上述した特許文献1の両面接続型コネクタの場合、フレームが一体型構造であるため、接続対象物の接続箇所が高密度であれば、押圧操作による接続対象物との接続状態で各コンタクトが弾性変形するとき、これに伴ってしばしばフレームの底部となる平坦面に各コンタクトを仕切るために設けられたリブが変形又は破損してしまったり、或いは各コンタクトの断線や短絡が生じて接触不良を起こしてしまうという問題がある。
図13は、この両面接続型コネクタ(特許文献1)の接続対象物との接続に際して生じる問題を説明するために示した基本構造の側面図であり、同図(a)は一部透視して示した概略図に関するもの、同図(b)は各コンタクト4に加えられる力の働きを説明するために一部透視して示した部分拡大図に関するものである。又、図14は、この両面接続型コネクタ(特許文献1)の接続対象物との接続状態において各コンタクト4が変形した様子を一部透視して示した側面図である。
先ず、図13(a)を参照して係る両面接続型コネクタの基本構造を簡単に説明する。ここでの各コンタクト4については、絶縁弾性体4bの表面に導電体4aが形成されたユニットとして構成される。これらの複数のものを保持したフレーム6については、一方側が凹んだ接続対象収納口6bを有して複数のパッド5aが配備されたパッケージ(一方の接続対象物)5を収納可能であると共に、他方側が対角方向の隅部の所定箇所に一体的に設けられた位置決めピン6dを複数のパッド1aが配備されたプリント基板(他方の接続対象物)1の対角方向の隅部に設けられた位置決め穴1bに挿入できるようになっている。尚、フレーム6の接続対象収納口6bの底部(平坦面)の主要部分には、各コンタクト4がリブ6aによって仕切られて並設されたスリット部に装着されて保持されるようになっており、その周囲には接続対象物(パッケージ5)を収納するときの係止部分となるダウンストッパ部6cが形成されている。
即ち、ここでは両面接続型コネクタをプリント基板1上に配置して位置決めピン6dの位置決め穴1bへの挿入装着、並びにフレーム6の接続対象収納口6bに対するパッケージ5の収納装着を行い、プリント基板1及びパッケージ5の間を押圧するようにして接続状態とすると、各コンタクト4の導電体4aにおける一方側の突出部がそれぞれパッケージ5の各パッド5aに接触接続され、且つ他方側の突出部がそれぞれプリント基板1の各パッド1aに接触接続される接続構造となっている。尚、フレーム6は位置決めピン6dの位置決め穴1bにおけるクリアランスの範囲内、並びに接続方向(背高方向の装着方向)でのみ僅かに移動できるようになっている。
ところが、各コンタクト4については、側面方向に沿った形状がプリント基板1,パッケージ5との接続前状態では略カマボコ状であるが、プリント基板1,パッケージ5との接続状態ではプリント基板1,パッケージ5からの押圧を受けて変形し、特に押圧力が大きいときには図13(a)中の白矢印で示されるようにリブ6aから背高方向とは垂直な横方向(プリント基板1,パッケージ5が延在する水平方向)の力を受けて変形する。
この接続対象物(パッケージ5)との接続時の押圧力は、リブ6aを撓ませるばかりでなく、場合によってはリブ6aが折れてしまうことがある他、芯数が1000を越えるような多数であると、図13(a)に示されるように各コンタクト4の段を重ねる毎(紙面に垂直な奥方向においてコンタクト4の所定数のものが金属や硬質樹脂等の補強部材4cにより一連の纏まった状態で保持されたものの集合体を示す)に撓み変形の力が累積されてしまい、これが位置決めピン6dを軸としてフレーム6全体に歪みを生じさせ、位置決めピン6dから離れているフレーム6の中心軸ではリブ6aの撓み及びフレーム6の歪みが最大となり、リブ6aと一緒に各コンタクト4が移動してしまうことにより接触不良を引き起こす要因となってしまう。
又、図13(b)を参照すれば、押圧力に応じて各コンタクト4を撓ませる水平方向の力Fは各リブ6aに対して伝達されるが、同時に各コンタクト4には各リブ6aからの抗力がその背高側で受ける分力f1,f2として釣り合いを保つため、各コンタクト4ではF=f1+f2なる関係が成立する。
ここで、各コンタクト4と各パッド1a,5aとの間に生じる静止摩擦係数をμ、操作押圧力に応じて各コンタクト4に加えられる背高方向における荷重をLとすると、f1,f2がμLよりも小さければ、各パッド1a,5a上を各コンタクト4が滑らず、図14に示されるように座屈変形する。この場合、図14中に示される各コンタクト4の変形曲がり部Rの曲率半径が非常に小さくなることにより、その箇所で断線(導電体4aの導電性パターンの破損による導通不良を示す)を生じることがある。
これに対し、f1,f2がμLよりも大きければ、各パッド1a,5a上を各コンタクト4が滑り、各コンタクト4のうちの特に図13(a),(b)中に示される左側寄りのものが横方向における大きな蓄積された力Fを受けて接触部(導電体4a)がパッド上を滑り右側へスライドしてしまうことにより、本来の接続箇所以外の隣接する各パッド1a,5aにも接触して短絡を起こすことがある。
更に、こうした各コンタクト4の座屈変形による断線や隣接する接続箇所以外の箇所への接触による短絡が生じることもあり、何れにしても接触不良を起こす要因となってしまう。
特許文献2のコネクタは、位置決めピンがベースインシュレータの位置決め穴を挿通しているが、位置決めピンのピン径と位置決め穴の穴径とのクリアランスはほとんどゼロである。
したがって、位置決めピンのピン径と位置決め穴の穴径とのクリアランスが大きい場合には、枠体とベースインシュレータとの間でガタツキが生じ、接続対象物と弾性体の導体との位置合わせが困難となる。
また、特許文献2のコネクタでは、位置決めピンのピン径と位置決め穴の穴径とのクリアランスがほとんどゼロであるので、弾性体が圧縮されたときに弾性体によってベースインシュレータを押し込もうとすると、ベースインシュレータは枠体の位置決めピンにすぐに当るので動かなくなる。
したがって、弾性体の導体はベースインシュレータによって押されて大きく屈曲するので、ベースインシュレータが固定されている構造体では導体を大きく屈曲させてしまい、挿抜寿命低下の要因となる。
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、接続対象物との接続時の押圧力が相当に大きくてもリブが殆ど変形又は破損されず、しかもコンタクトにおける断線や短絡を起こさずに接触不良を安定して防止できる構造を持つ両面接続型コネクタを提供することにある。
また、本発明の他の技術的課題は、導電体の屈曲による損傷等を防ぎ、寿命を向上することができる両面接続型コネクタを提供することにある。
さらに、本発明の他の技術的課題は、フレームを完全に固定させず移動させることができ、且つ接続対象物との位置ずれを防ぐことができる両面接続型コネクタを提供することにある。
本発明によれば、絶縁弾性体の表面に導電体を形成して成るコンタクトの複数のものを該導電体が両方の主面から突出されるようにフレームにより支持した構造を持つ両面接続型コネクタにおいて、前記フレームは、前記複数のコンタクトを保持した内フレームと、該内フレームを収容するための収容部を有する外フレームとから成ると共に、前記内フレームと前記外フレームの前記収容部とが互いに接続対象物との接続方向に対して所定の傾斜角を成すテーパ面で当接され、更に、前記内フレームにおける前記テーパ面は、前記接続対象物との接続時の押圧力に応じて前記外フレームの前記収容部における前記テーパ面に沿って案内されると共に、前記接続方向に対して垂直な第1の方向又は該第1の方向とは反対側の第2の方向と前記接続方向とを成分角として有する第3の方向へ移動することを特徴とする両面接続型コネクタが得られる。
また、本発明によれば、前記内フレームの前記テーパ面は、前記第1の方向側に存在する第1のテーパ面と前記第2の方向側に存在する第2のテーパ面とを有しており、前記外フレームの前記収容部における前記テーパ面は、前記第1の方向側に存在する第3のテーパ面と前記第2の方向側に存在する第4のテーパ面とを有しており、更に、前記第1のテーパ面は、前記第3の方向の前記成分角として前記第1の方向及び前記接続方向を含む傾斜形状であり、前記第2のテーパ面は、前記第3の方向の前記成分角として前記第2の方向及び前記接続方向を含む傾斜形状であり、前記第3のテーパ面は、前記第3の方向の前記成分角として前記第2の方向及び前記接続方向を含む傾斜形状であり、前記第4のテーパ面は、前記第3の方向の前記成分角として前記第1の方向及び前記接続方向を含む傾斜形状であることを特徴とする両面接続型コネクタが得られる。
本発明の両面接続型コネクタの場合、接続対象物との接続時の押圧力が相当に大きくてもリブが殆ど変形も破損もされず、各コンタクトにおける断線や短絡も極めて起こり難く、結果として接触不良が安定して防止され、使用時の信頼性が高いものとなる。
また、本発明の両面接続型コネクタによれば、コンタクトは、接続対象物との接続時の押圧力に応じてそれぞれ余剰変形部分が第1の方向へと突出する構造となっているので、絶縁弾性体の表面に導電体を形成して成るコンタクトの複数のものにおける接続対象物との接触時に弾性変形に伴って発生する接触不良や短絡を適確に防止できる。
また、弾性体は、嵌合時に圧縮されてもフレームが固定されずに一方向へ移動するため、導電体が屈曲しないことから導電体の屈曲による損傷等を防ぐことができるので寿命を向上することができる。
さらに、フレームは完全に固定させず移動させることができ且つ接続対象物との位置ずれを防ぐごとができる。
本発明の最良の形態に係る両面接続型コネクタの一つは、絶縁弾性体の表面に導電体を形成して成るコンタクトの複数のものを該導電体が両方の主面から突出されるようにフレームにより支持した構造を持つ両面接続型コネクタにおいて、前記フレームは、前記複数のコンタクトを保持した内フレームと、該内フレームを収容するための収容部を有する外フレームとから成ると共に、前記内フレームと前記外フレームの前記収容部とが互いに接続対象物との接続方向に対して所定の傾斜角を成すテーパ面で当接され、更に、前記内フレームにおける前記テーパ面は、前記接続対象物との接続時の押圧力に応じて前記外フレームの前記収容部における前記テーパ面に沿って案内されると共に、前記接続方向に対して垂直な第1の方向又は該第1の方向とは反対側の第2の方向と前記接続方向とを成分角として有する第3の方向へ移動することにより実現される。
本発明の最良の形態に係る両面接続型コネクタのもう一つは、前記内フレームの前記テーパ面は、前記第1の方向側に存在する第1のテーパ面と前記第2の方向側に存在する第2のテーパ面とを有しており、前記外フレームの前記収容部における前記テーパ面は、前記第1の方向側に存在する第3のテーパ面と前記第2の方向側に存在する第4のテーパ面とを有しており、更に、前記第1のテーパ面は、前記第3の方向の前記成分角として前記第1の方向及び前記接続方向を含む傾斜形状であり、前記第2のテーパ面は、前記第3の方向の前記成分角として前記第2の方向及び前記接続方向を含む傾斜形状であり、前記第3のテーパ面は、前記第3の方向の前記成分角として前記第2の方向及び前記接続方向を含む傾斜形状であり、前記第4のテーパ面は、前記第3の方向の前記成分角として前記第1の方向及び前記接続方向を含む傾斜形状であることにより実現される。
以下は、具体的に幾つかの実施例を挙げ、本発明の両面接続型コネクタについて、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る両面接続型コネクタの基本構造を、接続対象物を含めて一部透視して示した外観斜視図である。又、図2(a)及び図2(b)は、係る両面接続型コネクタの接続対象物との接続に際しての基本構造を内部の要部を透視して示した側面図である。図2(a)は接続前状態に関するもの、図2(b)は接続後状態に関するものである。
実施例1に係る両面接続型コネクタの場合、各図を参照すれば、大まかには特許文献1に係る構成のものと同様なものである。即ち、絶縁弾性体4bの表面に導電体4aを形成して成るコンタクト4の複数のものを、導電体4aが両方の主面から突出されるようにフレームにより支持した基本構造を持つものである。
ここでのフレームは、各コンタクト4を保持した内フレーム3とこの内フレーム3を収容するための収容部を有する外フレーム2とから成る。これと共に、外フレーム2に対する内フレーム3の収容時に内フレーム3を収容するための収容部の接続対象収納口2a内でICパッケージのような接続対象物(第1の接続対象物)5との接続方向(図2(a)において矢印Aによって示した背高方向)とは垂直な第1の方向B(図2(a)において矢印Bによって示した紙面右方向)へ付勢する付勢手段としてのバネ7を備えるようにしたものである。
尚、ここでの各コンタクト4についても、紙面に垂直な奥行方向において所定数のものが金属や硬質樹脂等の補強部材4cにより一連の纏まった状態で保持されている。
但し、この両面接続型コネクタの場合、内フレーム3は、接続対象物5との接続時の押圧力に応じてバネ7による第1の方向Bへの付勢に打ち勝って第1の方向Bとは反対側の第2の方向(図2(a)に矢印Cによって示した紙面左方向)へ移動するもので、各コンタクト4については、接続対象物5との接続時の押圧力に応じてそれぞれ余剰変形部分が図2(b)に示されるように第1の方向Bへと突出するものとなる。
又、この両面接続型コネクタの場合、外フレーム2における収容部となる接続対象収納口2aは、内フレーム3を組み込んだ状態でその接続対象物5側の表面が底部(平坦面)となって形成されるものである。内フレーム3の底部における各コンタクト4を設けた部分の周囲の露呈部分は、ダウンストッパ部3dとなる。
更に、外フレーム2は、バネ7による内フレーム3の第1の方向Bへの付勢時に内フレーム3の一端面が突き当てられ接続方向に延在している突き当て面2cを有する。
外フレーム2は、突き当て面2cとは反対側の面に接続方向へ延在して設けられると共に、内フレーム3の第2の方向Cへの移動に際して可動規制して内フレーム3の他端面3bを係止するための可動ストッパ係止面2bを有している。
因みに、外フレーム2は、その他に複数の導体パッド1aを有するプリント基板(第2の接続対象物)1における対角方向の隅部に設けられた位置決め穴1bへ挿入される位置決めピン2dを一体的に有している。
即ち、この両面接続型コネクタにおいて、外フレーム2は、接続方向Aでフローティング可能な状態で位置決めされる。内フレーム3は、外フレーム2に対して接続方向A及び紙面に垂直な奥行方向について多少のクリアランスを有して支持される。
バネ7は、外フレーム2と内フレーム3との間に外フレーム2の突き当て面(原点復帰面)2cにおいて内フレーム3が押し付けられる第1の方向Bへ付勢力が働くように設置される。各コンタクト4は、内フレーム3の略中央部分に所定に列設されたスリット部3fに挿入されて固定される。
尚、内フレーム3における各コンタクト4の取り付け構造については、図13(a),図13(b)及び図14で説明した従来構造(フレーム6)の場合とほぼ同様であり、内フレーム3の底部(平坦面)の略中央部分に所定の間隔で列設された各スリット部3fがリブ3aにより仕切られ、各スリット部に各コンタクト4が配備されるようになっている。接続対象物5については、外フレーム2の接続対象収納口2aに微小なクリアランスを持って挿入される。
実施例1に係る両面接続型コネクタの場合、図2(a)に示されるように、接続前状態でプリント基板1上に配置して位置決めピン2dの位置決め穴1bへの挿入装着、並びに外フレーム2の接続対象収納口2aに対する接続対象物5の収納装着を行い、プリント基板1及び接続対象物5の間を図示しない治具により押圧することにより接続状態を維持する。
この接続時には、図2(a)に示されるように、外フレーム2及び内フレーム3による2重フレーム構造において、プリント基板1と接続対象物5との接続時の押圧力が内フレーム3をバネ7の付勢力に打ち勝って第2の方向C(紙面左方向)に移動させる。さらに、可動ストッパ面3bが外フレーム2の可動ストッパ係止面2bに突き当たって静止されたときに図2(b)に示される接続状態となる。この接続状態では、各コンタクト4の余剰変形部分がそれぞれ第1の方向B(紙面右方向)へと突出する。このときに各コンタクト4の導電体4aにおける一方側の突出部分がそれぞれ接続対象物5の各導体パッド5aに安定して接触接続される。このとき、各コンタクト4の導電体4aにおける他方側の突出部分がプリント基板1の各導体パッド1aのそれぞれに安定して接触接続される。このため、接続時の押圧力が相当に大きい場合にも、リブ3aが殆ど変形も破損もされず、しかも各コンタクト4における断線や短絡も極めて起こり難く、接触不良が安定して防止される。
詳細に説明すれば、プリント基板1及び接続対象物5の間を接続方向Aで押圧した接続状態では、各コンタクト4の圧縮時に生じる接続方向Aと垂直な方向(第2の方向C)の力がバネ7の付勢力(第1の方向Bに働く)に逆らってバネ7を縮めて図1(a)に示される接続前状態から内フレーム3を第2の方向Cへ移動させるように自然に追従する。
このときに内フレーム3の移動を規制するように内フレーム3の可動ストッパ面3bが外フレーム2の可動ストッパ係止面2bに突き当たる。これにより内フレーム3が静止した結果、図2(b)に示される接続状態となる。
ここでは、内フレーム3が可動することにより第2の方向Cへの力を解消できるため、従来構造で問題となっていた各コンタクト4における短絡や接触不良の問題が生じることがなく、しかも各コンタクト4は第1の方向Bへ安定した変形形状を保持するため、使用時の耐久性を向上させることができる。
因みに、図2(b)に示す接続状態から荷重となるプリント基板1及び接続対象物5を引き抜くと、図2(a)に示す接続前状態に戻ることになる。この荷重(押圧)が解放された状態では、同時にバネ7の復元力により内フレーム3の突き当て面3cが原点復帰位置である外フレーム2の突き当て面2cに突き当たり、これにより内フレーム3は静止する。
バネ7は、接続対象物5を装着した時の内フレーム3に対する第2の方向Cへの移動によるリブ3aへ加わる力を解消させるだけでなく、接続対象物5を取り外した時に内フレーム3を復元力により初期位置に復帰させる機能を持つもので、その付勢力は各コンタクト4の芯数にもよるが、概ね490〜2940mN程度に設定すれば良い。
要するに、この実施例1に係る接続構造の場合、外フレーム2については位置決めピン2dの位置決め穴1bにおけるクリアランスの範囲内、内フレーム3については可動ストッパ面3bから可動ストッパ係止面2bまでの距離以下、外フレーム2及び内フレーム3については接続方向A(背高方向)で微小に移動でき、全体としてクリアランスのバランスが良い構造となっているため、接触不良を防止して信頼性高い接続を行うことができる。
図3は、本発明の実施例2に係る両面接続型コネクタの接続対象物との接続に際しての基本構造を内部の要部を透視して示した側面図である。図3(a)は接続前状態に関するもの,図3(b)は接続後状態に関するものである。
実施例2に係る両面接続型コネクタの場合についても、大まかには特許文献1に係る構成のものと同様に、絶縁弾性体4bの表面に導電体4aを形成して成るコンタクト4の複数のものを導電体4aが両方の主面から突出されるようにフレームにより支持した基本構造を持つ。
その他、フレームが実施例1に係る構造の場合と同様に各コンタクト4を保持した内フレーム9とこの内フレーム9を収容するための収容部を有する外フレーム8とから成る構造となっている。ここでは内フレーム9と外フレーム8の収容部となる接続対象収納口8aとが互いにICパッケージのような接続対象物(第1の接続対象物)5及びプリント基板1(第2の接続対象物)との接続方向に対して所定の傾斜角を成すテーパ面で当接されるようになっている。
但し、この両面接続型コネクタの場合、内フレーム9のテーパ面は、接続対象物5との接続時の押圧力に応じて外フレーム8の接続対象収納口8aにおけるテーパ面に沿って案内される。この際、内フレーム9は、図3(a)に矢印Aによって示した接続方向A(背高方向)に対して垂直な第1の方向B(図3(a)に矢印Bによって示した紙面右方向)及びこれとは反対側の第2の方向C(図3(a)に矢印Cによって示した紙面左方向)と接続方向Aとを成分角として有する第3の方向(図3(a)に矢印Dによって示した方向)へ移動する。各コンタクト4については、接続対象物5,プリント基板1との接続時の押圧力に応じてそれぞれ余剰変形部分が第1の方向Bへと突出するものとなる。
又、この両面接続型コネクタの場合も、外フレーム8における収容部の接続対象収納口8aは、内フレーム9を組み込んだ状態でその接続対象物5側の表面が底部(平坦面)となって形成されるものである。内フレーム9の底部における各コンタクト4を設けた部分の周囲の露呈部分は、ダウンストッパ部9dとなる。
更に、内フレーム9のテーパ面は、第1の方向側に存在する第1のテーパ面9cと第2の方向側に存在する第2のテーパ面9bとを有している。外フレーム8の接続対象収納口8aにおけるテーパ面は、第1の方向B側に存在する第3のテーパ面8cと第2の方向側に存在する第4のテーパ面8bとを有している。
具体的に言えば、第1のテーパ面9cは、第3の方向の成分角として、第1の方向B(紙面右方向)及び接続方向A(背高方向における上方向)を含む傾斜形状となっている。第2のテーパ面9bは、同様に第3の方向の成分角として、第2の方向C(紙面左方向)及び接続方向A(背高方向における下方向)を含む傾斜形状となっている。
又、第3のテーパ面8cは、同様に第3の方向Dの成分角として、第2の方向C(紙面左方向)及び接続方向A(背高方向における下方向)を含む傾斜形状となっている。第4のテーパ面8bは、同様に第3の方向Dの成分角として、第1の方向B(紙面右方向)及び接続方向A(背高方向における上方向)を含む傾斜形状となっている。
即ち、この両面接続型コネクタにおいて、内フレーム9は、外フレーム8に対して紙面に垂直な奥行方向について多少のクリアランスを有して支持され、且つ矢印で示される第3の方向Dについて内フレーム9のテーパ面9bと外フレーム8のテーパ面8bとが多少のクリアランスを有してフローティング可能な状態で支持される。
尚、内フレーム9のテーパ面9b,9cと外フレーム8のテーパ面8b,8cとは、接続対象物5とプリント基板1との接続時の押圧により内フレーム9が外フレーム8に対して可動となるような適性な傾斜角度に設定しておくものとする。
各コンタクト4は、内フレーム9の底部(平坦面)の略中央部分に所定に列設されたスリット部3f(図1を参照)に挿入されて固定される。ここでも内フレーム9における各コンタクト4の取り付け構造については、図13(a),図13(b)及び図14で説明した従来構造(フレーム6)の場合と同様である。即ち、内フレーム9における各コンタクト4の取り付け構造については、図13(a),図13(b)及び図14で説明した従来構造(フレーム6)の場合とほぼ同様である。
内フレーム9の底部(平坦面)の略中央部分に所定の間隔で列設された各スリット部3fはリブ9aにより仕切られており、各スリット部3fに各コンタクト4が配備されるようになっている。接続対象物5についても、外フレーム8の接続対象収納口8aに微小なクリアランスを持って挿入される。
実施例2に係る両面接続型コネクタの場合においても、接続前状態でプリント基板1上に配置して位置決めピン8dの位置決め穴1bへの挿入装着、並びに外フレーム8の接続対象収納口8aに対するパッケージ5の収納装着を行い、実施例1と同様に図示しない治具によりプリント基板1及び接続対象物5の間を押圧するようにして図3(b)に示されるような接続状態となる。
ここでは特に接続の順序として、図3(a)に示されるように接続前状態で予め先にプリント基板1との押圧による嵌合接続を行っておくこと(半接続状態とすること)が使用上の便宜さにおいて望ましい。
この接続時には、図3(a)に示されるように、予め各コンタクト4の導電体4aにおける他方側の突出部がそれぞれプリント基板1の各パッド1aに接触接続された状態とした外フレーム8及び内フレーム9による2重フレーム構造となる。この2重フレーム構造において、接続対象物5との接続時の押圧力が外フレーム8のテーパ面8b,8cに対して内フレーム9のテーパ面9b,9cを沿わせて案内するように内フレーム9全体を第3の方向D(図中の矢印斜め下方向)に移動させる。
各コンタクト4の導電体4aにおける一方側の突出部がそれぞれ接続対象物5の各導体パッド5aに接触接続され、且つ各コンタクト4の余剰変形部分がそれぞれ第1の方向Bへと突出した格好で図3(b)に示されるような接続状態となる。このため、接続時の押圧力が相当に大きい場合にも、リブ9aが殆ど変形も破損もされず、しかも各コンタクト4における断線や短絡も極めて起こり難く、接触不良が安定して防止される。
詳細に説明すれば、プリント基板1と接続対象物5との間を接続方向A(背高方向)で押圧した接続状態では、図3(a)に示される接続前状態から内フレーム9のテーパ面9b,9cが外フレーム8のテーパ面8b,8cに沿って第3の方向D(図中の矢印斜め下方向)に移動する。このときに内フレーム9のテーパ面9cが外フレーム8のテーパ面8cに突き当たる。
その移動は各コンタクト4の導電体4aが接続対象物5の各パッド5aに突き当たって各コンタクト4の余剰変形部分が第1の方向Bへと突出した時点で静止される。この結果として図3(b)に示される接続状態となる(この時点でテーパ面8c,9cの当接力は解放されて両者は微小に離れる)。
この接続状態から接続対象物5を引き抜くと、図3(a)に示す接続前状態に戻される。そして、押圧が解放された状態では各コンタクト4の反発力(弾性復帰力)により内フレーム9のテーパ面9b,9cが外フレーム8のテーパ面8b,8cに沿って第3の方向(図中の矢印斜め上方向)に移動し、内フレーム9のテーパ面9bが外フレーム8のテーパ面8bに突き当たる。
やがては図3(a)に示される接続前状態に示されるような各コンタクト4を弾性変形させない離間された位置まで引き戻される(この時点でテーパ面8b,9bの当接力は解放されて両者は微小に離れる)。
要するに、この実施例2に係る接続構造の場合においても、外フレーム8については位置決めピン8dの位置決め穴1bにおけるクリアランスの範囲内、内フレーム9については外フレーム8の接続対象収納口8aに対して接続方向A(背高方向)と垂直な紙面の奥行方向及び第3の方向とにおいて微小に移動でき、全体としてクリアランスのバランスが良い構造となっているため、接触不良を防止して信頼性高い接続を行うことができる。
ところで、上述した実施例1,2に係る両面接続型コネクタでは、何れも外フレーム2,8に形成された内フレーム3,9に対する収容部が一方の接続対象物5を収納するための接続対象収納口2a,8aとしても利用される構造を説明したが、内フレームが外フレームに収容されず、接続対象物5やプリント基板1以外の接続対象物を収納するための接続対象収納口が形成された別なフレーム構造を構築して同等な機能を得ることも可能である。
図4は、本発明の実施例3に係る両面接続型コネクタの基本構成を示した外観斜視図である。図5は、この実施例3に係る両面接続型コネクタを分解して示した斜視図である。
実施例3においては、プリント基板1並びにこれとは別種な接続対象物を収納するための接続対象収納口が形成されると共に、付勢手段を有するフレーム構造を持つ。
図4及び図5を参照すれば、実施例3に係る両面接続型コネクタの場合についても、大まかには特許文献1に係る構成のものと同様に、絶縁弾性体14bの表面に導電体14aを形成して成るコンタクト14の複数のものを導電体14aが両方の主面から突出されるようにフレームにより支持した基本構造を持つものである。フレーム基材21には、組み付け時に接続対象物の接続方向A(図5に示した矢印A方向)とは垂直な第1の方向B(図5に示した矢印B方向)へ付勢される付勢手段(後述するバネ部21e)が一体的に備えられたものである。
但し、ここでのフレームは、フレーム基材21を保持している枠体31と、フレーム基材21及び枠体31の間に介在されてフレーム基材21を貼り付ける補強枠体41と、この補強枠体41を受け止める一対のブロック体51とを含んで成っている。
因みに、フレーム基材21においては、後述するように、フレーム基材21のバネ部21eに、補強枠体41に付設されるスライド機構部分を介在して枠体31が係合されている。これによって接続対象物の着脱時に補強枠体41の位置決め穴47a,47b及びフレーム基材21に形成されているフレーム位置決め穴25a,25bの径に対する枠体31の位置決めピン36a,36bの径のクリアランスの範囲内で枠体31及び補強枠体41に対してフレーム基材21が図5中の第1の方向B及び第1の方向Bとは反対側の第2の方向Cで相対的にスライド可能な構造となっている。
図6は、図4に示される各コンタクト14と、各コンタクト14を保持しているフレーム基材21における図5中のI部分を拡大して示したものである。図7は、図5に示した各コンタクト14を保持しているフレーム基材21の一部を、第1の方向B及び第1の方向Bを縦方向とした場合の横方向Eで断面した形態を示している。図8は、図5に示した各コンタクト14を保持しているフレーム基材21の一部を第1の方向B及び第2の方向Cで断面した形態を示している。
図6〜図8を参照すれば、ここでも各コンタクト14の単体については、ゴムのような弾性を持つ絶縁弾性体14bの表面上に導電体14aを配設して成るものである。更に、絶縁弾性体14bについては、略板形状の基部14b′が所定数立設されている状態で所定の間隔を持つように連結部14b″を介在させて横方向Eに連結されており、導電体14aを各基部14b′の一面及びその一面から延在する方向(接続方向A)の一対の側面へ繋がるように配設している。これにより、図6に示されるように、絶縁弾性体14bにおける基部14b′を横方向Eで15個が連結して15個のコンタクト14を列設した構造のコンタクトモジュールを構成している。
フレーム基材21は、樹脂材料をモールド成形加工して略四角板形状を呈するように作製されたものである。フレーム基材21については、第1及び第2の方向B,Cで互いに平行に対向し、且つ横方向Eに長い形状の一対のフレーム横枠部21a,21bと、横方向Eで互いに平行に対向し、且つ第1及び第2の方向B,Cに長い形状の一対のフレーム縦枠部23a,23bと、一対のフレーム横枠部21a,21b及び一対のフレーム縦枠部23a,23b(実施例1,2の接続対象物5に対する係止片としてのダウンストッパ3d,9dと同じ働きを担うもの)内に形成されている複数のスリット部25とを有している。
更に、フレーム基材21は、打ち抜き,切り欠き等により一対の略アーム形状として一方のフレーム横枠部21aの一方向の端側に一体的に形成された付勢手段としてのバネ部21eを有している。
各スリット部25は、等間隔でフレーム基材21に設けられており、各スリット部25に絶縁弾性体14bが配設されるようになっている。各スリット部25は、フレーム基材21の表裏面を貫通しており、図6を参照すれば明らかであるように、横方向Eに長い寸法であり、且つ第1及び第2の方向B,Cに複数のものが連続して形成されている。
フレーム基材21には、第2の方向Cでスリット部25を分割するように複数のストッパ部27が形成されている。ストッパ部27は、図6に示した各コンタクト14の所定数のものによるコンタクト部を各スリット部25の一つのものに圧入して保持できるようにしており、フレーム基材21の表裏面よりも少し外方(上方)へ突出している。
絶縁弾性体14bは、フレーム基材21の両面から突出しており、導電体14aを設けることによりその突出部分が電気的接点となる。一対のフレーム縦枠部23a,23bのそれぞれには、第1の方向Bの中間部分にフレーム位置決め穴25a,25bが形成されている。
枠体31は、図4及び図5に示されるように略四角形状の枠体であって、第1及び第2の方向B,Cで互いに平行に対向し、且つ横方向Eに長い形状の一対の横枠部33a,33bと、横方向Eで互いに平行に対向し、且つ第1及び第2の方向B,Cに長い形状の一対の縦枠部35a,35bとを有している。
一対の横枠部33a,33bは、フレーム基材21の一対のフレーム横枠部21a,21bに対向するように横方向Eの横幅寸法及び第1及び第2の方向B,Cの寸法と略同じ寸法となっている。一対の縦枠部35a,35bは、フレーム基材21の一対のフレーム縦枠部23a,23bに対向するように横方向Eの横幅寸法、第1及び第2の方向B,Cの寸法と略同じ寸法となっている。
又、枠体31は、薄い金属板をプレスにより打ち抜いた後、曲げ加工を施すことによって作製されている。枠体31の四角部分には、第1及び第2の方向B,Cへ延びている突出枠部37a,37b,37c,37dが延びている。これらの突出枠部37a,37b,37c,37dのうち、二つの突出枠部37a,37dには枠位置決め穴37g,37hが形成されている。
一対の横枠部33a,33bのそれぞれには、突出枠部37a,37b,37c,37dの内側であって、且つ近傍に圧入部38a,38b,38c,38dが形成されている。これらの圧入部38a,38b,38c,38dは一対の横枠部33a,33bのそれぞれから外方に延びて先端部が一対の横枠部33a,33bよりも下方へ位置するように曲げられている。
一対の縦枠部35a,35bのそれぞれには、第1及び第2の方向B,Cの中間部分に一対の位置決めピン36a,36bが形成されている。これらの位置決めピン36a,36bは、一対のフレーム位置決め穴25a,25bに1対1で挿入できるように、一対の縦枠部35a,35bの裏面から裏面上へ延びている。
補強枠体41は、図5に示されるように略四角形状の枠であって、第1及び第2の方向B,Cで互いに平行に対向し、且つ横方向Eに長い形状の一対の補強横枠部43a,43bと、横方向Eで互いに平行に対向し、且つ第1及び第2の方向B,Cに長い形状の一対の補強縦枠部45a,45bとを有し、枠体31に引っかかる状態で保持される。
補強枠体41は、薄い金属板をプレスにより打ち抜き加工を施すことによって作製することができる。一対の補強横枠部43a,43bは、フレーム基材21の一対のフレーム横枠部21a,21bに対向する。又、一対の補強横枠部43a,43bは、これらの補強横枠部43a,43bの横方向Eの中間部分が補強横枠部43a,43bの辺よりも外側へ突出している一対の突片部43d,43eを有している。
一対の補強縦枠部45a,45bは、フレーム基材21の一対のフレーム縦枠部23a,23bに対向するように横方向Eの横幅寸法、第1及び第2の方向B,Cの寸法と略同じ寸法となっている。
尚、枠体31には、位置決め穴47a,47bとフレーム位置決め穴25a、25bとを通過する位置決めピン36a,36bが設けられている。但し、ここでのフレーム位置決め穴25a,25bの径は、位置決めピン36a,36bの径より大きくなっている。
一対の補強縦枠部45a,45bのそれぞれには、第1及び第2の方向B,Cの中間部分に位置決め穴47a,47bが形成されている。これらの位置決め穴47a,47bは、フレーム基材21のフレーム位置決め穴25a,25bに一致する穴であり、枠体31の位置決めピン36a,36bが挿通される部分である。位置決めピン36a,36bは、フレーム位置決め穴25a,25bを通り下側へ突出する。
次に、図4及び図5を参照し、一対のブロック体51について説明する。尚、これらのブロック体51は、それぞれ同じ形状であるために同じ参照符号を付している。
一対のブロック体51は、樹脂材料をモールド成形加工することによって作製されたものであり、横方向Eに長い形状であって、補強枠体41の補強横枠部43a,43bのそれぞれに対向する対向面53aの中間部分に表面から裏面側へ段差部54が形成されている。段差部54の横方向Eの寸法は、補強枠体41の突片部43d,43eの横方向Eの寸法と略等しい寸法であり、突片部43d,43eを搭載して受けられるようになっている。
又、段差部54の横方向Eの中央部分には、穴形状のスライド受部55が形成されている。更に、段差部54の横方向Eの外側には、表面から裏面側に総計4つの圧入穴57a,57bが形成されている。これらの圧入穴57a,57bは、枠体31の圧入部38a,38b,38c,39dが1対1で圧入される部分である。
加えて、ブロック体51には、横方向Eにおける両端のうち一方端又は他方端の近傍に表裏面を貫通している位置決め保持穴58a,58bがそれぞれ形成されている。位置決め保持穴58a,58bは、枠体31の突出枠部37a,37dに形成されている二つの枠位置決め穴37g,37hのそれぞれに一致するようになっている。
その他、ブロック体51には、スライド受部55の後方側に開口部59が形成されている。開口部59は、ブロック体51の表裏面及び対向面53aとは反対側の後面53bに連続して形成されている。スライド受部55には、横方向Eへスライド可能にスライド部材61が嵌め込まれている。スライド部材61は、スライド受部55に挿入されるスライド板部63と、スライド板部63をスライド部材61の外側で横方向Eへスライドさせるためにスライド板部63の後部上に設けられている操作部65とを有している。又、スライド板部63には、前端辺から後部側へ一つの切り欠き部67が形成されている。
以下、実施例3に係る両面接続型コネクタの組み立てについて説明する。絶縁弾性体14bのそれぞれには、金属スパッタにより導電体14aを付着させてコンタクト14の単体、更にコンタクト部を製作するものである。この後、各コンタクト部のフレーム基材21に設けられたスリット部25の数に応じたものをそれぞれ各スリット部25に収納し、フレーム基材21と補強枠体41とを合わせて貼り合わせる。この際、フレーム基材21のフレーム位置決め穴25a,25bと補強枠体41の位置決め穴47a,47bとの位置を合致するように貼り合わせる。
フレーム基材21と補強枠体41との貼り合せ方法は、両面テープ又は接着剤等を用いて行えば良い。補強枠体41は、フレーム基材21の反りを強制して機械的強度を向上する役目を持つ。
この後、ブロック体51のスライド受部55にスライド部材61のスライド板部63を挿入した後、補強枠体41の突片部43d,43eをブロック体51の段差部54上に置く。この際、ブロック体51の対向面53aがフレーム基材21のフレーム横枠部21a,21bの辺に当接する。
更に、補強枠体41上に枠体31を載せるが、このときに図9に示されるように、枠体31の位置決めピン36a,36bを補強枠体41の位置決め穴47a,47bを通過するように差し込み、フレーム基材21のフレーム位置決め穴25a,25bに挿入する。尚、同時に枠体31の圧入部38a,38b,38c,38dがブロック体51の圧入穴57a,57bにそれぞれ圧入される。
バネ部21eは、ブロック体51によって押されて変位するが、このときにはフレーム基材21全体が第1の方向(図9に示した矢印B′方向)に押し込まれる。この際、フレーム位置決め穴25a,25bと枠体31の位置決めピン36a,36bとのクリアランスは大きいが、フレーム基材21は押し込まれて第1の方向Bに移動する。
即ち、バネ部21eは枠体31と一対のブロック体51とに組み込まれるときに変位し、このときにフレーム基材21が第1の方向Bへ押されるため、図10に示されるように、位置決めピン36a,36bとフレーム位置決め穴25a,25bの端面とが接し、フレーム位置決め穴25a,25bの端面と枠体31の位置決めピン36a,36bとが常に接するようにフレーム基材21が微小に第1の方向Bへ移動して係止された状態となるが、フレーム基材21と枠体31との位置合わせは常に一定であるため、各コンタクト14の導電体14aと先の実施例1,2の場合のプリント基板1と同様なプリント基板1′の導体パッド(図示せず)との位置合わせが容易になる。
又、嵌合時には絶縁弾性体14bが圧縮され、絶縁弾性体14bの導電体14a側の第2の方向Cへはフレーム基材21を押圧する力が発生する。このとき、フレーム基材21のバネ部21eが更に圧縮され、フレーム基材21は微小に第2の方向へ移動する。これにより、導電体14aはフレーム基材21に押し付けられることなく屈曲せず、各コンタクト14の導電体14aと先の実施例1,2の場合のICパッケージのような接続対象物5の導体パッド(図示せず)との位置合わせが容易になる。
このようにして、フレーム基材21,枠体31,補強枠体41,及びスライド部材61を設けたブロック体51が一体的に組み合わされた両面接続型コネクタの組み立てが完了する。
以下は、各コンタクト14をフレーム基材21に圧入した後の接続対象物との接続を詳細に説明する。但し、ここでは図8に示されるように、フレーム基材21の板厚方向の寸法をL1、ストッパ部27の高さ方向の寸法をL2、各コンタクト14の高さ方向の寸法L3として説明する。
実施例3に係る両面接続型コネクタは、図10を参照すれば、一方の接続対象物であるプリント基板1′と他方の接続対象物5とによって挟まれることによって、プリント基板1′と他方の接続対象物5とを電気的に接続する。尚、プリント基板1′には、位置決めピン36bを挿通する位置決め穴1a′が形成されている。
この両面接続型コネクタにおいて、電気接続に十分な変位量を設定する場合には、図8に示した寸法Ll,L2,L3を予め求め、ストッパ部27の高さ寸法L2でプリント基板1′及び接続対象物5が押し付けられるように荷重を加えれば良い。この状態で衝撃が加わっても、衝撃を受けているのがフレーム基材21であるため、絶縁弾性体14bの変形による破損を防止することができる。
位置合わせされたプリント基板1′及び接続対象物5は、図10に示される接続中途状態及び図11に示される接続完了状態を参照すれば、初期的に図7に示される矢印によって示した接続方向Aによりストッパ部27まで押し付け固定されるとき、圧縮変形された絶縁弾性体14bが圧縮変形された分、フレーム基材21の主面と平行な方向へ広がろうとする。このとき、フレーム基材21は、図12に示されるように、絶縁弾性体14bと密着している導電体14a側(第2の方向C)に押されてバネ部21eが変位し、フレーム基材21がこれと平行な第2の方向Cへ移動する。同時に各コンタクト14は、押圧力に応じてそれぞれ余剰変形部分が第1の方向Bへと突出する。
スライド部材61は、プリント基板1′上に両面実装型コネクタを搭載した後、プリント基板1′を立てかけたとき、抜け落ちないように仮止めを行う役目を果たす。尚、スライド部材61による仮止め操作については、特開2006−054149号公報等に詳細に記載されているため、ここでは説明を省略する。
この実施例3に係る両面接続型コネクタの場合においても、実施例1の構造の場合と同様に、フレーム基材21については、図12に示されるように、フレーム部材との組み付け及び接続対象物であるプリント基板1′上の実装を経た接続対象物5との接続時の押圧力に応じ、それに一体的に設けられたバネ部21eによる第1の方向Bへの付勢に打ち勝って第1の方向Bとは反対側の第2の方向Cへ移動する。この際、各コンタクト14については、接続対象物5との接続時の押圧力に応じてそれぞれ余剰変形部分が第1の方向Bへと突出するものとなる。
ところで、ここでの各コンタクト14の表面に設ける導電体14aは、金属スパッタや金属メッキにより行うことが望ましい。フレーム基材21に形成されているバネ部21eは、フレーム基材21に対して一体型とする以外、金属バネ弾性部材をフレーム基材21の端面に組み込むような形態にしても良い。
又、過圧縮による潰れを防止するためのストッパ部27は、プリント基板10が当たる面積を可能な限り大きい面積とすることが望ましく、特に面積を大きくすれば本実施例の両面実装型コネクタのサイズが大きい場合やプリント基板1′の反りが大きい場合等に有効である。更に、実施例3では、各コンタクト14として、絶縁弾性体14bをゴムとして説明したが、例えばゲルに導電体14aを付けた構造とした上、そのように得られた各コンタクトを保持するフレーム基材を持つ構造としても良い。加えて、枠体31,補強枠体41,ブロック体51,及びスライド部材61は、金属材料により作製する以外、機械的強度が充分に得られれば樹脂材料等により成型されたものを用いることも可能である。
上述の実施例では、コネクタは接続対象物5及び基板1のパッド1a,5aとスライドしながら接続するので、接触部表面の汚染物などを排除することができ、安定した接触構造となる。