JP2009263725A - 高温強度に優れる溶接構造用鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 C:0.01〜0.10%、Si:0.60%以下、Mn:0.2〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.010%以下、Mo:0.05〜0.20%、Nb:0.01〜0.10%、Al:0.060%以下、N:0.001〜0.006%で、かつ、C+Mo/10+Nb:0.06〜0.12%で、必要に応じ、特定量のV、Ti、Ni、Cu、Cr、B、Mg、Ca、REMを1種または2種以上をさらに含有する鋳片または鋼片を、1000〜1300℃の温度に加熱し、オーステナイト未再結晶温度域での累積圧下量を30%以上として850点以上の温度で熱間圧延を終了した後、放冷する。
【選択図】 なし
Description
C:0.01〜0.10%、
Si:0.60%以下、
Mn:0.2〜2.0%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Mo:0.05〜0.20%、
Nb:0.01〜0.10%、
Al:0.060%以下、
N:0.001〜0.006%
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ、
0.06≦C+Mo/10+Nb≦0.12%
を満足する鋳片または鋼片を、1000〜1300℃の温度に加熱し、オーステナイト未再結晶温度域での累積圧下量を30%以上として850℃以上の温度で熱間圧延を終了した後、放冷することを特徴とする高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
V:0.01〜0.20%、
Ti:0.005〜0.025%
の範囲で1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
Ni:0.05〜0.50%、
Cu:0.05〜0.50%、
Cr:0.05〜1.0%、
B:0.0002〜0.003%、
Mg:0.0002〜0.005%
の範囲で1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
Ca:0.0005〜0.004%、
REM:0.0005〜0.008%
の範囲で1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
Cは、高張力鋼としては非常に低いレベルに限定しており、本発明の特徴の一つである。これは、後述する他の成分とともに製造方法とも密接に関係している。鋼成分の中でもCは鋼材の特性に最も大きな影響を及ぼすもので、下限0.01%は強度確保や溶接、ガス切断などの熱影響部が必要以上に軟化することのないようにするための最小量である。しかし、C量が多すぎると焼入性が必要以上に上がり、鋼材が本来有すべき強度、靱性のバランス、溶接性、溶接部靭性などに悪影響を及ぼすため、上限を0.10%とした。
Siは、脱酸上鋼に含まれる元素であるが、多く添加すると溶接性、HAZ靭性が劣化するため、上限を0.60%に限定したが、好ましくは0.45%以下である。鋼の脱酸はTi、Alのみでも十分可能であり、HAZ靱性、焼入性などの観点から低いほど好ましく、Siは必ずしも添加する必要はない。
Mnは、常温の強度、靭性を確保する上で不可欠な元素であり、その下限は0.2%である。しかし、Mn量が多すぎると焼入性が上昇して溶接性、HAZ靭性を劣化させるだけでなく、連続鋳造スラブの中心偏析を助長するので上限を2.0%とした。好ましくは0.5〜1.6である。
Pは、本発明鋼においては不純物であり、P量の低減はHAZにおける粒界破壊を減少させる傾向があるため、少ないほど好ましい。含有量が多いと母材、溶接部の低温靭性を劣化させるため上限を0.020%としたが、0.010%以下が好ましい。
Sは、Pと同様本発明鋼においては不純物であり、母材の低温靭性の観点からは少ないほど好ましい。含有量が多いと母材、溶接部の低温靭性を劣化させるため上限を0.010%としたが、0.005%以下が好ましい。
Moは、後述するNbとともに高温強度を確保する上で本発明においては必須元素である。ただし、Moは高価で市況変化も大きいため、本発明においては、コストと製造安定性(すなわち材質安定性)とのバランス上、比較的に少量添加に限定した。すなわち、下限の0.05%は、後述する圧延後放冷する製造プロセスにおいて、Moの高い焼入性効果を顕著に発現できる最小量であり、上限の0.20%は、高温強度を補うに足り、かつ耐火被覆工法に若干の市況変動を考慮してもなお比肩し得るコストとする上での許容上限量である。したがって、冶金的、技術的限界量ではなく、商業生産上低コストを指向したものであって本発明の特徴を明確にするためのものである。
Nbは、Mo同様、本発明における最も重要な元素の一つである。なぜなら、前記のように比較的低いMo添加に限定された本発明鋼においては、高温耐力確保のため固溶NbならびにNbの析出物(炭窒化物)を利用しているからである。それらの効果を享受するため、最低0.01%の添加が必須である。高温強度の観点からは、Nbは多いほど有利であるが、HAZ靭性や経済性の観点から0.10%に限定する。この上限については、必ずしも限界を見極めたわけではないが、本発明者らの実験により、溶接部の大幅な靭性劣化を招かない範囲として、限定したものである。なお、Nb添加は、オーステナイトの未再結晶温度を上昇させ、熱間圧延時の制御圧延の効果を最大限に発揮することにも寄与する。好ましくは、Nbは0.01〜0.06%である。
Alは、一般に脱酸上鋼に含まれる元素であるが、脱酸はSiまたは必要に応じて添加するTiだけでも十分であり、本発明鋼においては、その下限は限定しない。しかし、Al量が多くなると鋼の清浄度が悪くなるだけでなく、溶接金属の靭性が劣化するので上限を0.060%とした。
Nは、不可避的不純物として鋼中に含まれるものであるが、Nbと結合して炭窒化物を形成して強度を増加させ、また、Tiを添加した場合、TiNを形成して前述のように鋼の性質を高める。このため、N量として最低0.001%必要である。しかしながら、N量の増加は溶接熱影響部靭性、溶接性に有害であり、本発明鋼においてはその上限は0.006%であるが、0.005%以下とすることが好ましい。
Vは、Nbとほぼ同様の効果を有し、本発明におけるVの役割は、Nbを補完するものである。ただし、Vは、Nbに比べて効果は小さく、焼入れ性にも影響を及ぼすため、上下限を限定したものだが、下限はV添加の効果を確実に享受できる最少量として0.01%に、上限はあくまでNbの補完的役割であることと溶接性への影響も勘案し0.20%とした。好ましくは、0.01〜0.10%である。
Tiは母材および溶接熱影響部靭性向上のため、溶接構造用鋼としては添加することが望ましい。なぜならばTiは、Al量が少ないとき(例えば0.003%以下)、Oと結合してTi2O3を主成分とする析出物を形成、粒内変態フェライト生成の核となり溶接熱影響部靭性を向上させる。また、TiはNと結合してTiNとしてスラブ中に微細析出し、加熱時のγ粒の粗大化を抑え圧延組織の細粒化に有効であり、また鋼板中に存在する微細TiNは、溶接時に溶接熱影響部組織を細粒化するためである。これらの効果を得るためには、Tiは最低0.005%必要である。しかし多過ぎるとTiCを形成し、低温靭性や溶接性を劣化させるので、その上限は0.025%、好ましくは0.015%である。
Niは、過剰に添加しなければ、溶接性、溶接熱影響部靭性に悪影響を及ぼすことなく母材の強度、靭性を向上させる。これら効果を発揮させるためには、少なくとも0.05%以上の添加が必須である。一方、過剰な添加は高価なだけでなく、溶接性に好ましくない。また、Niを多く添加すると液体アンモニア中で応力腐食割れ(SCC)を誘起する可能性が指摘されている。発明者らの実験によれば、1.0%までの添加は溶接性や液体アンモニア中でのSCCを大きく劣化させず、強度、靭性向上効果の方が大きいが、経済性を優先し、上限を0.50%とした。
Cuは、Niとほぼ同様の効果、現象を示し、上限の0.50%は溶接性劣化に加え、過剰な添加は熱間圧延時にCu−クラックが発生し製造困難となるため規制される。下限は実質的な効果が得られるための最小量とすべきで0.05%である。
Crは、焼入性向上効果により変態温度が低下して常温および高温強度を嵩上げするとともに、Crの固溶強化やCr炭化物は高温強度維持に寄与する。これらの効果を享受するため、最低0.05%は必要である。しかし、添加量が多すぎると母材、溶接部の靭性および溶接性の劣化を招き、経済性も失するため上限を1.0%としたが、好ましくは0.10〜0.80%である。
Bは、オーステナイト粒界に偏析し、フェライトの生成を抑制することを介して、焼入性を向上させ、強度向上に寄与する。この効果を享受するため、最低0.0002%以上必要である。しかし、多すぎる添加は焼入性向上効果が飽和するだけでなく、靭性上有害となるB析出物を形成する可能性もあるため、上限を0.003%とした。なお、タンク用鋼などとして、応力腐食割れが懸念されるケースでは、母材および溶接熱影響部の硬さの低減がポイントとなることが多く(例えば、硫化物応力腐食割れ(SSC)防止のためにはHRC≦22(HV≦248)が必須とされる)、そのようなケースでは焼入性を増大させるB添加は好ましくない。
Mgは、溶接熱影響部においてオーステナイト粒の成長を抑制し、細粒化する作用があり、溶接部の強靭化が図れる。このような効果を享受するためには、Mgは0.0002%以上必要である。一方、添加量が増えると添加量に対する効果代が小さくなるため、コスト上得策ではないので上限は0.005%としたが、0.003%とすることが好ましい。
CaおよびREMは、MnSの形態を制御し、母材の板厚方向特性や低温靭性を向上させるほか、湿潤硫化水素環境下での水素誘起割れ(HIC、SSC、SOHIC)感受性を低減させる。これらの効果を発揮するためには、夫々最低0.0005%必要である。しかし、多すぎる添加は、鋼の清浄度を逆に悪化させ、母材靭性や湿潤硫化水素環境下での水素誘起割れ(HIC、SSC、SOHIC)感受性を高めるため、添加量の上限はCa、REMそれぞれ0.004%、0.008%に限定した。CaとREMは、ほぼ同等の効果を有するため、いずれか1種を上記範囲で添加すればよく、両者を添加してもよい。
Claims (4)
- 成分が質量%で、
C:0.01〜0.10%、
Si:0.60%以下、
Mn:0.2〜2.0%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Mo:0.05〜0.20%、
Nb:0.01〜0.10%、
Al:0.060%以下、
N:0.001〜0.006%
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、かつ、
0.06≦C+Mo/10+Nb≦0.12%
を満足する鋳片または鋼片を、1000〜1300℃の温度に加熱し、オーステナイト未再結晶温度域での累積圧下量を30%以上として850℃以上の温度で熱間圧延を終了した後、放冷することを特徴とする高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。 - さらに、質量%で
V:0.01〜0.20%、
Ti:0.005〜0.025%
の範囲で1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。 - さらに、質量%で
Ni:0.05〜0.50%、
Cu:0.05〜0.50%、
Cr:0.05〜1.0%、
B:0.0002〜0.003%、
Mg:0.0002〜0.005%
の範囲で1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。 - さらに、質量%で
Ca:0.0005〜0.004%、
REM:0.0005〜0.008%
の範囲で1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高温強度と低温靭性に優れる溶接構造用鋼の製造方法。
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JP2013044027A (ja) * | 2011-08-25 | 2013-03-04 | Jfe Steel Corp | 耐火鋼材およびその製造方法 |
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JP2007002308A (ja) * | 2005-06-24 | 2007-01-11 | Jfe Steel Kk | 加工性に優れた高張力鋼板及びその製造方法 |
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2008
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