれn、mと同様である。)
で表されるブロックである場合には、該ブロック(Z)は、機能性物質との可逆的な相互作用を有するブロックとしての役割を果たし、ブロック(Y)が疎水性ブロックとしての役割を果たす。
ブロック(Z)がブロック(Y)の有するアシル基とは異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)からなるブロック、具体的には下記式(3b)
Figure 2005298542
(式(3b)中、R’は式(2)中のRで表されるアシル基とは異なるアシル基を表し、n、mはそれぞれn、mと同様である。)
で表されるブロックである場合には、ブロック(Y)の有するアシル基と、ブロック(Z)の有するアシル基のうち疎水性の強いアシル基を有するブロックが疎水性ブロックの役割を果たし、残りのブロックが機能性物質との可逆的な相互作用を有するブロックとしての役割を果たす。
上記ブロック(Y)とブロック(Z)との組み合わせは、各々のブロックが有する性質が異なっていることが好ましいため、ブロック(Z)がアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)からなるものは好適に使用できる。また、ブロック(Z)がアシル基を有する場合においても、各々のブロックが有する性質が明確に異なっているものが好ましい。
本発明のブロックコポリマーを構成するブロック(Y)が上記式(2)で、ブロック(Z)が上記式(3)で表されるブロックである場合における好ましい例を以下に示す。
前述したように上記式(2)中、Rはアシル基を表し、上記式(3)中、Rは水素原子、又は式(2)中のRで表されるアシル基とは異なるアシル基を表しており、それぞれ疎水性ブロック、又は機能性物質と相互作用可能なブロックとしての役割を果たしうるブロック(Z)であり、それぞれの役割は上記式(2)中、Rと上記式(3)中、Rとの組み合わせによって異なる。但し、上記式(3)中、Rが水素原子である場合は、上記式(2)は疎水性ブロックとしての役割を果たし、上記式(3)は機能性物質と相互作用可能なブロックとしての役割を果たす。
一般的な組み合わせの中でも、好ましい(Y)と(Z)の関係を説明するならば、上記式(3)中のRと上記式(2)中のRとの関係は、上記式(2)中のRの疎水的性質の方が強い構造であることが挙げられる。例えば上記式(3)中のRが水素原子のとき、上記式(2)中のRは炭素数が3以上のアシル基であることがよく、また上記式(2)で表されるブロック(Y)が疎水性のブロックであり、且つ上記式(3)で表されるブロック(Z)が機能性物質と相互作用可能なブロックであることがよい。
より詳細な(Y)と(Z)の組み合わせを挙げると、前記式(2)中のRと前記式(3)中のRとの組み合わせにおいて、R/Rが炭素数が3以上のアシル基/水素原子、ホルミル基、又はアセチル基の組み合わせ、R/R又はR/Rが、プロピオニル基/炭素数が4以上のアシル基、飽和脂肪族アシル基又は不飽和脂肪族アシル基/芳香族アシル基、あるいは非フッ素のアシル基/フッ素を有するアシル基の組み合わせのいずれかであることが好ましく、R/Rが炭素数が3以上のアシル基/水素原子、ホルミル基、又はアセチル基の組み合わせであることが特に好ましい。
、nの好ましい範囲は2又は3である。ブロック(Y)及びブロック(Z)の性質はそれぞれのアシル基の種類を変えることによってコントロールすることが望ましい。n、nの範囲があまり大きな値であると、アシル基の性質が及ぼす影響よりも主鎖であるアルキレンイミン部分の影響力が強くなるため、アシル基の種類を変えてもブロックの性質をコントロールできなくなることが危惧されるからである。
各ブロックの数平均重合度は分散させる溶媒の種類や固定化する機能性物質の種類、構築したい高分子ミセルの大きさ等によって種々判断される値であり、一般的にm、mおよびmはそれぞれ5〜10000、好ましくは5〜1000の範囲の整数であることが望ましい。そしてm、mおよびmの値は大変重要であり、機能性物質の固定化あるいは放出の前後における高分子ミセルのモルフォルジー変化に依存することなく、溶媒中での分散安定性を維持するために決定する必用がある値である。つまり用途や目的、Rの種類、固定化する機能性物質の種類等に合わせて設定されるべき値であり、一般的に考えられる範囲を示すならばm:m:m=100:1〜10000:1〜10000が好ましいと考えることができる。
本発明のブロックコポリマーは、ブロック(X)に、ブロック(Y)と、ブロック(Z)とが直接結合した2成分からなる2元ブロックコポリマーの序列は、例えば(YZ)、(ZY)、(YZY)、(ZYZ)等が結合しているものであり、特に(YZ)及び(ZY)で表される2元ブロックコポリマーがブロック(X)と結合しているのが好ましい。
このようなブロックコポリマーのなかでも、一般式(i)
X(YZ)p1、又はX(ZY)p2、 (i)
(式中Xはポリアルキレンエーテルからなるブロック(X)、Yは炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)からなるブロック(Y)、前記ブロック(Y)の有するアシル基と異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)又はアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)からなるブロック(Z)を表し、各ブロックの数平均重合度は各々独立して5〜10000の範囲であり、p、pは1又は2の整数を表す。)で表されるブロックコポリマーは、すなわち各ブロックが有する機能を効率よく発現することが可能となるため好ましく使用できる。
上記式(i)で表されるブロックコポリマーのなかでも、p又はpが1であるトリブロックコポリマー、特に下記式(4)
Figure 2005298542
又は下記式(5)
Figure 2005298542
(式(4)及び(5)中、n、mは式(1)中のn、mと同様であり、R、n、mは式(2)中のR、n、mと同様であり、n、mは式(3a)中のn、mと同様である。)
又は、下記式(6)
Figure 2005298542
又は、下記式(7)
Figure 2005298542
(式(6)及び(7)中、n、mは式(1)中のn、mと同様であり、R、n、mは式(2)中のR、n、mと同様であり、R’、n、mは式(3b)中のR’、n、mと同様である。)
で表されるトリブロックコポリマーは、各ブロックの重合度をより精密に制御可能であるため、より粒系等が均一な高分子ミセルの生成が可能であるため好ましい。
次に本発明のブロックコポリマーの製造方法について説明する。本発明のブロックコポリマーの製造方法は、ポリアルキレンエーテル(a)の片末端又は両末端に、ハロゲン原子又はスルホン酸エステル基を有するポリアルキレンエーテル誘導体に、環状イミノエーテルモノマー(b)をリビングカチオン重合させ、次いで、前記環状イミノエーテルモノマー(b)とは異なる環状イミノエーテルモノマー(c)をカチオン重合させることによるものである。得られるブロックコポリマーはポリアルキレンエーテルブロック(A)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)とは異なるアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)とからなる。
本発明の製造方法で用いられるポリアルキレンエーテル(a)は、得られるブロックポリマー中のポリアルキレンエーテルブロック(A)となるものであり、またリビングカチオン重合の開始剤として用いられるものである。該ポリアルキレンエーテル(a)としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を使用することができ、該ポリアルキレンエーテル(a)が与えるポリアルキレンエーテルブロック(A)は、上記した本発明のブロックコポリマー中のブロック(X)に相当するものである。
本発明の製造方法においては、該ポリアルキレンエーテル(a)は、その片末端又は両末端にハロゲン原子又はスルホン酸エステル基を有するポリアルキレンエーテル誘導体として使用する。ポリアルキレンエーテル誘導体が、その片末端又は両末端に有するハロゲンとしては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が好ましい例として挙げることができる。また、スルホン酸エステル基としてはメタンスルホン酸エステル基、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基、トリクロロメタンスルホン酸エステル基、ベンゼンスルホン酸エステル基、p−トルエンスルホン酸エステル基、2−ニトロベンゼンスルホン酸エステル基、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸エステル基等を例示することができる。なかでも、スルホン酸エステル基はカチオン重合開始能力が高いため好ましく、特にp−トルエンスルホン酸エステル基が好ましい。
上記片末端または両末端にハロゲンまたはスルホン酸エステル基を有するポリアルキレンエーテル誘導体としては、市販されている化合物をそのまま、または精製等の処理を施した後使用してもよく、またはポリアルキレンエーテル末端の水酸基を反応によって処理することにより、ハロゲン、或いはスルホン酸エステル基を有するポリアルキレンエーテルを合成した化合物を使用しても何ら問題はない。
ポリアルキレンエーテル末端の水酸基を反応によって処理することにより、ハロゲン、或いはスルホン酸エステル基を有するポリアルキレンエーテルを合成する方法は、公知慣用の方法であればいかなる手法で行ってもよい。ポリエチレングリコールを使用する場合について例示するならば、片末端が水酸基のポリエチレングリコールをクロロホルムに溶解させ、水酸基と等量のピリジンを加える。これを窒素雰囲気下で攪拌しながら、p−トルエンスルホン酸クロライドを溶かしたクロロホルム溶液を冷却しながらゆっくり滴下する。発熱が治まった後、40℃に昇温し4時間反応させる。反応溶液を希塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液、水でそれぞれ洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥する。得られたクロロホルム溶液を濃縮し、大量のヘキサン中へ滴下、沈殿させる。これを真空乾燥することによって片末端にp−トルエンスルホン酸エステル基を有するポリエチレングリコールを合成することができる。
また、上記ポリアルキレンエーテル誘導体が、ハロゲン原子又はスルホン酸エステル基を片末端のみに有している場合、他の片末端はポリアルキレンエーテル(a)の親水性を失わない構造であればよく、例えば水素原子、メチル基、エチル基等の構造が好ましい。
本発明の製造方法においては、環状イミノエーテルモノマー(b)、及び環状イミノエーテルモノマー(c)は、お互いに異なるものを使用する。該環状イミノエーテルモノマー(b)、及び該環状イミノエーテルモノマー(c)はそれぞれカチオン重合することにより、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)、及びポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)となるものである。
上記環状イミノエーテルモノマー(b)、及び環状イミノエーテルモノマー(c)としては、公知慣用のものを問題なく用いることができる。なかでもオキサゾリンモノマーやオキサジンモノマーを好ましく使用でき、これらモノマーとしては、2−オキサゾリン、2−オキサジン、2−メチル−2−メチルオキサゾリン、2−メチル−2−オキサジン等、ポリ(N−ホルミルアルキレンイミン)あるいはポリ(N−アセチルアルキレンイミン)などの炭素数が2以下のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマー、
2−エチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサジン等の炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマー、
2−プロピル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサジン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサジン、2−(t−ブチル)−2−オキサゾリン、2−(t−ブチル)−2−オキサジン、2−ウンデシル−2−オキサゾリン、2−ウンデシル−2−オキサジン、2−ヘプタデシル−2−オキサゾリン、2−ヘプタデシル−2−オキサジン等の如き2−アルキル−2−オキサゾリン類又は2−アルキル−2−オキサジン類、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサジン、2−(2−プロペニル)−2−オキサゾリン、2−(2−プロペニル)−2−オキサジン、2−アリル−2−オキサゾリン、2−アリル−2−オキサジン、2−α−メチルビニル−2−オキサゾリン、2−α−メチルビニル−2−オキサジン、2−(9−ヘプタデセニル)−2−オキサゾリン、2−(9−ヘプタデセニル)−2−オキサジン等の如き2−アリール−2−オキサゾリン類又は2−アリール−2−オキサジン類等の炭素数4以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマー、
2−(2−パーフルオロオクチルエチル)−2−オキサゾリン、2−(2−パーフルオロオクチルエチル)−2−オキサジン等のフッ素含有アシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与える環状イミノエーテルモノマー、
2−フェニル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサジン、2−トリル−2−オキサゾリン、2−トリル−2−オキサジン、2−ナフチルオキサゾリン、2-ナフチルオキサジン、2−スチリル−2−オキサゾリン、2−スチリル−2−オキサジン等の芳香族アシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマーなどが例として挙げられる。
本発明の製造方法においては、上記例示したような環状イミノエーテルモノマーの二種を、それぞれ環状イミノエーテルモノマー(b)、及び環状イミノエーテルモノマー(c)として使用し、各々の環状イミノエーテルモノマーを、上記したポリアルキレンエーテル誘導体に、リビングカチオン重合させてポリ(N−アシルエチレンイミン)ブロック(B)及び(C)を形成する。ここで、使用する環状イミノエーテルモノマー(b)及び(c)の少なくともいずれか一方に、炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロックを与える環状イミノエーテルモノマーを使用することにより、上記した本発明のブロックコポリマーを得ることができる。このとき、炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロックを与える環状イミノエーテルモノマーを、環状イミノエーテルモノマー(b)として使用した場合には、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)が、上記した本発明のブロックコポリマー中のブロック(Y)に相当し、炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロックを与える環状イミノエーテルモノマーを、環状イミノエーテルモノマー(c)として使用した場合には、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)が、上記した本発明のブロックコポリマー中のブロック(Y)に相当する。使用する環状イミノエーテルモノマーのいずれもが、炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロックを与える環状イミノエーテルモノマーである場合には、得られるポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)及び(C)のいずれがブロック(Y)となってもよい。
環状イミノエーテルモノマー(b)及び(c)の組み合わせとしては、得られるポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)及び(C)とが、それぞれ疎水性ブロック、又は機能性物質と相互作用可能なブロックとしての役割を好適に果たしうる組み合わせ、すなわち、上記した本発明のブロックポリマーのブロック(Y)とブロック(Z)の関係を満たす組み合わせが好ましい。また、得られるポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)及び(C)のいずれか一方を簡便に加水分解することが可能な組み合わせも好適である。
具体的な好ましい組み合わせの例としては、炭素数3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマーとポリ(N−ホルミルアルキレンイミン)あるいはポリ(N−アセチルアルキレンイミン)を与えるモノマーとの組み合わせ、炭素数4以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマーと(C)はポリ(N−プロピオニルアルキレンイミン)を与えるモノマーとの組み合わせ、芳香族アシル基又はフッ素含有アシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマーと、飽和脂肪族アシル基又は不飽和脂肪族アシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマーとの組み合わせ、フッ素含有アシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマーと、芳香族アシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)を与えるモノマーとの組み合わせが挙げられる。また以上に示したモノマーの組み合わせは、いずれが環状イミノエーテルモノマー(b)であっても、環状イミノエーテルモノマー(c)であってもよい。
次にカチオン重合の方法について詳細に述べる。上述したポリアルキレンエーテル誘導体を開始剤として用い、環状イミノエーテルモノマー(b)をリビングカチオン重合させることによってポリアルキレンエーテルブロック(A)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)とからなるジブロックコポリマーを合成する。リビングカチオン重合の方法は特に制限されず、公知慣用の方法を使用できる。使用できる溶媒としてはアプロティック溶媒が好ましい。例示するならば、アセトニトリル、シアノベンゼン、フェニルアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)等が挙げられる。ポリアルキレンエーテル誘導体に対するポリ(N−アシルアルキレンイミン)(b)の量はポリアルキレンエーテル中のアルキレンエーテルユニットの重合度を100とした時に、環状イミノエーテルモノマーが1〜10000molとなるように反応させることが望ましい。
前述したように本発明のブロックコポリマーによって形成される高分子ミセルが溶液中で高い分散安定性を保つためには、各ブロックの組成比が重要な因子となり、組成比は導入する機能性物質や、分散させる溶剤等の影響を強く受けることがわかっている。つまり後述する疎水性ブロックの重合度とのバランスを考慮したうえで、環状イミノエーテルモノマーを加える量を決定しなければならない。重合反応温度は40℃以上で重合可能であるが、重合時間を短縮すること、重合溶媒の種類、副反応を生じさせないこと等を考えると、アセトニトリル等のように低沸点溶媒の場合は60〜80℃、沸点が140℃を超える高沸点溶媒の場合は80〜140℃で反応を行うことが好ましい。
リビングカチオン重合方法の具体例を以下に示す。攪拌子を入れた二口フラスコの一方に三方コックを取り付け、もう一方は共栓で密閉しておく。フラスコ内を減圧脱気、窒素置換する。ここで使用できるガスは不活性ガスが一般的に用いられ、窒素ガス、アルゴンガス等が好ましい。シリンジを用いて三方コックより上述したようなアプロティック溶媒、例えばN,N−ジメチルアセトアミドと、2−フェニル−2−オキサゾリン(POZ)をフラスコ内に入れる。窒素ガスをオーバーフローさせながら共栓をあけ、片末端をp−トルエンスルホニル化したポリエチレングリコールを添加する。フラスコを密栓し、オイルバス中で攪拌しながら100℃、48時間反応させるという方法である。
この後、既にリビングカチオン重合した環状イミノエーテルモノマーである2−フェニル−2−オキサゾリンとは異なる環状イミノエーテルモノマー、例として2−メチル−2−オキサゾリン(MOZ)をカチオン共重合させる場合を以下に述べるが、その前に得られたジブロックコポリマーの精製処理を施してもよく、またそのままカチオン共重合を続けても何ら問題はない。精製処理を施す場合は、強い酸や強い塩基等で処理を行うとジブロックコポリマー末端のp−トルエンスルホニル基が外れてしまうので、注意が必要である。それ以外の末端p−トルエンスルホニル基が解離しないような公知慣用の処理方法であれば問題なく行うことができる。
具体的に例示すると、ポリエチレングリコール(PEG)と、ポリ(N−ベンゾイルエチレンイミン)(PBEI)のジブロックコポリマ−と、2−フェニル−2−オキサゾリンとは異なる環状イミノエーテルモノマーである2-メチル−2−オキサゾリンのリビングカチオン共重合反応は、前述のリビングカチオン重合と同様の方法で反応させることができ、これによりポリエチレングリコールブロックとポリ(N−ベンゾイルエチレンイミン)ブロック、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)(PAEI)ブロックとからなるトリブロックコポリマーが得られる。前述したリビングカチオン重合の反応終了後、連続して2−メチル−2−オキサゾリンをカチオン重合させる場合の具体例を示すならば、反応終了した状態のフラスコを室温まで冷却し、窒素ガスラインを三方コックの一方に取り付け、静かに窒素ガスを流しながらシリンジを用いて三方コックより2−メチル−2−オキサゾリンをフラスコ内に添加する。このとき必要に応じてN,N−ジメチルアセトアミドを追加してもよい。追加する場合は同様に窒素ガスを静かに流しながら、三方コックよりシリンジを用いて添加する。そして窒素ガスを止め、フラスコを密栓し、オイルバス中で攪拌しながら100℃、96時間反応させるという方法である。反応時間はポリマーやモノマーの濃度、反応温度等によって異なるが、後半のリビングカチオン共重合反応の方が重合反応溶液の粘土が増大すること等から、長時間反応させるのが一般的である。
以上説明した方法により、ポリアルキレンエーテルブロック(A)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)とは異なるアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)とからなるブロックコポリマーを得ることができる。該ブロックコポリマーの各々のブロックは、上記したように本発明のブロックコポリマー中のブロック(X)、ブロック(Y)、あるいはブロック(Z)のうちのブロック(Y)とは異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)ブロックに対応するものである。
本発明のブロックコポリマーにおいて、ブロック(Z)がブロック(Y)とは異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)ブロックであるブロックコポリマーは上記方法により製造可能である。次いでブロック(Z)がアシル基を有していないポリ(アルキレンイミン)からなるブロック(Z)であるブロックコポリマーの製造方法について説明する。
該製造方法は、ポリアルキレンエーテルブロック(A)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)とは異なるアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)とからなるブロックコポリマーを上述した製造方法によって得た後、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)又は前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)のいずれかのブロック中のアシル基を選択的に加水分解してポリ(アルキレンイミン)ブロック(D)とするものである。
本発明のブロックコポリマーの製造方法において選択的に加水分解してポリ(アルキレンイミン)ブロックとするものは、前記ブロック(B)又は(C)の有するアシル基の親水性が強い方のブロック、または疎水性が弱い方のブロックであり、前述したように(B)と(C)の組み合わせによって、どちらのブロックを加水分解するかは異なる。例えばブロック(B)が有するアシル基の方が疎水性が強い場合、ブロック(B)は加水分解されず、ブロック(C)は選択的に加水分解されてポリ(アルキレンイミン)ブロック(D)となる。該ブロック(D)は、本発明のブロックコポリマーにおけるブロック(Z)のうちのアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)ブロックに相当するブロックである。
本発明のブロックコポリマーの製造方法において、ブロック(B)とブロック(C)が有するそれぞれのアシル基の親水性の強さ、又は疎水性の強さの差によって、加水分解の選択性が変化する。差が小さくても特に問題はない。親水性の強い方、又は疎水性の弱い方のアシル基が加水分解される。差が小さい場合は加水分解しないブロックのアシル基の一部のアシル基が加水分解されることがあるが、ブロックコポリマーが有する機能や、形成する高分子ミセルの分散安定性等の特性に支障をきたすことはない。好ましくはブロック(B)とブロック(C)が有するそれぞれのアシル基の親水性の強さの差、又は疎水性の強さの差が、大きい組み合わせのものがよい。好ましいアシル基の組み合わせの例としては、ホルミル基、又はアセチル基と炭素数が3以上のアシル基との組み合わせ、プロピオニル基と炭素数が4以上のアシル基との組み合わせ、飽和脂肪族アシル基又は不飽和脂肪族アシル基と芳香族アシル基又はフッ素を有するアシル基との組み合わせ、あるいは芳香族アシル基とフッ素を有するアシル基との組み合わせ等を挙げることができる。
本発明のブロックコポリマーの製造方法において加水分解を行うときは、得られたブロックコポリマーをそのまま加水分解反応してもよいが、加水分解反応時の副反応等を避けるためには、ブロックコポリマーを精製することが好ましい。精製方法は公知慣用の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。一例を挙げると、反応溶液を酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒中に攪拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ過する。沈殿を少量のメタノールに溶解、分散し、再度酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒中へ攪拌しながら滴下、再沈させる。沈殿をろ過、真空乾燥することにより精製物を得る方法である。
具体的に例示すると、前述の例示のようにして得られたポリエチレングリコールブロックとポリ(N−ベンゾイルエチレンイミン)ブロック、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックとからなるブロックコポリマーのポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックのアセチル基を選択的に加水分解して、ポリ(エチレンイミン)ブロックを有するトリブロックコポリマーを合成する方法は、公知慣用の加水分解反応として用いられる方法であれば何ら問題なく行うことができる。一般的には酸加水分解反応やアルカリ加水分解反応を挙げることができるが、酵素を用いた加水分解反応等をもちいることも可能である。重要なことは上述したように本加水分解反応によって両側の親水性セグメントと疎水性セグメントに支障を与えることなく、トリブロックコポリマーの選ばれた1つのブロックを選択的にポリ(エチレンイミン)ブロックとすることある。
また、前記ブロック(B)又はブロック(C)のどちらか1方のブロックを選択的に加水分解する際、加水分解前のブロックコポリマー中の、(B)又は(C)のどちらか1方の、選択的に加水分解を行うブロックのN−アシルアルキレンイミンユニットの重合度に対して1〜20倍モルの塩酸を使用することが好ましい。
一例を挙げると、前述の例示にあるポリエチレングリコールブロックとポリ(N−ベンゾイルエチレンイミン)ブロック、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックとからなるブロックコポリマーにおいて、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックのN−アセチルエチレンイミンユニットの重合度に対して3倍量の塩酸を含む2.5N塩酸水溶液中に、該トリブロックコポリマーを混ぜ、超音波洗浄器で1時間分散させた後、90℃で15時間反応させる。冷却後大量のアセトン中へ攪拌しながら添加する。生成した沈殿物をろ過後、水に溶解し、再度アセトン中へ攪拌しながら添加、再沈殿させ、ろ過、真空乾燥することによって本発明のトリブロックコポリマーを得ることができる。
上記した本発明の製造方法によれば、親水性のブロック、疎水性のブロック、及び機能性物質と相互作用可能なブロックを有するブロックコポリマーを、公知慣用の重合方法と加水分解反応により、簡便に製造することが可能である。
本発明のブロックコポリマーは、機能性物質と相互作用可能なブロックの他に、親水性ブロックと疎水性ブロックとを有するため、溶媒、たとえば水中に分散した場合に自己組織的に高分子ミセルを形成することができる。例えばp−トルエンスルホニル化したポリエチレングリコールと2−メチル−2−オキサゾリンをリビングカチオン重合し、さらに2−フェニル−2−オキサゾリンをカチオン共重合したトリブロックコポリマーを合成し、中央のポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックを塩酸で加水分解して得た、ポリエチレングリコールブロックとポリ(エチレンイミン)(PEI)ブロック、ポリ(N−ベンゾイルエチレンイミン)ブロックからなるトリブロックコポリマーを水中に分散させると、該トリブロックコポリマーは自己組織化して以下のような高分子ミセルを形成する。該トリブロックコポリマーは、疎水性ブロックであるポリ(N−ベンゾイルエチレンイミン)ブロックがコアとなり、機能性物質と相互作用可能なブロックであるポリ(エチレンイミン)ブロックが中間層、そして親水性ブロックであるポリエチレングリコールブロックが水中で十分に分子鎖を広げて自由に分子運動することが可能なコロナ層となった、コア−コロナ型の高分子ミセルを形成するため、水中への高い分散安定性を保持することが可能となる。
本発明のブロックコポリマーの機能性物質と相互作用可能なブロックは(Y)又は(Z)であり、(Y)又は(Z)が有するアシル基の親水性の強い方、又は疎水性の弱い方が機能性物質と相互作用可能なブロックとしての役割を果たす。一例としてポリ(N−アセチルアルキレンイミン)ブロックが有するアセチル基の酸素は、金属と相互作用することが挙げられる。疎水性ブロックとしてポリ(N−ベンゾイルアルキレンイミン)と組み合わせると、該組み合わせにおいて金属はベンゾイル基の酸素とは相互作用しない。つまり該ブロックコポリマーは、ポリアルキレンエーテルからなるブロックは親水性ブロックとして、ポリ(N−アセチルアルキレンイミン)は金属と相互作用するブロックとして、ポリ(N−ベンゾイルアルキレンイミン)は疎水性ブロックとしての役割をそれぞれ独立して果たすことができるのである。
また本発明のブロックコポリマーの機能性物質と相互作用可能なブロック(Z)が、アシル基を有していないポリ(アルキレンイミン)であるとき、イオン性の機能性物質と相互作用する。例えば、DNA、イオン性染料、金属イオン等である。これらイオン性の機能性物質が該ブロックとイオン結合により固定化すると、該ブロックは結晶化する。しかし前述したようにポリアルキレンエーテルが親水性ブロック、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)が疎水性ブロックとしての役割を独立して果たすことができるため、系内への分散安定性は悪化することがない。
通常、DNAや金属、染料等の機能性物質が、相互作用可能なブロックを有するポリマーと高分子ミセルを形成したとき、機能性物質が該ブロックコポリマー中へ固定化あるいはブロックコポリマー中から放出される際、機能性物質と相互作用可能なブロックは機能性物質が固定化されることによって、該ブロックが結晶化したり、機能性物質を放出することによって結晶を形成しなくなる等、高分子ミセル中でのモルフォルジーが変化する。しかしながら、本発明のトリブロックコポリマーは、機能性物質と相互作用可能なブロックの他に、溶媒中での分散安定性を決定する因子となる親水性セグメントと疎水性セグメントを有することから、該ブロックコポリマーからなる高分子ミセルは、このようなモルフォルジー変化に関係なく溶液中で優れた分散安定性を維持することができる。
また、本発明のブロックポリマーは、機能性物質と相互作用可能なブロックを有するため、該ブロックに、DNAや金属、あるいは染料などの機能性物質を固定できるため、これら機能性物質を内部に固定化した高分子ミセルの形成が可能である。このため、本発明のブロックポリマーからなる高分子ミセルは、医療診断薬、癌治療薬、光機能物質、触媒機能物質、色素、あるいはフォトリゾグラフィー材料等の分野において有用に使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[ポリエチレングリコールのトシル化反応]
100mlの三口ナスフラスコにマグネティックスターラを入れ、数平均分子量(Mn)が約2000のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(以下、PEGMと略記)を10g(エチレングリコールユニット(以下、EGと略記):5.1mmol)秤取り、クロロホルム15gを加えて溶解した後、ピリジン4g(51mmol)を加え攪拌した。フラスコには窒素ガスを導入する導入管とガスを排気する排気管を装備し、残った口は共栓をした。
別途三角フラスコにトシルクロライド4.9g(25.5mmol)秤取り、クロロホルム15gを加えて溶解した。
PEGM等を入れた三口ナスフラスコを氷浴中で攪拌しながら、トシルクロライドのクロロホルム溶液を滴下した。滴下後、発熱が治まったことを確認し、40℃に昇温、4時間反応させた。反応終了後、クロロホルムを30g加えて希釈し、分液ロ−トへ移した。そして該クロロホルム溶液を300gの2.5NHCl水溶液で2回、300gの10%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、さらに300gの水で2回洗浄した。得られたクロロホルム溶液は硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過した後、エバポレータで濃縮した。これをヘキサン中に攪拌しながら加えて沈殿させ、室温で15時間、真空乾燥した。収率は81%であった。H−NMRスペクトルより各ピークの帰属を行い、目的の化合物であることを確認した。(2.4ppm:トシル基中のメチル基、3.3ppm:PEGM末端のメチル基、3.6ppm:PEGのEG鎖、7.3〜7.8ppm:トシル基中のベンゼン環)
[リビングカチオン重合]
二口ナスフラスコにマグネティックスターラを入れておき、三方コックと共栓を取付けて密栓し、真空脱気を繰り返し行うことによって内部を十分に窒素置換した。前述のトシル化したポリエチレングリコール(以下、PEG−Tsと略記)を1.5g(EGユニット:34mmol)秤取り、共栓を開けて素早く秤取ったPEG−Tsをフラスコ内に入れた後、再度窒素置換を行った。次にシリンジを用いてメチルオキサゾリン(以下、MOZと略記)を3ml(34mmol)と、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAと略記)30mlを三方コックから窒素ガスを流しながらフラスコ内に加えた。密栓後、100℃のオイルバス中で22時間攪拌した。冷却後、シリンジを用いてフェニルオキサゾリン(以下、POZと略記)4.7g(34mmol)を三方コックから窒素ガスを流しながらフラスコ内に加えた。そして密栓後、100℃のオイルバス中で111時間攪拌した。得られた反応溶液は冷却後、酢酸エチル150gとヘキサン150gの混合溶媒中に攪拌しながら添加し、沈殿させた。デカンテ−ションによって、容器の壁に付着した沈殿物を分離し、15gのメタノールに溶解させた。これを酢酸エチル350gとヘキサン350gの混合溶媒中に攪拌しながら添加し、再沈させた。分散した再沈物をろ過し、80℃で真空乾燥した。収率は89%であった。H−NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い、生成物の構造を確認した(2.1ppm:PAEIのアセチル基、3.6ppm:PEG、7.0〜7.7ppm:PBEIのベンゾイル基)。これより、得られた生成物はPEG−PAEI−PBEIトリブロックコポリマーであり、各ブロックの組成はPEG:PAEI:PBEI=31:32:37であった。
(実施例2)
[酸加水分解反応]
100mlナスフラスコに実施例1のようにして合成したPEG−PAEI−PBEIトリブロックコポリマー1.7g(アセチルエチレンイミンユニット(以下、AEIと略記):5.7mmol)を秤取り、5NHCl水溶液3.5g(HCl:17.1mmol)を加え、マグネティックスターラを入れて共栓をした。超音波洗浄器で1時間処理して分散させた後、90℃で10時間攪拌した。冷却後反応溶液をアセトン200g中に攪拌しながら加えた。生じた沈殿をろ過し、水10gに溶解した。再度アセトン200g中に攪拌しながら加えて再沈させ、ろ過した。60℃で真空乾燥し、目的のPEG−PEI−PBEIトリブロックコポリマーを得た。収率は90%であった。1H−NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い、2.1ppmのアセチル基由来のピークが消失していること等、生成物の構造を確認した。得られた生成物はPEG−PAEI−PBEIトリブロックコポリマーであった。各ブロックの組成は、生成物の一部を水に溶解して透析チューブに入れ、0.5%アンモニア水で一晩透析処理を行い、アンモニア水を水に交換、8時間後再度水を取替えた後、透析チューブ中の水溶液にエタノールを加えてエバポレータで溶媒を留去し、さらに70℃で15時間真空乾燥したサンプルのH−NMRスペクトルより求めた。PEG:PEI:PBEI=29:32:39であった。アンモニア水で透析処理したサンプルのH−NMRスペクトルの各ピークを説明すると、2.2ppm:PEI、2.8ppm:PEG、3.0〜3.7ppm:PBEIのエチレンイミン、7.0〜7.7ppm:PBEIのベンゾイル基である。
(実施例3)
[リビングカチオン重合]
実施例1で示した方法において、PEG−Tsを1.5g、MOZ3ml、及びDMA30mlをそれぞれフラスコに加え、100℃で22時間攪拌後、POZ4.7gを加え100℃で111時間攪拌したことに代えて、PEG−Ts1.5g(EGユニット:34mmol)とPOZ4.7g(34mmol)、DMA30mlをそれぞれフラスコに加え、100℃で22時間攪拌後、MOZ3ml(34mmol)を加え100℃で105時間攪拌したこと以外は、実施例1と全く同じ方法で行った。収率93%。H−NMRスペクトルにより実施例1と同様に各ピークの帰属を行い、生成物の構造を確認した。得られた生成物はPEG−PBEI−PAEIトリブロックコポリマーであり、各ブロックの組成はPEG:PBEI:PAEI=30:38:32であった。
(実施例4)
[酸加水分解反応]
実施例2で示した方法において、PEG−PAEI−PBEIトリブロックコポリマー1.7gを秤取り、5NHCl水溶液3.5gを加えたことに代えて、実施例3で合成したPEG−PBEI−PAEIトリブロックコポリマー1.7g(AEI:5.7mmol)を秤取り、5NHCl水溶液3.5g(HCl:17.1mmol)を加えたこと以外は、実施例2と全く同様に行った。収率は80%、H−NMRスペクトルにより実施例2と同様に各ピークの帰属を行い、生成物の構造を確認した。得られた生成物はPEG−PBEI−PEIトリブロックコポリマーであり、アンモニア水で処理して求めた各ブロックの組成はPEG:PBEI:PEI=29:39:32であった。
(応用例1)
実施例2で得られたPEG−PEI−PBEIトリブロックコポリマー2.0mgを5gの水中に分散させ、マグネティックスターラで攪拌しながら80℃のオイルバス中で1時間、その後超音波洗浄器で1時間処理した。24時間静置後、粒径を測定した。数平均粒径は40nmであった。尚粒径は日機装(株)製、Microtrac UPA150を用いて動的光散乱法によって測定した。
(応用例2)
上記PEG−PEI−PBEIトリブロックコポリマー分散水溶液に、色素であるテトラフェニルポルフィリン−テトラスルホン酸ナトリウム(以下、TSPPと略記)0.7mg(TSPP(mol)/EIユニット(mol)=1/10)を添加し、マグネティックスターラを用いて室温で24時間攪拌した。該分散水溶液を分散水溶液を透析チューブ(SPECTRUM Spectra/Por;MWCO:3500)に入れ、水中で透析した。8時間ごとに3回水を取替えた。透析チューブから分散水溶液を24時間静置後、粒径を測定したところ数平均粒径は30nmであった。

Claims (10)

  1. ポリアルキレンエーテルからなるブロック(X)と、炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)からなるブロック(Y)と、前記ブロック(Y)の有するアシル基と異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)又はアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)からなるブロック(Z)とから構成され、且つ前記ブロック(Y)と前記ブロック(Z)とが直結しており、各々のブロックの数平均重合度が5〜10000の範囲にあるブロックコポリマー。
  2. 一般式(i)で表される請求項1に記載のブロックコポリマー。
    X(YZ)p1又はX(ZY)p2 (i)
    (式中Xはポリアルキレンエーテルからなるブロック(X)、Yは炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)からなるブロック(Y)、Zは前記ブロック(Y)の有するアシル基とは異なるアシル基を有するポリ(アルキレンイミン)又はアシル基を有さないポリ(アルキレンイミン)からなるブロック(Z)を表し、各ブロックの数平均重合度は各々独立して5〜10000の範囲であり、p、pは1又は2の整数を表す。)
  3. 前記ポリアルキレンエーテルからなるブロック(X)が、一般式(1)
    Figure 2005298542
    (式(1)中、nは2又は3であり、mは5〜10000の範囲である。)
    で表されるブロックであり、前記炭素数が3以上のアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)からなるブロック(Y)が、一般式(2)
    Figure 2005298542
    (式(2)中、Rはアシル基を表し、nは2又は3であり、mは5〜10000の範囲である。)
    で表されるブロックであり、前記ブロック(Y)の有するアシル基と異なるアシル基を有していてもよいポリ(アルキレンイミン)からなるブロック(Z)が、一般式(3)
    Figure 2005298542
    (式(3)中、Rは水素原子、又は式(2)中のRで表されるアシル基とは異なるアシル基を表し、nは2又は3であり、mは5〜10000の範囲である。)
    である請求項1又は2に記載のブロックコポリマー。
  4. 前記式(3)中のRが、水素原子である請求項3に記載のブロックコポリマー。
  5. 前記ブロック(Y)が疎水性のブロックであり、前記ブロック(Z)が親水性のブロックである請求項1〜3のいずれかに記載のブロックコポリマー。
  6. 前記式(2)中のRと前記式(3)中のRとの組み合わせにおいて、R/Rが炭素数が3以上のアシル基/水素原子、ホルミル基、又はアセチル基の組み合わせ、R/R又はR/Rが、プロピオニル基/炭素数が4以上のアシル基、飽和脂肪族アシル基又は不飽和脂肪族アシル基/芳香族アシル基、あるいは非フッ素のアシル基/フッ素を有するアシル基との組み合わせから選ばれる一種である請求項3に記載のブロックコポリマー。
  7. ポリアルキレンエーテル(a)の片末端又は両末端に、ハロゲン原子又はスルホン酸エステル基を有するポリアルキレンエーテル誘導体に、環状イミノエーテルモノマー(b)をリビングカチオン重合させ、次いで、前記環状イミノエーテルモノマー(b)とは異なる環状イミノエーテルモノマー(c)をカチオン重合させることにより、ポリアルキレンエーテルブロック(A)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)と、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)とは異なるアシル基を有するポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)とからなるブロックコポリマーの製造方法。
  8. 前記環状イミノエーテルモノマーが、オキサゾリンモノマー又はオキサジンモノマーである請求項7に記載のブロックコポリマーの製造方法。
  9. 請求項7に記載の工程の後に、前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)又は前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)のいずれかのブロック中のアシル基を選択的に加水分解してポリ(アルキレンイミン)ブロック(D)とするブロックコポリマーの製造方法。
  10. 前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(B)又は前記ポリ(N−アシルアルキレンイミン)ブロック(C)のいずれかのブロック中のアシル基の選択的な加水分解を、前記ブロックコポリマー前駆体中のアセチルアルキレンイミンユニットのモル数、又は前記プロピオニルアルキレンイミンユニットのモル数に対して1〜20倍モルの塩酸を使用する請求項9に記載のカチオン性トリブロックコポリマーの製造方法。
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