JP2017036184A - 光ファイバ素線の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置構成を複雑化させずに光ファイバ裸線を徐冷し、伝送損失を低減できる光ファイバ素線の製造方法の提供。
【解決手段】母材2を溶融紡糸して光ファイバ裸線3を形成する紡糸工程と、光ファイバ裸線3を徐冷装置20に入口端21aから出口端21bに向けて挿通させつつ光ファイバ裸線3を冷却する徐冷工程と、を有する光ファイバ素線5の製造方法において、徐冷工程では、徐冷装置20の内壁の温度を光ファイバ裸線3の温度より低くし、かつ徐冷装置20の内部に入口端21aから出口端21bに向けて高くなる圧力勾配を与え、かつ、徐冷装置20の管内径をD[m]とし、徐冷装置20の内部空間におけるガラスファイバ裸線3の移動方向の長さをL[m]としたとき、徐冷装置20の内部におけるガラスファイバ3の移動方向の平均圧力変化dP/dLが、式(1)を満たす光ファイバ素線5の製造方法。(πD2/4×dP/dL≦0.03…(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ素線の製造方法に関する。
光伝送距離の長距離化、伝送速度の高速化には、光信号ノイズ比(OSNR:Optical signal to noise ratio)を高める必要がある。そのため、光ファイバには低損失であることが求められている。
コア部分が実質的に純粋シリカガラスのみからなるシリカコア光ファイバは、ゲルマコア光ファイバ(コアにGeOがドープされた光ファイバ)に比べ、添加されたGeOの濃度の揺らぎによる光散乱がないため、低損失の光ファイバとなることが知られている。
シリカコア光ファイバ、ゲルマコア光ファイバのいずれについても、更なる低損失化への要求は依然として高い。
光ファイバの製造技術が高度に洗練された現在では、金属酸化物(MO)や水酸基(OH)など、光ファイバ中の不純物による吸収損失はほとんど限界まで低減されている。残る損失は、光ファイバがガラスからなるがゆえに不可避である、ガラスの構造や組成の揺らぎに伴う散乱損失がほとんどである。
一般的に、溶融成形したガラスを冷却する際、緩やかに冷却すれば揺らぎを低減できることはガラス産業においてよく知られており、光ファイバの製造方法においても、光ファイバ用母材を加熱炉により溶融線引きした直後の光ファイバを、別の炉(徐冷炉)で温度調整したり、加熱炉に断熱構造を追加して徐冷する方法が検討されてきており、一定の効果が得られている(特許文献1〜8、非特許文献1〜5を参照)。
また、徐冷炉内の雰囲気として熱伝導率の低いガスを選択するなどして、徐冷炉を通過する光ファイバの徐冷を効率的に行う方法も検討されている(特許文献9,10を参照)。
特開昭51−089747号公報 特開昭60−186430号公報 特開平4−059631号公報 特開平10−025127号公報 特許第4482955号公報 特許第4558368号公報 特許第4990429号公報 特開2014−062021号公報 特許第4356154号公報 特許第4459720号公報
S. Sakaguchi and S. Todoroki, Appl. Optics, Vol. 37, pp. 7708-7711 (1998) K. Saito, et al., Appl. Phys. Lett., Vol. 83, pp. 5175-5177 (2003) K. Saito, et al., J. Am. Ceram. Soc., Vol. 89, pp. 65-69 (2006) D.-L. Kim and M. Tomozawa, J. Non-Cryst. Solid, Vol. 286, pp. 132-138 (2001) K. Tsujikawa, et al., J. Lightwave Technol., Vol. 25, pp. 2122-2128 (2007)
しかしながら、徐冷炉内の雰囲気として熱伝導率の低いガスを用いる製造方法は、単に熱伝導率をHeと比較し、その大小関係に基づいて選ばれたガスを使用しているに過ぎず、熱移動についての詳細な検討はなされていない。
また、従来の製造方法では、徐冷を効果的に行うために発熱体や断熱構造を有する設備が必要になり、設備の複雑化や使用電力の増加、生産性の低下などの問題が避けられなかった。
徐冷を行うには、母材(プリフォーム)を加熱し線引きする加熱炉に徐冷用の構造を追加することが考えられるが、徐冷用の構造が単純な管状構造である場合には、十分な徐冷効果が得られず、伝送損失を低減する効果は乏しかった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、装置構成を複雑化させることなく光ファイバ裸線を徐冷し、伝送損失を低減できる光ファイバ素線の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、光ファイバ母材を溶融紡糸してガラスファイバを形成する紡糸工程と、前記ガラスファイバを、管状の徐冷装置に入口端から出口端に向けて挿通させつつ前記ガラスファイバを冷却する徐冷工程と、を有し、前記徐冷工程では、前記徐冷装置の内壁の温度を前記ガラスファイバの温度より低くするとともに、前記徐冷装置の内部に、前記入口端から前記出口端に向けて高くなる圧力勾配を与え、かつ、前記徐冷装置の管内径をD[m]とし、前記徐冷装置の内部空間における前記ガラスファイバの移動方向の長さをL[m]としたとき、前記徐冷装置の内部における前記ガラスファイバの移動方向の平均圧力変化dP/dLが、次の式を満たす光ファイバ素線の製造方法を提供する。
Figure 2017036184
前記平均圧力変化dP/dLは、次の式を満たすことが好ましい。
Figure 2017036184
前記圧力勾配は、前記徐冷装置への流体の導入流量と、前記徐冷装置の出口開度との少なくともいずれか一方を調整することによって与えることができる。
本発明の一態様は、前記徐冷装置の前記圧力勾配を測定し、この測定値と、予め設定した基準圧力勾配とを比較し、それらのずれが小さくなるように、前記徐冷装置への流体の導入流量と、前記徐冷装置の出口開度との少なくともいずれか一方を制御する光ファイバ素線の製造方法を提供する。
本発明の一態様によれば、徐冷装置の内部に、入口端から出口端に向けて高くなる圧力勾配を与えるので、管内の流体の(ガラスファイバ移動方向の)流速を小さくすることができる。
流体の速度を小さくすれば、流体と管内壁との熱伝達は小さくなる。そのため、流体の熱が外部に逃げるのを抑制でき、流体の温度を高温に維持することができる。よって、ガラスファイバと流体との熱伝達を緩やかにすることができる。従って、十分な徐冷効果を得て、伝送損失が低い光ファイバ素線を製造することができる。
また、この方法では、流体を加熱することによってその温度をガラスファイバの温度に近づける手法ではなく、流体の熱が外部に逃げるのを抑制することによって流体の温度とガラスファイバの温度とを近づける手法をとる。そのため、熱源を用いないで(または簡素な熱源を用いて)、前述の効果を得ることができる。よって、装置構成を複雑化させることはない。
本発明に係る光ファイバ素線の製造方法の一例を実施可能な製造装置の概略構成を示す模式図である。 図1の製造装置に用いられる徐冷装置内の流体の速度分布の計算値を示す図である。 本発明に係る光ファイバ素線の製造方法の他の例を実施可能な製造装置の概略構成を示す模式図である。 試験結果を示す図である。
管内の流体の流れは、一般的に次の式(1)で定義されるレイノルズ数Reが、2300〜4000よりも小さければ層流になることが知られている。
Figure 2017036184
式(1)中のρは流体の密度[kg/m]、uは流体の速度[m/s]、Lは系の特徴長さ[m]、μは流体の粘度[Pa・s]を示している。
Reが十分に小さく、管内の流体の流れとして層流が仮定できる場合には、管内の流体の速度分布は以下の式(2),(3)を満たす。
Figure 2017036184
Figure 2017036184
式(2),(3)中のrは管内の径方向の位置[m]、τrzは管内の径方向に垂直な面での軸方向のせん断応力[Pa]、dp/dzは管内の軸方向の圧力勾配[Pa/m]を示す。
管内の流体の流れが軸方向の圧力勾配によってのみ引き起こされる系、(いわゆるHagen−Poisueille流)であれば、管内の流体の速度分布は一般的な放物線型の速度分布を示すが、ガラスファイバが通過する管内では事情が異なる。
以下、管内を中心軸に沿ってガラスファイバが移動することを想定する。
管内には、主にガラスファイバの近傍に発生する粘性力によって、ガラスファイバの移動方向の流体の流れが発生する。一方、管内壁の近傍では管内の圧力勾配に応じて、下降流も上昇流も発生し得る。上記式(2),(3)を満たす、管内の流体の速度分布の例を図2に示す。
図2は、線引き速度1000m/min(16.67 m/s)、管径(内径)0.05m 、管内がHe雰囲気の場合の、管の半径方向の流体の速度分布の計算値を示す。それぞれの曲線は、管内の圧力勾配dp/dzがそれぞれ異なる場合の試算結果である。
原理的に、管内壁(r=0.025m)での流体の速度は0m/sであり、ガラスファイバが通る管中心(r=0m)における流体の速度はガラスファイバの移動速度に一致する。
管内壁と管中心との中間の位置(例えば半径0.01m付近)では、流体の速度は管内の軸方向の圧力勾配dp/dzに大きく依存し、流体は下降流にも上昇流にもなり得る。実質的にほぼ静止状態となることもあり得る。
例えば、図2に示すように、管内の圧力勾配dp/dzがゼロである場合は、ガラスファイバの移動方向(図2の右方)の流体の流れ(下降流)が大きくなるが、管内の圧力勾配dp/dzをゼロより大きくすると、当該方向の流体の流れは小さくなる。例えば、圧力勾配dp/dzが0.6であると、管内壁に近い領域(例えばrが0.015以上の領域)における流体の流速は非常に小さくなる。
一方、固体とその近傍を流れる流体との熱伝達は、次の式(4)に従う。
Figure 2017036184
Qは単位時間当たりの熱量[W]、hは対流熱伝達率 [W/K・m]であり、系に依存する。Aは接触面積[m]を示す。Tは固体表面の温度[K]を示す。Tバーは、流体の平均温度[K]を示す。
式(4)は、ガラスファイバとその周囲の流体の熱交換にも、管内壁とその中の流れる流体との間にも適用できる。式(4)は、固体と流体との熱伝達が両者の温度差に比例することを示している。
対流熱伝達率hは流体の物性だけでなく系にも依存するため、個別の系に対して議論する必要がある。hは一般的に次の式(5)で表される。
Figure 2017036184
cは比例定数、kは流体の熱伝導率[W/K・m]、dは系の代表長さ[m]、νは流体の動粘性係数[m・s](ν=μ/ρ)、αは流体の熱拡散率[m/s](α=k/ρCp)である。m、nはそれぞれ系に依存し、m は0.5〜0.8、nは0.2〜0.5をとる。
以上より、ガラスファイバと周囲の流体との熱伝達については、次のことがいえる。
[1]ガラスファイバと周囲の流体との熱伝達を緩やかにするには、周囲の流体の温度とガラスファイバとの温度差を小さくすればよい。
[2]ガラスファイバと周囲の流体との熱伝達を緩やかにするには、ガラスファイバと流体の相対的な速度を小さくすればよい。
[2]を実現するためには、ガラスファイバの線速を遅くすればよい。
[1]を実現するためには、流体を加熱して、その温度をガラスファイバの温度に近くする手法をとってもよいが、流体の熱が外部に逃げるのを抑制する手法も可能である。
式(4)のQは、次のように書き換えることができる。
Figure 2017036184
式(6)は、管路をガラスファイバの進行方向に微小長さΔlで区間に分け、その範囲での管内壁と流体との熱のやり取りを示している。式(6)では、管路の長手方向での熱伝達や、区間内の流体の温度分布を無視している。
wall、Tfiber、Tgasは、それぞれ管内壁、ガラスファイバ、流体の温度[K]である。Qgasは単位時間当りに流体に加えられる熱量[W]である。hgas−wallは流体と管内壁との間の対流熱伝達率[W/K・m]である。hfiber−gasは流体とガラスファイバとの間の対流熱伝達率[W/K・m]である。dwallは管内壁の直径[m]である。dfiberはガラスファイバの直径[m]である。
式(6)の右辺のうち、線引き中の管路内の各点でのガラスファイバの温度、流体の温度、管内壁の温度は定常状態ではほぼ一定となり、式(6)のQgasは0になる。このとき、あるTwall、Tfiberが定められるならば、Qgas= 0を満たすTgasが一意に定まる。
fiber>Tgas>Twallと仮定すると、TgasをTfiberに近づけるためには、式(6)の右辺の第1項の絶対値を小さくしなければならない。式(6)の右辺の第1項をQgas−wallとして、hgas−wallに式(5)を代入すると、次の式(7)が得られる。
Figure 2017036184
式(7)において、流体の速度uを小さくするか、TwallとTgasとを近づけると、Qgas−wallの絶対値は小さくなる。
図2に示されるように、管内の圧力に、入口端から出口端に向けて高くなる勾配を与えれば、管内の流体の(ガラスファイバ移動方向の)流速を小さくすることができる。
式(7)に示すように、流体の速度を小さくすれば、流体と管内壁との熱伝達は小さくなる。そのため、流体の熱が外部に逃げるのを抑制でき、流体の温度を高温に維持することができる。よって、ガラスファイバと流体との熱伝達を緩やかにすることができる(上述の[1]参照)。
従って、十分な徐冷効果を得て、伝送損失が低い光ファイバ素線を製造することができる。
また、この方法では、流体を加熱することによってその温度をガラスファイバの温度に近づける手法ではなく、流体の熱が外部に逃げるのを抑制することによって流体の温度とガラスファイバの温度とを近づける手法をとる。そのため、熱源を用いないで(または簡素な熱源を用いて)、前述の効果を得ることができる。よって、装置構成を複雑化させることはない。
図1は、本発明に係る光ファイバ素線の製造方法の一例を実施可能な製造装置1の概略構成を示す模式図である。
製造装置1は、線引き方向の上流側から下流側に、紡糸部10と、徐冷装置20と、強制冷却部30と、コーティング部40と、硬化部50と、折返しプーリー60と、巻取り機70とを備えている。
紡糸部10は、熱源11aを有する加熱炉11を備えており、加熱炉11によって光ファイバ母材2を加熱して溶融紡糸することによってガラスファイバ3(光ファイバ裸線)を得る。
徐冷装置20は、管状構造を有する本体部21と、本体部21の下端21bに設けられた狭窄部22とを備えている。
狭窄部22は、ガラスファイバ3が通過可能な開口部(図示略)を有する。狭窄部22は、開口部の内径を調整可能であり、この内径を調整することで徐冷装置20内部の圧力勾配を調整できる。
本体部21は、中心軸を鉛直方向に一致させるのが好ましい。本体部21は、接続筒26を介して加熱炉11の下端に接続されている。
徐冷装置20は、熱源がない構成であってもよいし、本体部21内を加熱する熱源(図示略)を設けた構成としてもよい。
徐冷装置20の内部は、流体(低熱伝導率ガス、空気など)で満たされるのが好ましい。低熱伝導率ガスは、Heよりも熱伝導率の低いガスである。低熱伝導率ガスとしては、例えばAr、Nを使用できる。
本体部21の入口端21a(上端)に近い位置には、本体部21内に低熱伝導率ガスを導入または導出するガス導出入部23が設けられている。本体部21の出口端21b(下端)に近い位置には、本体部21内にガスを導入または導出するガス導出入部24が設けられている。
本体部21には、軸方向の中間位置(上端と下端の間の位置)に、圧力計を接続するための複数の接続用ポート25(25a,25b)が設けられている。図1では、2つの接続用ポート25(25a,25b)が設けられており、これら接続用ポート25a,25bは、本体部21の軸方向に間隔をおいて配置されている。
線引き方向の上流側の接続用ポート25を第1接続用ポート25aといい、下流側の接続用ポート25を第2接続用ポート25bという。
図1では、第1接続用ポート25aは本体部21の入口端21a(上端)に近い位置にあり、第2接続用ポート25bは出口端21b(下端)に近い位置にある。
なお、本体部21の軸方向とは、本体部21の中心軸方向であり、図1では上下方向である。
接続用ポート25a,25bは、本体部21内の軸方向の圧力勾配を測定するために用いられる。例えば、接続用ポート25a,25bにそれぞれ接続した圧力計(図示略)によって本体部21の内部の圧力を測定し、差圧を接続用ポート25a,25b間の距離L(本体部21の軸方向の距離)で除した値を平均圧力勾配として算出できる。距離Lは、例えば、接続用ポート25a,25b(管路)の軸線どうしの距離である。
符号27は入口側の放射温度計であって、接続筒26に設けられており、徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度(入口ファイバ温度)を測定できる。符号28は出口側の放射温度計であって、徐冷装置20から外に出た直後のガラスファイバ3の温度(出口ファイバ温度)を測定できる。
放射温度計27,28によって、徐冷装置20を通過するガラスファイバ3の温度勾配を確認できる。
強制冷却部30の内部は、冷媒(例えばHe)で満たされており、冷媒との接触によりガラスファイバ3を冷却できる。
コーティング部40は、ガラスファイバ3の外周に、ウレタンアクリレート系の樹脂などの被覆材を塗布(コーティング)して被覆層とすることによって光ファイバ素線中間体4を得る。
硬化部50は、光ファイバ素線中間体4の被覆層を硬化して光ファイバ素線5を形成する。硬化部50は、例えばUVランプ(図示略)を有する。
折返しプーリー60は、光ファイバ素線5の方向を変換することができる。
巻取り機70は、例えば、光ファイバ素線5を巻き取る巻取りボビンである。
次に、製造装置1を用いた場合を例として、本発明の光ファイバ素線の製造方法の一実施形態を説明する。
(紡糸工程)
図1に示すように、紡糸部10において、加熱炉11内で光ファイバ母材2を加熱して溶融紡糸してガラスファイバ3を得る。
徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度を放射温度計27によって測定することができる。このガラスファイバ3の温度は1200℃〜1500℃が好ましい。
(徐冷工程)
徐冷装置20の内部は、予め流体(例えば、低熱伝導率ガス、空気など)で満たしておく。
接続用ポート25a,25bにそれぞれ接続した圧力計(図示略)によって本体部21の内部の圧力を測定する。第1接続用ポート25aで測定された圧力と、第1接続用ポート25aで測定された圧力との差(差圧ΔP)を、接続用ポート25a,25b間の距離(本体部21の内部空間21cにおける軸方向の距離L)で除した値(ΔP/L)を平均圧力勾配として算出する。なお、接続用ポート25a,25b間の距離は、線引き方向の下流方向(図1では下方)を正とした。
次の式(8)に示すように、ΔP/Lを圧力勾配dP/dzとした。
Figure 2017036184
徐冷工程では、ガス導出入部23,24から本体部21内に流入させる流体(ガス)流量と、狭窄部22の開口部の内径との少なくともいずれか一方を調整することによって、徐冷装置20の内部に、入口端21aから出口端21bに向けて高くなる圧力勾配を与える。
例えば、ガス導出入部24を通して本体部21内に流入させる流体(ガス)流量を大きくするか、または狭窄部22の開口部の内径を小さくすれば、前記圧力勾配は大きくなる。ガス導出入部24を通して本体部21内に流入させる流体(ガス)流量を小さくするか、または狭窄部22の開口部の内径を大きくすれば、前記圧力勾配は小さくなる。
徐冷工程では、徐冷装置20の本体部21の内部における内部空間21cにおける軸方向(ガラスファイバ3の移動方向)の平均圧力変化dP/dLは、次の式(9)を満たす。ここでは、徐冷装置20の本体部21の内径(管内径)をD[m]とし、内部空間21cの軸方向の距離をL[m]とする。
Figure 2017036184
徐冷装置20の内部には入口端21aから出口端21bに向けて高くなる圧力勾配が加えられるため、(πD/4)×dP/dLは0より大きくなる。
徐冷装置20内に入口端21aから出口端21bに向けて高くなる圧力勾配を与えることによって、徐冷装置20内の流体の(ガラスファイバ移動方向の)流速を小さくすることができる(図2参照)。
上述の式(7)に示すように、流体の速度uを小さくすれば、流体と管内壁(本体部21の内壁)との熱伝達は小さくなる。そのため、流体の熱が外部に逃げるのを抑制でき、流体の温度を高温に維持することができる。よって、ガラスファイバ3と流体との熱伝達を緩やかにすることができる(上述の[1]参照)。
従って、十分な徐冷効果を得て、伝送損失が低い光ファイバ素線5を製造することができる。
また、この方法では、流体を加熱することによってその温度をガラスファイバの温度に近づける手法ではなく、流体の熱が外部に逃げるのを抑制することによって流体の温度とガラスファイバの温度とを近づける手法をとる。そのため、熱源を用いないで(または簡素な熱源を用いて)、前述の効果を得ることができる。よって、装置構成を複雑化させることはない。
平均圧力変化dP/dLは、次の式(10)を満たすことが好ましい。
Figure 2017036184
これによって、徐冷装置20内に十分な圧力勾配が与えられ、徐冷装置20内の流体の(ガラスファイバ移動方向の)流速を小さくできる。
平均圧力変化dP/dLは、次の式(11)を満たす範囲にあることが好ましい。平均圧力変化dP/dLがこの範囲にあることによって、徐冷装置20内の流体の流速を小さくし、流体と管内壁(本体部21の内壁)との熱伝達を小さくできる。
Figure 2017036184
放射温度計28によって、徐冷装置20から外に出た直後のガラスファイバ3の温度(出口温度)を測定できる。
放射温度計27,28によって、徐冷装置20を通過するガラスファイバ3の温度勾配を確認することができる。
(強制冷却工程)
ガラスファイバ3は、強制冷却部30によって、例えば100℃以下まで冷却することができる。
(コーティング工程)
コーティング部40において、光ファイバ裸線3の外周に、ウレタンアクリレート系の樹脂などの被覆材を塗布(コーティング)して被覆層とすることによって、光ファイバ素線中間体4を得る。
(硬化工程)
硬化部50において、紫外線を照射して光ファイバ素線中間体4の被覆層を硬化させて光ファイバ素線5を得る。
光ファイバ素線5は、折返しプーリー60を経て巻取り機70により巻き取られる。
図3は、本発明に係る光ファイバ素線の製造方法の他の例を実施可能な製造装置101の概略構成を示す模式図である。
製造装置101は、徐冷装置20が加熱炉11に接続されておらず、加熱炉11とは別体である点で、図1に示す製造装置1と異なる。
製造装置101を用いた製造方法においても、図1に示す製造装置1を用いた製造方法と同様に、ガス導出入部24から本体部21内に流入させる流体(ガス)流量と、狭窄部22の開口部の内径とのうち少なくともいずれか一方を調整することによって、徐冷装置20の内部に入口端21aから出口端21bに向けて高くなる圧力勾配を与える。
これによって、ガラスファイバ3と流体との熱伝達を緩やかにし、十分な徐冷効果を得て、伝送損失が低い光ファイバ素線5を製造することができる。
また、この製造方法においても、熱源を用いないで(または簡素な熱源を用いて)、前述の効果を得ることができる。よって、装置構成を複雑化させることはない。
本発明の光ファイバ素線の製造方法について説明してきたが、本発明は前記の例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、徐冷装置20内の圧力勾配を測定し、この測定値と、予め設定した基準圧力勾配とを比較し、それらのずれが小さくなるように、徐冷装置20への流体の導入流量と、狭窄部22の開口部の内径(出口開度)との少なくともいずれか一方を制御することもできる。制御方法としては、PID制御などのフィードバック制御が好ましい。
これによって、徐冷装置20内の圧力勾配を適正範囲に保つことができる。
まず、実施例に共通する事項を記載する。
光ファイバ母材2(光ファイバプリフォーム)としては、主にシリカガラスからなるクラッドと、GeOが添加されたコア部分とを含む、シングルモードファイバー用のプリフォームを用いた。
紡糸部10において、加熱炉11内で光ファイバ母材2を加熱して溶融紡糸してガラスファイバ3を得た(紡糸工程)。
ガラスファイバ3を、徐冷装置20の本体部21に、入口端21aから出口端21bに向けて挿通させた(徐冷工程)。
徐冷工程においては、徐冷装置20の内部をArまたはNで満たした。
徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は1200℃〜1500℃とした。
徐冷装置の本体部21の内壁の温度は、常にガラスファイバ3の温度より低い温度とした。
徐冷装置20の本体部21の内径は、20mm、38.7mm、50mmのいずれかとした。
第1接続用ポート25aで測定された圧力と、第1接続用ポート25aで測定された圧力との差(差圧ΔP)を、接続用ポート25a,25b間の距離(本体部21の内部空間の軸方向の距離L)で除した値を平均圧力勾配(ΔP/L)として算出した(式(8)を参照)。なお、接続用ポート25a,25b間の距離は、線引き方向の下流方向(図1では下方)を正とした。
狭窄部22において開口部の内径を調整するとともに、ガス導出入部23またはガス導出入部24からの低熱伝導率ガスの流入量を調整することによって、徐冷装置20内部の圧力勾配を調整した。
放射温度計27,28によって、徐冷装置20を通過するガラスファイバ3の温度勾配を確認した。
ガラスファイバ3は、強制冷却部30によって温度100℃以下まで冷却した後、コーティング部40において紫外線硬化樹脂のコーティングを施した(コーティング工程)。
次いで、硬化部50において紫外線を照射して被覆層を硬化させて光ファイバ素線5を得た(硬化工程)。
光ファイバ素線5は、折返しプーリー60を経て巻取り機70により巻き取った。
光ファイバ素線5の伝送損失(波長1.55μm)を、OTDRを用いて測定した。
以下、実施例および参考例について詳しく記載する。
(実施例1)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。本体部21の内径は38.7mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約4.5Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約1160℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失(波長1.55μm)は、0.178dB/kmであった。
(実施例2)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は20mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約20Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約1100℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.180dB/kmであった。
(実施例3)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約2.5Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約1190℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.178dB/kmであった。
(実施例4)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は1.5mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は1000m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約2Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約1220℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.177dB/kmであった。
(実施例5)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は1.5mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は20mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は1000m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約10Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約1130℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.180dB/kmであった。
(実施例6)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約9Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約1160℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.179dB/kmであった。
(実施例7)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約70Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約1070℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.181dB/kmであった。
(実施例8)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は400℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約2Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約980℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.183dB/kmであった。
(実施例9)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は20mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は400℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約15Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約800℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.184dB/kmであった。
(参考例1)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は38.7mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約0Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約920℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.184dB/kmであった。
(参考例2)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は20mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約0Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約950℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.184dB/kmであった。
(参考例3)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約0Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約710℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.186dB/kmであった。
(参考例4)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は1.5mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は1000m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約0Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約950℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.184dB/kmであった。
(参考例5)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は1.5mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は20mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は1000m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約0Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約980℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.184dB/kmであった。
(参考例6)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約0Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約800℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.185dB/kmであった。
(参考例7)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約0Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約860℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.185dB/kmであった。
(参考例8)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は400℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約0Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約680℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.187dB/kmであった。
(参考例9)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は20mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は400℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約0Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約680℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.187dB/kmであった。
(参考例10)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は38.7mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約45Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約870℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.185dB/kmであった。
(参考例11)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は20mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約200Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約900℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.186dB/kmであった。
(参考例12)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約25Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約670℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.186dB/kmであった。
(参考例13)
図1に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は1.5mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は1000m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約20Pa/m となるように、ガス導出入部23,24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約900℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.185dB/kmであった。
(参考例14)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は1.5mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は20mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部はArで満たした。
線引き線速は1000m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約20Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入するAr流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約930℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.185dB/kmであった。
(参考例15)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約90Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約750℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.186dB/kmであった。
(参考例16)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は1000℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約300Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約810℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.186dB/kmであった。
(参考例17)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は50mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は400℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約20Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約650℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.187dB/kmであった。
(参考例18)
図3に示す製造装置を用いて光ファイバ素線5を製造した。
徐冷装置20の全長は3mとした。徐冷装置20の本体部21の内径は20mmとした。徐冷装置20(本体部21)の内部は空気で満たした。
線引き線速は2200m/minとした。徐冷装置20に入る直前のガラスファイバ3の温度は約1400℃とした。徐冷装置20の本体部21の内壁温度は400℃とした。
徐冷装置20内の軸方向の圧力変化が約190Pa/m となるように、ガス導出入部24から流入する空気流量と、狭窄部22の開口部の内径とを調整した。それ以外の条件は実施例1に準じて定めた。
放射温度計28による測定の結果、徐冷装置20の出口におけるガラスファイバ3の温度は約640℃であった。
光ファイバ素線5の伝送損失は、0.187dB/kmであった。
実施例および参考例の条件を表1に示す。
徐冷装置20の本体部21の内径(管内径)をD[m]とし、徐冷装置20の内部空間21cの軸方向の距離(徐冷装置長さ)をL[m]としたときの(πD/4)×dP/dLを算出した。
Figure 2017036184
図4は、徐冷装置20の管内径Dと、log(dP/dL)との関係を示す図である。
この図に示すように、実施例1〜9では、平均圧力変化dP/dLが上述の式(11)を満たしている。
実施例および参考例の結果より、実施例1〜9では、徐冷装置20内に入口端21aから出口端21bに向けて高くなる圧力変化を与えることによって、伝送損失が低い光ファイバ素線5を製造することができたことが確認された。
1,101…光ファイバ素線の製造装置、2…光ファイバ母材、3…ガラスファイバ(光ファイバ裸線)、5…光ファイバ素線、10…紡糸部、11…加熱炉、20…徐冷装置、21a…入口端、21b…出口端、22…狭窄部。

Claims (4)

  1. 光ファイバ母材を溶融紡糸してガラスファイバを形成する紡糸工程と、
    前記ガラスファイバを、管状の徐冷装置に入口端から出口端に向けて挿通させつつ前記ガラスファイバを冷却する徐冷工程と、を有し、
    前記徐冷工程では、前記徐冷装置の内壁の温度を前記ガラスファイバの温度より低くするとともに、前記徐冷装置の内部に、前記入口端から前記出口端に向けて高くなる圧力勾配を与え、
    かつ、前記徐冷装置の管内径をD[m]とし、前記徐冷装置の内部空間における前記ガラスファイバの移動方向の長さをL[m]としたとき、前記徐冷装置の内部における前記ガラスファイバの移動方向の平均圧力変化dP/dLが、式(1)を満たす光ファイバ素線の製造方法。
    Figure 2017036184
  2. 請求項1に記載の光ファイバ素線の製造方法であって、前記平均圧力変化dP/dLが式(2)を満たす光ファイバ素線の製造方法。
    Figure 2017036184
  3. 請求項1または2に記載の光ファイバ素線の製造方法であって、前記圧力勾配は、前記徐冷装置への流体の導入流量と、前記徐冷装置の出口開度との少なくともいずれか一方を調整することによって与えられる光ファイバ素線の製造方法。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光ファイバ素線の製造方法であって、前記徐冷装置の前記圧力勾配を測定し、この測定値と、予め設定した基準圧力勾配とを比較し、それらのずれが小さくなるように、前記徐冷装置への流体の導入流量と、前記徐冷装置の出口開度との少なくともいずれか一方を制御する光ファイバ素線の製造方法。
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