JP2009255934A - 再封機能付きカートン - Google Patents

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英和 西脇
Akira Yamatani
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Abstract

【課題】防湿性と易開封性と再封機能を有し、表面側に開封用のミシン目が見えない粉粒体保存用のカートンを、単一のブランクスから作成することにより安価に供給することを課題とする。
【解決手段】防湿性樹脂層を積層した板紙の1枚のブランクスから組み立てられる直方体のカートンであって、天面板、内蓋、背面外板、背面内板を有し、天面板の中央部には天面板ミシン目によって区画された天面板開口部が、また内蓋の中央部には内蓋開口部が設けられており、背面外板は天面板ミシン目に連続するV字形状の開封フラップミシン目によって区画された開封フラップと、開封タブと、再封フックを有し、背面内板は、開封後に前記再封フックに嵌合可能な切り込みを有し、天面板の裏面と内蓋の表面、背面外板の裏面と背面内板の表面とは、部分的に接着されていることを特徴とする再封機能付きカートンである。
【選択図】図1

Description

粉末洗剤や小麦粉などの粉粒体やあられ、金平糖などの粒状の菓子等を収納するカートン(紙箱)に関し、防湿性を有し、容易に開封できる構造と再封機能とを備えたカートンに関する。
粉末洗剤や小麦粉などの粉粒体やあられ、金平糖などの粒状の菓子等を収納するカートンで、内容物を一度に使い切らず、開封後も継続して何度も開閉して使用される機会が多いものの場合には、開封前の防湿性と開封が容易であることに加えて、開封後に再度蓋を閉じた状態に保持できる再封機能が必要とされている。例えば粉末洗剤用の容器としては、従来よりさまざまな形態のカートンが使用されてきたが、近年、一般的となっている計量スプーンで計量して使用するいわゆるコンパクトタイプの粉末洗剤を収納するカートンの場合には、蓋が大きく開いて、計量スプーンで容易に粉末をすくい取ることができ、かつ使用後は再封できることが必要とされている。このような要求を満たすカートンとしては、本体と蓋が分離したものと、開閉可能な蓋を本体と一体に設けたものとがある。前者の例としては、特許文献1に示された容器があげられる。この実用新案公報に記載された容器は、多角柱状容器の筒状胴部の少なくとも一端に設けられた開口部を封緘材で密封した容器において、上記筒状胴部における上記開口部側の縁部に、外方から設けた半切り線を介して折返し片を連設し、該折返し片を上記筒状胴部の内側に折返し且つ該折返し片を上記筒状胴部の内面に接着したことを特徴とする容器である。この容器は、開口部を封緘材によって密封したことにより、防湿性を確保することができるので、粉末洗剤の容器としては、好適であるが、封緘工程が必要であり、また封緘材を別途準備しなければならないため、コスト的に不利である。また蓋体が本体とは別に分離しているため、使い勝手ならびにコストの面で問題があった。
蓋と本体とが一体となったカートンの例としては、特許文献2に示された粉末洗剤などの紙箱を挙げることができる。この紙箱は、その特許請求の範囲に記載された通り、蓋面板と4枚の蓋側面板とから成る、下方が開口した扁平直方体状の蓋体と、適宜の底面板群と4枚の胴側面板とから成る、上方が開口した直方体状の箱本体とを、後面側で接続した、ヒンジ蓋式の粉末洗剤などの紙箱であって、蓋体の前蓋側面板の内面側に適宜の繋止切欠きを設けて、箱本体の前胴側面板の上辺に、胴折込み片を折り目線を介して連設して、この胴折込み片を連設した前胴側面板の上辺の中央部に、閉蓋繋止片を谷折り線を介して設けたことを特徴とする粉末洗剤などの紙箱である。
この紙箱は、箱本体と蓋とが接続されており、ヒンジ式に開閉ができることと、蓋を閉じた時に閉蓋繋止片によって繋止されるため、再封性が付与されており、使い勝手の良いものであるが、防湿性を確保するための封緘紙と封緘工程が必要であることと、箱本体と蓋とが別々のブランクスから成ることによるコストの面での問題があった。
さらに、特許文献3において開示された粉末洗剤などの紙箱は、この問題を解決するために、ブランクスの一部を封緘板として利用することにより1枚のブランクスから組み立てられる構造としたものであるが、別途封緘工程が必要であることには変わりなく、また、開封方法を2本の水平ミシン目によるテープカット方式としたために、再封した時に必然的に除去したテープの幅に相当する隙間ができてしまうので、蓋が落ち込まないようにするための中仕切り構造が必要であり、その分、材料のカートン原紙が余分に必要となる。一般的に、カットテープによる水平カット方式の場合には、本質的にこの問題がつきまとう。この他、水平カット方式の場合には、開封のためのミシン目が商品の正面に存在す
るために、意匠性の面でも制約が多かった。ミシン目が見えないようにするために、プラスチック製のテープを表面板の下に埋め込む方法もあるが、テープ材料代が余分にかかることと、工程が複雑になることにより、コスト的には不利であった。従って、現在主流となっているミシン目による水平カット方式に替わる構造のカートンが待ち望まれていた。
実公平2-32567号公報 特開平8-26263号公報 特開平9-66927号公報
本発明は、従来の上記の問題点を解決するためになされたものであり、防湿性と、容易な開封性とを兼ね備え、さらに再封機能を有する、使い勝手の良いカートンであり、表面側には開封用のミシン目が見えない意匠的にも優れたカートンを単一のブランクスから作成できるように設計することによって、安価に供給することを課題としたものである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、防湿性の樹脂層を積層した板紙の1枚のブランクスから組み立てられる直方体のカートンであって、正面、天面、背面、底面、右側面、左側面の6面からなり、前記天面は、天面板と内蓋からなり、前記天面板は、2本の天面板ミシン目によって区画された天面板開口部を有し、前記内蓋は、前記天面板開口部の内側にあって表面側から設けたコの字状の開口部表面半切り線によって区画された内蓋開口部と、前記開口部表面半切り線の内側にあってこれに一定間隔をもって添う裏面側から設けた開口部裏面半切り線とを有し、前記天面板の裏面と前記内蓋の表面とは、前記天面板ミシン目と前記開口部半切り線とによって挟まれた2本の帯状の部分以外の部分で接着されており、前記背面は、背面外板と背面内板とからなり、前記背面外板は前記天面板ミシン目に連続するV字形状の開封フラップミシン目によって区画された開封フラップと、該開封フラップの中央部に連設した開封タブを有し、前記開封フラップは、切れ目線によって形成された再封フックを有し、前記背面内板は、開封後に前記再封フックに嵌合可能な切り込みを有し、前記背面外板の裏面と前記背面内板の表面とは、前記開封フラップならびに前記開封タブ以外の部分で接着されており、前記開封フラップミシン目は、通常のミシン目が有する基本ミシン線およびこれに付随する補助ミシン線に加えて、補助ミシン線の、基本ミシン線とは反対側の端部にあって、開封時に基本ミシン線から出発した板紙の切れ目を捕捉する捕捉ミシン線を有することを特徴とする再封機能付きカートンである。
また、請求項2に記載の発明は、前記背面外板は、前記開封タブに隣接して、開封タブ引上げ孔を有し、前記背面内板は、前記開封タブ引上げ孔に対応する位置に開封タブ用凹みを有することを特徴とする請求項1または2に記載の再封機能付きカートンである。
また、請求項3に記載の発明は、前記内蓋は、小フラップを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の再封機能付きカートンである。
本発明に係るカートンは、以上に記載したような特徴を有するために、以下の効果を有するものである。すなわち、防湿性の樹脂層を積層した板紙を使用して筺体を形成し、表面の板紙にミシン目や切れ目、孔等の存在する部分をすべて2重構造として外気の侵入を遮断した上に、内蓋に内蓋開口部を形成するための半切り線を開口部表面半切り線と開口部裏面半切り線と表裏に分け、しかもこの2つを一定間隔をもってずらして設置したので、粉末洗剤や小麦粉、個別包装されたあられ、金平糖などのように高度の防湿性は必要としないが、ある程度の防湿性を必要とするような内容物を収納する容器として必要十分な防湿性を有している。
また本発明に係るカートンは、一繋がりの1枚のブランクスから組み立てられる構造としたので、材料コストや加工コストが少なくて済むという効果がある。また、開封部分を背面および天面に設けたので、正面には開封のためのミシン目やその他の切れ目、折り線等を設けないようにすることが可能であり、そうした場合にはデザイン上の制約が少なく、商品を陳列した時に訴求効果の高いデザインを自由に採用することができる。
また、本発明に係るカートンは、開封フラップに再封フックを設け、これに対応する位置に切り込みを設けて、再封フックを引っ掛けられるようにしたので、開封後の再封がスムーズに容易に行えるものである。
また、開封フラップミシン目の形状に関して、通常のミシン目が有する基本ミシン線およびこれに付随する補助ミシン線に加えて、補助ミシン線の、基本ミシン線とは反対側の端部にあって、開封時に基本ミシン線から出発した板紙の切れ目を捕捉する捕捉ミシン線を有する形状としたので、ブランクスをカートンに組み立てる起函工程においてミシン目の切断によって発生するいわゆるジッパー切れ現象や、カートンの開封時にしばしば発生する、切断線がミシン目から外れて開封フラップが裂けてしまうという現象を防ぐことができ、開封がスムーズで容易となり、再封が安定してできるという効果を有する。
またさらに、開封タブに隣接して開封タブ引上げ孔を設け、これに対応する位置に開封タブ用凹みを設けた場合には、開封時に開封タブを引き上げやすくなり、開封が格段にスムーズで容易となる。
また、内蓋に小フラップを設けた場合には、箱が転倒した場合等の内容物のもれを確実に防止する効果がある。
以下、図面に従って、本発明に係る再封機能付きカートンを実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に係る再封機能付きカートンの一実施例のブランクスを示した展開図であり、カートン原紙の表面(印刷面)を上から見た状態を示している。本発明のカートンは、本図に示したようにカートン原紙の一繋がりの1枚のブランクスから組み立てられることを特徴としている。このようにすることにより、材料コストが節約され、製造工程も簡略化される。
本発明のカートンに使用するカートン原紙としては、防湿性の樹脂層を積層した板紙が使用される。具体的にはコートボール紙とクラフト紙をLLDPE(線状低密度ポリエチレン樹脂)、LDPE(低密度ポリエチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)等のポリオレフィン樹脂系の接着性樹脂の押出ラミネート加工によって貼り合わせた押出ラミネート紙や、同様にコートボール紙とクラフト紙をワックス系接着剤で貼り合わせたワックスラミネート紙や、コートボール紙の表面にPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、PP、HDPE(高密度ポリエチレン樹脂)、LDPE、LLDPE等の樹脂を積層した用紙が用いられる。
図1の展開図について説明すると、本実施例では正面板40を中心として、折り線pを介して内蓋50が、さらに折り線qを介して背面内板60が連設されており、反対側には折り線oを介して底面板30が、さらに折り線nを介して背面外板20が、さらに折り線mを介して天面板10が連設されている。
天面板10の中央部には、2本の天面板ミシン目vによって区画された天面板開口部1
3が設けられており、残る両側の部分が天面板縁部12となる。天面板10の両側には、フラップ11が連設されており、フラップ11にはミシン目加工が施されている。なおこのミシン目加工は、側面内板21との接着性を向上させる目的でなされたものであるが、カートン原紙の種類や接着剤の種類によっては必ずしも必要ではない。
背面外板20には、前記天面板の2本の天面板ミシン目vに、折り線mの部分を経由して連続した状態で形成されたV字形状の開封フラップミシン目sが設けられている。この開封フラップミシン目sによって区画された開封フラップ22と、この中央部に開封タブ用折り線wを介して連設した開封タブ23が設けられており、開封フラップ22には、切れ目線によって形成された円弧状の再封フックkが設けられている。また本図では、再封フックkに付随した再封フック用折り線uと、開封タブ23の下に隣接して、開封タブ引上げ孔tが設けられている。これらは必須なものではないが、開封操作や再封操作を容易にする効果を有するものである。前記開封フラップミシン目については、後ほど詳細に説明する。
背面外板20の両側には側面内板21が連設されている。
底面板30の両側には、フラップ31が連設されている。フラップ31にもフラップ11と同様に側面内板21との接着性を向上するためのミシン目加工が施されている。
正面板40は、商品の正面となる部分である。正面板40には、ミシン目、折り線、切れ目線等が一切存在しないようにすることができるため、自由なデザインの印刷表現を施すことができる。
正面板40の両側には側面外板41が連設されている。前記側面内板21とこの側面外板41とで、カートンの側面を構成する。本展開図の場合は、このいずれもが、カートンの側面の奥行き仕上がり寸法にほぼ等しい幅寸法となっており、ほぼ完全な2重壁を構成するようになっているが、必ずしもその必要はなく、側面内板の幅を糊代程度に細くするとか、あるいは両方とも狭くして、側面の中央部で糊代をもって重なり合うようにしても良い。このようにした場合には、側面に繋ぎ目が見えるので意匠的には好ましいものではないが、ブランクス全体の幅を狭くすることが出来るので、材料を節約することが可能となる。
内蓋50の中央部には、前記天面板10に設けられた2本の天面板ミシン目vよりも内側にあって、表面側から設けたコの字状の開口部表面半切り線hによって区画された内蓋開口部53が設けられており、残りの部分が内蓋縁部52となる。該コの字状の開口部半切り線hは、折り線pから出発して折り線qに到達し、図1では折り線qの中央部を共有し、折り線pに戻るコの字状の形状をなしている。なお、折り線q上の部分は、コの字の平行する2本の線よりも少しはみ出すように長くしてもよい。また内蓋50の裏面には、前記開口部表面半切り線hに一定間隔をもって添う開口部裏面半切り線gが設けられている。開口部表面半切り線hと開口部裏面半切り線gとは、ずれた位置に設けられているので、原紙の表裏を貫通する切れ目は存在しない。
内蓋50の両側には小フラップ51が連設されている。小フラップ51は必ずしも必須ではないが、カートンが転倒したときの粉漏れを防止する効果がある。
背面内板60には、再封フックを挿入する切り込みiと開封タブ用凹みjが設けられている。この開封タブ用凹みjについては、特別な工程は必要ではなく、通常の打ち抜き工程と同時に行われる型押しで良い。本図においては、背面内板60は、カートンブランクスの組み立てを容易にするために端部に向かってテーパーをつけた形状となっている。
図1に示したカートンブランクスの展開図は、本発明の実施例の一例を示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。図示はしないが例えば、上から順に、背面外板20、天面板10、正面板40、底面板30、背面内板60、内蓋50という配置でもほぼ同様の機能を有するカートンを作成することが可能である。
次に図1の展開図に示されたカートンブランクスをカートンに組み立てる手順について説明する。
まず折り線m、n、o、p、qをすべて山折りして天面板10、背面外板20、底面板30、正面板40、内蓋50、背面内板60を筒状に巻き込み、天面板10の裏面と内蓋50の表面を、また背面外板20の裏面と背面内板60の表面を接着する。
この時、天面板10の裏面と内蓋50の表面とは、前記開口部半切り線hと前記天面板ミシン目とによって挟まれた2本の帯状の部分以外の部分を接着する。また背面外板20の裏面と背面内板60の表面とは、前記開封フラップ22ならびに前記開封タブ23以外の部分を接着する。接着にあたっては、内容物のもれや、防湿性の確保の観点から、点状接着ではなく、面状に接着することが望ましい。
以上で、サック貼りが完了したカートンブランクスが得られたので、次にこのカートンブランクスを起函して内容物を充填する工程の説明に移る。
折り畳まれたブランクスを筒状に起函して、まず左右いずれかの側面を成形する。小フラップ51、フラップ11およびフラップ31を内側に折り曲げ、次いで側面内板21、側面外板41の順に折り曲げてそれぞれ接着する。成形が完了した側面を下にして、反対側の未成形の側面を上にし、ここから内容物を充填する。最後に未成形の側面を同様に小フラップ51、フラップ11およびフラップ31、側面内板21、側面外板41の順に折り曲げてそれぞれを接着すると、充填が完了する。
図2、図3は、本発明に係る再封機能付きカートンの実施例の斜視図であり、図2は未開封状態を、図3は開封状態を示したものである。背面外板20に開封フラップミシン目sによって区画された開封フラップ22が設けられており、これに連設した開封タブ23を持って上方に引っ張ることにより、開封フラップミシン目sおよびこれに連続した左右両側の天面板ミシン目vが切れて、開封フラップ22と天面板開口部13が開き、カートンを開封することができる。この時、背面内板60の表面と背面外板20の裏面とは、開封フラップと開封タブ以外の部分で接着されており、開封フラップと開封タブの部分は接着されていないので、開封はスムーズに行われ、また未開封時の防湿効果も確保されている。
内蓋50の表面と天面板10の裏面とは、左右の天面板ミシン目vと開口部表面半切り線hによって挟まれた帯状の部分以外の部分が全面にわたって接着されているので、開封する力によって、開口部表面半切り線hとこれの内側にある開口部裏面半切り線gによって挟まれた部分の内蓋50の紙間が剥離することによって開封する。図3において、この紙間剥離部xを網掛によって示した。このように、本発明のカートンはこの紙間剥離部xが紙間剥離を起こすことによって開封するので、未開封の状態においては、内蓋50の表裏面を貫通するような切れ目等がなく、保存時の防湿性が確保されている。紙間剥離部xの幅は、1mm〜5mmが適当である。広すぎる場合には開封時の抵抗が強くなりスムーズな開封ができなくなる。また狭すぎる場合には半切り線を加工する場合の位置のばらつきを吸収することができず、表裏の半切り線が一致してしまうことにより表裏にわたる貫通孔が生ずる恐れがある。
開封フラップ22には再封フックkとこれに付随した再封フック用折り線uが設けられている。再封フックkは、本実施例においては、円弧状の切れ目線によって形成されているが、再封フックの形状は、特に円弧状に限定されるものではなく、台形状でも舌状でも良いが、円弧状の場合が最も使い易い。開封後は、図3に示した切り込みiに差し込むことにより、開封フラップ22を引っ掛けて再封することができる。この時、再封フック用
折り線uを設けておくことにより、再封フックを差し込む時に折り線部分が折れて再封フックkを切り込みiに容易に差し込むことができる。
なお、切り込みiは、カートンの防湿性を確保するため、背面内板60の裏面に貫通させず防湿性樹脂層を残すようにするのが望ましい。
背面外板20において開封タブ23に隣接して開封タブ引上げ孔tを設けることによって、開封時の開封タブの引き起こしが容易になる。またこの時、背面内板60において開封タブ引上げ孔tの位置に相当する部分に開封タブ用凹みjを設けることにより開封タブの下に隙間ができるので、開封タブ23の引き起こしは、さらに容易になる。
また、開封フラップ22と開封タブ23の間に開封タブ用折り線wを設けることにより、開封時の開封タブの引き起こしと、開封後の再開封時の操作が容易になる。
次に、ミシン目について説明する。本発明の実施に当たっては、開封フラップミシン目sの形状を工夫したことにより、開封性や再封性を向上することができた。図4から図7は、ミシン目の形状について示したものであり、図4は本発明に係る再封機能付きカートンの開封フラップ部のミシン目形状を示した模式図である。また図5は、従来のミシン目形状を示した模式図である。図6は、本発明に係る再封機能付きカートンの開封フラップ部のミシン目形状の詳細を示した説明図であり、図7は、従来のミシン目形状を示した説明図である。
従来のミシン目は、図5および図7に示したように、基本ミシン線70とこれに付随した補助ミシン線71とから成っており、開封時には、基本ミシン線の末端部から出発した紙の裂け目が補助ミシン線によって捕らえられ、この繰り返しによって開封が進行する。天面板10における天面板ミシン目vのように開封に伴う力の方向が基本ミシン線の方向と一致する場合には、従来のミシン目でも全く問題なく開封がスムーズに進行するが、開封フラップ22を開封するための開封フラップミシン目sのように、開封に伴う力に対して、基本ミシン線70の方向が斜めである場合には、開封に伴う力の方向と同じ上方向に紙が裂けやすく、ミシン目を外れた裂け目が進行する場合がしばしばあった。
この現象を防ぐために、ミシン目の間隔を必要以上に狭めたりすると、内容物を充填する際に起函する段階で、ミシン目が切れてしまうといういわゆるジッパー切れ事故が発生することがあった。
一度開封したら、内容物を使い切ってしまう用途の場合には、開封口が裂けたりしても大きな問題とはならないが、本発明の目的のひとつである粉末洗剤や小麦粉のカートンのように、開封後も引き続き使用するような用途の場合には、開封口がきれいに形成されて、再封が確実にできることが望ましい。そこで、本発明においては、図6に示したように従来の基本ミシン線70および補助ミシン線71に加えて、円弧状の捕捉ミシン線72を補助ミシン線71の基本ミシン線とは反対側の端部に設けることによってこの問題を解決した。この捕捉ミシン線72を設けたことにより、基本ミシン線の端部から出発した開封時の紙の裂け目が、この捕捉ミシン線72によって確実に捕捉され、これを繰り返すことにより開封がスムーズに進行し、結果的にきれいな開封口が形成される。
図6に示した、開封フラップミシン目を構成する基本ミシン線70、補助ミシン線71、捕捉ミシン線72の相対位置関係は、表1に示したような関係にあることが好ましい。
すなわち、基本ミシン線70の間隔bと基本ミシン線の長さdとの間には、1mm<b<dなる関係が成り立ち、さらに基本ミシン線70と補助ミシン線71のなす角度∠Aは、90°より大であり180°より小であること、および捕捉ミシン線の円弧の中心角∠Bは、0°より大で90°より小であること、さらに捕捉ミシン線72の円弧の半径rは、0mmより大であり補助ミシン線の長さaより小であることである。ミシン線を構成する各要素の相対関係を上記のようにすることにより、開封フラップ22を開封する際に、安定した開封が実現できるので、開封フラップがきれいな形になり再封時にも安定した再封が可能となる。また、ミシン目の間隔を極端に狭める必要がないので、充填時に起函する段階でミシン目が破断するいわゆるジッパー切れ事故も防止することができる。
以下実施例に基づいて、本発明に係る再封機能付きカートンについて説明する。
カートン原紙として、坪量450g/m2のコートボール紙と坪量30g/m2のクラフト紙をPEの押出ラミネート法によって貼り合わせた押出ラミネート紙(レンゴー株式会社製CRPMS)を用い、図1に示したブランクスを作成し、これを組み立てて接着し、図2のようなカートンを作成した。カートンの仕上り寸法は、奥行90mm、幅147mm、高さ138mmである。開封フラップミシン目のミシン線の形状は、図4および6に示した形状とし、図6の詳細図における各寸法を以下のようにした。
基本ミシン線長さ(d)・・・5.0mm
補助ミシン線長さ(a)・・・4.0mm
捕捉ミシン線の円弧の半径(r)・・・ 3.0mm
基本ミシン線間隔(b)・・・3.5mm
基本ミシン線と補助ミシン線のなす角度(∠A)・・・135°
捕捉ミシン線の円弧の中心角(∠B)・・・80°
このカートンについて、起函時のジッパー切れ発生率、中に粉末洗剤1.2kgを封入した時の防湿性、開封時の蓋破れ発生率、さらに開封後の再封性の評価を行った。防湿性の評価は、40℃、80%RHの雰囲気に3ヶ月間放置し、1ヶ月毎の重量変化を測定した。再封性の評価は、10人のモニターによる官能検査によった。サンプルの個数は、防湿性と再封性の評価については20個、ジッパー切れ発生率と開封時の蓋破れ発生率については、50個とした。
<比較例1>
実施例1と同じカートン原紙を用いた、特許文献3に示されたと同様の横テープカット構造のカートンを用意した。カートンの仕上り寸法は実施例1と同じである。このカートンに実施例1と同様にして粉末洗剤1.2kgを充填し、防湿性、開封性、再封性の評価を行った。
<比較例2>
実施例1と同じ仕様で、ミシン目の形状のみを従来の形状としたカートンを作成し、同様に評価した。これらの評価結果を表2に示す。なお表2において、○は良好、△は使用可能、×は使用不可を表す。
このように、実施例1のカートンにおいては、起函時のジッパー切れもなく、充填後の防湿性も良好であり、開封時の蓋破れも発生せず、再封性も良好であった。
本発明に係る再封機能付きカートンの実施例のブランクスを示した展開図。 本発明に係る再封機能付きカートンの実施例の未開封状態の斜視図。 本発明に係る再封機能付きカートンの実施例の開封状態を示した斜視図。 本発明に係る再封機能付きカートンの開封フラップ部のミシン目形状を示した模式図。 従来のミシン目形状を示した模式図。 本発明に係る再封機能付きカートンの開封フラップ部のミシン目形状の詳細を示した説明図。 従来のミシン目形状を示した説明図。
符号の説明
10・・・天面板
11・・・フラップ
12・・・天面板縁部
13・・・天面板開口部
20・・・背面外板
21・・・側面内板
22・・・開封フラップ
23・・・開封タブ
30・・・底面板
31・・・フラップ
40・・・正面板
41・・・側面外板
50・・・内蓋
51・・・小フラップ
52・・・内蓋縁部
53・・・内蓋開口部
60・・・背面内板
70・・・基本ミシン線
71・・・補助ミシン線
72・・・捕捉ミシン線
a・・・補助ミシン線長さ(mm)
b・・・基本ミシン線間隔(mm)
d・・・基本ミシン線長さ(mm)
∠A・・・基本ミシン線と補助ミシン線のなす角度
∠B・・・捕捉ミシン線の円弧の中心角
g・・・開口部裏面半切り線
h・・・開口部表面半切り線
i・・・切り込み
j・・・開封タブ用凹み
k・・・再封フック
m・・・折り線
n・・・折り線
o・・・折り線
p・・・折り線
q・・・折り線
r・・・捕捉ミシン線の円弧の半径(mm)
s・・・開封フラップミシン目
t・・・開封タブ引上げ孔
u・・・再封フック用折り線
v・・・天面板ミシン目
w・・・開封タブ用折り線
x・・・紙間剥離部

Claims (3)

  1. 防湿性の樹脂層を積層した板紙の1枚のブランクスから組み立てられる直方体のカートンであって、正面、天面、背面、底面、右側面、左側面の6面からなり、前記天面は、天面板と内蓋からなり、前記天面板は、2本の天面板ミシン目によって区画された天面板開口部を有し、前記内蓋は、前記天面板開口部の内側にあって表面側から設けたコの字状の開口部表面半切り線によって区画された内蓋開口部と、前記開口部表面半切り線の内側にあってこれに一定間隔をもって添う裏面側から設けた開口部裏面半切り線とを有し、前記天面板の裏面と前記内蓋の表面とは、前記天面板ミシン目と前記開口部半切り線とによって挟まれた2本の帯状の部分以外の部分で接着されており、前記背面は、背面外板と背面内板とからなり、前記背面外板は前記天面板ミシン目に連続するV字形状の開封フラップミシン目によって区画された開封フラップと、該開封フラップの中央部に連設した開封タブを有し、前記開封フラップは、切れ目線によって形成された再封フックを有し、前記背面内板は、開封後に前記再封フックに嵌合可能な切り込みを有し、前記背面外板の裏面と前記背面内板の表面とは、前記開封フラップならびに前記開封タブ以外の部分で接着されており、前記開封フラップミシン目は、通常のミシン目が有する基本ミシン線およびこれに付随する補助ミシン線に加えて、補助ミシン線の、基本ミシン線とは反対側の端部にあって、開封時に基本ミシン線から出発した板紙の切れ目を捕捉する捕捉ミシン線を有することを特徴とする再封機能付きカートン。
  2. 前記背面外板は、前記開封タブに隣接して、開封タブ引上げ孔を有し、前記背面内板は、前記開封タブ引上げ孔に対応する位置に開封タブ用凹みを有することを特徴とする請求項1または2に記載の再封機能付きカートン。
  3. 前記内蓋は、小フラップを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の再封機能付きカートン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011117932A (ja) * 2009-10-27 2011-06-16 Fuji Hoso Shiki Kk 計量スプーン及び紙箱
JP2013193771A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 Toppan Printing Co Ltd 紙容器
JP2015024835A (ja) * 2013-07-25 2015-02-05 株式会社ガリバー 封筒構造
JP2017137125A (ja) * 2016-11-15 2017-08-10 大日本印刷株式会社 収納箱

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