JP2009268167A - 位相制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】位相制御特性を悪化させることなく、電圧歪みの影響を受け難くしたサイリスタ整流器を用いた位相制御装置を提供する。
【解決手段】サイリスタ整流器3による制御によって変化する交流電圧と予め設定した目標電圧とから算出された偏差電圧と、交流電圧から得たサイリスタ整流器3のゲート点弧の基準となる基準位相を同期信号として出力されたゲートパルス信号により交流電圧が目標電圧となるように制御するもので、同期信号を、当該同期信号に基づくゲートパルス信号を検出した時点から一定時間だけ同期信号保持回路24に保持し、その後に保持を解除して当該同期信号によってサイリスタ整流器3を位相制御することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】サイリスタ整流器3による制御によって変化する交流電圧と予め設定した目標電圧とから算出された偏差電圧と、交流電圧から得たサイリスタ整流器3のゲート点弧の基準となる基準位相を同期信号として出力されたゲートパルス信号により交流電圧が目標電圧となるように制御するもので、同期信号を、当該同期信号に基づくゲートパルス信号を検出した時点から一定時間だけ同期信号保持回路24に保持し、その後に保持を解除して当該同期信号によってサイリスタ整流器3を位相制御することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば同期発電機等の同期機の励磁制御装置に用いられるサイリスタ整流器による位相制御装置に関する。
サイリスタ整流器を用いた位相制御装置を同期機に適用したものとしては、例えば同期発電機の出力電圧を電圧設定値に一致させるよう制御するための励磁制御装置をサイリスタ整流器によるサイリスタ励磁装置で形成し、その励磁制御装置を、同期発電機の励磁量を位相制御する2台の電圧調整器を備える2重化構成の励磁制御部として構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
こうした同期機、例えば同期発電機の励磁制御装置に適用されている従来のサイリスタ整流器を用いた位相制御装置について、以下、図8乃至図10を参照して説明する。
図8は同期発電機機の励磁制御装置の構成図である。図8において、1は同期発電機、2は同期発電機1の界磁巻線で、3は界磁巻線2に界磁電力を供給するサイリスタ整流器、4は同期発電機1の出力側電路に接続され、サイリスタ整流器3の交流電源として動作する励磁用変圧器である。5は自動電圧調整器(AVR)で、同期発電機1の出力側電路に接続された電圧変成器6の出力電圧と電圧設定器7に設定された目標電圧とを比較して偏差電圧を出力する差電圧検出器8と、励磁用変圧器4の出力側に接続された同期信号用変圧器9を介してサイリスタ整流器3の交流電源の線間電圧を同期信号として同期信号検出回路10で取り込み、その電圧が0Vとなるポイントを基準点(ゼロクロス)とし、ここからの制御遅れ角αだけ遅れたタイミングでサイリスタ整流器3の当該相のサイリスタを点弧、整流動作させるようゲートパルス信号を出力する位相制御回路11を備えている。なお、12は差電圧検出器8の偏差電圧を増幅する増幅器である。
このように構成されているので、同期発電機1の出力側電路の電圧が目標電圧より低下した場合には、サイリスタ整流器3に位相の進んだゲートパルス信号が位相制御回路11から出力される。そして、サイリスタ整流器3は励磁用変圧器4を入力電源として、ゲートパルス信号により所望の励磁電流を界磁巻線に流す。これにより同期発電機1の出力電圧が増加し、出力側電路の電圧は目標電圧に引き戻され一定値に制御される。
同様に、同期発電機1の出力側電路の電圧が目標電圧より上昇した場合には、サイリスタ整流器3に位相の遅れたゲートパルス信号が位相制御回路11から出力される。そして、サイリスタ整流器3は励磁用変圧器4を入力電源として、ゲートパルス信号により所望の励磁電流を界磁巻線に流す。これにより同期発電機1の出力電圧が低下し、出力側電路の電圧は目標電圧に引き戻され一定値に制御される。
こうした従来のサイリスタ整流器を用いた位相制御装置においては、転流現象を無視した場合、制御角αを0°〜90°まで変化させると、直流側に現れる交流電圧波形が変化し、直流電圧の平均値を自由に制御することができる。しかし、同期発電機1の界磁部分の構成について見ると、例えば図9に示すように、界磁巻線2と6個のU,X,V,Y,W,Zの各サイリスタで構成されるサイリスタ整流器3と、さらに転流リアクタンス13と相電圧EU0,EV0,EW0を用いた等価回路とした励磁用変圧器4とで表すことができる。
そこで励磁用変圧器4のインダクタンスを考慮した場合における転流の様子を説明するための図10においてみると、Wサイリスタが導通しているときにUサイリスタを点弧すると、電流は直ちにWサイリスタからUサイリスタへと移ると考えられてきたが、実際には励磁用変圧器4のインダクタンスによりWサイリスタの電流も連続的にしか変化せず、直ぐに0とはならない。
ここで図10中の(a)の時点でWサイリスタが導通しており、出力のVPの電位はVNと同電位であるため、Uサイリスタのカソード側の電位もVTである。そして、Uサイリスタのアノード側の電位はVRであるが、(a)の時点からVRがVTより大きくなるため、Uサイリスタに順電位が印加されることになる。また、(a)の時点から制御角α経過後の(b)の時点でUサイリスタにゲートパルス信号PUを与えるとUサイリスタはターンオンし、R相とT相の線間短絡電流がiCとしてWサイリスタに逆向きに流れる。Wサイリスタの電流は(b)の時点では直流電流Idであるが、Uサイリスタがターンオンするとともに減少し、(c)の時点で0となる。Wサイリスタは逆向きの電流を阻止すため、(c)の時点でR相とT相の線間短絡は終了し、直流電流IdはWサイリスタからUサイリスタに移る転流が生じる。
この転流期間中のVPの電位はVRとVTとの中間電位となり、転流を考慮しない場合と比較して、直流電圧も図10中の斜線部分の面積だけ低下する。この電圧低下は転流リアクタンス降下であり、この転流期間中の角度が重なり角uである。そして、直流電圧波形は交流電圧波形をつなぎ合わせたものであり、リップルを含んでいるが、直流電圧Vdはその平均値で、
Vd=[〔(3√2)/π〕Vac*cosα]−(3/π)Xt*Id …(1)式
但し、 Vac:交流電圧(線間電圧実効値)
α :制御角
Xt :励磁用変圧器のインピーダンス(転流インピーダンス)
Id :直流電流
で示される。そして、〔(3/π)Xt*Id〕は転流リアクタンス降下であり、変圧器のインピーダンスXtが大きいほど、また直流電流Idが大きいほど大きくなる。
Vd=[〔(3√2)/π〕Vac*cosα]−(3/π)Xt*Id …(1)式
但し、 Vac:交流電圧(線間電圧実効値)
α :制御角
Xt :励磁用変圧器のインピーダンス(転流インピーダンス)
Id :直流電流
で示される。そして、〔(3/π)Xt*Id〕は転流リアクタンス降下であり、変圧器のインピーダンスXtが大きいほど、また直流電流Idが大きいほど大きくなる。
また重なり角uの影響は、(1)式及び図10に示す波形から判るように、
(イ)変換後の直流電圧Vdが小さくなる。すなわち直流側の電圧降下となる。
(ロ)サイリスタ整流器の交流入力電圧が歪む。
(ハ)電流波形が遅れの方向にずれるので、力率が悪くなる。
(ニ)インバータ領域(α<90°)では重なり角uが大きくなると転流余裕角が減少し、転流失敗を起こす虞がある。
等が挙げられる。
(イ)変換後の直流電圧Vdが小さくなる。すなわち直流側の電圧降下となる。
(ロ)サイリスタ整流器の交流入力電圧が歪む。
(ハ)電流波形が遅れの方向にずれるので、力率が悪くなる。
(ニ)インバータ領域(α<90°)では重なり角uが大きくなると転流余裕角が減少し、転流失敗を起こす虞がある。
等が挙げられる。
こうしたことから、電圧歪みの影響を低減するために、同期信号の基準位相を検出する回路に1次遅れのフィルタを挿入することが一般的な手段で、電圧歪みの影響を十分に低減するためにフィルタの時定数を大きくすることが考えられるが、フィルタの時定数を大きくすると電源周波数変動に対する基準位相のずれが大きくなる。これを防ぐべくフィルタの時定数を小さくすると、結局は電圧歪みの影響を受けて基準位相の検出にずれが生じて位相制御特性が悪化してしまう。
特開平11−299296号公報
上記のような状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目的とするところは位相制御特性を悪化させることなく、電圧歪みの影響を受け難くしたサイリスタ整流器を用いた位相制御装置を提供することにある。
本発明の位相制御装置は、サイリスタ整流器による制御によって変化する交流電圧と予め設定した目標電圧とから算出された偏差電圧と、前記交流電圧から得た前記サイリスタ整流器のゲート点弧の基準となる基準位相を同期信号として出力されたゲートパルス信号により前記交流電圧が前記目標電圧となるように制御する前記サイリスタ整流器による位相制御装置であって、前記同期信号を、当該同期信号に基づくゲートパルス信号を検出した時点から一定時間だけ同期信号保持部に保持し、その後に保持を解除して当該同期信号によって前記サイリスタ整流器を位相制御することを特徴とする。
また、サイリスタ整流器による制御によって変化する交流電圧と予め設定した目標電圧とから算出された偏差電圧と、前記交流電圧から得た前記サイリスタ整流器のゲート点弧の基準となる基準位相を同期信号として出力されたゲートパルス信号により前記交流電圧が前記目標電圧となるように制御する前記サイリスタ整流器による位相制御装置であって、前記同期信号を、当該同期信号に基づくゲートパルス信号を検出した時点から転流完了時点まで同期信号保持部に保持し、その後に保持を解除して当該同期信号によって前記サイリスタ整流器を位相制御することを特徴とする。
またサイリスタ整流器による制御によって変化する交流電圧と予め設定した目標電圧とから算出された偏差電圧と、前記交流電圧から得た前記サイリスタ整流器のゲート点弧の基準となる基準位相を同期信号として出力されたゲートパルス信号により前記交流電圧が前記目標電圧となるように制御する前記サイリスタ整流器による位相制御装置であって、前記同期信号を、当該同期信号に基づくゲートパルス信号を検出した時点から前記サイリスタ整流器の制御入力量に基づき算出された転流完了時点まで同期信号保持部に保持し、その後に保持を解除して当該同期信号によって前記サイリスタ整流器を位相制御することを特徴とする。
本発明によれば、サイリスタ整流器を用いた位相制御で、位相制御特性を悪化させず、電圧歪みの影響を除去することができる等の効果を有する。
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
先ず第1の実施形態を図1及び図2により説明する。図1はサイリスタ整流器を用いた位相制御装置が適用された同期発電機の励磁制御装置の構成図であり、図2は自動電圧調整器の要部の構成図である。なお、従来と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、従来と異なる本実施形態の構成について説明する。
図1及び図2において、同期機である多相交流同期発電機1の界磁巻線2を励磁する励磁制御装置は、例えば6個のU,X,V,Y,W,Zの各サイリスタで構成されるサイリスタ整流器3による位相制御装置21となっている。また位相制御装置21は、サイリスタ整流器3に位相制御するためのゲートパルス信号(PU,PX,PV,PY,PW,PZ)を出力する位相制御回路22を有する自動電圧調整器(AVR)23を備えて構成されている。
自動電圧調整器23は、同期発電機1の出力側電路に接続された電圧変成器6の出力電圧と電圧設定器7に予め設定された目標電圧とを比較して偏差電圧をAVR位相制御信号として出力する差電圧検出器8と、差電圧検出器8の出力信号を増幅して位相制御回路22に出力する増幅器12と、同期信号保持部を構成する同期信号保持回路24と位相制御信号検出演算回路25を備えている。
そして同期信号保持回路24は、サイリスタ整流器3の交流電源として動作する励磁用変圧器4の出力側に接続された同期信号用変圧器9を介してサイリスタ整流器3の交流電源の各線間電圧を同期信号(U相同期信号、V相同期信号、W相同期信号)として取り込むと共に、同期信号を一定時間保持した後に位相制御回路22に出力する。さらに位相制御信号検出演算回路25は、自動電圧調整器23の出力信号、すなわち位相制御回路22の出力信号であるゲートパルス信号を入力とし、この入力したゲートパルス信号に基づいて同期信号保持時間を演算して保持信号を同期信号保持回路24に出力する。
なお、位相制御回路22は、同期信号保持回路24から入力した同期信号中のリップルを除去するフィルタ回路26と、フィルタ回路26からの同期信号の電圧が0Vとなる点(基準点(ゼロクロス))を検出するゼロクロス検出回路27と、ゼロクロス検出回路27の出力とAVR位相制御信号を得てゲートパルス信号を出力するパルス発生回路28とを備えている。
一方、位相制御信号検出演算回路25については、位相制御回路22からゲートパルス信号(PU,PX,PV,PY,PW,PZ)のうちのいずれが出力されたかを検知するゲートパルス信号入検出回路29と、ゲートパルス信号入検出回路29からのゲートパルス信号検知の信号が入力したことにより同期信号を保持する時間を演算し、同期信号を保持するための保持信号を出力する限時保持回路30で構成されている。さらに限時保持回路30は、同期信号を、例えば転流時の電圧歪みが実質なくなって転流が完了するまでの時間を一定保持時間として設定する限時設定器31と、ゲートパルス信号の出力を、それを検知したタイミングから限時設定器31で設定された一定保持時間の間保持する一定限時保持回路32で構成されている。
このように構成されたものでは、多相交流同期発電機1での発電は、界磁巻線2をサイリスタ整流器3による位相制御装置21で励磁することにより行なわれ、サイリスタ整流器3の位相制御は、同期発電機1の出力側電路に接続された励磁用変圧器4の出力側を交流電源とし、ここから同期信号を得て行なわれる。
このとき位相制御装置21では、励磁用変圧器4の出力側に接続された同期信号用変圧器9で検出された同期信号について、位相制御回路22で同期信号の電圧が0Vとなるゼロクロス点の検出が行なわれ、検出されたゼロクロス点を位相制御の基準点としてゲートパルス信号の出力が行なわれる。しかし同期信号保持回路24では、位相制御信号検出演算回路25においてゲートパルス信号入検出回路29がゲートパルス信号の出力を検知したタイミングを開始点として限時設定器31で設定された一定保持時間の間、一定限時保持回路32がゲートパルス信号を保持する。
それにより、その間限時保持回路30は保持状態となり、さらに保持状態の限時保持回路30から出力された信号によって同期信号保持回路24では、当該同期信号の選択状態を、転流時の電圧歪みが略なくなるまでの一定保持時間の間保持する状態となる。そして、一定保持時間が経過した後、限時保持回路30が保持状態から復帰して、位相制御装置21は通常の位相制御状態となる。
このようにサイリスタ整流器3の位相制御を行うことで、位相制御特性を悪化させることなく、転流時の電圧歪みの影響が除去され、同期信号の平滑化が行なわれ、それによって電圧歪みの影響を受け難い、安定した位相制御装置21を得ることができる。
次に第2の実施形態を図3乃至図5により説明する。第2の実施形態は第1の実施形態と自動電圧調整器の位相制御信号検出演算回路と同期発電機の界磁部が異なる以外は、基本構成が同じである。図3はサイリスタ整流器を用いた位相制御装置が適用された同期発電機の励磁制御装置の構成図であり、図4は自動電圧調整器の要部の構成図であり、図5は同期発電機の界磁部の構成図である。なお、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図3乃至図5において、同期発電機1の界磁巻線2を励磁するサイリスタ整流器3による位相制御装置35は、サイリスタ整流器3に位相制御するためのゲートパルス信号(PU,PX,PV,PY,PW,PZ)を出力する位相制御回路22を有する自動電圧調整器(AVR)36を備えて構成されている。この自動電圧調整器36は、差電圧検出器8から出力された偏差電圧のAVR位相制御信号が増幅されて入力する位相制御回路22と、同期信号保持部を構成する同期信号保持回路24と、位相制御信号検出演算回路37を備えている。
そして同期信号保持回路24は、サイリスタ整流器3の交流電源として動作する励磁用変圧器4の出力側に接続された同期信号用変圧器9を介してサイリスタ整流器3の交流電源の各線間電圧を同期信号(U相同期信号、V相同期信号、W相同期信号)として取り込むと共に、同期信号を一定時間保持した後に位相制御回路22に出力する。さらに位相制御信号検出演算回路37は、自動電圧調整器36の出力信号、すなわち位相制御回路22の出力信号であるゲートパルス信号と後述する転流完了信号を入力とし、これら入力信号に基づいて同期信号保持時間を演算して保持信号を同期信号保持回路24に出力する。
なお、位相制御回路22は、同期信号保持回路24からの同期信号中のリップルを除去するフィルタ回路26と、フィルタ回路26からの同期信号の0V点を検出するゼロクロス検出回路27と、ゼロクロス検出回路27の出力とAVR位相制御信号を得てゲートパルス信号を出力するパルス発生回路28とを備えている。
一方、位相制御信号検出演算回路37については、位相制御回路22からゲートパルス信号(PU,PX,PV,PY,PW,PZ)のうちのいずれが出力されたかを検知するゲートパルス信号入検出回路29と、ゲートパルス信号入検出回路29からのゲートパルス信号検知の信号が入力したことにより同期信号の保持を行うよう、また後述の転流完了信号を得て保持状態を復帰するよう同期信号保持回路24に各信号を出力する限時保持回路38と、サイリスタ整流器3の交流電源の各相に挿入した変流器39U,39V,39Wの出力電流IR,IS,ITより転流完了を検出し、転流完了信号を限時保持回路38に出力する転流完了検出回路40で構成されている。
さらに限時保持回路38は、ゲートパルス信号検知の信号が入力した後、転流完了検出回路40から転流完了の検出信号が入力するまでの時間を同期信号の一定保持時間とする外部条件入力付限時回路41と、ゲートパルス信号の出力をゲートパルス信号入検出回路29が検知したタイミングで一定時間保持する一定限時保持回路32で構成されている。
さらにまた、転流完了検出回路40は、変流器39U,39V,39Wの各出力電流IR,IS,ITを常時検出し、波形成形を行うことによって転流完了したか否かが常時検出できるよう、各出力電流IR,IS,ITのそれぞれ絶対値を検出する絶対値検出回路42、低値を検出する低値検出回路43、立上りを検出する立上り検出回路44を備えている。
そして、このように構成されたものでは、多相交流同期発電機1での発電は、界磁巻線2をサイリスタ整流器3による位相制御装置35で励磁することにより行なわれ、サイリスタ整流器3の位相制御は、同期発電機1の出力側電路に接続された励磁用変圧器4の出力側を交流電源とし同期信号を得て行なわれる。
このとき位相制御装置35では、励磁用変圧器4の出力側に接続された同期信号用変圧器9で検出された同期信号について、位相制御回路22で同期信号の電圧が0Vとなるゼロクロス点の検出が行なわれ、検出されたゼロクロス点を位相制御の基準点としてゲートパルス信号の出力が行なわれる。しかし同期信号保持回路24では、位相制御信号検出演算回路37においてゲートパルス信号入検出回路29がゲートパルス信号の出力を検知したタイミングを開始点として外部条件入力付限時回路41で転流完了を検出するまでの一定時間、一定限時保持回路32が、ゲートパルス信号を保持する。
それにより、その間限時保持回路38は保持状態となり、さらに保持状態の限時保持回路38から出力された信号によって同期信号保持回路24では、当該同期信号の選択状態を一定保持時間の間保持する状態となる。その後、各出力電流IR,IS,ITのうちの当該点弧相より前の点弧相の出力電流が0となった時点、すなわち当該点弧相への転流が完了した時点で限時保持回路38が保持状態から復帰して、位相制御装置35は通常の位相制御状態となる。
このようにサイリスタ整流器3の位相制御を行うことで、位相制御特性を悪化させることなく転流時の電圧歪みの影響が除去され、同期信号の平滑化が行なわれ、それにより本実施形態でも第1の実施形態と同様に、電圧歪みの影響を受け難い、安定した位相制御装置35を得ることができる。
次に第3の実施形態を図6及び図7により説明する。第3の実施形態も第2の実施形態と同様に、第1の実施形態と自動電圧調整器の位相制御信号検出演算回路と同期発電機の界磁部が異なる以外は、基本構成が同じである。図6はサイリスタ整流器を用いた位相制御装置が適用された同期発電機の励磁制御装置の構成図であり、図7は自動電圧調整器の要部の構成図である。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図6及び図7において、同期発電機1の界磁巻線2を励磁するサイリスタ整流器3による位相制御装置45は、サイリスタ整流器3に位相制御するためのゲートパルス信号(PU,PX,PV,PY,PW,PZ)を出力する位相制御回路22を有する自動電圧調整器(AVR)46を備えて構成されている。この自動電圧調整器46は、差電圧検出器8から出力された偏差電圧のAVR位相制御信号が増幅されて入力する位相制御回路22と、同期信号保持部を構成する同期信号保持回路24と、位相制御信号検出演算回路47を備えている。
そして同期信号保持回路24は、サイリスタ整流器3の交流電源として動作する励磁用変圧器4の出力側に接続された同期信号用変圧器9を介してサイリスタ整流器3の交流電源の各線間電圧を同期信号(U相同期信号、V相同期信号、W相同期信号)として取り込むと共に、同期信号を一定時間保持した後に位相制御回路22に出力する。さらに位相制御信号検出演算回路47は、自動電圧調整器46の出力信号、すなわち位相制御回路22の出力信号であるゲートパルス信号と、サイリスタ整流器3の交流電源から得た点弧相の出力電流及び各相同期信号の出力電圧を入力とし、これら入力に基づいて同期信号保持時間を演算して保持信号を同期信号保持回路24に出力する。
なお、位相制御回路22は、同期信号保持回路24からの同期信号中のリップルを除去するフィルタ回路26と、フィルタ回路26からの同期信号の0V点を検出するゼロクロス検出回路27と、ゼロクロス検出回路27の出力とAVR位相制御信号を得てゲートパルス信号を出力するパルス発生回路28とを備えている。
一方、位相制御信号検出演算回路47については、位相制御回路22からゲートパルス信号(PU,PX,PV,PY,PW,PZ)のうちのいずれが出力されたかを検知するゲートパルス信号入検出回路29と、ゲートパルス信号入検出回路29からのゲートパルス信号検知の信号が入力したことにより同期信号の保持を行うよう、またゲートパルス信号を検知したタイミングを開始点として転流期間及び転流完了と見なされる時点を演算し、保持状態を復帰するよう同期信号保持回路24に信号を出力する限時保持回路48と、サイリスタ整流器3の交流電源の各相に挿入した変流器39の各出力電流IU,IV,IWから点弧相の出力電流を選択検出し、検出したサイリスタ整流器3の出力電流Iの信号を限時保持回路48に出力する電流検出回路49と、サイリスタ整流器3の交流電源の各線間電圧VU,VV,VWから点弧相の出力電圧を選択検出し、検出したサイリスタ整流器3の出力電圧Vの信号を限時保持回路48に出力する電圧検出回路50で構成されている。
さらに限時保持回路48は、制御入力量として電流検出回路49と電圧検出回路50からの各信号を得、重なり角をu、位相制御角をαとし、これらに基づき転流期間Tuを
Tu=[COS−1{COSα−(%IZ・I/V)}−α]/2πf …(2)式
但し、 %IZ:励磁用変圧器4の内部インピーダンス
I :サイリスタ整流器3の出力電流
V :サイリスタ整流器3の出力電圧
の式によって演算して当該相への転流が完了すると見なされるまでの期間を算出し、ゲートパルス信号を検知したタイミングを開始点として転流完了と見なされる時点を演算する転流完了演算回路51と、ゲートパルス信号の出力をゲートパルス信号入検出回路29が検知したタイミングで一定時間保持する一定限時保持回路32で構成されている。
Tu=[COS−1{COSα−(%IZ・I/V)}−α]/2πf …(2)式
但し、 %IZ:励磁用変圧器4の内部インピーダンス
I :サイリスタ整流器3の出力電流
V :サイリスタ整流器3の出力電圧
の式によって演算して当該相への転流が完了すると見なされるまでの期間を算出し、ゲートパルス信号を検知したタイミングを開始点として転流完了と見なされる時点を演算する転流完了演算回路51と、ゲートパルス信号の出力をゲートパルス信号入検出回路29が検知したタイミングで一定時間保持する一定限時保持回路32で構成されている。
そして、このように構成されたものでは、多相交流同期発電機1での発電は、界磁巻線2をサイリスタ整流器3による位相制御装置45で励磁することにより行なわれ、サイリスタ整流器3の位相制御は、同期発電機1の出力側電路に接続された励磁用変圧器4の出力側を交流電源とし同期信号を得て行なわれる。
このとき位相制御装置45では、励磁用変圧器4の出力側に接続された同期信号用変圧器9で検出された同期信号について、位相制御回路22で同期信号の電圧が0Vとなるゼロクロス点の検出が行なわれ、検出されたゼロクロス点を位相制御の基準点としてゲートパルス信号の出力が行なわれる。しかし同期信号保持回路24では、位相制御信号検出演算回路47においてゲートパルス信号入検出回路29がゲートパルス信号の出力を検知したタイミングを開始点として転流完了演算回路51で演算した転流完了と見なされる時点までの転流期間、一定限時保持回路32がゲートパルス信号を保持する。
これにより、その間限時保持回路48は保持状態となり、さらに保持状態の限時保持回路48から出力された信号によって同期信号保持回路24では、当該同期信号の選択状態を算出された転流期間の間保持する状態となる。その後、転流完了演算回路51が演算した転流完了と見なされる時点で限時保持回路48が保持状態から復帰して、位相制御装置45は通常の位相制御状態となる。
このようにサイリスタ整流器3の位相制御を行うことで、位相制御特性を悪化させることなく転流時の電圧歪みの影響が除去され、同期信号の平滑化が行なわれ、それにより本実施形態でも第1の実施形態、第2の実施形態と同様に、電圧歪みの影響を受け難い、安定した位相制御装置45を得ることができる。
1…同期発電機
2…界磁巻線
3…サイリスタ整流器
4…励磁用変圧器
6…電圧変成器
7…電圧設定器
8…差電圧検出器
9…同期信号用変圧器
22…位相制御回路
23…自動電圧調整器
24…同期信号保持回路
25…位相制御信号検出演算回路
2…界磁巻線
3…サイリスタ整流器
4…励磁用変圧器
6…電圧変成器
7…電圧設定器
8…差電圧検出器
9…同期信号用変圧器
22…位相制御回路
23…自動電圧調整器
24…同期信号保持回路
25…位相制御信号検出演算回路
Claims (4)
- サイリスタ整流器による制御によって変化する交流電圧と予め設定した目標電圧とから算出された偏差電圧と、前記交流電圧から得た前記サイリスタ整流器のゲート点弧の基準となる基準位相を同期信号として出力されたゲートパルス信号により前記交流電圧が前記目標電圧となるように制御する前記サイリスタ整流器による位相制御装置であって、
前記同期信号を、当該同期信号に基づくゲートパルス信号を検出した時点から一定時間だけ同期信号保持部に保持し、その後に保持を解除して当該同期信号によって前記サイリスタ整流器を位相制御することを特徴とする位相制御装置。 - サイリスタ整流器による制御によって変化する交流電圧と予め設定した目標電圧とから算出された偏差電圧と、前記交流電圧から得た前記サイリスタ整流器のゲート点弧の基準となる基準位相を同期信号として出力されたゲートパルス信号により前記交流電圧が前記目標電圧となるように制御する前記サイリスタ整流器による位相制御装置であって、
前記同期信号を、当該同期信号に基づくゲートパルス信号を検出した時点から転流完了時点まで同期信号保持部に保持し、その後に保持を解除して当該同期信号によって前記サイリスタ整流器を位相制御することを特徴とする位相制御装置。 - 前記転流完了時点を、前記サイリスタ整流器の前記同期信号を得るための交流電源の電流波形を常時検出して得ることを特徴とする位相制御装置。
- サイリスタ整流器による制御によって変化する交流電圧と予め設定した目標電圧とから算出された偏差電圧と、前記交流電圧から得た前記サイリスタ整流器のゲート点弧の基準となる基準位相を同期信号として出力されたゲートパルス信号により前記交流電圧が前記目標電圧となるように制御する前記サイリスタ整流器による位相制御装置であって、
前記同期信号を、当該同期信号に基づくゲートパルス信号を検出した時点から前記サイリスタ整流器の制御入力量に基づき算出された転流完了時点まで同期信号保持部に保持し、その後に保持を解除して当該同期信号によって前記サイリスタ整流器を位相制御することを特徴とする位相制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008111141A JP2009268167A (ja) | 2008-04-22 | 2008-04-22 | 位相制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008111141A JP2009268167A (ja) | 2008-04-22 | 2008-04-22 | 位相制御装置 |
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JP2009268167A true JP2009268167A (ja) | 2009-11-12 |
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JP2008111141A Withdrawn JP2009268167A (ja) | 2008-04-22 | 2008-04-22 | 位相制御装置 |
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JP (1) | JP2009268167A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015061502A (ja) * | 2013-09-20 | 2015-03-30 | 株式会社東芝 | 位相制御装置 |
KR20210041253A (ko) * | 2019-10-07 | 2021-04-15 | 주식회사 포스코아이씨티 | 무효전력 저감을 위한 위상 제어 정류기 제어 시스템 및 제어 방법 |
-
2008
- 2008-04-22 JP JP2008111141A patent/JP2009268167A/ja not_active Withdrawn
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KR20210041253A (ko) * | 2019-10-07 | 2021-04-15 | 주식회사 포스코아이씨티 | 무효전력 저감을 위한 위상 제어 정류기 제어 시스템 및 제어 방법 |
KR102259303B1 (ko) | 2019-10-07 | 2021-05-31 | 주식회사 포스코아이씨티 | 무효전력 저감을 위한 위상 제어 정류기 제어 시스템 및 제어 방법 |
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