JP2009252972A - 半導体装置 - Google Patents

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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
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Abstract

【課題】横型の電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、特性が良好な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1において、P型基板の上層部分の一部にディープNウエル(DNW)4を形成し、このDNW4の上層部分の一部にPウエル5を形成し、このPウエル5の上層部分の一部にNソース領域7を形成し、DNW4の上層部分におけるPウエル5から離隔した位置に、Nドレイン領域9を形成し、このNドレイン領域9に接し、一部がNソース領域7に向かってPウエル5内に進出したN型ドリフト領域10を形成する。そして、Nドレイン領域9をDNW4に接触させ、比(Lpw/Ldrift)の値を0.5以上1.0未満とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体装置に関し、特に、横型の電界効果トランジスタを備えた半導体装置に関する。
半導体基板にMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)を作製する場合、エピタキシャル基板を用いる方法がよく使われる(例えば、特許文献1参照。)。例えば、P型の基板の上層部分に不純物濃度が高いN型の埋め込み層を形成し、この埋め込み層の上にN型のエピタキシャル層を形成し、このエピタキシャル層の上層部分の一部にP型のウエルを形成し、このウエル内にNチャネル型のMOSFETを形成する。この方法では、埋め込み層を用いて素子領域を囲み、埋め込み層にドレインと同じ電位を印加することで、ハイサイド仕様のMOSFETを容易に形成することが可能となる。しかしながら、エピタキシャル成長法によって形成された基板は、一般的に高価であるという問題点がある。
そこで、上述の埋め込み層及びエピタキシャル層の代わりに、イオン・インプランテーションによってN型のインプラ層を形成することが考えられる。そして、このインプラ層の上層部分の一部にP型のウエルを形成し、このウエル内にN型のMOSFETを形成する。このように、MOSFETをインプラ層の内部に形成することにより、高価なエピタキシャル基板を用いることなく、ハイサイド仕様のMOSFETを形成することが可能となる。
但し、この技術では、インプラ層の不純物濃度をあまり高くすることができない。その理由は、インプラ層の濃度がその内部に形成されるウエルとの接合耐圧に制限されるためである。このため、インプラ層の抵抗率が高くなってしまう。この結果、比較的面積が大きいLDMOS(Laterally Diffused MOS:横方向拡散MOS)を形成する場合には、素子領域におけるインプラ層内の電位分布が不均一になり、良好な特性が得られないという問題点がある。
特開2002−261297号公報
本発明の目的は、横型の電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、特性が良好な半導体装置を提供することである。
本発明の一態様によれば、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の上層部分の一部に形成された第2導電型のディープウエルと、前記ディープウエルの上層部分の一部に形成された第1導電型のウエルと、前記ウエルの上層部分の一部に形成された第2導電型の第1拡散領域と、前記ディープウエルの上層部分における前記ウエルから離隔した位置に形成され、前記ディープウエルに接した第2導電型の第2拡散領域と、前記第2拡散領域に接し、一部が前記第1拡散領域に向かって前記ウエル内に進出した第2導電型のドリフト領域と、前記ウエルにおける前記第1拡散領域と前記ドリフト領域との間の領域の直上域に設けられたゲート電極と、前記ウエルと前記ゲート電極との間に配置されたゲート絶縁膜と、を備えたことを特徴とする半導体装置が提供される。
本発明によれば、横型の電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、特性が良好な半導体装置を実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置を例示する平面図であり、
図2は、図1に示すA−A’線による断面図であり、
図3は、図2に示す領域Bを拡大して示す断面図であり、
図4は、図1に示すB−B’線による断面図である。
なお、図1において、P型基板上の構成物は、ゲート電極を除いて図示が省略されている。
図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置1においては、LDMOS2が形成されている。このLDMOS2においては、例えば、短冊状のドレイン領域の両側に、一対の短冊状のソース領域が形成されている。なお、LDMOS2の平面レイアウトは図1に示すレイアウトに限定されず、任意に設計することができる。例えば、ドレイン領域の周囲に枠状のソース領域を配置したレイアウトとしてもよく、ソース領域の周囲に枠状のドレイン領域を配置したレイアウトとしてもよく、1本のストライプ状のソース領域の両側に2本のストライプ状のドレイン領域を配置したレイアウトとしてもよく、1本のストライプ状のドレイン領域と1本のストライプ状のソース領域を相互に平行に配置したレイアウトとしてもよい。また、これらのレイアウトを繰り返し配列させた構成としてもよい。
以下、LDMOS2の構成を詳細に説明する。
図1乃至図4に示すように、半導体装置1においては、導電型がP型のP型基板3が設けられている。P型基板3は、例えば、単結晶のシリコンからなる基板である。そして、P型基板3の上層部分の一部には、導電型がN型のディープNウエル(以下、「DNW」ともいう)4が形成されている。DNW4は、例えばイオン・インプランテーションによって形成されたものである。
ディープNウエル4の上層部分の一部には、導電型がP型であり、上方から見た形状が枠状であるPウエル(以下、「PW」ともいう)5が形成されている。Pウエル5の上層部分の一部には、導電型がP型であり、アクセプタ濃度がPW5のアクセプタ濃度よりも高く、上方から見た形状が枠状であるチャネルインプラ領域6が形成されている。チャネルインプラ領域6は、閾値を調整するための領域である。チャネルインプラ領域6の上層部分の一部には、導電型がN型であり、ドナー濃度がディープNウエル4のドナー濃度よりも高いNソース領域(第1拡散領域)7が形成されている。上方から見て、Nソース領域7の形状は短冊状であり、相互に平行に延びるように、2ヶ所に配置されている。すなわち、Nソース領域7は、Pウエル5の上層部分の一部に形成されている。
また、チャネルインプラ領域6の上層部分におけるNソース領域7に接する領域には、導電型がP型であり、アクセプタ濃度がチャネルインプラ領域6のアクセプタ濃度よりも高く、上方から見た形状が枠状であるPコンタクト領域8が形成されている。例えば、Pコンタクト領域8はNソース領域7の外側に配置されている。一方、Nソース領域7の内側には、Nソース領域7に接するように、LDD(Lightly Doped Drain:低不純物濃度ドレイン)領域13が形成されている。Pウエル5、チャネルインプラ領域6及びPコンタクト領域8は、略同心状に配列されている。
一方、ディープNウエル4の上層部分におけるPウエル5の内側であってPウエル5から離隔した位置には、導電型がN型であり、ドナー濃度がDNW4のドナー濃度よりも高く、上方から見た形状が短冊状であるNドレイン領域(第2拡散領域)9が形成されている。Nドレイン領域9は、2本のNソース領域7の間に配置されている。従って、Nソース領域7及びLDD領域13は、Nドレイン領域9から見て素子の横方向(図1の横方向)にのみ設けられており、素子の長手方向(図1の縦方向)には設けられていない。これは、素子の長手方向においてチャネル領域が形成されることを防ぎ、不要な電流経路が形成されることを防止するためである。なお、素子を適切に設計すれば、Nドレイン領域9の長手方向にNソース領域7を形成しても問題ない。Nドレイン領域9はDNW4に接しており、従って、DNW4に接続されている。
また、ディープNウエル4の上層部分におけるNドレイン領域9の周囲には、導電型がN型であり、ドナー濃度がNドレイン領域9のドナー濃度よりも低く、上方から見た形状が枠状であるN型ドリフト領域10が形成されている。N型ドリフト領域10の内縁はNドレイン領域9に接しており、N型ドリフト領域10の外周部分はNソース領域7に向かってPウエル5の上層部分内に進出している。すなわち、Pウエル5の内周部分とN型ドリフト領域10の外周部分とは、相互にオーバーラップしている。但し、N型ドリフト領域10は、チャネルインプラ領域6には接していない。また、図1、図2、図4に示すように、N型ドリフト領域10の長さ、すなわち、Nドレイン領域9に接する端縁からその反対側の端縁までの距離は、素子の長手方向(図1の縦方向)の両端部において、素子の横方向(図1の横方向)の両端部よりも長くなっている。これにより、素子の長手方向における耐圧の低下を防止している。なお、これについては、素子を適切に設計すれば、考慮する必要はない。
更に、ディープNウエル4の上層部分におけるPウエル5の外側の領域の一部には、導電型がN型であり、ドナー濃度がDNW4のドナー濃度よりも高く、上方から見た形状が短冊状であるN型領域11が形成されている。更にまた、P型基板3の上層部分におけるDNW4の外部の領域の一部には、導電型がP型であり、アクセプタ濃度がP型基板のアクセプタ濃度よりも高く、上方から見た形状が短冊状であるP型領域12が形成されている。なお、図1に示す例では、N型領域11及びP型領域12は、素子の横方向一方の終端領域にのみ形成しているが、これらの領域は、終端領域のどの位置に形成してもよい。
更にまた、P型基板3の上方であって、Pウエル5及びチャネルインプラ領域6におけるNソース領域7とN型ドリフト領域10との間の領域の直上域には、ゲート電極16が設けられている。上方から見て、ゲート電極16の形状はN型ドリフト領域10を囲むような枠状である。また、ゲート電極16における素子の長手方向両端部のゲート長は、素子の横方向両端部のゲート長よりも長い。これにより、素子の長手方向の両端部において耐圧が低下することを防止できる。また、素子の長手方向においてチャネル領域が形成されることを防止し、不要な電流経路が形成されることを防止できる。
ゲート電極16の側面上には、側壁15が設けられている。また、P型基板3の上面における後述する各電極が接触している領域を除く領域上には、ゲート絶縁膜17が形成されている。すなわち、ゲート絶縁膜17は、少なくともPウエル5及びチャネルインプラ領域6とゲート電極16との間に形成されている。更に、Nソース領域7側の側壁15の直下域は、LDD領域13となっている。なお、N型ドリフト領域10及びゲート電極16もPウエル5と略同心状に配置されており、その中心を含む領域に、Nドレイン領域9が配置されている。この結果、Nドレイン領域9はDNW4の中心付近に配置されている。
更にまた、Nソース領域7及びPコンタクト領域8は、P型基板3上に設けられたソース電極18に接続されている。また、Nドレイン領域9及びN型領域11は、P型基板3上に設けられたドレイン電極19に接続されている。更に、P型領域12は、P型基板3上に設けられた基準電位電極(図示せず)に接続されている。
そして、Nドレイン領域9からNソース領域7に向かう方向において、N型ドリフト領域10全体の長さをドリフト長Ldriftとし、N型ドリフト領域10におけるPウエル5内に進出した部分の長さをオーバーラップ量Lpwとするとき、ドリフト長Ldriftとオーバーラップ量Lpwとの関係は、下記数式(1)を満たす。下記数式(1)の説明は、後述する。

0.5≦(Lpw/Ldrift)<1.0 (1)
次に、半導体装置1の製造方法について説明する。
図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)、図7(a)及び(b)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。
先ず、図5(a)に示すように、イオン・インプランテーションにより、P型基板3(図2参照)の上層部分の一部にディープNウエル(DNW)4を形成する。すなわち、P型基板3に対して、ドナーを選択的にイオン注入する。次に、P型基板3上に、枠状の開口部が形成されたレジストパターン31を形成し、このレジストパターン31をマスクとしてアクセプタをイオン注入することにより、DNW4の上層部分の一部に枠状のPウエル(PW)5を形成する。その後、レジストパターン31を除去する。
次に、図5(b)に示すように、P型基板3上にレジストパターン32を形成し、このレジストパターン32をマスクとしてアクセプタをイオン注入することにより、Pウエル5の上層部分の一部に枠状のチャネルインプラ領域6を形成する。その後、レジストパターン32を除去する。
次に、図5(c)に示すように、P型基板3に対して酸化雰囲気中で熱処理を施し、P型基板3の上面全体に熱酸化膜からなるゲート絶縁膜17を形成する。次に、ゲート絶縁膜17上の全面にポリシリコン膜を堆積させ、パターニングすることにより、チャネルインプラ領域6の内縁、すなわち、Pウエル5との境界を含む領域の直上域に、枠状のゲート電極16を形成する。このとき、上方から見て、Pウエル5の内縁とゲート電極16の内縁との間の距離が、前述のオーバーラップ量Lpwとなる。
次に、図6(a)に示すように、P型基板3上に、ゲート電極16の外縁を含む短冊状の領域のみを開口させたレジストパターン33を形成し、このレジストパターン33をマスクとしてドナーをイオン注入することにより、LDD領域13を形成する。その後、レジストパターン33を除去する。
次に、図6(b)に示すように、P型基板3上に、ゲート電極16の内側を開口させたレジストパターン34を形成し、このレジストパターン34をマスクとしてドナーをイオン注入することにより、DNW4の上層部分におけるゲート電極16の内側部分に、N型ドリフト領域10を形成する。このとき、N型ドリフト領域10の一部はPウエル5の上層部分に形成されるようにする。これにより、N型ドリフト領域10の一部とPウエル5の一部とが重なり合う。その後、レジストパターン34を除去する。
次に、図6(c)に示すように、P型基板3上にゲート電極16を覆うように絶縁膜を堆積させ、その後、エッチバックすることにより、ゲート電極16の両側面上に側壁15を形成する。次に、P型基板3上にレジストパターン35を形成し、レジストパターン35、ゲート電極16及び側壁15をマスクとして、ドナーをイオン注入する。
これにより、図7(a)に示すように、Nソース領域7、Nドレイン領域9及びN型領域11(図1及び図2参照)が形成される。このとき、N型ドリフト領域10におけるゲート電極16側の端部からNドレイン領域9までの距離が、ドリフト長Ldriftとなる。その後、レジストパターン35(図6(c)参照)を除去する。次に、新たなレジストパターン(図示せず)をマスクとしてアクセプタをイオン注入することにより、Pコンタクト領域8及びP型領域12(図1及び図2参照)を形成する。その後、このレジストパターンを除去する。
次に、図7(b)に示すように、Nソース領域7及びPコンタクト領域8の直上域に、これらに接続されるようにソース電極18を形成すると共に、Nドレイン領域9の直上域に、Nドレイン領域9に接続されるようにドレイン電極19を形成する。また、N型領域11(図1及び図2参照)の直上域に、N型領域11及びドレイン電極19に接続される電極(図示せず)を形成し、P型領域12の直上域に、P型領域12に接続される基準電位電極(図示せず)を形成する。これにより、図1乃至図4に示すように、LDMOS2が設けられた半導体装置1が作製される。
次に、本実施形態に係る半導体装置の作用効果について説明する。
図1〜図4に示すように、本実施形態に係る半導体装置1においては、ソース電極18に負電位(又は基準電位)を印加し、ドレイン電極19に正電位を印加した状態で、ゲート電極16に制御電位を印加することにより、Nソース領域7とNドレイン領域9との間を導通又は非導通とし、LDMOS2として機能させることができる。このとき、ディープNウエル(DNW)4にもNドレイン領域9と同じ電位が印加され、LDMOS2が半導体装置1における他の領域から絶縁される。
本実施形態においては、DNW4をイオン・インプランテーションによって形成しているため、DNW4及びDNW4内に形成された各領域の不純物濃度を精度よく制御することができ、半導体装置1の特性を良好にすることができる。また、素子全体をDNW4によって包囲するため、ハイサイド仕様のLDMOSを構成することができる。
但し、DNW4をイオン・インプランテーションで形成した場合、DNW4内の不純物濃度を高くすることが困難である。これは、この濃度を高くすると、例えばDNW4とPW5との間の接合耐圧が低下してしまうためである。このため、DNW4の抵抗率が高くなる。このため、DNW4内の電位分布が不均一になりやすい。そこで、本実施形態においては、素子内でDNW4をNドレイン領域9に接触させている。これにより、Nドレイン領域9を介して、DNW4の中心付近でも電位をドレイン電位に固定でき、DMW4内の電位分布を均一化することができる。また、DNW4内におけるNドレイン領域9の近傍の領域、すなわち、LDMOS2の動作に大きな影響を与える領域の電位を特に安定させることができる。この結果、LDMOS2の特性が良好になる。なお、この効果は、DNW4をエピタキシャル成長によって形成した場合でも、同様に得ることができる。
これに対して、DNW4がNドレイン領域9に接続されていないと、DNW4の周辺部に配置されたN型領域11のみを介してDNW4に電位を印加することになるため、DNW4内における電位分布が不均一になりやすい。
また、本実施形態においては、DNW4をNドレイン領域9に接触させることにより、静耐圧を向上させることができる。以下、この効果を示すシミュレーション結果について説明する。
図8は、本実施形態に係る半導体装置の電位分布のシミュレーション結果を例示する図であり、図3と略同一の断面領域を示し、
図9は、横軸にドリフト長(Ldrift)をとり、縦軸に静耐圧及びオン抵抗(RonA)をとって、本実施形態に係る半導体装置においてドリフト長が素子特性に及ぼす影響を例示するグラフ図であり、
図10は、比較例に係る半導体装置を示す断面図であり、
図11は、比較例に係る半導体装置の電位分布のシミュレーション結果を例示する図である。
図8及び図11において、太線はP型領域とN型領域との境界面を示す。また、図9に示すシミュレーション結果は、N型ドリフト領域のドーズ量を1.5×1012cm−2とした場合の結果である。更に、図10に示すように、比較例に係る半導体装置36においては、本実施形態に係る半導体装置1(図3参照)と比較して、Pウエル5のドレイン側の側方には、ディープPウエル(DPW)37が設けられており、DPW37の上層部分には、DNW38が設けられている。DPW37及びDNW38は共にPウエル5に接しており、DNW38はNドレイン領域9、N型ドリフト領域10及びDPW37に接している。半導体装置36における上記以外の構成は、半導体装置1と同様である。そして、図11に示すシミュレーション結果は、半導体装置36を想定した結果である。
図3に示すように、本実施形態に係る半導体装置1においては、N型ドリフト領域10、Nドレイン領域9及びDNW4により、Pウエル5を回り込むような一体的なN型領域が形成されている。そして、N型ドリフト領域10とDNW4とが同電位となることにより、PW5とそのまわりのN型領域の界面から空乏層が広がる。また、N型ドリフト領域10は、ドレイン電圧が印加されたときに空乏化しやすいように、ドーズ量が低く設定されている。これにより、図8に示すように、N型ドリフト領域10を起点とする等電位面が、Pウエル5とDNW4との界面にほぼ沿って湾曲し、Pウエル5の下方に回り込む。そして、素子の横方向においては、ドリフト領域内にほぼ均一に等電位面が広がる。この結果、電界が極端に集中する領域がなくなり、等電位面の密度が低くなり、電界強度が緩和され、静耐圧が向上する。また、静耐圧がPウエル5の形状及び不純物濃度に依存しにくくなる。
図9は、オーバーラップ量Lpwを固定してドリフト長Ldriftを変化させたときの素子特性をグラフに示したものである。図8からわかるように、素子の横方向については、PW5とN型ドリフト領域10とがオーバーラップしている領域にて印加電圧を分担し、耐圧を維持している。一方、N型ドリフト領域10におけるPW5とオーバーラップしていない部分については、DNW4内の不純物が拡散して不純物濃度が加算され、ドレイン電圧を印加したときに、効果的に空乏化しない。つまり、N型ドリフト領域10のうち、耐圧向上に寄与するのは、PW5とオーバーラップしている部分、すなわち、長さがLpwの部分だけである。よって、図9に示すように、オーバーラップ量Lpwを固定した場合、ドリフト長Ldriftを延ばしても耐圧向上にはほとんど寄与しない。一方、オン抵抗(RonA)は、N型ドリフト領域10自体の長さであるLdriftの増加に伴い増加してしまう。
これに対して、図10に示すように、比較例に係る半導体装置36においては、Nソース領域7及びNドレイン領域9の双方がP型領域内、すなわち、図10に示す例では、Pウエル5及びDPW37内に配置されていて、Nドレイン領域9は、Pウエル5及びDPW37によって、DNW4から分離されている。この半導体装置36においては、Nドリフト領域10及びDNW38と、それらを囲むP型領域とが空乏化して印加電圧を分担するため、図11に示すように、Nドレイン領域9を囲むように等電位面が形成される。このため、N型ドリフト領域にて電界強度が高くなり、静耐圧は低くなる。
また、本実施形態においては、上述の数式(1)に示すように、ドリフト長に対するオーバーラップ量の比(Lpw/Ldrift)を、0.5≦(Lpw/Ldrift)<1.0としている。これにより、高い静耐圧と低いオン抵抗とを両立させることができる。以下、この効果について詳細に説明する。
図12は、横軸にオーバーラップ量(Lpw)をとり、縦軸に静耐圧及びオン抵抗(RonA)をとって、本実施形態に係る半導体装置においてオーバーラップ量が素子特性に及ぼす影響を例示するグラフ図であり、
図13は、横軸にドリフト長に対するオーバーラップ量の比(Lpw/Ldrift)をとり、縦軸に静耐圧及びオン抵抗(RonA)をとって、本実施形態に係る半導体装置においてドリフト長とオーバーラップ量との比が素子特性に及ぼす影響を例示するグラフ図である。
図12に示すシミュレーション結果は、N型ドリフト領域のドリフト長Ldriftを1.0μmとし、ドーズ量を2.0×1012cm−2とした場合の結果である。また、図13に示すシミュレーション結果は、オーバーラップ量Lpwを一定とし、ドリフト長Ldriftを変化させた場合の結果である。
図12に示すように、半導体装置1においては、静耐圧はPウエル5とN型ドリフト領域10とのオーバーラップ量Lpwに依存し、オーバーラップ量がドリフト長未満の範囲では、オーバーラップ量が大きいほど静耐圧は向上する。これは、オーバーラップ量が大きくなると、N型ドリフト領域10のうち、空乏化して印加電圧を分担する領域が増えるため、等電位面の密度が低下し、電界強度が低下して静耐圧が向上するためである。また、オーバーラップ量が大きいほどオン抵抗は増加する。これは、オーバーラップ部分では、N型ドリフト領域10のドナーの作用がPウエル5のアクセプタの作用によって相殺されてしまい、実効的なドナー濃度が低減するためであると考えられる。但し、オーバーラップ量がドリフト長と等しくなると、静耐圧は急激に低下する。これは、Pウエル5がNドレイン領域9に接触してしまい、半導体装置1の静耐圧がPウエル5とNドレイン領域9との間の静耐圧によって決まるためと考えられる。
また、図13に示すように、比(Lpw/Ldrift)が0.5以上の範囲では、比(Lpw/Ldrift)が増加すると、静耐圧及びオン抵抗は共に低下する。従って、比(Lpw/Ldrift)の値を選択することにより、静耐圧とオン抵抗とのバランスを決定することができる。一般に、静耐圧は高い方が好ましく、オン抵抗は低い方が好ましいが、両者はトレードオフの関係にある。このため、設計者は、比(Lpw/Ldrift)を0.5以上の範囲で任意に選択することにより、静耐圧及びオン抵抗の最適なバランスを実現すればよい。但し、上述の如く、Pウエル5をNドレイン領域9に接触させないためには、オーバーラップ量はドリフト長未満とする必要があり、従って、比(Lpw/Ldrift)は1.0未満とすることが好ましい。
これに対して、比(Lpw/Ldrift)が0.5未満の範囲では、比(Lpw/Ldrift)が減少するほどオン抵抗は増加するが、静耐圧はほとんど変化しない。すなわち、比(Lpw/Ldrift)を0.5未満に低減させても、オン抵抗が増加するのみで、静耐圧を向上させる効果は得られない。これは、比(Lpw/Ldrift)が0.5未満であると、設計値のドリフト長を十分に活かすことができず、耐圧が向上しないためであると考えられる。このため、設計者が比(Lpw/Ldrift)を0.5未満の範囲で選択する実益はほとんどないと言える。
以上より、比(Lpw/Ldrift)の値は、0.5以上1.0未満とすることが好ましい。なお、本実施形態の効果を検証するにあたり、ドリフト長Ldrift及びオーバーラップ量Lpwを、中耐圧LDMOSとして現実的な範囲である2.0μm以下の範囲で変化させ、また、各領域のドーズ量を変化させてシミュレーションを繰り返したが、その結果は上述の結果と同様であった。すなわち、比(Lpw/Ldrift)が0.5未満の範囲では、静耐圧は比(Lpw/Ldrift)の値にほとんど依存せず、0.5以上の範囲では、比(Lpw/Ldrift)の値の増加に伴って減少した。従って、LDMOS2の各領域のサイズ及びドーズ量によらず、比(Lpw/Ldrift)の値は0.5以上1.0未満とすることが好ましい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図14は、本実施形態に係る半導体装置を例示する回路図であり、
図15は、本実施形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
なお、図16においては、図示の便宜上、ディープNウエル、Pウエル及びNウエルにそれぞれ電位を印加するための拡散領域、並びに、各トランジスタのLDD領域及び側壁は、図示を省略している。
図14に示すように、本実施形態に係る半導体装置41はDC−DCコンバータである。すなわち、半導体装置41においては、入力電位Vinと接地電位GNDとの間に、出力回路42が接続されている。出力回路42においては、例えばN型のMOSFETからなるハイサイド・トランジスタHQと、例えばN型のMOSFETからなるローサイド・トランジスタLQとが直列に接続されている。すなわち、ハイサイド・トランジスタHQのドレインに入力電位Vinが印加され、ハイサイド・トランジスタHQのソースはローサイド・トランジスタLQのドレインに接続されており、ローサイド・トランジスタLQのソースに接地電位GNDが印加される。そして、ハイサイド・トランジスタHQの構成は、前述の第1の実施形態におけるLDMOS2の構成と同じである。
また、半導体装置41においては、出力回路42を制御するコントロール回路43が設けられている。コントロール回路43は、ハイサイド・トランジスタHQのゲート電位及びローサイド・トランジスタLQのゲート電位を制御することにより、トランジスタHQ及びLQの導通/非導通をそれぞれ切替える回路である。コントロール回路43においては、制御信号を出力するPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御回路44と、PWM制御回路44から出力された制御信号を増幅する複数段のCMOSトランジスタ45とが設けられている。各CMOSトランジスタ45においては、Pチャネル型MOSFET(PMOS)46と、Nチャネル型MOSFET(NMOS)47とが、相互に直列に接続されており、インバータとして機能する。コントロール回路43から出力された制御信号は、ハイサイド・トランジスタHQのゲートに印加されると共に、インバータ48を介してローサイド・トランジスタLQのゲートに印加される。
更に、半導体装置41においては、インダクタ51及びキャパシタ52が設けられている。インダクタ51は、ハイサイド・トランジスタHQとローサイド・トランジスタLQとの接続点Nと出力端子53との間に接続されており、キャパシタ52は、出力端子53と接地電位GNDとの間に接続されている。これにより、インダクタ51及びキャパシタ52からなるLC回路が構成されている。
そして、図15に示すように、出力回路42を構成するハイサイド・トランジスタHQ及びローサイド・トランジスタLQ、並びに、コントロール回路43を構成するPMOS46及びNMOS47は、単一の半導体基板50に形成されている。すなわち、半導体装置41は、半導体基板50上にLDMOSとCMOSとを混載させた半導体装置である。なお、図15においては、ローサイド・トランジスタLQは図示を省略している。一方、インダクタ51及びキャパシタ52は、半導体基板50の外部に設けられている。半導体基板50、インダクタ51及びキャパシタ52は、1枚のプリント基板(図示せず)上に実装されており、プリント基板に印刷された配線により、相互に接続されている。
半導体基板50において、ハイサイド・トランジスタHQ、ローサイド・トランジスタLQ、PMOS46及びNMOS47は、半導体基板50の上層部分に形成された素子分離膜61によって相互に区画され、絶縁されている。ハイサイド・トランジスタHQにおける各領域の導電型及び位置関係等のデバイス構造は、前述の第1の実施形態におけるLDMOS2(図1〜図4参照)と同じである。
一方、PMOS46においては、半導体基板50の上層部分にPウエル62が形成されており、Pウエル62の上層部分には、N型のソース領域63及びドレイン領域64が相互に離隔して設けられている。Pウエル62におけるソース領域63とドレイン領域64との間の領域はチャネル領域65となっており、チャネル領域65の直上域には、ゲート絶縁膜66及びゲート電極67が設けられている。
また、NMOS47においては、半導体基板50の上層部分にNウエル72が形成されており、Nウエル72の上層部分には、P型のソース領域73及びドレイン領域74が相互に離隔して設けられている。Nウエル72におけるソース領域73とドレイン領域74との間の領域はチャネル領域75となっており、チャネル領域75の直上域には、ゲート絶縁膜76及びゲート電極77が設けられている。
そして、PMOS46のPウエル62は、ハイサイド・トランジスタHQのPウエル5と同時に形成されたものである。従って、Pウエル62の深さ及びドーズ量は、Pウエル5の深さ及びドーズ量にそれぞれ等しい。すなわち、半導体装置41においては、コントロール回路43を構成するCMOS45のPウエル62を、LDMOS領域のPウエル5にも兼用で使っている。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、ハイサイド・トランジスタHQのPウエル5とPMOS46のPウエル62とを同時に形成することにより、LDMOSとCMOSとを混載させた半導体装置を少ない工程数で効率的に製造することができる。
そして、前述の第1の実施形態において説明したように、ハイサイド・トランジスタHQ(LDMOS2)においては、ディープNウエル(DNW)4がNドレイン領域9に接触しているため、ハイサイド・トランジスタHQ(LDMOS2)の特性は、Pウエル5の形状及び不純物濃度にはあまり依存しない。このため、Pウエル5及びPウエル62は、専らPMOS46に要求される特性に基づいて設計することができる。この結果、LDMOSとCMOSとの混載が容易になる。本実施形態における上記以外の作用効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。例えば、前述の各実施形態においては、LDMOSがNチャネル型である例を示したが、本発明はPチャネル型のLDMOSについても適用可能である。また、本発明に係る半導体装置は、DC−DCコンバータには限定されない。
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を例示する平面図である。 図1に示すA−A’線による断面図である。 図2に示す領域Bを拡大して示す断面図である。 図1に示すB−B’線による断面図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。 (a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する工程断面図である。 第1の実施形態に係る半導体装置の電位分布のシミュレーション結果を例示する図であり、図3と略同一の断面領域を示す。 横軸にドリフト長(Ldrift)をとり、縦軸に静耐圧及びオン抵抗(RonA)をとって、第1の実施形態に係る半導体装置においてドリフト長が素子特性に及ぼす影響を例示するグラフ図である。 比較例に係る半導体装置を示す断面図である。 比較例に係る半導体装置の電位分布のシミュレーション結果を例示する図である。 横軸にオーバーラップ量(Lpw)をとり、縦軸に静耐圧及びオン抵抗(RonA)をとって、第1の実施形態に係る半導体装置においてオーバーラップ量が素子特性に及ぼす影響を例示するグラフ図である。 横軸にドリフト長に対するオーバーラップ量の比(Lpw/Ldrift)をとり、縦軸に静耐圧及びオン抵抗(RonA)をとって、第1の実施形態に係る半導体装置においてドリフト長とオーバーラップ量との比が素子特性に及ぼす影響を例示するグラフ図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を例示する回路図である。 第2の実施形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
符号の説明
1 半導体装置、2 LDMOS、3 P型基板、4 ディープNウエル、5 Pウエル、6 チャネルインプラ領域、7 Nソース領域、8 Pコンタクト領域、9 Nドレイン領域、10 N型ドリフト領域、11 N型領域、12 P型領域、13 LDD領域、15 側壁、16 ゲート電極、17 ゲート絶縁膜、18 ソース電極、19 ドレイン電極、31〜35 レジストパターン、36 半導体装置、37 ディープPウエル、38 ディープNウエル、41 半導体装置、42 出力回路、43 コントロール回路、44 PWM制御回路、45 CMOSトランジスタ、46 PMOS、47 NMOS、48 インバータ、50 半導体基板、51 インダクタ、52 キャパシタ、53 出力端子、61 素子分離膜、62 Pウエル、63 ソース領域、64 ドレイン領域、65 チャネル領域、66 ゲート絶縁膜、67 ゲート電極、72 Nウエル、73 ソース領域、74 ドレイン領域、75 チャネル領域、76 ゲート絶縁膜、77 ゲート電極、Ldrift ドリフト長、Lpw オーバーラップ量

Claims (5)

  1. 第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の上層部分の一部に形成された第2導電型のディープウエルと、
    前記ディープウエルの上層部分の一部に形成された第1導電型のウエルと、
    前記ウエルの上層部分の一部に形成された第2導電型の第1拡散領域と、
    前記ディープウエルの上層部分における前記ウエルから離隔した位置に形成され、前記ディープウエルに接した第2導電型の第2拡散領域と、
    前記第2拡散領域に接し、一部が前記第1拡散領域に向かって前記ウエル内に進出した第2導電型のドリフト領域と、
    前記ウエルにおける前記第1拡散領域と前記ドリフト領域との間の領域の直上域に設けられたゲート電極と、
    前記ウエルと前記ゲート電極との間に配置されたゲート絶縁膜と、
    を備えたことを特徴とする半導体装置。
  2. 前記ディープウエルは、イオン・インプランテーションによって形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  3. 前記第2拡散領域から前記第1拡散領域に向かう方向において、前記ドリフト領域全体の長さをLdriftとし、前記ドリフト領域における前記ウエル内に進出した部分の長さをLpwとするとき、下記数式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
    0.5≦(Lpw/Ldrift)<1.0
  4. 前記ディープウエル、前記ウエル、前記第1拡散領域、前記第2拡散領域、前記ドリフト領域、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜によって構成され、前記第1拡散領域及び前記第2拡散領域のうちの一方がソース領域であり他方がドレイン領域である第2導電型トランジスタが、DC−DCコンバータのハイサイド・トランジスタであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
  5. 前記半導体基板の上層部分の他の一部に形成されたCMOSトランジスタをさらに備え、
    前記CMOSトランジスタの第1導電型ウエルは、前記ウエルと同時に形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
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