上記特許文献1が開示するバネ式コンタクトは、上記バネ部のみが上記接触部への電気的な導通経路を構成する。これに対して、上記特許文献2が開示するスプリングコネクタの場合、上記接触ピンとプリント配線基板との間に、上記接触ピンの抜け止め部の外周面が上記収容部の内周面に当接して形成される導通経路と、電気的バイパス手段の上記接触片が上記接触ピンに当接して形成される導通経路とが共に確保されているので、前者の導通経路のみを設ける場合に較べて電気抵抗を少なくすることができる。同様に、上記特許文献3ないし5のコネクタの場合も、上記接触バネ片を介した導通経路と、上記コイルスプリングを介した導通経路とを備えるので、上記コイルスプリングのみで導通経路を構成する場合に較べて電気抵抗を少なくすることができる。
上記特許文献2のスプリングコネクタは上記接触ピンに上記接触片を側方から接触させる構成になっており、上記特許文献3ないし5のコネクタは上記ポゴピンに上記接触バネ片を側方から接触させる構成になっている。そのため、これらの接触子又はコネクタの厚さを薄くしたくても限界があり、さらに薄くしたいという要請がある。
本発明は、このような点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、接触対象である相手部材に接触する接触部と実装対象である実装先部材に接続する接続部との間の導通経路を短絡部により確保することで電気抵抗を少なくすることができると共に、上記接触部と上記接続部とから上記短絡部をそれぞれ延ばしてこれらを接触させるようにすることで厚さ、幅などを薄くすることができる接触子を提供することにある。このように構成すれば、上記バネ部、上記接触部、および上記接続部のうち少なくとも二つを一体成形、連結、又は接続などによって一連に設けることが容易になる。そこで、上記バネ部、上記接触部、および上記接続部のうち少なくとも二つを一連に設けることで、ショックを受けたときに一時的に導通経路が断たれる瞬断を防ぐことができる接触子を提供することも、さらなる目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の第1の接触子は、
奥行き方向に沿って変形するバネ部と、
上記バネ部の上記奥行き方向手前側に設けられた接触部と、
上記バネ部の上記奥行き方向奥側に設けられた接続部と、
上記接触部から上記奥行き方向奥へ延びる第1短絡部と、
上記接続部から上記奥行き方向手前へ延びる第2短絡部とを備え、
上記第1短絡部と上記第2短絡部とが上記奥行き方向と交差する方向に重なっており、又は上記バネ部が圧縮されて上記奥行き方向に沿って変形したときに上記第1短絡部と上記第2短絡部とが上記奥行き方向と交差する方向に重なるように構成された接触子である。
上記接触部と上記接続部との間の導通経路が、上記第1短絡部および上記第2短絡部により確保されるので、電気抵抗が少なくなる。上記バネ部を導電部材で形成したときには、上記第1短絡部および上記第2短絡部により上記導電経路が増えるので、上記バネ部だけが導電経路になる場合に較べて電気抵抗が少なくなる。上記接触部、上記バネ部、上記接続部が上記奥行き方向に並び、上記接触部から上記第1短絡部が、上記接続部から上記第2短絡部がそれぞれ上記奥行き方向に延びるので、上記特許文献2のスプリングコネクタ、又は上記特許文献3ないし5のポゴピン式圧接型コネクタの接触子に較べて上記接触子の厚さ、幅などを薄くすることができる。ひいては、例えば上記接触子を電気コネクタのハウジングに組み込んだ場合、上記従来のコネクタに較べて上記接触子を用いた電気コネクタの厚さ、幅などが薄くなり、上記電気コネクタをコンパクトにすることができる。また、上記バネ部、上記接触部、および上記接続部のうち少なくとも二つを一体成形、連結、又は接続などによって一連に設けることが容易になる。
本発明の第2の接触子は、上記第1の接触子において、
上記接触部と上記第1短絡部とが一連に設けられ、
上記接続部と上記第2短絡部とが一連に設けられ、
上記バネ部と、上記接触部および上記接続部のうち少なくとも一方とが一連に設けられている請求項1の接触子である。
このようにすれば、上記接触子がショックを受けたときに、一連に設けられたもの同士が離間することがないので、上記接触子の上記接触部から上記接続部までの導通経路が一時的に断たれる瞬断を抑制することができる。
本発明の第3の接触子は、上記第1又は上記第2の接触子において、
上記バネ部が、
上記奥行き方向と交差する方向からみてU字形に形成されて両端が上記奥行き方向に隣接する部材に接続され曲げ剛性によりバネ定数が構成される曲げバネ部を備えている接触子である。
このようにすれば、上記曲げバネ部の上記U字形部分の両端間が離間し、接近することで上記曲げバネ部がバネとして機能する。そして、上記曲げバネ部の例えば断面形状などを変えることで、上記曲げバネ部のバネ定数、又は最大伸び量などが設定される。
本発明の第4の接触子は、上記第1ないし上記第3のうちいずれか一つの接触子において、
上記バネ部が、
上記接触部又は上記接続部から上記奥行き方向と交差する方向に延び、捻り剛性によりバネ定数が構成される捻りバネ部を備えている接触子である。
このようにすれば、上記捻りバネ部が上記接触部又は上記接続部の回りに揺動することで上記捻りバネ部がバネとして機能する。そして、上記捻りバネ部の例えば断面形状などを変えることで、上記捻りバネ部のバネ定数、又は最大伸び量などが設定される。また、上記曲げバネ部と上記捻りバネ部とを組み合わせた場合、それぞれのバネの特性を組み合わせて上記バネ部のバネ定数、又は最大伸び量などを設定することが可能になる。
本発明の第5の接触子は、上記第1ないし上記第4のうちいずれか一つの接触子において、
上記バネ部が上記奥行き方向に対して湾曲するように反ろうとすると上記第1短絡部と上記第2短絡部とが重なって押し合うことで上記反りを抑制し、上記第1短絡部と上記第2短絡部との接触圧力を増すように構成されている接触子である。
このようにすれば、上記バネ部の反りが抑制されるので、例えば上記接触子を電気コネクタのハウジングに組み込んだ場合、上記接触子が上記ハウジングと干渉する可能性が減り、例えば上記ハウジングが上記バネ部によって削れたり、その削りカスが不具合を起こすおそれが減る。また、上記第1短絡部と上記第2短絡部との間で高い接触圧力が確保される。
本発明の第6の接触子は、上記第1ないし上記第5のうちいずれか一つの接触子において、
上記バネ部が上記奥行き方向からみて内側へ曲げられている接触子である。
このようにすれば、上記バネ部を折り曲げないときに較べて上記バネ部の機能を同等にしながら、上記バネ部の厚さ、幅などを薄くすることができる。
本発明の第1の接触子は、上記接触部と上記接続部との間の上記導通経路を上記第1短絡部および上記第2短絡部により確保することで電気抵抗を少なくすることができると共に、上記接触部から上記第1短絡部を延ばし、上記接続部から上記第2短絡部を延ばしてこれらを接触させるようにしたことで厚さ、幅などを薄くすることができた。また、本発明の第1の接触子は、上記バネ部、上記接触部、および上記接続部のうち少なくとも二つを一体成形、連結、又は接続などによって一連に設けることが容易になる。
本発明の第2の接触子は、上記第1の接触子により得られる効果が得られることに加え、さらに、ショックを受けたときに一時的に導通経路が断たれる瞬断を抑制することができる。
本発明の第3の接触子は、上記第1又は上記第2の接触子により得られる効果が得られることに加え、さらに、上記曲げバネ部の例えば断面形状などを変えることで、上記曲げバネ部のバネ定数、又は最大伸び量などを設定することができる。
本発明の第4の接触子は、上記第1ないし上記第3のうちいずれか一つの接触子により得られる効果が得られることに加え、さらに、上記捻りバネ部の例えば断面形状などを変えることで、上記捻りバネ部のバネ定数、又は最大伸び量などを設定することができる。また、上記曲げバネ部と上記捻りバネ部とを組み合わせた場合、それぞれのバネの特性を組み合わせて上記バネ部のバネ定数、又は最大伸び量などを設定することが可能になる。
本発明の第5の接触子は、上記第1ないし上記第4のうちいずれか一つの接触子により得られる効果が得られることに加え、さらに、例えば上記ハウジングと干渉する可能性が減り、例えば上記ハウジングが上記バネ部によって削れたり、その削りカスが不具合を起こすおそれを減らすことができる。また、上記第1短絡部と上記第2短絡部との間で高い接触圧力を確保することができる。
本発明の第6の接触子は、上記第1ないし上記第5のうちいずれか一つの接触子により得られる効果が得られることに加え、さらに、上記バネ部を折り曲げないときに較べて上記バネ部の機能を同等にしながら、上記バネ部の厚さ、幅などを薄くすることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図4は、本発明の接触子の第1の実施形態を示す。この接触子100と、ハウジング200とにより、電気コネクタCが構成され、この電気コネクタCが実装先部材300に実装される。その実装形態には、図6に示すように、後述する接続部130を上記実装先部材300の例えばランドなどの導電部302に、例えばハンダ付けなどによって接続する態様が含まれる。しかし、上記接触子100を電気コネクタのハウジングに組み付けずに単体で使用してもよい。この実施形態の場合、上記実装先部材300はプリント配線板であるが、上記実装先部材には、例えば、携帯電話又はその他の電気製品の筐体などが含まれる。また、上記接触子100を電気コネクタのハウジングに組み付けずに単体で使用するときには、上記接触子100を、例えば直接に上記実装先部材に実装してもよく、その実装形態には、上記接続部130を上記実装先部材300の例えばランドなどの導電部302に、例えばハンダ付けなどによって接続する態様が含まれる。上記接触子100が接触する対象は相手部材400の導電部401である。この実施形態の場合、上記相手部材400はバッテリであり、上記導電部401は上記バッテリの電極であるが、上記相手部材には、例えばを接触子を上記導電部とする電気コネクタ、ランドを上記導電部とするプリント配線板などが含まれる。図7ないし図11は、上記電気コネクタCの一つの実施形態を示している。以下、互いに直交する奥行き方向、幅方向、および厚さ方向をとり、これらの方向付けを用いて説明する。図3を符号が正しく読める向きにみて、図の左右方向が上記奥行き方向で、左が手前、右が奥であり、図の上下方向が上記厚さ方向であり、図の紙面に垂直な方向が上記幅方向である。また、図7を符号が正しく読める向きにみて、図の左右方向が上記奥行き方向で、左が手前、右が奥であり、図の上下方向が上記厚さ方向であり、図の紙面に垂直な方向が上記幅方向である。
上記ハウジング200は、合成樹脂又はその他の絶縁性材料により形成されているが、上記接触子100との間を絶縁するように構成すれば少なくとも一部を導電性材料又はその他の材料により形成してもよい。上記ハウジング200は、ほぼ直方体状に、又はほぼ板状に形成されているが、例えば棒状、又はその他の形状に形成されていてもよい。上記ハウジング200の上記厚さ方向の一方側に凸部201が突出して形成されている。この実施形態の場合、上記厚さ方向の一方側を上記ハウジングの上記実装先部材に近い側にするので実装側とし、その反対側を反実装側とする。この実施形態の場合、上記実装先部材300に凹部301が形成されており、上記凹部301に上記凸部201が嵌まっている。ここでは上記ハウジングと上記実装先部材とを嵌合したが、例えば上記ハウジングを上記実装先部材の表面に置くようにしてもよい。上記ハウジング200には上記奥行き方向に貫通する収容部202が形成されている。上記収容部202は内部に筒状の空間が形成されるように形成されており、この収容部202に上記接触子100が挿入されることで上記接触子100が上記ハウジング200に装着されるようにしている。上記収容部202は、上記奥行き方向手前の端部で狭く形成されていて、上記収容部202の上記奥行き方向奥側から上記接触子100を挿入すると、後述するバネ部110のように上記奥行き方向と交差する方向へ張り出した部位を受け止めて、上記接触子100が後述する接触部120を上記収容部202よりも上記奥行き方向手前に突き出した状態でて上記接触子100がそれ以上上記奥行き方向手前へ移動しないように構成されている。しかし、本発明の接触子は、このような構造を設けない上記ハウジングに組み込まれる実施形態を含んでいる。上記接触子100は上記接続部130が上記収容部202に圧入されることで上記ハウジング200に固定されるようにしている。しかし、上記接触子を上記ハウジングへ抜け止め機能を持たせながら装着する構造はこれに限定されるものではなく、例えば、上記接続部又は上記収容部に弾性を有する片よりなるランスを設けると共に上記ランスを上記収容部又は上記接続部に設けた凹部に嵌めてもよい。上記ハウジング200には上記厚さ方向に貫通する補強タブ装着孔203が設けられ、この補強タブ装着孔203に補強タブ204が上記厚さ方向に差し込まれている。この補強タブ204は金属で形成されていて、上記実装先部材300に例えばハンダ付けなどにより実装される。上記補強タブは他の材料によって形成してもよいし、上記補強タブを設けなくてもよい。この実施形態では上記ハウジング200に上記接触子100を上記幅方向に複数並べたが、上記ハンジングに上記接触子を設ける場合、上記接触子は一つであっても、二以上であってもよいし、配列も例えば上記幅方向、上記厚さ方向又はその他の方向のように上記奥行き方向に交差する方向に並べてもよく、また、これらを組み合わせた配列にしてもよい。
上記接触子100は、バネ部110と、接触部120と、接続部130と、第1短絡部140と、第2短絡部150とを備えている。上記接触部120、上記接続部130、上記第1短絡部140、および上記第2短絡部150は、導電性材料により形成されている。上記バネ部110は導電性材料により形成されていてもよいが、例えば絶縁性材料、又はその他の材料により形成されていてもよい。上記バネ部110は、上記奥行き方向に沿った力を受けると、上記奥行き方向に沿って変形する。この実施形態の場合、上記バネ部110は、上記奥行き方向に沿った力を受けると、上記奥行き方向に沿って縮む、いわゆる圧縮バネである。上記バネ部110は、バネとして機能するものであればよく、例えばコイルスプリング、板バネ、筍バネ、又はその他のバネで構成してもよいし、全体として弾性を有しておればその構造は問わない。
上記接触部120は、上記バネ部110の上記奥行き方向手前側に設けられている。上記接触部120は、上記バネ部110の上記奥行き方向手前側の端部の上記奥行き方向手前側に配置され、上記接触部120と上記バネ部110とが一連に設けられているが、上記接触部と上記バネ部とを別の部材にして、上記奥行き方向に隣り合わせに配置してもよい。上記一連に設けるとは、切れ目無く連続させて設けるという意味である。ここでは上記接触部120を上記バネ部110に一体成形することにより両者を一連に設けているが、上記接触部120と上記バネ部110とを別の部材にし、これらを例えば差し込み構造などにより連結し又は例えばハンダ付けなどにより接続するなどして両者を一連に設けてもよい。この一体成形は、例えば平板状をした導電性の金属板材を打ち抜きすることによって形成される。上記接触部120は、板状片を上記幅方向からみてU字状になるように折り曲げることにより形成している。上記接触部120の上記折り曲げられた部位が上記奥行き方向の手前の端に位置して接点121を形成している。この接点121に上記相手部材400の導電部401が接触することになる。しかし、この実施形態によって上記接触部の形状、又は構造が限定解釈されることはなく、上記接触部は、例えばコーン状、砲弾状又はその他の形状に形成してもよいし、その内部を空洞にしても中実にしてもよく、どのような形状、又は構造をとってもよい。
上記接続部130は、上記バネ部110の上記奥行き方向奥側に設けられている。上記接続部130は、上記バネ部110の上記奥行き方向奥側の端部の上記奥行き方向奥側に配置され、上記接続部130と上記バネ部110とが一連に設けられているが、上記接続部と上記バネ部とを別の部材にして、上記奥行き方向に隣り合わせに配置してもよい。ここでは上記接続部130を上記バネ部110に一体成形することにより両者を一連に設けているが、上記接続部130と上記バネ部110とを別の部材にし、これらを例えば差し込み構造などにより連結し又は例えばハンダ付けなどにより接続するなどして両者を一連に設けてもよい。この一体成形は、例えば平板状をした導電性の金属板材を打ち抜きすることによって形成される。上記接続部130は、T字形の板状片を折り曲げることにより形成している。すなわち、上記接続部130は、上記板状片の縦長部を上記幅方向からみてZ字状になるように上記厚さ方向の一方側へ折り曲げることにより実装部131を形成し、上記板状片の横長部の上記幅方向の両端を上記厚さ方向の一方側へそれぞれ折り曲げることにより圧入部132を形成している。この上記厚さ方向の一方側は、上記接触子の上記実装先部材に近い側になることが多いので実装側とし、その反対側を反実装側とする。上記実装部131は上記実装先部材300に、例えばハンダ付けなどによって実装される。上記圧入部132は上記ハウジング200の上記収容部202に圧入されると上記収容部202の内壁に高い接触圧力でもって接触し又は食い込んで上記接触子100を上記ハウジング200に組み付けるようにしている。しかし、この実施形態によって上記接続部の形状、又は構造が限定解釈されることはなく、上記接続部は、例えば平板状、環状、塊状又はその他の形状に形成してもよいし、その内部を空洞にしても中実にしてもよく、どのような形状、又は構造をとってもよい。上記実装部は他の形状又は構造であってもよい。上記接続部の上記実装先部材への接続は、例えばハンダ付けなどにより直接接続してもよいし、例えば導電性の線又はその他の導電部材を介して行ってもよい。したがって、上記接触子は上記実装部を備えていなくてもよい。上記圧入部は他の形状又は構造であってもよい。上記接続部を上記ハウジングに組み付ける場合、例えば、上記ランス構造を用いてもよいし、上記接続部を上記ハウジングに一体成形してもよいし、その他の構造によってもよい。したがって、上記接触子は上記圧入部を備えていなくてもよい。
上記第1短絡部140は、上記接触部120から上記奥行き方向奥へ延びている。また、上記第2短絡部150は、上記接続部130から上記奥行き方向手前へ延びている。ここでは上記第1短絡部140を上記接触部120に一体成形することにより両者を一連に設けているが、上記第1短絡部140と上記接触部120とを別の部材にし、これらを例えば差し込み構造などにより連結し又は例えばハンダ付けなどにより接続するなどして両者を一連に設けてもよい。この一体成形は、例えば平板状をした導電性の金属板材を打ち抜きすることによって形成される。また、上記第2短絡部150を上記接続部130に一体成形することにより両者を一連に設けているが、上記第2短絡部150と上記接続部130とを別の部材にし、これらを例えば差し込み構造などにより連結し又は例えばハンダ付けなどにより接続するなどして両者を一連に設けてもよい。この一体成形は、例えば平板状をした導電性の金属板材を打ち抜きすることによって形成される。そして、上記バネ部110が圧縮されて上記奥行き方向に沿って変形したときに上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが上記奥行き方向と交差する方向に重なるように構成されている。こうすることに代えて、上記バネ部が圧縮されず、自由状態にあるときに上記第1短絡部と上記第2短絡部とが上記奥行き方向と交差する方向に重なっていて、上記バネ部が圧縮されて上記奥行き方向に沿って変形したときにも重なり続けるように構成してもよい。この実施形態の場合、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが重なる方向である上記奥行き方向と交差する方向は、ほぼ上記厚さ方向になるが、上記奥行き方向と交差する方向であれば他の方向であってもよい。上記第1短絡部140および上記第2短絡部150は、上記接触子100における上記反実装側に設けられているが、例えば上記接触子における上記実装側、上記幅方向の一方側もしくは両側、又は央部に設けてもよい。上記第1短絡部140は、板厚の方向が上記厚さ方向になり且つ上記幅方向に所定の幅をもつ板状部材で形成されており、上記接触部120の上記奥行き方向奥側の端部から上記奥行き方向奥へ延びている。上記第2短絡部150は、板厚の方向が上記厚さ方向になり且つ上記幅方向に所定の幅をもつ板状部材で形成されており、上記接続部130の上記奥行き方向手前側の端部から上記奥行き方向手前へ延びている。そして、図5に示すように、上記バネ部110が圧縮されて上記奥行き方向に沿って変形すると、上記第1短絡部140が上記第2短絡部150の上記反実装側に乗り上げて、換言すると上記第2短絡部150が上記第1短絡部140の上記実装側に潜り込んで、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが上記奥行き方向と交差する方向に重なるようにしている。この場合、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが上記厚さ方向に重なる。これとは逆に上記第2短絡部150が上記第1短絡部140の上記反実装側に乗り上げて、換言すると上記第1短絡部140が上記第2短絡部150の上記実装側に潜り込んで、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが上記奥行き方向と交差する方向に重なるようにしてもよい。上記第1短絡部は、例えば棒状、筒状、又はその他の形状又は構造であってもよく、上記第2短絡部は、例えば棒状、筒状、又はその他の形状又は構造であってもよい。
この実施形態の場合、上記バネ部110と上記接触部120とを一連に設け、上記バネ部110と上記接続部130とを一連に設けた。したがって、上記バネ部110、上記接触部120、および上記接続部130が一連に設けられている。しかし、上記バネ部と上記接触部とを一連に設けると共に、上記バネ部と上記接続部を別の部材にして、上記奥行き方向に隣り合わせに配置してもよい。また、上記バネ部と上記接続部とを一連に設けると共に、上記バネ部と上記接触部を別の部材にして、上記奥行き方向に隣り合わせに配置してもよい。これらの態様をまとめると、上記バネ部と、上記接触部および上記接続部のうち少なくとも一方とが一連に設けられていることになる。しかし、上記バネ部、上記接触部および上記接続部を別の部材にして、上記奥行き方向に隣り合わせに配置してもよい。上記バネ部と、上記接触部および上記接続部のうち少なくとも一方とを別の部材にしたときは、例えば上記接触子を上記ハウジングに組み込めば、上記バネ部と別の部材になった上記接触部又は上記接続部の上記奥行き方向に沿った移動を上記収容部によって案内することができて好ましい。
この実施形態の場合、上記バネ部110が曲げバネ部111を備えている。上記曲げバネ部111は、上記奥行き方向と交差する方向からみてU字形に形成されて、両端が上記奥行き方向に隣接する部材に接続され、曲げ剛性によりバネ定数が構成されている。後述するように上記バネ部110が上記奥行き方向からみて内側へ曲げられているので、上記曲げバネ部111は、上記幅方向から上記厚さ方向にかけてみてU字形に形成されている。しかし、上記曲げバネ部は、例えば視線を上記幅方向から上記厚さ方向にかけて移動させていったときに、どこかでU字形にみえるように形成されておればよい。このように、この実施形態の場合、上記曲げバネ部111がU字形に形成されているようにみえる向きである上記奥行き方向と交差する方向は、上記幅方向から上記厚さ方向にかけての方向になるが、上記奥行き方向と交差する方向であれば他の方向であってもよい。よって、上記U字形に形成された上記曲げバネ部111における両側の部分は、いずれも上記奥行き方向と交差する方向に含まれる上記厚さ方向、上記幅方向などに延びていることになる。上記バネ部110は複数の上記曲げバネ部111を備えている。上記曲げバネ部111はいずれも上記奥行き方向と交差する方向からみてU字形に形成されているが、このU字形には正視したときにU字形にみえる直立U字形と上下逆にみたときにU字形にみえる倒立U字形とが含まれている。この実施形態の場合、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記直立U字形に形成された上記曲げバネ部111と、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記倒立U字形に形成された上記曲げバネ部111とが上記奥行き方向に交互に並べられて全体として蛇行曲線状に設けられており、隣接する上記曲げバネ部111の端部同士が突き合わされて隣接する上記曲げバネ部111同士が一連に設けられている。ここでは隣接する上記曲げバネ部111同士を一体成形することにより両者を一連に設けているが、複数の上記曲げバネ部111を別の部材にし、これらを例えば差し込み構造などにより連結し又は例えばハンダ付けなどにより接続するなどして両者を一連に設けてもよい。この一体成形は、例えば平板状をした導電性の金属板材を打ち抜きすることによって形成される。上記バネ部は、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記直立U字形に形成された曲げバネ部を上記奥行き方向に複数並べてこれらを一連に設けたものを備えていてもよいし、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記倒立U字形に形成された曲げバネ部を上記奥行き方向に複数並べてこれらを一連に設けたものを備えていてもよいし、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記直立U字形に形成された曲げバネ部と上記奥行き方向と交差する方向からみて上記倒立U字形に形成された曲げバネ部とを上記奥行き方向に交互にではなく任意の配列で複数並べてこれらを一連に設けたものを備えていてもよいし、上記曲げバネ部を一つだけ備えていてもよいし、上記曲げバネ部を備えていなくてもよい。この実施形態では上記曲げバネ部111を上記幅方向に二列に並べたが、上記曲げバネ部は、一列であっても、二列以上あってもよいし、配列も例えば上記幅方向、上記厚さ方向又はその他の方向のように上記奥行き方向に交差する方向に並べてもよく、また、これらを組み合わせた配列にしてもよい。上記曲げバネ部111は、上記バネ部110が上記奥行き方向に沿った力を受けたときに曲げられるが、この曲げに対する変形抵抗の大きさが上記曲げバネ部111の曲げ剛性となる。そして、上記曲げ剛性により上記曲げバネ部111のバネ定数が構成されている。この実施形態では上記バネ部110を上記幅方向に二列に並べたが、上記バネ部は、一列であっても、二列以上あってもよいし、配列も例えば上記幅方向、上記厚さ方向又はその他の方向のように上記奥行き方向に交差する方向に並べてもよく、また、これらを組み合わせた配列にしてもよい。
この実施形態の場合、上記バネ部110が捻りバネ部112を備えている。上記捻りバネ部112は、上記接触部120又は上記接続部130から上記奥行き方向と交差する方向に延び、捻り剛性によりバネ定数が構成されている。上記バネ部110は複数の上記捻りバネ部112を備えている。この実施形態の場合、上記接触部120から上記奥行き方向と交差する方向に第1の上記捻りバネ部112が延びて、上記奥行き方向手前側の端にある上記曲げバネ部111の上記奥行き方向手前側の端部に一連に設けられている。上記第1の上記捻りバネ部112は、上記曲げバネ部111の列数に応じた数だけ設けられている。また、上記接続部130から上記奥行き方向と交差する方向に第2の上記捻りバネ部112が延びて上記奥行き方向奥側の端にある上記曲げバネ部111の上記奥行き方向奥側の端部に一連に設けられている。上記第2の上記捻りバネ部112は、上記曲げバネ部111の列数に応じた数だけ設けられている。この実施形態の場合、上記捻りバネ部112が延びる方向である上記奥行き方向と交差する方向は、上記厚さ方向になるが、上記奥行き方向と交差する方向であれば他の方向であってもよい。ここでは上記捻りバネ部112と上記接触部120又は上記接続部130とを一体成形することにより両者を一連に設け、また上記捻りバネ部112と上記曲げバネ部111とを一体成形することにより両者を一連に設けている。しかし、上記捻りバネ部112と上記接触部120又は上記接続部130とを別の部材にし、これらを例えば差し込み構造などにより連結し又は例えばハンダ付けなどにより接続するなどして両者を一連に設けてもよく、また上記捻りバネ部112と上記曲げバネ部111と別の部材にし、これらを例えば差し込み構造などにより連結し又は例えばハンダ付けなどにより接続するなどして両者を一連に設けてもよい。この一体成形は、例えば平板状をした導電性の金属板材を打ち抜きすることによって形成される。上記バネ部は、上記第1の捻りバネ部のみを設けてもよいし、上記第2の捻りバネ部のみを設けてもよいし、上記捻りバネ部を一切設けなくてもよい。また、上記バネ部に上記捻りバネ部を三つ以上設けてもよいし、上記捻りバネ部を上記バネ部のどの箇所に設けてもよい。同様に、上記曲げバネ部を上記バネ部のどの箇所に設けてもよい。上記捻りバネ部112は、上記バネ部110が上記奥行き方向に沿った力を受けたときに捻られるが、この捻りに対する変形抵抗の大きさが上記捻りバネ部112の捻り剛性となる。そして、上記捻り剛性により上記捻りバネ部112のバネ定数が構成されている。
この実施形態の場合、図5に示すように、上記バネ部110が上記奥行き方向に対して湾曲するように反ろうとすると、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが重なって押し合うことで上記反りを抑制し、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150との接触圧力を増すように構成されている。一例として、上記バネ部110が下に凸になるように反ろうとしたときの上記バネ部110の中心線の反り方を図5に仮想線で示した。
この実施形態の場合、上記バネ部110が上記奥行き方向からみて内側へ曲げられている。ここでは、上記実装側へ延びる上記曲げバネ部111が途中から上記幅方向の内側へ曲げられている。ここでは、上記曲げバネ部111が途中から上記幅方向の内側へほぼ直角に曲げたが、曲げる角度は他の角度であってもよい。また、例えば、上記曲げバネ部111を、上記奥行き方向からみて広い範囲で内側へ円弧状に曲げてもよい。
次に、本発明の接触子の他の実施形態を説明する。これらの他の実施形態の接触子には上記第1の実施形態、及びその変形例の接触子の構成をそのまま引用し、第1の実施形態、及びその変形例の構成と異なる構成について追加的に説明する。そして、これらの他の実施形態では上記第1の実施形態の接触子で用いた符号をそのまま用いて説明する。これらの接触子100と、上記ハウジング200とにより、電気コネクタCが構成され、この電気コネクタCが上記実装先部材300に実装される。しかし、上記接触子100を電気コネクタのハウジングに組み付けずに単体で使用してもよい。
まず、以下に説明する他の実施形態の接触子は次の構成を備えている。これらの接触子100は、上記奥行き方向に沿って変形するバネ部110と、上記バネ部110の上記奥行き方向手前側に設けられた接触部120と、上記バネ部110の上記奥行き方向奥側に設けられた接続部130と、上記接触部120から上記奥行き方向奥へ延びる第1短絡部140と、上記接続部130から上記奥行き方向手前へ延びる第2短絡部150とを備え、 上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが上記奥行き方向と交差する方向に重なっており、又は上記バネ部110が圧縮されて上記奥行き方向に沿って変形したときに上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが上記奥行き方向と交差する方向に重なるように構成されている。また、これらの接触子100は、上記バネ部110と、上記接触部120および上記接続部130のうち少なくとも一方とが一連に設けられている。さらに、これらの接触子100は、上記バネ部110が、上記奥行き方向と交差する方向からみてU字形に形成されて両端が上記奥行き方向に隣接する部材に接続され、曲げ剛性によりバネ定数が構成される曲げバネ部111を備えている。また、これらの接触子100は、上記バネ部110が、上記接触部120又は上記接続部130から上記奥行き方向と交差する方向に延び、捻り剛性によりバネ定数が構成される捻りバネ部112を備えている(第4および第5の実施形態の接触子100を除く)。さらに、これらの接触子100は、上記バネ部110が上記奥行き方向に対して湾曲するように反ろうとすると上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが重なって押し合うことで上記反りを抑制し、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150との接触圧力を増すように構成されている。また、これらの接触子100は、上記バネ部110が上記奥行き方向からみて内側へ曲げられている(第5の実施形態の接触子100を除く)。
次に、図14ないし図17は第2の実施形態の接触子100を示す。この接触子100の場合、上記第1の実施形態の接触子100に対して、上記第1の捻りバネ部112の上記奥行き方向の寸法が太く形成されている。また、この接触子100の場合、上記第1の実施形態の接触子100で上記接続部130に設けていた上記実装部131を設けていない。
図18ないし図21は第3の実施形態の接触子100を示す。上記第1の実施形態の接触子100の場合、上記実装側へ延びる上記曲げバネ部111が途中から上記幅方向の内側へ曲げられていた。これに対し、上記第3の実施形態の接触子100の場合、上記実装側へ延びる上記曲げバネ部111が途中から上記幅方向の内側へ曲げられ、さらにその先端側で上記反実装側へ曲げられている。
図22ないし図25は第4の実施形態の接触子100を示す。上記第1の実施形態の接触子100の場合、上記曲げバネ部111を上記幅方向に二列に並べた。これに対し、この接触子100の場合、上記曲げバネ部111を一列のみ設けた。後述するように上記バネ部110が上記奥行き方向からみて上記幅方向の両側が内側へ曲げられているので、上記曲げバネ部111は、上記厚さ方向から上記幅方向にかけてみてU字形に形成されている。よって、上記U字形に形成された上記曲げバネ部111における両側の部分は、いずれも上記奥行き方向と交差する方向に含まれる上記厚さ方向、上記幅方向などに延びていることになる。上記バネ部110は複数の上記曲げバネ部111を備えている。上記曲げバネ部111はいずれも上記奥行き方向と交差する方向からみてU字形に形成されているが、このU字形には上記直立U字形と上記倒立U字形とが含まれている。この実施形態の場合、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記直立U字形に形成された上記曲げバネ部111と、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記倒立U字形に形成された上記曲げバネ部111とが上記奥行き方向に交互に並べられて全体として蛇行曲線状に設けられており、隣接する上記曲げバネ部111の端部同士が突き合わされて隣接する上記曲げバネ部111同士が一連に設けられている。ここでは隣接する上記曲げバネ部111同士を一体成形することにより両者を一連に設けているが、複数の上記曲げバネ部111を別の部材にし、これらを例えば差し込み構造などにより連結し又は例えばハンダ付けなどにより接続するなどして両者を一連に設けてもよい。この一体成形は、例えば平板状をした導電性の金属板材を打ち抜きすることによって形成される。上記バネ部は、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記直立U字形に形成された曲げバネ部を上記奥行き方向に複数並べてこれらを一連に設けたものを備えていてもよいし、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記倒立U字形に形成された曲げバネ部を上記奥行き方向に複数並べてこれらを一連に設けたものを備えていてもよいし、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記直立U字形に形成された曲げバネ部と上記奥行き方向と交差する方向からみて上記倒立U字形に形成された曲げバネ部とを上記奥行き方向に交互にではなく任意の配列で複数並べてこれらを一連に設けたものを備えていてもよいし、上記曲げバネ部を一つだけ備えていてもよいし、上記曲げバネ部を備えていなくてもよい。上記曲げバネ部111は、上記一列のみ設けたが、上記曲げバネ部は、二列以上に並んでいてもよい。また、この接触子100の場合、上記第1の実施形態の接触子100で上記バネ部110に設けていた上記捻りバネ部112を設けていない。そして、上記曲げバネ部111の上記奥行き方向手前側の端部を直接に上記接触部120に一連に設け、上記曲げバネ部111の上記奥行き方向奥側の端部を直接に上記接続部130に一連に設けている。そして、上記バネ部110が上記奥行き方向からみて内側へ曲げられている。ここでは、上記幅方向へ延びる上記曲げバネ部111が上記幅方向の両側において途中から上記実装側へ曲げられている。上記第1の実施形態の接触子100の場合、上記第1短絡部140および上記第2短絡部150を上記接触子100における上記反実装側に設けた。これに対し、この接触子100の場合、上記第1短絡部140および上記第2短絡部150を上記接触子100における上記実装側に設けた。この実施形態の場合、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが重なる方向である上記奥行き方向と交差する方向は、ほぼ上記厚さ方向になる。上記第1の実施形態の接触子100の場合、上記接続部130は、上記T字形の板状片の横長部の上記幅方向の両端を上記厚さ方向の一方側へそれぞれ折り曲げることにより圧入部132を形成した。これに対し、この接触子100の場合、上記接続部130は、上記T字形の板状片の横長部の上記幅方向の一端を上記奥行き方向からみて環状になるように折り曲げることにより圧入部132を形成した。
図26ないし図29は第5の実施形態の接触子100を示す。上記第1の実施形態の接触子100の場合、上記第1短絡部140および上記第2短絡部150を上記接触子100における上記反実装側に設けた。これに対し、この接触子100の場合、上記第1短絡部140および上記第2短絡部150を上記接触子100における上記幅方向の両側にそれぞれ設けた。この実施形態の場合、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが重なる方向である上記奥行き方向と交差する方向は、ほぼ上記幅方向になる。上記第1の実施形態の接触子100の場合、上記曲げバネ部111を上記幅方向に二列に並べた。これに対し、この接触子100の場合、上記曲げバネ部111を一列のみ設けた。上記曲げバネ部111は、上記厚さ方向からみてU字形に形成されている。よって、上記U字形に形成された上記曲げバネ部111における両側の部分は、いずれも上記奥行き方向と交差する方向に含まれる上記幅方向に延びていることになる。上記バネ部110は複数の上記曲げバネ部111を備えている。上記曲げバネ部111はいずれも上記奥行き方向と交差する方向からみてU字形に形成されているが、このU字形には上記直立U字形と上記倒立U字形とが含まれている。この実施形態の場合、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記直立U字形に形成された上記曲げバネ部111と、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記倒立U字形に形成された上記曲げバネ部111とが上記奥行き方向に交互に並べられて全体として蛇行曲線状に設けられており、隣接する上記曲げバネ部111の端部同士が突き合わされて隣接する上記曲げバネ部111同士が一連に設けられている。ここでは隣接する上記曲げバネ部111同士を一体成形することにより両者を一連に設けているが、複数の上記曲げバネ部111を別の部材にし、これらを例えば差し込み構造などにより連結し又は例えばハンダ付けなどにより接続するなどして両者を一連に設けてもよい。この一体成形は、例えば平板状をした導電性の金属板材を打ち抜きすることによって形成される。上記バネ部は、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記直立U字形に形成された曲げバネ部を上記奥行き方向に複数並べてこれらを一連に設けたものを備えていてもよいし、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記倒立U字形に形成された曲げバネ部を上記奥行き方向に複数並べてこれらを一連に設けたものを備えていてもよいし、上記奥行き方向と交差する方向からみて上記直立U字形に形成された曲げバネ部と上記奥行き方向と交差する方向からみて上記倒立U字形に形成された曲げバネ部とを上記奥行き方向に交互にではなく任意の配列で複数並べてこれらを一連に設けたものを備えていてもよいし、上記曲げバネ部を一つだけ備えていてもよいし、上記曲げバネ部を備えていなくてもよい。上記曲げバネ部111は、上記一列のみ設けたが、上記曲げバネ部は、二列以上に並んでいてもよい。また、この接触子100の場合、上記第1の実施形態の接触子100で上記バネ部110に設けていた上記捻りバネ部112を設けていない。そして、上記曲げバネ部111の上記奥行き方向手前側の端部を直接に上記接触部120に一連に設け、上記曲げバネ部111の上記奥行き方向奥側の端部を直接に上記接続部130に一連に設けている。上記バネ部110は上記奥行き方向からみて内側へ曲げられていないが、そのように曲げてもよい。
したがって、以上説明した各実施形態の接触子100の場合、上記接触部120と上記接続部130との間の導通経路が、上記第1短絡部140および上記第2短絡部150により確保されるので、電気抵抗が少なくなる。上記バネ部110を導電部材で形成したときには、上記第1短絡部140および上記第2短絡部150により上記導電経路が増えるので、上記バネ部110だけが導電経路になる場合に較べて電気抵抗が少なくなる。上記接触部120、上記バネ部110、上記接続部130が上記奥行き方向に並び、上記接触部120から上記第1短絡部140が、上記接続部130から上記第2短絡部150がそれぞれ上記奥行き方向に延びるので、上記特許文献2のスプリングコネクタ、又は上記特許文献3ないし5のポゴピン式圧接型コネクタの接触子に較べて上記接触子100の厚さ、幅などを薄くすることができる。ひいては、例えば上記接触子100を電気コネクタCのハウジング200に組み込んだ場合、上記従来のコネクタに較べて上記接触子を用いた電気コネクタの厚さ、幅などが薄くなり、上記電気コネクタCをコンパクトにすることができる。また、上記バネ部110、上記接触部120、および上記接続部130のうち少なくとも二つを一体成形、連結、又は接続などによって一連に設けることが容易になる。
本発明の接触子の場合、上記バネ部と、上記接触部および上記接続部のうち少なくとも一方とが一連に設けられず別部材のまま配置されていてもよい。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態の接触子100は、上記接触部120と上記第1短絡部140とを一連に設け、上記接続部130と上記第2短絡部150とを一連に設け、上記バネ部110と、上記接触部120および上記接続部130のうち少なくとも一方とを一連に設けた。このようにすれば、上記接触子100がショックを受けたときに、一連に設けられたもの同士が離間することがないので、上記接触子100の上記接触部120から上記接続部130までの導通経路が一時的に断たれる瞬断を抑制することができる。
本発明の接触子の場合、上記バネ部が上記曲げバネ部を備えていなくてもよい。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態の接触子100は、上記バネ部110が、上記奥行き方向と交差する方向からみてU字形に形成されて両端が上記奥行き方向に隣接する部材に接続され曲げ剛性によりバネ定数が構成される曲げバネ部111を備えている。このようにすれば、上記曲げバネ部111の上記U字形部分の両端間が離間し、接近することで上記曲げバネ部111がバネとして機能する。そして、上記曲げバネ部111の例えば断面形状などを変えることで、上記曲げバネ部111のバネ定数、又は最大伸び量などが設定される。
本発明の接触子の場合、上記バネ部が上記捻りバネ部を備えていなくてもよい。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態の接触子100は、上記バネ部110が、上記接触部120又は上記接続部130から上記奥行き方向と交差する方向に延び、捻り剛性によりバネ定数が構成される捻りバネ部112を備えている。このようにすれば、上記捻りバネ部112が上記接触部120又は上記接続部130の回りに揺動することで上記捻りバネ部112がバネとして機能する。そして、上記捻りバネ部112の例えば断面形状などを変えることで、上記捻りバネ部112のバネ定数、又は最大伸び量などが設定される。また、上記曲げバネ部111と上記捻りバネ部112とを組み合わせた場合、それぞれのバネの特性を組み合わせて上記バネ部110のバネ定数、又は最大伸び量などを設定することが可能になる。
本発明の接触子の場合、上記第1短絡部が上記接触部から上記奥行き方向奥へ延び、上記第2短絡部が上記接続部から上記奥行き方向手前へ延び、上記第1短絡部と上記第2短絡部とが上記奥行き方向と交差する方向に重なっており、又は上記バネ部が圧縮されて上記奥行き方向に沿って変形したときに上記第1短絡部と上記第2短絡部とが上記奥行き方向と交差する方向に重なるように構成されておればよい。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態の接触子100は、上記バネ部110が上記奥行き方向に対して湾曲するように反ろうとすると上記第1短絡部140と上記第2短絡部150とが重なって押し合うことで上記反りを抑制し、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150との接触圧力を増すように構成されている。このようにすれば、上記バネ部110の反りが抑制されるので、例えば上記接触子100を電気コネクタCのハウジング200に組み込んだ場合、上記接触子100が上記ハウジング200と干渉する可能性が減り、例えば上記ハウジング200が上記バネ部110によって削れたり、その削りカスが不具合を起こすおそれが減る(例えば図12から図13を参照)。また、上記第1短絡部140と上記第2短絡部150との間で高い接触圧力が確保される。
本発明の接触子の場合、上記バネ部を上記奥行き方向からみて内側へ曲げなくてもよく、例えば上記奥行き方向と交差する方向にストレートに延ばしてもよい。そのような種々の実施形態のなかで、上記実施形態の接触子100は、上記バネ部110を上記奥行き方向からみて内側へ曲げた。このようにすれば、上記バネ部110を折り曲げないときに較べて上記バネ部110の機能を同等にしながら、上記バネ部の厚さ、幅などを薄くすることができる。
本発明の接触子は、以上で説明した各実施形態、及び変形例の特徴を組み合わせた実施形態を含んでいる。さらに、以上で説明した実施形態、及び変形例は本発明の接触子のいくつかの例を示したに過ぎない。したがって、これらの実施形態、及び変形例の記載によって本発明の接触子が限定解釈されることはない。