JP2021057115A

JP2021057115A - 電気コネクタ

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Publication number: JP2021057115A
Application number: JP2019176428A
Authority: JP
Inventors: 健太郎土井; Kentaro Doi
Original assignee: Hirose Electric Co Ltd
Current assignee: Hirose Electric Co Ltd
Priority date: 2019-09-27
Filing date: 2019-09-27
Publication date: 2021-04-08
Anticipated expiration: 2039-09-27
Also published as: EP3799216A1; JP7369576B2

Abstract

【課題】端子の電流容量を大きくし、可動ハウジングの基板に対する十分な移動量を確保し、かつ外形寸法を小さくする。【解決手段】基板上の回路に接続される回路接続部３２、相手コネクタの端子と接触する接触部３５、および回路接続部３２に対して接触部３５が移動可能となるように回路接続部３２と接触部３５との間を接続するばね部３７を有する端子３１と、基板に固定される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して移動可能であり、接触部３５を支持する可動ハウジングとを備え、端子３１はそれぞれ独立した複数の端子板４１が当該複数の端子板４１の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成されている。【選択図】図１２

Description

本発明は、フローティング機能を有する電気コネクタに関する。

電気コネクタの中にはフローティング機能を有するものがある。フローティング機能とは、コネクタと相手コネクタとが互いに嵌合される際に、コネクタの嵌合部と相手コネクタの嵌合部とが位置ずれしている場合でも、コネクタがその位置ずれを吸収し、コネクタと相手コネクタとの嵌合を可能にする機能をいう。以下、フローティング機能を有する電気コネクタをフローティングコネクタという。

フローティングコネクタに設けられた複数の端子はそれぞれ、基板上の回路に接続される回路接続部と、相手コネクタに接触する接触部と、回路接続部と接触部との間を接続するばね部とを備えている。また、フローティングコネクタは、基板に固定される固定ハウジングと、基板に対して移動可能な可動ハウジングとを備え、可動ハウジングには、相手コネクタと嵌合する嵌合部が設けられている。また、各端子の回路接続部は基板に固定され、各端子の接触部は可動ハウジングに固定されている。この構造により、可動ハウジングは各端子のばね部の弾性変形により基板に対して移動することができる。相手コネクタがフローティングコネクタに嵌合される際に、相手コネクタの嵌合部が、フローティングコネクタの可動ハウジングに設けられた嵌合部に対して位置ずれしている場合には、可動ハウジングが基板に対して移動することにより、その位置ずれを吸収することができる。

下記の特許文献１にはフローティングコネクタの一例が記載されている。

特開２０１９−３３０３５号公報

例えば電源端子を含むフローティングコネクタを実現するに当たり、電源端子の電流容量を大きくする必要がある。

一般に、端子を太くすることにより端子の電流容量を大きくすることができる。しかしながら、端子が太くなると、端子のばね部が弾性変形し難くなるため、可動ハウジングの基板に対する移動量が小さくなってしまう。

また、端子を太くした場合でも、当該端子を長くすることにより、端子のばね部を弾性変形し易くすることができ、可動ハウジングの基板に対する移動量を大きくすることができる。しかしながら、端子が長くなると、フローティングコネクタの外形寸法が大きくなってしまう。

本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、端子の電流容量を大きくすることができ、可動ハウジングの基板に対する十分な移動量を確保することができ、かつ外形寸法を小さくすることができる電気コネクタを提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明の電気コネクタは、基板上の回路に接続される回路接続部、相手コネクタの端子と接触する接触部、および前記回路接続部に対して前記接触部が移動可能となるように前記回路接続部と前記接触部との間を接続するばね部を有する端子と、前記基板に固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して移動可能であり、前記接触部を支持する可動ハウジングとを備え、前記端子はそれぞれ独立した複数の端子板が当該複数の端子板の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成されていることを特徴とする。

本発明の電気コネクタにおいて、端子の接触部は可動ハウジングに支持されている。また、本発明の電気コネクタが基板に実装された場合、端子の回路接続部が基板上の回路に接続され、これにより回路接続部が基板に固定される。この結果、可動ハウジングは端子を介して基板上に支持される。端子の接触部はばね部の弾性変形により回路接続部に対して移動することができる。したがって、可動ハウジングは端子のばね部の弾性変形により基板、および基板に固定された固定ハウジングに対して移動することができる。可動ハウジングに外力が作用し、可動ハウジングが移動すると、可動ハウジングと共に端子の接触部が移動する。端子の接触部が移動すると端子のばね部が弾性変形する。端子は独立した複数の端子板が当該複数の端子板の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成されているので、ばね部が弾性変形したとき、端子を構成する複数の端子板のうち、互いに隣り合う２枚の端子板のそれぞれにおいてばね部を形成する部分が互いにスライド移動する。ばね部の弾性変形時にこのように端子板がスライド移動する構造とすることにより、ばね部を弾性変形し易くすることができる。したがって、端子のばね部の長さを長くすることなく、可動ハウジングの基板に対する十分な移動量を確保することができる。一方、本発明における端子は複数の端子板をそれらの厚さ方向にそれぞれ重ね合わせることにより形成されているので、本発明における端子は、当該端子を構成する複数の端子板の厚さ寸法を合計した厚さ寸法を有する１枚の金属板を本発明における端子と同じ外形に加工することにより形成された端子と同等の電流容量を有する。以上より、本発明の電気コネクタによれば、端子のばね部の長さを長くすることなく可動ハウジングの基板に対する十分な移動量を確保することができ、かつ端子の電流容量を大きくすることができる。よって、大きな電流容量を有し、かつ外形寸法が小さい電気コネクタを実現することができる。

また、上記本発明の電気コネクタにおいて、前記複数の端子板において互いに隣り合う２枚の端子板は互いに接触していることが好ましい。また、上記本発明の電気コネクタにおいて、前記複数の端子板はそれぞれ同一の形状を有していることが好ましい。また、上記本発明の電気コネクタにおいて、前記各端子板は前記回路接続部を形成する接続板部、前記接触部を形成する接触板部および前記ばね部を形成するばね板部とを有し、前記回路接続部は前記複数の端子板の接続板部が当該複数の端子板の接続板部の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成され、前記接触部は前記複数の端子板の接触板部が当該複数の端子板の接触板部の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成され、前記ばね部は前記複数の端子板のばね板部が当該複数の端子板のばね板部の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成されている構成としてもよい。

また、上記本発明の電気コネクタにおいて、前記可動ハウジングには前記接触部を支持するための支持穴または支持溝が設けられ、前記支持穴または支持溝内には、前記複数の端子板の接触板部がそれぞれ重なり合った状態でまとめて挿入されている構成としてもよい。

また、上記本発明の電気コネクタにおいて、前記各端子板の接触板部は当該接触板部の厚さ方向に湾曲し、前記支持穴または支持溝は直線状に伸長し、前記各端子板の接触板部は直線状に弾性変形した状態で前記支持穴または支持溝内に挿入されている構成としてもよい。

また、上記本発明の電気コネクタにおいて、前記複数の端子板において互いに隣り合う２枚の端子板の接触板部の互いに対向するそれぞれの面のうち、一方の面には凸部が形成され、他方の面には凹部が形成され、前記凸部が前記凹部内に挿入されている構成としてもよい。

本発明によれば、端子の電流容量を大きくすることができ、可動ハウジングの基板に対する十分な移動量を確保することができ、かつフローティングコネクタの外形寸法を小さくすることができる。

本発明の実施形態のコネクタ、コネクタが実装された基板、相手コネクタ、および相手コネクタが実装された基板を示す斜視図である。相手コネクタを示す斜視図である。左前上方向から見た本発明の実施形態のコネクタを示す図である。上方から見た本発明の実施形態のコネクタを示す図である。下方から見た本発明の実施形態のコネクタを示す図である。図４中の矢示ＶＩ−ＶＩ方向から見た本発明の実施形態のコネクタの断面図である。図４中の矢示ＶＩＩ−ＶＩＩ方向から見た本発明の実施形態のコネクタの断面図である。図４中の矢示ＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ方向から見た本発明の実施形態のコネクタの断面図である。下方から見た本発明の実施形態のコネクタの固定ハウジングを示す図である。上方から見た本発明の実施形態のコネクタの可動ハウジングを示す図である。下方から見た本発明の実施形態のコネクタの可動ハウジングを示す図である。本発明の実施形態のコネクタの端子を示す斜視図である。本発明の実施形態のコネクタの端子を構成する複数の端子板を示す斜視図である。可動ハウジングが移動した状態の本発明の実施形態のコネクタを下方から見た図である。本発明の実施形態のコネクタにおいて端子のばね部の弾性変形を示す説明図である。本発明の実施形態のコネクタにおいて端子を流れる電流を示す説明図である。本発明の実施形態のコネクタの端子の変形例を示す説明図である。本発明の実施形態のコネクタの端子の変形例を示す説明図である。本発明の実施形態のコネクタの端子の変形例を示す説明図である。本発明の実施形態のコネクタの端子の変形例を示す説明図である。

図面を用いて、本発明の実施形態の電気コネクタについて説明する。なお、本発明の実施形態に関し、上（Ｕ）、下（Ｄ）、前（Ｆ）、後（Ｂ）、左（Ｌ）または右（Ｒ）の方向を述べる際には、説明の便宜上、図１、図３〜１４、図１７、図１９〜２０中の右下または左下に描かれている矢印に従う。

図１は、本発明の電気コネクタの実施形態であるコネクタ１、およびコネクタ１と接続することが可能な相手コネクタ９１を示している。図１において、コネクタ１はフローティングコネクタである。また、コネクタ１は基板８５に実装され、相手コネクタ９１は相手基板９５に実装されている。コネクタ１と相手コネクタ９１とを図１に示すように互いに接続することにより、基板８５上の回路と相手基板９５上の回路とを互いに接続することができる。また、本実施形態において、コネクタ１および相手コネクタ９１は、基板８５から相手基板９５へ、または相手基板９５から基板８５へ電源電流を供給する電源用のコネクタとしてそれぞれ用いられている。

図２は相手コネクタ９１を示している。図２に示すように、相手コネクタ９１は、電源電流を流すのに十分な電流容量を有する複数の端子９２、およびこれらの端子９２を保持するハウジング９３を備えている。また、ハウジング９３には、コネクタ１の嵌合部１９と嵌合するための嵌合穴９４が設けられており、各端子９２は嵌合穴９４内に配置されている。

図３は左前上方向から見たコネクタ１を示している。図４は上方から見たコネクタ１を示している。図５は下方から見たコネクタ１を示している。図６は図４中の矢示ＶＩ−ＶＩ方向から見たコネクタ１の断面を示している。図７は図４中の矢示ＶＩＩ−ＶＩＩ方向から見たコネクタ１の断面を示している。図８は図４中の矢示ＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ方向から見たコネクタ１の断面を示している。

図３に示すように、コネクタ１は、固定ハウジング１１、可動ハウジング１８および複数の端子３１を備えている。

固定ハウジング１１は、例えば樹脂等の絶縁材料により、上方視四角形の外形を有する筒状に形成されている。固定ハウジング１１は、各端子３１を保持し、かつ可動ハウジング１８を基板８５に対して移動可能に保持する機能を有している。

固定ハウジング１１は図１に示すように基板８５上に配置され、基板８５に固定される。具体的には、図４に示すように、固定ハウジング１１の前側の周壁部１１Ａの外面の左下部および右下部、並びに後ろ側の周壁部１１Ｂの外面の左下部および右下部には、固定金具１６を取り付ける金具取付部１２がそれぞれ設けられている。固定ハウジング１１は固定金具１６を用いて基板８５に不動に固定されている。

また、固定ハウジング１１の前側の周壁部１１Ａおよび後ろ側の周壁部１１Ｂには張出部１３がそれぞれ設けられている。これら張出部１３は、周壁部１１Ａおよび１１Ｂの左右方向中央にそれぞれ配置され、周壁部１１Ａおよび１１Ｂの上端部から前後方向内向きにそれぞれ伸長している。これら張出部１３は可動ハウジング１８の前後方向の移動範囲を制限する機能を有している。

また、固定ハウジング１１の左側の周壁部１１Ｃおよび右側の周壁部１１Ｄには切り欠き１４がそれぞれ形成されている。これら切り欠き１４は、周壁部１１Ｃおよび１１Ｄの下部の前後方向中央にそれぞれ配置され、下方に開口した凹状に形成されている。これら切り欠き１４内には、可動ハウジング１８の突出部２０が挿入されている。可動ハウジング１８の左右の突出部２０が固定ハウジング１１の左右の切り欠き１４内にそれぞれ挿入されることにより、可動ハウジング１８が固定ハウジング１１に移動可能に保持されている。

図９は、可動ハウジング１８および各端子３１を取り外した状態の固定ハウジング１１を下方から見た図である。図９に示すように、固定ハウジング１１には、複数の端子３１をそれぞれ保持するための複数の保持穴１５が形成されている。複数の保持穴１５のうち、半数の保持穴１５は前側の周壁部１１Ａの左右方向中央部に、左右方向に一列に配列され、残りの半数の保持穴１５は後ろ側の周壁部１１Ｂの左右方向中央部に、左右方向に一列に配列されている。また、これら保持穴１５は、図７に示すように、周壁部１１Ａおよび１１Ｂの下面から上方にそれぞれ伸長している。

可動ハウジング１８は、図３に示すように、例えば樹脂等の絶縁材料により、略直方体状に形成されている。可動ハウジング１８は固定ハウジング１１の内側の空間内に配置されている。

図４に示すように、可動ハウジング１８の前側、後ろ側、左側および右側の外面と、固定ハウジング１１の周壁部１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃおよび１１Ｄのそれぞれの内面との間には隙間が形成されている。また、可動ハウジング１８の前側の外面と、固定ハウジング１１の周壁部１１Ａから後方へ張り出した張出部１３の後端部との間には隙間が形成されている。また、可動ハウジング１８の後ろ側の外面と、固定ハウジング１１の周壁部１１Ｂから前方へ張り出した張出部１３の前端部との間にも隙間が形成されている。これにより、可動ハウジング１８は固定ハウジング１１および基板８５に対して前後方向および左右方向に移動することができる。また、図６を見るとわかる通り、コネクタ１が基板８５上に実装されたとき、可動ハウジング８５の下面と基板８５の上面８５Ａとの間には隙間が形成される。したがって、可動ハウジング１８は上下方向にも移動することができる。

また、図６に示すように、可動ハウジング１８の下部は、可動ハウジング１８の上部と比較して前後方向の幅が小さくなっている。これにより、可動ハウジング１８の下部の前側の外面と固定ハウジング１１の周壁部１１Ａの内面との間、および可動ハウジング１８の下部の後ろ側の外面と固定ハウジング１１の周壁部１１Ｂの内面との間には大きな空間がそれぞれ形成されている。これらの空間内には各端子３１のばね部３７が配置されている。

また、図３に示すように、可動ハウジング１８の上部は、相手コネクタ９１の嵌合穴９４に嵌合される嵌合部１９となっている。図１に示すように、コネクタ１と相手コネクタ９１とを接続したとき、可動ハウジング１８の嵌合部１９が相手コネクタ９１の嵌合穴９４内に入る。

また、可動ハウジング１８の左部および右部には突出部２０がそれぞれ設けられている。可動ハウジング１８の左部に設けられた突出部２０は、可動ハウジング１８の左側の外面における下部の前後方向中央から左方に突出している。可動ハウジング１８の右部に設けられた突出部２０は、可動ハウジング１８の右側の外面における下部の前後方向中央から右方に突出している。図５および図８に示すように、各突出部２０は固定ハウジング１１に形成された切り欠き１４内に配置されている。また、各突出部２０は、切り欠き１４から離れており、切り欠き１４内において動くことができる。

図１０は固定ハウジング１１および各端子３１を取り外した状態の可動ハウジング１８を上方から見た図である。図１１は図１０中の可動ハウジング１８を下方から見た図である。図１０に示すように、可動ハウジング１８には例えば３つの端子挿入凹部２１が形成されている。各端子挿入凹部２１は可動ハウジング１８の前後方向中央に左右方向に一列に並んでいる。また、図６および図８を見るとわかる通り、各端子挿入凹部２１は上向きに開口している。可動ハウジング１８の嵌合部１９を相手コネクタ９１の嵌合穴９４に挿入したとき、相手コネクタ９１の端子９２が端子挿入凹部２１内に入る。

また、図１０に示すように、可動ハウジング１８において、各端子挿入凹部２１の左側内面および右側内面には複数の支持溝２２が形成されている。また、図１１に示すように、可動ハウジング１８の底部には複数の支持穴２３が形成されている。図７および図８に示すように、これら支持溝２２および支持穴２３により端子３１が支持されている。各支持溝２２および各支持穴２３はそれぞれ上下方向に伸長している。各支持溝２２の位置と各支持穴２３の位置とは互いに対応しており、互いに対応した支持溝２２と支持穴２３とは連続している。本実施形態において、可動ハウジング１８には、図１０に示すように１２個の支持溝２２が形成され、これらの支持溝２２は、左右方向に２つの支持溝２２が並んだ列が６つ形成されるように配置されている。また、図１１に示すように、可動ハウジング１８には１２個の支持穴２３が形成され、これらの支持穴２３は、１２個の支持溝２２と対応するように配置されている。

図４および図５を見るとわかる通り、本実施形態におけるコネクタ１には１２個の端子３１が設けられている。１２個の端子３１のうち、６個の端子３１はコネクタ１の前部に左右方向に一列に配列され、残りの６個の端子３１はコネクタ１の後部に左右方向に一列に配列されている。１２個の端子３１はそれぞれ同一の形状および構造を有している。図１２はこれらの端子３１のうちの１つを示している。図１２に示すように、端子３１は、回路接続部３２、保持部３３、接触部３５およびばね部３７を有している。

回路接続部３２は基板８５上の回路に、例えばはんだ付け等により接続される部分である。回路接続部３２は前後方向に伸長している。本実施形態における回路接続部３２は、基板８５の上面８５Ａに形成された回路にはんだ付けされる表面実装型の回路接続部である。なお、図１において基板８５上に形成された回路の図示を省略している。

保持部３３は、端子３１を固定ハウジング１１に保持するための部分である。保持部３３は回路接続部３２から上方へ伸長している。端子３１は、図７に示すように、保持部３３が固定ハウジング１１に形成された保持穴１５に挿入されることにより、固定ハウジング１１に保持される。また、保持部３３には、保持部３３を保持穴１５内に止めるための突起３４が設けられている。突起３４が保持穴１５の内面にめり込むことにより、保持部３３が保持穴１５から抜け落ちることが防止される。

接触部３５は相手コネクタ９１の端子９２と接触する部分である。図１２に示すように、接触部３５は上下方向に伸長している。接触部３５は、図７および図８に示すように、可動ハウジング１８の支持穴２３および支持溝２２に挿入され、支持される。また、接触部３５には、図１２に示すように、接触部３５を支持穴２３内に止めるための突起３６が設けられている。突起３６が支持穴２３の内面にめり込むことにより、接触部３５が支持穴２３から抜け出ることが防止される。

ばね部３７は、回路接続部３２に対して接触部３５が移動可能となるように回路接続部３２と接触部３５との間を接続する部分である。ばね部３７は、回路接続部３２の後端と接触部３５の下端との間を接続している。ばね部３７は、その弾性率を小さくし、弾性変形し易くするために、細長い棒状の部材（後述するように、これは複数の端子板４１のばね板部４７が重なり合うことにより形成されている）が複数の箇所で折れ曲がった形状を有している。ばね部３７が弾性変形することにより、接触部３５は回路接続部３２に対して前後方向、上下方向および左右方向に移動することができる。

各端子３１の回路接続部３２ははんだ付け等により基板８５に固定される。また、各端子３１の回路接続部３２は保持部３３を介して固定ハウジング１１に固定され、固定ハウジング１１は固定金具１６を介して基板８５に固定される。一方、各端子３１の接触部３５は可動ハウジング１８の支持穴２３および支持溝２２内に挿入され、可動ハウジング１８に固定される。この結果、可動ハウジング１８は、各端子３１のばね部３７の弾性変形により、固定ハウジング１１および基板８５に対して前後方向、左右方向および上下方向に移動することができる。この構造により、コネクタ１のフローティング機能が実現される。

図１３は、１つの端子３１を構成する複数の端子板４１を示している。図１３に示すように、各端子３１は、複数の端子板４１、例えば５枚の端子板４１を、これら端子板４１の厚さ方向に重ね合わせることにより形成されている。各端子板４１は導電材料、例えば黄銅等の金属により形成されている。また、各端子板４１はそれぞれ独立している。例えば、各端子板４１は金属板を打ち抜くことにより形成されている。

複数の端子板４１はそれぞれ同一の形状を有している。端子板４１を左方または右方から見たときの外形は、端子３１を左方または右方から見たときの外形と同じである。各端子板４１は平板であり、各端子板４１の左面および右面はそれぞれ平らである。

各端子板４１は、端子３１の回路接続部３２を形成する接続板部４２、端子３１の保持部３３を形成する保持板部４３、端子３１の接触部３５を形成する接触板部４５、および端子３１のばね部３７を形成するばね板部４７を有している。複数の端子板４１の接続板部４２がそれらの厚さ方向にそれぞれ重なり合うことで１つの端子３１の回路接続部３２が形成される。また、複数の端子板４１の保持板部４３がそれらの厚さ方向にそれぞれ重なり合うことで１つの端子３１の保持部３３が形成される。また、複数の端子板４１の接触板部４５がそれらの厚さ方向にそれぞれ重なり合うことで１つの端子３１の接触部３５が形成される。また、複数の端子板４１のばね板部４７がそれらの厚さ方向にそれぞれ重なり合うことで１つの端子３１のばね部３７が形成される。

図５および図９を見るとわかる通り、１つの端子３１を構成する複数の端子板４１の保持板部４３はそれぞれ重なり合った状態で１つの保持穴１５にまとめて挿入され、かつ１つの端子３１を構成する複数の端子板４１の接触板部４５はそれぞれ重なり合った状態で１つの支持穴２３にまとめて挿入されている。これにより、１つの端子３１を構成する複数の端子板４１は一体化している。図１２に示すように、１つの端子３１を構成する複数の端子板４１において、互いに隣り合う２枚の端子板４１は互いに面接触している。しかしながら、互いに隣り合う２枚の端子板４１は互いに固着されていない。

本実施形態のコネクタ１の端子３１は次のような機械的性質を有している。図１４は、固定ハウジング１１に対して可動ハウジング１８が左に移動した状態のコネクタ１を下方から見た状態を示している。例えば、図１４に示すように、可動ハウジング１８に外力が作用し、可動ハウジング１８が左方向に押されたとき、各端子３１のばね部３７が弾性変形し、可動ハウジング１８が固定ハウジング１１に対して左方向に移動する。このとき、１つの端子３１を構成する複数の端子板４１において互いに隣り合う２枚の端子板は互いに固着されていないので、これらの端子板４１の一方のばね板部４７が他方のばね板部４７に対してスライド移動する。

ばね板部４７のスライド移動について図１５を用いてさらに説明する。図１５（Ａ）は１つの端子３１を構成する複数の端子板４１のばね板部４７が弾性変形していない状態を模式的に示し、図１５（Ｂ）は１つの端子３１を構成する複数の端子板４１のばね板部４７が弾性変形している状態を模式的に示している。図１５（Ａ）および（Ｂ）からわかる通り、可動ハウジング１８に外力が作用し、これにより可動ハウジング１８の支持穴２３に固定された端子３１の接触部３５に力が加わって当該端子３１を構成する複数の端子板４１のばね板部４７がそれぞれ弾性変形するとき、これら複数の端子板４１において互いに隣り合う２枚の端子板の一方のばね板部４７が他方のばね板部４７に対してスライド移動する。

このように端子３１の接触部３５に力が加わったときに、端子３１を構成する複数の端子板４１のばね板部４７がそれぞれ互いにスライド移動するので、例えば図１３に示すように厚さがａミリメートルの端子板４１を５枚重ね合わせて形成された端子３１（以下、これを「薄板５枚重ね端子」という。）と、厚さが（ａ×５）ミリメートルの１枚の金属板を端子３１と同一の外形に加工した端子（以下、これを「厚板１枚端子」という。）とを比較した場合に、薄板５枚重ね端子のばね部の方が厚板１枚端子のばね部よりも弾性率が小さくなり、弾性変形し易くなる。したがって、薄板５枚重ね端子の接触部と、厚板１枚端子の接触部とに、それぞれ同じ大きさの力を左方向に加えた場合、薄板５枚重ね端子の接触部の方が、厚板１枚端子の接触部よりも左方向に大きく移動する。よって、コネクタ１の各端子３１として薄板５枚重ね端子を採用することで、厚板１枚端子を採用した場合と比較して、可動ハウジング１８の固定ハウジング１１および基板８５に対する移動量を大きくすることができる。

また、本実施形態のコネクタ１の端子３１は次のような電気的性質を有している。図１６は、端子３１の接触部３５に相手コネクタ９１の端子９２が接触し、相手コネクタ９１の端子９２から、コネクタ１の端子３１を通って、基板８５の回路８６へ電源電流が流れる様子を模式的に示している。図１６において、端子３１の回路接続部３２を構成する複数の接続板部４２は、はんだ８７により、基板８５の上面８５Ａに形成された回路８６に接続されている。また、図１６に示すように、相手コネクタ９１の端子９２は、１つの端子３１を構成する複数の端子板４１のうち、最右または最左に配置された端子板４１の接触板部４５において外側を向いた面に接触する。したがって、電源電流は、相手コネクタ９１の端子９２から、コネクタ１の端子３１の最右または最左に配置された端子板４１の接触板部４５に流れ込む。端子３１を構成する複数の端子板４１において、互いに隣り合う２枚の端子板は互いに接触しているので、端子３１の最右または最左に配置された端子板４１の接触板部４５に流れ込んだ電源電流は、当該端子３１を構成する複数の端子板４１をそれぞれ流れて基板８５の回路８６へ供給される。このことから、上記薄板５枚重ね端子は上記厚板１枚端子と同等の電気抵抗を有し、かつ同等の電流容量を有することがわかる。よって、コネクタ１の各端子３１として薄板５枚重ね端子を採用した場合でも、厚板１枚端子を採用した場合と同等の電流容量を確保することができる。

以上説明した通り、本発明の実施形態のコネクタ１の各端子３１は、それぞれ独立した複数の端子板４１が当該複数の端子板４１の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成されている。この構成により、各端子３１の電流容量を大きくしつつ、各端子３１のばね部３７を弾性変形し易くすることができる。そして、各端子３１のばね部３７を弾性変形し易くすることで、可動ハウジング１８の固定ハウジング１１および基板８５に対する少なくとも左右方向における移動量を大きくすることができる。また、各端子３１のばね部３７を弾性変形し易くすることで、可動ハウジング１８の十分な移動量を確保しつつ、各端子３１のばね部３７の長さを短くすることができる。したがって、コネクタ１の良好なフローティング性能を実現しつつ、コネクタ１の外形寸法を小さくすることができる。よって、本発明の実施形態によれば、例えば数アンペアないし十数アンペア、あるいはそれ以上の大きさの電源電流を流すことができ、フローティング性能の高い、小型のフローティングコネクタを実現することができる。

また、本発明の実施形態のコネクタ１の各端子３１を構成する複数の端子板４１において互いに隣り合う２枚の端子板は互いに接触している。したがって、厚さ寸法がａミリメートルのｎ枚の端子板４１が重なり合うことにより形成された端子３１は、厚さ寸法が（ａ×ｎ）ミリメートルの１枚の金属板により形成された、端子３１と同じ外形を有する端子と電気的に見て同視することができる。したがって、各端子３１のばね部３７の弾性率を小さくしつつも、各端子３１の電流容量を大きくすることができる。

また、本発明の実施形態のコネクタ１において、１つの端子３１を構成する複数の端子板４１はそれぞれ同一の形状を有している。この構成により、例えば各端子板４１を打抜き加工により形成するに当たり、共通の型（パンチ）を用いて各端子板４１を容易に形成することができる。したがって、本実施形態によれば、電流容量が大きく、かつ弾性変形し易い端子３１を低いコストで容易に形成することができる。

また、本発明の実施形態のコネクタ１の各端子３１を構成する各端子板４１は、端子３１の回路接続部３２を形成する部分と、端子３１の保持部３３を形成する部分と、端子３１の接触部３５を形成する部分と、端子３１のばね部３７を形成する部分とをそれぞれ有している。この構成により、複数の端子板４１を重ね合わせるだけで、端子３１の回路接続部３２、保持部３３、接触部３５およびばね部３７を容易に形成することができる。

また、本発明の実施形態のコネクタ１において、可動ハウジング１８に形成された支持穴２３または支持溝２２内には、端子３１を構成する複数の端子板４１の接触板部４５がそれぞれ重なり合った状態でまとめて挿入されている。また、固定ハウジング１１に形成された保持穴１５には、端子３１を構成する複数の端子板４１の保持板部４３がそれぞれ重なり合った状態でまとめて挿入されている。これらの構成により、各端子３１を構成する複数の端子板４１をそれぞれが重なり合った状態で可動ハウジング１８および固定ハウジング１１に容易に保持することができる。

なお、上記実施形態では、各端子３１を構成する各端子板４１を平板状に形成したが、図１７（Ａ）に示すように、各端子板４１の接触板部４５を当該接触板部４５の厚さ方向に湾曲させ、図１７（Ｂ）に示すように、各端子板４１の接触板部４５を、直線状に伸長した支持穴２３および支持溝２２に、直線状に弾性変形した状態で挿入する構成としてもよい。

具体的には、可動ハウジング１８の各端子挿入凹部２１の左面に形成された支持溝２２およびこれに対応する支持穴２３に挿入される各端子板４１の接触板部４５を、その下端側部分に対して上端側部分を左方に傾けるように湾曲させる。また、可動ハウジング１８の各端子挿入凹部２１の右面に形成された支持溝２２およびこれに対応する支持穴２３に挿入される各端子板４１の接触板部４５を、その下端側部分に対して上端側部分を右方に傾けるように湾曲させる。一方、各支持溝２２および各支持穴２３は上下方向に直線状に伸長するように形成する。

可動ハウジング１８の各端子挿入凹部２１の左面に形成された支持溝２２およびこれに対応する支持穴２３に、接触板部４５がその下端側部分に対して上端側部分が左方に傾くように湾曲した各端子板４１を挿入すると、最左の端子板４１の接触板部４５の上端側部分が支持溝２２の底面に当たって右方に弾性変形して直線状になる。これと同時に、左から２番目の端子板４１の接触板部４５の上端側部分が最左の端子板４１に押されて右方に弾性変形して直線状になる。同様に、端子３１を構成する残りの複数の端子板４１の接触板部４５の上端側部分も弾性変形して直線状になる。また、可動ハウジング１８の各端子挿入凹部２１の右面に形成された支持溝２２およびこれに対応する支持穴２３に、接触板部４５がその下端側部分に対して上端側部分が右方に傾くように湾曲した各端子板４１を挿入すると、最右の端子板４１の接触板部４５の上端側部分が支持溝２２の底面に当たって左方に弾性変形して直線状になる。これと同時に、右から２番目の端子板４１の接触板部４５の上端側部分が最右の端子板４１に押されて左方に弾性変形して直線状になる。同様に、端子３１を構成する残りの複数の端子板４１の接触板部４５の上端側部分も弾性変形して直線状になる。これにより、１つの端子３１を構成する複数の端子板４１において互いに隣り合う２枚の端子板の接触板部４５の上端側部分が互いに押し合って強く接触する。これにより、これら接触板部４５同士を確実に電気的に接続させることができ、端子３１の電流容量を確実に増大させることができる。

また、図１８に示すように、各端子３１を構成する複数の端子板４１において互いに隣り合う２枚の端子板４１の接触板部４５の互いに対向するそれぞれの面のうち、一方の面に凸部５１を形成し、他方の面に凹部５２を形成し、これらの端子板４１を重ねたときに凸部５１が凹部５２内に挿入されるようにしてもよい。このような構成によっても、端子３１において、互いに隣り合う２枚の端子板４１同士を確実に電気的に接続させることができ、端子３１の電流容量を確実に増大させることができる。

また、本発明のコネクタの端子の形状は、上述した実施形態として取り上げたものに限定されない。例えば、図１９に示すように、端子６１の中央に接触部６２を配置し、端子６１の前後方向両端側にそれぞれ回路接続部６３、６４を配置し、接触部６２と前側の回路接続部６３との間、および接触部６２と後ろ側の回路接続部６４との間をそれぞればね部６５、６６により接続する構成としてもよい。この端子５５は複数の端子板６７を重ね合わせることにより形成する。端子５５によれば、電流容量を一層増大させることができる。

また、図２０（Ａ）に示すように、端子７１の接触部７２に弾性的に変位する接点部７３を形成する構成としもよい。この場合、図２０（Ｂ）に示すように、相手コネクタの端子９７は、接点部７３の前後方向において外側を向いた面に接触する。接点部７３は端子９７により押されて弾性変形し、図２０（Ｂ）中の矢示ｄ方向に変位する。そして、接点部７３はその弾性力により端子９７を矢示ｄ方向と反対の方向に押す。よって、接点部７３は端子９７に確実に接触する。なお、端子７１は上記実施形態の端子３１と同様に回路接続部７４およびばね部７５等を有している。このような接点部７３を有する端子７１も複数の端子板７６を重ね合わせることにより形成する。

また、上記実施形態では、コネクタ１の各端子３１をそれぞれ同一の形状を有する複数の端子板４１により形成する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。１つの端子３１を形成する複数の端子板４１のそれぞれの形状は互いに完全に同一でなくてもよく、部分的に互いに異なっていてもよい。

また、上記実施形態のコネクタ１では、図３に示すように、可動ハウジング１８の大部分が固定ハウジング１１の内側の空間内に収まっているが、可動ハウジング１８の一部が固定ハウジング１１から外側へ大きくはみ出していてもよい。例えば、可動ハウジング１８の上下方向の寸法が、固定ハウジング１１の上下方向の寸法よりも大幅に大きく、可動ハウジング１８が固定ハウジング１１の内側の空間から上方に大きく突出していてもよい。

また、上記実施形態のコネクタ１では、図１２に示すように、各端子３１を構成する端子板４１において、互いに隣り合う２枚の端子板４１が互いに面接触している場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。すなわち、隣り合う２枚の端子板４１の互いに向かい合う面の全面が互いに接触していてもよいし、これらの面間に互いに離間している部分が存在していてもよい。また、隣り合う２枚の端子板４１間に導電性を有する樹脂材等を介在させてもよい。

また、上記実施形態ではコネクタが電源用である場合を例にあげたが、本発明のコネクタは電源用に限定されない。

また、上記実施形態では、コネクタ１の各端子３１に表面実装型の回路接続部３２を設ける場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。各端子に挿入実装型の回路接続部を設けてもよい。

また、本発明のコネクタにおいて、端子の個数は限定されない。また、本発明のコネクタの端子を構成する端子板は２枚以上であればよい。また、本発明のコネクタに用途の異なる複数の端子を設け、各端子を構成する端子板の枚数を用途に応じて異ならせてもよい。例えば、本発明のコネクタに、５枚の端子板から構成される電源端子と、３枚の端子板から構成される信号端子とを設けてもよい。

また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気コネクタもまた本発明の技術思想に含まれる。

１コネクタ（電気コネクタ）
１１固定ハウジング
１８可動ハウジング
２２支持溝
２３支持穴
３１、６１、７１端子
３２、６３、６４、７４回路接続部
３５、６２、７２接触部
３７、６５、６６、７５ばね部
４１、６７、７６端子板
４２接続板部
４５接触板部
４７ばね板部
５１凸部
５２凹部
８５基板
８６回路
９１相手コネクタ
９２端子

Claims

基板上の回路に接続される回路接続部、相手コネクタの端子と接触する接触部、および前記回路接続部に対して前記接触部が移動可能となるように前記回路接続部と前記接触部との間を接続するばね部を有する端子と、
前記基板に固定される固定ハウジングと、
前記固定ハウジングに対して移動可能であり、前記接触部を支持する可動ハウジングとを備え、
前記端子はそれぞれ独立した複数の端子板が当該複数の端子板の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成されていることを特徴とする電気コネクタ。
前記複数の端子板において互いに隣り合う２枚の端子板は互いに接触していることを特徴とする請求項１に記載の電気コネクタ。
前記複数の端子板はそれぞれ同一の形状を有していることを特徴とする請求項１または２に記載の電気コネクタ。
前記各端子板は前記回路接続部を形成する接続板部、前記接触部を形成する接触板部および前記ばね部を形成するばね板部とを有し、前記回路接続部は前記複数の端子板の接続板部が当該複数の端子板の接続板部の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成され、前記接触部は前記複数の端子板の接触板部が当該複数の端子板の接触板部の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成され、前記ばね部は前記複数の端子板のばね板部が当該複数の端子板のばね板部の厚さ方向にそれぞれ重なり合うことにより形成されていることを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の電気コネクタ。
前記可動ハウジングには前記接触部を支持するための支持穴または支持溝が設けられ、前記支持穴または支持溝内には、前記複数の端子板の接触板部がそれぞれ重なり合った状態でまとめて挿入されていることを特徴とする請求項４に記載の電気コネクタ。
前記各端子板の接触板部は当該接触板部の厚さ方向に湾曲し、前記支持穴または支持溝は直線状に伸長し、前記各端子板の接触板部は直線状に弾性変形した状態で前記支持穴または支持溝内に挿入されていることを特徴とする請求項５に記載の電気コネクタ。
前記複数の端子板において互いに隣り合う２枚の端子板の接触板部の互いに対向するそれぞれの面のうち、一方の面には凸部が形成され、他方の面には凹部が形成され、前記凸部が前記凹部内に挿入されていることを特徴とする請求項４または５に記載の電気コネクタ。