JP2009251378A - 防眩フィルム、防眩性偏光板および画像表示装置 - Google Patents

防眩フィルム、防眩性偏光板および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生せずに高いコントラストを発現する防眩フィルム、ならびに、これを適用した防眩性偏光板および画像表示装置を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム101と、該フィルム表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層102とを備え、該ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム101は、プロピレンユニットを主体とし、エチレンユニットを1〜10重量%含む共重合体で構成される内部ヘイズが5%以上30%以下のフィルムであり、該ハードコート層102は、少なくとも1種の透光性微粒子103が分散された透光性樹脂からなり、該ハードコート層の表面ヘイズが0.5%以上15%以下、内部ヘイズが2%以下である防眩フィルム、ならびに防眩性偏光板および画像表示装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた防眩性能を示しながら白ちゃけず、画像表示装置に適用したときにギラツキが発生することなく、高いコントラストを発現し、良好な視認性を与える防眩(アンチグレア)フィルム、ならびに当該防眩フィルムを用いた防眩性偏光板および画像表示装置に関するものである。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等の画像表示装置は、その表示面に外光が写り込むと視認性が著しく損なわれてしまう。従来、このような外光の映り込みを防止するために、画質を重視するテレビやパーソナルコンピュータ、外光の強い屋外で使用されるビデオカメラやデジタルカメラ、反射光を利用して表示を行なう携帯電話等においては、画像表示装置の表面に外光の映り込みを防止するフィルム層が設けられている。このフィルム層には、光学多層膜による干渉を利用した無反射処理技術や表面に微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させて映り込み像をぼかす防眩処理技術が一般的に用いられている。特に、後者の微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させる技術は、比較的安価に製造することができるため、大型モニタやパーソナルコンピュータ等の用途に広く用いられている。
このような防眩フィルムは従来、たとえば、フィラーを分散させた樹脂溶液を基材シート上に塗布し、塗布膜厚を調整してフィラーを塗布膜表面に露出させることでランダムな凹凸を基材シート上に形成する方法などにより製造されている。また、フィラーを含有させずに、透明樹脂層の表面に形成された微細な凹凸だけで防眩性を発現させる試みもある。たとえば、特許文献1(請求項1〜6、段落0043〜0046)には、エンボス鋳型と透明樹脂フィルムとの間に電離放射線硬化性樹脂を挟んだ状態で当該電離放射線硬化性樹脂を硬化させて、三次元10点平均粗さ、および、三次元粗さ基準面上における隣接する凸部同士の平均距離が、それぞれ所定値を満足する微細な凹凸を形成することにより、透明樹脂フィルム上に、当該表面凹凸を有する電離放射線硬化性樹脂層の硬化物層が積層された防眩フィルムが開示されている。しかし、このような従来の防眩フィルムを画像表示装置の表面に配置した場合、散乱光によって表示面全体が白っぽくなり、表示が濁った色になる、いわゆる白ちゃけが発生しやすいという問題があった。
また、画像表示装置が高精細化した場合には、画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状が干渉し、結果として輝度分布が発生して見にくくなる、いわゆるギラツキ現象が発生しやすいという問題があった。ギラツキを解消するために、バインダ樹脂と分散フィラーとの間に屈折率差を設けて光を散乱させる試みもあるが、そのような防眩フィルムを画像表示装置に適用した場合には、散乱光によって黒表示の輝度が上がり、結果としてコントラストが低下して視認性を著しく低下させるという問題があった。また、このようなフィラーにより表面凹凸形状が形成された防眩フィルムでは、入射光を散乱させるための表面凹凸形状と、主に光の内部散乱を担う領域とを同時に形成することになるため、分散粒子の粒子径、濃度、屈折率、分散性をバランスさせて設計した上に、製造上、精密な制御が必要であるが、事実上このような設計および制御は困難であった。このような複雑な設計および制御を回避する試みとして、光の内部散乱機能を有する樹脂層の形成と表面凹凸形状の形成とを分離することが特許文献2に開示されているが、粒子を樹脂溶液に分散させて塗布する方法では、乾燥工程中などに予期せぬ凝集などが起こりやすいという問題があった。
特開2002−189106号公報 特開2007−101912号公報
本発明は、かかる現状に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生せずに高いコントラストを発現する防眩フィルムを提供し、さらには、その防眩フィルムを適用した防眩性偏光板および画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、内部ヘイズを有するポリプロピレン系樹脂からなるフィルムと、この樹脂フィルム上に、極めて小さい内部ヘイズを有し、表面に微細凹凸形状を有するハードコート層を形成すれば、光の内部散乱の制御と表面凹凸形状の付与を完全に分離することが可能であり、結果として、ギラツキが十分に防止されるとともに、画像表示装置に適用したときにコントラストがほとんど低下しない防眩フィルムが得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、さらに種々の検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明による防眩フィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムと、該フィルム表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムである。ここで、上記ポリプロピレン系樹脂よりなるフィルムの内部ヘイズは5%以上30%以下である。また、上記ハードコート層は、少なくとも1種の透光性微粒子が分散された透光性樹脂からなり、該ハードコート層の表面ヘイズは0.5%以上15%以下であり、内部ヘイズは2%以下である。
本発明の防眩フィルムにおいて、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの内部ヘイズは10%以上20%以下であり、微細凹凸形状を有するハードコート層の表面ヘイズは0.5%以上5%以下であることが好ましい。
本発明の防眩フィルムを構成するハードコート層は、シリカ系微粒子が分散された透光性樹脂、または、樹脂微粒子が分散された透光性樹脂からなることが好ましい。シリカ系微粒子の重量平均粒子径は、1μm以上5μm以下であることが好ましく、また、透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上5重量部以下の範囲内で含有されることが好ましい。樹脂微粒子を用いる場合、透光性樹脂の屈折率と樹脂微粒子との屈折率の差は、0.01以下であることが好ましい。樹脂微粒子の重量平均粒子径は、2μm以上10μm以下であることが好ましく、また、透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上15重量部以下の範囲内で含有されることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの厚みは30μm以上250μm以下であり、微細凹凸形状を有するハードコート層の厚みは2μm以上20μm以下であることが好ましい。
また、本発明の防眩フィルムにおいては、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側から入射角20゜で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(20)が0.0001%以上0.0006%以下であり、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側から入射角30°で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(30)が0.00004%以上0.0002%以下であることが好ましい。また、ハードコート層側から入射角30゜で光を入射したときに、反射角30゜の反射率R(30)が0.05%以上2%以下であり、反射角40゜の反射率R(40)が0.0001%以上0.005%以下であり、反射角50゜の反射率R(50)が0.00001%以上0.0005%以下であることが好ましい。
本発明の防眩フィルムは、ハードコート層の凹凸表面上に、低反射膜や反射防止膜をさらに有していてもよい。
また本発明により、上記いずれかに記載の防眩フィルムと偏光フィルムとを貼り合わせてなる防眩性偏光板であって、該偏光フィルムは、防眩フィルムのポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側に配置される防眩性偏光板が提供される。
本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板は、液晶表示素子やプラズマディスプレイパネルなどの画像表示素子と組み合わせて、画像表示装置とすることができる。すなわち、本発明によれば、上記いずれかに記載の防眩フィルムまたは上記防眩性偏光板と、画像表示素子とを備え、防眩フィルムまたは防眩性偏光板が、そのハードコート層側を外側にして画像表示素子の視認側に配置される画像表示装置が提供される。
本発明の防眩フィルムは、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、また、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生させずに高いコントラストを発現し得る。かかる本発明の防眩フィルムを偏光フィルムと組み合わせた防眩性偏光板も、同様の効果を発現する。そして、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を配置した画像表示装置は、防眩性能が高く、視認性に優れたものとなる。
<防眩フィルム>
図1は、本発明の防眩フィルムの好ましい例を示す断面模式図である。図1に示される防眩フィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム101と、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム101の表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層102とを備える。ハードコート層102は、透光性樹脂中に透光性微粒子103が分散されてなる。
上記好ましい例によって示されるように、本発明の防眩フィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムと、該ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの表面上に積層された、微細な凹凸表面を有するハードコート層とを備えており、かつ内部散乱機能をポリプロピレン系樹脂からなるフィルムに持たせる一方、ハードコート層から内部散乱機能をなくすかまたはほぼなくし、主に表面反射特性のみを付与した構成としている。かかる構成により、内部散乱特性と反射特性とを独立に制御することが可能となり、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、また、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生させずに高いコントラストを発現する防眩フィルムを容易に得ることができる。以下、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムおよびハードコート層について詳細に説明する。
〔ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム〕
ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは、ポリプロピレン系樹脂を溶融押出しして得られるフィルムであり、その内部ヘイズは5%以上30%以下とされる。ここで、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの「内部ヘイズ」とは、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムを光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合し、該ガラス基板に貼合された樹脂フィルムについて、JIS K 7105に示される方法に準拠して測定されたヘイズと定義される。このように、ガラス基板に貼合することにより、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの反りが防止されるとともに、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム表面形状に起因するヘイズが考慮されなくなるため、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの内部ヘイズが測定されることとなる。なお、通常、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム表面は、ヘイズ値に大きく影響を与えるような凹凸形状を有していないことから、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム表面形状に起因するヘイズは無視できる程度である。
ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの内部ヘイズは、5%以上であり、好ましくは10%以上である。内部ヘイズを5%以上にすることにより、ギラツキを解消することができ、10%以上とすることにより、より効果的にギラツキを解消することができる。また、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの内部ヘイズは30%以下である。ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムのヘイズが30%を上回ると、画像表示装置に適用したときに、結果として画面が暗くなり、視認性が損なわれる傾向にある。十分な明るさを確保するためには、内部ヘイズを20%以下とすることが好ましい。なお、後で詳細を説明するように、本発明の防眩フィルムでは、散乱によるギラツキ防止能をポリプロピレン系樹脂からなるフィルムに持たせているため、微細凹凸形状を有するハードコート層の内部ヘイズは、本質的には不必要であり、内部散乱特性と反射特性とを独立に制御するためには、実質的にゼロとすることが好ましい。
[ポリプロピレン系樹脂]
本発明で使用するポリプロピレン系樹脂とは、主にプロピレンのユニットからなる重合体であって、一般に結晶性を示し、プロピレンの単独重合体のほか、プロピレンと、他のオレフィン類などの不飽和炭化水素類との共重合体であってもよい。加工性を上げる観点からは、プロピレンを主成分として任意の不飽和炭化水素とのランダム共重合体にするのが好ましい。中でも、エチレンとの共重合体が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法により製造することができる。公知の重合用触媒としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
これら触媒系の中でも、本発明に用いるポリプロピレン系樹脂の製造においては、マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを組み合わせたものが、最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物として好ましくは、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一方、マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられ、またメタロセン系触媒としては、例えば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよい。本発明においては、耐熱性の点から、シンジオタクチックあるいはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能な不飽和炭化水素類からなるコモノマーを少量、例えば10重量%以下の割合で共重合させたものであってもよい。
プロピレンに共重合されるコモノマーは、例えば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィンであることができる。この場合のα−オレフィンとして具体的には、次のようなものを挙げることができる。
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C4);
1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5);
1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6);
1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7);
1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン
(以上C8);
1−ノネン(C9);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);
1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);
1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);
1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
α−オレフィンの中で好ましいものは、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、
2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンが好ましく、とりわけ1−ブテン及び1−ヘキセンがより好ましい。
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含量や1−ブテンユニットの含量は、例えば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行い、求めることができる。
加工性の観点からは、プロピレンを主体として任意の不飽和炭化水素とのランダム共重合体にするのが好ましい。中でも、エチレンとの共重合体が好ましい。共重合体とする場合、プロピレン以外の不飽和炭化水素類は、その共重合割合を1〜10重量%程度にするのが有利であり、より好ましい共重合割合は3〜7重量%である。プロピレン以外の不飽和炭化水素類のユニットを1重量%以上とすることで、加工性を上げる効果が出てくる傾向にある。ただし、その割合が10重量%を超えると、樹脂の融点が下がり、耐熱性が悪くなる傾向にあるので、他の不飽和炭化水素類の共重合割合は10重量%程度までにとどめるのが好ましい。なお、2種類以上のコモノマーとプロピレンとの共重合体とする場合には、その共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来するユニットの合計含量が、前記範囲であることが好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂としては、上記したようなプロピレン由来のユニットが90重量%以上100重量%未満のランダム共重合体またはプロピレン単独重合体であれば、分子量やプロピレン由来の構成単位の構成割合、タクチシティーなどが異なる2種類以上の重合体をブレンドして用いてもよい。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレイト(MFR)が0.1〜200g/10分、とりわけ0.5〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRがこの範囲にあるポリプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく均一なフィルム状物を得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加物が配合されていてもよい。添加物としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤には、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などがあり、また、1分子中に例えば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系の如き紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドの如き高級脂肪酸アミド、ステアリン酸の如き高級脂肪酸及びその塩などが挙げられる。造核剤としては、例えば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンの如き高分子系造核剤などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
[ポリプロピレン系樹脂フィルムの製法]
防眩性フィルムを構成する1つの層として、本発明では上述のとおり、5〜30%の内部ヘイズを有するポリプロピレン系樹脂からなるフィルムを採用する。内部ヘイズは、(拡散光線透過率/全光線透過率)×100(%)で表される数値であり、JIS K 7105に従って測定することができる。このような内部ヘイズを発現させる方法は特に限定されないが、押出機のTダイから押出されるポリプロピレン系樹脂の溶融状フィルムを、金属製の冷却ロールと、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間で挟圧して、冷却固化する方法が有利に採用できる。このときの冷却速度、具体的には冷却ロールの温度をコントロールすることで、任意の内部ヘイズを有するポリプロピレン系樹脂フィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂は押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイから溶融状フィルムとして押出される。この溶融状フィルムの温度は、例えば、180〜300℃程度であり、好ましくは240〜280℃である。このときの溶融状フィルムの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、最終的なフィルム厚みが不均一になる可能性がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が進行しやすく、フィルム中に気泡や炭化物が発生したり、ゲルが発生したりする可能性が出てくる。
押出機は、単軸押出機であっても2軸押出機であってもよい。例えば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプ、さらにマドック型の混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることができる。ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36で、圧縮比が2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気又は真空にすることが好ましい。さらに、ポリプロピレン系樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの押出機先端部分の樹脂圧力を高めるとは、先端での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、またそのリップ部分は、溶融したポリプロピレン系樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっき又はコーティングされ、さらにリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系や、フッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる樹脂フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)又は(2)を満たすことが好ましく、さらには条件(3)又は(4)を満たすことがより好ましい。
(1)Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの厚み方向長さ>180mm
(2)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm
(3)Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm
(4)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状ポリプロピレン系樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、内部へイズがより均一なフィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂中にある異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
Tダイから押出された溶融状フィルムは、金属製冷却ロール(チルロール又はキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて冷却固化することで、所望の内部へイズを有するフィルムを得ることができる。タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものであってもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は通常、金属製冷却ロールとタッチロールの間に、ポリプロピレン系樹脂の溶融状フィルムを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂の溶融状フィルムとタッチロールの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
ポリプロピレン系樹脂の溶融状フィルムを、上記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールは、その表面温度を25℃以上120℃以下に調節しておくことが好ましく、またタッチロールの表面温度は25℃以上に調節しておくことが好ましい。これら各ロールの表面温度が25℃を下回ると、溶融状シートの冷却固化がすばやく行われるため、ポリプロピレン系樹脂中の結晶成分が十分に成長せず、得られるフィルムが透明になって、内部ヘイズが発現しにくくなる。冷却ロールとタッチロールの表面温度は、好ましくは30℃以上である。一方、金属製冷却ロールの表面温度が120℃を超えると、ポリプロピレン系樹脂の結晶融点近傍となるので、フィルムとしての取扱いが難しくなる傾向にある。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がポリプロピレン系樹脂フィルム表面に転写されるため、その表面に凹凸がある場合には、得られるポリプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度を低下させ、延いては内部へイズの均一性を損ねる可能性がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.3S以下であることが好ましく、さらには0.1S〜0.2Sであることがより好ましい。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、さらには70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のゴムロールを用いることにより、溶融状フィルムにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を作ることなくフィルムに成形することが容易となる。
溶融状フィルムを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50N/cm以上300N/cm以下とするのが好ましく、さらには100N/cm以上250N/cm以下とするのがより好ましい。線圧を前記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながらポリプロピレン系樹脂フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールの間で、ポリプロピレン系樹脂の溶融状フィルムとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。
この方法において、Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)を200mm以下とすることが好ましく、さらには160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状フィルムは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを上記の如く短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、及び使用するリップの先端形状により決定され、通常50mm以上である。
この方法でポリプロピレン系樹脂からなるフィルムを製造するときの加工速度は、溶融状フィルムを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状フィルムがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状フィルムは、ロールとの接触により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻取り機に巻き取られ、内部ヘイズを有するポリプロピレン系樹脂からなるフィルムとなる。この際、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムを使用するまでの間その表面を保護するために、その片面又は両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼り合わせた状態で巻き取ってもよい。ポリプロピレン系樹脂の溶融状フィルムを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは、その厚みが通常5μm以上200μm以下、さらには10μm以上150μm以下であることが好ましい。その厚みが大きすぎると、それを防眩フィルムとする偏光板も厚くなってしまうとともに、上記の方法でフィルムを製造する際、ロールによる冷却効率が十分でなく、得られるフィルムが均一な内部へイズを示さなくなる可能性がある。一方、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの厚みが小さすぎると、それを偏光フィルムに積層する際の取扱いが難しくなるとともに、偏光板の防眩フィルムとしての機能が十分に発揮されなくなる可能性がある。
ここで用いる内部ヘイズを有するポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは、面内位相差が実質的にないものであり、その面内位相差は、通常10nm以下、好ましくは5nm以下である。例えば、上で説明した如き、溶融押出後に金属製の冷却ロールと弾性体を含むタッチロールとで挟んで冷却固化する方法によって、このような面内位相差が実質的にないポリプロピレン系樹脂からなるフィルムを得ることができる。
〔ハードコート層〕
本発明の防眩フィルムに用いられる、表面に微細凹凸形状を有するハードコート層は、上記ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの表面上に積層されるものであり、少なくとも1種の透光性微粒子が分散された透光性樹脂(ハードコート樹脂)からなる。本発明において、ハードコート層の表面ヘイズは、0.5%以上15%以下とされ、内部ヘイズは2%以下とされる。ここで、ハードコート層の表面ヘイズおよび内部ヘイズは、次のようにして測定される。すなわち、まず、該ハードコート層をヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルム上に形成した後、トリアセチルセルロースフィルム側が接合面となるように、該積層フィルムとガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合し、JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、ハードコート層全体のヘイズに相当する。次に、ハードコート層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、表面凹凸に起因する表面ヘイズが表面凹凸上に貼合されたトリアセチルセルロースフィルムによってほぼ打ち消されていることから、ハードコート層の「内部ヘイズ」とみなすことができる。したがって、ハードコート層の「表面ヘイズ」は、下記式(I)より求められる。
表面ヘイズ=全体のヘイズ−内部ヘイズ (I)
上記したように、本発明においては、内部散乱特性と反射特性とを独立に制御するために、内部散乱特性が主にポリプロピレン系樹脂からなるフィルムに付与されることから、ハードコート層の内部ヘイズは2%以下である。ハードコート層の内部ヘイズを実質的に0%とした場合、ハードコート層の全体ヘイズは、実質、表面ヘイズのみからなる。ハードコート層の表面ヘイズは、白ちゃけを抑制する観点から、15%以下とされ、より効果的に白ちゃけを抑えるためには5%以下であることが好ましい。ただし、0.5%を下回る場合には十分な防眩性を示さないことから好ましくない。
本発明において、上記した光学特性を満たす表面凹凸が付与されたハードコート層は、少なくとも1種の透光性微粒子および透光性樹脂を用いて形成される。より具体的には、このようなハードコート層は、たとえば、フィラーとしての透光性微粒子を分散させた透光性樹脂溶液をポリプロピレン系樹脂からなるフィルム上に塗布し、塗布膜厚を調整して、透光性微粒子の部分が凸となるようにすることで形成できる。なお、本発明において、「透光性」とは、物質内部での散乱の有無を問わず、光がほぼ透過できることを意味する。
ハードコート層に分散される透光性微粒子としては、ハードコート層の内部ヘイズを2%以下とするために、シリカ系微粒子または樹脂微粒子を用いることが好ましい。シリカ系微粒子の好ましい一例としては、一次粒子の粒径が可視光の波長よりも小さい(100nm以下程度)無定形シリカがある程度凝集している多孔質シリカ二次粒子を挙げることができる。このような多孔質シリカ粒子としては、市販されている「サイリシア」、「サイロホービック」(いずれも富士シリシア化学(株)製)などを好適に用いることができる。
シリカ系微粒子の重量平均粒子径(上述のとおり、二次粒子となった状態のもの)は、1μm以上5μm以下であることが好ましく、2μm以上4μm以下であることがより好ましい。重量平均粒子径が1μm未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなる傾向があり、重量平均粒子径が5μmを超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
また、シリカ系微粒子は、透光性樹脂100重量部に対して1重量部以上5重量部以下の範囲内でハードコート層に含有されることが好ましい。より好ましくは、透光性樹脂100重量部に対して2重量部以上5重量部以下の範囲内で含有される。シリカ系微粒子の含有量が1重量部未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなったり、表面凹凸が疎となって質感が低下したりする傾向がある。また、シリカ系微粒子の含有量が5重量部を超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
ハードコート層を形成する透光性微粒子として樹脂微粒子を用いる場合には、ハードコート層の内部ヘイズを2%以下とするために、樹脂微粒子の屈折率とハードコート層の基材となる透光性樹脂(ハードコート樹脂)の屈折率の差が0.01以下となるような樹脂微粒子を選択することが好ましい。透光性樹脂は、1.50前後の屈折率を示す樹脂から選択されることが多いことから、上記屈折率差が0.01以下となるような樹脂微粒子としては、たとえば、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50〜1.59)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)などを挙げることができる。
樹脂微粒子の重量平均粒子径は、2μm以上10μm以下であることが好ましく、4μm以上8μm以下であることがより好ましい。重量平均粒子径が2μm未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなる傾向があり、重量平均粒子径が10μmを超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
また、樹脂微粒子は、透光性樹脂100重量部に対して1重量部以上15重量部以下の範囲内でハードコート層に含有されることが好ましい。より好ましくは、透光性樹脂100重量部に対して3重量部以上10重量部以下の範囲内で含有される。樹脂微粒子の含有量が1重量部未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなったり、表面凹凸が疎となって質感が低下したりする傾向がある。また、樹脂微粒子の含有量が15重量部を超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
透光性微粒子を分散させる透光性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができるが、生産性、硬化性などの観点から紫外線硬化性樹脂が好ましく使用される。紫外線硬化性樹脂としては、市販されているものを用いることができる。たとえば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレート系化合物の単独または2種以上と、「イルガキュアー907」、「イルガキュアー 184」(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、「ルシリン TPO」(BASF社製)等の光重合開始剤との混合物を、紫外線硬化性樹脂とすることができる。たとえば紫外線硬化性樹脂を用いた場合においては、紫外線硬化性樹脂に透光性微粒子を分散した後、該樹脂組成物をポリプロピレン系樹脂からなるフィルム上に塗布し、紫外線を照射することにより、透光性樹脂(ハードコート樹脂)中に透光性微粒子が分散された、ハードコート層を形成することができる。
ここで、多官能アクリレート系化合物とは、分子中に少なくとも2個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する化合物であり、具体的には、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート;ホスファゼン化合物のホスファゼン環にアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が導入されたホスファゼン系アクリレート化合物またはホスファゼン系メタクリレート化合物;分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートと少なくとも1個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基および水酸基を有するポリオール化合物との反応により得られるウレタンアクリレート化合物やウレタンメタクリレート化合物、分子中に少なくとも2個のカルボン酸ハロゲン化物と少なくとも1個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基および水酸基を有するポリオール化合物との反応により得られるポリエステルアクリレート化合物、ポリエステルメタクリレート化合物;ならびに、上記各化合物の2量体、3量体などのようなオリゴマーなどが挙げられる。これらの化合物はそれぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。
なお、上記の多官能(メタ)アクリレートの他に、ハードコート層用塗料の硬化時の樹脂固形分に対して、好ましくは10.0重量%以下の、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の中から選択される少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートを配合しても良い。
また、ハードコート層には、硬度を調整する目的で重合性オリゴマーを添加することができる。このようなオリゴマーとしては、末端(メタ)アクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリ(メタ)アクリレート、末端(メタ)アクリレートポリスチレン、末端(メタ)アクリレートポリエチレングリコール、末端(メタ)アクリレートアクリロニトリル−スチレン共重合体、末端(メタ)アクリレートスチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体などのマクロモノマーを挙げることができる。その含有量は組成物の硬化時の固形分に対して、好ましくは5.0〜50.0重量%である。
かかる紫外線硬化性化合物は、溶剤と混合された状態の溶液として用いてもよい。紫外線硬化性化合物またはその溶液は、ハードコート剤として市販されているものであってもよい。市販のハードコート剤として具体的には、「NKハードM101」(新中村化学(株)製、ウレタンアクリレート化合物)、「NKエステルA−TMM−3L」(新中村化学(株)製、テトラメチロールメタントリアクリレート)、「NKエステルA−9530」(新中村化学(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、「KAYARAD DPCAシリーズ」(日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート化合物の誘導体)、「アロニックスM−8560」(東亜合成(株)製、ポリエステルアクリレート化合物)、「ニューフロンティアTEICA」(第一工業製薬(株)製、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート)、「PPZ」(共栄社化学(株)製、ホスファゼン系メタクリレート化合物)などが例示される。
また、紫外線硬化性化合物を含有する組成物は溶剤で希釈されていることが、容易に塗布し得る点で好ましい。溶剤としては、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、セロソルブ類などから適宜選択して用いることができる。これらの有機溶剤は、必要に応じて数種類を混合して用いてもよい。塗工後には上記有機溶剤を蒸発させる必要があるため、沸点が70℃〜200℃の範囲であることが望ましい。溶剤の種類や使用量は、用いる紫外線硬化性化合物の種類や使用量、基材の材質、形状、塗布方法、目的とするハードコート層の厚みなどに応じて適宜選択される。
紫外線硬化性化合物を含有する組成物は重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤として光重合開始剤が用いられる。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラtert−ブチルパーオキシカルボニルベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルなどが挙げられる。また、光重合開始剤は色素増感剤と組合せて用いてもよい。色素増感剤としては、例えばキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリンなどが挙げられる。光重合開始剤と色素増感剤との組合せとしては、例えばBTTBとキサンテンとの組合せ、BTTBとチオキサンテンとの組合せ、BTTBとクマリンとの組合せ、BTTBとケトクマリンとの組合せなどが挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、紫外線硬化性化合物100重量部あたり0.1重量部以上である。0.1重量部未満であると光重合開始剤を使用しない場合と比較して硬化速度が大きくならない傾向にある。なお、光重合開始剤の使用量の上限は、紫外線硬化性化合物100重量部あたり高々10重量部である。
紫外線硬化性化合物を含有する組成物は、帯電防止剤を含有していてもよい。帯電防止剤を含有することにより、帯電防止性能や制電性能を有するハードコート層を得ることができる。帯電防止剤としては、例えば界面活性剤、導電性高分子からなる帯電防止剤、導電性粒子などが挙げられる。導電性粒子としては、例えばインジウム−スズ−複合酸化物(ITO)、アンチモンがドープされた酸化スズなどの粒子が挙げられる。これらの帯電防止剤は、それぞれ1種または2種以上を混合して使用される。
上記によって得られた紫外線硬化性樹脂組成物に透光性微粒子を分散することで、透光性微粒子が分散された透光性樹脂(ハードコート樹脂)を得ることができる。透光性微粒子を紫外線硬化性樹脂組成物に分散するタイミング、および分散方法には特に限定はない。
かかる透光性微粒子が分散された透光性樹脂をポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの上に塗布したのち、乾燥することにより、紫外線硬化性化合物を含有する層を形成することができる。塗布は、通常の方法、例えば、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ディッピングコート法、スピンコート法、ダイコート法、キャスト転写法、フローコート法、スプレーコート法などの方法により行なうことができる。
その後、紫外線を照射することにより、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの表面に形成されたハードコート層を構成する紫外線硬化性化合物を硬化させて、防眩フィルムを得る。照射する紫外線の強度、照射時間などは、用いる硬化性化合物の種類、硬化性化合物を含有する層の厚みなどに応じて適宜選択される。紫外線は、不活性ガス雰囲気中で照射してもよい。窒素雰囲気中で紫外線を照射するには、例えば不活性ガスでシールした容器の中で活性化エネルギー線照射を行えばよく、不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが使用できる。
ハードコート層の厚みは、表面ヘイズが上記範囲内となるように適宜調整し得るものであるが、2μm以上20μm以下であることが好ましい。ハードコート層の厚みが2μm未満であると、十分な硬度が得られず、傷付きやすくなる傾向にあり、また、20μmより厚くなると、割れやすくなったり、ハードコート層の硬化収縮により防眩フィルムがカールして生産性が低下したりする傾向がある。また、ハードコート層の厚みは、一般的には、分散される透光性微粒子の重量平均粒子径に対して85%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上である。ハードコート層の厚みが透光性微粒子の重量平均粒子径の85%を下回る場合には表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
以上のようなポリプロピレン系樹脂からなるフィルムとハードコート層との積層体である本発明の防眩フィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側から入射角20゜で光を入射したときにハードコート層側法線方向で観測される相対散乱光強度T(20)が0.0001%以上0.0006%以下の値を示し、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側から入射角30°で光を入射したときにハードコート層側法線方向で観測される相対散乱光強度T(30)が0.00004%以上0.0002%以下の値を示すことが好ましい。ここで、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側から入射角20゜で光を入射したとき、および入射角30°で光を入射したときの、ハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(20)およびT(30)について説明する。
図2は、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側(ハードコート層の凹凸面とは反対側)から光を入射し、ハードコート層側(凹凸面側)法線方向における散乱光強度を測定するときの、光の入射方向と透過散乱光強度測定方向とを模式的に示した斜視図である。図2を参照して、防眩フィルム201のポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側で法線202からある角度φ(入射角とする)で入射した光203に対し、ハードコート層側の法線202方向に透過する透過散乱光204の強度を測定し、その透過散乱光強度を光源の光強度で除した値を相対散乱光強度T(φ)とする。すなわち、防眩フィルム201のポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側で法線から20°の角度で光203を入射したときに、ハードコート層側法線202方向で観測される透過散乱光204の強度を光源の光強度で除した値がT(20)であり、防眩フィルム201のポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側で法線202から30°の角度で光203を入射したときに、ハードコート層側法線202方向で観測される透過散乱光204の強度を光源の光強度で除した値がT(30)である。なお、光203は、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側から入射される光203の方向と防眩フィルムの法線202とが同一平面(図2における平面209)上となるように入射される。
20°入射のときの相対散乱光強度T(20)が0.0006%を上回る場合には、この防眩フィルムを画像表示装置に適用したときに、散乱光によって黒表示時の輝度が上昇し、コントラストを低下させる。また、20°入射のときの相対散乱光強度T(20)が0.0001%を下回る場合には、散乱効果が低く、高精細な画像表示装置に適用したときにギラツキが発生する。同様に、30°入射のときの相対散乱光強度T(30)が0.0002%を上回る場合にも、この防眩フィルムを画像表示装置に適用したときに、散乱光によって黒表示時の輝度が上昇し、コントラストを低下させる。また、30°入射のときの相対散乱光強度T(30)が0.00004%を下回る場合にも、散乱効果が低く、高精細な画像表示装置に適用したときにギラツキが発生する。特に、防眩フィルムを自発光型ではない液晶ディスプレイに適用したときには、黒表示時の光漏れに起因する散乱による輝度上昇効果が大きいため、相対散乱光強度T(20)およびT(30)が上記好ましい範囲を上回ると、コントラストを顕著に低下させ、視認性を損なう結果となる。
また、本発明の防眩フィルムは、ハードコート層側から入射角30゜で光を入射したときに、反射角30゜の反射率R(30)が0.05%以上2%以下であり、反射角40゜の反射率R(40)が0.0001%以上0.005%以下であり、そして反射角50゜の反射率R(50)が0.00001%以上0.0005%以下であることが好ましい。反射率R(30)、反射率R(40)および反射率R(50)を上記範囲内とすることにより、優れた防眩性能を示しつつ、白ちゃけがより効果的に抑制された防眩フィルムが提供される。
ここで、ハードコート層側から入射角30°で光を入射したときの角度毎の反射率について説明する。図3は、反射率を求めるときの防眩フィルムに対するハードコート層側からの光の入射方向と反射方向とを模式的に示した斜視図である。図3を参照して、防眩フィルム301のハードコート層側で法線302から30°の角度で入射した光305に対し、反射角30°の方向、すなわち、正反射方向306への反射光の反射率(つまり正反射率)をR(30)とする。また、任意の反射角θで反射した光307のうち、θ=40°の反射光の反射率、θ=50°の反射光の反射率をそれぞれ、R(40)、R(50)とする。なお、反射率を測定するときの反射光の方向(正反射方向306および反射角θで反射した光307の反射方向)は、入射した光305の方向と法線302とを含む平面309内とする。
正反射率R(30)が2%を超えると、十分な防眩機能が得られず、視認性が低下する傾向にある。一方、正反射率R(30)があまり小さすぎても、白ちゃけが発生する傾向を示すことから、0.05%以上であるのが好ましい。正反射率R(30)は、1.5%以下、とりわけ0.7%以下であるのがより好ましい。また、R(40)が0.005%を上回るか、またはR(50)が0.0005%を上回ると、防眩フィルムに白ちゃけが発生してしまい、視認性が低下する傾向にある。すなわち、たとえば、表示装置の最前面に防眩フィルムを設置した状態で表示面に黒を表示した場合でも、周囲からの光を拾って表示面が全体的に白くなる白ちゃけが発生してしまう傾向にある。そのため、R(40)およびR(50)はあまり大きくならないようにするのが好ましい。一方、これらの角度における反射率があまり小さすぎても、十分な防眩性を示さなくなることから、R(40)は一般に0.0001%以上であるのが好ましく、R(50)は一般に0.00001%以上であるのが好ましい。R(50)は、より好ましくは0.0001%以下である。
本発明の防眩フィルムは、その最表面、すなわちハードコート層の凹凸面側に低反射膜を有していてもよい。低反射膜がない状態でも、十分な防眩機能を発揮するが、最表面に低反射膜を設けることにより、防眩性をさらに向上させることができる。低反射膜は、ハードコート層の上に、それよりも屈折率の低い低屈折率材料の層を設けることにより形成できる。そのような低屈折率材料として、具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、氷晶石(3NaF・AlF3またはNa3AlF6)等の無機材料微粒子を、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた無機系低反射材料;フッ素系またはシリコーン系の有機化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の有機系低反射材料を挙げることができる。
<防眩性偏光板>
本発明の防眩フィルムは、防眩効果に優れ、白ちゃけも有効に防止され、ギラツキの発生およびコントラストの低下を効果的に抑制できるため、画像表示装置に装着したときに視認性に優れたものとなる。画像表示装置が液晶ディスプレイである場合には、この防眩フィルムを偏光板に適用し、防眩性偏光板とすることができる。
[偏光フィルム]
偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させて、所定の偏光特性が得られるようにしたものである。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。そこで偏光フィルムとして具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性有機染料を吸着配向させた染料系偏光フィルムなどを挙げることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれに共重合可能な他の単量体の共重合体などが用いられる。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。
偏光板は通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液を洗い落とす洗浄工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(偏光フィルム)に保護フィルムを貼合する工程を経て製造される。一軸延伸は、染色の前に行うこともあるし、染色中に行うこともあるし、染色後のホウ酸処理中に行うこともある。また、これら複数の段階で一軸延伸されることもある。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常4〜8倍程度である。ポリビニルアルコール系偏光フィルムの厚みは、例えば、約5〜50μm程度である。
[防眩性偏光板とその製造]
防眩性偏光板において、本発明の防眩フィルムは、ポリビニルアルコール系偏光フィルムの液晶セル面とは反対側の面に積層し、もう一方の面には保護フィルムもしくは視野角補償フィルムといった位相差フィルムを積層する。
本発明で使用できる保護フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。偏光フィルムとの接着の容易さや表面処理層の形成しやすさなどを考慮すると、セルロースアセテート系樹脂フィルム、とりわけトリアセチルセルロースフィルムが好適に用いられる。保護フィルムとしてセルロースアセテート系樹脂フィルムを用いる場合、偏光フィルムとの接着に先立ってその表面をアルカリ水溶液でケン化しておくのが望ましい。保護フィルムの厚みは、通常30〜200μm程度であり、好ましくは30〜120μm、さらに好ましくは30〜85μmである。
本発明で使用できる視野角補償フィルムとしては、例えば、その屈折率楕円体がnx>ny>nzやnx>nz>nyといった特性を有する二軸性位相差板が挙げられる。これらの二軸性位相差板はいずれの樹脂で作製されていても構わないが、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。また、これらの二軸性位相差板は偏光フィルムとの接着に先立ってその表面をコロナ処理など表面処理しておくことが好ましい。二軸性位相差板の厚みは、通常30〜200μm程度であり、好ましくは30〜120μm、さらに好ましくは30〜85μmである。
本発明の防眩フィルムと偏光フィルムとの接着には、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを成分とする接着剤を用いることができる。接着剤層を薄くする観点から好ましい接着剤として、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したもの又は水に分散させたものを挙げることができる。また、別の好ましい接着剤として、無溶剤型の接着剤、具体的には、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマー又はオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成するものを挙げることができる。
まず、水系の接着剤について説明する。水系の接着剤となりうる接着剤成分としては、例えば、水溶性の架橋性エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂などを挙げることができる。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。かかるポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている“スミレーズレジン 650”や“スミレーズレジン 675”などがある。
接着剤成分として水溶性のエポキシ樹脂を用いる場合は、さらに塗工性と接着性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を混合するのが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。中でも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸又はその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここでいう「カルボキシル基」とは、−COOH及びその塩を含む概念である。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、それぞれ(株)クラレから販売されている“クラレポバール KL−506”、“クラレポバール KL−318”及び“クラレポバール KL−118”、それぞれ日本合成化学工業(株)から販売されている“ゴーセナール T−330”及び“ゴーセナール T−350”、電気化学工業(株)から販売されている“DR−0415”、それぞれ日本酢ビ・ポバール(株)から販売されている“AF−17”、“AT−17”及び“AP−17”などが挙げられる。
水溶性のエポキシ樹脂を含む接着剤とする場合、そのエポキシ樹脂及び必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を水に溶解して、接着剤溶液を構成する。この場合、水溶性のエポキシ樹脂は、水100重量部あたり0.2〜2重量部程度の範囲の濃度とするのが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100重量部あたり1〜10重量部程度、さらには1〜5重量部程度とするのが好ましい。
一方、ウレタン系樹脂を含む水系の接着剤を用いる場合、適当なウレタン樹脂の例として、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、骨格を構成するウレタン樹脂中に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品として、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている“ハイドラン AP−20”、“ハイドラン APX−101H”などがあり、いずれもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、通常はさらにイソシアネート系などの架橋剤を配合するのが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのようなポリイソシアネート単量体のほか、それらの複数分子がトリメチロールプロパンのような多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体のようなポリイソシアネート変性体などがある。好適に使用しうる市販のイソシアネート系架橋剤として、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている“ハイドランアシスター C−1”などが挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いる場合は、粘度と接着性の観点から、そのウレタン樹脂の濃度が10〜70重量%程度、さらには20重量%以上、また50重量%以下となるように、水中に分散させたものが好ましい。イソシアネート系架橋剤を配合する場合は、ウレタン樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部程度となるように、その配合量を適宜選択すればよい。
以上のような水系の接着剤を、本発明のハードコート層が形成されたポリプロピレン系樹脂からなる防眩フィルム及び偏光フィルムの少なくとも片方の接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、防眩性偏光板とすることができる。偏光フィルムと防眩フィルムを接着する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール系偏光フィルム又は防眩フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥は、例えば、60〜100℃程度の温度で行われる。乾燥後は、室温よりやや高い温度、例えば30〜50℃程度の温度で1〜10日間程度養生してやるのが、接着力を一層高めるうえで好ましい。
次に、無溶剤型の接着剤について説明する。無溶剤型の接着剤とは、有意量の溶剤を含まず、一般には、加熱や活性エネルギー線の照射により重合する硬化性の化合物と、重合開始剤とを含んで構成される。反応性の観点からは、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特にエポキシ系の接着剤が好ましく用いられる。
そこで、本発明の防眩性偏光板において、一つの好ましい形態では、偏光フィルムと防眩フィルムとが、無溶剤型のエポキシ系接着剤を介して積層されている。この接着剤は、加熱又は紫外線の照射によるカチオン重合で硬化するものであることがより好ましい。特に、耐候性や屈折率などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物が、硬化性化合物として好適に用いられる。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤は、例えば、特開2004−245925号公報に記載されている。このような芳香環を含まないエポキシ化合物として、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。接着剤に用いる硬化性のエポキシ化合物は、通常、分子中にエポキシ基を2個以上有している。
芳香族エポキシ化合物の水素化物について説明すると、これは、芳香族エポキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られる。芳香族エポキシ化合物しては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ化合物などが挙げられる。これら芳香族エポキシ化合物の水素化物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
次に脂環式エポキシ化合物について説明すると、これは、次式に示す如き、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。
Figure 2009251378
式中、mは2〜5の整数を表す。
この式における(CH2)m中の水素原子を1個又は複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物となりうる。また、脂環式環を形成する水素がメチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。中でも、エポキシシクロペンタン環(上式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上式においてm=4のもの)を有する化合物を用いることが好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例として、次のようなものを挙げることができる。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2',6'−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物)、
4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、
4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、
ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
次に脂肪族エポキシ化合物について説明すると、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルが、これに該当する。その例としては、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやプロピレングリコール、グリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
ここに例示したエポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また複数のエポキシ化合物を混合して使用してもよい。
無溶剤型の接着剤に使用するエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常30〜3,000g/当量、好ましくは50〜1,500g/当量の範囲である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、3,000g/当量を超えると、他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
エポキシ化合物をカチオン重合で硬化させるためには、カチオン重合開始剤が配合される。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射、又は加熱により、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始する。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。
以下、光カチオン重合開始剤について説明する。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性あるいは膨張による歪を考慮する必要が減少し、防眩フィルムを良好に接着することができる。また、光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄−アレン錯体などを挙げることができる。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
これらの光カチオン重合開始剤は市販品として容易に入手でき、例えば、それぞれ商品名で、“カヤラッド PCI−220”、“カヤラッド PCI−620”(以上、日本化薬(株)製)、“UVI−6990”(ユニオンカーバイド社製)、“アデカオプトマー SP−150”、“アデカオプトマー SP−170”(以上、(株)ADEKA製)、“CI−5102”、“CIT−1370”、“CIT−1682”、“CIP−1866S”、“CIP−2048S”、“CIP−2064S”(以上、日本曹達(株)製)、“DPI−101”、“DPI−102”、“DPI−103”、“DPI−105”、“MPI−103”、“MPI−105”、“BBI−101”、“BBI−102”、“BBI−103”、“BBI−105”、“TPS−101”、“TPS−102”、“TPS−103”、“TPS−105”、“MDS−103”、“MDS−105”、“DTS−102”、“DTS−103”(以上、みどり化学(株)製)、“PI−2074”(ローディア社製)などが挙げられる。特に、日本曹達(株)製の“CI−5102”は、好ましい開始剤の一つである。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。
さらに、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤を配合する場合、その量は、光カチオン重合性エポキシ樹脂組成物を100重量部として、0.1〜20重量部程度である。
次に、熱カチオン重合開始剤について説明する。加熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する化合物として、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを挙げることができる。これらの熱カチオン重合開始剤も、市販品として容易に入手することができ、例えば、いずれも商品名で、“アデカオプトン CP77”及び“アデカオプトン CP66”(以上、(株)ADEKA製)、“CI−2639”及び“CI−2624”(以上、日本曹達(株)製)、“サンエイド SI−60L”、“サンエイド SI−80L”及び“サンエイド SI−100L”(以上、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。
以上説明した光カチオン重合と熱カチオン重合を併用することも、有用な技術である。
エポキシ系接着剤は、さらにオキセタン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
無溶剤型の接着剤を用いる場合も、その接着剤を、本発明の防眩フィルム及び偏光フィルムの少なくとも片方の接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、防眩性偏光板とすることができる。偏光フィルム又は防眩フィルムに無溶剤型接着剤を塗工する方法に特別な限定はなく、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。また、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、少量の溶剤を用いて粘度調整を行ってもよい。このために用いる溶剤は、偏光フィルムの光学性能を低下させることなく、エポキシ系接着剤を良好に溶解するものであればよく、例えば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類などの有機溶剤が使用できる。エポキシ系接着剤を用いる場合、接着剤層の厚さは、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であり、また通常は1μm以上である。
以上のように、未硬化の接着剤層を介して偏光フィルムの液晶セル面とは反対側の面に防眩フィルムを、もう一方の面に保護フィルムもしくは視野角補償フィルムを貼合した後、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱することにより、エポキシ系接着剤層を硬化させ、防眩フィルムおよび保護フィルムまたは視野角補償フィルムを偏光フィルム上に固着させる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどを挙げることができる。活性エネルギー線ないし紫外線の照射強度や照射量は、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、防眩フィルム、保護フィルム、視野角補償フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。また加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、防眩フィルム、保護フィルム、視野角補償フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。
偏光フィルムの片面に本発明の防眩フィルムを積層し、他面には保護フィルムや視野角補償フィルムを積層する場合、これらの接着には、上と同様の接着剤を用いてもよいし、それとは異なる接着剤を用いてもよいが、偏光フィルムと防眩フィルムとの間、及び偏光フィルムと保護フィルムまたは視野角補償フィルムとの間で、同じ接着剤を用いるのが、工程及び材料を少なくできることから好ましい。
防眩性偏光板の製造にあたり、本発明の防眩フィルムは、その偏光フィルムに貼り合わされる側の表面に、コロナ放電処理を施しておくのが好ましい。コロナ放電処理を施すことにより、防眩フィルムと偏光フィルムとの接着力を効果的に高めることができる。コロナ放電処理とは、電極間に高電圧をかけて放電し、電極間に配置された樹脂フィルムを活性化する処理である。コロナ放電処理の効果は、電極の種類、電極間隔、電圧、湿度、使用する樹脂フィルムの種類などによっても異なるが、例えば、電極間隔を1〜5mm、移動速度を3〜20m/分程度に設定するのが好ましい。コロナ放電処理後は、その処理面に、上記したような接着剤を介して偏光フィルムが貼り合わされる。
かくして、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面に本発明の防眩フィルムが積層され、他面には保護フィルムもしくは視野角補償フィルムが積層された防眩性偏光板が得られる。
こうして得られる防眩性偏光板は、一方の保護フィルムもしくは視野角補償フィルムの外側に粘着剤層を形成して、粘着剤付き偏光板とすることができる。この場合、粘着剤層の表面は剥離フィルムで覆うのが通例である。
<積層光学部材>
防眩フィルムと保護フィルムとを備える防眩性偏光板の使用に際しては、保護フィルムの面に、偏光機能以外の光学機能を示す光学層を設けた積層光学部材とすることもできる。積層光学部材の形成を目的に偏光板に積層する光学層には、例えば、反射層、半透過型反射層、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、輝度向上フィルムなど、液晶表示装置の形成に用いられる各種のものがある。これらのうち、反射層、半透過型反射層及び光拡散層は、反射型ないし半透過型や拡散型、それらの両用型の偏光板からなる積層光学部材を形成する場合に用いられるものである。
反射型の偏光板は、視認側からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置に用いられ、バックライト等の光源を省略できるため、液晶表示装置を薄型化しやすい。また半透過型の偏光板は、明所では反射型として、暗所ではバックライト等の光源を介して表示するタイプの液晶表示装置に用いられる。反射型偏光板としての積層光学部材は、例えば、偏光フィルム上の保護フィルムにアルミニウム等の金属からなる箔や蒸着膜を付設して、反射層を形成することができる。半透過型の偏光板としての積層光学部材は、前記の反射層をハーフミラーとしたり、パール顔料等を含有して光透過性を示す反射板を偏光板に接着したりすることで形成できる。一方、拡散型偏光板としての積層光学部材は、例えば、偏光フィルム上の保護フィルムにマット処理を施す方法、微粒子含有の樹脂を塗布する方法、微粒子含有のフィルムを接着する方法など、種々の方法を用いて、表面に微細凹凸構造を形成する。
さらに、反射拡散両用の偏光板としての積層光学部材の形成は、例えば、拡散型偏光板の微細凹凸構造面にその凹凸構造が反映した反射層を設けるなどの方法により、行うことができる。微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラツキを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また、微粒子を含有した樹脂層やフィルムは、入射光及びその反射光が微粒子含有層を透過する際に拡散されて、明暗ムラをより抑制しうるなどの利点も有している。表面微細凹凸構造を反映させた反射層は、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の蒸着やメッキ等の方法で、金属を微細凹凸構造の表面に直接付設することで形成できる。表面微細凹凸構造を形成するために配合する微粒子としては、例えば、平均粒径が0.1〜30μmのシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などが利用できる。
他方、上記した光学層としての位相差フィルムは、液晶セルによる位相差の補償等を目的として使用される。その例としては、各種プラスチックの延伸フィルム等からなる複屈折性フィルム、ディスコティック液晶やネマチック液晶が配向固定されたフィルム、フィルム基材上に上記の液晶層が形成されたものなどが挙げられる。この場合、配向液晶層を支持するフィルム基材として、トリアセチルセルロースなどセルロース系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
複屈折性フィルムを形成するプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。延伸フィルムは、一軸や二軸等の適宜な方式で処理したものであってよい。また、熱収縮性フィルムとの接着下に収縮力及び延伸力の少なくとも片方をかけることでフィルムの厚さ方向の屈折率を制御した複屈折性フィルムでもよい。なお、位相差フィルムは、広帯域化など光学特性の制御を目的として、2枚以上を組み合わせて使用してもよい。
集光シートは、光路制御等を目的に用いられるもので、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、あるいはドット付設シートなどとして、形成することができる。
輝度向上フィルムは、液晶表示装置等における輝度の向上を目的に用いられるもので、その例としては、屈折率の異方性が互いに異なる薄膜フィルムを複数枚積層して反射率に異方性が生じるように設計された反射型偏光分離シート、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持した円偏光分離シートなどが挙げられる。
積層光学部材は、防眩性偏光板と、前述した反射層ないし半透過型反射層、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、輝度向上フィルムなどから使用目的に応じて選択される1層又は2層以上の光学層とを組み合わせ、2層又は3層以上の積層体とすることができる。その場合、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、輝度向上フィルムなどの光学層は、それぞれ2層以上を配置してもよい。なお、各光学層の配置に特に限定はない。
積層光学部材を形成する各種光学層は、接着剤を用いて一体化されるが、そのために用いる接着剤は、接着層が良好に形成されるものであれば特に限定はない。接着作業の簡便性や光学歪の発生防止などの観点から、粘着剤を使用することが好ましい。
このような積層光学部材も、所望の面で粘着剤を介して液晶セルに貼合される。粘着剤としては、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、ブチルゴム系、シリコーン系などのベースポリマーを用いたものが、使用できる。特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルをベースとするポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合体をベースとするポリマーが好適に用いられる。粘着剤は通常、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されており、かかる極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基などを有するモノマーを挙げることができる。架橋剤については、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成する2価又は多価金属塩、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリイソシアネート化合物などが挙げられ、これらの化合物が、架橋剤として1種又は2種以上、ベースポリマーに混合して用いられる。一般的な粘着剤層の厚みは5〜50μm程度である。粘着剤層を偏光板に付与する場合、状況によってはコロナ処理などの表面処理を防眩性偏光板の保護フィルム表面に施してもよい。
<液晶表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を画像表示素子と組み合わせたものである。ここで、画像表示素子は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行なう液晶パネルが代表的であるが、その他、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなど、公知の各種ディスプレイに対しても、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を適用することができる。本発明の画像表示装置においては、防眩フィルムは、画像表示素子よりも視認側に配置される。この際、防眩フィルムの凹凸面、すなわちハードコート層側が外側(視認側)となるように配置される。防眩フィルムは、画像表示素子の表面に直接貼合してもよいし、液晶パネルを画像表示素子とする場合は、たとえば先述のように、偏光フィルムを介して液晶パネルの表面に貼合することもできる。このように、本発明の防眩フィルムを備えた画像表示装置は、防眩フィルムの有する表面の凹凸により入射光を散乱して映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与える。
また、本発明の防眩フィルムを高精細の画像表示装置に適用した場合でも、従来の防眩フィルムに見られたようなギラツキが発生することもなく、十分な映り込み防止、白ちゃけの防止、ギラツキの抑制、コントラストの低下抑制という性能を兼備したものとなる。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り重量基準である。また、以下の例における防眩フィルムの評価方法は、次のとおりである。
(a)内部ヘイズを有するポリプロピレン系樹脂フィルムの作製
住友化学(株)から販売されているポリプロピレン系樹脂“住友ノーブレン W151”(商品名)は、エチレン含量が約4.6%のプロピレン−エチレンランダム共重合体で、融点が136℃であり、温度230℃、荷重2.16kg(21.18N)で測定されるメルトフローレイトが8g/10分であった。この樹脂のペレットを、シリンダー温度が250℃に設定された65mmφ押出機に投入して溶融混練し、65kg/hの押出量で、前記押出機に取り付けられた1200mm幅のTダイより押出した。押出された溶融樹脂は、外径400mmφの金属製冷却ロールと、弾性体ロールの周囲を金属スリーブからなる外筒により被覆したタッチロールとで挟圧して冷却した。この際、冷却ロールとタッチロールは、それぞれ表面温度を30℃に調節した。こうして、厚さ80μmのポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。このフィルムについて、スガ試験機(株)製のへイズメータ“HGM−2DP”を用いて内部へイズを測定したところ、8.0%であった。
(b)微細凹凸を有するハードコート層の形成
以下の各成分が酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されており、硬化後に1.53の屈折率を示す紫外線硬化性樹脂組成物を用意する。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 60部
多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物) 40部
次に、この紫外線硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、多孔質シリカ粒子「サイリシア310P」(商品名、重量平均粒子径2.7μm)を4重量部、光重合開始剤である「ルシリン TPO」(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を5重量部添加し、固形分率が60%になるように酢酸エチルで希釈して塗布液を調製する。
この塗布液を、上記内部ヘイズを有するポリプロピレン系樹脂フィルム上に、乾燥後の塗布厚みが4μmとなるように塗布し、80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させた。乾燥後のフィルムの紫外線硬化性樹脂組成物層側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光を紫外線換算光量で300mJ/cm2となるように照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、表面に凹凸を有するハードコート層(厚み3.7μm)とポリプロピレン系樹脂フィルムとの積層体からなる防眩フィルムを得る。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の防眩フィルムの好ましい例を示す断面模式図である。 防眩フィルムのポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側から光を入射してハードコート層側法線方向で観測される散乱光強度を測定するときの、光の入射方向と透過散乱光強度測定方向とを模式的に示す斜視図である。 反射率を求めるときのハードコート層側からの光の入射方向と反射方向とを模式的に示す斜視図である。
符号の説明
101 ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム、102 ハードコート層、103 透光性微粒子、201,301,801 防眩フィルム、202,302 防眩フィルムの法線、203 法線からφの角度で入射される光、204 法線方向に透過された透過散乱光、209,309 入射光方向と防眩フィルムの法線とを含む平面、305 30°の角度で入射される光、306 正反射方向、307 反射角θで反射した光。

Claims (14)

  1. ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムと、前記フィルム表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、
    前記ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは、プロピレンユニットを主体とし、エチレンユニットを1〜10重量%含む共重合体で構成される内部ヘイズが5%以上30%以下のフィルムであり、
    前記ハードコート層は、少なくとも1種の透光性微粒子が分散された透光性樹脂からなり、
    前記ハードコート層の表面ヘイズが0.5%以上15%以下であり、内部ヘイズが2%以下である防眩フィルム。
  2. ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムの内部ヘイズが10%以上20%以下であり、
    前記ハードコート層の表面ヘイズが0.5%以上5%以下である請求項1に記載の防眩フィルム。
  3. 前記ハードコート層は、シリカ系微粒子が分散された透光性樹脂からなる請求項1または2に記載の防眩フィルム。
  4. 前記シリカ系微粒子は、その重量平均粒子径が1μm以上5μm以下であり、前記透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上5重量部以下の範囲内で含有される請求項3に記載の防眩フィルム。
  5. 前記ハードコート層は、樹脂微粒子が分散された透光性樹脂からなる請求項1または2に記載の防眩フィルム。
  6. 前記透光性樹脂の屈折率と前記樹脂微粒子との屈折率の差は、0.01以下である請求項5に記載の防眩フィルム。
  7. 前記樹脂微粒子は、その重量平均粒子径が2μm以上10μm以下であり、前記透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上15重量部以下の範囲内で含有される請求項5または6に記載の防眩フィルム。
  8. 前記ハードコート層の凹凸表面上に、低反射膜をさらに有する請求項1〜7のいずれかに記載の防眩フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の防眩フィルムと偏光フィルムとを貼り合わせてなる防眩性偏光板であって、
    前記偏光フィルムは、前記防眩フィルムの前記ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム側に配置される防眩性偏光板。
  10. 防眩フィルムと偏光フィルムとが水系の接着剤を介して積層されている請求項9に記載の防眩性偏光板。
  11. 水系の接着剤は、架橋性のエポキシ樹脂を含有する請求項10に記載の防眩性偏光板。
  12. 防眩フィルムと偏光フィルムとが無溶剤型のエポキシ系接着剤を介して積層されている請求項9に記載の防眩性偏光板。
  13. 無溶剤型のエポキシ系接着剤は、加熱又は活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものである請求項12に記載の防眩性偏光板。
  14. 請求項1〜8のいずれかに記載の防眩フィルムまたは請求項9〜13のいずれかに記載の防眩性偏光板と、画像表示素子とを備え、
    前記防眩フィルムまたは防眩性偏光板は、そのハードコート層側を外側にして画像表示素子の視認側に配置される画像表示装置。
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