JP2009256555A - 蓄光性蛍光体およびその製造方法 - Google Patents

蓄光性蛍光体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光強度を向上させつつ、発光波長が410nmよりも小さい蓄光性蛍光体、並びに該蛍光体の製造方法の提供。
【解決手段】母体結晶CaAlSiOに複数の種類の希土類元素を含み、希土類元素のうちの1つがツリウムであることを特徴とする蓄光性蛍光体。該蓄光性蛍光体は、母体結晶を形成する材料と複数の種類の希土類元素の酸化物とを含む混合物を粉砕し、アルコールと共に混錬したものを還元作用のあるガス雰囲気下で焼成することより製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は、賦活剤として希土類元素を含む蓄光性蛍光体およびその製造方法に関する。
蛍光体の1種である蓄光性蛍光体は、太陽光などの光を吸収して、そのエネルギーを蓄えることにより、暗所において発光する。かつては、硫化亜鉛に銅などを含有させた非酸化物材料(例えば、ZnS:Cu)が主流であったが、近年では、酸化アルミニウムを主成分とするセラミック材料に希土類元素を含有させた、発光時間の長い酸化物材料が開発され、主として用いられている。
セラミック材料に希土類元素を含有してなる蓄光性蛍光体としては、アルミン酸ストロンチウムにユーロピウム(Eu)およびジスプロシウム(Dy)を含有させたもの(SrAl:Eu,Dy)がよく知られている。SrAl:Eu,Dyは、ZnS:Cuに比べて残光輝度および持続時間が良いため、現在、蓄光性蛍光体として最も普及している。
近年、通常の触媒プロセスでは困難な化学反応を常温において引き起こしたりすることができる光触媒が注目を集めている。光触媒とは、その名の示すとおり、光を照射することにより触媒作用を示す物質の総称である。このような光触媒のうち、代表的な光触媒としては、酸化チタン(TiO)が知られている。酸化チタンは、単に化学反応時における用途のみならず、例えば、光反応によりガン細胞の破壊などの幅広い分野への応用が期待されている物質である。しかし、当然のことながら、光触媒は、体内、暗室などの光の届かない場所では触媒活性を示さない。そのため、例えば、体内のガン細胞を破壊するなどの医療用途に用いるためには、体内のような光の届かない場所でも触媒活性を示すように改良する必要がある。
このような光触媒の改良に好適に用いることが期待されている物質が、前述した蓄光性蛍光体である。すなわち、蓄光性蛍光体と光触媒とを組み合わせることにより、例えば体内などの暗所においても光触媒を活性化させることができると考えられている。また、前述のとおり、蓄光性蛍光体は、酸化物であるため、同様に酸化物である酸化チタンとも相性がよいと考えられている。
山家光男、小玉展宏、セラミックス、42、(2007)、No.11、856−861 N.Kodama et al., Appl. Phys. Lett., Vol.75, No.12,1715-1717, 20 September 1999
しかし、光触媒として知られている酸化チタンを初めとするチタン系酸化物が活性化される波長が約410nm以下であるのに対して、蓄光性蛍光体として最も普及しているSrAl:Eu,Dyの発光波長は、520nmである。また、現在市販されている蓄光性蛍光体のうちで、発光波長が最も短いCaAl:Eu,Ndであってもその発光波長は440nmである。すなわち、現在一般的に普及している蓄光性蛍光体では、光触媒を活性化させることはできない。そこで、上記の蓄光性蛍光体よりもさらにエネルギーの高い短波長の蓄光性蛍光体が必要とされている。
非特許文献1および2には、CaAl:Eu,Ndよりも発光波長の短い蓄光性蛍光体として、母体結晶にセリウム(Ce)を含有してなる蓄光性蛍光体が記載されている。母体結晶CaAlSiOにCeを含有してなるCaAlSiO:Ceの発光波長は417nmであり、母体結晶CaYAlにCeを含有してなるCaYAl:Ceの発光波長は425nmである(例えば、非特許文献2参照)。このように、非特許文献1および2に記載されているようなセリウムを含有してなる蓄光性蛍光体であっても、発光波長は、410〜420nm程度であり、チタン系酸化物を活性化させるために十分な波長であるとはいえない。また、発光強度がより強い蓄光性蛍光体の開発も望まれている。
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、発光強度を向上させると共に、発光波長が410nmよりも小さい蓄光性蛍光体を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために、母体結晶に複数の希土類元素を含有させることに着目した。そして、本発明者らは、含有させる希土類元素の組み合わせについて鋭意検討した結果、含有させる希土類元素のうちの1つをツリウムとすることにより、ツリウムを含有していない場合の蓄光性蛍光体と比較して、その発光強度が向上すると共に、発光波長についても変化させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、係る新たな知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を含む。
本発明に係る蓄光性蛍光体は、上記課題を解決するために、
母体結晶に複数の種類の希土類元素を含んでなる蓄光性蛍光体であって、上記希土類元素の一つが、ツリウムであることを特徴としている。
複数種類の希土類元素を含んでなる蓄光性蛍光体において、希土類元素の一つをツリウム(Tm)とすることにより、得られる蓄光性蛍光体の発光強度を向上することができると共に、その発光波長を410nmよりも短くすることができる効果を奏する。
これによって、例えば、酸化チタンなどのようなチタン系酸化物の光触媒を、十分に活性化させることができる。
本発明に係る蓄光性蛍光体は、さらに、上記母体結晶がCaAlSiOであり、かつ、上記希土類元素がセリウムおよびツリウムであることが好ましい。
母体結晶をCaAlSiOとし、含有させる希土類元素をセリウムおよびツリウムとすることにより、ツリウムを含まない場合に比べて、発光強度を最大で4倍程度向上することができる効果を奏する。また、発光波長も404nmにまで短くすることができる効果を奏する。
本発明に係る蓄光性蛍光体は、さらに、上記ツリウムイオンの含有量は、0.01〜0.50mol%の範囲内であることが好ましい。
ツリウムの含有量を上記の範囲内とすることによって、蓄光性蛍光体の発光強度をより一層向上することができる効果を奏する。
本発明に係る蓄光性蛍光体の製造方法は、上記課題を解決するために、
複数の種類の希土類元素の酸化物と、母体結晶を形成する材料とを含む蓄光性蛍光体材料を、還元作用のあるガス雰囲気下で焼成する焼成工程を含み、上記酸化物の1つは、酸化ツリウムであることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係る蓄光性蛍光体を製造することができる。したがって、本発明に係る蓄光性蛍光体と同様の効果を奏する。
本発明に係る蓄光性蛍光体の製造方法は、さらに、上記蓄光性蛍光体材料は、複数の種類の希土類元素の酸化物と、母体結晶を形成する材料とを含む混合物を、粉砕し、アルコールと共に混錬したものであることが好ましい。
複数の種類の希土類元素の酸化物と、母体結晶を形成する材料とを含む混合物を、粉砕し、アルコールと共に混錬することによって、酸化物と母体結晶を形成する材料とをより混合しやすくすることができるという効果を奏する。
本発明に係る蓄光性蛍光体の製造方法は、さらに、上記蓄光性蛍光体材料が、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、ホウ酸、二酸化ケイ素、酸化セリウムおよび酸化ツリウムを含むことが好ましい。
上記の構成によれば、CaAlSiO:Ce,Tmを好適に作製することができる効果を奏する。
本発明に係る蓄光性蛍光体の製造方法は、さらに、上記アルコールが、エタノールであることが好ましい。
エタノールは人体に対して無害であるため、混錬に用いるアルコールとしてエタノールを用いることによって、蓄光性蛍光体を容易に製造することができる効果を奏する。また、エタノールは、乾燥しやすいため、混錬した混合物を乾燥させる工程を省くことができる。すなわち、蓄光性蛍光体の製造に要する時間を短縮することができるという効果を奏する。
本発明に係る蓄光性蛍光体の製造方法は、さらに、上記焼成工程は、複数回焼成することが好ましい。
上記の構成によれば、得られる蓄光性蛍光体の組成の均一性を向上することができるという効果を奏する。
以上説明したように、本発明は、母体結晶に含有させる複数の種類の希土類元素のうちの1つがツリウムであることを特徴としている。
これによって、得られる蓄光性蛍光体の発光強度を向上することができると共に、発光波長を410nmよりも短くすることができる効果を奏する。
本発明に係る蓄光性蛍光体の一実施形態について、以下に説明する。
本実施形態に係る蓄光性蛍光体は、母体結晶に、複数の種類の希土類元素を含んでなる蓄光性蛍光体であり、含有させる希土類元素のうちの1つがツリウムである蓄光性蛍光体である。
ここで、本明細書等では、母体結晶に希土類元素を含んでなる蓄光性蛍光体を、「母体結晶の分子式:希土類元素の元素記号」とも表記する。なお、含有させる希土類元素が複数の場合には、希土類元素の元素記号をコンマ(,)により区切ることにより区別している。例えば、母体結晶がCaAlSiOであり、希土類元素がCeである蓄光性蛍光体は、「CaAlSiO:Ce」と表記し、母体結晶がCaAlSiOであり、希土類元素がCeおよびTmである蓄光性蛍光体は、「CaAlSiO:Ce,Tm」と表記している。
(母体結晶および希土類元素)
本明細書等において「母体結晶」とは、少なくとも1種類の希土類元素を賦活剤として含有させることにより蓄光機能を備えるようになる結晶を指している。
本発明において好適に用いることができる母体結晶は、希土類元素を含有させることにより蓄光機能を有するものであれば、その構造および種類などは特に限定されるものではない。母体結晶としては、例えば、CaAlSiO、CaAlSi、Ca1.96AlSi1.02などのアルミノケイ酸カルシウム、CaYAl、CaNaAlSi、(Ca,Na)(Al,Mg)(Si,Al)、CaMgSi、CaBeSi、Ca(Mg,Fe)Si、CaSiOなどを用いることができる。これらの中でも、アルミノケイ酸カルシウムであることが好ましく、CaAlSiOであることがより好ましい。ここで、本明細書等における「アルミノケイ酸カルシウム」とは、一般式xCaO・yAlO3・zSiOにより表されるものである。すなわち、CaAlSiOは、上記一般式において、x=1、y=1、z=1の場合である。
また、賦活剤として母体結晶に含有させる希土類元素のうち、ツリウム以外の希土類元素は特に限定されるものではなく、母体結晶の種類に応じて適宜変更することができる。ツリウム以外の希土類元素としては、例えば、セリウム、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどを用いることができる。例えば、母体結晶がCaAlSiOである場合には、含有させる希土類元素は、ツリウムおよびセリウムであることが好ましい。さらに、母体結晶に含有させる希土類元素の種類は、複数種類、すなわち2種類以上であれば特に限定されるものではなく、3種類あるいはそれ以上であってもよい。
(ツリウムの含有量の範囲)
蓄光性蛍光体におけるツリウムの含有量は、0.01〜0.50mol%の範囲内であることが好ましく、0.01〜0.1mol%の範囲内であることがより好ましい。
ツリウムの含有量を上記の範囲内とすることにより、蓄光性蛍光体の発光強度をより一層向上することができる。
なお、母体結晶がCaAlSiOであり、含有させる希土類元素がセリウム(Ce)およびツリウム(Tm)である場合(すなわち、CaAlSiO:Ce,Tm)には、ツリウムの含有量が0.06mol%であるとき、蓄光性蛍光体の発光強度は最大値(約105cps)となる。これは、ツリウムを含有していない場合、すなわち、CaAlSiO:Ceに比べて約4.2倍の発光強度である。
また、ツリウム以外の希土類元素の含有量については、特に限定されるものではなく、用いる母体結晶に応じて適宜設定すればよい。なお、本明細書等における「希土類元素(ツリウム)の含有量」とは、蓄光性蛍光体全体に対する希土類元素の含有量を意味している。
(蓄光性蛍光体の製造方法)
本発明に係る蓄光性蛍光体の製造方法は、複数の種類の希土類元素の酸化物と、母体結晶とを形成する材料とを含む蓄光性蛍光体材料を還元雰囲気下で焼成する焼成工程を少なくとも含んでいる。焼成工程の詳細について、以下に詳述する。
焼成工程における条件は、作製する蓄光性蛍光体に応じて適宜設定することができる。例えば焼成温度は、800〜1600℃の範囲内であることが好ましく、1100〜1500℃の範囲内であることがより好ましい。また、焼成時間は、1〜24時間の範囲内であることが好ましく、3〜5時間の範囲内であることがより好ましい。
焼成温度および焼成時間を上記の範囲内とすることにより、本発明に係る蓄光性蛍光体を好適に製造することができる。
焼成工程は、複数回行うことが好ましい。このとき、上記の条件の範囲内であれば条件を変更してもよい。もちろん、条件を変更することなく、焼成工程を複数回行ってもよい。焼成工程を複数回おこなうことによって、得られる蓄光性蛍光体の組成の均一性を向上することができる。
また、焼成するための装置としては、上記の焼成条件を実現することができる装置であれば特に限定されるものではない。このような装置としては、例えば、電気炉などを挙げることができる。
なお、本明細書等における「還元雰囲気」とは、還元反応を生じさせる雰囲気であれば特に限定されるものではない。還元雰囲気として、具体的には、アルゴン95%および水素5%の雰囲気などを挙げることができる。また、アルゴン100%か窒素100%なども挙げることができる。
本発明に係る蓄光性蛍光体の蓄光性蛍光体材料の1つである希土類元素の酸化物は、上記した希土類元素を含む酸化物であれば特に限定されるものではない。例えば、ツリウムの酸化物としては、酸化ツリウム(Tm)を挙げることができ、セリウムの酸化物としては、酸化セリウム(CeO)を挙げることができる。
また光性蛍光体材料の1つである、母体結晶を形成する材料としては、形成する母体結晶の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、母体結晶としてCaAlSiOを用いる場合には、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化アルミニウム(Al)および二酸化ケイ素(SiO)を用いることが好ましい。
また、蓄光性蛍光体材料は、これらの材料に加えて、焼結助剤としてホウ酸(HBO)を含むことが好ましい。
本発明に係る蓄光性蛍光体における蓄光性蛍光体材料は、複数の種類の希土類元素の酸化物と、母体結晶を形成する材料とを含む混合物を、粉砕し、アルコールと共に混錬したものであることが好ましい。酸化物と母体結晶を形成する材料とをより混合しやすくすることができる複数の種類の希土類元素の酸化物と、母体結晶を形成する材料とを含む混合物を、粉砕し、アルコールと共に混錬することによって、酸化物と母体結晶を形成する材料とをより混合しやすくすることができる。
蓄光性蛍光体材料の混錬には、例えば、乳鉢、混合機、ボールミルなどを用いることができる。また、混錬する際に用いることができるアルコールは、特に限定されるものではないが、例えばエタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、ベンタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、グリセリン、セタノール、エステルなどを用いることができる。これらの中でもエタノールであることがより好ましい。エタノールは人体に対して無害であるため、混錬に用いるアルコールとしてエタノールを用いることによって、蓄光性蛍光体を容易に製造することができる。また、エタノールは、乾燥しやすいため、混錬した混合物を乾燥させる必要がない。そのため、蓄光性蛍光体の製造に要する時間を短縮することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例を示し、本発明の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な様態が可能である。
〔実施例1〕
CaAlSiOに賦活剤としてセリウムおよびツリウムを含有してなるCaAlSiO:Ce,Tmの製造方法について、実施例1として説明する。
まず、炭酸カルシウム(CaCO)(1.9617g;0.0196mol)、酸化アルミニウム(Al)(1.0198g;0.01mol)、二酸化ケイ素(SiO)(0.6127g;0.0102mol)、酸化セリウム(CeO)(0.0172g;1×10−4mol)、酸化ツリウム(Tm)(0.0018g;4.7×10−6mol)、およびホウ酸(HBO)(0.1237g;0.002mol)を乳鉢で混合し、成形した。そして、還元雰囲気下において電気炉を使用し、1400℃で3時間焼成した。なお、本実施例では、還元雰囲気として、アルゴン95%および水素5%の雰囲気とした。
〔比較例1〜13〕
含有させる希土類元素の1つをツリウムからイットリウム(比較例1)、ランタン(比較例2)、プラセオシウム(比較例3)、ネオジウム(比較例4)、サマリウム(比較例5)、ユーロピウム(比較例6)、ガドリニウム(比較例7)、テルビウム(比較例8)、ジスプロシウム(比較例9)、ホルミウム(比較例10)、エルビウム(比較例11)、イッテルビウム(比較例12)、ルテチウム(比較例13)に変えた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、蓄光性蛍光体を製造した。
(セリウムと共に含有させる希土類元素の違いによる発光強度の違い)
実施例1および比較例1〜13において製造した蓄光性蛍光体に対して光を照射した後、100秒後の発光強度を測定した結果を、図1に示した。
図1は、母体結晶であるCaAlSiOに対してセリウムと共に様々な希土類元素を含有させた場合の各蓄光性蛍光体における発光強度を示す図である。なお、各蓄光性蛍光体と比較する対象として、CaAlSiOに対してセリウムのみを含有させた場合(すなわち、CaAlSiO:Ce)についても発光強度を測定した。CaAlSiO:Ceは、従来公知の製造方法により製造することができる。
図1に示すように、CaAlSiO:Ceと比較して、CaAlSiOに対して、セリウムとツリウムとを含有させた場合にのみ(すなわち、実施例1の場合にのみ)、発光強度の向上を観察することができた。より具体的には、セリウムのみを含有させたCaAlSiO:Ceの発光強度が14cpsであり、ツリウムをさらに含有させた場合のみ、これを超える21cpsの発光強度を示した。
一方、ツリウム以外の希土類元素をセリウムと共に含有させた場合(すなわち、比較例1〜13の場合)には、いずれもセリウムのみを含有させたCaAlSiO:Ceと比較して発光強度が弱くなっていた。
これにより、CaAlSiO:Ceに対してツリウムをさらに含有させることにより、蓄光性蛍光体の発光強度をより強くすることができることが示された。
〔実施例2〕
(ツリウムの含有量の変化による発光強度の変化)
用いる酸化ツリウムの量を様々変化させた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、CaAlSiO:Ce,Tmを製造した。そして実施例1と同様に、蓄光性蛍光体に対して光を照射した後、100秒後の発光強度を測定した。なお、用いる酸化ツリウムのモルは、蓄光性蛍光体中におけるツリウムの含有量に等しくなる。
ツリウムの含有量と、蓄光性蛍光体の発光強度との関係を図2(a)および(b)に示した。図2(a)および(b)は、ツリウムの含有量と、蓄光性蛍光体の発光強度との関係を示す図であり、(a)はツリウムの各含有量に対する発光強度を示しており、(b)はツリウムの含有量を変化させることによる発光強度の変化を示している。
図2(a)および(b)に示すように、含有させるツリウムの量を様々変化させることにより、蓄光性蛍光体の発光強度が変化した。特に、図2(a)および(b)に示すように、ツリウムをわずかに含有させることにより、ツリウムを全く含有しない場合に比べて、蓄光性蛍光体の発光強度を向上することができた。
発光強度の向上の観点によれば、ツリウムは、0.01〜0.50mol%の範囲内において、蓄光性蛍光体の発光強度をより一層向上することができることが示された。また、ツリウムの含有量が0.06mol%であるとき、蓄光性蛍光体の発光強度は最大値(約105cps)となった。これは、ツリウムを含有しない場合、すなわち、CaAlSiO:Ceに比べて約4.2倍の発光強度であった。
〔実施例3〕
(時間経過に対する蓄光性蛍光体の発光強度の変化)
CaAlSiO:Ceと、CaAlSiO:Ce,Tmとの、時間経過に対する各蓄光性蛍光体の発光強度の変化を図3に示した。なお、図3における横軸(時間軸)は、各蓄光性蛍光体に対して光の照射を終了してから経過した時間を表している。また、縦軸は、相対強度であり、単位は任意である。なお、CaAlSiO:Ce,Tmは実施例1と同様の方法を用いて製造した。
図3に示すように、光の照射終了後0秒から100秒までのいずれの時間においても、CaAlSiO:Ce,Tmの方がCaAlSiO:Ceよりも発光強度が強くなっていた。すなわち、CaAlSiO:Ceと比較して、CaAlSiO:Ce,Tmの方が、蓄光性蛍光体の発光強度を向上しつつ、より長時間の発光を可能とすることができることが示された。
〔実施例4〕
(CaAlSiO:Ce,Tmの発光波長)
CaAlSiO:Ce,Tmの発光波長は、404nmであった。同様の装置を用いて測定したCaAlSiO:Ceの発光波長は406nmであった。これにより、Tmの添加によって、発光波長が短くなることが示された。
〔実施例5〕
CaAlSiO:Ce,Tmの製造方法と組成を変更した以外は、同様の方法により、Ca1.96AlSi1.02:Ce,Tmを作製した。Ca1.96AlSi1.02:Ce,Tmにおける光を照射した後、100秒後の発光強度は、27cpsであり、CaAlSiO:Ce,Tmの発光強度よりも大きかった。
本発明に係る蓄光性蛍光体は、酸化チタンなどの光触媒を活性化させるための光源など、幅広い用途に適用することができる。
CaAlSiOに対してセリウムと共に様々な希土類元素をさらに含有させた場合の各蓄光性蛍光体における発光強度を示す図である。 ツリウムの含有量と、蓄光性蛍光体の発光強度との関係を示す図であり、(a)はツリウムの各含有量に対する発光強度を示したており、(b)はツリウムの含有量を変化させることによる発光強度の変化を示している。 CaAlSiOにセリウムのみを含有させてなる蓄光性蛍光体と、CaAlSiOにセリウムおよびツリウムを含有させた蓄光性蛍光体との時間経過に対する発光強度の変化を示した図である。

Claims (8)

  1. 母体結晶が複数の種類の希土類元素を含んでなる蓄光性蛍光体であって、上記希土類元素の一つが、ツリウムであることを特徴とする蓄光性蛍光体。
  2. 上記母体結晶がCaAlSiOであり、かつ、上記希土類元素がセリウムおよびツリウムであることを特徴とする請求項1に記載の蓄光性蛍光体。
  3. 上記ツリウムの含有量は、0.01〜0.50mol%の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の蓄光性蛍光体。
  4. 複数の種類の希土類元素の酸化物と、母体結晶を形成する材料とを含む蓄光性蛍光体材料を、還元作用のあるガス雰囲気下で焼成する焼成工程を含み、上記酸化物の1つは、酸化ツリウムであることを特徴とする蓄光性蛍光体の製造方法。
  5. 上記蓄光性蛍光体材料は、複数の種類の希土類元素の酸化物と、母体結晶を形成する材料とを含む混合物を、粉砕し、アルコールと共に混錬したものであることを特徴とする請求項4に記載の蓄光性蛍光体の製造方法。
  6. 上記蓄光性蛍光体材料が、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、ホウ酸、二酸化ケイ素、酸化セリウムおよび酸化ツリウムを含むことを特徴とする請求項4または5に記載の蓄光性蛍光体の製造方法。
  7. 上記アルコールが、エタノールであることを特徴とする請求項5に記載の蓄光性蛍光体の製造方法。
  8. 上記焼成工程は、複数回焼成することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の蓄光性蛍光体の製造方法。
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