JP2009258540A - 像加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナー画像を担持する記録材であって剛性が比較的小さい記録材を加熱用回転体から分離できるようにした像加熱装置の提供。
【課題を解決するための手段】
複数の加熱用回転体51,52と、前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触しニップ部N1,N2を形成する加圧用回転体53と、を有し、前記ニップ部でトナー画像Tを担持する記録材Pを挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置において、前記複数の加熱用回転体は、それぞれ、前記加圧用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加圧用回転体の長手方向の異なる位置で前記加圧用回転体の周方向に重なり合わないように前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加圧用回転体が前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触することによって形成される複数のニップ部で前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱することを特徴とする。
【選択図】図4
【課題を解決するための手段】
複数の加熱用回転体51,52と、前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触しニップ部N1,N2を形成する加圧用回転体53と、を有し、前記ニップ部でトナー画像Tを担持する記録材Pを挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置において、前記複数の加熱用回転体は、それぞれ、前記加圧用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加圧用回転体の長手方向の異なる位置で前記加圧用回転体の周方向に重なり合わないように前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加圧用回転体が前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触することによって形成される複数のニップ部で前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱することを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に搭載する加熱定着装置(定着器)として用いれば好適な像加熱装置に関する。
電子写真式の複写機やプリンタに搭載する加熱定着装置(定着器)として熱ローラ方式のものが知られている。この定着器は、加熱体と、この加熱体を内部に具備する定着ローラと、この定着ローラと接触しニップ部を形成する加圧ローラと、を有する。未定着のトナー画像を担持する記録材は定着器のニップ部で挟持搬送されつつ加熱されることによって、記録材上の画像は記録材に加熱定着される。
上記定着器を搭載する画像形成装置には、様々な種類の記録材が用いられる。具体的には、坪量の大小の記録材、表面に塗工を施している記録材、表面形状の凹凸が大きな記録材など、である。このような種類の記録材のうち、坪量が小さく、厚みの薄い記録材への画像形成の対応が特に大きな課題となっている。
厚みの薄い記録材(記録紙)へ画像形成を行う場合には、記録材自体の剛性が低いため、画像形成中に紙シワが発生したり、転写、定着工程で記録材が定着部材、定着ローラ等から分離できないという分離不良ジャムが発生したりして、取扱いが困難であった。特に定着器のニップ部でトナー画像を記録材に加熱定着する定着工程においては、トナー画像に定着ローラの外周面(表面)が接することによりトナー画像を溶融させ、同時にそのトナー画像を記録紙に加圧することでトナー画像を記録材に加熱定着している。このようにトナー画像を溶融するので、トナー画像と定着ローラ表面との付着力が増大する。そのトナー画像と定着ローラ表面との付着力より記録材の剛性による力が勝れば定着終了後に記録材は定着ローラ表面から分離する。しかしトナー画像と定着ローラ表面との付着力より記録材の剛性による力が劣れば記録材は定着ローラ表面から分離することができない。
定着ローラ表面から記録材を分離できようにするために、従来から様々な技術が提案されてきている。特許文献1には定着部材から記録材を剥離させる剥離爪を設けた定着装置が示されている。特許文献2には定着部材と加圧部材との変形量を異ならせて記録材の排紙方向を変化させて分離させる定着装置が示されている。特許文献3には定着部材のニップ後端において定着部材に局所的に歪みを与えて分離させる定着装置が示されている。
特開平5−113737号公報
特開2003−316197号公報
特開平11−133776号公報
ところで、記録材の剛性が極端に小さい坪量50g/m2以下の記録材は厚みが薄く且つ剛性が小さい。そのため、定着ローラ表面のニップ部下流側に設けた剥離爪で記録材を定着ローラ表面から分離させようとしても、剥離爪をすり抜けてしまったり、剥離爪に記録材の先端が引っ掛って記録材が折れ曲がったりしてしまい易い。また、上記記録材は厚みが薄いため記録材自体の熱容量が小さく、坪量80g/m2程度の普通紙の記録材と同条件で定着を行うとトナー画像は普通紙より多くの熱量をうける。そのため、トナー画像の溶融状態が普通紙より進み、その結果定着ローラとの付着力が大きくなるという点も分離性の観点からは不利となっていた。
また近年、画像形成の速度アップが求められてきており、その結果、ニップ部を記録材が通過する時間が短くなる傾向にあるため、良好な定着を行うために定着温度が高温化になる傾向にある。そのような状態ではトナー画像と記録材との界面の定着性を良好にするために、トナー画像の最上層部の定着ローラ表面との接触部はより高温になっており、トナー画像と定着ローラ表面との付着力が更に大きくなることに繋がっている。同時に画像形成の高速化に伴い、トナー画像中にある離型剤としてのWAX成分がトナー画像と定着ローラ表面との界面に染み出してくる時間も短くなる為、記録材を定着ローラ表面から剥離させるにはより厳しい条件になっていた。
以上のような理由から坪量50g/m2以下の記録材を良好に定着したのち、確実に定着部材から剥離させることは困難となっていた。
従って定着器では、記録材の剛性が極端に小さい坪量50g/m2以下の記録材すなわち剛性が比較的小さい記録材を定着ローラ表面から分離できるようにすることが望まれている。
そこで、本発明の第1の目的は、トナー画像を担持する記録材であって剛性が比較的小さい記録材を加熱用回転体から分離できるようした像加熱装置を提供することにある。
また本発明の第2の目的は、トナー画像を担持する記録材であって剛性が比較的小さい記録材を加熱用回転体から分離でき、かつトナー画像のグロス差を低減できるようした像加熱装置を提供することにある。
上記第1の目的を達成するための構成は、複数の加熱用回転体と、前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触しニップ部を形成する加圧用回転体と、を有し、前記ニップ部でトナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置において、
前記複数の加熱用回転体は、それぞれ、前記加圧用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加圧用回転体の長手方向の異なる位置で前記加圧用回転体の周方向に重なり合わないように前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加圧用回転体が前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触することによって形成される複数のニップ部で前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱することを特徴とする。
前記複数の加熱用回転体は、それぞれ、前記加圧用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加圧用回転体の長手方向の異なる位置で前記加圧用回転体の周方向に重なり合わないように前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加圧用回転体が前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触することによって形成される複数のニップ部で前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱することを特徴とする。
上記第2の目的を達成するための構成は、複数の加熱用回転体と、前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触しニップ部を形成する加圧用回転体と、を有し、前記ニップ部でトナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置において、
前記複数の加熱用回転体は、それぞれ、前記加圧用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加圧用回転体の長手方向の異なる位置で前記加圧用回転体の周方向に重なり合わないように前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記複数の加熱用回転体の長手方向長さよりも長い第2の加熱用回転体を有し、前記第2の加熱用回転体は、前記複数の加熱用回転体よりも記録材搬送方向下流側に前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加圧用回転体は、前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触し前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱する複数のニップ部と、前記第2の加熱用回転体と接触し前記トナー画像を担持する記録材を前記複数のニップ部で加熱した後に挟持搬送しつつ加熱する第2のニップ部を、それぞれ形成していることを特徴とする。
前記複数の加熱用回転体は、それぞれ、前記加圧用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加圧用回転体の長手方向の異なる位置で前記加圧用回転体の周方向に重なり合わないように前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記複数の加熱用回転体の長手方向長さよりも長い第2の加熱用回転体を有し、前記第2の加熱用回転体は、前記複数の加熱用回転体よりも記録材搬送方向下流側に前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加圧用回転体は、前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触し前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱する複数のニップ部と、前記第2の加熱用回転体と接触し前記トナー画像を担持する記録材を前記複数のニップ部で加熱した後に挟持搬送しつつ加熱する第2のニップ部を、それぞれ形成していることを特徴とする。
また上記第1の目的を達成するための構成は、複数の加圧用回転体と、前記複数の加圧用回転体のそれぞれと接触しニップ部を形成する加熱用回転体と、を有し、前記ニップ部でトナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置において、
前記複数の加圧用回転体は、それぞれ、前記加熱用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加熱用回転体の長手方向の異なる位置で前記加熱用回転体の周方向に重なり合わないように前記加熱用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加熱用回転体が前記複数の加圧用回転体のそれぞれと接触することによって形成される複数のニップ部で前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱することを特徴とする。
前記複数の加圧用回転体は、それぞれ、前記加熱用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加熱用回転体の長手方向の異なる位置で前記加熱用回転体の周方向に重なり合わないように前記加熱用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加熱用回転体が前記複数の加圧用回転体のそれぞれと接触することによって形成される複数のニップ部で前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱することを特徴とする。
本発明によれば、トナー画像を担持する記録材であって剛性が比較的小さい記録材を加熱用回転体から分離できるようした像加熱装置を提供することができる。
また本発明によれば、トナー画像を担持する記録材であって剛性が比較的小さい記録材を加熱用回転体から分離でき、かつトナー画像のグロス差を低減できるようした像加熱装置を提供することができる。
本発明を図面に基づいて説明する。
[実施例1]
(1)画像形成装置例
図1は本発明に係る像加熱装置を加熱定着装置として搭載する画像形成装置の一例の構成模型図である。図2は図1の画像形成ステーションPm,Pc,Py,Pbkと搬送ベルト6の拡大図である。この画像形成装置は、電子写真式のフルカラー複写機である。
(1)画像形成装置例
図1は本発明に係る像加熱装置を加熱定着装置として搭載する画像形成装置の一例の構成模型図である。図2は図1の画像形成ステーションPm,Pc,Py,Pbkと搬送ベルト6の拡大図である。この画像形成装置は、電子写真式のフルカラー複写機である。
本実施例1に示すフルカラー複写機は、記録材の搬送方向に沿って4つの画像形成ステーションPm,Pc,Py,Pbkを有する。画像形成ステーションPm,Pc,Py,Pbkのうち、Pmはマゼンタ用の画像形成ステーション、Pcはシアン用の画像形成ステーション、Pyはイエロー用の画像形成ステーション、Pbkはブラック用の画像形成ステーションである。画像形成ステーションPm,Pc,Py,Pbkは、それぞれ、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)1と、帯電装置2と、露光装置3と、現像装置4と、クリーナー5と、を有する。画像形成ステーションPm,Pc,Py,Pbkの上方には原稿台上に載置した原稿に記載されている画像を読み取るリーダ部Rが、下方には記録材Pを積載収納する給送トレイTがそれぞれ設けられている。Cは所定サイズの記録材Pを多量に積載収納できる大容量給送ユニットである。Hは所望の記録材Pを給送できる手差しトレイである。
本実施例1のフルカラー複写機は、コピージョブに応じてまず画像形成ステーションPmの感光ドラム1が所定方向に回転され、その感光ドラム1の外周面(表面)が帯電装置2により所定の電位・極性に一様に帯電される。その感光ドラム1表面の帯電処理面に対し露光装置3はリーダ部Rより出力される画像データに応じて変調されたレーザービームLによる像露光を行う。これにより感光ドラム1表面には画像データに応じた静電潜像が形成される。その潜像は現像装置4によりマゼンタ色のトナーを用いて現像される。
上記のような帯電、露光、現像の各工程が画像形成ステーションPc,Py,Pbkにおいて順次なされる。
一方、給送トレイT、大容量給送ユニットC又は手差しトレイHから記録材Pが給送機構6によって矢印方向に周回移動している搬送ベルト7の外周面(表面)上に搬送される。この搬送ベルト7は、画像形成ステーションPm,Pc,Py,Pbkの各感光ドラム1と対向するように駆動ローラ8aとテンションローラ8bに巻き掛けられコピージョブに応じて矢印方向に周回移動される。その搬送ベルト7の周回移動によって記録材Pは画像形成ステーションPmの感光ドラム1とこの感光ドラム1と搬送ベルト7を介して対向するように配された転写装置9の間に搬送される。そして感光ドラム1表面のマゼンタ色のトナー画像が転写装置9によって記録材P上に転写される。
上記のような転写工程が画像形成ステーションPc,Py,Pbkにおいて順次なされることによって、記録材Pは感光ドラム1表面のシアン、イエロー、ブラックの各色のトナー画像の重畳転写を順次に受ける。これにより記録材P上に未定着のフルカラートナー画像が形成される。
マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナー画像の重畳転写を受けた記録材Pは搬送ベルト6の周回移動によって搬送ベルト6表面から曲率分離し加熱定着装置(以下、定着装置と記す)10に導入される。そしてその記録材Pは定着装置10のニップ部Nで挟持搬送される。その搬送過程において記録材Pに熱と圧力を付与することによって未定着のトナー画像が記録材P上に加熱定着される。ニップ部Nを出た記録材Pは排出ローラ11によって排出トレイ12上に排出される。
本実施例1のフルカラー複写機は、使用可能な各種サイズの記録材Pをその記録材の幅方向中央を基準として搬送する(中央搬送基準)ように構成してある。ここで、記録材に関し、幅方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。
(2)定着装置
以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。長さとは長手方向の寸法である。
以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。長さとは長手方向の寸法である。
(2−1)定着装置の構成
図3は定着装置10の一例の横断側面模型図である。図4は図3に示す定着装置10の定着ローラ51,52と加圧ローラ53の配置態様を表わす斜視図である。
図3は定着装置10の一例の横断側面模型図である。図4は図3に示す定着装置10の定着ローラ51,52と加圧ローラ53の配置態様を表わす斜視図である。
本実施例1に示す熱ローラ方式の定着装置10は、複数の加熱用回転体として2つの定着ローラ51,52と、熱源としてのハロゲンランプ等のヒータ54,55と、加圧用回転体としての加圧ローラ53と、を有する。定着ローラ51,52とヒータ54,55と加圧ローラ53は何れも長手方向に細長い部材である。
定着ローラ51は、Al製又はFe製の円筒状の芯金51cを有し、この芯金51cの長手方向一端部側の周囲に厚さ2mmの弾性層51bをローラ状に設け、その弾性層51bの周囲をPFAの離型層51aにより被覆したものである。定着ローラ52も定着ローラ51と同様、Al製又はFe製の円筒状の芯金52cを有し、この芯金52cの長手方向他端部側の周囲に厚さ2mmの弾性層52bをローラ状に設け、その弾性層52bの周囲をPFAの離型層52aにより被覆したものである。定着ローラ51,52は同じ構成であり、定着ローラ51,52の直径は15mmである。そしてその定着ローラ51,52の長さ(長手方向長さ)は加圧ローラ53の長さより短くしてある。本実施例では、複数の加熱用回転体として2つの定着ローラ51,52を用いているため、その定着ローラ51,52の長さは少なくとも加圧ローラ53の長さの半分以上の長さであることが望ましい。この定着ローラ51,52は、加圧ローラ53の長手方向の異なる位置で加圧ローラ53の周方向に重なり合わないように加圧ローラ53の長手方向に沿って配されている。そして定着ローラ51,52の長手方向に延びる芯金51c,52cの長手方向両端部が装置フレーム(不図示)に軸受を介して回転自在に保持されている。
定着ローラ51の芯金51cの内部には、定着ローラ51の長さと対応する領域に、熱源としてハロゲンランプ等のヒータ54が配設されている。ヒータ54は、ヒータ54の長手方向両端部に設けられている口金部54a,54bが円筒状のヒータホルダー56a,56bによって保持されている。そしてそのヒータホルダー56a,56bを装置フレームに固定保持させている。つまりヒータ54は、ヒータホルダー56a,56bを介して装置フレームに固定保持されている。54rはヒータ54の口金部54a,54bに接続されている給電用リード線である。定着ローラ52の芯金52cの内部にも、定着ローラ52の長さと対応する領域に、熱源としてハロゲンランプ等のヒータ55が配設されている。ヒータ55は、ヒータ55の長手方向両端部に設けられている口金部55a,55bが円筒状のヒータホルダー57a,57bによって保持されている。そしてそのヒータホルダー57a,57bを装置フレームに固定保持させている。つまりヒータ55は、ヒータホルダー57a,57bを介して装置フレームに固定保持されている。55rはヒータ55の口金部55a,55bに接続されている給電用リード線である。
加圧ローラ53は、定着ローラ51,52の下方において定着ローラ51,52と並列に配設されている。この加圧ローラ53は、ステンレス製の芯金53cの周囲に厚さ40mmのシリコンスポンジの弾性層53bをローラ状に設け、その弾性層53bの周囲をPFAの離型層53aにより被覆したものである。そして加圧ローラ53の長手方向に延びる芯金53cの長手方向両端部が装置フレーム(不図示)に軸受を介して回転自在に保持されている。そしてその軸受を加圧ばね(不図示)などにより加圧ローラ53の芯金53cの軸線に向け加圧することによって加圧ローラ53の外周面(表面)を定着ローラ51,52表面に加圧状態に接触させている。これによって加圧ローラ53の弾性層53bと定着ローラ51の弾性層51bを弾性変形させ、加圧ローラ53表面と定着ローラ51表面の間に所定幅のニップ部N1を形成している。また加圧ローラ53の弾性層53bと定着ローラ52の弾性層52bを弾性変形させ、加圧ローラ53表面と定着ローラ52表面の間に所定幅のニップ部N2を形成している。従って加圧ローラ53表面と定着ローラ51,52表面とにより複数のニップ部として2つのニップ部N1,N2が形成されている。
(2−2)定着装置の加熱定着動作
コピージョブに応じて定着モータMが回転駆動される。その定着モータMの回転駆動により加圧ローラ53の芯金53cの長手方向一端部に設けられている駆動ギア(不図示)が回転され、加圧ローラ53は矢印方向へ回転する。この加圧ローラ53の回転に伴い定着ローラ51,52はニップ部Nにおいて加圧ローラ53から回転力を受け加圧ローラ53と略等しい回転速度をもって矢印方向へ従動回転する。
コピージョブに応じて定着モータMが回転駆動される。その定着モータMの回転駆動により加圧ローラ53の芯金53cの長手方向一端部に設けられている駆動ギア(不図示)が回転され、加圧ローラ53は矢印方向へ回転する。この加圧ローラ53の回転に伴い定着ローラ51,52はニップ部Nにおいて加圧ローラ53から回転力を受け加圧ローラ53と略等しい回転速度をもって矢印方向へ従動回転する。
制御手段としてのMPU(マイクロプロセッサユニット)101は、コピージョブに応じて給手段としての給電回路102をオンする。これによりその給電回路102から給電用リード線54r,55rを通じてヒータ54,55に給電がなされヒータ54,55が点灯し発熱する。ヒータ54,55の発熱によって定着ローラ51,52は加熱される。その定着ローラ51,52の温度を定着ローラ51,52表面に接触又は非接触に配設されている温度検知部材としてサーミスタ56,57が検知しその検知温度に応じた信号を出力する。MPU101は、サーミスタ56,57からの出力信号を取り込み、その出力信号に基づいて給電回路102からヒータ54,55に給電する電圧を制御することによって、定着ローラ51,52表面の温度を所定の定着温度(目標温度)に維持する。
加圧ローラ53及び定着ローラ51,52の回転が安定し、かつ定着ローラ51,52の表面温度が所定の定着温度に維持された状態において、未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pは入口ガイド58によりニップ部N1に導入される。その記録材Pはニップ部N1で挟持搬送され、次いでニップ部N2に導入されそのニップ部N2で挟持搬送される。そしてその2つのニップ部N1,N2による搬送過程において、トナー画像Tに定着ローラ51,52表面が接することによりトナーが溶融し、かつその溶融トナーをニップ部N1,N2による圧力で記録材Pに加圧する。これによってトナー画像Tは記録材P上に加熱定着される。つまり、2つのニップ部N1,N2でトナー画像Tを担持する記録材Pを順次挟持搬送しつつ加熱することによって、トナー画像Tを記録材P上に加熱定着している。そしてニップ部N2において記録材Pはトナー画像T側の記録材面が定着ローラ52表面から分離し排出ガイド59により排出ローラ11に向け送られる。
(3)比較実験
ここで、本実施例1の熱ローラ方式の定着装置10と従来の熱ローラ方式の定着装置5を用いて定着実験を行い、その定着実験の分離性を比較した。
ここで、本実施例1の熱ローラ方式の定着装置10と従来の熱ローラ方式の定着装置5を用いて定着実験を行い、その定着実験の分離性を比較した。
従来の定着装置110は、定着ローラの長さが加圧ローラの長さと同じある点、定着ローラの長さと対応する領域にハロゲンランプ等のヒータが配設されている点を除いて、本実施例1の定着装置10の定着ローラ51,52と同じ構成としてある。
図14は従来の定着装置110の横断側面模型図である。図15は図14に示す定着装置110の定着ローラ111と加圧ローラ112の配置態様を表わす斜視図である。
従来の定着装置110において、定着ローラ111と加圧ローラ112の長さは同じであり(図15参照)、加圧ローラ112はその加圧ローラ112表面が定着ローラ111表面と接触しニップ部Nを形成している(図14、図15参照)。定着ローラ111は、本実施例1の定着装置10の定着ローラ51,52と同様、芯金111cと弾性層111bと離型層111aによって構成されている。116は定着ローラ111の表面温度を検知するサーミスタである。また加圧ローラ112も、本実施例1の定着装置10の加圧ローラ53と同様、芯金112cと弾性層112bと離型層112aによって構成されている。定着ローラ111の芯金111c内部には、定着ローラ111の長さと対応する領域に、ハロゲンランプ等のヒータ113が配設されている。ヒータ113は、ヒータ113の長手方向両端部に設けられている口金部113a,113bが円筒状のヒータホルダー114a,114bによって保持されている。115rはヒータ111の口金部113a,113bに接続されている給電用リード線である。117は入口ガイド、118は排出ガイドである。
なお、本実施例1の定着装置10のニップ部N1,N2と従来の定着装置110のニップ部Nは同じ面積となっている。また本実施例1の定着装置10のニップ部N1,N2と従来の定着装置110のニップ部Nが形成する曲率は同じ曲率である。
本実施例1の定着装置10と従来の定着装置110において、未定着のトナー画像を記録材に加熱定着する定着工程の相違点は、定着工程1回当たりのトナー画像と定着ローラ表面との当接面積(接触面積)が本実施例1の定着装置10の方が小さい点である。
本実施例1の定着装置10における定着ローラ表面からの記録材の分離性向上の効果を確認するために、次のような実験を行った。
坪量が異なる薄紙(64g/m2、52g/m2、40g/m2)を用いて、従来の定着装置110によりトナー画像の加熱定着を行う定着実験の分離性と本実施例1の定着装置10によりトナー画像の加熱定着を行う定着実験の分離性を比較した。
表1に実験結果を示すと、従来の定着装置110では、坪量64g/m2、52g/m2の薄紙を定着ローラ111表面から良好に分離することができるが、坪量40g/m2の薄紙については分離不良が発生する。これに対して、本実施例の定着装置10では、坪量64g/m2、52g/m2、40g/m2の何れの薄紙についても定着ローラ51,52表面から良好に分離することができる。よって、本実施例の定着装置10では、定着ローラ51,52表面からの記録材Pの分離性を向上できることを確認できた。
ここで、定着工程1回当たりのトナー画像と定着ローラとの当接面積が小さくなることによる分離性向上のメカニズムを確認するために、図5に示すような定着器120で実験を行った。
図5はトナーと定着ローラとの付着力測定に用いた定着器120の構成模型図である。
定着器120は、定着ローラ121と、この定着ローラ121表面と接触しニップ部Naを形成する加圧ローラ122と、ハロゲンランプ等のヒータ123と、定着ローラ121表面に先端部が接触している剥離爪124と、を有する。
定着ローラ121は、Al製の円筒状の芯金121cを有し、この芯金121cの周囲に弾性層121bとして厚さ3mmのシリコーンゴムをローラ状に設け、その弾性層121bの周囲をPFAの離型層121aにより被覆したものである。定着ローラ121の直径は60mmである。
加圧ローラ122は、Al製の円筒状の芯金122cを有し、この芯金122cの周囲に弾性層122bとして厚さ2mmのシリコーンゴムをローラ状に設け、その弾性層122bの周囲をPFAの離型層122aにより被覆したものである。加圧ローラ122の直径も60mmである。
定着ローラ121の芯金121cの内部には、定着ローラ121の長さと対応する領域にヒータ123が配設されている。
未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pは、ニップ部Naにおいて挟持されながら矢印方向に搬送される。その搬送過程においてトナー画像Tが記録材P上に加熱定着され記録材Pの先端が剥離爪124に接触することによって記録材Pが定着ローラ121表面から剥離する。
剥離爪124は、ロードセル125と接続されており、記録材Pの定着ローラ121表面からの剥離時に生じる剥離力を計測することができる。
図6は図5に示す定着器120の剥離爪124に生じる剥離力を計測するための記録材Pの説明図である。
図6に示すように、記録材Pの幅方向において記録材P上の未定着トナー画像の幅を3水準(72mm、108mm、297mm)に分け、記録材Pの先端に余白を3mmとり、それぞれの記録材Pについて定着装置120によりトナー画像の加熱定着を行った。そしてそれぞれの記録材Pについて定着装置120の剥離爪124に生じる剥離力を計測した。
記録材Pには、297×320のサイズに裁断したCANON製CLC用紙(坪量81.4g/m2)を使用した。
測定条件は、ヒータ123の温調温度を180℃、加圧ローラ122の荷重(加圧力)を32.2N(40kgf)、定着ローラ121の回転速度:300mm/s(一定)、加圧ローラ122の回転速度:298.3〜300mm/s(可変)で実験を行った。
図7は実験で得られた未定着トナー画像の幅の大きさによる剥離力の変化の推移を示したグラフである。図7から明らかなように未定着トナー画像の幅が大きくなるほど剥離力が増加していることがわかる。すなわち、トナー画像と定着ローラ121表面との接触面積が大きいほどトナー画像と定着ローラ121表面との付着力が大きくなることがわかる。
従来の定着装置110では、記録材Pの幅方向全域を1つニップ部Naでカバーし、そのニップ部Naにより記録材Pが担持するトナー画像Tを1回で加熱定着している。
本実施例1の定着装置10では、記録材Pの幅方向全域を2つのニップ部N1,N2で分割することによってカバーし、その2つのニップ部N1,N2により記録材Pが担持するトナー画像Tを2回に分けて順次加熱定着している。このように2つのニップ部N1,N2で記録材Pが担持するトナー画像Tを加熱定着することによりトナー画像Tと定着ローラ51,52表面との当接面積を小さくでき、トナー画像Tと定着ローラ51,52表面との付着力を小さくすることができる。
記録材と定着ローラの分離は、記録材の剛性がトナー画像と定着ローラ表面との付着力に勝ることにより分離されるが、記録材の剛性はトナー画像Tと定着ローラ表面との当接面積によって変化しない。
本実施例1の定着装置10では、記録材Pが担持するトナー画像Tを2つのニップ部N1,N2で順次加熱するので、トナー画像Tと定着ローラ51,52表面との当接面積が小さくなる。そのため、トナー画像Tと定着ローラ51,52表面との付着力が記録材Pの剛性に勝り、記録材Pと定着ローラ51,52との分離性を向上することが可能となる。
本実施例1の定着装置10ではヒータ54,55を定着ローラ51,52に設けるように構成したが、本実施例1の定着装置10はこれ限られず定着ローラ51,52にヒータ54,55を設けずに加圧ローラ53にヒータを設けるように構成してもよい。或いは定着ローラ51,52と加圧ローラ53の双方にヒータを設けるように構成してもよい。このように本実施例1の定着装置10を構成しても同様の作用効果を得ることができる。
本実施例1の定着装置10において、複数の加圧用回転体として2つの定着ローラ51,52を用い、加熱用回転体として加圧ローラ53を用いても、記録材Pと定着ローラ51,52との分離性の向上を図れる。その場合、定着ローラ51,52にヒータ54,55を設けずに加圧ローラ53にヒータを設けるように構成してもよい。或いは定着ローラ51,52と加圧ローラ53の双方にヒータを設けるように構成してもよい。
[実施例2]
定着装置の他の例を説明する。
定着装置の他の例を説明する。
(1)定着装置
本実施例2に示す定着装置は、実施例1の定着装置10の加圧ローラ53に代えてベルト61を用いるとともに、そのベルト61を定着ローラ51,52に接触させた点を除いて、実施例1の定着装置10と同じ構成としてある。本実施例2では、実施例1の定着装置10と同じ部材及び部分には同一符号を付して再度の説明を省略する。後述の実施例3についても同様とする。
本実施例2に示す定着装置は、実施例1の定着装置10の加圧ローラ53に代えてベルト61を用いるとともに、そのベルト61を定着ローラ51,52に接触させた点を除いて、実施例1の定着装置10と同じ構成としてある。本実施例2では、実施例1の定着装置10と同じ部材及び部分には同一符号を付して再度の説明を省略する。後述の実施例3についても同様とする。
(1−1)定着装置の構成
図8は本実施例2の定着装置10の一例の横断側面模型図である。図9は図8に示す定着装置10の定着ローラ51,52とベルト61の配置態様を表わす斜視図である。
図8は本実施例2の定着装置10の一例の横断側面模型図である。図9は図8に示す定着装置10の定着ローラ51,52とベルト61の配置態様を表わす斜視図である。
ベルト61としてエンドレスベルトを用いている。ベルト61は、ポリイミド等の樹脂またはニッケル等の金属からなる基材の表面にフッ素樹脂等からなる表面層を有したものである。また基材と表面層との間に弾性体層を設けても良い。このベルト61は、ベルト61の外周面(表面)が定着ローラ51,52表面と接触するように駆動ローラ62とテンションローラ63に巻き掛けられている。駆動ローラ62とテンションローラ63は装置フレームに軸受を介して回転自在に保持されている。
ベルト61の内側において定着ローラ51と対向する位置には、ゴムや耐熱性不職布からなる加圧パッド64が設けられている。加圧パッド64は、ベルト61の内周面(内面)に接触しベルト61表面を所定の加圧力により定着ローラ51表面に加圧状態に接触させるように装置フレームに保持されている。これによって定着ローラ51の弾性層51bを弾性変形させ、ベルト61表面と定着ローラ51表面の間に所定幅のニップ部N1を形成している。ベルト61の内側において定着ローラ52と対向する位置には、ゴムや耐熱性不職布からなる加圧パッド65が設けられている。加圧パッド65は、ベルト61内面に接触しベルト61表面を所定の加圧力により定着ローラ52表面に加圧状態に接触させるように装置フレームに保持されている。これによって定着ローラ52の弾性層52bを弾性変形させ、ベルト61表面と定着ローラ52表面の間に所定幅のニップ部N2を形成している。なお、図9では加圧パッド64の図示を省略してある。
(1−2)定着装置の加熱定着動作
コピージョブに応じて定着モータMが回転駆動される。その定着モータMの回転駆動により駆動ローラ62aの軸に設けられている駆動ギア(不図示)が回転され、これによって駆動ローラ62aが矢印方向へ回転する。駆動ローラ62aの回転によりベルト61が矢印方向へ移動し始めるとそのベルト61の回転に伴いテンションローラ63も矢印方向へ従動回転する。これによってベルト61は矢印方向へ周回移動する。そしてベルト61の周回移動が安定し、かつ定着ローラ51,52の表面温度がMPU101による給電回路102の電圧制御により所定の定着温度に維持された状態において、未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pがベルト61表面上に搬送されてくる。その記録材Pはベルト61によってまずニップ部N1に導入されそのニップ部N1で挟持搬送される。次いで未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pはニップ部N2に導入されそのニップ部N2で挟持搬送される。そしてその2つのニップ部N1,N2による搬送過程において、トナー画像Tに定着ローラ51,52表面が接することによりトナーが溶融し、かつその溶融トナーをニップ部N1,N2による圧力で記録材Pに加圧する。これによってトナー画像Tは記録材P上に加熱定着される。つまり、2つのニップ部N1,N2でトナー画像Tを担持する記録材Pを順次挟持搬送しつつ加熱することによって、トナー画像Tを記録材P上に加熱定着している。そしてニップ部N2において記録材Pはトナー画像T側の記録材面が定着ローラ52表面から分離しベルト61によって排出ローラ11に向け送り出される。
コピージョブに応じて定着モータMが回転駆動される。その定着モータMの回転駆動により駆動ローラ62aの軸に設けられている駆動ギア(不図示)が回転され、これによって駆動ローラ62aが矢印方向へ回転する。駆動ローラ62aの回転によりベルト61が矢印方向へ移動し始めるとそのベルト61の回転に伴いテンションローラ63も矢印方向へ従動回転する。これによってベルト61は矢印方向へ周回移動する。そしてベルト61の周回移動が安定し、かつ定着ローラ51,52の表面温度がMPU101による給電回路102の電圧制御により所定の定着温度に維持された状態において、未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pがベルト61表面上に搬送されてくる。その記録材Pはベルト61によってまずニップ部N1に導入されそのニップ部N1で挟持搬送される。次いで未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pはニップ部N2に導入されそのニップ部N2で挟持搬送される。そしてその2つのニップ部N1,N2による搬送過程において、トナー画像Tに定着ローラ51,52表面が接することによりトナーが溶融し、かつその溶融トナーをニップ部N1,N2による圧力で記録材Pに加圧する。これによってトナー画像Tは記録材P上に加熱定着される。つまり、2つのニップ部N1,N2でトナー画像Tを担持する記録材Pを順次挟持搬送しつつ加熱することによって、トナー画像Tを記録材P上に加熱定着している。そしてニップ部N2において記録材Pはトナー画像T側の記録材面が定着ローラ52表面から分離しベルト61によって排出ローラ11に向け送り出される。
(2)記録材の分離性向上の確認実験
本実施例2の定着装置10における定着ローラ51,52表面からの記録材の分離性向上の効果を確認するために、実施例1と同様、次のような実験を行った。
本実施例2の定着装置10における定着ローラ51,52表面からの記録材の分離性向上の効果を確認するために、実施例1と同様、次のような実験を行った。
坪量が異なる薄紙(64g/m2、52g/m2、40g/m2)を用いて、本実施例2の定着装置10によりトナー画像の加熱定着を行う定着実験の分離性を評価した。
表1に実験結果を示すと、本実施例2の定着装置10では、坪量64g/m2、52g/m2、40g/m2の何れの薄紙についても定着ローラ51,52表面から良好に分離することができる。本実施例2の定着装置10は、実施例1の定着装置10と同様、定着ローラ51,52表面からの記録材Pの分離性を向上できることを確認できた。
従って、本実施例の定着装置10においても、実施例1の定着装置10と同じ作用効果を得ることができる。
[実施例3]
定着装置の他の例を説明する。
定着装置の他の例を説明する。
(1)定着装置
実施例1、2の定着装置10は、2つのニップ部N1,N2で記録材Pが担持するトナー画像Tを2回に分けて順次加熱定着している。そのため、実施例1、2の定着装置10には、加熱定着後の定着トナー画像のニップ部N1,N2と対応する2つの領域間に微小なグロス差(光沢差、グロスムラ)が生じるという課題がある。図12は実施例1、2の定着装置10による定着トナー画像の記録材搬送方向のある断面におけるグロス差のイメージ図である。
実施例1、2の定着装置10は、2つのニップ部N1,N2で記録材Pが担持するトナー画像Tを2回に分けて順次加熱定着している。そのため、実施例1、2の定着装置10には、加熱定着後の定着トナー画像のニップ部N1,N2と対応する2つの領域間に微小なグロス差(光沢差、グロスムラ)が生じるという課題がある。図12は実施例1、2の定着装置10による定着トナー画像の記録材搬送方向のある断面におけるグロス差のイメージ図である。
本実施例3に示す定着装置10では、定着ローラ表面からの記録材の分離性を向上させ、かつ実施例1、2の定着装置10において発生しうる微小なグロスムラを低減することを目的としている。
本実施例3に示す定着装置10は、第2の加熱用回転体としての定着ローラ66を定着ローラ51,52よりも記録材搬送方向下流側に設け、その定着ローラ66にベルト61を接触させた点を除いて、実施例2の定着装置と同じ構成としてある。
(1−1)定着装置の構成
図10は本実施例3の定着装置10の一例の横断側面模型図である。図11は図10に示す定着装置10の定着ローラ51,52,66とベルト61の配置態様を表わす斜視図である。
図10は本実施例3の定着装置10の一例の横断側面模型図である。図11は図10に示す定着装置10の定着ローラ51,52,66とベルト61の配置態様を表わす斜視図である。
定着ローラ66は、Al製又はFe製の円筒状の芯金66cを有し、この芯金66cの周囲に厚さ2mmの弾性層66bをローラ状に設け、その弾性層66bの周囲をPFAの離型層66aにより被覆したものである。この定着ローラ66の長さは定着ローラ51,52の長さよりも長くしてある。本実施例では、定着ローラ66の長さは加圧ローラ53の長さと同じにしてある。この定着ローラ66の長手方向に延びる芯金66cの長手方向両端部が装置フレームに軸受を介して回転自在に保持されている。
68は定着ローラ66表面に接触又は非接触に配設されている温度検知部材としてサーミスタである。サーミスタ68は定着ローラ66の表面温度を検知しその検知温度に応じた信号をMPU101に出力する。MPU101は、サーミスタ56,57,68からの出力信号を取り込む。そしてその出力信号に基づいて給電回路102からヒータ54,55,67に給電する電圧を制御し、定着ローラ51,52,68表面の温度を所定の定着温度(目標温度)に維持する。
定着ローラ66の芯金66cの内部には、定着ローラ66の長さと対応する領域に、ハロゲンランプ等のヒータ67が配設されている。ヒータ67は、ヒータ67の長手方向両端部に設けられている口金部67a,67bが円筒状のヒータホルダー68a,68bによって保持されている。そしてそのヒータホルダー68a,68bを装置フレームに固定保持させている。つまりヒータ67は、ヒータホルダー68a,68bを介して装置フレームに固定保持されている。67rはヒータ67の口金部67a,67bに接続されている給電用リード線である。
ベルト61の内側において定着ローラ67と対向する位置には、ゴムや耐熱性不職布からなる加圧パッド69が設けられている。加圧パッド69は、ベルト61内面に接触しベルト61表面を所定の加圧力により定着ローラ67表面に加圧状態に接触させるように装置フレームに保持されている。これによって定着ローラ67の弾性層67bを弾性変形させ、ベルト61表面と定着ローラ67表面の間に第2のニップ部として所定幅のニップ部N3を形成している。なお、図11では加圧パッド69の図示を省略してある。
(1−2)定着装置の加熱定着動作
実施例2の定着装置10と同様、コピージョブに応じて定着モータMが回転駆動されることによって駆動ローラ62aが矢印方向へ回転する。駆動ローラ62aの回転によりベルト61が矢印方向へ移動し始めるとそのベルト61の回転に伴いテンションローラ63も矢印方向へ従動回転する。これによってベルト61は矢印方向へ周回移動する。そしてベルト61の周回移動が安定し、かつ定着ローラ51,52,66の表面温度がMPU101による給電回路102の電圧制御により所定の定着温度に維持された状態において、未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pがベルト61表面上に搬送されてくる。その記録材Pはベルト61によってまずニップ部N1に導入されそのニップ部N1で挟持搬送される。次いで未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pはニップ部N2に導入されそのニップ部N2で挟持搬送される。そしてその2つのニップ部N1,N2による搬送過程において、トナー画像Tに定着ローラ51,52表面が接することによりトナーが溶融し、かつその溶融トナーをニップ部N1,N2による圧力で記録材Pに加圧する。これによってトナー画像Tは記録材P上に加熱定着される。つまり、2つのニップ部N1,N2でトナー画像Tを担持する記録材Pを順次挟持搬送しつつ加熱することによって、トナー画像Tを記録材P上に加熱定着している。そしてニップ部N2において記録材Pはトナー画像T側の記録材面が定着ローラ52表面から分離しベルト61によってニップ部N3に導入されそのニップ部N3で挟持搬送される。ニップ部N3において記録材P上の定着トナー画像を溶かしすぎると定着トナー画像と定着ローラ66表面との付着力が大きくなってしまう。そのため、定着ローラ66の温度(定着温度(温調温度))は少なくとも定着ローラ51,52の温度(定着温度(温調温度))より低温であって、定着ローラ66表面がトナー画像Tのトナーのガラス転移温度以上になることが望ましい。本実施例においては、定着ローラ51,52の温度を180℃、定着ローラ66の温度を130℃とする。ニップ部N3において記録材Pはトナー画像側の記録材面が定着ローラ66表面から分離しベルト61によって排出ローラ11に向け送り出される。
実施例2の定着装置10と同様、コピージョブに応じて定着モータMが回転駆動されることによって駆動ローラ62aが矢印方向へ回転する。駆動ローラ62aの回転によりベルト61が矢印方向へ移動し始めるとそのベルト61の回転に伴いテンションローラ63も矢印方向へ従動回転する。これによってベルト61は矢印方向へ周回移動する。そしてベルト61の周回移動が安定し、かつ定着ローラ51,52,66の表面温度がMPU101による給電回路102の電圧制御により所定の定着温度に維持された状態において、未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pがベルト61表面上に搬送されてくる。その記録材Pはベルト61によってまずニップ部N1に導入されそのニップ部N1で挟持搬送される。次いで未定着のトナー画像Tを担持する記録材Pはニップ部N2に導入されそのニップ部N2で挟持搬送される。そしてその2つのニップ部N1,N2による搬送過程において、トナー画像Tに定着ローラ51,52表面が接することによりトナーが溶融し、かつその溶融トナーをニップ部N1,N2による圧力で記録材Pに加圧する。これによってトナー画像Tは記録材P上に加熱定着される。つまり、2つのニップ部N1,N2でトナー画像Tを担持する記録材Pを順次挟持搬送しつつ加熱することによって、トナー画像Tを記録材P上に加熱定着している。そしてニップ部N2において記録材Pはトナー画像T側の記録材面が定着ローラ52表面から分離しベルト61によってニップ部N3に導入されそのニップ部N3で挟持搬送される。ニップ部N3において記録材P上の定着トナー画像を溶かしすぎると定着トナー画像と定着ローラ66表面との付着力が大きくなってしまう。そのため、定着ローラ66の温度(定着温度(温調温度))は少なくとも定着ローラ51,52の温度(定着温度(温調温度))より低温であって、定着ローラ66表面がトナー画像Tのトナーのガラス転移温度以上になることが望ましい。本実施例においては、定着ローラ51,52の温度を180℃、定着ローラ66の温度を130℃とする。ニップ部N3において記録材Pはトナー画像側の記録材面が定着ローラ66表面から分離しベルト61によって排出ローラ11に向け送り出される。
(2)記録材の分離性向上の確認実験
本実施例3の定着装置10における定着ローラ51,52表面からの記録材Pの分離性向上の効果を確認するために、実施例2と同様、次のような実験を行った。
本実施例3の定着装置10における定着ローラ51,52表面からの記録材Pの分離性向上の効果を確認するために、実施例2と同様、次のような実験を行った。
坪量が異なる薄紙(64g/m2、52g/m2、40g/m2)を用いて、本実施例3の定着装置10によりトナー画像の加熱定着を行う定着実験の分離性を評価した。
表1に実験結果を示すと、本実施例3の定着装置10では、坪量64g/m2、52g/m2、40g/m2の何れの薄紙についても定着ローラ51,52表面から良好に分離することができる。本実施例3の定着装置10は、実施例2の定着装置10と同様、定着ローラ51,52表面からの記録材Pの分離性を向上できることを確認できた。
従って、本実施例3の定着装置10においても、実施例2の定着装置10と同じ作用効果を得ることができる。
また、本実施例3の定着装置10におけるグロスムラの低減効果を確認するために、定着実験を行い、記録材P上の定着トナー画像のグロスを入射角60°のグロス計を用いて評価した。
本実施例3の定着装置10における定着トナー画像の記録材搬送方向のある断面におけるグロス差のイメージ図を図13に示す。
本実施例3の定着装置10では、図13に示すように、図12に示す実施例1、2の定着装置10よりもグロス差が減少しており、かつグロスが向上していることが確認できる。
本実施例3の定着装置10は、記録材Pの幅方向全域をカバーするニップ部N3において記録材P上の定着トナー画像を同時に溶融させ加圧している。そのため定着トナー画像のニップ部N1,N2と対応する2つの領域間に生じたグロス差を低減し、かつグロスを向上することが可能となる。
本実施例3の定着装置10は、記録材Pの幅方向全域をカバーするニップ部N3において記録材P上の定着トナー画像を同時に溶融させ加圧している。そのため定着トナー画像のニップ部N1,N2と対応する2つの領域間に生じたグロス差を低減し、かつグロスを向上することが可能となる。
本実施例3の定着装置10は、実施例1、2の定着装置10と同様、分離性を向上することができ、かつニップ部N1,N2と対応する2つの領域間に生じるグロス差の低減とグロスの向上を両立することが可能となる。
10:加熱定着装置(定着器)、51,52,66:定着ローラ、53:加圧ローラ、
54,55,67:ヒータ、N1,N2,N3:ニップ部、P:記録材、T:未定着トナー画像
54,55,67:ヒータ、N1,N2,N3:ニップ部、P:記録材、T:未定着トナー画像
Claims (4)
- 複数の加熱用回転体と、前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触しニップ部を形成する加圧用回転体と、を有し、前記ニップ部でトナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置において、
前記複数の加熱用回転体は、それぞれ、前記加圧用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加圧用回転体の長手方向の異なる位置で前記加圧用回転体の周方向に重なり合わないように前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加圧用回転体が前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触することによって形成される複数のニップ部で前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱することを特徴とする像加熱装置。 - 複数の加熱用回転体と、前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触しニップ部を形成する加圧用回転体と、を有し、前記ニップ部でトナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置において、
前記複数の加熱用回転体は、それぞれ、前記加圧用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加圧用回転体の長手方向の異なる位置で前記加圧用回転体の周方向に重なり合わないように前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記複数の加熱用回転体の長手方向長さよりも長い第2の加熱用回転体を有し、前記第2の加熱用回転体は、前記複数の加熱用回転体よりも記録材搬送方向下流側で前記加圧用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加圧用回転体は、前記複数の加熱用回転体のそれぞれと接触し前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱する複数のニップ部と、前記第2の加熱用回転体と接触し前記トナー画像を担持する記録材を前記複数のニップ部で加熱した後に挟持搬送しつつ加熱する第2のニップ部を、それぞれ形成していることを特徴とする像加熱装置。 - 前記第2の加熱用回転体の温度は、前記複数の加熱用回転体の温度よりも低温であって、前記トナー画像のトナーのガラス転移温度以上であることを特徴とする請求項2に記載の像加熱装置。
- 複数の加圧用回転体と、前記複数の加圧用回転体のそれぞれと接触しニップ部を形成する加熱用回転体と、を有し、前記ニップ部でトナー画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ加熱する像加熱装置において、
前記複数の加圧用回転体は、それぞれ、前記加熱用回転体の長手方向長さよりも短く形成され、かつ前記加熱用回転体の長手方向の異なる位置で前記加熱用回転体の周方向に重なり合わないように前記加熱用回転体の長手方向に沿って配されており、前記加熱用回転体が前記複数の加圧用回転体のそれぞれと接触することによって形成される複数のニップ部で前記トナー画像を担持する記録材を順次挟持搬送しつつ加熱することを特徴とする像加熱装置。
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2008
- 2008-04-21 JP JP2008110036A patent/JP2009258540A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014081607A (ja) * | 2012-09-27 | 2014-05-08 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
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