JP2009257526A - ころ軸受の保持器、その製造方法、およびころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】ころを精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上させることができるころ軸受の保持器を提供する。
【解決手段】保持器11は、一対の環状部12a、12bと、ころ22を収容するポケット13を形成するように一対の環状部12a、12bを連結する複数の柱部14とを備える。ここで、柱部14の側壁面18は、打ち抜き刃によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面19aと、せん断面19aと径方向の異なる位置に設けられ、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられるようにして形成される破断面19bとを含む。せん断面19a内には、周方向に凹み、保持器11の外部となる内径側から破断面19bに至るまで延びる油溝20が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】保持器11は、一対の環状部12a、12bと、ころ22を収容するポケット13を形成するように一対の環状部12a、12bを連結する複数の柱部14とを備える。ここで、柱部14の側壁面18は、打ち抜き刃によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面19aと、せん断面19aと径方向の異なる位置に設けられ、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられるようにして形成される破断面19bとを含む。せん断面19a内には、周方向に凹み、保持器11の外部となる内径側から破断面19bに至るまで延びる油溝20が設けられている。
【選択図】図1
Description
この発明は、ころ軸受の保持器、その製造方法、およびころ軸受に関するものであり、特に、断面略M字形状のころ軸受の保持器、その製造方法、およびこのような保持器を含むころ軸受に関するものである。
自動車のトランスミッションのアイドラーや、オートバイのエンジンのコンロッド(コネクティングロッド)の大端部等に使用されるころ軸受の保持器として、断面が略M字形状のM型保持器がある。M型保持器は、ころを収容するポケット間に位置する柱部の軸方向中央部が軸方向両端部よりも内径側に凹んだ形状である。一般的なM型保持器は、径方向に折曲げられた柱部の側壁面で、ポケットに収容されたころを案内する。
ここで、保持器の柱部の側壁面の形状に関する技術が特許第3735160号(特許文献1)、特開2000−18258号公報(特許文献2)および実用新案第2571697号(特許文献3)に開示されている。特許文献1には、ころの安定した案内の観点から、柱部の側壁面のうち、針状ころを案内するポケットの案内面を、ころピッチ円上において比較的平滑なせん断面とすることを特徴とする針状ころ軸受用保持器が開示されている。特許文献2によると、リング状の削り出し保持器のポケットの内側面の内径部にしごき加工による内爪を設け、さらに内爪の両側に隣接して一対の溝を設けている。この溝により、内爪と対応するころ表面に潤滑油を行き渡り易くしている。また、特許文献3によると、柱部の側壁面の外径側にせん断面、内径側に破断面を配置し、ころ案内面となる破断面を潤滑油留めとして利用して、摺接部分への潤滑油補給効果を得ることとしている。
特許第3735160号
特開2000−18258号公報
実用新案第2571697号
特許文献1によると、ポンチおよびダイスを用いてポケットの内壁面をせん断加工し、ポケットの内壁面にせん断面を形成している。そして、この平滑なせん断面をころ案内面として、ポケットに収容されたころを案内することとしている。しかし、このようにして形成されたころ案内面、具体的には、せん断面ところとの接触部分に異物が溜まると、ころが接触部分で摩耗してしまう虞がある。また、潤滑油により形成された油膜が削り取られ、ころの剥離が発生してしまう虞もある。
特許文献2においては、側壁面に設けられた溝により潤滑油の流出入が可能であるが、潤滑性能が十分とはいえない。さらに側壁面を仕上げる工程に加え、新たに溝加工をする工程を増加しなければならず、加工工数が増えてしまい、安価に製造することができない。また、特許文献3によると、平滑ではなく比較的粗い面である破断面でころを案内することになるので、ころの案内が不安定になる虞がある。
この発明の目的は、ころを精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上させることができるころ軸受の保持器を提供することである。
この発明の他の目的は、破損の虞を低減し、長寿命化を図ることができるころ軸受を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、ころを精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上することができるころ軸受の保持器を安価に製造することができるころ軸受の保持器の製造方法を提供することである。
この発明に係るころ軸受の保持器は、一対の環状部と、ころを収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結する複数の柱部とを備える。ここで、柱部の側壁面は、打ち抜き刃によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面と、せん断面と径方向の異なる位置に設けられ、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられるようにして形成される破断面とを含む。せん断面内には、周方向に凹み、保持器外部から破断面に至るまで延びる油溝が設けられている。
このように構成することにより、比較的平滑なせん断面でころを案内することができるため、ころを精度よく案内することができる。また、比較的粗い面である破断面を、潤滑油を溜める部分として利用することができるため、破断面に潤滑油を十分に保持させて、破断面からせん断面に対して潤滑油を随時供給することができる。さらに、せん断面内に設けられた油溝を利用して破断面に対する潤滑油の流出入を容易に行うことができる。したがって、ころを精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上することができる。
好ましくは、油溝は、径方向に延びている。こうすることにより、径方向における潤滑油の流出入を容易に行うことができる。
さらに好ましくは、油溝は、複数設けられている。こうすることにより、より効率的に潤滑油の流出入を行うことができる。
さらに好ましくは、複数の油溝は、軸方向の異なる位置に設けられている。こうすることにより、軸方向において適切に潤滑油の流出入を行うことができる。
なお、せん断面は、破断面よりも内径側に設けられるようにしてもよい。こうすることにより、内径側からの潤滑油の流出入を容易に行うことができる。
さらに好ましくは、ころ軸受の保持器の回転軸線と平行であって回転軸線および柱部を含む平面で切断したころ軸受の保持器の断面は、略M字形状である。このような形状のころ軸受の保持器は、柱部の径方向の寸法を大きく確保することができるため、ころを安定して案内することができる。
この発明の他の局面においては、ころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する上記したいずれかのころ軸受の保持器とを含む。このようなころ軸受は、ころを精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上させることができるころ軸受の保持器を含むため、ころの摩耗や剥離を抑制して、ころ軸受の破損の虞を低減し、長寿命化を図ることができる。
この発明のさらに他の局面において、ころ軸受の保持器の製造方法は、一対の環状部と、ころを収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結する柱部とを備えるころ軸受の保持器の製造方法である。ここで、ころ軸受の保持器の製造方法は、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられるようにして形成される破断面を柱部の側壁面に形成するように、保持器素材の一部を打ち抜き刃で打ち抜いてポケットを形成するポケット抜き工程と、ポケット抜き工程の後に、柱部の側壁面に破断面を残し、かつ、柱部の側壁面に、打ち抜き刃によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面、およびせん断面内に設けられ、周方向に凹み、保持器素材外部から破断面に至るまで延びる油溝を形成する側壁面加工工程とを含む。
このようなころ軸受の保持器の製造方法によると、破断面を残しつつ、せん断面および油溝を同時に形成することができるため、加工工数を少なくして、安価に製造することができる。
好ましくは、側壁面加工工程は、ブローチ加工工程を含む。こうすることにより、より確実にせん断面および油溝を形成することができる。
この発明に係るころ軸受の保持器によると、比較的平滑なせん断面でころを案内することができるため、ころを精度よく案内することができる。また、比較的粗い面である破断面を、潤滑油を溜める部分として利用することができるため、破断面に潤滑油を十分に保持させて、破断面からせん断面に対して潤滑油を随時供給することができる。さらに、前記せん断面内に設けられた油溝を利用して破断面に対する潤滑油の流出入を容易に行うことができる。したがって、ころを精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上することができる。
また、このようなころ軸受は、ころを精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上させることができるころ軸受の保持器を含むため、ころの摩耗や剥離を抑制して、ころ軸受の破損の虞を低減し、長寿命化を図ることができる。
また、このようなころ軸受の保持器の製造方法によると、破断面を残しつつ、せん断面および油溝を同時に形成することができるため、加工工数を少なくして、安価に製造することができる。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態に係るころ軸受の保持器を含むころ軸受の一部を示す断面図である。図1は、一点鎖線で示すころ軸受の保持器の回転軸線23と平行であって回転軸線23およびポケットを含む平面で切断した場合の断面図を周方向から見た図である。図2は、図1に示すころ軸受の保持器のポケット周辺部分を、内径側、すなわち、図1に示す矢印IIの方向から見た図である。
図1および図2を参照して、ころ軸受21は、複数のころ22と、複数のころ22を保持する保持器11とを含む。保持器11は、保持器素材から削り出しにより製造された削り出し保持器である。このようなころ軸受21は、例えば、自動車のトランスミッションのアイドラーや、オートバイのエンジンのコンロッドの大端部に利用される。このような軸受21には、例えば、内径側から潤滑油が供給される。なお、図1において、ころ22は、理解の容易の観点から二点鎖線で示している。
保持器11は、一対の環状部12a、12bと、ころ22を収容するポケット13を形成するように一対の環状部12a、12bを連結する複数の柱部14とを備える。保持器11は、いわゆるM型保持器である。具体的には、保持器11の回転軸線23と平行であって回転軸線23および柱部14を含む平面で切断した断面が、略M字形状となる。なお、後述するように、ポケット13はパンチ等を用いて保持器素材の一部をポケット13の形状に打ち抜くことにより形成される。
柱部14は、軸方向両端部に位置し、軸方向に延びる一対の延出部15a、15bと、一対の延出部15a、15bの軸方向内方端から径方向の内方側に向かって傾斜して延びる一対の傾斜部16a、16bと、一対の傾斜部16a、16bの軸方向内方端を結ぶように軸方向に延びる直線部17とを含む形状である。ポケット13の周方向両側に位置する柱部14の側壁面18のうち、対面する一対の延出部15a、15b間の周方向の寸法および対面する直線部17間の周方向の寸法はそれぞれ、対面する一対の傾斜部16a、16b間の周方向の寸法よりも短く構成されている。一対の延出部15a、15bの領域でポケット13内に収容されたころ22の外径側の脱落を防止している。また、直線部17の領域でポケット13内に収容されたころ22の内径側の脱落を防止している。保持器11は、傾斜部16a、16bに該当する領域でポケット13に収容されたころ22を案内するよう構成されている。
柱部14の側壁面18は、打ち抜き刃によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面19aと、せん断面19aの外径側に設けられ、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられるようにして形成される破断面19bとを含む。せん断面19a内には、周方向に凹み、保持器11の外部となる内径側から破断面19bに至るまで延びる油溝20が設けられている。油溝20は、径方向に真直ぐに延びている。油溝20は、内径側から見た場合に側壁面18から半円状に凹んだ形状である。油溝20は、一対の傾斜部16a、16bにそれぞれ1つずつ設けられている。なお、図1において、破断面19bについては、ドットで図示している。
このような保持器11は、比較的平滑なせん断面19aでころ22を案内することができるため、ころ22を精度よく案内することができる。また、比較的粗い面である破断面19bを、潤滑油を溜める部分として利用することができるため、破断面19bに潤滑油を十分に保持させて、破断面19bからせん断面19aに対して潤滑油を随時供給することができる。さらに、せん断面19a内に設けられた油溝20を利用して破断面19bに対する潤滑油の流出入を容易に行うことができる。したがって、ころ22を精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上することができる。
また、このような保持器11を含むころ軸受21は、ころ22を精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上させることができる保持器11を含むため、ころ22の摩耗や剥離を抑制して、ころ軸受21の破損の虞を低減し、長寿命化を図ることができる。
次に、この発明の一実施形態に係るころ軸受の保持器11の製造方法について説明する。まず、保持器素材を準備する。そして、保持器素材を削り出しによって、断面が上記した略M字形状の円筒状となるように外形形状を加工する。その後、打ち抜き加工により、ころを収容するポケットを形成するポケット抜き工程を行う。ポケット抜き工程は、打ち抜き刃を有するパンチとダイスを用いて行う。
この場合、内径側から外径側に向かって打ち抜くようにポケット抜き工程を行う。すなわち、外径側にダイスを配置し、内径側にパンチを配置して、内径側から外径側に向かってパンチを押し進めるようにして打ち抜く。そうすると、打ち抜いたポケットの周方向両側に位置する柱部の側壁面において、打ち抜き刃によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面が内径側に配置され、保持器材料によって引きちぎられるようにして形成される破断面が外径側に配置することになる。
この状態における保持器素材の一部を、図3、図4および図5に示す。図3は、外形形状を形成し、ポケット抜きを行った状態の保持器素材の一部の断面を周方向から見た図であり、図1に対応する。図4は、図3に示す保持器素材を図3中の矢印IVの方向から見た図である。図5は、ポケットを含み、保持器の回転軸線に垂直な平面で保持器素材を切断した場合の断面図である。
図3〜図5を参照して、保持器素材31には、ポケット抜き加工を行うことにより、一対の環状部32a、32bと、柱部34とが形成される。ポケット33の周方向両側に位置する柱部34の側壁面38には、せん断面39aと破断面39bとが形成されている。せん断面39aは内径側に配置されており、破断面39bはせん断面39aよりも外径側に配置されている。破断面39bは保持器素材を引きちぎられるようにして形成されるため、せん断面39aよりも周方向に凹んだ形状となる。すなわち、ポケット33の周方向両側に位置する柱部34の側壁面38の間隔は、せん断面39a同士が対面する領域の間隔L1よりも破断面39b同士が対面する領域の間隔L2の方が広くなる。なお、せん断面39aは比較的平滑な面であり、破断面39bは、比較的粗い面である。
次に、柱部34の側壁面38を加工する側壁面加工工程として、柱部34の側壁面38の一部にブローチ加工を行う。ブローチ加工は、柱部34の側壁面38のうち、一対の傾斜部36a、36bを含む領域A1、A2に対して行う。具体的には、図3で示す点線部分で挟んだ領域A1、およびA2に対して行なう。
ここで、ブローチ加工について説明する。図6は、ブローチ加工を行う状態を示す図であり、図5に示す断面に相当する。図3〜図6を参照して、まず、ブローチ加工治具として、その先端に打ち抜き刃43を有するパンチ41と、パンチ41を受け入れる形状の開口部44を有するダイス42とを準備する。パンチ41の打ち抜き刃43について、油溝を形成する部分は、周方向外側にやや突出した突状45となっている。
そして、ポケット33が開口部44に位置するように保持器素材31の外径側にダイス42を配置する。そして、パンチ41を内径側に配置し、パンチ41を内径側から外径側に向かって、すなわち、図6に示す矢印VIの方向にパンチ41を押し進める。ここで、打ち抜き刃43によって柱部34の側壁面38のうち、せん断面39aを切削するようにしてブローチ加工を行う。この場合、柱部34の側壁面38のうち、外径側に配置される破断面39bを残し、かつ、柱部34の側壁面38に、打ち抜き刃43によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面39c、およびせん断面39c内に設けられ、周方向に凹み、保持器素材31外部となる内径側から破断面39bに至るまで延びる油溝(図示せず)を形成するようにブローチ加工を行う。油溝は、突状45により形成される。図6中、打ち抜き刃43によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面39cは、点線で示している。
このようにして、この発明の一実施形態に係るころ軸受の保持器を製造する。このようにして製造されたころ軸受の保持器に形成された複数のポケットのそれぞれにころを組み込んで、ころ軸受を製造する。
このようなころ軸受の保持器の製造方法によれば、柱部の側壁面の一部をブローチ加工する際に、油溝を同時に形成することができる。したがって、加工工程を増加させずに油溝を形成することができ、安価に製造することができる。
なお、上記の実施の形態においては、油溝は一対の傾斜部にそれぞれ1つずつ設けることにしたが、これに限らず、一対の傾斜部にそれぞれ2つ以上油溝を設けることにしてもよい。
図7は、この発明の他の実施形態に係るころ軸受の保持器を含むころ軸受の一部を示す断面図であり、図1に相当する。図8は、図7に示すころ軸受に含まれる保持器を、内径側、すなわち、図7中の矢印VIIIの方向から見た図であり、図2に相当する。図7および図8に示すころ軸受61およびころ軸受の保持器51の基本的な構成については、図1および図2に示すころ軸受21およびころ軸受の保持器11と同様であるので、その説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図7および図8を参照して、ころ軸受61に含まれる保持器51のうち、柱部54の側壁面58は、せん断面59aと、破断面59bとを含む。ここで、柱部54の側壁面58のうち、一対の傾斜部56a、56bのせん断面59aにはそれぞれ、径方向に延びる2つの油溝60a、60bが設けられている。それぞれの油溝60a、60bは、軸方向の異なる位置に設けられている。このように構成することにより、軸方向において適切に潤滑油の流出入を行うことができる。
なお、上記の実施の形態においては、一対の傾斜部に油溝を設けることにしたが、これに限らず、柱部の側壁面のうち、その他の部分、例えば一対の延出部や直線部に設けてもよく、少なくとも柱部の側壁面のうち、一箇所に設けていればよい。
また、油溝は径方向に真直ぐ延びるように設けることにしたが、これに限らず、軸方向に延びていてもよいし、軸方向に傾きを持っていてもよいし、湾曲していてもよい。
なお、径方向から見た油溝の形状については、図2に示す形状に限らず、その他の形状、例えば、図2において複数の直線で構成される形状や、直線と円弧で構成される形状であってもよい。
また、上記の実施の形態においては、せん断面が内径側に配置され、破断面が外径側に配置される構成としたが、これに限らず、せん断面が外径側に配置され、破断面が内径側に配置される構成としてもよい。この場合、せん断面内に設けられる油溝は、保持器外部となる外径側から破断面に至るまで延びる形状となる。
なお、上記の実施の形態においては、保持器の形状がM型保持器である場合について説明したが、これに限らず、柱部の軸方向中央部は、柱部の軸方向両端部よりも内径側に凹んだ形状のいわゆるV型保持器や、柱部が径方向に折曲げられておらず、軸方向に真直ぐに延びる形状の保持器にも適用される。
また、上記の実施の形態においては、保持器素材を削り出して外形形状を形成する削り保持器の場合について説明したが、これに限らず、帯鋼を円筒状に折曲げて形成する溶接保持器や、鋼板に深絞り加工を施してカップ状に形成した後に端部を折曲げて鍔を形成したM型保持器を用いることにしてもよい。
なお、上記の実施の形態において、ころ軸受は、外輪や内輪等、軌道輪を含む構成としてもよい。
また、ブローチ加工以外の工程で、柱部の側壁面にせん断面および油溝を形成するようにしてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明に係るころ軸受の保持器は、ころを精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上させることができるため、自動車のトランスミッションのアイドラーや、オートバイのエンジンのコンロッドの大端部に、有効に利用される。
また、この発明に係るころ軸受についても、ころ軸受の破損の虞を低減し、長寿命化を図ることができるため、自動車のトランスミッションのアイドラーや、オートバイのエンジンのコンロッドの大端部に、有効に利用される。
また、この発明に係るころ軸受の保持器の製造方法は、ころを精度よく案内することができると共に、潤滑性能を向上させることができるころ軸受の保持器の安価な製造が要求される場合に、有効に利用される。
11,51 保持器、12a,12b,32a,32b 環状部、13,33 ポケット、14,34,54 柱部、15a,15b 延出部、16a,16b,36a,36b,56a,56b 傾斜部、17 直線部、18,38,58 側壁面、19a,39a,39c,59a せん断面、19b,39b,59b 破断面、20,60a,60b 油溝、21,61 ころ軸受、22 ころ、23 回転軸線、31 保持器素材、41 パンチ、42 ダイス、43 打ち抜き刃、44 開口部、45 突状。
Claims (9)
- 一対の環状部と、ころを収容するポケットを形成するように前記一対の環状部を連結する複数の柱部とを備えるころ軸受の保持器であって、
前記柱部の側壁面は、打ち抜き刃によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面と、
前記せん断面と径方向の異なる位置に設けられ、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられるようにして形成される破断面とを含み、
前記せん断面内には、周方向に凹み、保持器外部から前記破断面に至るまで延びる油溝が設けられている、ころ軸受の保持器。 - 前記油溝は、径方向に延びている、請求項1に記載のころ軸受の保持器。
- 前記油溝は、複数設けられている、請求項1または2に記載のころ軸受の保持器。
- 複数の前記油溝は、軸方向の異なる位置に設けられている、請求項3に記載のころ軸受の保持器。
- 前記せん断面は、前記破断面よりも内径側に設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載のころ軸受の保持器。
- 前記ころ軸受の保持器の回転軸線と平行であって前記回転軸線および前記柱部を含む平面で切断した前記ころ軸受の保持器の断面は、略M字形状である、請求項1〜5のいずれかに記載のころ軸受の保持器。
- 複数のころと、
複数の前記ころを保持する請求項1〜6のいずれかに記載のころ軸受の保持器とを含む、ころ軸受。 - 一対の環状部と、ころを収容するポケットを形成するように前記一対の環状部を連結する柱部とを備えるころ軸受の保持器の製造方法であって、
打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられるようにして形成される破断面を柱部の側壁面に形成するように、保持器素材の一部を打ち抜き刃で打ち抜いて前記ポケットを形成するポケット抜き工程と、
前記ポケット抜き工程の後に、前記柱部の側壁面に前記破断面を残し、かつ、前記柱部の側壁面に、打ち抜き刃によって打ち抜かれる際に形成されるせん断面、および前記せん断面内に設けられ、周方向に凹み、前記保持器素材外部から前記破断面に至るまで延びる油溝を形成する側壁面加工工程とを含む、ころ軸受の保持器の製造方法。 - 前記側壁面加工工程は、ブローチ加工工程を含む、請求項8に記載のころ軸受の保持器の製造方法。
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JP2008109340A JP2009257526A (ja) | 2008-04-18 | 2008-04-18 | ころ軸受の保持器、その製造方法、およびころ軸受 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104968956A (zh) * | 2013-03-01 | 2015-10-07 | 日本精工株式会社 | 径向滚针轴承用保持架及其制造方法 |
-
2008
- 2008-04-18 JP JP2008109340A patent/JP2009257526A/ja not_active Withdrawn
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