JP2009263330A - 変色し易い花卉類から変色しない乾燥花卉類の製造方法 - Google Patents

変色し易い花卉類から変色しない乾燥花卉類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】未乾燥の花卉類を乾燥花卉類とする場合に変色し易い花卉類を変色させることなく原形、原色を留めたままの乾燥花卉類を得ることを目的とする。
【解決手段】未乾燥の花卉類を0〜30℃アセトンに10秒〜20分間浸漬した後、取り出し、その後、有機溶媒置換脱水法、真空乾燥法、凍結乾燥法、乾燥剤粉末埋設法から選ばれた少なくとも1種の乾燥方法で処理することを特徴とする乾燥花卉類の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、乾燥花卉類の製造方法に関するものであり、詳しくは未乾燥の花卉類を乾燥花卉類とする場合に変色し易い花卉類を変色させることなく乾燥花卉類とすることを特徴とする乾燥花卉類の製造方法に関するものである。
従来から、花、葉並びに茎など花卉類をその原形、原色を保持しながら乾燥することにより乾燥花卉類を得る乾燥花卉類の製造方法としては、花卉類の含有水分を有機溶媒で置換脱水した後乾燥する有機溶剤置換脱水法、未乾燥花卉類を真空下で乾燥する真空乾燥法、未乾燥花卉類を凍結した後乾燥する凍結乾燥法、未乾燥の花卉類を乾燥剤に埋め込み花卉類を乾燥する乾燥剤埋設法などが挙げられる。
このうち、有機溶媒で花卉類の水分を置換脱水して乾燥する有機溶媒置換脱水法では、花色、葉色、茎色が鮮やかで、葉や茎などの太めの部分も痩せることがない乾燥花卉類が得られるが、その代わりに、葉や茎の部分は白化しやすい欠点があり、また、花の種類によっては白化し易いものもあり、例えば、洋蘭などでは花の部分も白化してしまう。例えば、特許文献1には、生花類をブタノール及び/又はプロパノール等の有機溶剤で置換脱水した後、加熱乾燥する生花類乾燥物の製造法、が開示されている。
花卉類を真空下で乾燥する真空乾燥法は、必要により花卉類を形状を保持する処理、即ち、砂やガラスビーズなどに埋め込んだり、布を被せたり、ピンで止めたりなどの処理を施した後、容器中で真空雰囲気下に保持し、急速乾燥する方法であり、花卉類は含有する水分の蒸発潜熱により凍結した状態で乾燥されるものである。
花卉類を凍結し、しかる後乾燥する凍結乾燥法は、花びらの肉質がしぼみやすいものを除けば、原形、原色に比較的忠実であるが、乾燥が進むにつれて、乾燥室の温度を下げていかなければならず、そのようにしないと、花卉類の細胞内が濃縮されていくにしたがって、花形などが次第に崩れていってしまうので、通常は−30℃程度の温度を必要とし、そのため乾燥に極めて長時間を要し、設備も大がかりとなる。例えば、生花類を粒状のものに埋め込み、特定温度、特定時間の範囲で花や葉が萎む状態になるまで乾燥空気を送り予備乾燥した後、凍結乾燥することが特許文献2に開示されている。
花卉類を乾燥剤に埋め込み乾燥する乾燥剤埋設法は、花卉類のそれぞれの部分、例えば、生花と茎葉のように組織的に異なった部分の色が比較的均等に残るなどの利点はあるが、黒変しやすい生花には使用できないこと、茎などのように太い部分が痩せ細ってしまうことなどの不利がある。
特開平09−002901号公報 特開平08−040801号公報
本発明は、乾燥花卉類の製造方法に関し、未乾燥の花卉類を乾燥花卉類とする場合に変色し易い花卉類を変色させることなく原形、原色を留めたままの乾燥花卉類を得ることを目的としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、従来の乾燥花卉の製造方法においては、変色し易い花卉類の変色を防止して、原形、原色を留めたままの乾燥花卉類を得るに、従来の乾燥花卉の製造方法を施す前に特定の処理を施すことにより、原形、原色を留めたままの乾燥花卉類が得られることを見出し本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、
1.未乾燥の花卉類を0〜30℃のアセトンに10秒〜20分間浸漬した後、取り出し、その後、有機溶媒置換脱水法、真空乾燥法、凍結乾燥、乾燥剤粉末埋設法から選ばれた少なくとも1種の乾燥方法で処理することを特徴とする乾燥花卉類の製造方法、
2.花卉類が、ミツバオウレン、ドイツスズラン、ハコネバラ、クチナシ、エビネ、キエビネ、ヘクソカズラ、トリカブト、デイゴ、クレロデンドロン、赤花ハナタバコ、ジンチョウゲ、ナンバンギセルまたは青いバラから選ばれる少なくとも1種である前記1記載の乾燥花卉類の製造方法、
3.花卉類が青いバラである前記1又は2に記載の乾燥花卉類の製造方法、
4.青いバラが、デルフィニジン誘導体を花弁に有する青いバラである、前記3記載の乾燥花卉類の製造方法、
5.前記1〜4いずれか1項に記載の製造方法で得られた乾燥花卉類、
6.前記5記載の乾燥花卉類を含む乾燥花卉類の樹脂密封品、
7.樹脂密封品が樹脂包埋品または樹脂皮膜品である前記6記載の樹脂密封品、
である。
本発明によれば、アセトンによる処理が極めて短時間の処理であるので、作業が容易にであり、花卉類の色素などの流失がなく、花弁などの表面を荒らすことがなく、花卉類の重要な特性である艶や質感を損なうことがない乾燥花卉類が得られた。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で花卉類とは、花、葉、茎及び根を含めた植物体の各部分、及び全体を含むものをいう。
一般的に、植物体を乾燥する場合は、植物体組織内部の細胞相互間に水分の移動が発生するが、この時に変色を誘発させる酵素も、該酵素が本来含まれていた細胞から、変色原因となる物質を含んでいる細胞へと移動し、それにより変色を起こすということは広く知られている。この場合の変色と言うのは主として通常黒変を起こすポリフェノールなどを指す場合が多いが、黒変以外の他の色への変色、即ち、その花が本来持っている色以外の色を発色させる変色もあり得る。
例えば、ミツバオウレンは表が純白で裏は白地に極めて薄い紫班を持っている花であるが、通常の脱水乾燥によって赤色が表面の純白部分にも発色してくる。またドイツスズラン(洋種スズラン)はどの様な乾操法でも花柄は黒く変色しやすいが、同時に花弁の底部に赤い班紋を生ずる。これらは乾燥時に花の表面部のポリフェノールが移動して起こす花色の変色とは違う種類の変色である。
以上の2例は特殊例であるとしても、乾爆時に茶褐色に変色を起こす花卉類は多く、多くの乾燥法はこの茶褐色に変色する褐変を防ぐための工夫をしており、シリカゲル粉末などの乾燥剤に埋設して乾燥する埋設乾燥法などは、乾燥を急速に行うことで、褐変の防止を解決しているのであるが、この様な従来の乾燥方法で変色を止められない花卉の種類もまた多い。
上記2種の他に以下に例示する花卉類が変色するものとして挙げられる。
ハコネバラ・・・・・・紅色一重の花弁が茶褐色に変色する。
クチナシ・・・・・・・白色の花弁が灰黒色を帯びる。
エビネ・・・・・・・・赤茶色と白だが白部分に汚青色の班紋を生ずる。
キエビネ・・・・・・・黄色の花弁が黒味を帯びる。
ヘクソカズラ・・・・・白色中心部赤の管状花の白が黒っぽくなる。
トリカブト・・・・・・青紫色の花が部分的に茶色になる。
デイゴ・・・・・・・・赤い花が茶褐色になる。
クレロデンドロン・・・紅白の花の白色部が黒くなる。
赤花ハナタバコ・・・・赤色が黒くなる。
ジンチョウゲ・・・・・赤紫と白の花だが白色の部分が汚黒色になる。
ナンバンギセル・・・・赤紫の花と明茶色の花柄の、花は茶色に柄は黒色になる。
青いバラ・・・・・・・花弁の下部が著しく赤茶味を帯びる。
以上の様な変色は、花卉の各科、各属にわたって存在し、本発明の花卉類にはこれら通常の乾燥法では変色を防止し得ない全ての植物体が包含されるものである。
そして、これらの全ては、従来知られている乾燥方法ではその変色を防止することができない。単に黒変を防止するためであるならエタノールに浸漬する、ホルマリンに浸漬する、或いはホルマリン蒸気に晒すなどの方法が挙げられるが、これは脱色した花を製造するための方法であり原色を残すための方法ではない。
本発明で花卉類の浸漬処理に用いるアセトンは、通常の試験用試薬や工業用試薬として用いられているアセトンである。
そして、本発明で用いるアセトン処理は、花卉が凍結する温度以上であって通常の室温以下の温度、即ち0〜30℃のアセトンを用いて行われ、好ましくは7〜25℃、特に好ましくは10〜20℃のアセトンを用いて行われ、また、その浸漬処理時間は10秒〜10分、好ましく20秒〜7分、特に好ましくは30秒〜5分の範囲である。
本発明におけるアセトン処理のアセトンの温度及び浸漬時間は、対象となる花卉類の種類、大きさなどにより異なるが、それらの適正範囲は実験的に求めることができる。
本発明によるアセトン処理は、通常温度のアセトンを用いての作業で用が足り、また、短時間のアセトン浸漬であるので、花卉類の色素の流失は全くなく、花弁などの表面を荒らすこともないので、花卉類の特性として重要な花の艶や表面の質感を損なうことがない、という顕著な効果を奏するものである。
本発明の処理に用いるアセトンは、麻酔剤的な役割りを果たしているのであって、通常の固定薬としての使用法ではないものと推測される。即ち、通常、植物体に限らず、動物体においても、標本などに作成して、原形、原色などを生存状態に保って、保存、保管に役立てることを固定という。
そして、本発明のアセトン処理についてみると、処理時間からいっても固定剤の常識的な浸漬時間に遠く及ばないのであるから、麻酔剤的な役割りを果たしていると推測される。即ち、変色防止の作用は発現するが、固定はその処理に続く乾燥によって完全固定が完成されるのであって、こうして得られたものは、更にそれに続く樹脂加工その他の商品化に必要な加工が可能な乾燥花卉類となる。
つまり本発明のアセトン処理は、アセトンが植物組織に対して極めて早い浸透性を持つこと、及びアセトンの持つ蛋白沈殿剤としての機能が適切な強さであるため、短時間の浸潰では植物の酵素活動は停止されるが、植物組織そのものを膨潤させたり収縮させたりして破壊することがなく、このことは実験によって確認されたので、酵素活動によって花卉類に植物体に変色を起こさせること無く、固定作用による組織表面のダメージも現れない程度の範囲で、アセトン浸漬を停止し、次に通常の花卉類乾燥法や脱水法を行って、花卉の表面状態や原色が生体の時の状態と余り変わらない程度の乾燥物を得ることが可能となったのである。
この様な目的に適合するものとして、固定が急速な処理剤を使用すれば可能となるのではないかということは容易に創造し得るやも知れないが、実際には適切な処理剤を見出すことは極めて困難なことであり、本発明者は、該処理剤をしてアセトン選択し、該処理剤を用いることを初めて見出し、その作用・効果を確認したものである。
固定を急速に行うものとしてはオスミウム酸のガス雰囲気中に花卉類を曝すなどの方法が考えられるが、オスミウム酸は極めて高価であって実用的な方法ではない上に、花卉類を褐色に変色させる傾向があるので、本発明の処理方法には適用できない。
また、青酸ガス雰囲気中に花卉類を曝すなどの方法が考えられるが、この処理は青酸ガスを使用することから極めて人体に有害で極めて危険処理であって、到底容易に行える方法ではない。
更に、ピクリン酸も浸透が早くて固定作用も過激ではないものであるが、ピクリン酸は黄色の染色剤であることから使用は不可能である。
酢酸も固定は急速であるが、強酸であることから当然のことながら花の色は変色してしまうので使用することは出来ない。
本発明の処理方法の利点としては、前述の如く急速であり、安価であり、危険性、毒性も非常に小さく、処理が容易であるだけでなく花卉類が乾燥するに当たっては、花の部分のみをアセトン処理を施した後、花卉類全体の乾燥処理を行えば、簡単に乾燥花卉類を得ることができる。即ち、花卉類を乾燥するに際しては、花や葉の形などを整えるのは当然のことであるが、その場合細かいガラスビーズなどにより、花形、葉形を整えてから埋め、これを真空乾燥する、或いはシリカゲル粉末に埋める際に形を整えるなどの作業が必要であるが、この際には当然のことながら生花のままの花や葉のほうが扱いやすく、黒変や花本来の色でない色を発色する変色は、花の方が主体であって、葉の方ではないのが殆どの場合であるから、花の部分だけをアセトンに浸漬してから全体の乾燥作業を行えば、簡単に本発明の目的を達成することができる。
また、本発明の処理方法の利点は急速に処理できる点にあるのであるが、早過ぎてコントロールに困るような場合もあり、浸漬時間が長すぎると、花の表面を荒らし、質感を損なう恐れがあり、処理時間が余りに短すぎて時間判定が難しくなったりすることもあり、また多量の花を取り扱う場合には、最初に投入した花と最後に投入した花との時間差で不良が生ずることもあり、そのような場合には、ブタノール、エチレングリコールなどの固定作用を持たない有機溶媒か、イソプロパノールなどのように固定作用の弱い有機溶媒を加えてアセトンの濃度を低下させて、処理時間を長くするようにすることも可能なことである。
例えば、ミツバオウレンなどでは、処理時間は30〜40秒で良いのであるが、アセトンと等量または倍量のエチレングリコールを加えれば、2分乃至10分程度にまで処理時間を延ばすことができる。
また、青いバラの場合は、適正処理時間は4分乃至8分であるが、アセトンに等量または倍量のブタノールを加えると15分乃至30分間程度にすることが可能となる。但し、アセトン単独の場合も希釈した場合もあまり長く浸すと、花の表面の質感を損なうのは勿論、場合によっては花の色素を流出させたりするので、該アセトンの浸漬時間は、温度や花の品種によっても異なり、また同一の花でも成育の時期や状態によっても差異があるが、上記の範囲を目安として、そのつど実験によって定めることができる。
このようにして得られた本発明の乾燥花卉類について、そのまま観賞用等に用いることが可能であるが、更に、樹脂密封品とすることも好ましい。本発明の乾燥花卉類は、変色することなく乾燥されていることから、樹脂密封品の素材として好適に用いることができる。樹脂密封品とは樹脂によって密封されて直接空気に触れない形態としたものを言う。樹脂密封品としては、例えば、樹脂包埋品または樹脂皮膜品などが挙げられる。樹脂包埋品や樹脂皮膜品は、乾燥花卉に比較して強度の面で優れ、また保存時の安定性の面でもさらに改善されるという特徴を有する。
樹脂密封品に使用する樹脂としては、透明樹脂が好ましく、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられ、これらを単独でまたは複数用いることができる。これらの中から気体遮断性や花卉の保存安定性などを考慮して適宜選択することができる。中でも作業性や安定性の点で優れるアクリル樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂には必要により硬化剤を混合して用いてもよい。
樹脂包埋品や樹脂皮膜品といった本発明の樹脂密封品は公知の方法により製造することができる。このうち樹脂包埋品は、例えば適当な大きさの容器に樹脂および乾燥花卉類を充填することにより製造することができる。樹脂包埋品の大きさは特に限定されない。また、その形状は立方体、直方体、半球体などとすることができる。
また、樹脂皮膜品については、乾燥花卉類の表面に、樹脂を塗布して乾燥することにより得ることができる。皮膜の厚さは特に限定されないが、通常は多くてもミクロンオーダー程度であり、好ましくは10〜1000μm、更に好ましくは50〜500μmの範囲である。
これら樹脂包埋品や樹脂皮膜品といった本発明の樹脂密封品は、標本、展示品または装飾品として用いることができる。
なお、本発明の技術を好適に用いることができる花卉類の一つとして、青いバラが挙げられる。本発明でいう青いバラとは、デルフィニジン等の青色色素(デルフィニジン誘導体)を花弁に蓄積したバラをいう。このようなバラは、例えば、再公表2005-017147の方法によって得ることができる。青いバラは従来の乾燥花卉の製造方法では変色や変形を受けやすいことから、本発明の製造方法を好適に用いることができる。また、青いバラは色の変化を受けにくい形態である樹脂包埋品や樹脂皮膜品といった本発明の樹脂密封品の素材としても好適に用いることができる。
以下に、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
[実施例1]
〔ミツバオウレン〕
地上部を切り取り、これを底が網状の箱に脱脂綿を薄く延ばして敷いたものの上に形を整えながら置き、上より別の脱脂綿を布状にしたものをかぶせ、要点に針をさして整えて形が崩れるのを防ぎながら、10℃のアセトン中に沈めて、アセトンに全体を浸漬する状態にしてから、30秒後に取り出し、アセトンを流下させた後、直ちにターシャリー・ブタノールに投入する。ミツバオウレンの花期は冬期であり、該ブタノールは冬期には通常の室温で氷結しているので少量の水を加えて液状を呈する状態に予め調整しておき、該ブタノールに投入後、2時間程度で置換脱水は完了するから、覆っている脱脂綿を取り除き脱水して堅くなっているミツバオウレンを取り出し、これを赤外線ランプ下に置いて乾燥して乾燥ミツバオウレン花を得た。ミツバオウレンを通常のイソプロパノールやブタノールなどの置換脱水法で乾燥花とすると、白色の花弁が赤紫色の班紋を生ずるが、得られた乾燥花はこのような赤紫色の班紋を生ずる変色を起こしていない。
[実施例2]
〔ハコネバラ〕
開花したハコネバラの枝を必要な長さに切り取る。通常花は枝の頭部に咲くが、頭部および側面部に咲いている花でも構わない。頭部に咲いているものは枝を逆様にして頭部の花のみを15℃のアセトンに浸す。可能な限り花の部分のみを浸す。葉部分の色素が少量だが溶出する恐れがあるからである。多数の花が咲いている枝の場合は花部分のみを切り取りアセトンに投入する。この場合は乾燥終了後、乾燥した枝に花を接着する。花の冷アセトンに対する浸漬時間は2分間である。その後は通常の立体押花乾燥法を施す。即ち、全体をシリカゲル粉末に埋めて密閉容器に納め2日程置いた後に取り出す。花と葉を切り離したものは両方を別々に埋め乾燥完了後接着する。
その他の乾燥方法としては、真空乾燥法、ブタノールによる置換脱水法も適用できるが、何れの方法でも結果に大差はない。アセトン浸漬を行わないで乾燥したものは花の表面が茶褐色を帯びて見苦しいが、アセトン処理を施したものはその様なことはない。
[実施例3]
〔エビネ(ジエビネ)〕
花の咲いた枝を切り取り、10℃のアセトンに5分間浸漬した後、取り出して静かに細かいガラスビーズに埋める。花は生のときより脆弱になっているので細心の注意が必要である。その後真空乾燥を施す。数パスカルで24時間真空を保てば乾燥する。エビネは乾燥だけだとリップの白色部分に汚青色の班紋ができるが、それを防ぐことができる。
[実施例4]
キエビネをシリカゲル粉末に埋めて乾燥すると、黄色の花弁が黒色味を帯びるが、10℃のアセトンに5分間浸した後、シリカゲル乾燥を行うと変色することはなかった。
[実施例5]
クチナシを通常の有機溶媒置換脱水で乾燥すると、白色の花弁は黒褐色を帯びるが、13℃のアセトンに6〜7分間浸漬した後、有機溶媒置換脱水で乾燥すると変色を防止することができた。
[実施例6]
トリカブトをブタノールによる脱水乾燥すると青紫の花弁が黒茶色を帯びた色に変色するが、15℃のアセトンに3分間浸した後、上記の脱水乾燥を行うと変色することがなかった。
[実施例7]
〔ジンチョウゲ〕
小枝を切り取り、全体を12℃のアセトンに20〜30秒間浸漬してから取り出しシリカゲル粉末に埋める。4〜5日後取り出せば、原色の乾操花が得られる。アセトン処理をすることなく直接シリカゲルに埋めたものは花の白色部分は黒味を帯び、赤色部分は褐色味を帯びるが、上記アセトンを施したものは該変色が防げる。またこの浸漬時間が短すぎて時間調節が困難であるならば、等量乃至二倍量のブタノールを加えてその処理時間を4倍乃至10倍以上に延ばすことができる。この花は表が白で裏が濃赤色であるが、浸漬時間が長すぎると花が少し透明化してきて裏の赤が表に映るようになるし、短すぎると白色部分が黒味を帯びることになる。最適時間は、浸潰時に白い部分が僅かに透明化を起こし赤い部分の色が薄くならない程度で止めねばならないが、その時間を見極めるためには時間を延ばしておいたほうが都合がよい。
[実施例8]
〔青いバラ〕
花を15℃のアセトンに5〜6分間浸漬した後、取り出してブタノールに2〜3時間浸して脱水を完了させた。この花は極めて褐色になり易い花であって、乾燥花を製造する場合に花弁が赤褐色に変色し易い。ことにその付け根の部分は変色が激しいので注意深く浸漬を行う必要があるが、浸漬し過ぎると花弁が荒れて質感を損なう。これを防ぐにはアセトンに等量乃至二倍量のブタノールを加えて浸漬時間を長くし、一定時間ごとに取り出して表面の荒れをルーペなどで観察し、肌荒れが少しでも認められたら直ちに取り出して、脱水作業に入ることが肝心である。
[実施例9]
実施例8で得られた青いバラの乾燥品を用いて樹脂封入品を製造した。実施例8で得られた青いバラの乾燥品の茎を5ミリ程度残して切断した花部分について、硬化剤を加えたアクリル樹脂とともに容器に入れ、静置し、硬化させることにより、一辺が約10cmのアクリル樹脂封入品を得た。
[実施例10]
実施例8で得られた青いバラの乾燥品を用いて樹脂皮膜品を製造した。実施例8で得られた青いバラの乾燥品について、全表面に、透明なアクリル樹脂塗料を塗布して、硬化することにより、皮膜厚が平均100μmのアクリル樹脂皮膜品を得た。
本発明は、花卉類を乾燥して乾燥花卉類を製造する技術分野で利用することが可能である。

Claims (7)

  1. 未乾燥の花卉類を0〜30℃アセトンに10秒〜20分間浸漬した後、取り出し、その後、有機溶媒置換脱水法、真空乾燥法、凍結乾燥法、乾燥剤粉末埋設法から選ばれた少なくとも1種の乾燥方法で処理することを特徴とする乾燥花卉類の製造方法。
  2. 花卉類が、ミツバオウレン、ドイツスズラン、ハコネバラ、クチナシ、エビネ、キエビネ、ヘクソカズラ、トリカブト、デイゴ、クレロデンドロン、赤花ハナタバコ、ジンチョウゲ、ナンバンギセルまたは青いバラから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の乾燥花卉類の製造方法。
  3. 花卉類が青いバラである請求項1又は2に記載の乾燥花卉類の製造方法。
  4. 青いバラが、デルフィニジン誘導体を花弁に有する青いバラである請求項3記載の乾燥花卉類の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法で得られた乾燥花卉類。
  6. 請求項5記載の乾燥花卉類を含む乾燥花卉類の樹脂密封品。
  7. 樹脂密封品が樹脂包埋品または樹脂皮膜品である請求項6記載の樹脂密封品。
JP2008316713A 2008-04-01 2008-12-12 変色し易い花卉類から変色しない乾燥花卉類の製造方法 Active JP5355061B2 (ja)

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