JP2009256137A - 結晶性メソポーラスチタニア - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)板状の結晶構造から構成されるチタン酸を含有する結晶性メソポーラスチタニア、及び(2)チタンアルコキシドを、アミン類の存在下で加水分解して得たpH10以上の板状の結晶構造から構成されるチタン酸分散液に、第四級アンモニウム型界面活性剤を添加して、第四級アンモニウム型界面活性剤を含むメソポーラスチタニア複合体を生成させた後、該複合体から第四級アンモニウム型界面活性剤及びアミン類を除去する、板状の結晶構造から構成されるチタン酸を含有する結晶性メソポーラスチタニアの製造方法である。
【選択図】図1
Description
例えば、非特許文献1〜3には、ドデシルアミン等のアルキル鎖長の長い第1級アミンを用いて、チタン源を水熱反応させる方法が開示されている。しかし、これらの方法では、比較的高温で長時間の水熱反応を行う必要があり、得られるメソポーラスチタニアは非晶質である。
また、特許文献1には、カチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンとを水中で混合し、結晶性チタニアを析出させた後、カチオン性界面活性剤を除去する、アナターゼ型結晶構造を有するメソポーラスチタニアの製造方法が開示されており、特許文献2には、ドラッグデリバリー材料として、巻物状の層状チタン酸中空ファイバが開示されている。
また、板状の結晶構造から構成されるチタン酸も知られており、例えば非特許文献5及び特許文献3には板状の結晶構造を有するチタン酸の製造方法が記載されている。
このように、結晶性メソポーラスチタニアとしてアナターゼ型や巻物状のものが知られており、板状の結晶構造を有するチタン酸についても知られているが、板状の結晶構造から構成されるチタン酸を含有する結晶性メソポーラスチタニアは得られていない。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)板状の結晶構造から構成されるチタン酸を含有する結晶性メソポーラスチタニア。
(2)チタンアルコキシドを、アミン類の存在下で加水分解して得たpH10以上の板状の結晶構造から構成されるチタン酸分散液に、第四級アンモニウム型界面活性剤を添加して、第四級アンモニウム型界面活性剤を含むメソポーラスチタニア複合体を生成させた後、該複合体から第四級アンモニウム型界面活性剤及びアミン類を除去する、板状の結晶構造から構成されるチタン酸を含有する結晶性メソポーラスチタニアの製造方法。
本発明のメソポーラスチタニアは、板状の結晶構造から構成されるチタン酸を含有する結晶性メソポーラスチタニア(以下、「結晶性メソポーラスチタニア」ともいう)、特には板状の結晶構造から構成されるチタン酸からなる結晶性メソポーラスチタニアである。
板状の結晶構造から構成されるチタン酸(以下、「板状チタン酸」ともいう)は、既に知られており、チタンを中心として6個の酸素が配位した8面体構造を基本ユニットとし、このユニットが二次元平面状に広がった分子レベルの厚み(例えば、0.3〜0.8nm)を持ったシート構造(例えば、長さ2〜10nm)を有する。この板状チタン酸は、二チタン酸、三チタン酸、四チタン酸、五チタン酸、六チタン酸、レピドクロサイト型等の構造を有する板状の結晶構造を有するチタン酸を包含し、例えば、チタン酸との塩の形態で、アミン類等が含まれていると考えられる。
板状チタン酸は、分散液中において、板状チタン酸が1枚ずつばらばらに分散した状態であると推察され、系によっては、板状チタン酸が積層し層を成した状態や、一部凝集したものを含むと考えられる。
このような板状チタン酸は、ラマンスペクトルで波数が260〜305cm-1、430〜490cm-1、640〜750cm-1及び800〜950cm-1の領域にそれぞれ特徴的なピークを有する。なお、従来の代表的な酸化チタンであるアナターゼ型チタニアは、ラマンスペクトルで波数が140〜160cm-1、390〜410cm-1、510〜520cm-1及び630〜650cm-1の領域にピークを有し、ルチル型チタニアは、ラマンスペクトルで波数が230〜250cm-1、440〜460cm-1及び600〜620cm-1の領域にピークを有する。
板状チタン酸の結晶構造の確認は、ラマン分光スペクトル、粉末X線回折法、電子線回折法等の公知の方法により行うことができる。
本発明の結晶性メソポーラスチタニアの製造方法は、チタンアルコキシドを、アミン類の存在下で加水分解して得たpH10以上の板状チタン酸分散液に、第四級アンモニウム型界面活性剤を添加して、第四級アンモニウム型界面活性剤を含むメソポーラスチタニア複合体を生成させた後、該複合体から第四級アンモニウム型界面活性剤及びアミン類を除去することを特徴とする。
本発明においては、チタン源としてチタンアルコキシドを用いる。チタンアルコキシドとしては、チタンテトラアルコキシドが好ましい。チタンテトラアルコキシドとしては、特に下記一般式(2)で表されるチタンテトラアルコキシドが好ましい。
Ti(OR5)4 (2)
(式中、R5は、炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
一般式(2)におけるR5は、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数2〜4のアルキル基である。
前記チタンテトラアルコキシドの具体例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトライソブトキシド、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ビス(2−プロパラノラト)チタン、テトラ2−エチル−1−ヘキサノラートチタン等が挙げられる。
本発明では、入手の容易さ、均一な細孔を形成させる観点から、特にチタンテトライソプロポキシド及びチタンテトラエトキシドが好ましい。
アミン類としては、炭素数1〜5のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基から選ばれる有機基又は水素原子を含む第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、及び第四級アンモニウムヒドロキシドから選ばれる少なくとも一種以上が用いられる。なおアミン類の水素原子の数は、有機基の数すなわちアミンの等級によって設定され、当然ながら0であってもよく、一般に省略される。
第一級アミンの具体例としては、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、1,3−ジアミノプロパン、ペンチルアミン等が挙げられる。
第二級アミンの具体例としては、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジペンチルアミン等が挙げられ、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンがより好ましい。
第三級アミンの具体例としては、n,n−ジメチルエチルアミン、n,n−ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等が挙げられ、トリエチルアミン、トリプロピルアミンがより好ましい。
また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、プロパノールアミン等のアルカノールアミン等の置換アミン類も用いることができる。
第四級アンモニウムヒドロキシドの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、テトラエタノールアンモニウムヒドロキシド、メチルトリエタノールアンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドがより好ましい。
これらは、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
また、本発明のアミン類はアルカリ剤であるが、板状チタン酸を生成させる観点から、アミン類濃度9mmol/Lの水溶液におけるpHが9以上(20℃)であるアミン類が好ましい。
板状チタン酸分散液は、チタンアルコキシドを、アミン類の存在下で加水分解することにより得ることができる。
加水分解において加える水の量は、通常、チタンアルコキシドに対して3〜50倍量(質量比)が好ましく、5〜15倍量がより好ましい。
チタンアルコキシドの加水分解は、アミン類の存在下で行えばよく、その他の条件は特に限定されないが、以下に示す第1方法及び第2方法によれば、効率的に行うことができる。
第1方法は、チタン源であるチタンアルコキシドとアミン類の含水溶液とを混合して加水分解する方法である。アミン類の含水溶液には、アミン類の溶解を容易にするため、有機溶媒が含有されていてもよい。かかる有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール等のアルコールが好ましい。
チタンアルコキシドとアミン類の混合比率は、アミン類/Tiのモル比が0.2〜5であることが好ましく、0.3〜3であることがより好ましい。ここで、アミン類/Tiモル比とは、それぞれ、板状チタン酸分散液中の、チタン原子当りのアミン類の分子のモル比を意味する。
チタンアルコキシドとアミン類の含水溶液との混合液中のチタン濃度は、酸化チタン(TiO2)換算で0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.05〜5質量%が更に好ましい。
両者を混合する際の温度は、特に限定されない。2〜140℃で混合することによりアミン類を含有する板状チタン酸が生成するが、特に長鎖アミン類の安定性の観点から、加水分解の温度は10〜110℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。加水分解の時間は0.1〜100時間が好ましく、1〜50時間がより好ましい。
第2方法は、チタン源であるチタンアルコキシドとアミン類とを予め混合しておき、その後、水を混合して加水分解する方法である。アミン類には、第1方法と同様の有機溶媒が含有されていてもよい。
加える水の量は加水分解に必要な量であればよいが、チタンアルコキシドとアミン類との混合物に対して、2〜50倍量(質量比)が好ましく、3〜10倍量がより好ましい。加水分解の温度は特に限定はされないが、2〜140℃が好ましく、20〜110℃がより好ましい。また、水を滴下して加水分解させる時間は、0.01〜5時間が好ましく、0.02〜2時間がより好ましい。更に、水の添加後、0.1〜48時間の熟成を行うことが好ましい。
アミン類を含有する板状チタン酸分散液中のチタン濃度は、酸化チタン(TiO2)換算で0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.05〜5質量%が更に好ましい。
板状チタン酸の分散液中には、アミン類を含む板状チタン酸が形成されていると推定される。これは、アルゴンイオンレーザー(波長488nm)を光源とし、レーザー出力100〜600mW、積算時間30〜300秒の条件下における透過法ラマンスペクトルの測定において、波数が260〜305cm-1、430〜490cm-1、640〜750cm-1及び800〜950cm-1の領域に、それぞれ板状チタン酸特有のピークが認められたためである。
なお、アミン類を含有する板状チタン酸の紫外線吸収スペクトルは、吸収スペクトルの立ち上がり波長(吸収端)が300〜340nmに見られる。これに対し、アナターゼ型チタニアでは、波長360〜380nmに、ルチル型チタニアでは、波長400〜420nmに吸収スペクトルの立ち上がり波長(吸収端)が見られる。
また、板状チタン酸分散液を乾燥させて、X線回折を行うことにより、層状構造を確認することができる。層間隔はアミン類のカチオンサイズが大きくなるにしたがって増大することが確認されており、アミン類は層間に存在しているものと考えられる。このことから、アミン類を含有する板状チタン酸が、有機溶媒への分散性を良好にするものと推定される。
pH10以上の水溶液中では、アミン類を含有する板状チタン酸は負に帯電するため、正に帯電する第四級アンモニウム型界面活性剤との間で静電相互作用が働きやすくなるという利点がある。
pH調整に用いられるアルカリは、水溶性であれば特に制限はない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム等の珪酸塩;リン酸三ナトリウム等のリン酸塩;炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム等の炭酸塩;ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩等が挙げられる。これらの中では、取り扱い性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム等の珪酸塩が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、オルソ珪酸ナトリウムが特に好ましい。
板状チタン酸分散液のpHは、反応促進の観点から、好ましくはpHが10〜14(25℃)、より好ましくは11〜14である。なお、分散液のpHは板状チタン酸の添加量が増えれば低下するが、板状チタン酸添加終了後のpHが10未満にならないように、水溶液中のアルカリ剤濃度を適宜調整することが好ましい。
本発明の結晶性メソポーラスチタニアは、上記で得られたpH10以上の板状チタン酸分散液に、第四級アンモニウム型界面活性剤を添加した後、酸性溶液と接触させることにより得ることができる。
第四級アンモニウム型界面活性剤は、反応系の均一分散とメソ細孔の形成のために用いられる。本発明においては、ミセルを鋳型としてメソ細孔を形成させるので、使用する第四級アンモニウム型界面活性剤は、臨界ミセル濃度(cmc)を有する化合物であることが必要である。本発明においては、臨界ミセル濃度(cmc)を有しない化合物を用いるとメソ細孔を形成することができない。
[R1R2R3R4N]+X- (1)
(式中、R1、R2、R3及びR4のうち1つ又は2つは、それぞれ独立して、炭素数6〜18のアルキル基、炭素数8〜18のアルケニル基、R5COO(CH2)n−、又はR6CON(CH2)n−を示し、R5及びR6は、それぞれ独立して、炭素数6〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアルケニル基であり、nは2〜4の整数であって、R1、R2、R3及びR4のうちの残りは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、又はベンジル基を示し、2つ以上がベンジル基であることはない。Xは1価の陰イオンを示す。)
一般式(1)におけるXは、高い結晶性を得るという観点から、好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン、炭素数1〜4のアルキル硫酸エステルイオン等の1価陰イオンから選ばれる一種以上である。Xは、より好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、メチル又はエチル硫酸エステルイオンである。
なお、第四級アンモニウム型界面活性剤のアルキル基の炭素数は異なったものの混合物であってもよい。
水溶液中の第四級アンモニウム型界面活性剤の含有量は、均一なメソ細孔を形成させる観点から、好ましくは0.0001〜2モル/L、より好ましくは0.001〜2モル/L、特に好ましくは0.005〜1.5モル/Lである。
一方、水溶液中のチタンアルコキシドの含有量は、好ましくは0.0001〜3モル/L、より好ましくは0.0005〜3モル/L、特に好ましくは0.001〜2モル/Lである。
第四級アンモニウム型界面活性剤を添加して反応させる場合の温度は、反応速度の観点から、好ましくは5〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。
反応時間は温度により異なるが、通常5〜100℃で0.1〜48時間、好ましくは10〜80℃で0.5〜20時間撹拌することにより、メソポーラスチタニアと第四級アンモニウム型界面活性剤との複合体(以下、「メソポーラスチタニア複合体」ともいう)が形成される。
得られたメソポーラスチタニア複合体は、水中に懸濁した状態で得られる。これをろ過、遠心分離法等により分離し、水洗、乾燥、粉砕することにより、メソポーラスチタニア複合体の乾燥粉末を得ることができる。
なお、反応系には、メソポーラスチタニア複合体の形成を阻害しない限り、その他の成分として、メタノール等の有機化合物や、無機化合物等の他の成分を添加してもよく、他の金属を担持させたい場合は、それらの金属を含有するアルコキシ塩やハロゲン化塩等の金属原料を製造時又は製造後に添加することもできる。
用いることのできる酸性溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸;カチオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた水溶液や有機溶媒溶液が挙げられる。これらの中では無機酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。またカチオン交換樹脂としては、強酸性又は弱酸性カチオン交換樹脂を用いることができ、例えばオルガノ株式会社製のアンバーライト120B(スルホン酸型)、アンバーライトIRC50(カルボン酸型)等を挙げることができる。
抽出系が水溶液の場合は、pHを好ましくは1.0〜5.0、より好ましくはpH2以下に調整することが望ましい。有機溶媒溶液を使用する場合は、酸濃度を好ましくは0.001〜1モル/L、より好ましくは0.005〜0.1モル/Lに調整することが望ましい。
その他の抽出操作条件に特に制限はないが、通常、室温〜95℃で1時間〜5日間、好ましくは50〜85℃で1日〜4日間行うことが望ましい。
上記の方法により得られた結晶性メソポーラスチタニアは、従来法により得られたメソポーラスチタニアと異なり、板状チタン酸を含有する結晶性メソポーラスチタニアであり、実質的には、板状チタン酸からなる結晶性メソポーラスチタニアである。
本発明の結晶性メソポーラスチタニアのBET比表面積は、好ましくは150m2/g以上、より好ましくは200m2/g以上、更に好ましくは220m2/g以上、特に好ましくは300m2/g以上であり、その上限は特にないが、好ましくは700m2/g以下、より好ましくは600m2/g以下である。
なお、本発明の製造方法によると、細孔径が1〜10nmの範囲に入る結晶性のメソポーラスチタニアを得ることができるが、特に前記アミン類として第一級〜第三級のアミンを用い、チタン酸を構成してから第四級アンモニウム型界面活性剤を用いることで、より細孔径分布の半値幅が、0.1〜3nmである比較的細孔径の揃った結晶性のメソポーラスチタニアを得ることができる。これは、水溶液のpHが低い方がアミン類と第四級アンモニウム型界面活性剤の置換が行われやすいためであると考えられる。
メソポーラスチタニアの構造は、用いるチタン酸の構造により異なり、他の元素、例えばAl、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mn、Fe等の金属やB、P、N、S等の非金属元素を含有するアルコキシ塩やハロゲン化塩等を製造時又は製造後に添加することで、該金属又は非金属元素をチタン粒子に存在させることができる。
<平均細孔径、細孔容積、及びBET比表面積の測定>
株式会社島津製作所製、比表面積・細孔分布測定装置、商品名「ASAP2020」を使用し、液体窒素を用いて多点法でBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出した。平均細孔径の導出にはBJH法(Barrett-Joyner-Halenda法)を採用し、そのピーク値の細孔径を平均細孔径とし、また半値幅を得た。前処理は150℃で2時間行った。
細孔容積は、t−plot法によりtの大きな領域における直線の切片から求めた。
ラマン分光スペクトル測定は、東京インスツルメンツ社製のラマン分光測定装置、商品名:nanofinder40を用いて測定した。光源には633nmの赤色レーザーを用い、試料部でのレーザー出力10mWで、200〜1000cm-1のラマンシフトの範囲で、60秒間の積算を行った。
<電子線回折測定による結晶性の確認>
日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡装置、商品名:JEM−2010SPを用いて、印加電圧:200kV、ビーム径:100nmの条件で写真撮影し、得られた回折リングから結晶性を評価した。
室温下、蒸留水64gにチタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)11.4g、ジエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)1.5gを混合し、一日撹拌することにより板状チタン酸水分散液(pH11.5)を得た。この溶液12.5gに蒸留水37.5g、第四級アンモニウム型界面活性剤としてドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社)0.96gを加えて1晩撹拌した。熟成終了後、蒸留水で濾過洗浄した。
得られた白色生成物(メソポーラスチタニアと第四級アンモニウム型界面活性剤との複合体)を電気乾燥機に入れ、100℃で一晩乾燥後、乾燥粉末をめのう乳鉢ですりつぶした。この乾燥粉末0.2gにエタノール30g、1Nの塩酸水溶液を0.5g加え、80℃で一日間撹拌を行った。その後、濾過、水洗を行い、80℃で一晩乾燥後、乾燥粉末をめのう乳鉢ですりつぶした。
得られた乾燥粉末を用いて、平均細孔径、細孔容積、BET比表面積を測定した結果、ラマン分光測定の結果、及び透過型電子顕微鏡(TEM)写真を、表1及び図1〜図3に示す。
図2は、ラマン分光測定によるラマンスペクトル図である。実施例1で得られたメソポーラスチアニアのラマンスペクトルには、波数が260〜305cm-1、440〜490cm-1、640〜750cm-1及び800〜950cm-1の領域に特徴的なピークが存在し、板状チタン酸に類似する構造を有することが判明した。
また、電子線回折によりシャープな回折リングが得られたことから、実施例1で得られたメソポーラスチタニアの結晶性が明らかになった。
また、図3は、得られた結晶性メソポーラスチタニアの細孔状態を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
室温下、蒸留水64gにチタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)11.4g、ジエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)1.5gを混合し、一日撹拌することにより板状チタン酸水分散液(pH11.5)を得た。この溶液12.5gに蒸留水37.5g、第四級アンモニウム型界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社)1.1gを加えて1晩撹拌した。熟成終了後、蒸留水で濾過洗浄した。得られた白色生成物(メソポーラスチタニア複合体)を電気乾燥機に入れ、100℃で一晩乾燥後、乾燥粉末をめのう乳鉢ですりつぶした。
この乾燥粉末0.2gにエタノール30g、1Nの塩酸水溶液を0.5g加え、80℃で一日間撹拌を行った。その後、濾過、水洗を行い、80℃で一晩乾燥後、乾燥粉末をめのう乳鉢ですりつぶした。
得られた乾燥粉末を用いて、平均細孔径、細孔容積、BET比表面積を測定した結果、ラマン分光測定の結果、及びTEM写真を、表1、図1(細孔分布)、図4(ラマンスペクトル)及び図5(TEM写真)に示す。
図1から、実施例2で得られたチタニアは、細孔径50nm以下であり、具体的には1.9nmにピークトップをもち、その半値幅が1.7nmの細孔分布を有していることから、メソポーラスチタニアであることが確認された。
図4から、実施例2で得られたメソポーラスチタニアは、板状チタン酸のラマンスペクトルに類似していることから、板状チタン酸に類似する構造を有することが判明した。
また、電子線回折によりシャープな回折リングが得られたことから、実施例2で得られたメソポーラスチタニアの結晶性が明らかになった。
室温下、蒸留水(和光純薬工業製)ll.7gにチタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)2.3g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液(和光純薬工業株式会社製)1.5gを混合し、一日撹拌することにより板状チタン酸水分散液(pH13.4)を得た。この溶液12.5gに蒸留水(和光純薬工業株式会社製)37.5g、第四級アンモニウム型界面活性剤としてドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社)0.96gを加えて1晩撹拌した。
熟成終了後、蒸留水で濾過洗浄した。得られた白色生成物(メソポーラスチタニア複合体)を電気乾燥機に入れ、100℃で一晩乾燥後、乾燥粉末をめのう乳鉢ですりつぶした。この乾燥粉末0.2gにエタノール30g、1Nの塩酸水溶液を0.5g加え、80℃で一日間撹拌を行った。その後、濾過、水洗を行い、80℃で一晩乾燥後、乾燥粉末をめのう乳鉢ですりつぶした。
得られた乾燥粉末を用いて、平均細孔径、細孔容積、BET比表面積を測定した結果、ラマン分光測定の結果、及びTEM写真を、表1、図1(細孔分布)、図6(ラマンスペクトル)及び図7(TEM写真)に示す。
図1から、実施例3で得られたチタニアは、細孔径50nm以下であり、具体的には2〜5nmにピークトップをもち、その半値幅が6nmの細孔分布を有しており、メソポーラスチタニアであることが確認された。
図6から、実施例3で得られたメソポーラスチタニアは、板状チタン酸のラマンスペクトルに類似していることから、板状チタン酸に類似する構造を有することが判明した。
また、電子線回折によりシャープな回折リングが得られたことから、実施例3で得られたメソポーラスチタニアの結晶性が明らかになった。
Claims (6)
- 板状の結晶構造から構成されるチタン酸を含有する結晶性メソポーラスチタニア。
- 細孔径50nm以下の細孔容量が0.05〜0.5cm3/gであり、BET比表面積が150m2/g以上である、請求項1に記載の結晶性メソポーラスチタニア。
- チタンアルコキシドを、アミン類の存在下で加水分解して得たpH10以上の板状の結晶構造から構成されるチタン酸分散液に、第四級アンモニウム型界面活性剤を添加して、第四級アンモニウム型界面活性剤を含むメソポーラスチタニア複合体を生成させた後、該複合体から第四級アンモニウム型界面活性剤及びアミン類を除去する、板状の結晶構造から構成されるチタン酸を含有する結晶性メソポーラスチタニアの製造方法。
- チタンアルコキシドが、チタンテトライソプロポキシド又はチタンテトラエトキシドである、請求項3に記載の結晶性メソポーラスチタニアの製造方法。
- アミン類が、炭素数1〜5のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基から選ばれる有機基又は水素原子を含む第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、及び第四級アンモニウムヒドロキシドから選ばれる少なくとも一種である、請求項3又は4に記載の結晶性メソポーラスチタニアの製造方法。
- 第四級アンモニウム型界面活性剤が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項3〜5のいずれかに記載の結晶性メソポーラスチタニアの製造方法。
[R1R2R3R4N]+X- (1)
(式中、R1、R2、R3及びR4のうち1つ又は2つは、それぞれ独立して、炭素数6〜18のアルキル基、炭素数8〜18のアルケニル基、R5COO(CH2)n−、又はR6CON(CH2)n−を示し、R5及びR6は、それぞれ独立して、炭素数6〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアルケニル基であり、nは2〜4の整数であって、R1、R2、R3及びR4のうちの残りは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、又はベンジル基を示し、2つ以上がベンジル基であることはない。Xは1価の陰イオンを示す。)
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