JP2009268171A - 同期電動機の駆動装置および駆動方法 - Google Patents

同期電動機の駆動装置および駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】同期電動機のロータの回転ムラの発生を抑える。
【解決手段】制御回路50は、正極側母線22とステータコイル1の中性点1xとの間の電位差(VH−VB)と負極側母線21とステータコイル1の中性点1xとの間の電位差(VB)とのアンバランスを補うように、正極側母線22側スイッチング素子のオン時間THonと負極側母線21側スイッチング素子のオン時間TLonとを設定する。電位差(VH−VB)}が大きくなるほど、正極側母線22側のスイッチング素子のオン時間THonが短くなり、電位差(VH−VB)}が小さくなるほど、正極側母線22側のスイッチング素子のオン時間THonが長くなる。それにより,U相コイル1a、V相コイル1b、およびW相コイル1cのそれぞれに生じる磁束の大きさに変動が生じることが抑制される。したがって、ステータコイル1から発生する回転磁界のムラが抑制される。
【選択図】図3

Description

本発明は、ステータコイルがスター結線されている同期電動機を制御する同期電動機の駆動装置、および駆動方法に関するものである。
従来、電動機の駆動装置では、例えば、特許文献1に示すように、6個のトランジスタと6個のダイオードから構成されるインバータ回路と、このインバータ回路を制御する制御回路とを備るものがある。
具体的には、ステータコイルの中性点とインバータ回路の負極側母線との間には、直流電源が接続されている。インバータ回路の負極側母線と正極側母線との間には、コンデンサが接続されている。
制御回路は、6個のトランジスタをスイッチング動作させることにより、コンデンサの出力電圧と電源装置の出力電圧とに基づいてステータコイルに三相交流電流を出力する。これに伴い、ステータコイルには、回転磁界が発生する。このため、ロータが回転磁界に同期して回転する。
ここで、6個のトランジスタのうち正極側母線側トランジスタがオンすると、コンデンサから正極側母線側トランジスタを通してステータコイルに放電電流が流れる。
また、6個のトランジスタのうち負極側母線のトランジスタがオンしたときには、電源装置からステータコイルに電流が流れるため、ステータコイルには、電流に基づいてエネルギーが蓄えられる。その後、負極側母線側トランジスタがオフすると、前記エネルギーに基づいた電流が、ステータコイルから正極側母線側のダイオードおよび正極側母線を通してコンデンサに電流が流れ、コンデンサが充電されることになる。
以上により、電動機を駆動するために6個のトランジスタをスイッチング動作させることにより、コンデンサに対する充電と放電とが繰り返されることになる。
特許3223842号明細書
上述の電動機の駆動装置では、6個のトランジスタをスイッチング動作させることにより、コンデンサに対する充電と放電とが繰り返されることになる。このため、コンデンサの出力電圧は変動する。
ここで、ステータコイルの中性点には、上述の如く、電源装置の電源電圧が与えられる。このため、コンデンサの出力電圧が変動すると、正極側母線と中性点との間の電位差と負極側母線と中性点との間の電位差とが一致しなく、変動する場合がある。
このため、U相コイル、V相コイル、W相コイルのそれぞれに流れる電流が変動する。したがって、ステータコイルに発生する回転磁界に変動が生じる。このため、回転磁界に基づいてロータに発生する回転トルクに変動が生じ、ロータの回転にムラが生じる場合がある。
本発明は上記点に鑑みて、ロータの回転ムラの発生を抑えるようにした同期電動機の駆動装置、および駆動方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、スター結線されているステータコイル(1)から発生する回転磁界によりロータを回転させる同期電動機の駆動装置であって、
直列接続された一対のスイッチング素子を多数組有し、正極側母線(22)と負極側母線(21)との間に前記一対のスイッチング素子が多数組、並列接続されているインバータ回路(20)と、
コンデンサ(30)と、
前記インバータ回路(20)を構成する複数個の前記スイッチング素子をスイッチング動作させることにより、前記正極側母線と前記負極側母線とのうち一方と前記ステータコイルの中性点との間に配置されている電源装置(3)の出力電圧と前記コンデンサ(30)の出力電圧とに基づいて、前記ステータコイル(1)に交流電流を出力して前記ステータコイル(1)から前記回転磁界を発生させる駆動手段(S130、S140)と、を備え、
前記駆動手段(S130、S140)は、前記複数個のスイッチング素子をスイッチング動作させるときに、前記正極側母線と前記中性点との間の電位差と前記負極側母線と前記中性点との間の電圧差とのアンバランスを補うように、前記複数個のスイッチング素子のうち前記正極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間と前記負極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間とを設定することを特徴とする。
したがって、ステータコイルから発生する回転磁界に変動が生じることが抑制されるので、ロータに回転ムラが生じることが抑制される。
なお、スイッチング素子のスイッチング時間とは、スイッチング素子のオン時間,またはオフ時間,またはオン時間とオフ時間とを合わせたいずれかの時間である。
請求項2に係る発明では、前記電源装置(3)の出力電圧を検出する電圧検出手段(45)と、
前記インバータ回路(20)と前記ステータコイル(1)との間に流れる電流を検出する電流検出手段(40)と、
前記電圧検出手段の検出電圧と、前記電流検出手段の検出電流と、前記同期電動機の角速度のうち少なくとも1つ以上の情報により、前記正極側母線と前記負極側母線との間の電位差とが決定できるように構成されているマップデータを記憶する記憶手段(52)と、を備え、
前記駆動手段(S130、S140)は、前記電圧検出手段の検出電圧、前記電流検出手段の検出電流、および前記同期電動機の角速度の少なくとも1つ以上の情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されたマップデータから前記正極側母線と前記負極側母線との間の電位差を求めるとともに、この求められた電位差と前記電圧検出手段の検出電圧とに基づいて前記正極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間と前記負極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間とを設定することを特徴とする。
これにより、正極母線の電位を検出する電圧センサを用いていないので、構成を簡素化できる。さらに、マップデータを用いることにより、スイッチング時間の設定に要する時間を短くできる。
請求項3に係る発明では、前記電源装置(3)の出力電圧を検出する電圧検出手段(45)と、
前記インバータ回路(20)と前記コンデンサとの間に流れる電流を検出する電流検出手段(45)と、を備え、
前記駆動手段(S130、S140)は、前記電流検出手段の検出電流に基づいて前記コンデンサの出力電圧を求めるとともに、この求められた出力電圧と前記電圧検出手段の検出電圧に基づいて前記正極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間と前記負極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間とを設定することを特徴とする。
これにより、正極母線の電位を検出する電圧センサを用いていないので、構成を簡素化できる。
請求項4に係る発明では、前記ロータの回転数を推定して、前記推定されたロータの回転数を目標回転数に近づけるように前記ステータコイルに与える電圧指令値を相毎に求める指令電圧算出手段(S100)を備え、
前記駆動手段(S130、S140)は、前記求められた相毎の電圧指令値に基づいて前記インバータ回路(20)を構成する前記複数個のスイッチング素子をスイッチング動作させることにより、前記インバータ回路(20)から前記ステータコイル(1)に交流電流を出力して前記推定されたロータの回転数を前記目標回転数に近づけるようになっていることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、前記相毎の電圧指令値をVSとし、前記正極側母線と前記負極側母線との間の電位差をVHとし、前記電源装置(3)の出力電圧をVBとし、サンプリング期間をTsとし、前記正極側母線および前記負極側母線のうち前記電源装置(3)が接続されている母線側のスイッチング素子のスイッチング時間をTLとし、前記正極側母線および前記負極側母線のうち前記電源装置(3)が接続されていない母線側のスイッチング素子のスイッチング時間をTHとし、VH=2×VBのときには、TH及びTLを(VS/VH)×Tsにより算出する場合に、
VH≠2×VBのときには、TH={VS/(2×(VH−VB))}×Ts、TL={VS/(2×VB)}×Tsとすることを特徴とする。
請求項6に係る発明では、VH≠2×VBのときに、VHとVBとの差が所定値以上であるか否かを判定する判定手段(S230)を備え、
VHとVBとの差が所定値以上であると前記判定手段が判定したときには、THとTLとの差が一定値になるようにTHとTLとをそれぞれ設定し、
VHとVBとの差が所定値未満であると前記判定手段と判定したときには、TH={VS/(2×(VH−VB))}×Ts、TL={VS/(2×VB)}×Tsとすることを特徴とする。
これにより、VHとVBとの差が大きくなり過ぎることを抑制できるので、電圧変動による不安定な動作を抑制することができる。
請求項7に係る発明では、直列接続された一対のスイッチング素子を多数組有し、正極側母線(22)と負極側母線(21)との間に前記一対のスイッチング素子が多数組、並列接続されているインバータ回路(20)と、コンデンサ(30)と、を用いて同期電動機を駆動する同期電動機の駆動方法であって、
前記相毎の電圧指令値をVSとし、前記正極側母線と前記負極側母線との間の電位差をVHとし、前記電源装置(3)の出力電圧をVBとし、サンプリング期間をTsとし、前記正極側母線および前記負極側母線のうち前記電源装置(3)が接続されている母線側のスイッチング素子のスイッチング時間をTLとし、前記正極側母線および前記負極側母線のうち前記電源装置(3)が接続されていない母線側のスイッチング素子のスイッチング時間をTHとし、
前記インバータ回路(20)を構成する複数個の前記スイッチング素子をスイッチング動作させることにより、前記正極側母線と前記負極側母線とのうち一方と前記同期電動機のステータコイルの中性点との間に配置されている電源装置(3)の出力電圧と前記コンデンサ(30)の出力電圧とに基づいて、前記ステータコイル(1)に交流電流を出力して前記ステータコイル(1)から前記回転磁界を発生させるときに、
前記正極側母線と前記中性点との間の電位差と前記負極側母線と前記中性点との間の電圧差とが均衡している場合には、TH及びTLを(VS/VH)×Tsにより算出し、前記正極側母線と前記中性点との間の電位差と前記負極側母線と前記中性点との間の電圧差とが不均衡である場合には、TH={VS/(2×(VH−VB))}×Ts、TL={VS/(2×VB)}×Tsとすることを特徴とする同期電動機の駆動方法である。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
図1に本発明に係る三相交流同期電動機の駆動装置の第1実施形態を示す。図1は駆動装置の回路構成と三相交流同期電動機の一部の構成とを示す。
駆動装置10は、直流電圧に基づいて三相交流電流を三相交流同期電動機に出力して三相交流同期電動機を駆動する。三相交流同期電動機の回転軸には、例えば、圧縮機構等の負荷が接続されている。
三相交流同期電動機は、例えば永久磁石が埋め込まれたロータ(図示省略)と、ロータに回転磁界を与えるステータコイル1を備える。ステータコイル1は、U相コイル1a、V相コイル1b、およびW相コイル1cがスター結線されて中性点1xを有するものである。ステータコイル1の中性点1xとグランドとの間には、電源装置3が配置されている。
本実施形態では、三相交流同期電動機は、ロータの位置情報を検出するセンサが取り付けられていない構成になっている。
駆動装置10は、インバータ回路20、コンデンサ30、電流センサ40、電圧センサ45、および制御回路50を備える。インバータ回路20は、電源装置3の出力電圧とコンデンサ30の出力電圧とに基づいて三相交流電流をステータコイル1に出力する。
インバータ回路20は、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6およびダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6から構成されている。
スイッチング素子SW1、SW4は負極側母線21と正極側母線22との間に直列接続され、スイッチング素子SW2、SW5は負極側母線21と正極側母線22との間で直列接続され、スイッチング素子SW3、SW6は負極側母線21と正極側母線22との間で直列接続されている。負極側母線21は、グランドに接続されている。
スイッチング素子SW1、SW4の共通接続点T1は、W相コイル1cに接続され、スイッチング素子SW2、SW5の共通接続点T2は、V相コイル1bに接続され、スイッチング素子SW3、SW6の共通接続点T3は、U相コイル1aに接続されている。
なお、スイッチング素子SW1、SW2…SW6としては、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタや電界効果型トランジスタ等の半導体スイッチング素子が用いられている。
ダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6は、スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6のうち対応するスイッチング素子に逆並列になるように配置されている。
コンデンサ30は、電源装置3とともに出力電圧をインバータ回路20に与える。コンデンサ30のプラス電極は、インバータ回路20の正極側母線22に接続されている。コンデンサ30のマイナス電極は、ステータコイル1の中性点1xに接続されている。
電流センサ40は、U相電流iu、V相電流iv、およびW相電流iwをそれぞれ検出する電流検出手段である。U相電流iuは、スイッチング素子SW3、SW6の共通接続点T3からU相コイル1aに流れる電流である。V相電流ivは、スイッチング素子SW2、SW5の共通接続点T2からV相コイル1bに流れる電流である。W相電流iwは、スイッチング素子SW1、SW4の共通接続点T1からW相コイル1cに流れる電流である。
なお、図中電流iu、1v、iwの電流の流れる方向は、それぞれ各矢印の方向を正とする。
電圧センサ45は、電源装置3の出力電圧を検出するセンサである電圧検出手段である。
制御回路50は、メモリ51およびマイクロコンピュータ52などから構成されている。メモリ52は、マップデータを記憶している記憶手段である。マップデータは、電源電圧3の出力電圧の検出電圧と,電流センサ40の検出電流と、同期電動機の角速度ωの少なくとも1つ以上の情報と、正極側母線22と負極側母線21との間の電位差VHとが1対1で特定されるように構成されている。
マイクロコンピュータ52は、後述するように、電圧センサ45の検出電圧値、マップデータ、および電子制御装置7から与えられる目標回転数に基づいて三相交流同期電動機の回転数を制御する。
次に、本実施形態の作動について説明する。
制御回路50は、スイッチング信号をスイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6に出力する。これにより、スイッチング素子SW1、SW2、…SW6がスイッチング動作する。これに伴い、共通接続点T1、T2、T3から三相交流電流がステータコイル1に出力される。このため、ステータコイル1から回転磁界が発生する。これに伴い、ロータが回転磁界に同期して回転する。
ここで、負極側母線21側のスイッチング素子、例えばスイッチング素子SW4がオンすると、中性点1x側からW相コイル1cおよびスイッチング素子SW4を通してグランドに電流が流れる。このとき、W相コイル1cにエネルギーが蓄積される。
その後、スイッチング素子SW4がオフすると、W相コイル1cのエネルギーに基づいた電流がダイオードD1を通して正極側母線22側に流れる。すなわち、スイッチング素子SW4がオフすると、W相コイル1cから電流がスイッチング素子SW1をバイパスしてコンデンサ30に流れ、コンデンサ30に充電されることになる。
また、正極側母線22側のスイッチング素子、例えばスイッチング素子SW1がオンすると、コンデンサ30からスイッチング素子SW1を通してステータコイル1のW相コイル1cに電流が流れる。すなわち、コンデンサ30から放電されることになる。
以上により、コンデンサ30に対する充電と放電とが繰り返されることになる。このため、コンデンサ30の出力電圧は変動する。これに伴い、負極側母線21と正極側母線22との間の電位差VH(図2参照)が変動する。図2は、スイッチング素子SW3、SW4、SW5がそれぞれオンした例を示す。
ここで、電源装置3の出力電圧をVBとすると、電位差VHの変動に伴って、
正極側母線22とステータコイル1の中性点1xとの間の電位差(VH−VB)と、負極側母線21とステータコイル1の中性点1xとの間の電位差(VB)とが不一致になる場合がある。この場合、U相コイル1a、V相コイル1b、およびW相コイル1cのそれぞれに与えられる電圧が変動する。したがって、ステータコイル1から発生する回転磁界の回転にムラが生じる。これにより、ロータの回転にムラが生じる。
これに対し、本実施形態では、制御回路50は、正極側母線22とステータコイル1の中性点1xとの間の電位差(VH−VB)と負極側母線21とステータコイル1の中性点1xとの間の電位差(VB)とのアンバランスを補うように、正極側母線22側スイッチング素子のオン時間THonと負極側母線21側スイッチング素子のオン時間TLonとをそれぞれ設定する。
以下、制御回路50の制御処理について具体的に説明する。
図3は、制御回路50の制御処理を示すフローチャートである。
まず、電子制御装置7は、制御回路50に対して制御開始を指令する。すると、制御回路50は、電子制御装置7から制御開始の指令に基づいて、図3のフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムの実行を開始する。
まず、ステップS100において、ステータコイル1に対する電圧指令値VSを相毎に求める。
具体的には、電流センサ40の検出電流iu、iv、iwに基づいて検出電流iu、iv、iwの角速度ωと、ロータの位置を推定する。そして、この推定されたロータの位置に基づいてロータの回転数を推定する。なお、以下、この推定された回転数を推定回転数という。
ここで、電子制御装置7から与えられる目標回転数に推定回転数を近づけるように、周知の三角波比較PWM方式で用いる相毎の指令値、すなわちU相指令値VSu、V相指令値VSv、およびW相指令値VSwを求める。
U相指令値VSuは、U相コイル1aに対する電圧指令値であり、V相指令値VSvは、V相コイル1bに対する電圧指令値であり、W相指令値VSwは、W相コイル1cに対する電圧指令値である。相毎の指令値VSu、VSv、VSwは、図3に示すように、三相指令波を構成している。なお、ステップS100は、指令電圧算出手段を構成している。
次に、ステップS110において、電圧センサ45の検出値(以下、電源電圧VBという)を取得する。
次に、ステップS120において、メモリ52に記憶されているマップデータ、電源電圧VB、角速度ω、および電流センサ40の検出電流に基づいて、正極側母線22と負極側母線21との間の電位差VHを求める。
次に、ステップS130において、三角波比較PWM方式を用いて、スイッチング素子SW1、SW2、…SW6を制御するためのスイッチング信号を求める。
U相指令値VSuが搬送波70(図4参照)より大きいときには、正極側母線22側のスイッチング素子SW3をオンして負極側母線21側スイッチング素子SW6をオフする。搬送波70は一定の周期Tsで変化する三角波である。
U相指令値VSuが搬送波70より小さいときには、スイッチング素子SW3をオフしてスイッチング素子SW6をオンする。
V相指令値VSvが搬送波70より大きいときには、正極側母線22側のスイッチング素子SW2をオンして負極側母線21側スイッチング素子SW5をオフする。V相指令値VSvが搬送波70より小さいときには、スイッチング素子SW2をオフしてスイッチング素子SW5をオンする。
W相指令値VSwが搬送波70より大きいときには、正極側母線22側のスイッチング素子SW1をオンして負極側母線21側スイッチング素子SW4をオフする。W相指令値VSwが搬送波70より小さいときには、スイッチング素子SW1をオフしてスイッチング素子SW4をオンする。
このように指令値VSu、VSv、VSwと搬送波70との比較により、スイッチング素子SW1、SW2、…SW6のうちいずれをオンするかを決定する。
次に、スイッチング素子SW1、SW2、…SW6のそれぞれオン時間を電源装置3の出力電圧VBに基づいて次のように設定する。
正極側母線22と中性点1xとの間の電位差と負極側母線21と中性点1xとの間の電圧差とが均衡して、VH=2×VBのときには、スイッチ素子SW1のオン時間THon及びスイッチ素子SW4のオン時間TLonを(VSw/VH)×Ts、スイッチ素子SW2のオン時間THon及びスイッチ素子SW5のオン時間THonを(VSv/VH)×Ts、スイッチ素子SW3のオン時間THon及びスイッチ素子SW6のオン時間THonを(VSu/VH)×Tsにより算出する。
ここで、Tsはサンプリング期間あって、上述の搬送波70の周期と一致する値である。
正極側母線22と中性点1xとの間の電位差と負極側母線21と中性点1xとの間の電圧差とが不均衡であって、VH≠2×VBのときには、スイッチ素子SW1のオン時間THon={VSw/(2×(VH−VB))}×Ts、スイッチ素子SW4のオン時間TLon=(VSw/2×VB)×Ts、スイッチ素子SW2のオン時間THon={VSv/(2×(VH−VB))}×Ts、スイッチ素子SW5のオン時間TLon=(VSv/2×VB)×Ts、スイッチ素子SW3のオン時間THon={VSu/(2×(VH−VB))}×Ts、スイッチ素子SW6のオン時間TLon=(VSu/2×VB)×Tsとする。
なお、負極母線21側のスイッチング素子SW4、SW5、SW6は、「正極側母線22および負極側母線21のうち電源装置3が接続されている母線側のスイッチング素子」に相当する。正極側母線22側のスイッチング素子SW1、SW2、SW3は、「正極側母線22および負極側母線21のうち電源装置3が接続されていない母線側のスイッチング素子」に相当する。
このように決定されたスイッチング素子SW1、SW2、…SW6のオン時間と、スイッチング素子SW1、SW2、…SW6のうちいずれをスイッチングするかを示す制御情報とを含むスイッチング信号を求める。次のステップS140において、スイッチング信号をスイッチング素子SW1、SW2、…SW6に出力する。なお、ステップS130、S140は駆動手段を構成している。
その後、ステップS100、S110、…S140の処理を繰り返す。これに伴い、共通接続点T1、T2、T3から三相交流電流がステータコイル1に出力される。このため、電圧指令値VSに追従する回転磁界がステータコイル1から発生する。これにより、ロータが回転磁界に同期して回転する。このため、ロータの回転数が目標回転数に近づくようになる。
以上説明した本実施形態では、正極側母線22とステータコイル1の中性点1xとの間の電位差ΔV(=VH−VB)が大きくなるほど、正極側母線22側のスイッチング素子のオン時間THonが短くなり、電位差ΔVが小さくなるほど、正極側母線22側のスイッチ素子SW1、SW2、SW3のオン時間THonが長くなる。したがって、U相コイル1a、V相コイル1b、およびW相コイル1cのそれぞれに生じる磁束の大きさに変動が生じることが抑制される。したがって、ステータコイル1から発生する回転磁界の回転ムラが抑制される。これにより、ロータの回転ムラが生じることが抑制される。
本実施形態では、正極側母線22の電位を検出する電圧センサを用いないで、マップデータを用いることにより、正極側母線22と負極側母線21との間の電位差VHを求めている。このため、構成を簡素化できる。さらに、マップデータを用いることにより、オン時間の算出に要する時間を短くできる。
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、正極側母線22とステータコイル1の中性点1xとの間の電位差ΔV(=VH−VB)に関わりなく、電位差ΔVと電源電圧VBとのアンバランスを補うように、オン時間THon、TLonを設定した例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、次のように、スイッチング素子のオン時間THon、TLonを設定する。
まず、スイッチング素子SW1、SW2、SW3のオン時間THonがスイッチング素子SW4、SW5、SW6のオン時間TLonに比べて極めて大きくなると(THon≫TLon)、コンデンサ30から放電される電荷量が、コンデンサ30に充電される電荷量に比べて大きくなり、電位差VHが小さくなる。
一方、スイッチング素子SW1、SW2、SW3のオン時間THonがスイッチング素子SW4、SW5、SW6のオン時間TLonに比べて極めて小さくなると(THon≪TLon)、コンデンサ30から放電される電荷量が、コンデンサ30に充電される電荷量に比べて小さくなり、電位差VHが大きくなる。
したがって、上述の第1実施形態の如く、単に、電位差ΔVと電源電圧VBとのアンバランスを補うように、オン時間THon、TLonを設定すると、THonとTLonとの差が大きくなりすぎて電位差VHが変動する可能性がある。
そこで、本実施形態では、次のように、オン時間THon、TLonを設定する。
図5は、本実施形態におけるオン時間THon、TLonの設定処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS200において、上述の第1実施形態と同様に、電源電圧VBを示すデータを取得する。次のステップS210において、上述のステップS120と同様に電位差VHを求める。
次に、ステップS220において、正極側母線22とステータコイル1の中性点1xとの間の電位差ΔV(=VH−VB)を求めるとともに、電位差ΔVの絶対値|ΔV|を求める。
次に、ステップS230において、|ΔV|が一定値以上である否かを判定する。
|ΔV|が一定値以上であるときには、YESと判定して、ステップS235に移行する。
ここで、正極側母線22側のスイッチング素子SW1、SW2、SW3のオン時間THonを一定時間Txに設定し、負極側母線21側のスイッチング素子SW4、SW5、SW6のオン時間TLonを一定時間Tyに設定する。
これにより、正極側母線22側のスイッチ素子SW1、SW2、SW3のオン時間THonと、負極側母線21側のスイッチ素子SW4、SW5、SW6のオン時間TLonとの差が一定値(=Tx−Ty)になる。
また、上述のステップ230において、|ΔV|が一定値未満であるときには、NOと判定して、ステップS240に移行して、上述の第1実施形態と同様、スイッチング素子SW1、SW2、…SW6のオン時間THon、TLonを設定する。 なお、ステップ230は判定手段を構成している。
以上説明した本実施形態では、|ΔV|が一定値以上であるときには、正極側母線22側のスイッチング素子SW1、SW2、SW3のオン時間THonを一定時間Txに設定し、負極側母線21側のスイッチング素子SW4、SW5、SW6のオン時間TLonを一定時間Tyに設定する。これにより、オン時間THon、TLonの差が一定値(=Tx−Ty)になる。これに伴い、電位差VHが変動することを抑制できる。
(第3実施形態)
上述の第1実施形態では、メモリに記憶されているマップデータ、電源電圧VB、角速度ω、および電流センサ40の検出電流に基づいて、正極側母線22と負極側母線21との間の電位差VHを求めた例について説明したが、これに代えて、本第3実施形態では、インバータ回路20の正極側母線22とコンデンサ30との間に流れる電流に基づいて、コンデンサ30の出力電圧を求める。
本実施形態の駆動装置10の回路構成を図6に示す。
駆動装置10には、インバータ回路20の正極側母線22とコンデンサ30との間に流れる電流icを検出する電流センサ48が設けられている。
制御回路50は、電流センサ48の検出電流値icを時間で積分してコンデンサ30に蓄積される電荷量Q(=∫ic×dt)を求めるとともに、この電荷量Qとコンデンサ30の容量(C)とに基づいて、コンデンサ30におけるプラス電極とマイナス電極との間の電位差Vc(=Q/C)を求める。これに加えて、電位差Vcと電源電圧VBに基づいて電位差VH(=Vc+VB)を求める。
以上説明した本実施形態によれば、インバータ回路20の正極側母線22とコンデンサ30との間に流れる電流icを検出する電流センサ45を用いることにより、コンデンサ30に蓄積される電荷量Q(=∫ic×dt)を求めるとともに、この電荷量Qに基づいて、電位差VHを求めることができる。
上述の第3実施形態では、インバータ回路20の正極側母線22とコンデンサ30との間に流れる電流icを検出する電流センサ45を用いることにより、マップデータを用いることなく、電位差VHを求めた例を示したが、これに代えて、
コンデンサ30の出力電圧を検出するセンサを用いるようにしてもよい。
上述の第3実施形態では、VH=2×VBである場合のスイッチング素子のオン時間とVH≠2×VBである場合のスイッチング素子のオン時間とのうち一方を求める例を示したが、これに限らず、VH=2×VBである場合のスイッチング素子のオン時間とVH≠2×VBである場合のスイッチング素子のオン時間とを両方求めて、必要に応じて、実際に用いるスイッチング素子のオン時間を選択するようにしてもよい。
これにより、コンデンサ30を廃止して正極側母線22と負極側母線21との間に電源装置3を接続した従来の駆動装置の構成に変更したときでも、三相交流同期電動機の制御に容易に対応することができる。
上述の各実施形態では、コンデンサ30をステータコイル1の中性点1xと正極側母線22との間に配置した例を示したが、これに限らず、ステータコイル1の中性点1xと負極母線21との間にコンデンサ30を配置し、かつステータコイル1の中性点1xと正極側母線22との間に電源装置3を配置してもよい。また,負極側母線21と正極側母線22との間にコンデンサ30を配置し,ステータコイル1の中性点1xと,負極側母線21または正極側母線22のいずれか1つの母線との間に電源装置3を配置してもよい。
上述の各実施形態では、正極側母線22と中性点1xとの間の電位差と負極側母線21と中性点1xとの間の電圧差とのアンバランスを補うように、正極側母線22側スイッチング素子のオン時間と負極側母線21側スイッチング素子のオン時間とを個別に設定した例を示したが、これに代えて、正極側母線22と中性点1xとの間の電位差と負極側母線21と中性点1xとの間の電圧差とのアンバランスを補うように、正極側母線22側スイッチング素子のオフ時間と負極側母線21側スイッチング素子のオフ時間とを個別に設定してもよい。
上述の各実施形態では、同期電動機として三相交流同期電動機を用いた例を示したが、これに限らず、同期電動機として、4相以上の多相交流同期電動機を用いてもよい。
本発明の第1実施形態における三相交流同期電動機の駆動装置の構成を示す図である。 図1のステータコイルに印加する電源電圧VB、正極及び負極側母線間の電位差VHを示す図である。 図1の制御回路の制御処理を示すフローチャートである。 図1の制御回路の制御処理に用いる電圧指令値を示す図である。 本発明の第2実施形態における制御回路の処理を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態における三相交流同期電動機の駆動装置の構成を示す図である。
符号の説明
1 ステータコイル
1a U相コイル
1b V相コイル
1c W相コイル
1x 中性点
3 電源装置
10 駆動装置
20 インバータ回路
21 負極側母線
22 正極側母線
30 コンデンサ
40 電流センサ
50 制御回路
SW1 スイッチング素子
D1 ダイオード

Claims (7)

  1. スター結線されているステータコイル(1)から発生する回転磁界によりロータを回転させる同期電動機の駆動装置であって、
    直列接続された一対のスイッチング素子を多数組有し、正極側母線(22)と負極側母線(21)との間に前記一対のスイッチング素子が多数組、並列接続されているインバータ回路(20)と、
    コンデンサ(30)と、
    前記インバータ回路(20)を構成する複数個の前記スイッチング素子をスイッチング動作させることにより、前記正極側母線と前記負極側母線とのうち一方と前記ステータコイルの中性点との間に配置されている電源装置(3)の出力電圧と前記コンデンサ(30)の出力電圧とに基づいて、前記ステータコイル(1)に交流電流を出力して前記ステータコイル(1)から前記回転磁界を発生させる駆動手段(S130、S140)と、を備え、
    前記駆動手段(S130、S140)は、前記複数個のスイッチング素子をスイッチング動作させるときに、前記正極側母線と前記中性点との間の電位差と前記負極側母線と前記中性点との間の電圧差とのアンバランスを補うように、前記複数個のスイッチング素子のうち前記正極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間と前記負極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間とを個別に設定することを特徴とする同期電動機の駆動装置。
  2. 前記電源装置(3)の出力電圧を検出する電圧検出手段(45)と、
    前記インバータ回路(20)と前記ステータコイル(1)との間に流れる電流を検出する電流検出手段(40)と、
    前記電圧検出手段の検出電圧と、前記電流検出手段の検出電流と、前記同期電動機の角速度のうち少なくとも1つ以上の情報により、前記正極側母線と前記負極側母線との間の電位差とが決定できるように構成されているマップデータを記憶する記憶手段(52)と、を備え
    前記駆動手段(S130、S140)は、前記電圧検出手段の検出電圧、前記電流検出手段の検出電流、および前記同期電動機の角速度のうち少なくとも1つ以上の情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されたマップデータから前記正極側母線と前記負極側母線との間の電位差を求めるとともに、この求められた電位差と前記電圧検出手段の検出電圧とに基づいて前記正極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間と前記負極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間とを個別に設定することを特徴とする請求項1に記載の同期電動機の駆動装置。
  3. 前記電源装置(3)の出力電圧を検出する電圧検出手段(45)と、
    前記インバータ回路(20)と前記コンデンサとの間に流れる電流を検出する電流検出手段(45)と、を備え、
    前記駆動手段(S130、S140)は、前記電流検出手段の検出電流に基づいて前記コンデンサの出力電圧を求めるとともに、この求められた出力電圧と前記電圧検出手段の検出電圧に基づいて前記正極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間と前記負極側母線側スイッチング素子のスイッチング時間とを設定することを特徴とする請求項1に記載の同期電動機の駆動装置。
  4. 前記ロータの回転数を推定して、前記推定されたロータの回転数を目標回転数に近づけるように前記ステータコイルに与える電圧指令値を相毎に求める指令電圧算出手段(S100)を備え、
    前記駆動手段(S130、S140)は、前記求められた相毎の電圧指令値に基づいて前記インバータ回路(20)を構成する前記複数個のスイッチング素子をスイッチング動作させることにより、前記インバータ回路(20)から前記ステータコイル(1)に交流電流を出力して前記推定されたロータの回転数を前記目標回転数に近づけるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の同期電動機の駆動装置。
  5. 前記相毎の電圧指令値をVSとし、前記正極側母線と前記負極側母線との間の電位差をVHとし、前記電源装置(3)の出力電圧をVBとし、サンプリング期間をTsとし、前記正極側母線および前記負極側母線のうち前記電源装置(3)が接続されている母線側のスイッチング素子のスイッチング時間をTLとし、前記正極側母線および前記負極側母線のうち前記電源装置(3)が接続されていない母線側のスイッチング素子のスイッチング時間をTHとし、VH=2×VBのときには、TH及びTLを(VS/VH)×Tsにより算出する場合に、
    VH≠2×VBのときには、TH={VS/(2×(VH−VB))}×Ts、TL={VS/(2×VB)}×Tsにより算出することを特徴とする請求項4に記載の同期電動機の駆動装置。
  6. VH≠2×VBのときに、VHとVBとの差が所定値以上であるか否かを判定する判定手段(S230)を備え、
    VHとVBとの差が所定値以上であると前記判定手段が判定したときには、THとTLとの差が一定値になるようにTHとTLとをそれぞれ設定し、
    VHとVBとの差が所定値未満であると前記判定手段と判定したときには、TH={VS/(2×(VH−VB))}×Ts、TL={VS/(2×VB)}×Tsにより算出することを特徴とする請求項5に記載の同期電動機の駆動装置。
  7. 直列接続された一対のスイッチング素子を多数組有し、正極側母線(22)と負極側母線(21)との間に前記一対のスイッチング素子が多数組、並列接続されているインバータ回路(20)と、コンデンサ(30)と、を用いて同期電動機を駆動する同期電動機の駆動方法であって、
    前記相毎の電圧指令値をVSとし、前記正極側母線と前記負極側母線との間の電位差をVHとし、前記電源装置(3)の出力電圧をVBとし、サンプリング期間をTsとし、前記正極側母線および前記負極側母線のうち前記電源装置(3)が接続されている母線側のスイッチング素子のスイッチング時間をTLとし、前記正極側母線および前記負極側母線のうち前記電源装置(3)が接続されていない母線側のスイッチング素子のスイッチング時間をTHとし、
    前記インバータ回路(20)を構成する複数個の前記スイッチング素子をスイッチング動作させることにより、前記正極側母線と前記負極側母線とのうち一方と前記同期電動機のステータコイルの中性点との間に配置されている電源装置(3)の出力電圧と前記コンデンサ(30)の出力電圧とに基づいて、前記ステータコイル(1)に交流電流を出力して前記ステータコイル(1)から前記回転磁界を発生させるときに、
    前記正極側母線と前記中性点との間の電位差と前記負極側母線と前記中性点との間の電圧差とが均衡している場合には、TH及びTLを(VS/VH)×Tsにより算出し、前記正極側母線と前記中性点との間の電位差と前記負極側母線と前記中性点との間の電圧差とが不均衡である場合には、TH={VS/(2×(VH−VB))}×Ts、TL={VS/(2×VB)}×Tsにより算出することを特徴とする同期電動機の駆動方法。
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