JP2009251376A - 金属被覆光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属被覆の比抵抗が小さく緻密な膜質となり、さらに伝送損失が小さく、機械強度が強い金属被覆光ファイバを提供する。
【解決手段】光ファイバ4と、その光ファイバ4の表面に、金属酸化物微粒子を還元剤に分散してなるスラリーを加熱還元して形成される金属被覆層5とを備えるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ表面に金属被覆を施した金属被覆光ファイバ及びその製造方法に係り、特に金属被覆の原料として金属酸化物微粒子を用いた金属被覆光ファイバ及びその製造方法に関するものである。
金属被覆光ファイバは、耐熱光ファイバや気密パッケージ用光ファイバのほか、光と電気両方を流せる特徴を活かしたセンサ用光ファイバにも用いられる。このような金属被覆光ファイバにおいては、通常の光ファイバ特性(低い伝送損失、高い機械強度)と共に、緻密かつ比抵抗の小さな金属膜が求められる。
従来の金属被覆光ファイバの製造方法としては、溶融金属への浸漬を用いた方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このように、金属被覆光ファイバの製造方法としては、光ファイバ裸線をガラス母材から溶融紡糸した後、ただちに溶融金属被覆装置に導入し、金属を所定の厚みに被覆したのち常温下で冷却し巻き取るのが一般的である。本金属被覆は耐熱性に優れ、また透水を防止できることなどから、光ファイバとして耐熱性、耐湿性、長期信頼性に優れ、高温高湿などの劣悪な環境下でも使用可能である。
特開平10−114550号公報
しかしながら、従来方法では、光ファイバ裸線をガラス母材から溶融紡糸した後、ただちに高温の溶融金属被覆装置に導入しており、高温の光ファイバと溶融金属を冷却して金属被覆を固化させる際に、金属とガラスの熱膨張係数差(一般的に金属の方が10倍以上大きい)によって、石英ガラスからなる光ファイバが長手方向に関して収縮力を受け、光ファイバが曲げられて伝送損失が増加する。特に被覆する金属のヤング率、融点、膜厚が増すほど損失増加量が大きくなる傾向にある。
アルミニウムによる金属被覆光ファイバの例が多いのは、比抵抗が2.8×10-6Ω・cmと低く、さらに比較的低融点かつ低弾性率であるために他の金属に比べて伝送損失が小さくなるからである。しかし、それでも波長1550nmにおける伝送損失が0.5dB/km未満となるような低損失ファイバを実現することは難しい。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、金属被覆の比抵抗が小さく緻密な膜質となり、さらに伝送損失が小さく、機械強度が強い金属被覆光ファイバ及びその製造方法を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、光ファイバと、その光ファイバの表面に、金属酸化物微粒子を還元剤に分散してなるスラリーを加熱還元して形成される金属被覆層とを備える金属被覆光ファイバである。
本発明は、前記金属被覆層は、前記光ファイバの表面に酸化銀微粒子を還元剤に分散してなるスラリーを塗布し、これを加熱還元して形成された銀被覆層からなる金属被覆光ファイバである。
本発明は、前記銀被覆層の比抵抗が、1.6×10-6Ω・cm以上3.5×10-6Ω・cm未満である金属被覆光ファイバである。
本発明は、前記金属酸化物微粒子は、平均粒子径が50nm以上5μm未満である金属被覆光ファイバである。
本発明は、光ファイバ母材を加熱・溶融して光ファイバを形成する光ファイバ形成工程と、前記光ファイバの表面に金属酸化物微粒子を溶剤中に分散させたスラリーを塗布するスラリー塗布工程と、前記表面に塗布された前記スラリーを加熱還元して金属被覆層を形成する金属被覆層形成工程とを含む金属被覆光ファイバの製造方法である。
本発明は、前記金属被覆層形成工程は、200℃以下の温度で加熱して前記金属酸化物微粒子を前記溶剤で還元させる第1加熱工程と、250℃以上の温度で加熱して還元された金属微粒子を成膜して前記金属被覆層を形成する第2加熱工程とからなる金属被覆光ファイバの製造方法である。
本発明は、前記金属被覆層形成工程は、前記金属酸化物微粒子を還元雰囲気で加熱還元して前記金属被覆層を形成する金属被覆光ファイバの製造方法である。
本発明は、前記スラリー塗布工程は、溶剤として、前記金属酸化物微粒子の還元作用を有する還元剤を用いる金属被覆光ファイバの製造方法である。
本発明によれば、金属酸化物微粒子を含むスラリーを加熱還元することにより、緻密で比抵抗の小さい金属被覆層を形成することができ、低伝送損失で機械的強度に優れた金属被覆光ファイバを得ることができる。特に、酸化銀微粒子を含むスラリーを加熱還元することにより、緻密かつ比抵抗の小さい金属被覆層を形成できる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、金属被覆光ファイバの横断面図である。
金属被覆光ファイバ1は、コア2とコア2の周囲に形成されたクラッド3とからなる光ファイバ4と、光ファイバ4の表面に形成された金属被覆層5とからなる。光ファイバ4は、例えば、シングルモード光ファイバ(SMF)である。
金属被覆光ファイバ1は、例えば、耐熱光ファイバや気密パッケージ用光ファイバ、センサ用光ファイバなどに用いられるものである。
次に、この金属被覆光ファイバ1の製造方法を図2により説明する。
本実施形態に係る金属被覆光ファイバの製造方法は、基本的には熱硬化型樹脂を被覆する場合の光ファイバ線引方法とほぼ同様である。
図2に示すように、金属被覆光ファイバの製造方法に用いる金属被覆光ファイバの製造装置21は、高純度カーボンからなる炉心管とヒータとからなる線引炉23と、光ファイバ4の表面に金属酸化物微粒子を含むスラリーを塗布して金属酸化物微粒子の層を形成するダイス24と、光ファイバ4表面に形成した金属酸化物微粒子の層を加熱還元して金属被覆層5を形成する焼付炉25,26とを主に備える。
線引ラインの最上流に設置された線引炉23の下流には、順次、外径測定器27、ダイス24、第1焼付炉25、第2焼付炉26、外径測定器28、ガイドロール29、引取機30、巻取機31が配置される。
まず、光ファイバ母材22を線引炉23内に挿入して、その先端部を加熱・溶融する。炉心管の下部中央に設けられたファイバ出口から光ファイバ4を引き出した後、レーザ式の外径測定器27により連続的に光ファイバ4の外径を測定する。
外径測定器27は、光ファイバ4の外径データ、特にあらかじめ設定した目標とするファイバ径に対する偏差信号を引取機30にフィードバックし、光ファイバ4の外径を一定かつ均一とするように引取機30の回転速度を制御する。
その後、光ファイバ4をダイス24に通し、その表面に金属酸化物微粒子を溶剤中に分散させたスラリーを塗布して金属酸化物微粒子の層を形成する。ダイス24は、通常一般のUV硬化型樹脂(ウレタンアクリレート樹脂、シリコーン樹脂など)の塗布に用いられるのと同じものであり、最終出口部のノズル径を金属被覆層5の被覆厚(5μm程度)にあわせて調整している。
スラリーに用いる金属酸化物微粒子の平均粒子径は、50nm以上5μm未満であるとよい。この金属酸化物微粒子としては、金、銀、白金、パラジウム、銅の酸化物やその複合酸化物などが挙げられるが、その他の金属酸化物でも構わない。本実施形態では、酸化銀微粒子を用いた。なお、平均粒子径は、レーザ回折法などによって得られる粒度分布から求められる平均径で表したものである。
スラリーの溶剤としては、金属酸化物微粒子の還元作用を有する還元剤を用いる。還元剤としては、エチレングリコールをはじめとしたアルコール類の他に、グルコースなどの糖やアスコルビン酸、アルデヒドなどを用いることができる。本実施形態では、スラリーの溶剤として、エチレングリコールを用いた。
ダイス24を通過させた後、金属酸化物微粒子の層を形成した光ファイバ4を第1焼付炉25に導入し、200度以下の温度で加熱する。第1焼付炉25は管状炉であり、3ゾーンに分かれ個別に温度設定できるヒータユニットを有する。
第1焼付炉25では、主に金属酸化物微粒子と還元剤とが反応し、金属酸化物微粒子の還元反応が進行する。これにより、金属酸化物微粒子が還元されて数nm〜数10nm程度の金属微粒子に分解され、ナノ粒子化される。
その後、さらに第2焼付炉26で250度以上の温度で加熱する。第2焼付炉26は管状炉であり、第1焼付炉25と同様に、3ゾーンに分かれ個別に温度設定できるヒータユニットを有する。
第2焼付炉26では、スラリー中の溶剤などの有機成分を熱分解して除去すると共に、第1焼付炉で還元された金属微粒子を焼結(融着)して金属被覆層5を形成し、金属被覆光ファイバ1を形成する。
第2焼付炉26から出た金属被覆光ファイバ1は、第2焼付炉26の下流に設けた外径測定器28でその外径が測定された後、ガイドロール29、引取機30を通過し、巻取機31で巻き取られる。
ここで、本発明の最適条件についての根拠を説明する。
金属酸化物微粒子の平均粒子径に関し、平均粒子径の異なる酸化銀微粒子を溶剤中に分散させたスラリーを用いて金属被覆光ファイバを作製し、加熱還元により得られた銀被覆層の比抵抗および金属被覆光ファイバの引張強度を評価した。結果を図3、4に示す。
図3に示すように、平均粒子径20nmでは比抵抗が4.0×10-6Ω・cmと大きくなった。これは、平均粒子径が小さいほど体積に対する表面積の割合が高く、すなわちスラリーに含まれる酸化銀微粒子の表面保護膜成分量が多いため、焼結後の保護膜残留成分の増加により粒界が生じたことが原因と考えられる。
一方、平均粒子径5μm以上では光ファイバの強度低下が確認された。これは、平均粒子径が大きく、ダイス塗布時に光ファイバ表面を加傷したためである。また、銀被覆層は金属光沢のない白色となっており、酸化銀微粒子の粒径が大きすぎるとナノ粒子化がうまく進まず、表面が凹凸で空孔の多い銀被覆層になったことが原因だと考えられる。
これに対し、平均粒子径50nm以上5μm未満の条件では、銀被覆層の比抵抗が3.0×10-6Ω・cm未満で、ファイバ強度(引張強度)50N以上の金属被覆光ファイバが得られた。
以上の結果から、酸化銀微粒子の平均粒子径は50nm以上5μm未満が望ましい。また、比抵抗の極小点は平均粒子径100nmから1μmの間にあり、500nmでは比抵抗1.7×10-6Ω・cmが得られた。条件最適化によりバルク比抵抗1.6×10-6Ω・cmとほぼ同値も可能である。
金属酸化物微粒子を溶剤中に分散させたスラリーを加熱還元してナノ粒子化を行う第1加熱工程と、ナノ粒子化後のスラリーを焼結して金属被覆層を形成する第2加熱工程との最適温度条件に関し、線引速度やスラリーの仕様を同じ条件とし、2台の焼付炉の設定温度を変えて、金属被覆光ファイバを試作した。被膜特性の評価結果を表1に示す。表1では、各焼付炉を構成する3つのヒータユニットで最も高い温度を記載している。
Figure 2009251376
第1焼付炉の設定温度を220℃以上とした時、いずれも比抵抗が3.5×10-6Ω・cm以上と大きくなった。銀被覆層の断面を確認したところ、粒径数100nm程度の銀微粒子が融着した状態で空孔が多く、これが比抵抗増加の原因であると考えられる。このことから、膜質の緻密さを考えると、比抵抗は3.5×10-6Ω・cm未満が望ましい。
また、第1焼付炉の温度を150℃、200℃としたときでも、第2焼付炉の温度を250℃より低くすると、比抵抗が4.0×10-6Ω・cm以上になった。ここでは、銀被覆層の断面は緻密であったが、銀被覆層の成分分析において炭素濃度が高かった。このことから、第2焼付炉の温度が低いと溶剤などの有機成分が残留し、銀被覆層の比抵抗が大きくなることが分かった。
以上の結果から、第1焼付炉では主に酸化銀微粒子の還元が進行し、設定温度が220℃以上の場合は酸化銀微粒子の還元反応が急激過ぎて粒径の大きな銀微粒子が生成され、成膜後に空孔が大きくなるのに対し、200℃以下では平均粒子径500nmの酸化銀微粒子が還元されて数nm〜数10nm程度の銀微粒子に分解され、成膜後に緻密な膜質が得られると考えられる。
また、比抵抗が小さく緻密な銀被覆層を形成するためには、200℃以下で加熱して酸化銀微粒子の還元により銀微粒子を生成する第1加熱工程と、250℃以上で加熱して酸化銀微粒子の還元により銀微粒子を焼結させる第2加熱工程が必要である。
スラリーに用いる溶剤に関し、還元剤を含まない溶剤に酸化銀微粒子を分散させたスラリーと、還元剤を含む溶剤に酸化銀微粒子を分散させたスラリーとで金属被覆光ファイバの試作を行った。
還元剤を含まないスラリーでは、酸化銀は大気中の加熱で容易に還元されるが、作製した金属被覆光ファイバの銀被覆層には空孔が多かった。
一方、還元作用を持つエチレングリコールを溶剤として用いたスラリーでは、緻密な銀被覆層が形成された。このことから、緻密な膜質を得るためには、還元剤を溶剤として用いた酸化銀微粒子スラリーを用いることが有効である。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、金属酸化物微粒子を加熱還元させて金属被覆層5を形成している。これにより、金属被覆層5を固化する際に金属とガラスの熱膨張係数差によって光ファイバ4が受ける長手方向の収縮力を低減することができる。よって、金属被覆光ファイバ1の伝送損失が低下するのを抑制でき、低損失の金属被覆光ファイバ1を得ることができる。
さらに、金属酸化物微粒子を加熱還元することにより、数nm〜数10nm程度の金属微粒子にナノ粒子化することができるため、緻密な金属被覆層5を形成することができる。また、金属被覆層5が空孔の少ない緻密な構造となるため、金属被覆層5の比抵抗を小さくすることができ、金属被覆光ファイバ1の機械的強度(ファイバ強度)を向上させることができる。特に、酸化銀微粒子を加熱還元してナノ粒子化することにより、緻密かつ比抵抗の小さい銀被覆層を形成できる。
また、金属被覆光ファイバ1では、金属酸化物微粒子の平均粒子径を50nm以上5μm未満としている。これにより、金属酸化物微粒子の保護膜成分が残留したり、金属酸化物微粒子が光ファイバ4の表面を加傷してファイバ強度が低下したり、ナノ粒子化がうまく進まないということがなくなり、ファイバ強度が高く比抵抗の小さい金属被覆層5を得ることができる。
さらに、スラリーの溶剤として、金属酸化物微粒子の還元作用を有する還元剤を用いている。これにより、金属酸化物微粒子のナノ粒子化を効率的に進めることができるため、空孔の少ない緻密な金属被覆層5を得ることができる。
また、金属被覆光ファイバの製造方法では、光ファイバ4の表面にスラリーを塗布した後の加熱工程が、200℃以下の温度で加熱する第1加熱工程と、250℃以上の温度で加熱する第2加熱工程とからなる。
これにより、還元反応が急激過ぎて金属被覆層5に空孔が多くなったり、溶剤や還元剤などの有機成分の熱分解が十分に行われないということがなくなり、比抵抗の小さい金属被覆層5を得ることができる。
本発明によれば、線引中の光ファイバ4表面にスラリーをダイス塗布することにより、長尺にわたって高速に金属被覆光ファイバ1を製造することができる。よって、量産性を向上させることができ、製造コストを低くすることができる。さらに、金属被覆層5を形成する設備が従来方式に比べ簡便となるため、設備コストを低くすることができる。
以上、本実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、上述した実施の形態を種々変形することができる。
すなわち、図2では2つの焼付炉25,26を用いたが、上部と下部の温度が異なる1台の管状炉を用いても構わない。
また、他の変形例として、還元雰囲気中で金属酸化物微粒子を加熱還元させて金属被覆層5を形成してもよい。この場合、焼付炉25,26の上下部にガス導入口を設け、焼付炉25,26の入口と出口の内径を数mmに狭めることで外気流入を低減して、焼付炉25,26内を還元雰囲気にするとよい。
通常、還元剤が混合された金属酸化物微粒子を含むスラリーは、大気中に放置しておくだけでも徐々に金属酸化物微粒子が還元されてしまうため、線引作業直前にスラリーを作製する必要があった。しかし、焼付炉25,26内を還元雰囲気にすることで、スラリーに含まれる還元剤の量を減らすことができるため、線引作業直前にスラリー作製を行う必要がなくなる。さらに、長時間の線引作業を行う際には、スラリー組成の経時変化が小さくなるために、金属被覆光ファイバ1の長手方向の被膜特性のばらつきも小さくできる。
さらに、他の変形例として、金属被覆層5の外周にポリマー層を形成してもよい。ポリマー層の材料としては、絶縁性のポリイミドやシリコーン樹脂などが挙げられる。本発明では金属被覆層の厚さは規定していないが、例えば、膜厚が1μmと薄い場合には金属被覆光ファイバ1は曲げや衝撃に弱く、ファイバ取り扱いが難しくなってしまう。そのような場合、ファイバ保護膜としてポリマー層を形成するとよい。
外径15mmの石英系シングルモード光ファイバ用母材22を線引炉23に挿入し、高純度カーボン製の炉心管とヒータとからなる線引炉23内を2000〜2200℃に加熱して光ファイバ母材22先端部を溶融した。炉心管の下部中央には内径5mmのファイバ出口が設けられており、ファイバ出口から光ファイバ4が引き出される。
ファイバ出口から出た光ファイバ4のファイバ径は、レーザ式の外径測定器27で連続的に計測される。外径測定器27は、目標ファイバ径に対する偏差信号を引取機30にフィードバックすることにより、ファイバ径が均一になるように制御している。今回はファイバ径が125μmとなるように制御した。なお、光ファイバ母材22の線引炉23への供給速度は0.7mm/minとし、これに対する光ファイバ4の線引速度はおよそ10m/minであった。
外径測定器27の下流には、粘度1Pa・sの酸化銀微粒子を溶剤中に分散させたスラリーを満たしたダイス24を設置した。ダイス24は、通常のUV硬化型樹脂に用いるものと同じ構造であるが、最終出口部のノズル径は今回の被覆径に合わせて調整しており、ダイス24を通過した光ファイバ4には厚さ約20μmでスラリーが均一塗布される。スラリーの酸化銀微粒子の平均粒子径は500nm、溶剤には還元作用を有するエチレングリコールを使用した。また、酸化銀微粒子表面には、分散性を上げるための保護膜が形成されている。
ダイス24の下流には、スラリー焼成のための2台の焼付炉25,26を設置した。各焼付炉25,26の炉長は4.0mで、ヒータユニットが3ゾーンに分かれ、個別に温度設定できる。今回、第1焼付炉25を150/150/150℃、第2焼付炉を250/300/300℃に温度設定した。ここで、第1焼付炉25では主に酸化銀の還元反応が進み、第2焼付炉26では銀微粒子融着によって銀被覆層が形成される。
以上の工程を経て製造された金属被覆光ファイバ1は、表面に金属光沢を有し、その外径は135μm、銀被覆層の被覆厚は5μmであった。銀被覆層の比抵抗は1.7×10-6Ω・cmと良好であり、銀被覆層の断面を観察したところ銀微粒子の焼結が進行してほとんど空孔が見られなかった。さらに伝送損失は波長1550nmに対して0.23dB/kmと良好であり、引張試験によるファイバ強度は50N以上と十分な機械強度を有した。
本発明の好適な実施の形態を示す金属被覆光ファイバの横断面図である。 本発明の金属被覆光ファイバの製造方法に用いる金属被覆光ファイバの製造装置の概略図である。 本発明において、金属被覆層の比抵抗と酸化銀粒子径との関係を示す図である。 本発明において、金属被覆光ファイバのファイバ強度と酸化銀粒子径の関係を示す図である。
符号の説明
1 金属被覆光ファイバ
2 コア
3 クラッド
4 光ファイバ
5 金属被覆層

Claims (8)

  1. 光ファイバと、その光ファイバの表面に、金属酸化物微粒子を還元剤に分散してなるスラリーを加熱還元して形成される金属被覆層とを備えることを特徴とする金属被覆光ファイバ。
  2. 前記金属被覆層は、前記光ファイバの表面に酸化銀微粒子を還元剤に分散してなるスラリーを塗布し、これを加熱還元して形成された銀被覆層からなる請求項1記載の金属被覆光ファイバ。
  3. 前記銀被覆層の比抵抗が、1.6×10-6Ω・cm以上3.5×10-6Ω・cm未満である請求項2記載の金属被覆光ファイバ。
  4. 前記金属酸化物微粒子は、平均粒子径が50nm以上5μm未満である請求項1記載の金属被覆光ファイバ。
  5. 光ファイバ母材を加熱・溶融して光ファイバを形成する光ファイバ形成工程と、前記光ファイバの表面に金属酸化物微粒子を溶剤中に分散させたスラリーを塗布するスラリー塗布工程と、前記表面に塗布された前記スラリーを加熱還元して金属被覆層を形成する金属被覆層形成工程とを含むことを特徴とする金属被覆光ファイバの製造方法。
  6. 前記金属被覆層形成工程は、200℃以下の温度で加熱して前記金属酸化物微粒子を前記溶剤で還元させる第1加熱工程と、250℃以上の温度で加熱して還元された金属微粒子を成膜して前記金属被覆層を形成する第2加熱工程とからなる請求項5記載の金属被覆光ファイバの製造方法。
  7. 前記金属被覆層形成工程は、前記金属酸化物微粒子を還元雰囲気で加熱還元して前記金属被覆層を形成する請求項5または6記載の金属被覆光ファイバの製造方法。
  8. 前記スラリー塗布工程は、溶剤として、前記金属酸化物微粒子の還元作用を有する還元剤を用いる請求項5記載の金属被覆光ファイバの製造方法。
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