以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプラグコネクタとこれに嵌合接続されるレセプタクルコネクタとを有するコネクタ組立体の外観斜視図であり、図1(A)は嵌合接続前、そして図1(B)は嵌合接続後の状態を示している。図2は、図1の両コネクタの内部を示すように断面された斜視図であり、図2(A)は図1(A)に対応する嵌合接続前、図2(B)は図1(B)に対応する嵌合接続後の状態である。図3は、図1(A)を上下反転させたコネクタ組立体の外観斜視図である。図4は、図1の両コネクタからそれぞれのハウジングを省略して示した外観斜視図である。この図4では、両コネクタにおいて、信号端子群と電源端子とその他の各種金具とは、説明の便宜上、実際にコネクタに設けられている状態と比べて、端子配列方向での間隔を大きくした位置で示されている。
本実施形態では、コネクタ組立体回路基板(図示せず)上の実装面に配される回路基板用電気コネクタとしてのプラグコネクタ1と、他の回路基板(図示せず)上の実装面に配される回路基板用電気コネクタとしてのレセプタクルコネクタ2とでコネクタ組立体が構成されている。両コネクタは、回路基板と他の回路基板の実装面同士が互いに平行をなす姿勢のもとで、該実装面に対して直角な方向(上下方向)をコネクタ挿抜方向として挿抜される。具体的には、図1(A),(B)に見られるように、プラグコネクタ1の上方から相手コネクタ(相手接続体)としてのレセプタクルコネクタ2が上方から嵌合接続されるようになっている。本実施形態では、レセプタクルコネクタ2がプラグコネクタ1の相手コネクタであるとしているが、レセプタクルコネクタ2からするとプラグコネクタ1が相手コネクタとなることは言うまでもない。
プラグコネクタ1は、回路基板の実装面に対して平行な一方向を長手方向として延びるプラグハウジング10と、該長手方向を端子配列方向としてプラグハウジング10に配列保持されるプラグ信号端子40およびプラグ電源端子50(以下、両者を区別する必要がないときは単に「プラグ端子40,50」という)と、端子配列方向での端子配列範囲の両外側でプラグハウジング10に保持される保持金具60、当接金具70および固定金具80とを有している。また、プラグハウジング10は、プラグ端子40,50を介して回路基板へ取り付けられる固定ハウジング20と、該固定ハウジング20とは別部材として形成され該固定ハウジング20に対して可動な可動ハウジング30とを有している。
本実施形態では、プラグコネクタ1は回路基板の面に平行な方向をなし上記長手方向に対して直角な短手方向であるコネクタ幅方向で対称に作られている。電気絶縁材料で作られた固定ハウジング20は、コネクタの幅方向で可動ハウジング30の下半部に対して両側で、該可動ハウジング30から離間した位置に、該可動ハウジング30とは別部材として上記長手方向に延びる板状をなし、その板面がコネクタ幅方向に対して直角となるように配されるように形成されている。可動ハウジング30の両側の固定ハウジング20も、それぞれ別部材として形成されている。
固定ハウジング20は、図1(A),(B)に見られるように、端子配列方向で可動ハウジング30を含む範囲にわたって延び該可動ハウジング30の側面に対面する板状の中間部21と、該中間部21の下部の両端から端子配列方向外側へ向けて突出する被連結部22とを有している。中間部21は、図2(A),(B)に見られるように、後述するプラグ端子40,50の一端側に形成された後述の固定側被保持部44,52を一体成形で保持する固定側保持部をなしている。また、二つの固定ハウジング20は、後述する固定金具80によって端子配列方向両端位置で被連結部22同士が連結されている。
図2(A),(B)に見られるように、可動ハウジング30は、固定ハウジング20と同様に電気絶縁材料で作られていて、上半部をなす嵌合部31と下半部をなす支柱部32とを有している(図5(A),(B)をも参照)。
嵌合部31は、図2(A),(B)に上方に開口した有底角筒状をなしていて、側壁31Aと端壁31Bから成る周壁そして底壁31Cにより、レセプタクルコネクタ2を受け入れる凹空間をなす受入部33を形成している。また、該嵌合部31は、端子配列方向に延びる側壁31Aの内側面、上面、外側面と底壁31Cとでプラグ端子40,50を保持しているとともに、受入部33にレセプタクルコネクタ2を受け入れて、該レセプタクルコネクタ2に設けられたレセプタクル端子120,130とプラグ端子40,50とを接触させて電気的に接続するようになっている。
図1(A)に見られるように、端壁31Bには上方に開口し上下方向で該端壁31Bのほぼ全域にわたって延びる端孔部が形成されている。該端孔部31B−1は、保持金具60の後述の保持部62を収容するようになっている(図6(A),(B)をも参照)。また、端壁31Bは、端子配列方向で端孔部31B−1よりも外側位置かつコネクタ幅方向中央位置にて、上下方向での該端壁31Bのほぼ全域にわたって延びる端溝部31B−2が形成されている。該端溝部31B−2は、上方に開口するとともに端子配列方向(端壁31Bの壁厚方向)に貫通しており、この結果、端孔部31B−1と外部とが端溝部31B−2を経て端子配列方向で連通している。
可動ハウジング30の支柱部32は、図2(A)に見られるように、コネクタ幅方向中央位置で、上記嵌合部31の底壁31Cから下方に延び、端子配列方向で受入部33の端子配列方向での全長にわたって延びる縦中央壁部32Aと、該縦中央壁部32Aの端子配列方向の両端で該縦中央壁部32Aと一体に設けられコネクタ幅方向に延びる縦端壁部32Bとを有している。このような可動ハウジング30は、底壁31Cの下方で上記支柱部32の縦中央壁部32Aと縦端壁部32Bとで、コネクタ幅方向で受入部33よりも外側に位置している固定ハウジング20までの範囲に、縦中央壁部32Aから側方にひろがる側方開放空間34を形成している。図1(A)に見られるように、縦端壁部32Bの下部のコネクタ幅方向両端寄り位置には、後述の被規制部32Cの直上で縦端壁部32Bの端面(端子配列方向に対して直角な面)から突出する突出部32B−1が形成されている。該突出部32B−1は、後述の保持金具60の端張出部63の両側に位置しており、その突出頂面は、端子配列方向で端張出部63よりも若干外方に位置している(図7(D)をも参照)。
縦端壁部32Bの下端には、図1(A)に見られるように、コネクタ幅方向での両端寄り位置で端子配列方向外方へ延出する被規制部32Cが設けられている。二つの該被規制部32Cは、二つの固定ハウジング20を連結している固定金具80の後述する連結部82の下方に位置し、該被規制部32Cの上面が該連結部82の下面に近接して対向しており、可動ハウジング30が上方に許容量以上に移動しようとしたときに該被規制部32Cが連結部82に当接してその移動が規制される。
支柱部32は、受入部33を形成する嵌合部31の底壁31Cから下方に向け回路基板の面の近傍まで延びているが、該回路基板に対しては固定されておらず、外力を受けた際には、可動ハウジング30全体がコネクタ幅方向、長手方向さらには上下方向に可動である。
図1(A),(B)に見られるように、プラグコネクタ1では、プラグ端子40,50が二列をなして配列されており、各列において複数(本実施形態では4本)のプラグ信号端子40と、該プラグ信号端子40に隣接する一つの該プラグ電源端子50とが等間隔に配されている。
プラグ信号端子40は、図2(A),(B)、図4、図5(A),(B)に見られるように、全長にわたり帯状をなし後述の突入逆U字状部42を除いて等幅の細い金属平帯状片をその板厚方向に屈曲して作られている。突入逆U字状部42は他部よりも若干幅広である。したがって、板厚方向に対し直角な方向(端子配列方向)での寸法が端子幅となる。プラグコネクタ1を端子配列方向に見たときに、プラグ信号端子40は、下方に位置する一端部に形成された信号用接続部41と、上方に位置する他端部に形成された突入逆U字状部42との間に略横S字状の信号用弾性部43とを有している。該プラグ信号端子40は、コネクタ幅方向で対称をなすように対をなして設けられていて、この対が端子配列方向に複数配列されている。
信号用接続部41は、回路基板の上面に位置するようにコネクタ幅方向外方に延びている。また、プラグ信号端子40は、該信号用接続部41に隣接する部分で屈曲して上方へ向けて延びる固定側被保持部44を有している。該固定側被保持部44は、固定ハウジング20に埋設されており、該固定ハウジング20との一体成形により保持されている。すなわち、固定ハウジング20が固定側被保持部44に対し固定側保持部を形成している。上記信号用接続部41は固定ハウジング20の底面より下方に位置し該底面に沿ってコネクタ幅方向外方に延びている。
一方、突入逆U字状部42は、固定側被保持部44よりも上方に位置し、可動ハウジング30の側壁31Aの内側面、上面、外側面に沿って逆U字状に延びて該内側面、上面、外側面に接面している。図5(A)に見られるように、該突入逆U字状部42の上下方向に延びる二つの腕部、すなわち、上記内側面に沿って延びる内側腕部および上記外側面に沿って延びる外側腕部は、側壁31Aから露呈する板面でレセプタクルコネクタ2のレセプタクル信号端子120と接触する信号用内側接触部42Aそして信号用外側接触部42Bとして形成されている。また、図4(A),(B)に見られるように、信号用内側接触部42Aの下端部42A−1および信号用外側接触部42Bの下端部(自由端部)42B−1は、可動ハウジング30の底壁31C内に埋設されている。このように、突入逆U字状部42は、側壁31Aおよび底壁31Cで一体成形により保持されており、該突入逆U字状部42全体が可動側被保持部をなしている。
また、信号用内側接触部42Aそして信号用外側接触部42Bとの上端同士を連結する上端曲部42Cは、上方へ向けて凸湾曲しており、該上端曲部42Cの上面、特にコネクタ幅方向内側となる内側上面は、上記側壁31Aの上面とほぼ同一レベル面を形成し、レセプタクルコネクタ2の案内導入面をなしている。
本実施形態では、突入逆U字状部42は側壁31Aの内側面、上面、外側面に沿って延び該内側面、上面、外側面に接面して位置しているので、コネクタ嵌合状態にて、信号用内側接触部42Aそして信号用外側接触部42Bがレセプタクルコネクタ2のレセプタクル信号端子120との接触の際の接圧に十分耐えることができる。
図5(A)に見られるように、信号用弾性部43は、固定ハウジング20の上端位置にて該固定側被保持部44からコネクタ幅方向内方へ向けて直状に延びる横弾性部43Aと、横弾性部43Aよりもコネクタ幅方向内方、すなわち可動ハウジング30側に位置し該横弾性部43Aと信号用内側接触部42Aとを連結する略U字状の弯曲弾性部43Bとを有しており、全体として略横S字状をなしている。弯曲弾性部43Bは、信号用内側接触部42Aの下端部42A−1から直状に下方へ向けて延びる内直状部43B−1と、横弾性部43Aのコネクタ幅方向での内端で屈曲されて斜め下方へ延びる外直状部43B−2と、下方へ凸弯曲し内直状部43B−1と外直状部43B−2の下端同士を連結する下端曲部43B−3とを有している。
横弾性部43Aは、上下方向に弾性変位可能であり、可動ハウジング30の上下方向動に対して弾性撓みを生じるようになっている。したがって、可動ハウジング30がその受入部33でレセプタクルコネクタ2と嵌合して、可動ハウジング30が固定ハウジング20に対して、上下方向で正規位置に対してずれを生じて位置すると、上記横弾性部43A上下方向での弾性変位により上記ずれが吸収され、いわゆるフローティングがなされる。また、本実施形態では、横弾性部43Aが上下方向で固定ハウジング20の上端と同位置にあり、固定ハウジング20から上方に突出していないので、外部から指などが該横弾性部43Aに触れる虞れをきわめて低くすることができる。
本実施形態では、横弾性部43Aは、回路基板の実装面に対して平行に延びることとしたが、該実装面に平行であることは必須ではなく、該実装面に対して傾斜して延びていてもよい。すなわち、横弾性部43Aは、回路基板の実装面に対して平行な成分をもって延びていればよい。また、本実施形態では、横弾性部43Aは、その全長にわたり実装面に対して平行であることとしたが、これに代えて、例えば、横弾性部の長手方向中間部が屈曲されていて、該長手方向での一部のみが実装面に対して平行をなすとともに、他部が実装面に対して傾斜していてもよい。また、本実施形態では、横弾性部43Aは、固定ハウジング20の上端と同位置にあることとしたが、これに代えて、例えば固定ハウジング20の上端よりも若干下方の位置、すなわち上端寄り位置(上部位置)に設けられていてもよい。
図5(A),(B)からも判るように、上記弯曲弾性部43Bは、可動ハウジング30の上記側方開放空間34内にほぼ収まっている。該弯曲弾性部43Bの内直状部43B−1は、可動ハウジング30の支柱部32の一部をなす縦中央壁部32Aに沿って延びているが、該縦中央壁部32Aに対してコネクタ幅方向で離間している。かくして、弯曲弾性部43Bは、プラグ信号端子40が外力を受けたときに、上記側方開放空間34内でコネクタ幅方向に弾性変位(弾性変形)が可能となっている。したがって、可動ハウジング30がその受入部33でレセプタクルコネクタ2と嵌合したとき、可動ハウジング30が固定ハウジング20に対して、例えばコネクタ幅方向で正規位置に対してずれを生じて位置すると、弯曲弾性部43Bの弾性変位により上記ずれが吸収され、いわゆるフローティングがなされる。上記可動ハウジング30のずれが、例えば、図5(A),(B)において右方向である場合、右側のプラグ信号端子40の弯曲弾性部43Bが左右方向で圧縮されるように、そして左側のプラグ信号端子40の弯曲弾性部43Bが同方向で拡大されるようにそれぞれ弾性変位を生ずる。
本実施形態では、プラグ信号端子40の横弾性部43Aが固定側被保持部44(固定ハウジング20の上端位置)から回路基板の面に対して平行をなしてコネクタ幅方向内方に延びている。つまり、横弾性部43Aはコネクタ幅方向で可動ハウジング30から離れて位置している。したがって、横弾性部43Aは、可動ハウジング30の上下方向動に対して大きく弾性撓みを生ずる。この結果、上下方向での吸収可能なずれ量が大きくなる。
また、弯曲弾性部43Bは、コネクタ幅方向にて横弾性部43Aに対し可動ハウジング30側に位置しているが、回路基板の面に対して平行な方向(コネクタ幅方向および端子配列方向)での該弯曲弾性部43Bの弾性撓み量は、該弯曲弾性部43Bの上下方向寸法で決まるのであり、コネクタ幅方向位置によっては変わらない。したがって、弯曲弾性部43Bによる回路基板の面に対して平行な方向での吸収可能なずれ量は、弯曲弾性部43Bの位置に影響されることなく確保される。
また、本実施形態では、弯曲弾性部43Bは、突入逆U字状部42よりも下方に位置しているので、弯曲弾性部の撓み腕長(上下方向での寸法)を長く設定できるので、回路基板の面に対して平行な方向での弯曲弾性部43Bの弾性変形量をより大きくすることができる。
プラグ電源端子50は、図5(A),(B)によく見られるように、全長にわたり帯状をなしほぼ等幅の金属平帯状片をその板厚方向に屈曲して作られている。該プラグ電源端子50は、端子配列方向から見たときに、プラグ信号端子40と同一形状をなし同一位置に配置されている。図4に見られるように、該プラグ電源端子50は、プラグ信号端子40よりも端子配列方向での寸法(幅寸法)が大きく形成されている点、そして、後述する電源用弾性部53が複数の細弾性部に分割形成されている点で、プラグ信号端子40と構成が相違しており、その他の点ではプラグ信号端子40と構成が同一である。本実施形態では、プラグ電源端子50についてはプラグ信号端子40との相違点を中心に説明し、該プラグ信号端子40と共通する部分についてはプラグ信号端子40の各部の符号に「10」を加えた符号を付して、説明を省略する。
プラグ電源端子50は、電源用接続部51と突入逆U字状部52との間に両者を連結する電源用弾性部53を有している。該電源用弾性部53、換言すると、横弾性部53Aおよび弯曲弾性部53Bは、端子配列方向での複数位置に形成されたスリットにより複数(本発明では4本)の細弾性部54に分割形成されている。複数の細弾性部54の配列ピッチ寸法は、全て等しく、複数のプラグ信号端子40の配列ピッチ寸法よりも小さくなっている。また、複数の細弾性部54の配列ピッチ寸法は、レセプタクルコネクタ2に設けられた後述のレセプタクル電源端子130の配列ピッチ寸法よりも小さくなっている。プラグ電源端子50において分割形成されているのは電源用弾性部53であり、換言すると、プラグ電源端子50は電源用弾性部53の細弾性部54以外の部位が端子配列方向でつながっていて一部材をなしている。
本実施形態では、複数の細弾性部54の配列ピッチ寸法が全て等しいこととしたが、これに代えて、配列ピッチ寸法が一部または全ての複数の細弾性部54について異なっていてもよい。また、本実施形態では、隣接する細弾性部54同士はその長手方向全域にわたって互いに分離していることとしたが、これに代えて、該長手方向での一部で連結していてもよい。
本実施形態では、電源用弾性部53における複数の細弾性部54同士間の間隙が、複数のプラグ信号端子の信号用弾性部43同士の間隔と比べて狭くなり、その分、細弾性部54の数を増加させたり、各細弾性部54の断面積を大きくしたりすることができる。この結果、電源用弾性部53の断面積、すなわち、複数の細弾性部54の総断面積が増大することとなり、増大した分、さらに大電流を流すことができる。しかも、細弾性部54の配列ピッチ寸法を小さくする結果、各細弾性部54自体の幅を小さくすることもでき、電源用弾性部53において、信号用弾性部43と同等以上の弾性を確保できる。
また、本実施形態では、突入逆U字状部52は端子配列方向で分割されておらず、突入逆U字状部52の電源用内側接触部52Aおよび電源用外側接触部52Bは、端子配列方向で連続する一つの接触面を有しているので、プラグ信号端子40の配列ピッチ寸法とは係りなく、細弾性部54の数を増加させたり、各細弾性部54の断面積を大きくしたりして、大電流を流すことができる。また、細弾性部54の数に係りなく、相手端子としての後述のレセプタクル電源端子130の数を選定することができ、さらには、レセプタクル電源端子130の数に係りなく、弾性を大きく確保できる。
また、プラグ電源端子50は全長にわたりほぼ等幅となっているので、プラグ電源端子50の幅寸法(端子配列方向での寸法)を局部的に大きくすることがなく、全体として幅寸法を抑えてその幅を有効に活用でき、さらには電源用弾性部53の弾性を確保することができる。
さらに、プラグ電源端子50は端子配列方向から見たときに、上記信号端子と同一形状をなしているので、プラグコネクタ1の製造に際し、プラグ信号端子40およびプラグ電源端子50の曲げ加工のための金具を共通化できる。また、プラグ電源端子50は端子配列方向から見たときに、上記信号端子と同一位置に配置されているので、信号用弾性部43と電源用弾性部53とが、端子配列方向に見て同一面上に位置するようになり、その結果、プラグコネクタ1全体として、プラグ信号端子40とプラグ電源端子50におけるフローティングのための弾性撓み変形が生じやすくなる。
保持金具60は、図4および図6(A),(B)に見られるように、金属板部材を板厚方向に屈曲して形成されており、上下方向に直状に延び可動ハウジング30に固定取付けされる取付部61と、該取付部61の上端に連結されレセプタクルコネクタ2の後述する被保持金具140の被保持板部142Aを挟圧保持する略U字状の保持部62と、該取付部61の下端で端子配列方向外方へ屈曲され可動ハウジング30から張り出した端張出部63とを有している。該保持金具60は、可動ハウジング30と一体成形されることにより保持されており、該可動ハウジング30を補強する補強金具としても機能している。
取付部61は、図6(A),(B)に見られるように、可動ハウジング30の縦端壁部32B内を上下方向に延びて埋設されており、該縦端壁部32Bとの一体成形によりに該縦端壁部32Bに固定取付けされている。図4に見られるように、取付部61の上端は端子配列方向内方へ向けて屈曲されており、保持部62の下部に連結されている。つまり、該保持部62は、取付部61よりも端子配列方向で内側に位置している。
保持部62は、コネクタ幅方向で板面が対向し上方へ向けて延び該コネクタ幅方向に弾性変位可能な一対の弾性挟圧片62Aを有している。図6(A),(B)に見られるように、該一対の弾性挟圧片62Aは、該弾性挟圧片62の上端寄り位置に、レセプタクルコネクタ2の被保持板部142Aをコネクタ幅方向(該被保持板部142Aの板厚方向)で挟圧して保持するための挟圧部62A−1有している。具体的には、一対の弾性挟圧片62Aは、上方へ向かうにつれて互いに近づくようにコネクタ幅方向内方へ傾斜しており、弾性該挟圧片62の上端寄り位置でコネクタ幅方向内方へ突出する上記挟圧部62A−1(図6(A),(B)参照)を形成し、さらに上方へ向かうにつれて互いに離れるようにコネクタ幅方向外方へ傾斜している。該一対の弾性挟圧片62Aは、図6(B)に見られるように、コネクタ嵌合状態にて、レセプタクルコネクタ2の被保持板部142Aを挟圧保持することにより、プラグ端子40,50とレセプタクルコネクタ2に設けられたレセプタクル端子120,130との接触位置を維持するようになっている。
端張出部63は、図1(A),(B)に見られるように、可動ハウジング30の縦端壁部32Bの下部の端面(端子配列方向に対して直角な面)から張り出しており、コネクタ幅方向で可動ハウジング30の二つの被規制部32C同士間に形成された空間に位置している(図7(D)をも参照)。
当接金具70は、図4に見られるように、保持金具60よりも下方かつ端子配列方向外方に位置しており、コネクタ幅方向で保持金具60の両側に一つずつ設けられている。該当接金具70は、帯状の金属板部材を板厚方向でクランク状に屈曲して形成されており、端子配列方向に見て逆L字状をなし可動ハウジング30の被規制部32Cに埋設され保持されている埋設部71と、該埋設部71の下端で屈曲されコネクタ幅方向外方へ延びる当接部72と、埋設部71の上側の端部(コネクタ幅方向内方へ向いた端部)に連続してコネクタ幅方向内方へ延びる側方張出部73とを有している。当接金具70は、このように可動ハウジング30の被規制部32Cに保持されることにより、該可動ハウジング30を補強する補強金具としても機能している。
当接部72は、図3に見られるように、該当接部72の下部(図3での上部)が被規制部32Cの底面(図3での上面)から若干突出して露呈している。該被規制部32Cの底面から露呈している当接部72の下面(図3での上面)は、可動ハウジング30が回路基板へ向け下方(図3での上方)へ移動した際に回路基板の面に当接可能な当接面72Aをなしている。側方張出部73は、保持金具60の端張出部63よりも下方位置で被規制部32Cの上部のコネクタ幅方向での内側面から張り出しており、コネクタ幅方向で可動ハウジング30の二つの被規制部32C同士間に形成された空間に位置している(図7(D)をも参照)。
本実施形態では、可動ハウジング30の底面に当接金具70の当接部72の当接面72Aが露呈して位置しているので、可動ハウジング30に強い力でレセプタクルコネクタ2が押し込まれたときには、可動ハウジング30ではなく当接金具70の当接面72Aが回路基板に当接することとなる。したがって、可動ハウジング30自体が回路基板に当接することはなく、この結果、該可動ハウジング30の損傷が防止される。また、本実施形態では、上記当接部72の当接面72Aは、金属板部材の板面(圧延面)であるので、可動ハウジング30が回路基板に対して平行な方向に移動して同方向でのずれを吸収する際、当接部72は当接面72Aで円滑に回路基板の面と摺接することができる。
固定金具80は、図1(A)および図4に見られるように、端子配列方向で保持金具60および当接金具70と重複する範囲をもって位置している。該固定金具80は、金属板部材を板厚方向に屈曲して形成されており、端子配列方向に見て逆L字状をなすように屈曲され、固定ハウジング20に埋設保持された埋設部81と、該固定ハウジング20から露呈してコネクタ幅方向に延び埋設部81同士を連結する露呈部としての連結部82と、各埋設部81の下端で屈曲されコネクタ幅方向外方へ向けて延びる固定部83とを有している。固定金具80は、このように固定ハウジング20の被連結部22に保持されることにより、該固定ハウジング20を補強する補強金具としても機能している。
図4に見られるように、埋設部81は、コネクタ幅方向に対して直角な板面をもつ縦板部81Aと、該縦板部81Aの上縁で屈曲されコネクタ幅方向内方へ延びる横板部81Bとを有している。縦板部81Aは、その全体が固定ハウジング20の被連結部22内に埋設されている。横板部81Bは、図1(A)に見られるように、その上面が被連結部22の上面とほぼ同じ高さに位置しており、端子配列方向での内側の部分(内半部)が固定ハウジング20の中間部21内に埋設されている一方で、端子配列方向での外側の部分(外半部)は、その上面が被連結部22の上面から露呈するようにして該被連結部22に埋設されている。
また、図1(A)に見られるように、連結部82は、上下方向に対して直角な板面を有しており、埋設部81の横板部81Bの上記外半部同士を連結している。該連結部82の上面は、被連結部22の上面とほぼ同じ高さに位置している。また、該連結部82は、保持金具60の端張出部63と同じ高さに位置している。固定部83は、固定ハウジング20の底面よりも下方でプラグ端子40,50の接続部41,51と同じ高さに位置しており、回路基板の対応部に半田接続により固定されるようになっている。
このような構成の固定金具80は、二つの固定ハウジング20同士を連結しているとともに、固定部83で回路基板に半田接続されることによりこれらの固定ハウジング20を該回路基板に固定するようになっている。
次に、図7(A)〜(D)に基づいてプラグコネクタ1の製造工程について説明する。まず、金型内(図示せず)で、キャリア付のプラグ信号端子素材P1(図7(A)参照)とキャリア付のプラグ電源端子素材P2(図7(A)参照)とを端子配列方向に配列するとともに、保持金具60、当接金具70および固定金具80とが一体をなすキャリア付の補強金具素材P3(図7(A),(B)参照)を、端子配列方向でプラグ端子素材P1,P2の外側に配置する。ここでは、必要に応じてプラグ信号端子素材P1およびプラグ電源端子素材P2を「プラグ端子素材P1,P2」と総称する。
図7(A)に見られるように、プラグ端子素材P1,P2では、キャリアは接続部41,51に連結されている。図7(A),(B)に見られるように、補強金具素材P3では、キャリアは、固定金具80の連結部82の外側縁(コネクタ幅方向に延びる二つの側縁のうち端子配列方向で外側に位置する側縁)に連結されている。また、図7(C)に見られるように、補強金具素材P3では、保持金具60の端張出部63と、当接金具70の側方張出部73と、固定金具80の連結部82の内側縁とが、連結部分P3Aにより連結されており、保持金具60、当接金具70および固定金具80が一体をなしている。また、連結部分P3Aは、上下方向で端張出部63および連結部82と同位置、かつ、側方張出部73より上方に位置している。該連結部分P3Aは、図7(C)に見られるように、コネクタ幅方向での両側に延びる側腕部P3Bを有しており、該側腕部P3Bで側方張出部73に連結されている。該側腕部P3Bには上下方向で段差をもつ段部が形成されており、これによって、互いに高さの異なる端張出部63および連結部82と側方張出部73とを連結可能となっている。
次に、金型内にプラグ端子素材P1,P2および補強金具素材P3を配置した状態で、金型内に溶融した電気絶縁材料(樹脂等)を注入し固化させて、固定ハウジング20および可動ハウジング30を成形する。この結果、図7(A)に見られるように、プラグ端子素材P1,P2および補強金具素材P3が可動ハウジング30と一体成形されるとともに、該補強金具素材P3が固定ハウジング20とも一体成形される。このように、プラグ端子素材P1,P2および補強金具素材P3を可動ハウジング30および固定ハウジング20と一体成形することにより、可動ハウジング30と固定ハウジング20との相対位置の精度を良好とすることができる。また、本実施形態では、固定ハウジング20と可動ハウジング30とが同時に成形されることとしたが、これに代えて、異なるタイミングで成形されてもよい。
次に、プラグ端子素材P1,P2のそれぞれからキャリアが切断除去されてプラグ端子40,50が形成される。また、補強金具素材P3からキャリアおよび連結部分P3Aが切断除去されて保持金具60、当接金具70および固定金具80が形成される。連結部分P3Aの切断除去の際には、図7(C)にて一点鎖線で示されるように、該連結部分P3Aは保持金具60から切り代をもって切断され、その切り代の部分が端張出部63として形成される。また、該連結部分P3Aは側腕部P3Bが当接金具70から切り代をもって切断され、その切り代の部分が側方張出部73として形成される。その結果、図7(D)に見られるように、端張出部63と側方張出部73とは非接触で近接し合うように位置することとなる。
また、本実施形態では、当接金具70の二つの側方張出部73は固定金具80の連結部82よりも下方に位置することとなるので、可動ハウジング30が回路基板に対して平行な方向で移動しても、該二つの側方張出部73が連結部82に当接することがないので、該側方張出部73および連結部82の損傷を確実に防止できる。
また、本実施形態では、保持金具60の端張出部63と固定金具80の連結部82とは同じ高さに位置している。しかし、図1(A)に見られるように、コネクタ幅方向での端張出部63の両側には、可動ハウジング30の縦端壁部32Bの端面(端子配列方向に対して直角な面)から端子配列方向で端張出部63よりも若干外方まで突出する突出部32B−1が設けられている。したがって、仮に可動ハウジング30が連結部82へ向けて大きく移動したとしても、該連結部82には上記突出部32B−1が当接することとなり、端張出部63が連結部82に当接することはない。この結果、端張出部63および連結部82の損傷を確実に防止できる。
このように、プラグ端子素材P1,P2からキャリアが切断除去され、補強金具素材P3からキャリアおよび連結部分P3Aが切断除去されることにより、プラグコネクタ1が完成する。
本実施形態では、一つの金属製の補強金具素材P3を固定ハウジング20および可動ハウジング30で保持した状態での上記連結部分P3Aを切断除去することにより、保持金具60、当接金具70および固定金具80が同時に形成されるので、保持金具60、当接金具70および固定金具80同士の相対位置の精度が良好となる。また、補強金具素材P3は金属製であるので、例えばガラス繊維含有の樹脂製の素材を切断する場合に比べて、切断面が良好な平滑面をなし切断粉は殆ど生じず、切断粉の後処理が容易となる。また、切断用刃物(図示せず)が損傷することがなく、さらに、補強金具素材P3の切断面が平滑面となるので可動側補強金具および固定化側補強金具の寸法精度も良好となる。
次に、レセプタクルコネクタ2の構成について説明する。レセプタクルコネクタ2は、図1ないし図3に見られるように、他の回路基板(図示せず)の実装面に対して平行な一方向を長手方向(プラグコネクタ1の長手方向と同じ方向)として延びるレセプタクルハウジング90と、該長手方向を端子配列方向としてレセプタクルハウジング90に配列保持されるレセプタクル信号端子120およびレセプタクル電源端子130(以下、両者を区別する必要がないときは単に「レセプタクル端子120,130」という)と、端子配列方向での端子配列範囲の両外側でレセプタクルハウジング90に保持される被保持金具140および固定金具150とを有している。
レセプタクルハウジング90は、レセプタクル端子120,130の後述の受入逆U字状部121,131を収容しプラグコネクタ1を受け入れる受入側ハウジング100と、上記受入逆U字状部121,131に対して後述の接続部124,134寄りの部分でレセプタクル端子120,130を保持し上記他の回路基板に取り付けられる基板側ハウジング110とに分割形成されており、受入側ハウジング100と基板側ハウジング110とが一体に成形されている。
受入側ハウジング100は、他の回路基板の面に平行な方向をなし上記長手方向に対して直角な短手方向であるコネクタ幅方向で対称に作られている。図3に見られるように、受入側ハウジング100は、全体として直方体外形をなし、側壁101と端壁102から成る周壁と、底壁103(図1(A)参照)と、中央壁104とを有している。
中央壁104は、図3に見られるように、周壁内の空間でコネクタ幅方向の中央位置を端子配列方向に延びている。該中央壁104と周壁との間の四角環状空間は、プラグコネクタ1の可動ハウジング30の嵌合部31の進入を許容する嵌合凹部105を形成している。図1および図2では、レセプタクルコネクタ2がプラグコネクタ1の上方位置に配されて該プラグコネクタ1への嵌合直前の状態で示されている関係上、底壁103は上部に位置し嵌合凹部105は下向きに開口している。
図6(A)に見られるように、受入側ハウジング100には、レセプタクル端子120,130を収容する端子収容部106が形成されている。該端子収容部106は、略逆U字状をなし、側壁101に形成された外溝部106A、中央壁104に形成された内溝部106B、外溝部106Aと内溝部106Bとを連通するように底壁103に形成された底溝部106Cとを有している。
また、受入側ハウジング100の底壁103には、図8(B)に見られるように、該底壁103の底面から四角枠状に没した底凹部103Aが形成されている。該底凹部103Aは、コネクタ幅方向での両側縁寄り位置(側壁101の外側面に寄った位置)にて端子配列方向での端子配列範囲にわたって延びる側方凹部103A−1と、コネクタ幅方向で該側方凹部103A−1の両端同士間にわたって延びる端凹部103A−2とを有している。該側方凹部103A−1は、側壁101に形成された外溝部106Aと連通している。
基板側ハウジング110は、図1(A)に見られるように、受入側ハウジング100の底凹部103A(図8(B)参照)の形状に適合した四角枠状をなしており、端子配列方向に延びる二つの側壁111と、コネクタ幅方向に延び該二つの側壁111の端部同士を連結する端壁112とを有している。該基板側ハウジング110は、側壁111が底凹部103Aの側方凹部103A−1内に、そして、端壁112が底凹部103Aの端凹部103A−2内に収容されることにより、底凹部103Aに該基板側ハウジング110全体が収容されるようになっている。後述するように、該基板側ハウジング110は、受入側ハウジング100と一体成形されることにより、レセプタクル端子120,130とも一体成形され、側壁111でレセプタクル端子120,130の後述する被保持腕部123,133を保持するようになっている。
本実施形態では、レセプタクルハウジング90が受入側ハウジング100および基板側ハウジング110に分割形成されているので、レセプタクルハウジング90全体の高さ寸法の設定が変更されたときには、上記基板側ハウジング110の高さ寸法を変更することにより対処することが可能である。例えば、本実施形態では、基板側ハウジング110は、該基板側ハウジング110の全体が受入側ハウジング100の底凹部103Aに収容される程度の高さ寸法であることとしたが、レセプタクルハウジング90の高さ寸法を大きくしたい場合には、受入側ハウジング100は変更することなく、基板側ハウジング110を高さ寸法の大きい他種の基板側ハウジングを用意して、受入側ハウジング100と一体となるように成形することで容易に対処できる。
また、受入側ハウジング100および基板側ハウジング110のうち、受入側ハウジング100は、レセプタクル端子120,130の接触部を収容するので、構造が複雑で要求寸法精度が高い。一方、レセプタクル端子120,130をその一部で保持するだけでよい基板側ハウジング110は、簡単な構造で高い寸法精度を要求されない。したがって、上述したように、受入側ハウジング100を変更せずに、基板側ハウジング110のみを、高さ寸法の異なる他の基板側ハウジングに変更することにより、製造コストの増大も抑制できる。
レセプタクル信号端子120およびレセプタクル電源端子130は、互いに同形状で作られており、端子配列方向でプラグ信号端子40の配列ピッチ寸法に合わせて等間隔に配列されている。本実施形態では、レセプタクル信号端子120は4本、そしてレセプタクル電源端子130は3本設けられている。
レセプタクル信号端子120は、図4に見られるように、全長にわたり帯状をなし細い金属平帯状片をその板厚方向に屈曲して作られている。レセプタクル信号端子120は、図5(A),(B)に見られるように、受入側ハウジング100の端子収容部106内に収容される逆U字状の受入逆U字状部121と、該受入逆U字状部121の上下方向に延びる二つの腕部のうちの後述の信号用外側腕部121Cの下端に連続し上方へ折り返すように屈曲された移行部122と、信号用外側腕部121Cよりもコネクタ幅方向での外側に位置し移行部122を経て上方へ向けて直状に延びてからクランク状に延びる被保持腕部123と、該被保持腕部123の上端で屈曲されてコネクタ幅方向外方へ延びる信号用接続部124とを有している。
受入逆U字状部121は、底溝部106C内でコネクタ幅方向に延びる基部121Aと、該基部121Aのコネクタ幅方向での内側の端部から内溝部106B内を下方へ向けて延びる信号用内側腕部121Bと、該基部121Aのコネクタ幅方向での外側の端部から外溝部106A内を下方へ向けて延び上記移行部122に連結される信号用外側腕部121Cとを有している。信号用内側腕部121Bおよび信号用外側腕部121Cは、それぞれの板厚方向(コネクタ幅方向)で弾性変位可能となっている。
信号用内側腕部121Bは、その下端寄り位置でコネクタ幅方向外方へ向けて凸弯曲した信号用内側接触部121B−1を有している。信号用外側腕部121Cは、その下端寄り位置(上下方向で信号用内側接触部121B−1とほぼ同位置)でコネクタ幅方向内方へ向けて凸弯曲した信号用外側接触部121C−1を有している。信号用内側接触部121B−1および信号用外側接触部121C−1は、それぞれ弯曲頂部が内溝部106Bおよび外溝部106Aから突出して、嵌合凹部105内に位置している。図5(B)に見られるように、コネクタ嵌合状態にて受入逆U字状部121がプラグコネクタ1の突入逆U字状部42を下方から受け入れると、該信号用内側接触部121B−1は突入逆U字状部42の信号用内側接触部42Aと、そして、該信号用外側接触部121C−1は突入逆U字状部42の信号用外側接触部42Bと、接圧をもって弾性接触し、電気的に導通するようになっている。
被保持腕部123は、図5(A),(B)に見られるように、信号用外側腕部121Cとの間にコネクタ幅方向で隙間をもって位置し、該信号用外側腕部121Cとともに外溝部106A内に収容されている。該被保持腕部123は、上半部がクランク状のクランク部123Aとして形成されており、該クランク部123Aでレセプタクルハウジング90に一体成形により保持されるようになっている。また、該被保持腕部123は、上下方向に延びる下半部(クランク部123Aを除いた部分)がその板厚方向(コネクタ幅方向)で弾性変位可能となっている(図5(B)参照)。
信号用接続部124は、図1、図2、図5に見られるように、受入側ハウジング100の底面(図1、図2、図5では上面)に沿って延びており、他の回路基板の信号回路部(図示せず)に半田接続されるようになっている。
レセプタクル電源端子130は、既述したようにレセプタクル信号端子120と同形状で作られているので、その構成については、レセプタクル信号端子120での各部の符号に「10」を加えて説明を省略する。このとき、各部の名称について、「信号用」を「電源用」に読み替えるものとする。
本実施形態では、レセプタクルコネクタ2に設けられている三本のレセプタクル電源端子130はプラグコネクタ1の一つのプラグ電源端子50に対応して位置しており(図4参照)、これら三本のレセプタクル電源端子130の電源用接触部131B−1、131C−1は、該一つのプラグ電源端子50の電源用接触部52A、52Bと接触するようになっている。
被保持金具140は、図1(A)に見られるように、レセプタクルコネクタ2の端子配列方向両端部に一体成形により一つずつ保持されており、一方の端部に位置する被保持金具140と他方の端部に位置する被保持金具140は、図4に見られるように、レセプタクルコネクタ2のコネクタ幅方向での中心位置から互いに反対側にずれて設けられている。また、これら二つの被保持金具140は、上下方向に見たとき、レセプタクルコネクタ2の中心に対して互いに点対称となる形状をなすように、金属板部材をその板厚方向に屈曲して作られている。
被保持金具140は、図4に見られるように、受入側ハウジング100の端壁102内で端子配列方向に対して直角な板面をもち該端壁102および底壁103に埋設された板状の取付部141と、板面がコネクタ幅方向に対して直角をなす姿勢で該コネクタ幅方向での受入側ハウジング100の中央に位置する板状の被保持部142と、取付部141の上縁(図3では下縁)から端子配列方向外方へクランク状に延びる固定部143とを有している。被保持金具140は、受入側ハウジング100に保持されることにより、該受入側ハウジング100を補強する補強金具としても機能している。
被保持部142は、図6(A),(B)に見られるように上端部が底壁103に埋設されており、また、上下方向に延びる二つの側縁部のうち端子配列方向外側に位置する外側縁部が側壁101に埋設されている(図3参照)。また、上記上端部および上記外側縁部を除く部分は、図6(A),(B)に見られるように、底壁103から起立して嵌合凹部105の端子配列方向での両端側の空間内に位置している。この嵌合凹部105内に位置する部分は、コネクタ嵌合状態にて、プラグコネクタ1に設けられた保持金具60の一対の弾性挟圧片62Aによって挟圧されて保持される被保持板部142Aをなしている(図6(B)参照)。
図3に見られるように、固定部143は、コネクタ幅方向での外側寄り位置で端壁102の下部から端子配列方向外方へ延出するとともに下方そして端子配列方向外方へ屈曲されてクランク状に延びている。該固定部143の端子配列方向外方へ延びる先端部はレセプタクル端子120,130の接続部124,134と同じ高さに位置しており、他の回路基板の対応部へ半田接続されて固定されるようになっている。
固定金具150は、図4に見られるように、既述した被保持金具140から、取付部141のうちコネクタ幅方向内側の部分および被保持部142を省略したような形状をなしており、帯状の金属板部材を板厚方向に屈曲して作られている。該固定金具150は、図3に見られるように、コネクタ幅方向における被保持金具140の固定部143とは反対側の外側寄り位置にて端壁102に一体成形されて設けられている。該固定金具150は、図4に見られるように、上下方向に延び端壁102に埋設された取付部151と、該取付部151の上端(図3での下端)から端子配列方向外方へクランク状に延びる固定部152とを有している。該固定部152は、被保持金具140の固定部143と同じ形状をなすとともに該固定部143と同じ高さに位置しており、他の回路基板の対応部へ半田接続されて固定されるようになっている。固定金具150は、受入側ハウジング100の端壁102に保持されることにより、該受入側ハウジング100を補強する補強金具としても機能している。
次に、図8ないし図10に基づいて、レセプタクルコネクタ2の製造工程について説明する。まず、金型内(図示せず)にキャリア付の補強金具素材P4を配置する。該補強金具素材P4では、被保持金具140とは帯状片P4Aを介して、そして固定金具150とは帯状片P4Bを介して、一括して一つのキャリアが連結されている。補強金具素材P4が金型内に配された時点において、帯状片P4A,P4Bは端子配列方向に延びる直状をなしており、被保持金具140の固定部143および固定金具の固定部152は、まだ形成されていない。
次に、溶融した電気絶縁材料(樹脂等)を金型内に注入し固化させて受入側ハウジング100を成形する。この結果、補強金具素材P4が受入側ハウジング100と一体成形される。
次に、図8(A),(B)に見られるように、帯状片P4A,P4Bにおける受入側ハウジング100から端子配列方向に延出している部分を板厚方向にクランク状に屈曲して、被保持金具140の固定部143および固定金具の固定部152を形成する。このとき、帯状片P4A,P4Bの延出部分を屈曲する位置(延出部分の延出方向(端子配列方向)での位置)は、基板ハウジング110の高さ寸法に応じて決定されている。本実施形態では、図8(A),(B)に見られるように、帯状片P4A、P4Bを、上記延出方向にて受入側ハウジング100近傍の位置で屈曲することにより、固定部143,152が形成されている。
このように、本実施形態では、補強金具素材P4に長い帯状片P4A、P4Bを設けておくことにより、レセプタクルハウジング90全体の高さ寸法の設定が変更に応じて、基板側ハウジング110の高さ寸法を変更することになったときに、帯状片P4A、P4Bを、変更後の基板側ハウジング110の高さ寸法に応じた位置(帯状片P4A、P4Bの長手方向位置)で屈曲して固定部143,152を形成することができる。したがって、本実施形態によれば、高さの異なる複数種のコネクタに設けられる被保持金具140および固定金具150を一種の素材から作ることができるので、その分、製造コストの増大を抑制できる。
次に、受入側ハウジング100の端子収容部106に、キャリア付のレセプタクル端子素材P5の受入逆U字状部121,131を該受入側ハウジング100の底壁103側(図9(A)での下側、図9(B)での上側)から収容する。該レセプタクル端子素材P5では、全てのレセプタクル端子120,130のそれぞれとは細条片P5Aを介して、一括して一つのキャリアが連結されている。レセプタクル端子素材P5の受入逆U字状部121,131が受入側ハウジング100内に収容された時点において、帯状片P5Aはコネクタ幅方向に延びる直状をなしており、レセプタクル端子120,130の接続部124,134は、まだ形成されていない。
次に、図9(A),(B)に見られるように、帯状片P5Aにおける受入側ハウジング100から端子配列方向に延出している部分を板厚方向にクランク状に屈曲して、レセプタクル端子120,130の接続部124,134を形成する。このとき、帯状片P5Aの延出部分を屈曲する位置(延出部分の延出方向(コネクタ幅方向)での位置)は、基板ハウジング110の高さ寸法に応じて決定されている。本実施形態では、図9(A),(B)に見られるように、帯状片P5Aを、上記延出方向にて受入側ハウジング100近傍の位置で屈曲することにより、接続部124,134が形成されている。
このように、本実施形態では、レセプタクル端子素材P5に長い細条片P5Aを設けておくことにより、レセプタクルハウジング90全体の高さ寸法の設定が変更に応じて、基板側ハウジング110の高さ寸法を変更することになったときに、細条片P5Aを、変更後の基板側ハウジング110の高さ寸法に応じた位置(細条片P5Aの長手方向位置)で屈曲して接続部124,134を形成することができる。したがって、本実施形態によれば、高さの異なる複数種のコネクタに設けられるレセプタクル端子120,130を一種の素材から作ることができるので、その分、製造コストの増大を抑制できる。
次に、図10(A),(B)に見られるように、基板側ハウジング110(図10(B)のみに図示)が受入側ハウジング100およびレセプタクル端子素材P5の両方と一体成形される。この結果、基板側ハウジング110は、受入側ハウジング100の側方凹部103A−1(図8(B)参照)内に収容される側壁111でレセプタクル端子120,130の被保持腕部123,133を保持する(図5(A)をも参照)。そして、補強金具素材P4の帯状片P4A,P4Bそしてレセプタクル端子素材P5の細条片P5Aを所定の長手方向位置で切断してそれぞれのキャリアを分離することにより、レセプタクルコネクタ2が完成する。本実施形態では、基板側ハウジング110がレセプタクル端子素材P5のみならず受入側ハウジング100に対しても一体になるように成形されるので、レセプタクルハウジング90自体の強度はもとより、レセプタクル端子120,130とレセプタクルハウジング90との間の保持力を向上させることができる。
次に、図5および図6に基づいてプラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合動作について説明する。
まず、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2は、それぞれに対応する回路基板(図示せず)に取り付けられる。具体的には、プラグコネクタ1は、プラグ端子40,50の接続部41,51が回路基板の対応回路部と半田接続され、固定金具80の固定部83が回路基板の対応部と半田接続される。また、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクル端子120,130の接続部124,134が他の回路基板の対応回路部と半田接続され、被保持金具140の固定部143および固定金具150の固定部152が他の回路基板の対応部と半田接続される。
かかる状態で、図5(A)、図6(A)に見られるように、プラグコネクタ1の上方位置へレセプタクルコネクタ2をその嵌合凹部105が下方に開口しているようにした嵌合直前の姿勢とする。その後、レセプタクルコネクタ2を、該レセプタクルコネクタ2が取り付けられている他の回路基板とともに降下させる(図5(A)、図6(A)の矢印参照)。このレセプタクルコネクタ2の降下により、該レセプタクルコネクタ2の嵌合凹部105へプラグコネクタ1の可動ハウジング30の嵌合部31が下方から進入するとともに、該レセプタクルコネクタ2の中央壁104がプラグコネクタ1の可動ハウジング30の受入部33に上方から進入する(図5(B)参照)。その結果、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2は互いに図5(B)、図6(B)に示す正規位置でのコネクタ嵌合状態となる。
コネクタ嵌合過程にて、レセプタクルコネクタ2がプラグコネクタ1の可動ハウジング30に上方から押し込まれたときには、該可動ハウジング30は、プラグ端子40,50の横弾性部43A,53Aの弾性変位のもとで下方へ移動する。本実施形態では、可動ハウジング30の底面に当接金具70の当接部72が露呈しているので、回路基板には可動ハウジング30の底面ではなく上記当接金具70の当接部72が当接面72Aで回路基板の実装面に当接する。この結果、可動ハウジング30が回路基板に当接することはなく、該可動ハウジング30の損傷が防止される。
コネクタ嵌合状態では、プラグ端子40,50の突入逆U字状部42,52が、レセプタクル端子120,130の受入逆U字状部121,131に下方から進入し、該受入逆U字状部121,131の各接触部121B−1,121C−1,131B−1,131C−1によってコネクタ幅方向で挟圧される。このような挟圧状態のもとで、レセプタクル信号端子120がその信号用接触部121B−1,121C−1でプラグ信号端子40の信号用接触部42A,42Bと接圧をもって接触し、また、レセプタクル電源端子130がその電源用接触部131B−1,131C−1でプラグ電源端子50の電源用接触部52A,52Bと接圧をもって接触する(図5(B)参照)。この結果、レセプタクル端子120,130とプラグ端子40,50とが電気的に導通する。
また、図6(B)に見られるように、コネクタ嵌合状態にて、レセプタクルコネクタ2の被保持金具140の被保持板部142Aが、プラグコネクタ1の保持金具60の一対の弾性挟圧片62A同士間に上方から進入し、該一対の弾性挟圧片62Aの挟圧部62A−1によってコネクタ幅方向(被保持板部142Aの板厚方向)で挟圧されて保持される。この結果、プラグ端子40,50とレセプタクル端子120,130との接触位置が良好に維持される。
本実施形態では、保持金具60および被保持金具140は端子配列範囲外に位置しており、該保持金具60の一対の弾性挟圧片62Aが被保持金具140の被保持板部142Aを挟圧保持するようになっている。このように、保持金具60および被保持金具140は、コネクタ1,2の端子配列方向での端部近くに設けられている。換言すると、上下方向に見てコネクタ1,2のそれぞれの中央位置を通る縦軸線(上下方向に延びる軸線)、そしてコネクタ1,2の端子配列方向での中央位置を通る横軸線(コネクタ幅方向に延びる軸線)のそれぞれから十分離れて位置している。この結果、上記縦軸線まわりおよび上記横軸線まわりで生じる不用意なトルクに十分耐えて端子同士の接触状態を維持することができる。
レセプタクルコネクタ2は、プラグコネクタ1に対する嵌合位置が必ずしも端子配列方向、コネクタ幅方向そして上下方向で正規位置となるとは限らない。レセプタクルコネクタ2は、回路基板に取り付けられており、プラグコネクタ1に対する視界がこの回路基板により遮られているため、上記正規位置からずれた位置での嵌合を生じやすい。本実施形態では、コネクタ1,2同士のずれは、プラグ端子40,50の弾性部43,53の弾性変位のもとで、可動ハウジング30がずれの方向へ向けて移動することにより吸収される。具体的には、上下方向でのずれは、主に、上記弾性部43,53の横弾性部43A,53Aの弾性変位によって吸収される。また、端子配列方向そしてコネクタ幅方向でのずれは上記弾性部43,53の弯曲弾性部43B,53Bの弾性変位によって吸収される。