JP2009266986A - 電力変換装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体モジュールと制御回路基板の接続工程を容易に行える電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、半導体素子2を内蔵した複数の半導体モジュール20を有する主回路部13と、半導体モジュール20を制御する制御回路を形成した制御回路基板8とを備える。半導体モジュール20と制御回路基板8とは、半導体モジュール20に突出形成された信号端子23と、制御回路基板8に設けた接続端子80とにおいて電気的に接続されている。主回路部13と制御回路基板8との間には、信号端子23を挿通する複数の端子貫通孔60を設けた有孔絶縁部材6を介設してある。そして端子貫通孔60の少なくとも一部に、開口端に向うほど拡径する形状の拡径部61が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電源と負荷との間に配されて両者の間の電力を変換する電力変換部(主回路部)と、その電力変換部を制御する制御回路部とを有する電力変換装置およびその製造方法に関する。
従来から、インバータやDC−DCコンバータ等の電力変換装置として、半導体素子を内蔵する複数の半導体モジュールと、半導体モジュールを冷却するための冷却器とを交互に積層してなる電力変換装置がある。
半導体モジュールには半導体素子の制御信号が入力される信号端子が設けられ、その信号端子が制御回路基板に電気接続される。電力変換装置は半導体モジュールと冷却器を交互に積層しているため、各々の半導体モジュールと冷却器の厚さばらつきが重なることにより、信号端子が制御回路基板に対して位置ずれしやすくなり、その結果、半導体モジュールと制御回路基板との接続が困難になるという問題が従来からあった。
この問題を解決するために例えば下記特許文献1には、支持ケースに凹部を設け、その凹部に冷却器または半導体モジュールを嵌合させるとともに、これら冷却器と半導体モジュールとを密着させる付勢部材を設けた電力変換装置が開示されている。この発明によると、信号端子の積層方向のピッチが一定にされるため、制御回路基板に接続しやすくなる。
しかしながら、信号端子の位置精度は依然として改良の余地がある。すなわち、位置きめ部を形成すると共に、すべての冷却管に付勢部材を内蔵する必要があり、製造コストが増大する問題が生じる。そこで、半導体モジュールと制御回路基板の接続工程をより容易に行える電力変換装置が望まれていた。
特開2005−228919号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、半導体モジュールと制御回路基板の接続工程を容易に行える電力変換装置を提供しようとするものである。
第1の発明は、半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュールを有する主回路部と、上記半導体モジュールを制御する制御回路を形成した制御回路基板とを備えた電力変換装置であって、
上記半導体モジュールと上記制御回路基板とは、上記半導体モジュールに突出形成された信号端子と、上記制御回路基板に設けた接続端子とにおいて電気的に接続されており、
上記主回路部と上記制御回路基板との間には、上記信号端子を挿通する複数の端子貫通孔を設けた有孔絶縁部材を介設してあり、
上記端子貫通孔は、上記主回路部側の少なくとも一部に、開口端に向うほど拡径する形状の拡径部を形成してなることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
次に、第1の発明の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置においては、半導体モジュールに突出形成された信号端子が制御回路に接続され、この制御回路と半導体モジュールとの間に、信号端子を挿通する複数の端子貫通孔を有する有孔絶縁部材が介設されている。そして、この端子貫通孔には、開口端に向かうほど孔径が広がる形状の拡径部が形成されている。
すなわち第1の発明では、信号端子と制御回路とを接続する工程において、まず信号端子を端子貫通孔に挿入することになる。この際、端子貫通孔が主回路部側の開口端に向かって拡径した拡径部を有するため、信号端子の位置精度が特に高くなくても、信号端子を端子貫通孔に容易に挿入することができる。このように、信号端子を端子貫通孔に通すことにより、信号端子の位置ずれが矯正され、その結果、有孔絶縁部材の反対側の開口端から突出した信号端子を制御回路に容易に接続することが可能となる。
以上のごとく、上記第1の発明によれば、半導体モジュールと制御回路基板の接続工程を容易に行える電力変換装置を提供することができる。
また、第2の発明は、半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュールを有する主回路部と、上記半導体モジュールを制御する制御回路を形成した制御回路基板とを備えた電力変換装置の製造方法であって、
上記主回路部と上記制御回路基板との間に、絶縁材料からなる板状の有孔絶縁部材を配置するとともに、複数の上記半導体モジュールから突出形成された信号端子に各々対応する位置に、上記有孔絶縁部材の厚さ方向へ貫通形成された端子貫通孔を、上記制御回路基板に設けられた接続端子に対して位置合わせする工程と、
上記主回路部側の開口端に向けて拡径する形状に形成された拡径部を有する上記端子貫通孔に、上記信号端子を挿入すると共に、反対側の開口端から突出させる工程と、
上記有孔絶縁部材を上記制御回路基板から離隔させた状態において、上記端子貫通孔を貫通した上記信号端子と上記接続端子とをはんだ付け接合する工程と、
はんだ付けがされた後に上記有孔絶縁部材を上記制御回路基板に接近する向きに移動し、上記制御回路基板に固定する工程と、
を行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項5)。
次に、第2の発明の作用効果につき説明する。
上記製造方法によれば、主回路部側の開口端に向かって拡径した拡径部から信号端子を端子貫通孔に挿入するため、信号端子の位置精度が特に高くなくても、信号端子を端子貫通孔に容易に挿入することができる。そして、端子貫通孔に挿入することによって、信号端子の位置ずれが矯正され、その結果、有孔絶縁部材の反対側の開口端から突出した信号端子を制御回路基板に容易に接続することが可能となる。
また、第2の発明では、半導体モジュールを制御回路基板に接続する際に、信号端子を有孔絶縁部材の端子貫通孔に挿通し、その後、有孔絶縁部材を制御回路基板から離隔させた状態で、信号端子と接続端子とのはんだ付けを行う。これにより、有孔絶縁部材がはんだの形成を阻害することを防ぎ、はんだ付けを良好に行うことが可能となる。はんだ付けが完了した後に、有孔絶縁部材を制御回路基板に対して接近移動させ、制御回路基板に固定する。
仮に、有孔絶縁部材を制御回路基板に密着させた状態ではんだ付けを行うと、例えば、はんだが接続端子における主回路部側の面において盛り上がらないなどの不具合のため、接続強度が低下する可能性がある。しかし上述したように、有孔絶縁部材を制御回路基板から離隔した状態ではんだ付けを行うことにより、良好に接続することができる。
以上のごとく、上記第2の発明によれば、半導体モジュールと制御回路基板の接続工程を容易に行える電力変換装置を提供することができる。
上述した各発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明(請求項1)および第2の発明(請求項5)において、上記電力変換装置としては、例えばDC−DCコンバータやインバータ等がある。また、上記電力変換装置は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である交流モータに通電する駆動電流の生成に用いることができる。また、上記電力変換装置としては、上記複数の半導体モジュールを複数の冷却管と交互に積層した構成を採用することができる。
また、上記半導体素子としては、例えばスイッチング素子の他に、該スイッチング素子におけるコレクタ−エミッタ間に接続され、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオード、或いは、これら双方の機能を併せ持つ、逆方向導通性を有する半導体素子等がある。
また、上記スイッチング素子としては、例えば、IGBT素子を用いることができる。また、上記ダイオードとしては、例えば、フライホイールダイオードを用いることができる。また、上記逆方向導通性を有する半導体素子としては、例えばMOSFET等がある。
さらに上記接続端子としては、例えば、制御回路基板を厚さ方向に貫通形成したスルーホールを採用できる。また、上述の「拡径部」の形状は、貫通孔の中心軸を含む平面による断面が直線状となるものの他、曲線状となるものも含むものとする。
また、上記有孔絶縁部材は、上記制御回路基板側に突出した絶縁凸部を有し、上記制御回路基板は、複数の上記接続端子の間に形成された基板開口部を有し、上記有孔絶縁部材は、上記絶縁凸部を上記基板開口部に貫通させると共に上記制御回路基板の反対側面に突出させた状態で、上記制御回路基板と上記主回路部との間に配設されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、隣接する接続端子の間において、制御回路基板の反対側面から絶縁凸部が突出するため、これら隣接する接続端子間の沿面距離(表面に沿った距離)を長くできる。これにより、接続端子間の絶縁性が向上するので、隣接する信号端子の間の直線距離を小さくでき、電力変換装置を小型化できる。
また、上記主回路部は、上記半導体モジュールを冷却するための冷却器を備えており、上記制御回路基板は、上記主回路部の下方に配置していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、冷却器が結露して水滴が生じ、滴下したとしても、有孔絶縁部材によって水滴の侵入が防止されるため、冷却器の下方に配置された制御回路基板に水滴が付着することを防止できる。つまり、水滴によって制御回路基板がショートする等の不具合を防止できる。
電力変換装置には、電源と主回路部とのコネクタが設けられることがあるが、このコネクタは作業性の観点から主回路部の上方に配置され、制御回路基板はその反対側(主回路部の下方)に配置される場合がある。このように構成された場合、仮に有孔絶縁部材がないと、主回路部における結露が制御回路基板に落下するおそれがあるが、上述したように制御回路基板と冷却器との間に有孔絶縁部材を配置しておけば、水滴等の制御回路基板への付着を防止できる。
また、上記有孔絶縁部材を上記主回路部及び上記制御回路部のいずれにも固定せずに両者の間に配置すると共に上記信号端子を上記端子貫通孔に貫通させ、該端子貫通孔を貫通した上記信号端子と上記制御回路基板の上記接続端子とをはんだ付け接合した後に、上記有孔絶縁部材を上記制御回路基板に固定してなることが望ましい(請求項4)。
この場合には、第2の発明と同様の作用効果によって容易かつ確実に製造できる電力変換装置が得られる。すなわち、信号端子と接続端子とをはんだ付けする工程において、有孔絶縁部材と制御回路基板との間に隙間を形成することができるため、はんだが盛り上がりやすくなり、接続不良等が生じにくくなる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電力変換装置およびその製造方法につき、図1〜図14を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1,図2に示すごとく、半導体素子2を内蔵した複数の半導体モジュール20を有する主回路部13と、半導体モジュール20を制御する制御回路を形成した制御回路基板8とを備える。半導体モジュール20と制御回路基板8とは、半導体モジュール20に突出形成された信号端子23と、制御回路基板8に設けた接続端子80とにおいて電気的に接続されている。主回路部13と制御回路基板8との間には、信号端子23を挿通する複数の端子貫通孔60を設けた有孔絶縁部材6を介設してある。端子貫通孔60は、主回路部13側の少なくとも一部に、開口端62に向うほど拡径する形状の拡径部61を形成してある。
また、図11に示すごとく、有孔絶縁部材6は、制御回路基板8側に突出した絶縁凸部64を有する。制御回路基板8は、複数の接続端子80の間に形成された基板開口部81を有する。有孔絶縁部材6は、絶縁凸部64を基板開口部81に貫通させると共に制御回路基板8の反対側面に突出させた状態で、制御回路基板8と主回路部13との間に配設されている。
また、図1、図2、図10に示すごとく、主回路部13は、半導体モジュール20を冷却するための冷却器3を備えており、制御回路基板8は、主回路部13の下方に配置している。
また、本例の電力変換装置1は、図13,図14に示すごとく、有孔絶縁部材6を主回路部13及び制御回路部のいずれにも固定せずに両者の間に配置すると共に信号端子23を端子貫通孔60に貫通させ、端子貫通孔60を貫通した信号端子23と制御回路基板8の接続端子80とをはんだ付け接合した後に、有孔絶縁部材6を制御回路基板8に固定している。
本例の電力変換装置1は、図1に示すごとく、半導体素子2を内蔵する複数の半導体モジュール20と、該半導体モジュール20を冷却するための冷却媒体Wを内部に流通させる複数の冷却管3とを交互に積層してなる。
上記冷却管3は、積層方向(X方向)及び冷却媒体Wの流通方向(Y方向)に直交する方向(Z方向)に複数に分割された冷媒流路31を有する。
隣合う一対の冷却管3の間には、2個の半導体素子2をそれぞれ内蔵した2個の半導体モジュール20が配設されている。
図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、冷却管3と半導体モジュール2と導入管4と導出管5と制御回路基板8と有孔絶縁基板6を備えている。
冷却管3は、アルミニウム製であって、図1に示すごとく、積層方向(X方向)に潰れた角筒状を呈している。冷却管3の長手方向両端部には、導入口321と導出口322とが開設されている。これら導入口321と導出口322とは、冷却管3内部に区画された冷媒流路31により連通している。冷媒流路31は、冷却管3の長手方向に延びる複数の冷却リブにより仕切られている。
図1および図2に示すごとく、冷却管3は、合計12枚、互いに略平行に配置されている。導入管4は、導入本管40と導入連通管41とを備えている。導入連通管41は、アルミニウム製であって伸縮可能な短軸円筒状を呈している。導入連通管41は、互いに隣接する冷却管3の導入口321同士を連結している。導入連通管41は、合計11個、略一直線上に並んで配置されている。
導入本管40は、アルミニウム製であって導入連通管41よりも長軸の円筒状を呈している。導入本管40の一端は、積層方向一端の冷却管3の導入口321に接続されている。導入本管40を介して、図示しない放熱装置から冷却管3に、冷却媒体Wが導入される。
導出管5は、導出本管50と導出連通管51とを備えている。導出連通管51は、アルミニウム製であって伸縮可能な短軸円筒状を呈している。導出連通管51は、互いに隣接する冷却管3の導出口322(図1参照)同士を連結している。導出連通管51は、合計11個、略一直線上に並んで配置されている。
導出本管50は、アルミニウム製であって円筒状を呈している。導出本管50は、導入本管40に対して、略平行に配置されている。導出本管50の一端は、積層方向一端の冷却管3の導出口322に接続されている。導出本管50を介して、冷却管3から図示しない放熱装置に、熱交換後の冷却媒体Wが導出される。
図3に示すごとく、電力変換装置1は、電源11と負荷12との間に配されて両者の間の電力を変換する主回路部13を有する。
電力変換装置1は、図3に示すごとく、主回路部13に22個の半導体モジュール20を備えている。主回路部3はインバータ部13aとコンバータ部13bから構成される。インバータ部13aは18個の半導体モジュール20を備え、コンバータ部13bは4個の半導体モジュール20を備えている。
半導体モジュール20は、半導体素子2としてのIGBT(Insurated Gate Bipolar Transistor)2aとフライホイールダイオード2bとを備えている。IGBT2aに対して、フライホイールダイオード2bは、逆方向に並列接続されている。
なお、上記電源11は高電圧直流電源であり、上記負荷12は回転電機(三相交流モータージェネレータ)である。
半導体モジュール20は、インバータ部13aにおいて、ハイサイド側、ローサイド側にそれぞれ9個ずつ配置されている。このうち、ハイサイド側の半導体モジュール20は、電源11の正極側に接続された正極電源線101に接続され、ローサイド側の半導体モジュール20は、電源11の負極側に接続された負極電源線102に接続されている。そして、ハイサイド側の半導体モジュール20とローサイド側の半導体モジュール20とが互いに直列に接続されており、三相のアームを形成している。また、各アームにおける一対の半導体モジュール20の接続点から、三相交流モータージェネレータである負荷12の各相(U相、V相、W相)の電極とそれぞれ接続する出力線103が配線されている。本例では3個の負荷12を別々に駆動できるように、9本の出力線103が配線されている。
図4、図5に示すごとく、半導体モジュール20は、半導体素子2としてのIGBT(Insurated Gate Bipolar Transistor)2a及びフライホイールダイオード2bと電極端子22と信号端子23と放熱板24と樹脂モールド25とを備えている。IGBT2aとフライホイールダイオード2bとは、樹脂モールド25内部に封入されている。電極端子22は積層方向に垂直な方向(Z方向)に突出形成され、信号端子23は電極端子22と反対方向に突出形成されている。放熱板24およびスペーサ26は、導電性および熱伝導性に優れた金属板である。
IGBT2aとフライホイールダイオード2bとは、一対の放熱板24によって挟持されている。IGBT2aと一方の放熱板24との間、及びフライホイールダイオード2bと一方の放熱板24との間には、それぞれスペーサ26が配設されている。また、IGBT2a、フライホイールダイオード2bのそれぞれの両面、及びスペーサ26の両面には、はんだなどの導電性及び熱伝導性を有する接合部材27が配されている。
一対の導電板24はそれぞれ一対の電極端子22と接続されている。また、一方の導電板24は、IGBT2aのコレクタ電極及びフライホイールダイオード2bのカソードに電気的に接続され、他方の導電板24は、IGBT2aのエミッタ電極及びフライホイールダイオード2bのアノードに電気的に接続されている。また、IGBT2aのゲート電極は、ボンディングワイヤ(図示略)を介して信号端子23に電気的に接続されている。
また、図5に示すごとく、一対の導電板24は、その一方の表面を、半導体モジュール20の一対の主面に露出させるようにして配設されている。そして、一対の主面に露出した導電板24に対して、熱伝導性に優れた絶縁部材(図示略)を介して、冷却管3を接触させている。これにより、半導体モジュール20は、半導体素子2およびフライホイールダイオード2bから発生した熱を、両主面から放熱することができるよう構成されている。
図1に示すごとく、電力変換装置1は半導体モジュール20を制御する制御回路を形成した制御回路基板8を備えている。制御回路基板8には接続端子として、厚さ方向に貫通したスルーホール80が設けられ、半導体モジュール20に突出形成された信号端子23がスルーホール80に挿通されるようにして、信号端子23と接続端子80とが電気的に接続されている。
制御回路基板8から送られる制御信号により、半導体素子2(2a,2b)が制御され、これにより出力線103(図3)に交流電流を出力している。この交流電流により、三相交流モータである負荷12が駆動される。
なお、本例では接続端子80としてスルーホールを採用している。スルーホールは、制御回路基板8を厚さ方向に貫通するように形成されている。また、図1に示すごとく、制御回路基板8には基板開口部81が形成されている。
また、図1に示すごとく、主回路部13と制御回路基板8との間には、信号端子23を挿通する複数の端子貫通孔60を設けた有孔絶縁部材6が介設されている。
図6に示すごとく、信号端子23は端子貫通孔60および接続端子80(スルーホール)に挿通され、制御回路基板8の反対側面84から信号端子23が突出した状態で、信号端子23と接続端子80とが、はんだ82によって接合されている。
図7に示すごとく、端子貫通孔60は、主回路部13側の少なくとも一部に、主回路部側開口端62に向かうほど拡径する形状の拡径部61が形成されている。また、端子貫通孔60は、反対側(制御回路基板8側)にも、開口端63に向かうほど拡径する制御回路基板側拡径部67が形成されている。
信号端子23と接続端子80との接続工程においては、図8に示すごとく、信号端子23は挿入予定位置65よりも積層方向(X方向)に位置ずれしている。本例では、半導体モジュール20と冷却管3とを交互に積層しているため、これら半導体モジュール20と冷却管3との厚さばらつきが重なることにより、信号端子の位置ずれが生じやすくなる。
例えば、積層方向の一端の半導体素子20の信号端子23と、他端の半導体モジュール20の信号端子23との間隔は、当初の設計値に対してずれが生じやすい。
図8(A)に示すごとく、主回路部側開口端62における拡径部61の半径rは、積層方向(X方向)における信号端子23の最大位置ずれ量dよりも大きくなるように形成されている。
図10に示すごとく、制御回路基板8は、主回路部13の鉛直方向下方に配置されている。主回路部13は、電極端子22(図1参照)のコネクタが鉛直方向上側に設けられる。これは主として、製造時およびメンテナンス時における作業性を向上させることを目的としている。
また、図9,図10に示すごとく、有孔絶縁部材6は信号端子23に沿って可動となるように構成されている。
支持ケース7には、内面7aから主回路部13側へ突出するように支持凸部71が形成されている。制御回路基板8は、この支持凸部71の下面72に固定されている。
図11に示すごとく、有孔絶縁部材6が、積層方向(X方向)に隣接する端子貫通孔60の間に、主表面66から制御回路基板8側に突出する絶縁凸部64を形成している。
上述のごとく、有孔絶縁部材6には、複数個の信号端子23に各々対応する位置に、端子貫通孔60が形成されている。
そして、制御回路基板8には、複数の絶縁凸部64に各々対応する位置に、基板開口部81が貫通形成されている。さらに、制御回路基板8には、複数の端子貫通孔60に各々対応する位置に、接続端子80が貫通形成されている。
有孔絶縁部材6は、絶縁凸部64を基板開口部81に貫通させると共に、制御回路基板8の反対側面84に突出させた状態で、制御回路基板8と主回路部13との間に配設されている。
図12に示すごとく、X方向に隣り合うスルーホール80の間に必ず基板開口部81が存在するような配置、大きさで、基板開口部81が形成されている。そして絶縁凸部64のZ方向に直行する断面形状は、基板開口部81の内周面に沿った形状を有し、X方向に隣り合うスルーホール80の間に必ず絶縁凸部64が存在する。
本例の電力変換装置を製造するにあたっては、以下の各工程を行う。
すなわち、図13(A)に示すごとく、主回路部13と制御回路基板8との間に、絶縁材料からなる板状の有孔絶縁部材6を配置するとともに、複数の半導体モジュール20から突出形成された信号端子23に各々対応する位置に、有孔絶縁部材6の厚さ方向へ貫通形成された端子貫通孔60を、制御回路基板8に設けられた接続端子80に対して位置合わせする工程を行う(位置合わせ工程)。この工程は、例えば、絶縁凸部64を基板開口部81に挿入することにより、端子貫通孔60を接続端子80に位置合わせする。
次いで図13(B)に示すごとく、主回路部13側の開口端62に向けて拡径する形状に形成された拡径部61を有する端子貫通孔60に、信号端子23を挿入すると共に、反対側の開口端63から突出させる工程を行う(挿入工程)。
次いで、図14(A)に示すごとく、有孔絶縁部材6を制御回路基板8から離隔させた状態において、端子貫通孔60を貫通した信号端子23と接続端子80とをはんだ付け接合する工程を行う(はんだ付け工程)。この工程では、例えばスルーホール80の反対側開口端86にはんだ付けを行う。この際、はんだ82が毛細管現象によりスルーホール80を通って主回路部側開口端85まで移動し、盛り上がる。
次いで、図14(B)に示すごとく、はんだ付けがされた後に有孔絶縁部材6を制御回路基板8に接近する向きに移動し、制御回路基板8に固定する工程を行う(固定工程)。固定方法としては、例えば図10に示すように、支持凸部71の内側に有孔絶縁部材6を嵌入する方法や、接着剤または螺子等で固定する方法を採用できる。
上記位置合わせ工程と挿入工程は、順番を入れ替えてもよい。すなわち、位置合わせをする前に、端子貫通孔60に信号端子23を挿入し、その後で位置合わせ工程を行ってもよい。
次に、本例の作用効果につき説明する。
図8(A)に示すごとく、本例の有孔絶縁部材6は拡径部61を備えているため、信号端子23がX方向へ位置ずれしている場合でも、信号端子23をスルーホール80へ挿通する工程を容易に行うことができる。
例えば図8(A)に示すように信号端子23を挿入した場合、先端部23aが拡径部61に当接し、信号端子23が変形しつつ端子貫通孔60内へ案内される。その結果、図8(B)に示すごとく、信号端子23が挿入位置65に近づくように矯正される。これにより、反対側の開口端63から突出した信号端子23を、スルーホール80へ容易に挿入することができる。
また、本例では、拡径部61の半径rが、信号端子23の最大位置ずれ量dよりも大きくなるように構成されているため、信号端子23が最も大きく位置ずれした場合であっても、確実に信号端子23をスルーホール80へ挿通することができる。
また、本例では、図7に示すごとく、端子貫通孔60に制御回路基板側拡径部67が形成されているため、主回路部側開口端85上に盛り上がったはんだを、端子貫通孔60の制御回路基板側拡径部67内に配置でき、有孔絶縁部材6を制御回路基板8に対して安定して接触配置することができる。
また、図11に示すごとく、本例では絶縁凸部64を、制御回路基板8の反対側面に突出させた状態で、制御基板8と主回路部13との間に配置しているため、積層方向(X方向)に隣接する信号端子23間の沿面距離が長くなり、半導体モジュール20間のノイズの影響を防止しやすくなる。そのため、積層方向(X方向)に隣接する信号端子23の間の直線距離(すなわち、半導体モジュール20の間隔)を狭くでき、電力変換装置1を小型化できる。
なお、図12の制御回路基板8では、電池11(図3参照)の正極に接続された半導体モジュール20の間には基板開口部81を形成し、負極に接続された半導体モジュール20の間には基板開口部81を形成していない。より詳しくは、負極側に対応する位置には、積層方向(X方向)における両端位置にのみ基板開口部81a,81bを形成し、その間には形成していない。これは、負極に接続された半導体モジュール20同士の間では、信号端子23間における電位差が小さいため、沿面距離を小さくできるからである。
また、本例では、図10に示すごとく、有孔絶縁部材6を冷却管3の鉛直方向下側に配置しているため、冷却管3が結露した場合でも、制御回路基板8に水滴90が付着することを防止できる。これにより、水滴90による制御回路基板8のショート等の不具合を防止できる。
また、本例では、図9、図10、図14に示すごとく、有孔絶縁部材6を制御回路基板8から離隔した状態ではんだ付けを行い(はんだ付け工程)、その後、有孔絶縁部材6を制御回路基板8へ接近させ、固定している(固定工程)ため、はんだ82が主回路部側開口端85上に盛り上がりやすくなる。その結果、はんだ付けが強固になり、接続不良等が生じにくくなる。
また、本例では、図13(A)に示すごとく、絶縁凸部64を基板開口部81に貫通することにより、端子貫通孔60と接続端子80(スルーホール)との位置合わせ工程が容易になるという効果がある。
つまり、本例の絶縁凸部64は、隣接する信号端子23間の沿面距離を長くすることにより絶縁性を向上でき、ひいては電力変換装置1を小型化できるという効果と、位置合わせ工程を容易にするという2つの効果を奏する。
以上のごとく、本例の電力変換装置1は、半導体モジュールと制御基板の接続工程をより容易に行える電力変換装置を提供することができる。
(実施例2)
本例は、図15、図16に示すごとく、有孔絶縁部材6の貫通孔60の形状を変更した例である。図15の貫通孔60は、主回路部側の開口端62における拡径部61が円錐形状(所謂テーパ状)に形成されている。そして、制御回路基板側拡径部67は形成されていない。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合には、図7の例と比較して、有孔絶縁部材6を容易に製造することができるというメリットがある。
また、図16に示す貫通孔60は、拡径部61をアール状に形成してある。
なお、本発明の拡径部61は、上記以外にも種々の形状をとりうる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
実施例1における、電力変換装置の斜視図。 図1の部分拡大図。 実施例1における、電力変換装置の回路図。 実施例1における、半導体モジュールの斜視図。 図4のA−A矢視図。 図1のY−Z面における、電力変換装置の断面図。 図6の要部拡大図。 実施例1における、(A)位置ずれした信号端子をスルーホールへ挿入する前(B)挿入後 の状態での、要部拡大図。 実施例1における、有孔絶縁基板を離隔した状態での、電力変換装置の断面図。 実施例1における、有孔絶縁基板を接近した状態での、電力変換装置の断面図。 実施例1における、電力変換装置の断面図。 実施例1における、有孔絶縁部材の正面図。 実施例1における、(A)位置合わせ工程(B)挿入工程 を表した製造工程図。 実施例1における、(A)はんだ付け工程(B)固定工程 を表した製造工程図。 実施例2における、端子貫通孔の拡大断面図。 実施例2における、端子貫通孔の拡大断面図。
符号の説明
1 電力変換装置
3 冷却器
6 有孔絶縁部材
8 制御回路基板
13 主回路部
20 半導体モジュール
23 信号端子
60 端子貫通孔
61 拡径部
64 絶縁凸部
80 接続端子(スルーホール)
81 基板開口部

Claims (5)

  1. 半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュールを有する主回路部と、上記半導体モジュールを制御する制御回路を形成した制御回路基板とを備えた電力変換装置であって、
    上記半導体モジュールと上記制御回路基板とは、上記半導体モジュールに突出形成された信号端子と、上記制御回路基板に設けた接続端子とにおいて電気的に接続されており、
    上記主回路部と上記制御回路基板との間には、上記信号端子を挿通する複数の端子貫通孔を設けた有孔絶縁部材を介設してあり、
    上記端子貫通孔は、上記主回路部側の少なくとも一部に、開口端に向うほど拡径する形状の拡径部を形成してなることを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1において、上記有孔絶縁部材は、上記制御回路基板側に突出した絶縁凸部を有し、上記制御回路基板は、複数の上記接続端子の間に形成された基板開口部を有し、上記有孔絶縁部材は、上記絶縁凸部を上記基板開口部に貫通させると共に上記制御回路基板の反対側面に突出させた状態で、上記制御回路基板と上記主回路部との間に配設されていることを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1又は2において、上記主回路部は、上記半導体モジュールを冷却するための冷却器を備えており、上記制御回路基板は、上記主回路部の下方に配置していることを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1〜3の何れか一項において、上記有孔絶縁部材を上記主回路部及び上記制御回路部のいずれにも固定せずに両者の間に配置すると共に上記信号端子を上記端子貫通孔に貫通させ、該端子貫通孔を貫通した上記信号端子と上記制御回路基板の上記接続端子とをはんだ付け接合した後に、上記有孔絶縁部材を上記制御回路基板に固定してなることを特徴とする電力変換装置。
  5. 半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュールを有する主回路部と、上記半導体モジュールを制御する制御回路を形成した制御回路基板とを備えた電力変換装置の製造方法であって、
    上記主回路部と上記制御回路基板との間に、絶縁材料からなる板状の有孔絶縁部材を配置するとともに、複数の上記半導体モジュールから突出形成された信号端子に各々対応する位置に、上記有孔絶縁部材の厚さ方向へ貫通形成された端子貫通孔を、上記制御回路基板に設けられた接続端子に対して位置合わせする工程と、
    上記主回路部側の開口端に向けて拡径する形状に形成された拡径部を有する上記端子貫通孔に、上記信号端子を挿入すると共に、反対側の開口端から突出させる工程と、
    上記有孔絶縁部材を上記制御回路基板から離隔させた状態において、上記端子貫通孔を貫通した上記信号端子と上記接続端子とをはんだ付け接合する工程と、
    はんだ付けがされた後に上記有孔絶縁部材を上記制御回路基板に接近する向きに移動し、上記制御回路基板に固定する工程と、
    を行うことを特徴とする電力変換装置の製造方法。
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