JP2009264744A - 表面プラズモン共鳴測定装置 - Google Patents

表面プラズモン共鳴測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】小型でしかも測定精度及び測定再現性を向上することができる表面プラズモン共鳴測定装置を提供する。
【解決手段】筐体37の底面に配置した光源32から筐体37の上面付近に配置したプリズム34に入射し、その上面に形成されたSPR部としての金属薄膜部33の表面で反射させ、その反射光をプリズム34を経て、筐体37の底面に配置した検出器35で受光し、金属薄膜部33への入射角を変えて検出器35で検出される信号強度が低下するSPRの共鳴角を読み取る。熱源となる光源32及び検出器35と、プリズム34及び金属薄膜部33とを断熱板36で空間的に遮断するように配置し、光源32側の熱が金属薄膜部33に伝わるのを低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体物質や化学物質の相互作用、濃度等を測定する為の、小型の表面プラズモン共鳴測定装置に関する。
近年タンパク質やDNA等の生体分子の検出や、タンパク質の相互作用を測定するための手段として、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance 以下SPRと呼ぶ)現象を利用した測定が行われるようになっている。
SPR測定は、生体分子の標識化の作業が不要であり、測定が簡便である。その反面、SPR測定装置は、大型で、据え置きで使用するものが多く、持ち運びが困難である。 上述のような観点から、小型のSPR測定装置の実用化が望まれており、研究・開発が進んでいる。
特許文献1には、光源と光検出器を実装したハウジング部分と、金属薄膜部と金属薄膜部へ角度を持った光を入射させるためのミラーを設けたプリズムを組み合わせる構成とした、小型のSPR測定装置が開示されている。
図11は、この特許文献1に記載された従来のSPR測定装置の構成を説明するための図である。
透明な基板ハウジング12と、プリズム19とを組み合わせた構成であり、基板ハウジング12には光源10と、この光源10近傍に迷光を防ぐ為の光シールド14と、光源10からの光を取り出す開口部15と、偏光を得るための偏光子16と、光検出器28とを備えている。
また、プリズム19は、光源10からの光線18の角度を変えるように配置した平面鏡20と、SPRを発生させる金属薄膜部22とを備えている。
基板ハウジング12とプリズム19は、図示されていない屈折率整合液を介して組み合わされている。
SPR測定は、プリズム19の一面に設けた金属薄膜部22の表面に測定対象の試料(図示なし)を配した状態で測定を行う。
光源10から発せられた光線18が平面鏡20で反射され、金属薄膜部22へ向かう。光線18は、光跡の光路であり、平面鏡20で反射された光線は、金属薄膜部22に対して光線の各々が角度が異なる状態で入射される。
光線の角度が異なる状態で金属薄膜部22へ入射されると、金属薄膜部22の表面近傍の物質の屈折率に応じて、共鳴角と呼ばれる入射角度の光線で金属薄膜部22表面にSPRが生じ、入射光のエネルギーの一部がSPRに移行した結果、金属薄膜部22で反射された光の強度が低下する。光検出器28は、反射光の強度の角度分布を測定し、SPRが起きた角度すなわち共鳴角を検出する。
この共鳴角のシフト量を読み取ることで、金属薄膜上の物質の状態の変化を測定することが出来る。
特開平10-38800号公報
前述した従来のSPR測定装置の構造では、光源10と光検出器28が熱源となり、光源10周辺の光シールド14やこれらを実装している基板ハウジング12に伝熱し、さらに基板ハウジング12とプリズム19は屈折率整合液を介して接しているため、プリズム19へと熱が伝わる。ひいては、プリズム19の1面に備えた金属薄膜部22へと熱が伝わる。
つまり、光源10や光検出器28からの熱が金属薄膜部22に伝熱しやすい構造となる為、金属薄膜上に試料を配して測定する際に、試料の温度がこれに伴って変化し、試料の屈折率が変化、ひいては共鳴角が変化する為、測定精度が悪くなる恐れがある。
すなわち、小型化すればするほど、光源・光検出器と金属薄膜部22までの距離がより接近する為、光源10側の熱が金属薄膜部22に伝導しやすくなり、測定精度及び測定再現性が悪<なる恐れがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、小型でしかも測定精度及び測定再現性を向上することができる表面プラズモン共鳴測定装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、表面を含む筐体内に表面プラズモン共鳴を発生させる表面プラズモン共鳴部と、該表面プラズモン共鳴部に光を放射する光源と、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を検出する検出器と、前記光源からの光を前記表面プラズモン共鳴部に入射させると共に、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を前記検出器に導光する光学素子とを備えた表面プラズモン共鳴測定装置において、
前記表面プラズモン共鳴部及び前記光学素子と、前記光源及び前記検出器とを隔てる断熱板を前記筐体内に備えたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、表面を含む筐体内に表面プラズモン共鳴を発生させる表面プラズモン共鳴部と、該表面プラズモン共鳴部に光を放射する光源と、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を検出する検出器と、前記光源からの光を前記表面プラズモン共鳴部に入射させると共に、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を前記検出器に導光する光学素子とを備えた表面プラズモン共鳴測定装置において、
前記光源及び検出器を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、表面を含む筐体内に表面プラズモン共鳴を発生させる表面プラズモン共鳴部と、該表面プラズモン共鳴部に光を放射する光源と、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を検出する検出器と、前記光源からの光を前記表面プラズモン共鳴部に入射させると共に、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を前記検出器に導光する光学素子とを備えた表面プラズモン共鳴測定装置において、
前記表面プラズモン共鳴部近傍に、温度調節手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、光源および検出器が動作する際の熱が表面プラズモン共鳴部に影響を及ぼすことを低減でき、測定精度及び測定再現性を向上することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表面プラズモン共鳴測定装置(以下SPR測定装置)31の構成を示す断面図である。
第1の実施形態に係るSPR測定装置31は、表面プラズモン共鳴(SPR)を発生させる為の励起光を出射(放射)する光源32と、測定対象の試料Sが載置され、SPRを発生させるSPR部を形成する金属薄膜部33と、金属薄膜部33で反射された反射光を受光してSPRの共鳴角を検出する検出器35とを備える。
また、このSPR測定装置31は、この金属薄膜部33に前置された光学素子としてのプリズム34を備えている。より具体的には、このプリズム34は、金属薄膜部33の前方の入射光側に配置され、光源32からの光を金属薄膜部33に入射させるように導光する。また、このプリズム34は、金属薄膜部33での反射光を検出器35で受光されるように導光する。
また、このSPR測定装置31は、前記光源32及び検出器35と、プリズム34との間の空間を仕切るように配置される断熱板36とを備えている。
また、このSPR測定装置31は、光源32、検出器35、金属薄膜部33が上面に設けられたプリズム34及び断熱板36を保持する筐体37とを備える。
光源32及び検出器35は、筐体37の例えば底面内側に、水平方向に離間して配置され、これに対して金属薄膜部33及びプリズム34は、筐体37の上面付近に配置され、上下方向或いは高さ方向に離間する両者の間には、断熱するための透明な断熱板36が配置されている。
従って、筐体37の底面に配置された光源32の光は、透明な断熱板36を透過して、光源32の斜め上方に配置され、光源32に対向したプリズム面からプリズム34に入射され、その上面のプリズム面に設けられた金属薄膜部33で反射される。
この金属薄膜部33で反射された反射光は、この金属薄膜部33の斜め下側に配置された検出器35に向けてプリズム面から出射され、途中の透明な断熱板36を透過して対向する検出器35で受光される。
上記のように下方に配置された光源32及び検出器35と、上方に配置された金属薄膜部33が設けられたプリズム34との間を仕切るように断熱板36を配置した構成とすることにより、筐体37内で(発熱する)熱源となる光源32及び検出器35側と、金属薄膜部33及びプリズム34とは断熱板36により熱的に隔てられ(仕切られ)た2つの空間38および39が筐体37内部に形成されることになる。
ここで、空間38、空間39は、内部が真空に近い状態で構成されていることが好ましい。真空に近い状態にすることにより空間38、空間39と断熱板36とによる熱伝導は、十分に小さく、ないしは極小化される。
ただし、空間38、空間39は、必ずしも真空に近い状態である場合に限定されるものでなく、例えば空気や窒素等の気体で充満された状態でも良い。
このように、筐体37内部を断熱板36により隔てることにより、光源32及び検出器35から発せられる熱は、プリズム34及びこのプリズム34の上面に設けられた金属薄膜部33に伝導されにくくなる。
つまり、断熱板36により、光源32及び検出器35が動作した場合の熱が金属薄膜部33に影響することを十分に低減することができる構成にしている。
なお、本実施形態等においては、筐体37の上面付近に金属薄膜部33が配置されているが、この構成例に限定されるものでなく、筐体37の高さよりも低い位置に金属薄膜部33が配置された構成でも良い。つまり筐体37の少なくとも(上面等の)表面からこれよりも筐体37の内部側となる構成の場合に広く適用できる。
筐体37と断熱板36は、フリットガラス、ハンダ等の中間介在物や、局所加熱による溶接等で接合する。若しくは、嵌め込み実装や、筐体37外部から前記断熱板36およびプリズム34をネジ等の手段で固定していてもよい。
断熱板36は、特に低熱伝導率の材料を用いる。この断熱板36としては、特に、ガラスや透明なプラスチック樹脂などの材料が適する。
なお、断熱板36は1つの材料でなくともよ<、複数の材料を積層させて構成しても良い。
断熱板36の形状は、図1の構成例では平板の場合で示しているが、光源32からの光をプリズム34に入射可能な形状であれば図1に示す平板である必要は無く、他の形状でもよい。
さらに、図1においては、断熱板36が1枚の例を示しているが、複数枚の構成にしても良い。
また、図1においては、3角柱形状のプリズム本体と、このプリズム本体を筐体37に取り付ける板形状のプリズム本体取付部とが一体化されたプリズム34の構成例で示しているが、図2に示す変形例のSPR測定装置31Bのように両者を分離して形成しても良い。
図2の構成例では、プリズム本体34aは、プリズム本体取付部34bに固定され、このプリズム本体取付部34bの端部が筐体37に固定されている。この構成の場合には、プリズム本体取付部34bは、プリズム本体34aと異なる材質の部材を用いることができる。また、プリズム本体取付部34bは、例えば筐体37と同じ材質の部材で形成しても良い。或いはプリズム本体取付部34bは、例えば低熱伝導率の材質のものを用いて、断熱の機能を兼ねるようにしても良い。
断熱板36には、光源32から放射される光を、プリズム34の上面の金属薄膜部33にSPRを発生させるように光線を通す光路部分に、例えば図2に示すように平行光にするコリメートレンズ41や、P偏光の光で金属薄膜部33に入射させるように偏光させる偏光子42を追加形成していてもよい。また、図示しない絞りを追加形成しても良い。
なお、コリメートレンズ41の代わりに、金属薄膜部33にスポット状に集光させる集光レンズ(図3参照)にしても良い。
また、図2の構成例では断熱板36における金属薄膜部33での反射光を検出器35側に導光する光路部分を透明な断熱板43により形成している。
そして、コリメートレンズ41、偏光子42及び透明な断熱板43を除く部分の断熱板36としては、透明な断熱材に限定されないで、不透明な材質のものを採用できる構成にしている。
なお、後述するように図2の構成例において、コリメートレンズ41及び偏光子42部分を透明な断熱材とし、コリメートレンズ41(或いは集光レンズ)及び偏光子42を光源32側に設けるようにしても良い。
なお、図2において、図1と同じ構成要素は、図1の場合と同じ符号を付けて、その説明を省略する。
図2の構成の場合には、断熱手段としての大部分を構成する断熱板36として、透明な材質に限定されないため、より断熱機能が高い材質を選択したり、コストを考慮して材質を選択する等の自由度が増す。
筐体37としては、箱型形状であって、その材料は、機械的に剛性が大きいものが望ましい。
SPR測定装置31(或いは31B)の筐体37は、同じ材料の板材もしくは異なる材料の板材を箱状に接合して形成したもの、機械加工等により1つの材質を箱状に加工したものであってもよい。
使用できる材料としては、例えばステンレススチール等の金属材料、シリコン(Si)、ガラス等を用いることができ、熱の伝導を低下させるために、例えば低熱伝導率のセラミックが好適となる。
光源32は、例えばレーザダイオード(LD)からなる半導体レーザや、発光ダイード(LED)等の発光素子であり、可視光から近赤外領域の波長のものを選択し、望ましくは半値幅が狭い発光素子を用いる。
光源32の発光には、筐体37外、若しくは、筐体37内に図示しない電源手段を設置して、作動させる。
図2の構成例では、筐体37外に電源44を設置した場合を示し、外部の電源44から筐体37の内部の光源32に発光させる電力を供給する電源供給ケーブル45により電気的導通部が設けられている。
光源32から発せられた光は、図1の図示例では金属薄膜部33の紙面に平行な面に入射され、金属薄膜部33の水平面に入射される光が、全反射するような入射角度で入射されるように光源32が配置されている。このため、図1に示すように光源32は、この光源32から光を出射(放射)する方向が、筐体37の水平な底面に対して角度を付けた状態、つまり斜め上方に光を放射する状態で実装されている。
図1の構成例では、光源32が筐体37に固定された状態で示しているが、金属薄膜部33への入射角度を適宜の角度範囲(具体的には、SPRが起きない入射角度からSPRが起きる入射角度までの角度範囲)変化させられるようにしている。その具体例として、例えば図3は、金属薄膜部33への入射角度を変化させて入射させる入射角度可変機能を持つ構成で示している。
図3に示すSPR測定装置31Cにおいては、光源32は、筐体37の底面に取り付けられた回転装置46に取り付けられている。この回転装置46は、例えば図3中の紙面に垂直な軸の回りで回転するモータ等の回転部47を有し、この回転部47の回転軸に光源32が取り付けられている。そして、図示しない回転操作部を操作することにより、回転部47を回転させて、光源32から放射される光の方向を適宜の角度、可変することができる。
また、図1の光源32部分に、金属薄膜部33に小さいスポツト状の放射光や、偏光した光を生成するために、ピンホール状の開口や偏光子を光源32の発光面側に設けるようにしても良い。
図3は図1の光源32部分に、小さいスポツトの放射光と偏光を生成するために、遮光枠を用いてピンホール状の開口48、集光レンズ49及び偏光子42を光源32の発光面の直前に設けた構成例を示している。
図3の構成の場合には、図1のような断熱板36を採用することができる。或いは、図2におけるコリメートレンズ41及び偏光子42部分を透明な断熱板50とした構成にしても良い。図3の例では、図2の透明な断熱板43と上記透明な断熱板50を用いた構成例で示している。
光源32から出射された光を金属薄膜部33に入射させると共に、金属薄膜部33での反射光を検出器35に入射させるように導光するプリズム34は、ガラス、樹脂、などの透明な材料で形成される。
金属薄膜部33は、プリズム34に形成された(光の)入射面及び出射面と反対側となる上面に形成される。
この金属薄膜部33は、SPR測定機能を達するため、金(Au)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)等の材料が蒸着等でプリズム34の上面に形成されており、SPR測定を行うためにはその膜厚は、10nm〜100nmの範囲が適する。
また、金属薄膜部33は、均質な膜でなくともよく、測定対象の試料Sに応じて微細パターニング加工やタンパク質結合性がある分子パターニング処理が施されている状態が使用しやすく好ましい。
検出器35は、金属薄膜部33から反射された光を受光し、SPRの共鳴角を得る機能を有するものであり、面受光素子としてのフォトダイオードやPSD(Position Sensitive Detector) 、電荷結合素子(CCD)、CMOSイメージャなどの受光デバイスを用いる。
検出器35の近傍には、この検出器35で検出され、光電変換された検出信号(電気信号)を基に共鳴角を表す信号に変換してSPR測定装置31(31B,31C)の外部に出力する機能を有するASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のマイクロコンピュータ、信号を記憶するメモリ、電気信号の入出力を入出力インタフェースを含む入出力装置を設けても良い。
例えば、図3においては、筐体37内部における検出器35に隣接して、入出力装置51が設けられた構成例を示している。この入出力装置51は、検出器35により検出された検出信号がケーブル52を介して入力される。また、この入出力装置51には、外部の電源44から電源供給ケーブル45bを介して動作に必要な電力が供給される。
このようにした場合、外部で信号処理する必要が無く、SPR測定装置31C等を高集積化してより小型化することを実現できる。
なお、図1に示す検出器35は、筐体37外、または筐体37内の図示しない電源から供給される電力により作動する。
図3においては、入出力装置51を筐体37の内部に設けた構成例を示しているが、筐体37の外部に設けるようにしても良い。
次に、本SPR測定装置31等による測定方法を説明する。
金属薄膜部33上に測定対象の試料Sを配した状態で、光源32から光を出射し、その光は、例えば図1の断熱板36を屈折して透過し、プリズム34の入射面に入射され、さらにその上面に設けられた金属薄膜部33で反射される。
この金属薄膜部33で反射された光は、図1の断熱板36を透過して検出器35で受光される。そして、検出器35の検出信号の強度(レベル)は、金属薄膜部33で反射された反射光の光量或いは光強度に対応した値となる。
この状態で、光源32の光の放射方向、つまり金属薄膜部33への入射角度を変更(掃引)する。すると、SPRが発生していないと、検出器35で検出される値は高い値のままであるが、金属薄膜部33に入射した光が反射する際、共鳴角と呼ばれる角度でSPRが起こると、入射光のエネルギーの一部がSPRに移行する。
この場合には、その共鳴角の条件を満たす時、検出器35で検出される値が低下するので、その値が低下する共鳴角を読み取る。
共鳴角は、金属薄膜部33の金属薄膜の材質・膜厚や、金属薄膜上の試料Sの屈折率等の状態により異なる。この共鳴角のシフト量を読み取ることで、タンパク質の相互作用等、試料Sの状態を測定することが出来る。
このような構成により、光源32及び検出器35がその動作で発生する熱がSPR部を形成する金属薄膜部33に伝わりにくくする構成であるため、金属薄膜部33及びその上に載置される試料Sの温度変化を小さくできる。
従って、本実施形態及び変形例によれば、温度変化による屈折率変化も小さくでき、小型化を維持しながら測定精度を向上すると共に、測定結果の再現性を向上することもできる。
また、温度変化により、金属薄膜部33と試料Sとの接触部における熱的歪み等も低減でき、再現性を向上することができる。
なお、本実施形態等では、光学素子としてプリズム34を用いた例で説明したが、回折格子を用いても良い。
(第2の実施形態)
次に図4を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係るSPR測定装置31Dの概略の構成を断面図で示す。
以下、第1の実施形態のSPR測定装置31及びその変形例と同じ構成要素についてはその詳細の説明を省き、異なる箇所のみを説明する。図5以降も同様である。
本実施形態では、断熱板36の構成要素として断熱板36の内部に中空部61を設けている。この中空部61の内部は、真空或いは気体充填とする。
本実施形態のSPR測定装置31Dは、第1の実施形態のSPR測定装置31に比べて中空部61が設けてある為、その部分での熱伝導を殆ど無くすことができ、実質的に対流による熱の伝達のみにできる。
従って、断熱板36による断熱性の機能を、第1の実施形態よりも向上することができる。
さらに、中空部61を真空とした場合は、対流も無くすことができるため、より断熱板36による断熱性の機能を向上することができる。
このように本実施形態によれば、光源32や検出器35から発せられる熱がプリズム34及び金属薄膜部33に伝わることをより有効に防ぐことができ、より高精度の測定並びに再現性のよい測定結果を得ることが可能になる。
なお、図4においては、断熱板36内に、この断熱板36の外周面から完全に遮断された中空部61の中空層を1層、形成した例としているが、中空部61の層数は1層に限るものではな<、複数形成してもよい。この場合、中空層を複数とすることにより、断熱性を更に向上することができる。
なお、図4は、図1の構成に適用した場合で示しているが、図2或いは図3の構成の場合に適用しても良い。また、図2或いは図3に適用する場合、それらの図中の断熱板36の他に、図4の中空部61を有する断熱板36を高さ方向に追加形成(つまり複数層となるように形成)するようにしても良い。
(第3の実施形態)
次に図5を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。図5は、本発明の第3の実施形態に係るSPR測定装置31Eの概略の構成を示す断面図である。
本実施形態は、プリズム34及び金属薄膜部33を、熱源としての光源32及び検出器35から熱的に遮断する断熱手段として断熱板36を有すると共に、さらに断熱板36の表面に特定の波長領域を吸収するフィルタ66を具備して、断熱手段の機能を向上している。
このフィルタ66は、具体的には(遠赤外光を含む)赤外光の波長領域の光を遮光(カット)する赤外(IR)カットフィルタで構成され、このフィルタ66は、この赤外光の波長領域以外のSPR測定に用いる波長の光、例えば可視光を透過する特性を持つ。
図5に示す第3の実施形態に係るSPR測定装置31Eは、例えば図1のSPR測定装置31において、光源32からプリズム34に入射する光路中における空間39に臨む断熱板36表面にフィルタ66が配置、或いはIRカット処理が施された構成となっている。
フィルタ66によって、光源32からプリズム34に達する光成分における赤外光成分を吸収するため、光源32からプリズム34に赤外光成分が到達することを防止される。 本実施形態のSPR測定装置31Eは、第1の実施形態のSPR測定装置31に比べて、光源32とプリズム34との間の光路中での赤外光が遮断されることになり、赤外光によるプリズム34及び金属薄膜部33への熱放射を防ぐ作用がある。
つまり、赤外線は、プリズム34及び金属薄膜部33を加熱する機能を持つので、光源32から放射される光からこの赤外線成分を除去することにより、金属薄膜部33が加熱されることを防止できる。
この為、金属薄膜部33における熱放射による温度上昇を抑制でき、より精度が良く、かつ再現性のよい測定結果を取得することが可能になる。
なお、図5においては、フィルタ66を断熱板36の表面の一部に配しているが、フィルタ66を断熱板36の表面の全体に配していても良い。この場合、プリズム34に入らない光に対しても赤外光遮断作用が及ぶので、より赤外光による熱放射を抑えられる。 また、フィルタ66を、さらに空間38,39における筐体37の壁面に配置しても良く、この場合、壁面でも赤外光を吸収することができるので、プリズム34に入射する赤外光が少なくなることから、金属薄膜部33における熱放射による温度上昇をより抑えられる。
図5のSPR測定装置31Eは、第1の実施形態のSPR測定装置31に適用した構成例を示しているが、第1の実施形態の変形例や、第2の実施形態のSPR測定装置31Dに適用しても良い。
(第4の実施形態)
次に図6を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。図6は、本発明の第4の実施形態に係るSPR測定装置31Fの概略の構成を示す断面図である。
本実施形態は、断熱手段として、断熱板36と、この断熱板36にさらに迷光防止手段71を設けている。
この迷光防止手段71は、光源32から発せられる光で、SPRの発生及びその反射光の検出に利用されない迷光を低減或いは除去するためのものであり、具体的には反射防止材と遮光材を組み合わせて構成される。
図6に示すSPR測定装置31Fは、例えば図1のSPR測定装置31において、空間38,39に臨み、光源32からプリズム34ヘ入射する光路およびプリズム34から検出器35へ入射する光路における断熱板36表面には、SPRの測定に用いられる波長の光を効率良く透過する反射防止材71aを配置する構成としている。そして、この反射防止材71aは、赤外光を透過しないで、カットする機能を備えている。
また、上記反射防止材71aを設けない断熱板36の空間38および空間39に接する表面には遮光材71bを形成する。そして、上記反射防止材71aと遮光材71bとにより、迷光防止手段71を形成している。
本実施の形態のSPR測定装置は、第1の形態のSPR測定装置31に比べて、光源32からプリズム34に至る間の光路中において、赤外光の迷光がプリズム34に入射されるのを防止でき、赤外光が空間39から空間38側に透過しにくくでき、ひいてはプリズム34および金属薄膜部33へ赤外光を到達しにくくできる。このため、金属薄膜部33における赤外光の熱放射による温度上昇がより抑えられる。
また、SPR測定に用いる波長の光(但し、赤外光以外の波長)は、断熱板36での反射が低減されて光源32からプリズム34へと、また、金属薄膜部33での反射光は、断熱板36での反射が低減されて検出器35に入射される。このため、SPR測定に用いる波長の光を効率良くSPR測定に用いることができる。
また、光源32からSPR測定に用いる光路以外の部分に赤外光等が放射されても、そのような光は、SPR測定に用いる光路部分以外の断熱板36の表面の遮光材71bにより、SPR測定の光に迷光として混入することを防止できる。
なお、迷光防止手段71は、空間38,39における筐体37の内壁面にも配置しても良い。この場合、付加効果として迷光が検出器35により入射しにくくできるため、検出器35へのノイズが少なくなり、測定精度が向上する。
(第5の実施形態)
次に図7を参照して本発明の第5の実施形態を説明する。図7は、本発明の第5の実施形態に係るSPR測定装置31Gの概略の構成を示す断面図である。
本実施形態は、筐体37に冷却手段81、より具体的には熱源となる光源32と検出器35付近に、これらを冷却する冷却手段(或いは放熱手段)81を設けた構成としている。
この冷却手段81は、筐体37内部と筐体37外部とを熱交換する機能を有するものであって、図7に示すように筐体37における光源32と検出器35の近傍に冷却或いは放熱する冷却手段81を配置することが好ましい。この冷却手段81により、光源32及び検出器35から発生する熱を筐体37の外部へ放出する。
冷却手段81の具体的な構成例として、例えば銅(Cu)等の熱伝導率が高い金属を介して筐体37外部と内部を結び、筐体37内部の熱を筐体37外部に逃がす構造、或いは、空冷式、水冷式のヒートシンク、放熱板、または電気冷却素子としてのペルチエ素子のような電流を流して吸熱する素子を用いることが出来る。
上記の構成は、第1から第4の実施形態と比較した場合、光源32及び検出器35で発生する熱を冷却或いは外部に放出することができる。この為、光源32及び検出器35で発生する熱が金属薄膜部33に伝導する等の影響を有効に防止でき、より精度が良く、再現性のよい測定結果を取得することが可能になる。つまり、測定精度と再現性を向上することができる。
図7では、冷却手段81は、筐体37の底面に配置されているが、これ以外、例えば基板の底面、側面であっても良い。この場合、筐体37自体を伝わる熱が前記冷却手段により冷却されるため、筐体37を伝わってプリズム34へ伝熱する熱を冷却することが出来る。また、冷却手段81を複数設置することによって、冷却機能を向上することができる。このように光源32等の熱源とプリズム34との間の熱が伝わる伝導路の間の筐体37に設けるようにしても良い。
また、図7の構成例においては、図1等に示した断熱板36を有しない構成であるが、断熱板36を設けた構成にしても良い。図8は、図7の構成において、例えば第1の実施形態で示した断熱板36を設けた変形例のSPR測定装置31Hの構成を示す。本変形例は、プリズム34へ熱が伝熱する機能をより低減できる。
(第6の実施形態)
次に図9を参照して本発明の第6の実施形態を説明する。図9は、本発明の第6の実施形態に係るSPR測定装置31Iの概略の構成を示す断面図である。
本実施形態は、金属薄膜部33近傍に、温度を検出する温度センサ86、温度を調節する温度調節手段87を配置した構成である。
温度センサ86の具体例としては、サーミスタ、水晶温度計、IC温度計、熱電対等を用いることができる。例えば、熱電対を用いた場合では、プリズム34上に白金(Pt)やPt化合物等、一般的に熱電対に用いられる金属をパターニングする方法を用いればよい。
温度調節手段87の具体例としては、抵抗によるヒーター素子(発熱素子)や、ペルチエ素子、水・空冷式のヒートシンク、及びこれらから実際に使用する素子等を駆動するドライバからなる。
そして、温度センサ86が検出(測定)した温度出力により、温度調節手段87は温度調節を行うように温度センサ86と温度調節手段87とを組み合わせて構成する。
SPR測定時は、温度センサ86の温度出力を温度調節手段87に入力し、温度調節手段87は、金属薄膜部33近傍を任意の温度環境で行うことができるように温度調節する。
上記の構成とすることにより、第1の実施形態から第4の実施形態と比較した場合、金属薄膜部33の温度が変化しても、温度センサ86によりその温度を検出(測定)する。そして、温度調節手段87により、温度調節して、金属薄膜部33の温度を一定に保つようにする効果が得られるため、測定精度や測定再現性が良くなる。
また、第1の実施形態等と類似の効果として、熱源となる光源32及び検出器35側の熱が金属薄膜部33に伝導して金属薄膜部33の温度を上昇させようとした場合、温度調節手段87により、温度調節して、金属薄膜部33の温度を一定に保つため、熱源となる光源32及び検出器35による熱の影響を低減ないしは解消できる。
なお、本実施の形態では、温度調節手段87と温度センサ86の両方を用いているが、温度調節手段87及び温度センサ86をそれぞれ単独で使用しても良い。
温度調節手段87を単独で用いる場合には、金属薄膜部33近傍を一定の温度になるように温度調節すればよい。
また、温度センサ86を単独で用いる場合には、温度センサ96の温度出力を検出して、検出器35の出力に熱の影響を加味した補正を行えばよい。
また、図9の構成例では、断熱板36を有しない構成であるが、断熱板36を設けた構成にしても良い。
図10は、第6の実施形態の変形例のSPR測定装置31Jの構成を示す。このSPR測定装置31Jは、図9の構成において、断熱板36を備える。また、さらに金属薄膜部33及び試料Sとを外部と熱的に遮断するようにその周囲を覆う断熱蓋91を備えている。
また、温度調節手段87の温度情報は、ケーブル92により入出力装置51に入力される。また、この入出力装置51には検出器35により検出された検出信号がケーブル93を経て入力され、この検出信号と温度情報とを関連付けて測定情報として記録する。
本変形例によれば、筐体37の外部(周囲)の温度が異なる場合にも、その影響を低減して同じ温度の環境でSPR測定ができる。
また、実際に設定した温度の情報と共にSRP測定した測定情報を記録できる。従って、異なる温度に設定した場合にも、比較等がし易い測定データを取得できる。
以上、第1から第6の実施形態を説明し、測定再現性が良く、かつ精度を向上できるSPR測定装置を説明した。
上記の実施形態を個別に用いて構成した場合に限らず、それぞれの実施形態を組み合わせた場合においても本発明は効果があることは明らかである。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、変更、改変等が可能であり、そのような構成も本発明に属する。
例えば、断熱手段として、例えば図10に示す断熱板36を板形状でなく、断熱蓋91のように箱形形状とし、中央のプリズム34部分を下側から覆う形状にしても良い。
SPRにより金属薄膜部にセットされる測定対象の試料の性状を評価する。
本発明の第1の実施形態に係るSPR測定装置の概略構成を示す断面図。 第1の実施形態の変形例に係るSPR測定装置の概略構成を示す断面図。 第1の実施形態の他の変形例に係るSPR測定装置の概略構成を示す断面図。 本発明の第2の実施形態に係るSPR測定装置の概略構成を示す断面図。 本発明の第3の実施形態に係るSPR測定装置の概略構成を示す断面図。 本発明の第4の実施形態に係るSPR測定装置の概略構成を示す断面図。 本発明の第5の実施形態に係るSPR測定装置の概略構成を示す断面図。 第5の実施形態の変形例に係るSPR測定装置の概略構成を示す断面図。 本発明の第6の実施形態に係るSPR測定装置の概略構成を示す断面図。 第6の実施形態の変形例に係るSPR測定装置の構成を示す断面図である。 従来例のSPR測定装置の構成を示す断面図である。
符号の説明
31…SPR測定装置、32…光源、33…金属薄膜部、34…プリズム、35…検出器、36…断熱板、37…筐体、38,39…空間、44…電源、46…回転装置、51…入出力装置、61…中空部、66…フィルタ、71…迷光防止手段、81…冷却手段、86…温度センサ、87…温度調節手段

Claims (8)

  1. 表面を含む筐体内に表面プラズモン共鳴を発生させる表面プラズモン共鳴部と、該表面プラズモン共鳴部に光を放射する光源と、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を検出する検出器と、前記光源からの光を前記表面プラズモン共鳴部に入射させると共に、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を前記検出器に導光する光学素子とを備えた表面プラズモン共鳴測定装置において、
    前記表面プラズモン共鳴部及び前記光学素子と、前記光源及び前記検出器とを隔てる断熱板を前記筐体内に備えたことを特徴とする表面プラズモン共鳴測定装置。
  2. 前記断熱板は、中空構造であることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴測定装置。
  3. 前記断熱板は、表面に反射防止処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面プラズモン共鳴測定装置。
  4. 前記断熱板は、表面に赤外カツト処理が施されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの請求項に記載の表面プラズモン共鳴測定装置。
  5. 前記断熱板は、前記光源から前記表面プラズモン共鳴部に入射し、前記表面プラズモン共鳴部での反射光が前記検出器に入射する光路に臨む光透過箇所以外が遮光されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面プラズモン共鳴測定装置。
  6. 表面を含む筐体内に表面プラズモン共鳴を発生させる表面プラズモン共鳴部と、該表面プラズモン共鳴部に光を放射する光源と、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を検出する検出器と、前記光源からの光を前記表面プラズモン共鳴部に入射させると共に、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を前記検出器に導光する光学素子とを備えた表面プラズモン共鳴測定装置において、
    前記光源及び検出器を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする表面プラズモン共鳴測定装置。
  7. 表面を含む筐体内に表面プラズモン共鳴を発生させる表面プラズモン共鳴部と、該表面プラズモン共鳴部に光を放射する光源と、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を検出する検出器と、前記光源からの光を前記表面プラズモン共鳴部に入射させると共に、前記表面プラズモン共鳴部からの反射光を前記検出器に導光する光学素子とを備えた表面プラズモン共鳴測定装置において、
    前記表面プラズモン共鳴部近傍に、温度調節手段を備えることを特徴とする表面プラズモン共鳴測定装置。
  8. 前記表面プラズモン共鳴部近傍に、温度センサを備えることを特徴とする請求項7に記載の表面プラズモン共鳴測定装置。
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