JP2009266879A - 巻線用治具、角形コイルの製造方法、角形コイル - Google Patents

巻線用治具、角形コイルの製造方法、角形コイル Download PDF

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Abstract

【課題】角形精度の高いコイルを製造できる巻線用治具、該巻線用治具を用いる角形コイルの製造方法および角形コイルの提供。
【解決手段】巻芯15の両端部に第1鍔部12および第2鍔部13が対向して設けられ、第1鍔部12の第2鍔部13と対向する面121に、巻芯15の端部を略中心として放射状に4本突設された突条14と、巻芯15に巻き付ける導線(集合線21)の巻き始めの引き出し線部を収納するための導線収納溝122とが設けられた巻線用治具1、この巻線用治具1を用いる角形コイルの製造方法、角形コイルを提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、外観板状の巻線部を有する空芯コイルを製造するための巻線用治具、この巻線用治具を用いる角形コイルの製造方法、角形コイルに関する。
近年、携帯電話や電気剃刀機、卓上掃除機、リモートコントローラなど、バッテリーを内蔵してコードレスにした機器(コードレス機器)が広く普及している。そして、二次コイルが内蔵された機器を、一次コイルが内蔵された充電器にセットすると、充電器と機器とを電気的に接続する接点を設けることなく、一次コイルから二次コイルへの電磁誘導により、充電器から機器に電力を供給することができる(特許文献1および2参照)。
このような無接点充電式機器に内蔵される二次コイルとしては、特に薄型(外観薄板状)のものが必要とされており、そのため、複数の金属細線が束ねられてなる導線を、空芯の径方向に一列に重ねて巻き付けたコイル(以下、一列多層巻きコイルと略記することがある)が用いられる。
また、上記のような無接点充電では、電気回路部品を電磁誘導の電磁波から保護するため、通常、二次コイルに防磁シートが張り合わされる。この時、二次コイルが丸形形状(円板状)であると、四角形の防磁シートの四隅近傍にはコイルが無く、図19に示すように、この部位に渦電流が発生し、温度上昇の一因となる。そこで、二次コイルとしては、図17に示すような角形コイルが必要とされる。
特開2005−136342号公報 特開2005−137173号公報
しかし、従来、一列多層巻きコイルはもとより、空芯の径方向に導線を重ね巻きしたコイルで、角形精度の高いものを製造することは、非常に困難であることが知られている。
例えば、図18(a)に示すように、四角柱状の巻芯92の両端に鍔部91が設けられた構成の巻線用治具9を用いて、巻芯92に導線93を重ねて巻き付けても、得られる一列多層巻きコイル90は、角形コイルと呼ぶのに十分な形状ではなく、丸形に近い形状となってしまう。特に巻外径に比較し、巻芯92が小さい場合にこの傾向が著しい。
したがって、従来は、例えば図18(b)に示すように、空芯の形状によらず丸形(円板状)コイルの外周部を矢印で示す四方向からプレスして成形することで、四角形コイルを得ている。また、プレス方向を変えることで、その他所望形状の角形コイルを得ている。
しかし、このようにプレス成形してコイルを得る手法でも、角形精度の高いものを得ることは容易ではなく、また、プレスによって、コイルに予期しない歪みや変形が生じやすく、コイルの巻線部を構成する導線間の距離が局所的に大きくなって巻線密度のばらつきが生じたり、導線を傷めるといった問題もあった。このため、二次コイルとしての特性を十分満たすものを確実に得ることは容易ではなかった。
このように、従来は、コイルに無用な歪みや変形を与えることなく、角形精度が高い角形コイルを製造する適切な方法が無いという問題点があった。
なお、ここで「角形精度が高い」とは、角形コイルの外周において、各頂点間の辺が直線あるいは直線に近い曲線であること、つまり、角形コイルの外周において、各辺の、頂点間を結ぶ理想直線からのずれが小さいことを指す。以下、この「角形精度」の語は、四角形以外、六角形、八角形等の多角形状の角形コイルについても適用する。
もう一つの問題として、コイルの巻き始めの引き出し線部の処理の問題がある。
角形コイルにあっては、電子機器に組み込む際の省スペース化に鑑みて、コイルの最内周から延出する巻き始め引き出し線部を、四角形板状に成形した巻線部の片面に沿わせるようにして配線した構成とすることが多い。しかしながら、巻線部から延びる巻き始め引き出し線部が、丸形(円板状)コイルをプレスして角形に成形する作業の邪魔になる上、巻線部の成形後に巻き始め引き出し線部の形を整えて巻線部に重ねるようにして配線する作業が必要となるため、従来の製造方法ではコイルの製造に手間を要するといった問題がある。
なお、丸形(円板状)コイルをプレスして成形する手法であれば、四角形コイル以外、例えば、六角形板状、八角形板状等の多角形板状の巻線部を持つコイルも製造可能であるが、上述の問題は角形コイルの共通して発生する。
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、形状精度(角形精度)が良く、巻線密度のばらつきが少ない角形コイルを容易に得ることができ、しかも、巻き始め引き出し線部の処理の手間を大幅に軽減あるいは不要にできる巻線用治具、該巻線用治具を用いる角形コイルの製造方法および角形コイルを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、導線が巻き付けられる巻芯と、該巻芯の両端部に対向して設けられた鍔部とを具備する巻線用治具であって、一対の前記鍔部の互いに対向する面の少なくとも一方に、前記巻芯の端部を略中心として放射状に延在するように複数の突条が突設され、前記鍔部の互いに対向する面の一方又は他方に、前記導線の巻き始めの引き出し線部を収納するための導線収納溝が設けられ、前記導線収納溝は前記鍔部において前記巻芯の端部からその外周の接線方向に延在するように形成されていることを特徴とする巻線用治具を提供する。
第2の発明は、前記導線収納溝の深さが前記導線の径寸法よりも小さいことを特徴とする第1の発明の巻線用治具を提供する。
第3の発明は、一対の前記鍔部の互いに対向する面の内、前記導線収納溝が形成されている鍔部の面に前記突条が複数突設されており、これら突条の前記鍔部の面からの突出寸法と、前記導線収納溝と前記導線の径寸法との差とが同等に揃えられていることを特徴とする第2の発明の巻線用治具を提供する。
第4の発明は、複数の前記突条のひとつが前記導線収納溝に沿って設けられ、この突条の前記鍔部の面からの突出寸法と前記導線収納溝の深さとの合計が、前記導線の径寸法と同等に揃えられていることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明の巻線用治具を提供する。
第5の発明は、前記導線収納溝に沿って設けられた前記突条である巻き始め部突条の幅寸法と前記導線収納溝の溝幅との合計と、前記巻き始め部突条以外の各突条の幅寸法とが略同等に揃えられていることを特徴とする第4の発明の巻線用治具を提供する。
第6の発明は、前記突条は、前記巻芯側の端部から前記鍔部の外周側へ行くに従ってその幅寸法が次第に減少するように形成されたテーパ状部を具備することを特徴とする第1〜5のいずれかの発明の巻線用治具を提供する。
第7の発明は、一対の前記鍔部の内の前記導線収納溝が形成されている鍔部の外周部に、巻線用治具の回転時に前記導線の巻き始め引き出し線部に係合して該巻き始め引き出し線部に回転力を与える導線回転用係合部が形成されており、この導線回転用係合部に巻き始め引き出し線部が係合される係合位置に、前記巻芯の端部から延びる前記導線収納溝の前記鍔部外周側の端部の位置が合わされていることを特徴とする第1〜6のいずれかの発明の巻線用治具を提供する。
第8の発明は、前記導線収納溝が、鍔部の互いに対向する面の一方のみに設けられていることを特徴とする第1〜7のいずれかの発明の巻線用治具を提供する。
第9の発明は、前記突条の数が4つであることを特徴とする第1〜8のいずれかの発明の巻線用治具を提供する。
第10の発明は、一対の前記鍔部の一方又は両方が、前記巻芯に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする第1〜9のいずれかの発明の巻線用治具を提供する。
第11の発明は、第1〜10のいずれかの発明の巻線用治具の前記巻芯に前記導線を巻き付けてコイルを製造する方法であって、前記導線の先端部である巻き始め引き出し線部を前記巻線用治具の前記導線収納溝に収納した状態で、前記巻線用治具の前記巻芯に前記導線を巻き付けることを特徴とする角形コイルの製造方法を提供する。
第12の発明は、第3〜5のいずれかの発明に係る第11の発明のコイルの製造方法であって、前記導線として、前記導線収納溝の深さと前記突条の突出寸法との合計と同等の径寸法を持つものを用いることを特徴とする角形コイルの製造方法を提供する。
第13の発明は、前記巻線用治具の前記巻芯への前記導線の巻き付けの完了後に、導線の巻き付けによって得られたコイルの巻線部から延びる前記巻き始め引き出し線部を前記巻線部に押し付けるように加圧することを特徴とする第11又は12の発明の角形コイルの製造方法を提供する。
第14の発明は、多角形板状の巻線部と、該巻線部の最内周及び最外周からそれぞれ延出する引き出し線部とを有し、前記巻線部には、その中央部から該巻線部の外周の複数の頂点に向かって放射状に延在する溝状の凹部が形成されており、前記巻線部の前記凹部が形成されている部分は、前記巻線部の他の部分に比べて厚さ寸法が小さく形成されており、複数の前記凹部の内の1つに、前記巻線部の最内周から延出する引き出し線部が収納されていることを特徴とする角形コイルを提供する。
第15の発明は、前記巻線部が四角形板状であることを特徴とする第14の発明の角形コイルを提供する。
本発明に係る巻線用治具、該巻線用治具を用いる角形コイルの製造方法によれば、角形精度の高い角形コイルを容易に得ることができる。四角形板状の巻線部を持つ角形コイル以外に、例えば、五角形、六角形、八角形等の多角形板状の巻線部を持つ角形コイルも容易に得ることができる。しかも、巻線用治具の巻芯への導線の巻き付けを、導線収納溝に導線(巻き始め引き出し線部)を収納した状態で行えるので、巻線部の最内周から延びる引き出し線部がコイルの製造の邪魔になることがなく、角形コイルを効率良く製造できる。また、巻線密度のばらつきが少ない角形コイルをより確実に得ることができるといった利点もある。
得られた角形コイルを用いることで、充電効率の優れたコードレス機器を提供できる。
本発明に係る角形コイルによれば、巻線部の、溝状の凹部が形成されて厚さ寸法が小さい部分(以下、薄肉部)における厚み方向における導線の配列本数が、巻線部の薄肉部以外の部位における厚み方向における導線の配列本数に比べて少なくなっている構造であるため、巻線部全体の巻線密度の均等化に有利であり、巻線密度の均等化を容易に図ることができる。角形精度の確保にも有利である。しかも、巻線部の最内周から延びる引き出し線部が溝状の凹部に収納されている構成により、この角形コイルを組み込む電子機器におけるコイル収納用のスペースの縮小を実現できる。したがって、電子機器全体の小型化にも有利である。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る巻線用治具の第1実施形態を例示する図であり、(a)は巻線用治具1を示す図であって、この巻線用治具1を第2鍔部13側から透視して第1鍔部12の突条14が突設されている面(対向面121)側から見た構造を示す図、(b)は(a)の巻線用治具1のA−A線における断面図、(c)は(a)の巻線用治具1のB−B線における断面図(但し、導線収納溝122に導線2を収納した状態を示す)である。
また、図2は図1の巻線用治具1に導線2を巻き付けた状態を示す図であって、(a)は巻線用治具1を第2鍔部13側から透視して導線2の巻き付け状態を示す図、(b)は(a)のC−C線における拡大断面図、(c)は(a)のD−D線における巻芯15付近の拡大断面図である。
図3は本発明に係る角形コイルの第1実施形態を例示する図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のE−E線における拡大断面図である。
図1(a)〜(c)に示す巻線用治具1は、図3(a)、(b)に示す角形コイル10の製造に用いることができる。
図3(a)、(b)に例示した角形コイル10は、具体的には正方形板状の巻線部10aを持つ角形のコイル(以下、角形コイルとも言う)である。また、この角形コイル10は、巻線部10aの最内周及び最外周からそれぞれ延出する引き出し線部10b、10cを具備する。この引き出し線部10b、10cは、巻線部10aを構成する導線の両端を巻線部10aから延出させた部分である。
なお、巻線部10aの最内周から延出されている引き出し線部10bを、以下、第1引き出し線部、巻線部10aの最外周から延出されている引き出し線部10cを、以下、第2引き出し線部10cとも言う。
図1(a)、(b)に示すように、前記巻線用治具1は、円筒状(あるいは円柱状)の巻芯15と、該巻芯15の両端部に互いに対向して設けられた、いずれも円板状の第1鍔部12および第2鍔部13とからなるものである。そして、巻芯15、第1鍔部12および第2鍔部13は、同芯状に配置されている。第1鍔部12、第2鍔部13は、巻芯15の端部からその半径方向に張り出す大きさになっている。
なお、図中、符号Pは、巻芯15、第1鍔部12、第2鍔部13の中心を通る中心軸線である。
第1鍔部12の第2鍔部13と対向する面121(以下、対向面とも言う)には、4本の突条14,14・・が巻芯15の端部を略中心として放射状に突設されている。4本の突条14は、中心軸線Pを中心とする半径方向に延在形成されている。隣り合う突条14,14の為す角度θ1はいずれも同じ(直角)である。
なお、第2鍔部13の第1鍔部12と対向する面131(以下、対向面とも言う)は平坦面となっている。
さらに、前記第1鍔部12の対向面121には、角形コイル10(以下、単にコイルとも言う)の製造に用いる導線2を収納するための導線収納溝122が形成されている。図1(c)に示すように、この導線収納溝122は対向面121から窪む溝条である。また、この導線収納溝122は、第1鍔部12の対向面121において、前記巻芯15の端部の外周(対向面121において巻芯15の端部の外周に対応する位置)からその接線方向に真っ直ぐに延在して1本形成されており、第1鍔部12の外周に達している。
この導線収納溝122には、図2(a)、(b)に示すように、コイルを構成する導線の内、角形コイル10の第1引き出し線部10b(図3(a)参照)となる部分が収納される。
図1(a)に示すように、4本の突条14の1本は、前記第1鍔部12の対向面121において導線収納溝122に隣接する位置に形成されており、導線収納溝122に沿って延在している。この突条14について、以下、巻き始め部突条とも言う。また、巻き始め部突条について、以下、符号14aを付して説明する場合がある。
本実施形態の巻線用治具1の前記巻き始め部突条14aは、中心軸線Pを中心とする半径方向に延在形成されている。具体的には、中心軸線Pを中心とする半径の内、対向面121において導線収納溝122に平行な半径にその長手方向を揃えて形成されている。
図中、符号123aは、導線収納溝122と平行な半径(中心軸線Pを中心とする半径)に重なる仮想直線である。換言すれば、導線収納溝122は、この仮想直線123aと平行な接線方向に巻き始め部突条14aに沿って延在形成されている。
巻き始め部突条14aを含む各突条14は、それぞれ、長手方向全長にわたって幅寸法が一定の断面矩形の凸部に形成されている。
ここで、各突条14の「幅寸法」とは、第1鍔部12の対向面121に沿った方向において各突条14の長手方向(中心軸線Pを中心とする半径方向)に直交する方向における寸法を指す。巻き始め部突条14a及び該中心軸線Pを介して巻き始め部突条14aとは反対の側に位置する符号14bの突条14の幅寸法は、前記仮想直線123aに直交する方向の寸法を指す。また、符号14a、14b以外の突条14(図1(a)中、符号14c,14d)の幅寸法は、対向面121に沿った方向において仮想直線123aに垂直の仮想直線123bに直交する方向に寸法を指す。
図1(a)、(c)に示すように、巻き始め部突条14a以外の突条14の幅寸法は、導線収納溝122の溝幅w1(ここでは、導線収納溝122の仮想直線123aに対して直交する方向の寸法を指す)と、巻き始め部突条14aの幅寸法w2との合計と略同等(あるいは同じ)に揃えられている。
図1(b)、図2(b)、(c)に示すように、本発明において、角形コイル10の角形の精度は、第1鍔部12の対向面121と第2鍔部131の対向面131との間の距離X1、突条14と第2鍔部13の対向面131との間の距離X2に依存する。
本実施形態では、前記距離X1を導線2の径寸法(外径)の1.5〜1.9、距離X2を導線2の径寸法の1.0〜1.5倍とする。但し、距離X1は距離X2よりも大きいことが必須である。
角形コイル10の角形精度は、距離X1と突出寸法tとに依存するとも言える。
この巻線用治具1を用いてコイル10を製造するには、金属単線である導線2を1本のみ用いて巻芯15に巻き付けていくか、あるいは、複数本の導線2を巻芯15に一括巻きする。これにより、導線2を巻芯15の径方向に重ねて一列に巻いた所謂一列多層巻きコイルを製造する。
なお、使用する導線2の径寸法は30〜800μmであることが好ましい。
本実施形態では、金属単線である導線2を複数本(具体的には8本)集合した(束ねた)集合線21を巻く場合を説明する。これは複数本の導線2の一括巻きに相当する。
なお、本明細書にて説明する他の実施形態についても、巻線用治具に集合線21を巻く例として説明する。但し、導線2を1本のみ用いて巻芯15に巻き付けていくことも可能であることは言うまでも無い。
前記集合線21は、単に複数本の導線2を互いに接近させ接触させて集合(非接触部分が存在していても良い)したものであり、例えば撚り合わせなどによって隣接する導線2間の位置関係を拘束して複数本の導線2を一体化したものとは異なる。集合線21における導線2の集合状態(導線2相互の位置関係)は弱い力で容易に変動する状態にある。例えば複数本の導線2を断面略円形に集合させた集合線21を使用した場合でも、図2(b)、(c)等に示すように巻線用治具1の一対の鍔部12、13間の空間16には集合線21を構成する複数本の導線2が巻芯15の径方向に沿って配列状態に入り込むことになり、導線2の一列多層巻きが実現される。
図1(c)に示すように、この巻線用治具1において、前記導線収納溝122の深さc(以下、深さ寸法とも言う)は、コイル10の製造に用いる導線2の径寸法よりも小さく(深さを浅く)してある。そして、巻き始め部突条14aの前記第1鍔部12の対向面121からの突出寸法tと前記導線収納溝122の深さ寸法cとの合計が、前記導線2の径寸法と同等に揃えられている。
換言すれば、コイル10の製造にあたり、巻線用治具1として、巻き始め部突条14aの前記第1鍔部12の対向面121からの突出寸法tと前記導線収納溝122の深さ寸法cとの合計が、使用する導線2(集合線21を構成する導線2)の径と同等のものを使用する。
この構成により、導線収納溝122に導線2(具体的には集合線21)を収納したときに、導線2の前記第1鍔部12の対向面121からの突出寸法が、巻き始め部突条14aの前記第1鍔部12の対向面121からの突出寸法tと揃うことになり、導線2自体を突条の如く機能させることができる。
図1(c)に示すように、導線収納溝122には、該導線収納溝122の溝幅w1方向(幅方向)に集合線21を構成する複数本の導線2(図示例では、集合線21を構成する8本の導線2)を一列に配列させた状態に収納することができる。このように導線収納溝122に複数本の導線2を収納したとき、巻き始め部突条14aと、導線収納溝122に収納された導線2とで、1本の突条部が構成される。この突条部を、以下、複合突条128とも言う。
この導線収納溝122は、集合線21を構成する導線2を図1(c)に示すように収納することで導線2を位置決めし、導線2の位置ずれを防止する機能を果たす。
図示例の導線収納溝122の溝幅w1は、巻芯15に巻き付ける集合線21を構成する導線2の本数をN、導線2の径寸法(外径)をDとしたときにD×Nで算出される値に揃えてある。
なお、導線収納溝122の深さ寸法cがD/2よりも小さいときには、溝幅w1はD×Nよりも若干小さくても良い(但し、集合線21の全ての導線2を一列に配列収納することが可能な範囲を下限値とする)。
この巻線用治具1を用いて集合線21を巻いてコイル10を製造するには、集合線21の先端部(巻き始め引き出し線部22)を導線収納溝122に収納し、集合線21の導線収納溝122に収納した先端部から後端側を巻芯15に巻き付けて行けば良い。第1鍔部12と第2鍔部13との間のスリット状の隙間である空間16内において、集合線21を巻芯15の径方向に重ねて巻きつけていくことで、一列多層巻きのコイルが形成される。
集合線21の導線収納溝122に収納された部分(及び、この部分よりも先端側の部分)である巻き始め引き出し線部22は巻芯15には巻き付けない。この巻き始め引き出し線部22がコイル10の第1引き出し線部10bとなる。
なお、巻き始め引き出し線部22は、導線収納溝122から巻線用治具1の外側に引き出した部分を第1鍔部12に対して変位しないように固定しておくことが好ましい。
例えば、図4(a)、(b)では、巻線機60に、巻線用治具1と一体回転するように設けられた導線固定部68(導線挟持部)に、巻き始め引き出し線部22の先端を固定できるようにした構成を例示する。この他、導線固定部としては、例えば、第1鍔部12に導線を脱着可能に固定できるクリップを設けた構成等も採用可能である。
図2(b)、(c)は、突条14と第2鍔部13との間の距離X2が、導線2の径寸法と略同等(導線2の径寸法の1.0〜1.1倍。図2(b)参照)、第1鍔部12と第2鍔部13との間の距離X1が導線2の径寸法の1.8〜1.9倍(図2(c)参照)である場合を示す。
この場合、集合線21を巻芯15の径方向に重ねて巻きつけていくと、図2(b)に示すように、一対の鍔部12、13の間における複合突条128、突条14が突設されている領域(以下、突条突設領域、と略称する場合がある。)では、突条14と第2鍔部13の対向面131との間の隙間に集合線21の導線2が入り込み、入り込んだ導線2が第2鍔部13と突条14とに挟まれるようにして一列に巻かれる。この突条突設領域を突条14の長手方向に沿う断面で見たとき、突条14の長手方向に沿う1本の直線上に略一列に導線2の断面(詳細には断面中心)が複数配列された状態となる。
これに対し、一対の鍔部12、13間において複合突条128、突条14が突設されていない領域(以下、突条無し領域、と略称する場合がある)においては、第1鍔部12と第2鍔部13との間の距離X1が、突条14と第2鍔部13との間の距離X2よりも大きいため、図2(c)に示す巻線状態となる。すなわち、この領域(突条無し領域)では、中心軸線Pを中心とする半径に沿う断面で見たとき、図2(c)において隣り合う導線2断面の中心間に中心軸線Pに沿う方向におけるずれ量ΔXが存在する。このずれ量ΔXはX1とX2との差に相当する。一方、突条突設領域では前記ずれ量ΔXは殆ど(あるいは全く)存在しない。
その結果、導線2(ここでは集合線21)が同じ回数だけ巻き付けられた時のコイルの径寸法を比較すると、突条突設領域における巻き径が、突条無し領域の巻き径よりも大きくなる。
そして、導線2の巻き付け回数が多くなるにしたがって、突条突設領域における巻き径と突条無し領域の巻き径との差が大きくなり、やがて、その外側周縁部のうち突条14,14・・と重なる四つの位置に頂点を有する四角板状のコイル(巻線部)が得られる。
図2(b)、(c)を参照して、巻線用治具1を用いて8本の導線2を束ねてなる集合線21を巻いた場合を説明する。
理解を容易にするために、突条14と第2鍔部13との間の距離X2を導線2の径寸法と同じ(導線2の径寸法の1.0倍。図2(b)参照)、第1鍔部12と第2鍔部13との間の距離X1を導線2の径寸法の1.8倍(図2(c)参照)とした場合を例に説明する。
この場合、突条突設領域では、集合線21が1回巻かれる度に、導線2の径寸法の8倍だけ巻き径が増大する(図中、巻き径増加量R)。一方、突条無し領域では、導線2径寸法をDとすると、集合線21が1回巻かれる度に、7×0.6D+D程度巻き径が増大する(図中、巻き径増加量R)。突条突設領域における巻き径が、突条無し領域の巻き径よりも大きい。導線2の巻き付け回数が多くなるにしたがって、突条突設領域における巻き径と突条無し領域の巻き径との差が大きくなることで、略正方形状の多角形コイル10が得られることになる。
距離X1を導線2の径寸法の1.8〜1.9倍、距離X2を導線2の径寸法の1.0倍とすれば、導線2の巻き付け回数が多くなるにしたがって、四角板状の巻線部10bの4隅の頂点間(角形コイル(詳細には巻線部)の各辺)に直線部分が得られるようになり、角形精度が高い角形コイルが得られる。
距離X1と距離X2との比X1/X2が1.8よりも小さいと、角形コイル(詳細には巻線部)の各辺が直線に近い曲線(湾曲が極めて緩やかな曲線)となる場合があるが、本発明はこのような構成も含む。
集合線21は、張力を与えた状態で巻芯15に巻き付けていく。
集合線21を張力を与えた状態で巻芯15に巻き付けていくことで、角形精度が高い角形コイルを確実に得ることができる。
この実施形態においては、前記距離X1が導線2の径寸法(外径)の1.5〜1.9、距離X2が導線2の径寸法の1.0〜1.5倍の範囲で、距離X1と距離X2との差が大きいほど、角形コイルの頂点間の各辺に直線部分が得られやすくなる。
なお、このことは、四角板状の巻線部を持つ角形コイルの製造に限定されず、五角形、六角形、八角形等の四角板状以外の多角形板状の巻線部を持つ角形コイルの製造にも共通して言える。
図3(a)、(b)に示すように、ここで得られるコイル10(詳細には巻線部10a)は、突条突設領域にて形成された部分では、突条無し領域にて形成された部分よりも厚みが薄くなる。
巻線部10aの突条突設領域にて形成された部分には、複合突条128、巻き始め部突条14a以外の突条14の存在位置に対応して、その中央部から該巻線部10aの外周の複数の頂点に向かって放射状に延在する溝状の凹部10dが形成される。このため、巻線部10aの突条突設領域にて形成された部分は、前記巻線部10aの他の部分に比べて厚さ寸法が小さい薄肉部となる。
図1(a)に示すように、第1鍔部12の外周部の一部には切り欠き部125が形成されている。
図示例の巻線用治具1において、第1鍔部12の前記切り欠き部125に対応する部分には、第1鍔部12の外周から第1鍔部12の中央部(詳細には巻芯15の端部)に向かって延びる面124(以下、導線当接面とも言う)と、この導線当接面124の巻芯15側の端部から仮想直線123aに直交する方向に延在する面125a(以下、切り欠き部第2面とも言う)とが形成されている。
また、前記巻芯15の端部付近から延びる前記導線収納溝122は、その第1鍔部12外周側の端部の位置が、前記導線当接面124の巻芯15に近い側の端部、つまり、導線当接面124と切り欠き部第2面125aとの境界126に合わされている。切り欠き部第2面125aは、仮想直線123aを介して、導線収納溝122とは反対の側に形成されている。
第1鍔部12の導線当接面124は、巻線用治具1を回転させて集合線21を巻く際に、導線収納溝122から巻線用治具1の外側に引き出しておいた集合線21(巻き始め引き出し線部22)に回転力を与える導線回転用係合部として機能する。
巻線用治具1を回転させて導線2を巻く際には、導線収納溝122が巻き始め部突条14aよりも回転方向後側となる回転方向で巻線用治具1を回転させる。導線当接面124が切り欠き部第2面125aよりも回転方向後側となる。
例えば、図4(a)、(b)に示すように、導線収納溝122から巻線用治具1の外側に引き出した巻き始め引き出し線部22を、切り欠き部125を経由させて、巻線用治具1と一体回転するように設けられた導線固定部68まで布線してその先端を導線固定部68に固定し、この状態で巻線用治具1を回転させると、集合線21(詳細には巻き始め引き出し線部22)に導線当接面124が係合して集合線21が第1鍔部12と一体に回転されるようになる。これにより、巻線用治具1の巻芯15に集合線21が巻き付けられていく。
なお、前記導線固定部68は、第1鍔部12を介して第2鍔部13とは反対の側に設けられている。前記集合線21は、前記導線収納溝122から第1鍔部12を介して第2鍔部13とは反対の側へ、切り欠き部125を横切るようにして、巻線用治具1の外側へ引き出すように布線される。
したがって、上述の状態において巻線用治具1の回転を開始すると、導線当接面124が集合線21に係合して集合線21が第1鍔部12と一体に回転されるようになる。導線当接面124の前記境界126側の端部(境界126付近)が、巻き始め引き出し線部22が係合される係合位置となる。
前記導線収納溝122の第1鍔部12外周に達している端部の位置が、導線当接面124と切り欠き部第2面125aとの境界126に合わされている構成であれば、巻線用治具1を回転させて巻芯15に導線(集合線21)を巻くときに、巻き始め引き出し線部22の位置ずれが生じにくい。このため、巻き始め引き出し線部22の位置ずれが、巻線部10aの形状に影響を与えるといった不都合を防止できる。
なお、第1鍔部12に形成する切り欠き部としては、図示例の構成のものに限定されず、例えば、角溝状のもの等であっても良い。
なお、導線回転用係合部としては、円板状の第1鍔部12の外周に突出する突起であっても良い。
また、ここで例示する巻線用治具1は、第1鍔部12は巻芯15に固定されているが、第2鍔部13は前記巻芯15の端部に着脱自在に設けられている。これにより、製造後の角形コイルを、治具から容易に取り外すことができる。
第2鍔部13が巻芯15に固定で、第1鍔部12が巻芯15の端部に着脱可能に設けられている構成としても良い。
鍔部を巻芯15に着脱可能に設けるための構成としては特に限定されず、例えば、鍔部に、巻芯15の端部が挿脱可能な穴(貫通穴、又は、非貫通穴)を形成しておく構成、鍔部に、前記穴に挿入された巻芯15と係脱可能な弾性係止片をさらに具備する構成など、各種構成を採用できる。但し、前記穴(貫通穴、又は、非貫通穴)としては、巻芯15に対する鍔部のがたつきが無いように、その内径を巻芯15の端部の外径に揃えることが好ましい。
巻線用治具としては、巻芯の両端に設けられた鍔部の内、一方又は両方が巻芯に対して着脱自在になっている構成のもの(但し、突条や導線収納溝を具備していない)が周知であり、本発明に係る巻線用治具における鍔部を巻芯に着脱可能に設ける構造としても、このような周知の巻線用治具にて採用されている構造を適用できる。
図4は、巻線用治具1を取り付けた巻線機60を示す図であって、(a)は巻線用治具1と巻線機60の導線供給ノズル62との関係を示す図、(b)、(c)は巻線機60の巻線用治具1付近を巻線用治具1の巻芯15の中心軸線P(中心軸線)に直交する方向から見た図である。図4(b)は、巻線用治具1全体を一体化した状態、図4(c)は巻線用治具1の第2鍔部13を巻芯15から離脱させた状態(以下、巻線用治具1を開いた状態、あるいは開放状態とも言う)を示す。
なお、図4(a)、(b)、(c)においては、上側を上、下側を下として説明する。
図4(a)、(b)、(c)に示すように、巻線機60において、導線2は、該巻線機60に設けられている導線供給用の複数のドラム61から供給される。各ドラム61には導線2が巻き付けられている。また、各ドラム61は回転自在に設けられている。
各ドラム61から引き出された導線2は、導線供給ノズル62に貫通されている導線集合用の貫通穴(図示略)に通されることで集合されて、集合線21となる。導線集合用の貫通穴は例えばテーパ状に形成される。複数本の導線2がこの貫通穴に通されることで互いに接触状態とされて集合線21となる。巻線機60に設けられている巻線用治具1には、導線供給ノズル62から集合線21が供給される。図示例は、8本の導線2をひと纏めにした集合線21を導線供給ノズル62から供給する例を示す。
巻線機60は、前記複数のドラム61と、前記導線供給ノズル62と、巻線用治具1と、巻線用治具1の回転駆動用の治具回転装置65とを具備する。
治具回転装置65は、巻線用治具1の第1鍔部12が固定された第1主軸63と、巻線用治具1の第2鍔部13が固定された第2主軸64とを具備する。また、図4(b)において、符号66は第1主軸63を支持する第1支持部、67は第2主軸64を支持する第2支持部である。第1主軸63と第2主軸64とは、駆動モータ(図示略)の駆動力によって回転される。
第1主軸63と第2主軸64とは、巻線機60において互いに離隔して設けられている第1支持部66、第2支持部67に突出状態に設けられて対向配置されている。また、第1主軸63と第2主軸64とは、互いの中心軸線を一致させて設けられている。
巻線用治具1の第1鍔部12は第1主軸63の第1支持部66から突出した先端に固定され、第2鍔部13は第2主軸64の第2支持部67から突出した先端に固定されている。また、第1鍔部12と第2鍔部13とは、それぞれの対向面121、131が互いに対面する向きで設けられている。
さらに、第1主軸63と第2主軸64とは、その一方又は他方が、巻線機60の機体に設けられている図示略の移動装置によって回転軸線に沿った方向に移動されることで、互いの距離が変更可能になっている。
ここでは、第2主軸64のみが移動装置によって移動される構成を例示する。第1主軸63は、回転軸線方向への移動が規制されており、第2主軸64の回転軸線方向への移動によって、両主軸63、64間の距離が変更される。
主軸63、64間の距離の変更により、一対の鍔部12、13の間の距離が変更され、巻芯15に対して第2鍔部13が着脱(接離)される。
コイル10の製造は、導線供給ノズル62から引き出した集合線21を巻線用治具1及び導線固定部68に対してセットする導線セット工程の後、前記巻線用治具1と前記導線固定部68とを一体に回転させて前記巻線用治具1の前記巻芯15の外側に前記集合線21を構成する導線を巻き付ける巻き付け工程を行い、次いで、前記集合線21の巻き終わりの引き出し線部23を切断する切断工程を行う。
導線セット工程では、導線供給ノズル62から巻線用治具1の一対の鍔部12、13の間の空間16に引き込んだ集合線21を、第1鍔部12の切り欠き部125を経由させて、巻き始め引き出し線部22の先端を前記導線固定部68まで布線して、その先端を導線固定部68に固定する。
導線固定部68は、第1主軸63に一体に設けられており、第1鍔部12を介して第2鍔部13とは反対の側に設置されているため、集合線21は、一対の鍔部12、13の間の空間16から、切り欠き部125に通して、第1鍔部12を介して第2鍔部13とは反対の方向に引き出される。
巻き始め引き出し線部22の先端を前記導線固定部68に固定した後、治具回転装置65の駆動力によって巻線用治具1を軸回り回転させる。巻線用治具1は、回転を開始する前までに第2鍔部13を巻芯15に装着して全体を一体化しておき、巻線用治具1全体が一体に回転するようにする。
このとき、第1主軸63と第2主軸64とを、駆動モータ(図示略)の駆動力によって等速度で同じ向きに回転させる。
巻き付け工程では、巻き始め引き出し線部22を導線収納溝122に収納した状態で、巻線用治具1の回転によって巻芯15に集合線21を巻き付けて、コイル10の巻線部10aを形成する。
前記巻線機60においては、巻線用治具1の上方に設置されている導線供給ノズル62は、図示略のノズル移動装置によって第1主軸63の中心軸線方向に移動される。そして、導線供給ノズル62の位置調整によって、巻線用治具1の回転によって導線当接面124が図4(a)に示す位置から図中時計回りに移動され、90度程度回転して導線収納溝122が上下に延在する向きとなったときに、集合線1が、巻線用治具1の回転によって張力が与えられた状態で導線収納溝122に入り込むようにしてある。
この場合は、巻線用治具1の回転自体が導線収納溝122への集合線21の収納動作(巻き始め引き出し線部収納工程)になっており、巻線用治具1の回転を継続することで、この収納動作に連続して集合線21の巻き付けが進行する。
なお、導線収納溝122に集合線21を収納する巻き始め引き出し線部収納工程は、例えば、導線収納溝122への集合線21の収納動作を行う専用の装置によって実施することも可能である。
また、巻き始め引き出し線部収納工程を行ってから、巻線用治具1の回転を開始しても良い。
また、巻き始め引き出し線部収納工程は、巻芯15から第2鍔部13を離脱させた開放状態で行っても良い。
巻き付け工程では、導線供給ノズル62に貫設されている導線集合用の貫通穴内面と導線2との接触抵抗や、ドラム61の回転抵抗等によって、集合線21に張力を与えた状態で行う。また、集合線21に張力を与えるために、別途、送り抵抗付与用のローラ等を設置しても良い。
巻き付け工程では集合線21の巻き付けを目的回数行ったところで巻線用治具1の回転を停止する。
巻き付け工程の完了によってコイル10の巻線部10aが形成されることになる。
次いで、集合線21の、巻線部10aと導線供給ノズル62との間に引き出された部分(巻き終わりの引き出し線部23。以下、巻き終わり引き出し線部、と略称する)の長手方向中間位置を、巻線機1に設けられている図示略の切断装置によって切断する。巻き終わり引き出し線部23の内、巻線部10aから切断位置までの部分がコイル10の第2引き出し線部10c(図3(a)参照)となる。
また、導線固定部68での巻き始め引き出し線部22の固定を解除する。
図5(a)、(b)は導線固定部68の一例を示す。
図5(a)、(b)に示す導線固定部68は、第1主軸63に固定の突壁である受け壁68aと、この受け壁68aに対して開閉動する導線固定ピン68bとを具備し、受け壁68aと導線固定ピン68bの間に集合線21を挟み込んで固定できる。受け壁68aに対する導線固定ピン68bの開閉動は導線固定部68に組み込まれたピン駆動装置によってなされる。導線固定ピン68bの開閉動によって、集合線21の固定と固定解除とが切り換えられる。
導線固定部68は、導線セット工程にて、集合線21の先端(巻き始め引き出し線部22の先端)を受け壁68aと導線固定ピン68bとの間に挟み込んで固定し、巻き付け工程の完了まで固定状態を維持する。巻き付け工程の完了後、導線固定ピン68bを受け壁68aから離隔させ、集合線21の固定を解除する。
なお、導線固定部68としては、集合線21の先端(巻き始め引き出し線部22の先端)の固定と固定解除との切り換えが可能な構成であれば良く、上述の構成に限定されず、各種構成の採用が可能である。
導線固定部68での巻き始め引き出し線部22の固定、及び、巻き終わり引き出し線部23の長手方向中央部の切断を完了したら、第1主軸63と第2主軸64との間を離隔させ(ここでは第2主軸64の移動により離隔させる)、巻芯15から第2鍔部13を離脱させて、巻線用治具1を開放状態とし、巻線用治具1から巻線部10aを取り出す(取り出し工程)。
なお、導線切断装置を、導線固定部68の近傍にて導線固定部68と一体的に回転するように設け、この導線切断装置に巻き終わり引き出し線部23を引き込んで切断工程を行うことも可能である。
この場合、導線供給ノズル62から引き出された集合線21の切断工程後の先端を、導線固定部68に固定することを楽に行える。
また、巻線機としては、導線セット工程、巻き付け工程、切断工程、取り出し工程を自動で行う構成のもの等も採用可能である。
図6に示すように、前記切断工程の後に前記巻線用治具1から取り出したコイル10Aは、凹部10dの深さ寸法c2が、巻線部10aの溝状の凹部10d内に収納されている巻き始め引き出し線部22の導線2の径寸法よりも小さいため、巻き始め引き出し線部22の導線2が巻線部10aの片面に突出した状態になっている。
図3(a)、(b)に示すコイル10は、前記巻線用治具1から取り出したコイル10Aの巻き始め引き出し線部22を前記巻線部10aに加圧して(加圧工程)得られる。この加圧工程は、図6に示すように、例えばプレス機を用いて、巻線部10aと巻き始め引き出し線部22とを一対の平板69a、69bの間に挟み込み、巻き始め引き出し線部22を前記巻線部10aに押し付けるように加圧する。これにより、図3(b)に示すように、巻き始め引き出し線部22の導線2の巻線部10aからの突出寸法が縮小あるいは突出が解消される。
加圧工程を行って得たコイル10は、巻き始め引き出し線部22の導線2の巻線部10aからの突出寸法が小さいあるいは突出していない構成であるため、例えば、携帯電話等の電子機器に組み込む際に、その収納スペースが小さくて済む。このため、電子機器の小型化に有効に寄与する。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態を説明する。
図7(a)、(b)は、本発明の第2実施形態を説明する図であり、(a)は導線2(具体的には集合線21)を巻線用治具に巻き付けた状態の、突条14が設けられている領域(突条突設領域)の拡大断面図、(b)は突条14から離れた領域(突条無し領域)の拡大断面図である。
本実施形態に係る巻線用治具1aは、第1実施形態の巻線用治具1の、第1鍔部12の対向面121と第2鍔部13の対向面131との間の距離X1を導線2の径寸法(外径)の2.0〜2.5倍、突条14と第2鍔部13の対向面131との間の距離X2を導線2の径寸法の1.0〜1.7倍に変更し、それ以外は第1実施形態と同様の構成としたものである。そして、この実施形態では、前記巻線用治具1aを用い、集合線21を巻芯15の径方向に重ねて巻き付けることで、角形コイルを得る。集合線21を巻芯15の径方向に重ねて巻き付けて角形コイルを得る方法(角形コイルの製造方法)は、第1実施形態の巻線用治具1にかえてこの実施形態の巻線用治具1aを使用する以外は同じにして、第1実施形態にて説明した手法を適用できる。
集合線21が1回巻かれる度に、コイルの巻き径は増大していくが、突条突設領域における巻き径増加量Rは、突条無し領域における巻き径増加量Rよりも大きい。
この実施形態において、例えば距離X1が導線2の径寸法(外径)の2.0倍であるとき、距離X2を導線2の径寸法(外径)の1.7倍以下(例えば1.5〜1.7倍の範囲)とすれば、角形コイルの頂点間に直線の辺を得ることが可能である。
次に本発明の第3実施形態を説明する。
図8(a)、(b)は、本発明の第3実施形態を例示する断面図である。
この実施形態では、多列多層巻きの一例を例示する。
図8は、本実施形態の巻線用治具を用いて角形コイルを製造する工程を説明する図であり、(a)は導線2(具体的には集合線21)を巻線用治具1に巻き付けた状態の、突条14、複合突条128が設けられている領域(突条突設領域)の拡大断面図、(b)は突条14から離れた領域(突条無し領域)の拡大断面図である。
この実施形態に係る巻線用治具は、第1実施形態の巻線用治具1の前記距離X1を導線の径寸法の2.5〜2.9倍程度、距離X2を導線の径寸法の2.0〜2.5倍程度に変更し、それ以外は第1実施形態と同様の構成としたものである。そして、この実施形態では、前記巻線用治具1bを用い、集合線21を巻芯15の径方向に重ねて巻き付けることで、二列多層巻き角形コイルを得る。
集合線21を巻芯15の径方向に重ねて巻き付けて角形コイルを得る方法(角形コイルの製造方法)は、第1実施形態の巻線用治具1にかえてこの実施形態の巻線用治具1aを使用する以外は同じにして、第1実施形態にて説明した手法を適用できる。
ここでは、距離X2が導線2の径寸法の約2倍に設定されているので、突条14と重なる位置(突条突設領域)では、導線2は二列に巻き付けられる。一方、突条14から離れた位置(突条無し領域)では、距離X1が導線2の径寸法の約2.5倍に設定されているので、導線2は図8(b)に示すように巻かれる。
集合線21が1回巻かれる度に、コイルの巻き径は増大していくが、突条突設領域における巻き径増加量Rは、突条無し領域における巻き径増加量Rよりも大きい。したがって、導線2が同じ回数だけ巻き付けられた時のコイル(詳細には巻線部)の外径を比較すると、突条突設領域でのコイル外径は、突条無し領域での外径よりも大きくなる。そして、導線2の巻き込み回数が多くなるにしたがって、突条突設位置と突条無し領域とで外径差が大きくなり、やがてコイルは、その外側周縁部のうち突条14,14・・に対応する四つの位置に頂点を有する、一部が二列巻きとなった角形コイルとなる。
また、得られる角形コイルの巻線部10aは、突条突設領域にて形成される部位、つまり溝状の凹部が形成される部分では、その他の位置よりも厚みが薄くなる。
なお、ここでは第2,第3実施形態を、第1実施形態の変形例として説明したが、第2,第3実施形態で説明した距離X1、X2は、例えば、後述の各実施形態においても同様に適用できる。
(第4実施形態)
次に本発明の第4実施形態を説明する。
図9(a)、(b)は、この実施形態の巻線用治具の第1鍔部を示す図であって、(a)は第1鍔部を対向面121側から見た図、(b)は(a)のF−F線断面矢視図(但し、集合線21の導線2を導線収納溝122に収納した状態を示す)である。
この実施形態の巻線用治具は、第1実施形態の巻線用治具1の第1鍔部12の突条14を図9(a)に示す三角形状の突条17に変更し、それ以外は第1実施形態と同様の構成としたものである。
以下、図9(a)の第1鍔部(三角形突条付き鍔部)に符号12aを付して説明する。
この第1鍔部12aにおいても、第2鍔部13に対向する面を対向面121と称して説明する。
この第1鍔部12aにおいても、対向面121において、4本の突条17が、巻芯15の端部を中心とする放射状に延在するように形成されていることは、第1実施形態と同様である。
4本の突条17の内、導線収納溝122に隣接する位置に形成されており、導線収納溝122に沿って延在している1本について、以下、符号17aを付して巻き始め部突条とも言う。
各突条17(巻き始め部突条17aを含む)の対向面121からの突出寸法tと前記導線収納溝122の深さ寸法cとの関係は第1実施形態と同様である。
4本の突条17は、中心軸線Pを中心とする半径方向に延在形成されている。これに対して、既述のように、導線収納溝122は、前記巻芯15の端部の外周の接線方向に延在するように形成されている。
導線収納溝122に沿って形成されている巻き始め部突条17aは、導線収納溝122の第1鍔部12a外周側の端部と前記中心軸線Pとを結ぶ仮想直線123cと導線収納溝122との間に形成されている。但し、仮想直線123cは、導線収納溝122に平行では無く、中心軸線Pから第1鍔部12a外周側に行くにしたがって導線収納溝122に接近するように、導線収納溝122に対して傾斜している。
このため、巻き始め部突条17aは、巻芯15側の端部から第1鍔部12aの外周側へ行くに従ってその幅寸法w3が次第に減少するテーパ状(三角形形状)に形成されている。
なお、ここで、巻き始め部突条17aの幅寸法w3は具体的には、前記仮想直線123cに直交する方向の寸法を指す。
また、巻き始め部突条17a以外の突条17の内、中心軸線Pを介して巻き始め部突条17aとは反対の側に位置するもの(図中、符号17bを付す)についても、仮想直線123cに直交する方向の寸法を幅寸法と称して説明する。突条17の内、符号17a、17bの突条以外のもの(図中符号17c,17dを付す)は、仮想直線123cに直交する仮想直線(第2仮想直線123d)に沿って形成されている。これら突条17c、17dについては、第2仮想直線123dに直交する方向の寸法を幅寸法と称して説明する。
巻き始め部突条17aは、導線収納溝122に対して、その長手方向(延在方向)両端部を除く部分に隣接して形成されている。図示例の第1鍔部12aにおいて、巻き始め部突条17aの長さは、導線収納溝122の長さよりも短い。
導線収納溝122の内、巻き始め部突条17aが隣接して形成されている区間を、突条隣接部122aとも言う。
既述のように、導線収納溝122の深さ寸法cは、集合線21を構成する導線2の径寸法よりも小さい(浅い)。図9(b)に示すように、導線収納溝122の深さ寸法cと巻き始め部突条17aの第1鍔部12aの対向面121からの突出寸法tとの合計は導線の径寸法に揃えられている。なお、巻き始め部突条17a以外の突条17の対向面121からの突出寸法は、巻き始め部突条17aと同じに揃えられている。
また、巻き始め部突条17aを含む各突条17は、その延在方向に直交する断面形状が矩形になっており、対向面121からの突出先端が対向面121に沿う平坦面になっている。
図9(b)に示すように、導線収納溝122に集合線21を収納したとき、集合線21を構成する導線2の内の、導線収納溝122の突条隣接部122aに収納された区間の対向面121からの突出部分と、巻き始め部突条17aとによって、テーパ状(三角形状)の複合突条部128aが形成される。
また、突条隣接部122aとこれに隣接する巻き始め部突条17aとで構成される溝・突条複合部129(図9(a)参照)については、仮想直線123に直交する方向の寸法が幅寸法であるが、この幅寸法は、前記巻き始め部突条17aの幅寸法w3と前記導線収納溝122の溝幅w1との合計である。
巻き始め部突条17a以外の突条17は、巻芯15側の端部から第1鍔部12aの外周側へ行くに従ってその幅寸法が次第に減少するテーパ状(三角形状)に形成されている。
巻き始め部突条17a以外の突条17b、17c、17dは、その形状及びサイズ(対向面121に沿った方向における形状及びサイズ)が互いに同じに揃えられている。また、溝・突条複合部129も、対向面121に沿った方向における形状及びサイズが、突条17b、17c、17dと同じに揃えられている。
したがって、図9(b)に示すように導線収納溝122に集合線21の複数本の導線2を横並びに配列収納すると、対向面121に沿った方向における形状及びサイズが突条17b、17c、17dと略同等の複合突条128aが得られる。
上述の第1鍔部12a、巻芯15、第2鍔部13を具備してなる巻線用治具を用い、前記巻芯15に集合線21を巻き付けてコイルを製造する場合、一対の鍔部12a、13の間の距離(突条突設領域における距離、及び、突条無し領域における距離)は、既述の第1〜3実施形態と同様に設定できる。
また、本実施形態の巻線用治具の場合、複合突条128a及び巻き始め部突条17a以外の突条17が、巻芯15側の端部から第1鍔部12aの外周側へ行くに従ってその幅寸法が次第に減少するテーパ状(三角形状)であるため、巻芯15に集合線21を巻き付けてコイル(詳細にはコイルの巻線部)を製造するとき、複合突条128a及び巻き始め部突条17a以外の突条17の巻芯15側の端部では第1鍔部12a外周側の端部に比べて、集合線21を構成する導線2の複合突条128a、突条17に対する接触範囲が大きくなる。複合突条128a、突条17の第1鍔部12a外周側の端部に比べて巻芯15側の端部の方が突条突設領域が大きいため、巻芯15に対する集合線21の巻き付けの初期段階で、突条突設領域と突条無し領域との巻き径の差が確実に得られるようになる。その結果、コイル(詳細にはコイルの巻線部)に高い角形精度を容易に得ることができる。
一方、複合突条128a、突条17の第1鍔部12a外周側の端部は、巻芯15側の端部に比べて幅寸法が小さい(狭い)ため、コイル(詳細にはコイルの巻線部)の各頂点の形成精度の確保に有利であり、この点も角形精度の確保に有利に寄与する。
なお、図9(a)に例示した第1鍔部12aは、巻き始め部突条17aを含む各突条17と巻芯15との間にクリアランス171が確保されている。
このクリアランス171部分では、集合線21を構成する導線2が、突条無し領域と同様の巻線状態となる。
前記クリアランス171は、導線収納溝122への集合線21の挿通、収納を円滑に行うために確保される。このクリアランス171の確保は必須では無い。
各突条17は、その全体が、前記巻芯15側の端部から前記第1鍔部12bの外周側へ行くに従ってその幅寸法が次第に減少するように形成されたテーパ状部として機能する。
また、複合突条128aも、その全体がテーパ状部として機能する。
なお、巻き始め部突条17a以外の突条としては、例えば、図10に示すように、その長手方向(延在方向)の第1鍔部12b外周側端部に、導線収納溝122の溝幅w1と同じ幅寸法で延在する延長部172を具備した構成としても良い。図中、この延長部172を具備する突条に符号173を付して説明する。また、この突条を、以下、延長部付き突条とも言う。
図10の場合、溝・突条複合部129に導線収納溝122の突条隣接部122aから第1鍔部12bの外周側に延在する部分を加えたもの(以下、延長部付き溝・突条複合部とも言う)、すなわち、導線収納溝122の内、突条隣接部122aと、突条隣接部122aから第1鍔部12bの外周側に延在する部分と、巻き始め部突条17aとで構成される延長部付き溝・突条複合部と、各延長部付き突条173とで、対向面121に沿った方向における形状及びサイズを同等とする。導線収納溝122に集合線21の導線2を収納して得られる複合突条については、導線収納溝122の内、突条隣接部122aから第1鍔部12bの外周側に延在する部分に収納された集合線21の導線2によって形成される突条が延長部として機能する。
また、この場合、巻き始め部突条17a以外の各延長部付き突条173については、延長部172以外のテーパ状部分がテーパ状部174として機能する。
複合突条についても、延長部以外の部分がテーパ状部として機能する。
(第5実施形態)
次に本発明の第5実施形態を説明する。
図11は、この実施形態の巻線用治具の第1鍔部を対向面121側から見た図である。
この実施形態の巻線用治具では、第1実施形態の巻線用治具1の第1鍔部12の突条14にかえて、図11に示すように、導線収納溝122の溝幅w1と同じ幅寸法w4を持つ突条18を採用している。但し、突条18の本数は3本である。突条18以外は、第1実施形態と同様の構成である。
以下、図11の第1鍔部に符号12bを付して説明する。
この第1鍔部12bにおいても、第2鍔部13に対向する面を対向面121と称して説明する。
この第1鍔部12bにおいては、対向面121において、3本の突条18と1本の導線収納溝122とが、巻芯15の端部を中心とする放射状に延在するように形成されている。
既述のように、導線収納溝122は、前記巻芯15の端部の外周の接線方向に延在するように形成されている。また、3本の突条18も、前記巻芯15の端部の外周の接線方向に延在するように形成されている。
3本の突条18と1本の導線収納溝122とは、対向面121において、巻芯15の軸回り方向の4箇所に均等配置されている。
3本の突条18の内の1本(符号18aの突条)は、中心軸線Pを介して導線収納溝122とは反対の側に位置しており、導線収納溝122と平行かつ中心軸線Pを通る仮想直線123aに沿って延在している。この突条18aは、導線収納溝122に対して中心軸線Pを中心とする点対称の位置に設けられている。
3本の突条18の内、符号18aの突条18以外の2本は、中心軸線Pを通り前記仮想直線123aに垂直の仮想直線123bに沿って延在している。
なお、3本の突条18の幅寸法は、その長手方向(延在方向)全長にわたって一定である。
前記第1鍔部12bにおいては、導線収納溝122に沿って導線収納溝122に隣接して設けられる突条は存在しない。この第1鍔部12bは、導線収納溝122に収納した集合線21の導線2が独立した1本の突条を形成する構成(収納溝独立形鍔部)になっている。
この第1鍔部12bを用いて構成した巻線用治具は、第1鍔部12bの構成が単純であるため、安価に製造できる。
但し、本実施形態のように、導線収納溝122に収納した集合線21の導線2のみによって突条を形成する場合に比べて、第1〜4実施形態に例示したように、導線収納溝122に収納した集合線21の導線2と突条とによって複合突条が形成される構成の方が、導線によって形成される突条の形状安定性が良く、コイルの巻線部の形成精度の確保の点では、第1〜4実施形態に例示したように導線収納溝122に収納した集合線21の導線2と突条とによって複合突条が形成される構成の方が有利である。
本発明の巻線用治具を用いれば、鍔部に放射状に設けられた凸部の数および配置パターンを変えることで、種々の形状の角形コイルを製造できる。具体的には、角形コイルの頂点の数は、放射状に設けた凸部の数と同数になり、各頂点間の距離は、隣り合う凸部の為す角度で決定される。したがって、鍔部に設ける凸部の数および隣り合う凸部の為す角度は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を説明する。
図12は、この実施形態の巻線用治具の第1鍔部12cを、第2鍔部13に対向する対向面121側から見た構成を示す。
本実施形態の巻線用治具は、第1鍔部12cの第2鍔部13に対向する対向面121に、5本の突条14,14・・が巻芯15の端部を略中心として放射状に突設されている。
各突条14はいずれも中心軸線Pを中心とする半径方向に延在している。隣り合う突条14,14・・の為す角度θ2はいずれも同じである。
そして、本実施形態は、突条の数および配置形態以外は、第1実施形態と同様である。
5本の突条14の内の1本(符号14a)は、導線収納溝122に隣接して導線収納溝122に沿って形成された巻き始め部突条である。この巻き始め部突条14aと、導線収納溝122に収納した集合線21の導線2によって構成される突条とによって複合突条が構成されることも第1実施形態と同様である。
巻き始め突条14a以外の突条14の幅寸法(対向面121に沿い、延在方向に直交する方向の寸法)は、巻き始め部突条14aの幅寸法と導線収納溝122の溝幅w1との合計に揃えられている。
この巻線用治具の巻芯15に導線を巻き付けて製造される角形コイル20は、その外形(詳細には巻線部の外形)が正五角形状となる。
なお、上述の構成にかえて、第1鍔部に、1本の導線収納溝122と4本の突条とを、巻芯15の端部を略中心として放射状に延在するようにして、巻芯15の端部を略中心とする軸回り方向に均等配置した構成も採用可能である。すなわち、巻き始め部突条を設けず、導線収納溝122に収納した集合線21の導線2によって形成される突条を、複合突条を構成することなく単独で1本の突条として機能させる構成としても良い。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態を説明する。
図13は、この実施形態の巻線用治具の第1鍔部12dの、第2鍔部13に対向する対向面121側から見た構成を示す。
本実施形態の巻線用治具は、第1鍔部12dの対向面121に、4本の突条14,14・・が巻芯15の端部を略中心として放射状に突設されている。但し、隣り合う突条14,14・・の為す角度は、θ3aおよびθ3bの二通りであり、隣り合う角度が異なるように突条14,14・・が配置されている。そして、本実施形態は、突条の配置形態以外は、第一の実施形態と同様である。
巻線用治具3を用いて上記と同様に製造される角形コイル30は、その外形(詳細には巻線部の外形)が長方形状となる。
なお、図13に例示した巻線用治具の第1鍔部は、切り欠き部の図示を省略している。
但し、本発明に係る巻線用治具としては、鍔部(第1鍔部、第2鍔部)に切り欠き部、導線回転用係合部が形成がされていないものも採用可能である。
このことは、本発明に係る他の実施形態の巻線用治具についても同様である。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態を説明する。
図14は、この実施形態の巻線用治具1cを示す概略構成図である。
本実施形態の巻線用治具1cは、第2鍔部13aの第1鍔部12と対向する面(対向面131)に、第1鍔部12と同様に、4本の突条54,54・・が、巻芯15の端部を略中心として放射状に突設されている。そして、これら突条54,54・・は、巻芯15の軸方向から見て、第1鍔部12の突条14,14・・と一致する位置に配置されている。
各突条54,54・・の形状は、第1鍔部12の突条14,14・・と同様であり、隣り合う突条54,54の為す角度はいずれも、第1鍔部12の突条14,14の為す角度と同様である。これ以外の点は、本実施形態は第一の実施形態と同様である。
この実施形態では、一対の鍔部12、13a間の突条無し領域における距離X1と、突条突設領域における一対の鍔部12、13a間の距離X3、すなわち、第1鍔部12の突条14と第2鍔部13aの突条54との間の距離、とを、第1〜3実施形態にて説明した距離X1と距離X2との関係に対応させて設定する。
例えば、突条無し領域における距離X1を第1実施形態にて例示したものと同様に導線2の径寸法の1.5〜1.9倍とし、突条突設領域における距離X3を、第1実施形態にて例示したX2と同様に導線2の径寸法の1.0〜1.5倍とする。但し、距離X1が距離X3よりも大きいように設定する。
また、突条無し領域における距離X1を第2実施形態にて例示したものと同様に導線2の径寸法の2.0〜2.5倍とし、突条突設領域における距離X3を、第2実施形態にて例示したX2と同様に導線2の径寸法の1.0〜1.7倍としても良い。
また、第3実施形態と同様に、突条無し領域における距離X1を導線2の径寸法の2.5〜2.9倍とし、突条突設領域における距離X3を、第2実施形態にて例示したX2と同様に導線2の径寸法の2.0〜2.5倍としても良い。
そして、この巻線用治具1cを用い、巻芯15に集合線21を巻き付けることで、第1実施形態と同様に正方形状の角形コイルを製造できる。
なお、ここでは突条が四つの場合を示しているが、本発明において、第1および第2鍔部の両方に突条を設ける場合にも、突条の数は特に限定されず、目的に応じて適宜選択すれば良い。
また、第5実施形態について上述の例示構造においては、突条14および54は互いの位置を対応させて4本ずつ設けられているが、例えば、第2鍔部の突条を、巻芯の軸方向において第1鍔部12の突条14に重ならない位置に設けるようにしても良い。
例えば、第1鍔部および第2鍔部に互いに重ならない位置で、2本ずつの突条を設けたり、いずれか一方の鍔部に突条を1本を、他方の鍔部に3本の突条を設けても良い。このような構成によっても四角形板状の巻線部を持つコイル(角形)を得ることができる。
ここまでは、複数本の突条が、巻芯に対して対称性を以て鍔部に配置された例を示したが、本発明においては所望により、このような対称性を一切持たないように凸部を配置しても良い。すなわち、隣り合う凸部の為す角度は、すべて異なっていても良い。
ここまでは、集合線21を用いた例について説明したが、本発明においてはいずれの実施形態においても、前記集合線21にかえて、1本の金属単線を用いても良い。また、集合線を構成していない互いに独立の複数本の導線2を一括巻きであっても良い。これらの場合も、集合線21を用いた場合と同様に、角形コイルを製造できる。
以上の説明のように、本発明によれば、従来のように丸形コイルを角形に成形する必要がなく、巻線用治具に導線を巻き付けるだけで、所望の形状の角形コイルを高い角形精度で得られる。また、巻線用治具は構造が単純で、コイル製造工程も簡便であり、高品質の角形コイルを低コストで製造できる。
本発明に係る巻線用治具、該巻線用治具を用いる角形コイルの製造方法によれば、角形精度の高いコイル(角形コイル)を容易に得ることができる。四角形板状の巻線部を持つコイル(角形コイル)以外に、例えば、五角形、六角形、八角形等の多角形板状の巻線部を持つコイル(角形コイル)も容易に得ることができる。しかも、コイルの製造にあたって、巻線部の最内周から延びる巻き始め引き出し線部がコイルの製造の邪魔になることがなく、角形コイルを効率良く製造できる。また、従来のように丸形コイルを角形に成形する製造方法に比べて、巻線密度のばらつきが少ない角形コイルをより確実に得ることができるといった利点もある。得られたコイルを用いることで、充電効率の優れたコードレス機器を提供できる。
また、本発明に係る角形コイルによれば、巻線部の、溝状の凹部が形成されて厚さ寸法が小さい部分(以下、薄肉部)における厚み方向における導線の配列本数が、巻線部の薄肉部以外の部位における厚み方向における導線の配列本数に比べて少なくなっている構造であるため、巻線部全体の巻線密度の均等化に有利であり、巻線密度の均等化を容易に図ることができる。角形精度の確保にも有利である。しかも、巻線部の最内周から延びる引き出し線部(第1引き出し線部10b)が溝状の凹部に収納されている構成により、この角形コイルを組み込む電子機器におけるコイル収納用のスペースの縮小を実現できる。したがって、電子機器全体の小型化にも有利である。
本発明に係る巻線用治具は、一対の鍔部の一方又は両方に設けた突条によって、一対の鍔部の間に局所的に狭い領域を確保した構成となっている。そして、本発明は、一対の鍔部の間の突条が存在しない領域(突条無し領域)における一対の鍔部の間の距離と、突条が突設されている領域(突条突設領域)における一対の鍔部の間の距離(一方の鍔部に突設された突条と他方の鍔部の突条が突設されていない部位との間の距離、あるいは、一対の鍔部のそれぞれに互いに対応する位置に突設されている突条間の距離。本明細書において突条は鍔部の一部であるものとする)との関係によって、角形精度の高いコイルを得るものである。
突条無し領域における一対の鍔部の間の距離と、突条突設領域における一対の鍔部の間の距離とを設定することで、コイルの巻線部の厚みを容易に制御することができ、また、角形精度の制御も容易に行える。
上述の実施形態では、巻芯として円筒状あるいは円柱状のものを示しているが、本発明においては、これに限定されず、筒状の巻芯であれば巻芯は円筒状、円柱状といった円筒状の外周面を持つものでなくても良い。例えば、巻芯の径方向断面の形状、すなわち、コイルの空芯の形状は円形、楕円形、多角形等いずれであっても、製造される角形コイルの外形は空芯の形状の影響を受けにくい。このため、巻芯の断面形状、コイルの空芯の形状の自由度を向上できる。
なお、巻線用治具のサイズは、所望の角形コイルのサイズ等に応じて、適宜選択すれば良い。具体的には、突条の長手方向の長さは、製造するコイルの径寸法に合わせて適宜設定すれば良い。そして、突条の長手方向の長さは、必ずしもすべて同じである必要性はない。
巻線用治具の材質は特に限定されず、目的に応じて適宜選択すれば良い。例えば、金属、プラスチック等を用いることができるし、複数の材質を組み合わせて用いても良い。
そして、公知の手法により、成形または組み立てれば良い。
図15に示すように、巻線用治具は、一対の鍔部12、13の一方又は両方の外周部にテーパ面19を形成して、鍔部外周付近で一対の鍔部12、13間の空間16を拡張した構成とすることが好ましい。このようにテーパ面19が形成されていることにより、コイル製造時における巻線用治具への導線2の巻き付けが容易となる。
また、上述の実施形態では、鍔部に突設する突条として断面矩形のものを例示したが、本発明においてはこれに限定されない。第4実施形態のようにテーパ状の突条を採用する実施形態以外については、必ずしも、鍔部からの突条の突出先端に平坦面が形成されている必要性が無いため、突条は矩形以外の断面形状のものであっても良い。
図16は、第1鍔部12eに形成した導線収納溝122の深さ寸法cを、導線2の径寸法よりも大きくした構成を示す。
この場合も、コイルの製造にあたって、巻線部の最内周から延びる巻き始め引き出し線部がコイルの製造の邪魔になることがなく、角形コイルを効率良く製造できるという効果が得られることは言うまでも無い。
但し、導線収納溝122の深さ寸法cは、導線2の径寸法の2倍未満とする。
なお、本発明に係る角形コイルは、携帯電話等のコードレス機器の無接点充電用の二次コイル以外、例えば、電子機器内での送電用のコイル(一次コイル又は二次コイル)等としても利用可能である。
本発明に係る巻線用治具の第1実施形態を例示する図であり、(a)は巻線用治具1を示す図であって、この巻線用治具1を第2鍔部13側から透視して第1鍔部12の突条14が突設されている面(対向面121)側から見た構造を示す図、(b)は(a)の巻線用治具1のA−A線における断面図、(c)は(a)の巻線用治具1のB−B線における断面図(但し、導線収納溝122に導線2を収納した状態を示す)である。 図1の巻線用治具に導線を巻き付けた状態を示す図であって、(a)は巻線用治具1を第2鍔部13側から透視して導線2の巻き付け状態を示す図、(b)は(a)のC−C線における拡大断面図、(c)は(a)のD−D線における巻芯15付近の拡大断面図である。 本発明に係る角形コイルの第1実施形態を例示する図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のE−E線における拡大断面図である。 本発明に係る巻線用治具1を取り付けて構成された巻線機を示す図であって、(a)は巻線用治具と巻線機の導線供給ノズルとの関係を示す図、(b)、(c)は巻線機の巻線用治具付近を巻線用治具の巻芯の中心軸線に直交する方向から見た図であり、(b)は、巻線用治具全体を一体化した状態、(c)は巻線用治具の第2鍔部を巻芯から離脱させた状態(巻線用治具を開いた状態)を示す。 図4の巻線機の導線固定部の一例を示す図である。 本発明に係る角形コイルの製造方法を説明する図であって、巻線用治具から取り出したコイルの巻線部と巻き始め引き出し線部との関係(加圧工程前の関係)を示す図である。 本発明の第2実施形態を説明する図であり、(a)は導線(具体的には集合線)を巻線用治具に巻き付けた状態の突条突設領域の拡大断面図、(b)は突条無し領域の拡大断面図である。 本発明の第3実施形態の巻線用治具を用いて角形コイルを製造する工程を説明する図であり、(a)は導線(具体的には集合線)を巻線用治具に巻き付けた状態の突条突設領域の拡大断面図、(b)は突条無し領域の拡大断面図である。 本発明の第4実施形態の巻線用治具を説明する図であって、(a)はこの実施形態の巻線用治具の第1鍔部を対向面側から見た図、(b)は(a)のF−F線断面矢視図である。 本発明の第4実施形態の巻線用治具の変形例を説明する図であり、巻線用治具の第1鍔部を対向面側から見た図である。 本発明の第5実施形態の巻線用治具を説明する図であり、巻線用治具の第1鍔部を対向面側から見た図である。 本発明の第6実施形態の巻線用治具を説明する図であり、巻線用治具の第1鍔部を対向面側から見た図である。 本発明の第7実施形態の巻線用治具を説明する図であり、巻線用治具の第1鍔部を対向面側から見た図である。 本発明の第8実施形態の巻線用治具の構成を説明する全体図である。 本発明に係る巻線用治具の鍔部にテーパ面を形成した構成の一例を示す図であり、第1実施形態の巻線用治具の第1鍔部の外周部にテーパ面を形成した構成を示す図である。 本発明に係る別態様の巻線用治具を示す図であって、導線収納溝の深さ寸法を導線の径寸法よりも大きくした構成を示す図である。 角形コイルを例示する図である。 従来のコイルの製造方法を説明する図であり、(a)は空芯が角形であるコイルの製造方法の説明図、(b)はコイルのプレス成型方法の説明図である。 丸形(円板状)の二次コイルが張り合わされた防磁シートに渦電流が発生している様子を説明する図である。
符号の説明
1,1a,1b、1c…巻線用治具、2…導線、10…角形コイル、10A…(加圧工程により第1引き出し線部を巻線部に押し付ける前の)角形コイル、10a…巻線部、10b…第1引き出し線部、10c…第2引き出し線部、10d…凹部、12、12a、12b、12c…第1鍔部、121…対向面、122…導線収納溝、123a〜123d…仮想直線、124…導線回転用係合部(導線当接面)、125…切り欠き部、126…導線回転用係合部と導線との係合位置(導線当接面と切り欠き部第2面との境界)、128、128a…複合突条、129…溝・突条複合部、13、13a…第2鍔部、131…対向面、14…突条、15…巻芯、16…空間、17…突条、17a…巻き始め部突条、18…突条、19…テーパ面、20…角形コイル、21…集合線、22…巻き始め引き出し線部、23…巻き終わり引き出し線部、54…突条、c、c2…導線収納溝の深さ寸法、t…(突条の)突出寸法、w1…導線収納溝の溝幅、w2〜w4…突条の幅寸法。

Claims (15)

  1. 導線が巻き付けられる巻芯と、該巻芯の両端部に対向して設けられた鍔部とを具備する巻線用治具であって、
    一対の前記鍔部の互いに対向する面の少なくとも一方に、前記巻芯の端部を略中心として放射状に延在するように複数の突条が突設され、
    前記鍔部の互いに対向する面の一方又は他方に、前記導線の巻き始めの引き出し線部を収納するための導線収納溝が設けられ、
    前記導線収納溝は前記鍔部において前記巻芯の端部からその外周の接線方向に延在するように形成されていることを特徴とする巻線用治具。
  2. 前記導線収納溝の深さが前記導線の径寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の巻線用治具。
  3. 一対の前記鍔部の互いに対向する面の内、前記導線収納溝が形成されている鍔部の面に前記突条が複数突設されており、これら突条の前記鍔部の面からの突出寸法と、前記導線収納溝と前記導線の径寸法との差とが同等に揃えられていることを特徴とする請求項2記載の巻線用治具。
  4. 複数の前記突条のひとつが前記導線収納溝に沿って設けられ、この突条の前記鍔部の面からの突出寸法と前記導線収納溝の深さとの合計が、前記導線の径寸法と同等に揃えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の巻線用治具。
  5. 前記導線収納溝に沿って設けられた前記突条である巻き始め部突条の幅寸法と前記導線収納溝の溝幅との合計と、前記巻き始め部突条以外の各突条の幅寸法とが略同等に揃えられていることを特徴とする請求項4記載の巻線用治具。
  6. 前記突条は、前記巻芯側の端部から前記鍔部の外周側へ行くに従ってその幅寸法が次第に減少するように形成されたテーパ状部を具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の巻線用治具。
  7. 一対の前記鍔部の内の前記導線収納溝が形成されている鍔部の外周部に、巻線用治具の回転時に前記導線の巻き始め引き出し線部に係合して該巻き始め引き出し線部に回転力を与える導線回転用係合部が形成されており、この導線回転用係合部に巻き始め引き出し線部が係合される係合位置に、前記巻芯の端部から延びる前記導線収納溝の前記鍔部外周側の端部の位置が合わされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の巻線用治具。
  8. 前記導線収納溝が、鍔部の互いに対向する面の一方のみに設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の巻線用治具。
  9. 前記突条の数が4つであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の巻線用治具。
  10. 一対の前記鍔部の一方又は両方が、前記巻芯に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の巻線用治具。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の巻線用治具の前記巻芯に前記導線を巻き付けてコイルを製造する方法であって、
    前記導線の先端部である巻き始め引き出し線部を前記巻線用治具の前記導線収納溝に収納した状態で、前記巻線用治具の前記巻芯に前記導線を巻き付けることを特徴とする角形コイルの製造方法。
  12. 請求項3〜5のいずれかに係る請求項11記載のコイルの製造方法であって、前記導線として、前記導線収納溝の深さと前記突条の突出寸法との合計と同等の径寸法を持つものを用いることを特徴とする角形コイルの製造方法。
  13. 前記巻線用治具の前記巻芯への前記導線の巻き付けの完了後に、導線の巻き付けによって得られたコイルの巻線部から延びる前記巻き始め引き出し線部を前記巻線部に押し付けるように加圧することを特徴とする請求項11又は12記載の角形コイルの製造方法。
  14. 多角形板状の巻線部と、該巻線部の最内周及び最外周からそれぞれ延出する引き出し線部とを有し、
    前記巻線部には、その中央部から該巻線部の外周の複数の頂点に向かって放射状に延在する溝状の凹部が形成されており、前記巻線部の前記凹部が形成されている部分は、前記巻線部の他の部分に比べて厚さ寸法が小さく形成されており、
    複数の前記凹部の内の1つに、前記巻線部の最内周から延出する引き出し線部が収納されていることを特徴とする角形コイル。
  15. 前記巻線部が四角形板状であることを特徴とする請求項14記載の角形コイル。
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