JP2009257356A - 駆動装置のオイルレベル調整機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動装置内において潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方を完結でき、回転部材の撹拌損失を低減すること。
【解決手段】オイル4の温度に依存した粘度特性を利用して、回転部材3によって掻き上げられたオイル4が低温高粘度の場合には、オイルキャッチタンク5内に設けられ、ラビリンス構造8を有する流量調整部7を流通する速度が遅くなり、ハウジング1内部に貯留される油量が減少して撹拌損失が低減でき、高温低粘度の場合には、ラビリンス構造8を有する流量調整部7を流通する速度が速くなり、回転部材3によって掻き上げられて発熱部へ供給される油量が増え、冷却が促進されるように構成された駆動装置のオイルレベル調整機構である。
【選択図】図1
【解決手段】オイル4の温度に依存した粘度特性を利用して、回転部材3によって掻き上げられたオイル4が低温高粘度の場合には、オイルキャッチタンク5内に設けられ、ラビリンス構造8を有する流量調整部7を流通する速度が遅くなり、ハウジング1内部に貯留される油量が減少して撹拌損失が低減でき、高温低粘度の場合には、ラビリンス構造8を有する流量調整部7を流通する速度が速くなり、回転部材3によって掻き上げられて発熱部へ供給される油量が増え、冷却が促進されるように構成された駆動装置のオイルレベル調整機構である。
【選択図】図1
Description
この発明は、オイル溜まり部から掻き上げられたオイルの粘度特性を利用して、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方に用いられるオイルの量を調整できるように構成された駆動装置のオイルレベル調整装置に関するものである。
車両用の変速機などの各種機械・装置類では、オイルによる潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方がおこなわれている。そのオイルの供給形式として、オイルを加圧して軸受や歯車などの被潤滑部および被冷却部に供給する強制潤滑や回転部材によって掻き上げて被潤滑部および被冷却部に供給する掻き上げ潤滑などの形式が知られている。いずれの形式であっても、オイルの粘度は温度によって変化するので、状況に応じたオイル量を供給する制御が必要である。
その一例が特許文献1ないし4に記載されている。特許文献1に記載された駆動装置の制御装置は、駆動源としてのモータを収容しているハウジングの上部にハウジングに連通する孔を備えたオイル溜まり部を設け、そこにオイルポンプによってハウジング底部に貯留されたオイルを汲み上げるように構成されている。すなわち、駆動装置の作動状況に応じて汲み上げるオイルの量を変化させて、ハウジング底部に貯留されるオイルの量を制御できるように構成されている。
特許文献2に記載された液体潤滑式円錐ころ軸受け装置および車両用ピニオン軸支持装置は、被潤滑部位に流入する潤滑油量を必要最小限に抑える環状の遮蔽板からなる液体流入抑制部材を備え、潤滑油による撹拌抵抗が低減できるように構成されている。
特許文献3に記載された歯車装置は、歯車機構を収容するハウジングの底部に貯留され、歯車機構によって掻き上げられたオイルを一時的に貯留するオイル溜め部の流入口に、小穴を有する仕切り板を設けて、低温のために粘度が高いオイルは仕切り板を流通させずに、ハウジングに戻すように構成されている。これとは反対に高温のために粘度が低いオイルは仕切り板を流通させて、オイル溜め部に一時的に貯留されるように構成されている。
特許文献4に記載された油量を循環させるための方法およびこの方法を実施するための油回路は、オイルの温度と粘度の関係を利用して、特に低温時において、低温高粘度のオイルをオイルパン内に多孔質材料からなる貯蔵手段に保持させて、見かけ上の低温高粘度のオイル量を減らす構成としている。すなわち、貯留されたオイル全体を暖めるには時間がかかるために、潤滑に用いられて昇温するオイル量を制限することによって、潤滑に用いられるオイルが所定の温度に達するまでにかかる昇温時間を短縮し、またそれによって潤滑系統の昇温にかかる時間も短縮されるように構成されている。
上記の特許文献1および特許文献2、または特許文献4に記載された各装置は、オイルポンプを使用して、オイルを被潤滑部位に強制的に供給するように構成されている。そのため、オイルポンプを設置するスペースが必要になり、また被潤滑部位あるいは被冷却部位へオイルを供給するための油路が必要となって、装置が大型化したり、複雑化する虞がある。さらにまた、例えば低温時における撹拌抵抗の増加や、例えば高温時におけるモータなどの駆動源に対する冷却性能の低下を防ぐために、オイルポンプの制御が必要になる。
特許文献3に記載された装置は、オイルの粘度によって、低温時は仕切り板を流通させずにハウジング内に戻されるオイル量を増やすことによって潤滑不良を抑制し、高温時は仕切り板を流通させてハウジング内に戻されるオイル量を少なくすることによって、撹拌損失を低減できるように構成されている。
ところで、オイルは回転部材の潤滑だけではなく、冷却にも使用されるので、例えばモータなどの駆動源に対しては、冷却のためにオイルを供給する必要がある。
すなわち、モータなどの駆動源が高回転している場合には、発熱量が増大するので、モータの潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方のために、オイルの供給量を増やす必要がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、オイルの温度と粘度との関係を利用して、掻き上げ潤滑方式によるモータの潤滑と冷却とを両立できる駆動装置のオイルレベル調整装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、オイルによって冷却されるモータと、前記オイルを掻き上げる回転部材とを有する駆動装置のオイルレベル調整機構において、前記モータに向けて流れ落ちるオイルもしくは前記モータの下部を浸漬させるオイルとの少なくともいずれか一方のオイルを貯留する第一のオイル溜まり部と、前記回転部材の下部を浸漬させるオイルを貯留する第二のオイル溜まり部と、前記第一のオイル溜まり部から前記第二のオイル溜まり部に向けて流れるオイルの流速をオイルの粘度に応じて異ならせる流量調整部とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第一のオイル溜まり部は、前記モータの上方に設けられ、前記流量調整部は前記第一のオイル溜まり部に前記モータに向けて設けられた供給口において前記オイルに対する流動抵抗を増大させる流動阻害部材を含むことを特徴とする駆動装置のオイルレベル調整機構である。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記第一のオイル溜まり部は、前記モータの下部を浸漬するように前記モータの下方に前記第二のオイル溜まり部と並んで配置され、前記流量調整部は、これら第一のオイル溜まり部と第二のオイル溜まり部とを連通する連通部を含むことを特徴とする駆動装置のオイルレベル調整機構である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記流量調整部は、前記オイルの粘度が低いほどオイルの流速を速くするように構成されていることを特徴とする駆動装置のオイルレベル調整機構である。
請求項1の発明によれば、例えば車両の始動時あるいは低車速時であって、温度が低く、粘度が比較的高いオイルが掻き上げられ、モータの上部に設けられて、掻き上げられたオイルを一時的に貯留して、モータ・ジェネレータ2に向けて流下させる第一のオイル溜まり部に溜められた場合に、掻き上げられた低温高粘度のオイルは、流量調整部を流通して、第二のオイル溜まり部に達するまでに時間を要する。その結果、第二のオイル溜まり部に貯留されるオイルの量が低減して、回転部材によるオイルの引き摺り量を少なくすることができ、駆動装置全体の撹拌損失を低減させることができる。
これとは反対に、高車速時であって、モータの発熱量が大きく、その熱の影響を受けて温度が高なり、粘度が比較的低いオイルが掻き上げられ、モータの上部に設けられて、掻き上げられたオイルを一時的に貯留して、モータ・ジェネレータ2に向けて流下させる第一のオイル溜まり部に溜められた場合に、掻き上げられた高温低粘度のオイルは、流量調整部を流通して、第二のオイル溜まり部に達するまでに時間を要しない。その結果、第一のオイル溜まり部からモータへ向けて供給(流下)されるオイルの量と第二のオイル溜まり部に貯留されて、掻き上げられるオイルの量とが、低温時と比較して相対的に増加するので、モータの冷却を促進させることができる。
また例えば車両の始動時あるいは低車速時であって、モータの発熱量が小さく、温度が低く粘度が比較的高いオイルが掻き上げられ、モータの下部に設けられて、モータを浸漬させるオイルを貯留する第一のオイル溜まり部に一時的に溜められた場合に、第一のオイル溜まり部に貯留された低温高粘度のオイルは、流量調整部を流通して、第二のオイル溜まり部に達するまでに時間を要する。その結果、第二のオイル溜まり部に貯留されるオイルの量が低減して、回転部材によるオイルの引き摺り量を少なくすることができ、駆動装置全体の撹拌損失を低減させることができる。
これとは反対に、高車速時であって、モータの発熱量が大きく、その熱の影響を受けて温度が高なり、粘度が比較的低いオイルが掻き上げられ、モータの下部に設けられて、モータを浸漬させるオイルを貯留する第一のオイル溜まり部に一時的に溜められた場合に、第一のオイル溜まり部に貯留された高温低粘度のオイルは、流量調整部を流通して、第二のオイル溜まり部に達するまでに時間を要しない。その結果、第一のオイル溜まり部から第二のオイル溜まり部へ向けて流通されるオイルの量が増えるので、第二のオイル溜まり部に貯留されて掻き上げられるオイルの量が、低温時と比較して相対的に増加するので、モータの冷却を促進させることができる。
請求項2の発明によれば、第一のオイル溜まり部がモータの上部に設けられているので、第一のオイル溜まり部に一時的に貯留されたオイルは、その供給口からモータに向けて供給(流下)される。また、第一のオイル溜まり部には、オイルに対する流動抵抗を増大させる流動阻害部材を含む流量調整部が設けられているので、オイルの粘度に応じて、第一のオイル溜まり部の供給口からモータに向けて供給(流下)されるオイルの量を調整することができる。
例えば低温高粘度のオイルは、流量調整部を流通する速度が遅いので、掻き上げられたオイルは第一のオイル溜まり部に一時的に貯留され、第二のオイル溜まり部に貯留されるオイルの量が低減して回転部材によるオイルの引き摺り量が減少し、駆動装置全体の撹拌損失を低減させることができる。
これとは反対に、高温低粘度のオイルは、流量調整部を流通する速度が速いので、回転部材によって掻き上げられて第一のオイル溜まり部の供給口からモータへ向けて供給(流下)されるオイルの量と、第二のオイル溜まり部に貯留され、掻き上げられるオイルの量とが低温時と比較して相対的に増加するので、モータの冷却を促進させることができる。
請求項3の発明によれば、モータの下部を浸漬するように設けられた第一のオイル溜まり部と回転部材の下部を浸漬する第二のオイル溜まり部とは並んで配置されており、また第一のオイル溜まり部と第二のオイル溜まり部とを連通する連通部に流量調整部が設けられているので、オイルの粘度に応じて、第一のオイル溜まり部に一時的に貯留されるオイルの量を調整することができる。
例えば低温高粘度のオイルは、流量調整部を流通する速度が遅いので、掻き上げられたオイルは第一のオイル溜まり部に一時的に貯留され、第二のオイル溜まり部に貯留されるオイルの量が低減して回転部材によるオイルの引き摺り量が減少し、駆動装置全体の撹拌損失を低減させることができる。
これとは反対に、高温低粘度のオイルは、流量調整部を流通する速度が速いので、回転部材によって掻き上げられて、第一のオイル溜まり部の連通部から第二のオイル溜まり部へ供給されるオイルの量と、第二のオイル溜まり部に貯留され、掻き上げられるオイルの量とが低温時と比較して相対的に増加するので、モータの冷却を促進させることができる。
請求項4の発明によれば、流量調整部はオイルの粘度が低いほど、オイルの流速を速くするように構成されている。その結果、例えば低温高粘度のオイルは、流量調整部を流通する速度が遅くなるので、掻き上げられたオイルは第一のオイル溜まり部に一時的に貯留され、第二のオイル溜まり部に貯留されるオイルの量が低減して回転部材によるオイルの引き摺り量が減少し、駆動装置全体の撹拌損失を低減させることができる。
これとは反対に、高温低粘度のオイルは、流量調整部を流通する速度が速くなるので、回転部材によって掻き上げられて第一のオイル溜まり部から第二のオイル溜まり部へ供給されるオイルの量と、第二のオイル溜まり部に貯留され、掻き上げられるオイルの量とが低温時と比較して相対的に増加するので、モータの冷却を促進させることができる。
つぎにこの発明に係る駆動装置のオイルレベル調整機構の一例を説明する。この発明に係る駆動装置のオイルレベル調整機構の構成を模式的に図1に示してある。この発明に係る駆動装置のオイルレベル調整機構は、所定のハウジング1に収納され、例えば発電機あるいは電動機としてのモータ・ジェネレータ2と、モータ・ジェネレータ2の発生させる動力あるいは外部からの動力をモータ・ジェネレータ2に伝達する回転部材3とが動力伝達可能に設けられている。ハウジング1の底部に貯留され、回転部材3によって掻き上げられるオイル4は、モータ・ジェネレータ2や回転部材3の潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方に用いられるように構成されている。このオイル4を貯留する部分は、この発明における第二のオイル溜まり部であって、オイルパンなどのオイル4の貯留の目的で設けられた部分であってもよい。
またハウジング1の上部には、この発明における第一のオイル溜まり部として、掻き上げられたオイル4を受けるオイルキャッチタンク5が設けられている。オイルキャッチタンク5には、ハウジング1の内部にオイル4を戻す供給口6が設けられている。このオイルキャッチタンク5の内部あるいは供給口6のうちいずれか一方、もしくはその両方には、オイル4の粘度に応じて、ハウジング1の内部に供給するオイルの量を調整する流量調整部7が設けられている。この流量調整部7は、オイル4の温度と粘度との関係からオイル4に対する流動抵抗を利用した流動阻害部材から構成されている。
オイル4の温度と粘度との関係を簡略化して図2に示してある。すなわち、オイル4が低温である場合には、オイル4の粘度が高くなり、流動性が低下する。これとは反対に、オイル4が高温である場合には、オイル4の粘度が低くなり、流動性が高まる。
この発明における流量調整部の一例を模式的に図3に示してある。ここに示す例は掻き上げられて、オイルキャッチタンク5にとらえられたオイル4が、その粘度に応じて、流量調整部7のラビリンス構造8を流通する速度が異なるように構成した例である。ラビリンス構造8は、この発明における流動阻害部材の一例である。図3(a)は、ラビリンス構造8の断面図であり、図3(b)はラビリンス構造8の上視図である。図3において、流量調整部7に流入するオイル4をAと示し、流出するオイル4をBと示してある。
例えばモータ・ジェネレータ2が動作すると、オイル4は回転部材3によって掻き上げられて、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方に用いられる。また掻き上げられたオイル4の一部はオイルキャッチタンク5に入り、流量調整部7のラビリンス構造8を経てモータ・ジェネレータ2あるいは回転部材3に向けて流下もしくは滴下する。さらにまた、掻き上げられてオイルキャッチタンク5に入ったオイル4のラビリンス構造8を流通する速度は、オイル4の粘度に応じて、異なるように構成されている。
例えばモータ・ジェネレータ2の駆動直後、あるいは要求駆動量が小さく、駆動に伴う発熱量が少ない場合に、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方を担うオイル4の温度は低く、粘度が高い傾向にある。このような場合において、回転部材3によって掻き上げられてオイルキャッチタンク5に入ったオイル4は、流量調整部7のラビリンス構造8を流通する速度が遅くなり、オイルキャッチタンク5に留まる時間が長くなる。その結果、ハウジング1内に貯留されるオイル4の量が減少してハウジング1内の油面高さが低くなる。また、回転部材3に掻き上げられるオイル4の量が減少するので、駆動装置全体の撹拌損失が低減される。
また例えばモータ・ジェネレータ2への要求駆動量が大きく、駆動に伴う発熱量が大きい場合に、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方を担うオイル4の温度は高く、粘度が低い傾向にある。このような場合に、回転部材3によって掻き上げられてオイルキャッチタンク5に入ったオイル4は、流量調整部7のラビリンス構造8を流通する速度が速くなり、オイルキャッチタンク5に留まる時間が短くなる。その結果、オイルキャッチタンク5から発熱源であるモータ・ジェネレータ2に供給されるオイル4の量が増えて、オイル4によるモータ・ジェネレータ2の冷却が促進される。また、同時にハウジング1内部に貯留されるオイル4の量も増えるので、ハウジング1内の油面高さが上昇してモータ・ジェネレータ2はオイル4に浸かり、オイル4による冷却が促進される。
すなわち車両の加減速などの要求駆動力の変化によって、モータ・ジェネレータ2は駆動に伴う発熱量が変化する。ハウジング1内に貯留されるオイル4は発熱源の熱量の影響を受けるので、発熱量の変化に伴ってオイル4の温度と粘度とが変化する。言い換えると、オイル4が流量調整部7のラビリンス構造8を流通する時間は、発熱源の発熱量に伴って変化する。その結果、オイル4の粘度特性を利用して、オイルポンプなどを用いずに発熱源であるモータ・ジェネレータ2への潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方に必要とされる油量を制御(調整)することができる。
つぎにこの発明に係る駆動装置の流量調整部7の他の例について説明する。この発明に係る駆動装置の流量調整部7の他の例を模式的に図4に示してある。図4は、流量調整部7としてメッシュ状のオイルフィルタ9を設け、オイル4の粘度に応じてオイルフィルタ9を流通する時間(速度)が異なるように構成した例である。図4において、流量調整部7に流入するオイル4をAと示し、流出するオイル4をBと示してある。
例えばモータ・ジェネレータ2の駆動直後、あるいは要求駆動量が小さく、駆動に伴う発熱量が少ない場合に、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方を担うオイル4の温度は低く、粘度が高い傾向にある。このような場合において、回転部材3によって掻き上げられてオイルキャッチタンク5に入ったオイル4は、流量調整部7のオイルフィルタ9を流通する速度が遅くなり、オイルキャッチタンク5に留まる時間が長くなる。その結果、ハウジング1内に貯留されるオイル4の量が減少してハウジング1内の油面高さが低くなる。また、回転部材3に掻き上げられるオイル4の量が減少するので、駆動装置全体の撹拌損失が低減される。
また例えばモータ・ジェネレータ2への要求駆動量が大きく、駆動に伴う発熱量が大きい場合に、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方を担うオイル4の温度は高く、粘度が低い傾向にある。このような場合に、回転部材3によって掻き上げられてオイルキャッチタンク5に入ったオイル4は、流量調整部7のオイルフィルタ9を流通する速度が速くなり、オイルキャッチタンク5に留まる時間が短くなる。その結果、オイルキャッチタンク5からモータ・ジェネレータ2に供給されるオイル4の量が増えて、オイル4によるモータ・ジェネレータ2の冷却が促進される。また、同時にハウジング1内部に貯留されるオイル4の量も増えるので、ハウジング1内の油面高さが上昇してモータ・ジェネレータ2はオイル4に浸かり、オイル4による冷却が促進される。
すなわちオイル4が流量調整部7のオイルフィルタ9を流通する時間は、オイル4の粘度に依存し、低温高粘度の場合にはオイルフィルタ9の流通抵抗が小さく、高温低粘度の場合は流通抵抗が小さい。オイル4がオイルフィルタ9を流通する場合の流通抵抗は発熱源の発熱量に伴って変化する。その結果、オイル4の粘度特性を利用して、オイルポンプなどを用いずにモータ・ジェネレータ2への潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方に必要とされる油量を制御(調整)することができる。
つぎにこの発明に係る駆動装置の流量調整部7のさらに他の例について説明する。この発明に係る駆動装置の流量調整部7のさらに他の例を模式的に図5に示してある。図5(a)は、流量調整部7としてスロープ10を設け、スロープ10を流動するオイル4の流速が速い場合には、オイル4の進行方向に設けたドレーン11からオイル4が飛び出すように構成した例である。図5(b)は、図5(a)の部分拡大図である。図5において、流量調整部7に流入するオイル4をAと示し、流出するオイル4をBと示してある。
例えばモータ・ジェネレータ2の駆動直後、あるいは要求駆動量が小さく、駆動に伴う発熱量が少ない場合に、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方を担うオイル4の温度は低く、粘度が高い傾向にある。このような場合において、回転部材3によって掻き上げられてオイルキャッチタンク5に入ったオイル4は、流量調整部7のスロープ10を流動する速度が遅く、言い換えると、流動するオイル4の加速度が小さい。
オイル4を一つの固まりと考えた場合に、加速度が小さいオイル4は運動エネルギが小さくなる。すなわちオイル4の質量mが一定であり重力加速度をgとした場合に、鉛直方向のオイル4の位置エネルギはmgと表わされ、流動するオイル4の加速度をaとした場合に、オイル4の運動エネルギはmaと表わされる。オイル4は位置エネルギと運動エネルギとの合力によって表わされるベクトルに流動する。その結果、オイル4はスロープ10を流動する速度が遅いので、すなわち加速度が小さいので、オイルキャッチタンク5の底部に向けて流下もしくは滴下されて、オイルキャッチタンク5に留まる時間が長くなる。また、ハウジング1内に貯留されるオイル4の量が減少してハウジング1内の油面高さが低くなる。またそれに伴って回転部材3に掻き上げられるオイル4の量が減少するので、駆動装置全体の撹拌損失が低減される。
また例えばモータ・ジェネレータ2への要求駆動量が大きく、駆動に伴う発熱量が大きい場合に、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方を担うオイル4の温度は高く、粘度が低い傾向にある。このような場合に、回転部材3によって掻き上げられてオイルキャッチタンク5に入ったオイル4は、流量調整部7のスロープ10を流動する速度が速い。言い換えると、流動するオイル4の加速度が大きい。
オイル4を一つの固まりと考えた場合に、加速度が大きいオイル4は運動エネルギが大きくなる。すなわちオイル4の質量mが一定であり重力加速度をgとした場合に、鉛直方向のオイル4の位置エネルギはmgと表わされ、流動するオイル4の加速度をaとした場合に、オイル4の運動エネルギはmaと表わされる。オイル4は位置エネルギと運動エネルギとの合力によって表わされるベクトルに流動する。その結果、オイル4はスロープ10を流動する速度が早いので、すなわち加速度が大きいので、スロープ10から下ってきたオイル4の流動方向に設けられたドレーン11からオイル4が飛び出し、オイルキャッチタンク5に留まる時間が短くなる。その結果、オイルキャッチタンク5からモータ・ジェネレータ2に供給されるオイル4の量が増えて、オイル4によるモータ・ジェネレータ2の冷却が促進される。
また、スロープ10に導入されずに、オイルキャッチタンク5に入ったオイル4は、下側のドレーン12からハウジング1の内部に戻される。したがってハウジング1内部に戻されて循環されるオイル4の量が増えるので、ハウジング1内の油面高さが上昇してモータ・ジェネレータ2はオイル4に浸かり、オイル4による冷却が促進される。流動するオイル4がスロープ10を飛び出す角度の概略図を図5(b)に示してある。
つぎにこの発明に係る駆動装置のオイルレベル調整機構のさらに他の例について説明する。この発明に係る駆動装置のオイルレベル調整機構の他の構成例を模式的に図6に示してある。図6は、回転部材3によって掻き上げられ、オイルキャッチタンク5から流下または滴下したオイル4をモータ・ジェネレータ2を経て、その下部に設けた流量調整部7に戻すように構成した例である。また図6では、この発明における第一のオイル溜まり部であるモータ油浴13はモータ・ジェネレータ2の下部に、この発明における第二のオイル溜まり部である回転部材油浴14は回転部材3の下部に設けた構成としている。なお、流量調整部7はモータ油浴13の内部に設けられている。オイル4はモータ油浴13と回転部材油浴14とを連通する連通部15によって、流通できるように構成されている。ここで、オイル4が低温高粘度の場合を模式的に図6(a)に示してある。オイル4が高温低粘度の場合を模式的に図6(b)に示してある。
例えばモータ・ジェネレータ2の駆動直後、あるいは要求駆動量が小さく、駆動に伴う発熱量が少ない場合に、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方を担うオイル4の温度は低く、粘度が高い傾向にある。このような場合において、回転部材3によって掻き上げられてオイルキャッチタンク5に入ったオイル4は、オイルキャッチタンク5の供給口6からモータ・ジェネレータ2へ供給される。モータ・ジェネレータ2に供給されたオイル4はモータ・ジェネレータ2を伝って、その下部に設けられたモータ油浴13に貯留される。
このモータ油浴13の内部あるいは回転部材油浴14への連通部15のうちいずれか一方、もしくはその両方には、前述したラビリンス構造8あるいはオイルフィルタ9が設けられている。その結果、ハウジング1内部の回転部材油浴14に貯留されて、回転部材3に掻き上げられるオイル4の量が減少するので、駆動装置全体の撹拌損失が低減される。
また例えばモータ・ジェネレータ2への要求駆動量が大きく、駆動に伴う発熱量が大きい場合に、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方を担うオイル4の温度は高く、粘度が低い傾向にある。このような場合に、回転部材3によって掻き上げられてオイルキャッチタンク5に入ったオイル4は、オイルキャッチタンク5の供給口6からモータ・ジェネレータ2へ供給される。モータ・ジェネレータ2に供給されたオイル4はモータ・ジェネレータ2を伝って、その下部に設けられたモータ油浴13に貯留される。
しかしながらオイル4は高温低粘度のため、流量調整部7のラビリンス構造8あるいはオイルフィルタ9を流通する速度が速くなり、流量調整部7に留まる時間が短くなる。その結果、回転部材3によって掻き上げられて、オイルキャッチタンク5からモータ・ジェネレータ2に供給されるオイル4の量が増えて、オイル4によるモータ・ジェネレータ2の冷却が促進される。
すなわち車両の加減速などの要求駆動力の変化によって、モータ・ジェネレータ2の駆動に伴う発熱量が変化する。ハウジング1内に貯留されるオイル4は発熱源の熱量の影響を受けるので、発熱量の変化に伴ってオイル4の粘度は変化する。言い換えると、オイル4が流量調整部7のラビリンス構造8あるいはオイルフィルタ9を流通する時間は、発熱源の発熱量に伴って変化する。その結果、オイル4の粘度特性を利用して、オイルポンプなどを用いずに、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方に必要とされる油量を制御(調整)することができる。
なお、上述したこの発明に係る駆動装置のオイルレベル調整機構の例は、いずれもオイルの粘度特性を利用した例であるが、この発明は上述した各例に限定されるものではない。要はモータあるいは回転部材などのオイルによって、潤滑あるいは冷却のうちいずれか一方、もしくはその両方をなされ、かつ駆動装置内において完結でき、回転部材の撹拌損失を低減できる構成であればよい。
1…ハウジング、 2…モータ・ジェネレータ、 5…オイルキャッチタンク、 7…流量調整部、 8…ラビリンス構造、 9…オイルフィルタ、 10…スロープ、 11…ドレーン、 13…モータ油浴、 14…回転部材油浴、 15…連通部。
Claims (4)
- オイルによって冷却されるモータと、前記オイルを掻き上げる回転部材とを有する駆動装置のオイルレベル調整機構において、
前記モータに向けて流れ落ちるオイルもしくは前記モータの下部を浸漬させるオイルとの少なくともいずれか一方のオイルを貯留する第一のオイル溜まり部と、
前記回転部材の下部を浸漬させるオイルを貯留する第二のオイル溜まり部と、
前記第一のオイル溜まり部から前記第二のオイル溜まり部に向けて流れるオイルの流速をオイルの粘度に応じて異ならせる流量調整部と
を備えていることを特徴とする駆動装置のオイルレベル調整機構。 - 前記第一のオイル溜まり部は、前記モータの上方に設けられ、前記流量調整部は前記第一のオイル溜まり部に前記モータに向けて設けられた供給口において前記オイルに対する流動抵抗を増大させる流動阻害部材を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置のオイルレベル調整機構。 - 前記第一のオイル溜まり部は、前記モータの下部を浸漬するように前記モータの下方に前記第二のオイル溜まり部と並んで配置され、
前記流量調整部は、これら第一のオイル溜まり部と第二のオイル溜まり部とを連通する連通部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置のオイルレベル調整機構。 - 前記流量調整部は、前記オイルの粘度が低いほどオイルの流速を速くするように構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の駆動装置のオイルレベル調整機構。
Priority Applications (1)
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JP2008103847A JP2009257356A (ja) | 2008-04-11 | 2008-04-11 | 駆動装置のオイルレベル調整機構 |
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DE102015219431A1 (de) * | 2015-10-07 | 2017-04-13 | Zf Friedrichshafen Ag | Beölungsvorrichtung für Getriebe |
CN112196980A (zh) * | 2020-09-25 | 2021-01-08 | 中国直升机设计研究所 | 一种双余度滑油系统 |
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2008
- 2008-04-11 JP JP2008103847A patent/JP2009257356A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102015219431A1 (de) * | 2015-10-07 | 2017-04-13 | Zf Friedrichshafen Ag | Beölungsvorrichtung für Getriebe |
CN112196980A (zh) * | 2020-09-25 | 2021-01-08 | 中国直升机设计研究所 | 一种双余度滑油系统 |
CN112196980B (zh) * | 2020-09-25 | 2022-11-04 | 中国直升机设计研究所 | 一种双余度滑油系统 |
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