JP2009269358A - インクジェット記録方法およびインクセット - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷用紙のカール抑制ができ、かつ、鮮明な画像が得られるインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】1価アルコールを含む前処理液を記録媒体に付着させる工程;および顔料と、グリセリン、ジグリセリンおよびポリグリセリンのうちの少なくとも1種と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルと、水とを含むインクジェット用水性インクを用いて、インクジェット記録法により前記記録媒体に画像を形成する工程;を含むインクジェット記録方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法およびインクセットに関する。
インクジェット記録システムは、流動性の高い液体インクを微細なノズルから噴射し、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷システムである。このシステムは、比較的安価な装置で、高解像度、高品位の画像を、高速かつ低騒音で印刷可能、という特徴を有し最近急速に普及している。
インクとしては、安価に高画質の印刷物が得られることから、水性タイプのインクが普及している。水性インクは、水分を含有することにより乾燥性を高めたインクであり、油性インクに比べ普通紙に両面印字しても裏抜け(記録媒体裏面にインクが浸透すること)がしにくく、文字再現性がよいとの特徴がある。この水性インクの色剤には、大きく染料と顔料の2種類あるが、耐光性および耐水性が良好であることから顔料インクが急速に普及しつつある。
水性インクを用いて普通紙に印字する場合の問題点として、カール(凸カール)やコックリング(波打ち)現象が挙げられる。これは、記録媒体である用紙繊維への水性インクの浸透が早く、繊維間の水素結合が切断され、用紙が膨潤してしまうために生じる現象である。
特許文献1は、普通紙のカール(紙が反る、丸まる)を防止するとの課題を解決するための水性記録インクと無色の水性液体組成物とのインクジェット用インクセットであって、炭素数が4以上で水酸基を3つ以上もつ化合物A、または、炭素数が7以上で水酸基を2つもつ化合物Bを用いたインクセットを開示する。
特許文献2は、普通紙のカールを抑制するとの課題を解決するための無色インクと有色インクとからなるインクセットであって、無色インクと有色インクの双方が、SP値が16.5以上24.6未満の水溶性有機溶剤を含むインクセットを開示する。
特開2004−209758号公報 特開2007−161753号公報
しかし、本発明者らの検討によると、上記従来技術では、用紙のカール抑制効果の点で未だ不十分であるとともに、前処理によりインクが浸透しにくくなって画像が乱れる等の問題が生じることが判明した。
したがって、本発明は、用紙のカール抑制が充分にでき、かつ、鮮明な画像が得られるインクジェット用記録方法およびインクセットを提供することを課題とする。
本発明の一側面によれば、
1価アルコールを含む前処理液を記録媒体に付着させる工程;および
顔料と、グリセリン、ジグリセリンおよびポリグリセリンのうちの少なくとも1種と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルと、水とを含むインクジェット用水性インクを用いて、インクジェット記録法により前記記録媒体に画像を形成する工程;
を含むインクジェット記録方法が提供される。
別の本発明の一側面によれば、
1価アルコールを含む前処理液;および
顔料と、グリセリン、ジグリセリンおよびポリグリセリンのうちの少なくとも1種と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルと、水とを含むインクジェット用水性インク;
を備えたインクセットが提供される。
本発明のインクジェット記録方法によれば、画像形成に先立ち、1価アルコールを含む前処理液を予め記録媒体に付着させているので、カール抑制ができ用紙搬送性が良好である。さらに、前処理液がインクの浸透性を阻害することもなく、鮮明な画像を形成することができる。
前処理液は、1価アルコールを含むことを特徴とする。このアルコールが多価アルコールであると、本発明に係るインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」ともいう。)において、充分なカール抑制効果を発揮することができないばかりか、前処理液の記録媒体への浸透性が低下し、鮮明な画像を得ることが困難になる。
1価アルコールを含む前処理液は、記録媒体となる紙の繊維間の隙間に入り込み易いとの特性を備えるために、低粘度であり且つ高浸透性であることが望ましい。具体的には、粘度(23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値)は10mPs・s以下であることが好ましく、表面張力(SITA社製動的表面張力計を使用し、気泡周波数0.05Hzでの測定値)は35mN/m以下であることが好ましい。
あくまで推測であるが、記録媒体である用紙の繊維間の隙間に入り込んだ1価アルコールは、繊維のセルロースの水酸基部(サイト)に留まることで水分子の侵入を阻むことができ、その結果、水分子によるセルロース繊維の膨潤を抑制できると考えられる。さらに、1価アルコールは、それ自身の持つ極性から、水性インクとなじみやすく、したがって、前処理液で処理された記録媒体へのインクの浸透が妨げられることはない。
なお、発明者の検討によると、1価アルコールは前処理液として予め記録媒体に付着させることが必要であり、仮にインクにこれを添加しても、ノズル近傍でのインク自体の物性変化が発生し、その結果、吐出不良などの問題が発生する。
この1価アルコールは、本発明に係る記録方法におけるカール抑制効果の観点から、エタノールおよび/またはプロパノールであることが好ましく、エタノールであることがさらに好ましい。
前処理液中の1価アルコールの配合量は、60質量%より多いことが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが一層好ましい。
前処理液は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、1価アルコールと互いに溶解しうる、1価アルコール以外の水溶性有機溶剤、たとえばエーテル類、多価アルコール類、ピロリドン類等を一部含むことができる。一方、カール抑制効果の観点から、前処理液は実質的に水を含まない構成であることが好ましい。
さらに前処理液は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて、後述するインクに含まれると同様の公知の各種添加剤、たとえば界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤等を含むことができる。
前処理液に金属塩や顔料定着剤を配合する、あるいは、前処理液のpHをインクとは異なるpHとすることにより(たとえば、インクのpHが7〜10のときに前処理液のpHを3〜6とする)、顔料が紙表面で凝集しやすくなり、その結果、印刷濃度が向上するとの効果を得ることもできる。
インクジェット用水性インク(以下、単に「インク」ともいう。)は、顔料、水溶性有機溶剤、および水を含む。
顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
さらに、化学的または物理的処理により顔料の表面に親水性官能基が導入された自己分散性顔料を用いることが好ましい。自己分散性顔料に導入させる親水性官能基としては、イオン性を有するものが好ましく、顔料表面をアニオン性またはカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定に分散させることができる。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基等が好ましい。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基などが好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられるが、これらに限定されることはない。顔料表面の処理方法としては、ジアゾ化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミン酸処理、真空プラズマ処理などが挙げられる。
インクに含まれる顔料(固形分)の配合量は、0.1〜25質量%程度であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが一層好ましい。
次に、インクの水溶性有機溶剤としては、グリセリン、ジグリセリンおよびポリグリセリンのうちの少なくとも1種と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとが含まれる。発明者の検討によると、上記前処理液と組み合わせて使用するインクとしては、これらの水溶性有機溶剤を含むインクを使用することにより、本発明の効果を好ましく奏することができる。
ポリグリセリンは、カール抑制効果の観点から、分子量300以上のものが好ましい。さらに、同様の理由から、ジグリセリンおよび/またはポリグリセリンを使用することが好ましい。
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、たとえば、
ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類(たとえば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等);
トリエチレングリコールモノアルキルエーテル類(たとえば、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等);
テトラエチレングリコールモノアルキルエーテル類(たとえば、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等);
ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類(たとえば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等);
トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル類(たとえば、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等);
テトラプロピレングリコールモノアルキルエーテル類(たとえば、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等);
を挙げることができ、これらは2種以上を併用することもできる。
なかでも、カール抑制効果の観点から、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルを含むことが好ましく、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルを含むことがより好ましい。
インクは、上記グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル以外の、その他の水溶性有機溶剤を含んでいてもよい。
たとえば、
多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール等);
エチレングリコールモノアルキルエーテル類(たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等);
プロピレングリコールモノアルキルエーテル類(たとえば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等);
アセチン類(モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン);
低分子量ポリアルキレングリコール類(ポリエチレングリコール、ジオール型ポリプロピレングリコール、トリオール型ポリプロピレングリコール等);
エタノールアミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等);
を挙げることができる。これらは単独で配合されるほか、複数種を用いることもできる。
水溶性有機溶剤は、インク中に、15〜65質量%程度含まれることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。
水は、インク中に、30〜80質量%程度含まれることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。水としては、イオン交換水、蒸留水などの純水、または超純水を使用することが好ましい。
インク中のグリセリン、ジグリセリン、またはポリグリセリンの含有量は、2〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがさらに好ましい。
インク中のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量は、15〜45質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。
インクには、必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該分野において通常用いられている各種添加剤を含ませることができる。
具体的には、顔料分散剤、消泡剤、表面張力低下剤等として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤をインクに含有させることができる。
インクのpHを調整するために、公知のpH調整剤を添加することもできる。硫酸、硝酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン等は、pH調整剤として、あるいはインクの増粘助剤として用いることができる。
酸化防止剤を配合することにより、インク成分の酸化を防止し、インクの保存安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、たとえば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムを用いることができる。
防腐剤を配合することにより、インクの腐敗を防止して保存安定性を向上させることができる。防腐剤としては、たとえば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のトリアジン系防腐剤;2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシド、8−オキシキノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバメート系防腐剤;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸を用いることができる。
インクの粘度は、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において1〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、インクジェット記録装置用として適している。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
本発明に係るインクセットは、上述した前処理液とインクジェット用水性インクとを備えている。
本発明に係る記録方法は、上記前処理液を記録媒体に付着させる工程と、上記インクジェット用水性インクを用いて、インクジェット記録法により記録媒体に画像を形成する工程と、を含む。
記録媒体としては、様々な種類の紙を使用することができ、コピー用紙、コピー用再生紙などの普通紙であることが好ましい。表面処理を行なったコート紙なども用いられる。
記録媒体への前処理液の付着方法は、特に限定されず、たとえば、インクジェット記録装置を用いてもよいし、ローラーやスプレーなどで必要量を塗布するようにしてもよい。その付着場所は、紙面全体でもよいし、画像形成部のみに選択的に付着させてもよい。あるいは、ベタ画像部分など、単位面積当たりある一定以上のインクが付着する箇所にのみ前処理液を塗布することもできる。
前処理剤の付着量は、単位面積当たりの重量で、インクの付着量の0.5〜7倍程度であることが好ましく、4〜6倍程度であることがより好ましく、約5倍であることが最も好ましい。
前処理液は乾燥速度が速いため、特に乾燥工程を設ける必要はなく、続いて画像形成工程を行なうことができる。
画像形成は、インクジェット記録法により行なわれる。インクジェットプリンターは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよく、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにする。
以上の記録方法によれば、カール等の用紙変形が有効に防止されるので、用紙搬送性が良好であり、したがって1分間に120枚といった高速印刷にも対応することができる。さらに、本発明に係るインクセットは、ラインヘッド方式のインクジェットプリンターに好ましく使用することができる。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例および比較例>
表1および表2に示した組成で、前処理液およびインクを調製した。使用した成分は以下のとおりである。
顔料「CAB−O−JET300」(カーボンブラック、キャボット社)
ジグリセリン(阪本薬品工業(株))
グリセリン(和光純薬工業(株))
テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(協和発酵化学(株))
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業(株))
界面活性剤「サーフィノール465」(アセチレングリコールエチレンオキサイド、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)
TEA(pH調整剤、トリエタノールアミン、和光純薬工業(株))
1,3−プロパンジオール(和光純薬工業(株))
エタノール(和光純薬工業(株))
1−ブタノール(和光純薬工業(株))
AF7(AFソルベント7号、ナフテン系溶剤、新日本石油(株))
Figure 2009269358
Figure 2009269358
得られた前処理液およびインクを使用して、表3に示す組み合わせで用紙(理想用紙薄口、A4サイズ、理想科学工業(株)製)の前処理および印刷を行なった。前処理は、ローラを用いて行い、インクの5倍となる量で、用紙表面全体に前処理剤を付着させた。
引き続き(前処理液付着から5〜10秒後に)、ライン型インクジェットプリンター「オルフィスHC5500」(理想科学工業(株)製)を用いて、1ドットあたりの吐出量を30pLとして片面全面にベタ画像を形成した。オルフィスHC5500およびインクジェットヘッドは、水性インクにも対応できるようにインク経路を一部改変した。印刷速度は、120枚/分で行なった。
印字後、室温/常湿下で3日間放置した後の用紙変形の有無を、以下の基準に従って評価した。
○:印字物の厚み方向の変形量が20mm未満である。
×:印字物の厚み方向の変形量が20mm以上である。
別に、上記用紙変形の評価が○であった実施例のインクセットを用いて、上記同様に前処理した用紙に対し、上記と同様に(社)電子情報技術産業協会のJ6チャートの印刷を行い、得られた画像の鮮明性を以下の基準に従って評価した。
○:細字がシャープで鮮明である。
×:細字が滲み鮮明でない。
以上の結果を、併せて表3に示す。
Figure 2009269358
上記実施例にみるように、本発明によれば、用紙変形が抑制された高速印刷が可能であり、高品位な画像を得ることができる。

Claims (6)

  1. 1価アルコールを含む前処理液を記録媒体に付着させる工程;および
    顔料と、グリセリン、ジグリセリンおよびポリグリセリンのうちの少なくとも1種と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルと、水とを含むインクジェット用水性インクを用いて、インクジェット記録法により前記記録媒体に画像を形成する工程;
    を含むインクジェット記録方法。
  2. 前記前処理液中の1価アルコールが、エタノールおよび/またはプロパノールを含む、請求項1記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インクジェット用水性インク中のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルが、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルを含む、請求項1または2記載のインクジェット記録方法。
  4. 1価アルコールを含む前処理液;および
    顔料と、グリセリン、ジグリセリンおよびポリグリセリンのうちの少なくとも1種と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルと、水とを含むインクジェット用水性インク;
    を備えたインクセット。
  5. 前記前処理液中の1価アルコールが、エタノールおよび/またはプロパノールを含む、請求項4記載のインクセット。
  6. 前記インクジェット用水性インク中のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルが、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルを含む、請求項4または5記載のインクセット。
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JP2011225759A (ja) * 2010-04-22 2011-11-10 Union Chemicar Co Ltd 水性インクジェット記録用インク組成物

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