JP2003212755A - 温度感受性リポソーム - Google Patents

温度感受性リポソーム

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JP2003212755A JP2002015553A JP2002015553A JP2003212755A JP 2003212755 A JP2003212755 A JP 2003212755A JP 2002015553 A JP2002015553 A JP 2002015553A JP 2002015553 A JP2002015553 A JP 2002015553A JP 2003212755 A JP2003212755 A JP 2003212755A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内包物の放出温度を任意に設定できる温度感
受性リポソームを提供する。 【解決手段】 感熱応答性部分と疎水性部分とを有する
高分子化合物を膜に保持した温度感受性リポソーム。高
分子化合物としては、水和可能なヘテロ原子を1個以上
含む感熱応答性ビニル系モノマーと疎水性ビニル系モノ
マーとのブロック共重合体が挙げられる。このリポソー
ムは、温度を上げると所定温度で内包物を放出する。こ
のリポソームは、低温において少なくとも疎水性部分が
脂質膜に埋入され、感熱応答性部分が膜外に存在すると
考えられる。また温度を上げると、所定温度で感熱応答
性部分の水和水が脱水和して疎水性になり膜内に入り込
み、膜が乱れて内包物を放出すると考えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定温度で内部に
封入された物質を放出できる温度感受性リポソームに関
する。
【0002】
【従来の技術】リポソームは、リン脂質等の脂質二重膜
からなり、生体内で代謝されるために、抗ガン剤、抗菌
剤のような薬剤や遺伝子等の安全な運搬体としての応用
価値がある。
【0003】特に、所定温度で崩壊して内容物を放出す
る温度感受性リポソームは、抗ガン剤を内包させた温度
感受性リポソームをガンの温熱療法と併用することによ
り、優れた治療効果が得られることが報告されている
(「癌の臨床」第32巻、第13号(1986)、「総
合臨床」第37巻、第1号(1988))。
【0004】従来の温度感受性リポソームとしては、相
転移温度を有するリン脂質等を主成分とし、相転移温度
でゲル状態から液晶状態に変化し、膜構造に乱れを生じ
て内包物質を放出するものが一般的である。
【0005】しかし、脂質のみからなるリポソーム膜の
相転移温度は脂質によって定まっているため、内包物の
放出温度の設定の自由度が低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、内包物の放
出温度を自由に設定できる温度感受性リポソームを提供
することを主目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者は研究を重ね、以下の知見を見出した。 リン脂質等の膜脂質の他に、感熱応答性部分と疎水
性部分とを有する高分子化合物を用いて、リポソームを
調製することにより、この高分子化合物を保持したリポ
ソームが得られる。この理論に限定されるものではない
が、本発明者は、このリポソームにおいては、リポソー
ムの脂質膜に高分子化合物の疎水性部分が埋め込まれ膜
外に感熱応答性部分が存在していると考えている。 このリポソームに目的物質を内包させておき、水中
に分散させた状態で昇温させると、ある温度で内包物を
放出する。この理論に限定されるものではないが、本発
明者は以下のように考えている。すなわち、低温下では
高分子化合物の感熱応答性部分が水和されているが、温
度を上昇させると脱水和し、その結果、感熱応答性部分
の疎水性が増大して、当初脂質膜外に存在していた部分
の全体又は一部がリポソーム膜内に入り、脂質二重膜が
乱れる。リポソーム膜の脂質が整然と配列することによ
り、目的物質が内部に封入されているため、このように
膜が乱れる場合には内包物が放出される。 このリポソームの内包物の放出温度は、高分子化合
物の構造を設計することにより、リポソーム自体が安定
に保持される温度範囲内で任意に設定することができ
る。例えば、感熱応答性モノマーユニットの親水性部分
を大きくするほど高い温度で内包物を放出するようにな
る。 この高分子化合物の分子量、特にその感熱応答性部
分をある程度以上大きくすると、より狭い温度領域で、
内包物を放出させることができる。 この高分子化合物をリビングカチオン重合により合
成する場合には、開始剤量とモノマー量を設定すること
により所望の分子量の高分子化合物を得ることができ
る。また、リビングカチオン重合によると、この高分子
化合物における感熱応答性部分と疎水性部分との比率を
簡単に所望の値にすることができる。また、様々な感熱
温度を有するモノマーの重合、共重合も可能である。従
って、リビングカチオン重合により得られる高分子化合
物を用いることにより、リポソーム内包物の放出温度の
設定が一層容易になる。また、リビングカチオン重合に
より得られる高分子化合物は、ラジカル重合や通常のイ
オン重合に比べて分子量分布の狭いものとなり、これを
用いたリポソームは、一層狭い温度範囲で内包物を放出
できるものとなる。
【0008】本発明は、前記知見に基づきさらに研究を
重ねて完成されたものであり、以下の各項の温度感受性
リポソームを提供するものである。 項1. 感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子
化合物を、少なくともその疎水性部分を介してリポソー
ム膜に保持した温度感受性リポソーム。 項2. 高分子化合物が、水和可能なヘテロ原子を1個
以上含む感熱応答性ビニル系モノマーと疎水性ビニル系
モノマーとのブロック共重合体である項1に記載の温度
感受性リポソーム。 項3. 高分子化合物が、以下の式3の化合物である項
2に記載の温度感受性リポソーム。
【0009】
【式3】
【0010】(式中、R1は水素原子、以下の式4に示す
置換基又はリビングカチオン重合の開始剤として従来公
知の化合物から得られる置換基であり、R2は炭素数1〜
8のアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル
基、炭素数1〜4のエステル基、アルデヒド基、フェニ
ル基、ビフェニル基又は炭素数7〜14のアラルキル基
であり、R3は炭素数4〜30の炭化水素基であり、R4は水
素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基又はリビング
カチオン重合の停止剤として従来公知の化合物から得ら
れる置換基である。mは5〜500、nは1〜10、yは0
〜100である。)
【0011】
【式4】
【0012】(式中、Xは同一又は異なって、水素原子
またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等
のハロゲン原子である。R11は水素原子、炭素数1〜20の
アルキル基、エーテル基、オキシエチレン基又はアリー
ル基である。) 項4. 高分子化合物の感熱応答性部分の数平均分子量
が1000〜30000である項1、2又は3に記載の温度感受
性リポソーム。 項5. 高分子化合物の数平均分子量が2000〜50000で
ある項1から4のいずれかに記載の温度感受性リポソー
ム。 項6. 高分子化合物の重量平均分子量/数平均分子量
の比率が1〜4である項1から5のいずれかに記載の温度
感受性リポソーム。 項7. リポソームの全体重量に対する高分子化合物の
重量の比率が30〜60重量%である項1から6のいずれか
に記載の温度感受性リポソーム。 項8. 高分子化合物が、リビングカチオン重合により
合成されたものである項1から7のいずれかに記載の温
度感受性リポソーム。 項9. 内部に目的物質が封入された項1から8のいず
れかに記載の温度感受性リポソーム。 項10. 目的物質が、遺伝子、医薬品、化粧品、香
料、香辛料、色素、染料、2液性髪染め料又は脱色剤の
1成分、2液性硬化剤の1成分からなる群より選ばれた
物質である項9に記載の温度感受性リポソーム。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明の温度感受性リポソームは、感熱応
答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合物を、少な
くともその疎水性部分を介してリポソーム膜に保持した
リポソームである。
【0015】本発明のリポソームにおいて、高分子化合
物は、少なくともその疎水性部分がリポソームの脂質2
重層内に埋入され、感熱応答性部分が膜外に存在してい
ると考えられる。また、高分子化合物の疎水性部分が非
常に小さい場合には、感熱応答性部分が脂質2重層表面
と相互作用することにより脂質膜に保持されていると考
えられる。構造等 本発明のリポソームは、粒径0.05〜10μm程度の範囲内
であればよく、使用目的に応じて種々の粒径とすること
ができる。ヒトの血管内に投与する目的の場合には、通
常0.05〜0.2μm程度、特に0.05〜0.1μm程度であるこ
とが好ましい。リポソームの粒径は、従来公知の方法で
調節できる。例えばエクストルーダー法でリポソームを
調製する場合にはエクストルーダーに装着するフィルタ
ーの孔径を調節することにより、任意に設定することが
できる。リポソームの粒径は、動的光散乱法又は電子顕
微鏡観察により測定された値である。
【0016】本発明のリポソームは、前記粒径の範囲内
であれば、単層リポソームまたは多重層リポソームのい
ずれであってもよい。
【0017】本発明のリポソームは、使用目的によって
も異なるが、通常10〜100℃程度、好ましくは20〜80℃
程度の温度範囲内で内包物を放出できるものである。使
用する脂質によっても異なるが、10〜100℃程度の範囲
内であれば、リポソーム自体が不安定になる可能性がな
い又は低い。内包物の放出温度は、高分子化合物の感熱
応答性部分の構造、すなわち親水性部分と疎水性部分の
割合及び官能基の種類等を設計することにより、この範
囲内で任意に設定できる。ガンや炎症の治療等のために
ヒトに投与する目的で用いる場合には、通常40〜45℃程
度、特に40〜42℃程度で内包物を放出できるものである
ことが好ましい。
【0018】また、本発明のリポソームは、後述する方
法により狭い温度範囲で内包物を放出するものにするこ
とができるが、必ずしも、このように狭い温度範囲で内
包物を放出するものでなくてもよい。例えば、芳香剤等
を封入したリポソームなどは徐々に芳香剤を放出するこ
とが好ましい場合もある。脂質 本発明のリポソームの主成分は両親媒性の脂質であり、
両親媒性の脂質としては、リポソームの膜脂質として従
来公知の脂質を用いることができる。このような脂質と
して、例えばホスファチジン酸、ホスファチジルエタノ
ールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセ
リン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイ
ノシトール、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、大
豆レシチン、卵黄レシチン等のリン脂質が挙げられる。
これらのリン脂質において、脂肪酸部分はラウリル、ミ
リストイル、パルミトイル、ステアロイル、アラキドイ
ル、オレイル、リノイル、リノレイル等の任意の組み合
わせとすることができる。これらは単独で又は2以上組
み合わせて使用できる。特に、ホスファチジルコリン、
ホスファチジルエタノールアミン等が好ましい。
【0019】また、遺伝子の運搬体としてのリポソーム
とする場合には、前記例示したリン脂質の他、従来公知
のカチオン性の人工脂質を用いることができる。このよ
うなカチオン性の人工脂質としては、例えばN−(α−
トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシルグルタメ
ート、N−〔1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピ
ル〕−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド及
び1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチ
ルアンモニオ)プロパン等の第4級アンモニウム塩が挙
げられる。これらの脂質は、単独でまたは2以上組み合
わせて用いることができる。
【0020】リポソームを構成する脂質には、コレステ
ロール、ラノステロール、エルゴステロール等のステロ
ールが含まれていてもよい。高分子化合物 <構造> 温度感受性リポソームに含まれる高分子化合物
は、感熱応答性部分を有する高分子化合物である。特
に、感熱応答性部分と疎水性部分とを有する高分子化合
物であることが好ましい。このような、高分子化合物の
種類は特に限定されないが、例えば、水和可能なヘテロ
原子を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマーと、疎
水性ビニル系モノマーとのブロック共重合体が挙げられ
る。
【0021】水和可能なヘテロ原子としては、酸素原
子、窒素原子等が挙げられる。水和可能なヘテロ原子の
数の上限は、重合を行える範囲であれば特に限定されな
い。水和可能なヘテロ原子を含む置換基としては、−CH
2−CH2−O−、−CO−、―COO―、―CONH―、−NHCOO−
等が挙げられる。
【0022】また、疎水性ビニル系モノマーとしては、
炭素数3〜40個程度、特に炭素数4〜30個程度の各種の
脂肪族、脂環族又は芳香族の炭化水素基を有するビニル
系モノマーを使用できる。
【0023】前記のブロック共重合体において、ヘテロ
原子を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマーと疎水
性ビニル系モノマーとの共重合比率は、各モノマーの種
類によっても異なるが、通常300:1〜3:1程度、特に20
0:1〜10:1程度が好ましい。この範囲内であれば、高
分子化合物をリポソームの膜に安定に保持できる。<分子量> 高分子化合物の数平均分子量のうち感熱応答
性部分に該当する量は、特に制限されないが、通常数百
〜数十万程度とすればよい。特に、1000〜30000程度、
さらに特に10000〜20000程度とすることが好ましく、こ
れにより狭い温度範囲で内包物を放出できるものとな
る。
【0024】また、この高分子化合物全体の分子量は、
特に制限されないが、数平均分子量で、通常数百〜数十
万程度とすればよい。この範囲内であれば、脂質膜に安
定に保持される。特に2000〜50000程度、さらに特に100
00〜20000程度(特に11000〜21000程度)とすることが
好ましく、これにより狭い温度範囲で内包物を放出でき
るものとなる。
【0025】また、高分子化合物の分子量分布(重量平
均分子量/数平均分子量)は、通常1〜4程度、特に1.0
〜1.5程度であることが好ましい。この範囲内であれ
ば、得られるリポソームが実用上十分に狭い温度範囲で
内包物を放出できるものとなる。
【0026】本発明において、数平均分子量及び重量平
均分子量は、それぞれ実施例に記載の方法により測定し
た値である。<含有量> 本発明のリポソームにおける高分子化合物の
含有量は、通常10〜60重量%程度、特に30〜60重量%程
度とすることが好ましい。高分子化合物の含有量が多い
方が、得られるリポソームの温度感受性が高くなるが、
含有量が余りに多いとリポソームを調製すること自体が
困難になってくる。前記の範囲内であれば、リポソーム
を十分に温度感受性とすることができるとともに、実用
上十分に安定なリポソームが得られる。<高分子化合物の具体例> 高分子化合物の好適な具体例
としては、以下の化合物が挙げられる。
【0027】
【式5】
【0028】(式中、R1は水素原子、以下の式6に示す
置換基又はリビングカチオン重合の開始剤として従来公
知の化合物から得られる置換基であり、R2は炭素数1〜
8のアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル
基、炭素数1〜4のエステル基、アルデヒド基、フェニ
ル基、ビフェニル基又は炭素数7〜14のアラルキル基
であり、R3は炭素数4〜30の炭化水素基であり、R4は水
素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基又はリビング
カチオン重合の停止剤として従来公知の化合物から得ら
れる置換基である。mは5〜500、nは1〜10、yは0
〜100である。)式5において、R1として例示した式6
の置換基は以下の通りである。
【0029】
【式6】
【0030】(式中、Xは同一又は異なって、水素原子
またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等
のハロゲン原子である。R11は水素原子、炭素数1〜20の
アルキル基、エーテル基、オキシエチレン基又はアリー
ル基である。) リビングカチオン重合の開始剤として従来公知の化合物
としては、例えば特開平1-108202号公報又は特開平1-10
8203号公報に記載の開始剤、イニファー法(米国特許42
76394号)で用いられている開始剤(α位に芳香環を有
する塩素化合物)から得られる置換基(特開2001-05540
8)、東村らによりMacromolecules,17,265,1984におい
て報告されている開始剤(ヨウ化水素とヨウ素とを組み
合わせた開始剤)、特開昭62−48704、特開昭64−62308
に記載されている開始剤から得られる置換基等が挙げら
れる。
【0031】R2は、上記列挙した置換基のうち、特に炭
素数1〜4個程度のアルキル基であることが好ましい。
【0032】R3は、炭素数4〜30個程度の炭化水素基で
あるが、このような置換基としては、アルキル基、アリ
ール基、アラルキル基等が挙げられる。特に、炭素数8
〜30個程度の直鎖アルキル基が好ましい。
【0033】mとnとの比率については、R1、R2、R3、R4
の種類及びオキシエチレン鎖の長さ等によっても異なる
が、m:nが300:1〜3:1程度、特に200:1〜10:1程度
となるようにすればよい。
【0034】前述したように、yは0〜100程度であり、y
=0の場合にはオキシエチレンは存在しない。yは特に0
〜10程度であることが好ましい。オキシレチレン鎖が
長いほど、内包物の放出温度が高くなるが、この範囲内
であれば、リポソームを10〜100℃程度の温度範囲で内
包物を放出させることができる。<合成方法> この高分子化合物は、ビニルモノマーの種
類によっても異なるが、カチオン重合等の公知の方法で
モノマーを重合させることにより得られる。特に、リビ
ングカチオン重合によることが好ましい。リビングカチ
オン重合法は、例えば特開平1-108202号公報、特開平1-
108203号公報、特開2001-055408号公報、特開2000-1988
25号公報、特開平8-269118号公報に記載されている。
【0035】リビングカチオン重合によると、モノマー
が無くなるか又は停止剤を添加するまで成長末端が消滅
しないため、感熱応答性部分及び疎水性部分の各鎖長ひ
いては高分子化合物の分子量を容易に所望の値にするこ
とができる。また、他の重合法に比べて、狭い分子量分
布の高分子材料を得ることができる。従って、得られる
高分子化合物を用いて調製したリポソームは、狭い温度
範囲で内包物を放出できるものとなる。内包物 本発明のリポソームは、内部に遺伝子、医薬品、化粧
品、色素、染料、香料、香辛料、2液性髪染め料又は脱
色剤の1成分、2液性硬化剤の1成分等を含んでいても
よい。
【0036】遺伝子としては、それには限定されない
が、例えば、重症複合型免疫不全症の治療のためのアデ
ノシンデアミナーゼ遺伝子、家族性高コレステロール血
症の治療のためのLDL受容体遺伝子、癌治療のためのイ
ンターフェロン(IFN)−α、β又はγ遺伝子、顆粒球マ
クロファージコロニー刺激因子(GM-CFS)遺伝子、各種
インターロイキン(IL)遺伝子、腫瘍壊死因子(TNF)−
α遺伝子、リンホトキシン(LT)−β遺伝子、顆粒球コロ
ニー刺激因子(G-CSF)遺伝子、T細胞活性化共刺激因子
遺伝子等が挙げられる。その他、アルツハイマー病、脊
椎損傷、パーキンソン病、動脈硬化症、糖尿病、高血圧
症等の治療のための遺伝子も挙げられる。
【0037】医薬品としては、それには限定されない
が、例えば温熱療法と併用される抗腫瘍剤、抗炎症剤等
が挙げられる。抗腫瘍剤の具体例としては、シスプラチ
ン、カルボプラチン、テトラプラチン、イプロプラチン
等の金属錯体、アドリアマイシン、マイトマイシン、ア
クチノマイシン、アンサマイトシン、ブレオマイシン、
Ara-C、ダウノマイシン等の制癌抗生物質、5-FU、メト
トレキセート、TAC-788等の代謝拮抗剤、BCNU、CCNU等
のアルキル化剤、インターフェロン(α、β、γ)、各
種インターロイキン等のリンホカイン等が挙げられる。
また、抗炎症剤の具体例としては、プレドニン、リンデ
ロン、セレスタミン等を例示できる。これらの医薬品を
内包したリポソームは、ヒトに投与後、患部を温めるこ
とによりその部分で内包物を放出して薬効を表す。
【0038】化粧品としては、それには限定されない
が、例えば長時間皮膚に付けると炎症等を引き起こしや
すい日焼け止め等が挙げられる。このような化粧品は本
発明のリポソームに封入することにより日光が当たった
ときに初めて内包物を放出するようになるため、皮膚に
対するダメージを最小限に抑えることができる。
【0039】色素は食用のものでもそうでなくてもよ
い。色素及び染料は、必要時にのみ加熱してリポソーム
外に放出させ、発色させることができる。これにより取
り扱い時に意図しない部分に付着して発色することがな
い。意図しない部分に付着した色素又は染料は水で洗い
流せばよい。
【0040】香料及び香辛料は、揮発性のものであって
もそうでなくてもよい。それには限定されないが、揮発
性の香料又は香辛料である場合には、必要時まではリポ
ソーム内に封入されているため減量せず、必要時にリポ
ソームから放出されて十分に芳香を放つことができる。
例えば、清涼感のある香料を封入したリポソームは、室
温が高くなると香料を放出して清涼感のある香りを周囲
に漂わせることができる。
【0041】髪染め料及び脱色剤の中には、2液性であ
って使用時に2成分を混合するものがあるが、このよう
な髪染め料又は脱色剤は、一方の成分を本発明のリポソ
ームに封入した上で他方成分との混合物にしておくこと
ができる。そして、使用時に加熱することにより両成分
を反応させればよい。これにより、混合する手間が省
け、また容器を汚すことがない。
【0042】2液性硬化剤としては、例えばシリコーン
系樹脂、ポリサルファイド系樹脂、ポリウレタン系樹脂
又はエポキシ系樹脂のように反応硬化型の樹脂が挙げら
れる。このような2液性硬化剤は、一方の成分を本発明
のリポソームに封入した上で他方成分との混合物にして
おくことができる。そして、塗布した後に加熱すること
により両成分を反応させて硬化させればよい。これによ
り2成分を混合した後に、素早く塗布しなくてもよくな
り、作業が簡単になる。これは、家庭用接着剤、建設用
接着剤又は建設用シーリング剤等のいずれとしても使用
できる。
【0043】内包物の量は、リポソームの使用目的、リ
ポソームの使用環境の浸透圧等を考慮して適宜選択すれ
ばよいが、通常0.1mol/l〜0.4mol/l程度の濃度で薬物
等を内包することができる。リポソームの製造方法 本発明のリポソームは、従来公知のリポソームの製造方
法において、脂質とともに本発明の高分子化合物を添加
することにより製造することができる。従来公知のリポ
ソーム製造方法としては、エクストルーダー法、超音波
法、フレンチプレス法等が挙げられる。これらの方法の
詳細は、「リポソーム」(野島小七、砂本順三、井上圭
三編、南江堂)及び「ライフサイエンスにおけるリポソ
ーム」(寺田弘、吉村哲郎編、シュプリンガー・フェア
ラーク東京)に記載されている。
【0044】例えば、エクストルーダー法により本発明
のリポソームを製造する方法について説明すると、全体
量に対して10〜60重量%程度の高分子化合物をクロロホ
ルム等の適当な有機溶媒に溶解させた溶液を容器内に入
れる。次いで、エバポレーターを用いて溶媒を除去し、
容器壁に脂質と高分子化合物とからなる膜を形成させ
る。好ましくは、さらに3〜12時間程度真空乾燥させた
後、この容器内に、内包化合物を水や適当なバッファー
に溶解した溶液を入れる。内包化合物の溶液の濃度は、
目的に応じて異なるが、通常、リポソーム作製時に使用
する化合物溶液濃度を0.1mol/l〜0.4mol/l程度にする
ことができる。次いで、溶液を超音波処理またはボルテ
ックスミキサー等を用いて強く攪拌することにより、溶
媒中に分散したリポソームが得られる。さらに、リポソ
ーム分散液をエクストルーダーに通すが、そのフィルタ
ー孔径を適宜設定することにより、粒径0.05〜0.5μm程
度のリポソームが得られる。この方法により、通常1~
数層程度のリポソームが得られる。最後に、得られたリ
ポソームから、担持されなかった高分子化合物及び内包
化合物を除去する。残余の高分子化合物及び内包化合物
は、通常ゲルろ過法、透析法等により除去すればよい。
電荷を有する化合物の場合には、イオン交換クロマトグ
ラフィーによることもできる。
【0045】
【発明の効果】本発明によると、放出温度を自由に設定
できる温度感受性リポソームが得られる。詳述すれば、
本発明のリポソームは、感熱応答性部分と疎水性部分と
を有する高分子化合物を、少なくともその疎水性部分が
脂質膜に埋入されることにより保持している。このリポ
ソームの温度を上げることにより感熱応答性部分に水和
していた水が脱水和し、感熱応答性部分が疎水性となっ
て膜内に入り脂質2重層が乱れて内包物が放出される。
ここで、高分子化合物の感熱応答性部分の置換基の種類
を選択することにより内包物の放出温度を調節すること
ができる。また、高分子化合物の分子量分布を狭くした
り、感熱応答性部分の分子量を大きくするほど、狭い温
度で内包物を放出するようになる。また、従来使用され
ている遺伝子の運搬体としてのリポソームは、カチオン
性の人工脂質からなるリポソームに遺伝子を内包させ、
負に荷電した細胞表面に静電的相互作用によりその遺伝
子を運搬するものであった。この方法では、細胞選択性
がなく、注入した部位の細胞にのみ遺伝子が運搬され
る。この点、本発明の温度感受性リポソームを、カチオ
ン性の人工脂質を用いて調製する場合には、リポソーム
表面に中性の高分子化合物の感熱応答性部分が存在する
ために、その表面は中性になる。このリポソームをヒト
に投与後、所定部位を暖めることにより、その部位で感
熱応答性部分の水和水が脱水和し、高分子鎖の全体又は
略全体がリポソーム膜内に入るため、リポソーム表面が
カチオン性となって負荷電した細胞表面と相互作用でき
るようになる。これにより、所望の細胞に選択的に遺伝
子を運搬することができる。
【0046】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。<分子量の測定方法> 高分子化合物の重量平均分子量
(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、それぞれゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)の結果から算出し
た。GPCは、高速液体クロマトグラフ(東ソー社製のTSK
gelカラムG-200HXL+G-3000 HXL+G-4000 HXL、溶離液は
クロロホルム)を用いて行い、そのクロマトグラフィー
の結果から、被験化合物の分子量をポリスチレンを標準
物質として算出することにより、ポリスチレン換算Mw及
びMnとして求めた。<内包物質放出試験> 試験的内包物質として蛍光物質で
あるカルセインを用いて、以下の方法でリポソームから
のカルセインの放出温度を調べた。
【0047】カルセインを封入したリポソームを、所定
の低い温度のTris-HCl(140mM Tris-HCl, 100mM NaCl)
緩衝溶液中に分散させ(脂質濃度にして10μM)、この緩
衝液の温度を徐々に上げていき、分散液の蛍光強度を分
光蛍光光度計(島津製作所社製、RF5300)を用いて経時
的に測定した。
【0048】カルセインは高濃度において消光するた
め、リポソーム内部に封入されているときには蛍光を出
さないが、リポソームから緩衝液中に放出されると蛍光
を発する。したがって、緩衝液を昇温させつつリポソー
ム分散液のカルセインの蛍光をモニターすることによっ
て、リポソームからのカルセインの放出温度を調べるこ
とができる。カルセインの励起波長およびモニター波長
はそれぞれ490nmおよび520nmとした。
【0049】リポソームからのカルセインの放出率は以
下の式によって算出した。
【0050】放出率=(Ft-Fi)/(Ff-Fi)×100 Ft:測定温度におけるリポソーム分散液のカルセイン蛍
光強度 Fi:昇温開始前の温度におけるリポソーム分散液のカル
セイン蛍光強度 Ff:界面活性剤トリトン-X100 (0.2v/v%)を加えてリポ
ソームを破壊したときのカルセイン蛍光強度<リポソームの調製> 卵黄ホスファチジルコリン(EYP
C)(3mg)、オイルホスファチジルエタノールアミン
(DOPE)(4.5mg)および高分子化合物(3.8mg〜11.3mg)
をクロロホルム2mlに溶解した溶液を、10ml容のフラス
コに入れ、ロータリーエバポレーターを用いてクロロホ
ルムを除去することにより、フラスコ内壁にリン脂質と
高分子化合物との混合薄膜を形成させた。さらに1晩真
空乾燥した後、蛍光色素カルセイン(63 mmol/l)の水溶
液(0.75 ml, pH7.4)を加え、1分間バス型超音波照射器
(Branson, B-32)で超音波照射して脂質/高分子複合体
を分散させ、リポソームを得た。さらにこのリポソーム
分散液を、エクストルーダー(Avestin, フィルター孔径
100nm)を用いて、リポソームの粒径をそろえた。担持
されてない高分子化合物およびカルセインは、10mM Tri
s-HCl+100mM NaCl緩衝液(pH7.4、4℃)を溶離液とす
るゲル濾過(Sephadex G-75, Pharmacia Biotech)によ
り除去した。実施例1 感熱応答性部分のみ有する高分子化合物を溶解させた水
溶液を調製し、この水溶液の温度を上昇させることによ
り、感熱応答性部分が親水性から疎水性となる温度を調
べた。水溶液の温度を上昇させると、水和水が外れ又は
水和水塊が小さくなり、その結果高分子化合物が分子内
又は分子間で会合して沈殿を生じる。従って、水溶液に
波長500nmの光を照射して波長500nmの光の透過率をモニ
ターしながら、水溶液の温度を上昇させ、当該透過率が
急激に低下するときの温度を臨界溶液温度とした。
【0051】感熱応答性部分のみ有する高分子化合物を
用いたのは、疎水性部分が含まれていると、疎水性部分
が会合体を作るため、感熱応答性部分から水和水が外れ
ることによる透過率の低下を正確に検出することができ
ないからである。<感熱応答性高分子化合物の合成> 三方活栓を取り付け
たガラス容器を窒素雰囲気下250℃で加熱し、容器内を
十分に乾燥した。系を室温に戻した後、(2−エトキ
シ)エトキシエチルビニルエーテル4mmol、酢酸エチル
10mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.04mmol及
びトルエン6.2mlを加え、系内温度が0℃に達したところ
でエチルアルミニウムセスキクロライドを0.2mmol加え
重合を開始した。重合の停止は、系内に少量のアンモニ
ア水を含んだメタノール3mlを加えて行った。反応を終
えた混合溶液中にジクロロメタンを加えて希釈し、0.6N
の塩酸溶液で3回、次いで蒸留水で3回洗浄した。得ら
れた反応物をエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥さ
せ、目的物のポリマーを得た。化合物の同定はNMR及びG
PCを用いて行った。これによりMn=15800、Mw/Mn=1.16
のポリマーが得られた。
【0052】前記説明したMn=15800のポリマーの合成に
おいて、(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエーテ
ルの量を2.6mmolとした他は同様にしてMn=8300、Mw/Mn
=1.15のポリマーを得た。また、前記説明したMn=15800
のポリマーの合成において、(2−エトキシ)エトキシ
エチルビニルエーテルの量を1.3mmolとした他は同様に
してMn=5300、Mw/Mn=1.14のポリマーを得た。<臨界溶液温度の測定> 数平均分子量5300、8300及び15
800の各ポリ(2-エトキシ)エトキシエチルビニルエー
テルについて、それぞれ1.0重量%、0.5重量%、0.2重
量%及び0.1重量%の水溶液を調製した。各ポリビニル
エーテル水溶液を30℃から50℃まで徐々に昇温させ、そ
の間の500nmにおける透過率をモニターした。
【0053】結果を図1に示す。(A)は数平均分子量530
0の各ポリ(2-エトキシ)エトキシエチルビニルエーテ
ル、(B)は数平均分子量8300の各ポリ(2-エトキシ)エ
トキシエチルビニルエーテル、(C)は数平均分子量15800
の各ポリ(2-エトキシ)エトキシエチルビニルエーテル
を用いた場合の結果である。
【0054】図1から、いずれの分子量でも40〜45℃程
度の範囲内で高感度で使用液が白濁しており、親水性か
ら疎水性に変化していることが分かる。特に分子量があ
る程度(ここでは8300)以上大きくなると、その感度は
極めて高くなることが分かる。
【0055】また、図2は、図1において、熱感応性高
分子化合物の濃度に対して臨界溶液温度(500nmにおけ
る透過率が急に低下する温度)をプロットしたグラフで
ある。図2から、いずれの分子量、濃度においても高感
度な相分離が見られることが分かる。さらに詳しく検討
すると、親水性高分子化合物の分子量が大きいほど臨界
溶液温度が概ね高くなることが分かる。実施例2 <高分子化合物の合成> ブロックコポリマーの合成は、
逐次モノマー添加法により行った。先ず、三方活栓を取
り付けたガラス容器を窒素雰囲気下250℃で加熱し、容
器内を十分に乾燥した。系を室温に戻した後、(2−エ
トキシ)エトキシエチルビニルエーテル4mmol、酢酸エ
チル10mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.04mmo
l及びトルエン6.2mlを加え、系内温度が0℃に達したと
ころでエチルアルミニウムセスキクロライドを0.2mmol
加え重合を開始した。重合がほぼ終了した時点で、第2
のモノマーとしてオクタデシルビニルエーテル0.2mmol
を含んだトルエン溶液3mlを加えてブロック共重合を行
った。重合の停止は、系内に少量のアンモニア水を含ん
だメタノール3mlを加えて行った。反応を終えた混合溶
液中にジクロロメタンを加えて希釈し、0.6Nの塩酸溶液
で3回、次いで蒸留水で3回洗浄した。得られた反応物
をエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥させ、目的物
のポリマーを得た。化合物の同定はNMR及びGPCを用いて
行った。これによりMn=16700、Mw/Mn=1.14のポリマー
が得られた。得られたポリマーにおいて、オクタデシル
ビニルエーテル/(2−エトキシ)エトキシエチルビニ
ルエーテルの共重合比率は、100/5であった。
【0056】前記説明したMn=16700のポリマーの合成に
おいて、(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエーテ
ルの量を2.6mmolとした他は同様にしてMn=9300、Mw/Mn
=1.16のポリマーを得た。得られたポリマーにおいて、
オクタデシルビニルエーテル/(2−エトキシ)エトキ
シエチルビニルエーテルの共重合比率は、66/5であっ
た。
【0057】また、前記説明したMn=16700のポリマーの
合成において、(2−エトキシ)エトキシエチルビニル
エーテルの量を1.3mmolとした他は同様にしてMn=6900、
Mw/Mn=1.13のポリマーを得た。得られたポリマーにお
いて、オクタデシルビニルエーテル/(2−エトキシ)
エトキシエチルビニルエーテルの共重合比率は、33/5
であった。<カルセイン放出温度> 分子量6900、9300及び16700の
各オクタデシルビニルエーテル−(2−エトキシ)エト
キシエチルビニルエーテル共重合体を保持し、カルセイ
ンを内包したリポソームの分散液をそれぞれ調製し、各
分散液の温度を10℃から50℃まで徐々に上げていき、カ
ルセインの放出率をモニターした。
【0058】結果を図3に示す。図3から、高分子化合
物の分子量が大きいほど、狭い温度範囲でカルセインを
放出することが分かる。
【0059】また、前記の各リポソーム分散液を25℃及
び40℃でインキュベートし、カルセインの放出率をモニ
ターした。結果を図4に示す。図4から、分子量が大き
いほど、短時間でカルセインを放出できることが分か
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】数平均分子量5300(A)、8300(B)及び15800(C)
の各ポリ(2-エトキシ)エトキシエチルビニルエーテル
の水溶液の温度と500nmにおける透過率との関係を示す
グラフである。
【図2】ポリ(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエ
ーテルの水溶液の臨界溶液温度の濃度と臨界溶液温度と
の関係を示すグラフである。
【図3】オクタデシルビニルエーテル−(2−エトキ
シ)エトキシエチルビニルエーテル共重合体を保持し、
蛍光物質のカルセインを内包したリポソームについて
の、温度とカルセイン放出温度との関係を示すグラフで
ある。
【図4】オクタデシルビニルエーテル−(2−エトキ
シ)エトキシエチルビニルエーテル共重合体を保持し、
蛍光物質のカルセインを内包したリポソームの25℃及び
40℃における経時的なカルセイン放出率を示すグラフで
ある。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感熱応答性部分と疎水性部分とを有する
    高分子化合物を、少なくともその疎水性部分を介してリ
    ポソーム膜に保持した温度感受性リポソーム。
  2. 【請求項2】 高分子化合物が、水和可能なヘテロ原子
    を1個以上含む感熱応答性ビニル系モノマーと疎水性ビ
    ニル系モノマーとのブロック共重合体である請求項1に
    記載の温度感受性リポソーム。
  3. 【請求項3】 高分子化合物が、以下の式1の化合物で
    ある請求項2に記載の温度感受性リポソーム。 【式1】 (式中、R1は水素原子、以下の式2に示す置換基又はリ
    ビングカチオン重合の開始剤として従来公知の化合物か
    ら得られる置換基であり、R2は炭素数1〜8のアルキル
    基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜
    4のエステル基、アルデヒド基、フェニル基、ビフェニ
    ル基又は炭素数7〜14のアラルキル基であり、R3は炭
    素数4〜30の炭化水素基であり、R4は水素原子又は炭素
    数1〜10のアルコキシ基又はリビングカチオン重合の
    停止剤として従来公知の化合物から得られる置換基であ
    る。mは5〜500、nは1〜10、yは0〜100である。) 【式2】 (式中、Xは同一又は異なって、水素原子またはフッ素
    原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原
    子である。R11は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、
    エーテル基、オキシエチレン基又はアリール基であ
    る。)
  4. 【請求項4】 高分子化合物が、リビングカチオン重合
    により合成されたものである請求項1、2又は3に記載
    の温度感受性リポソーム。
  5. 【請求項5】 内部に目的物質が封入された請求項1か
    ら4のいずれかに記載の温度感受性リポソーム。
  6. 【請求項6】 目的物質が、遺伝子、医薬品、化粧品、
    香料、香辛料、色素、染料、2液性髪染め料又は脱色剤
    の1成分、2液性硬化剤の1成分からなる群より選ばれ
    た物質である請求項5に記載の温度感受性リポソーム。
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