JP2009249658A - 耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼及びこれを用いた耐熱部品 - Google Patents

耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼及びこれを用いた耐熱部品 Download PDF

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Abstract

【課題】高温強度が高く、650℃以上の使用環境に耐え、耐過時効性に優れた耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼を提供すること。
【解決手段】0.005≦C≦0.25mass%、Si<1.0mass%、0.2<Mn<10.0mass%、P≦0.05mass%、S≦0.10mass%、15.0≦Cr≦25.0mass%、0.5≦Mo≦8.0mass%、0.8<N≦1.5mass%、Al≦0.030mass%、Ti≦0.030mass%、及び、O≦0.020mass%、を含み、残部がFe及び不可避的な不純物からなり、固溶化熱処理を施すことにより得られる耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼。耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、固溶化熱処理後に冷間加工及び/又は650℃〜950℃の温度で時効処理することにより得られるものが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼及びこれを用いた耐熱部品に関し、さらに詳しくは、650〜950℃の加熱雰囲気で使用される耐熱バネ、耐熱ボルトなど耐熱部品の素材として好適な耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼及びこれを用いた耐熱部品に関する。
工業用設備や自動車エンジンの排気系部品、航空機エンジン部材などに用いられる高強度部材、耐熱部材には、使用温度に応じて、各種の材料が用いられている。
例えば、常温〜500℃程度の比較的低温領域においては、使用温度に応じて、
(1)SUS304、SUS316などのオーステナイト系ステンレス鋼、
(2)SUS420Jなどのマルテンサイト系ステンレス鋼、
(3)SUS630などの析出硬化型ステンレス鋼、
などが用いられている。
また、700℃近辺までの比較的高温領域においては、
(1)SUH660などのFe基超合金、
(2)インコネル(登録商標)718、インコネル(登録商標)X750などのNi基超合金、
などが用いられている。
一方、近年では、省エネルギー化、地球温暖化ガス削減への意識の高まりから、熱効率向上、燃費向上などが進められ、その使用部材が曝される環境が高温化する傾向にある。そのため、より高温特性に優れた材料が要求されるようになっている。
しかしながら、上述した従来のオーステナイト系ステンレス鋼や析出硬化型ステンレス鋼は、価格がFe基超合金やNi基超合金に比べて安価ではあるが、使用温度には限界がある。
これに対し、Fe基超合金やNi基超合金は、上述したステンレス鋼よりも優れた高温強度を有しているので、約650℃、又は耐熱温度の高いものでは約700℃までの使用環境に耐えうる。しかしながら、これらの材料は、比較的多量のNiを含有するため、高コストであるという問題がある。さらに、700℃を超える高温域で使用可能な材料は、比較的多量のTiやAlを含むために熱間加工が非常に困難であり、これがコストをさらに増加させる原因となっている。
超合金に比べて安価なステンレス鋼の組成及びその特性に関し、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、重量%で、C:≦0.10%、Si:≦1.0%、Mn:5〜10%、S:≦0.01%、Ni:8〜15%、Cr:15〜25%、Mo:0.5〜4.0%、N:0.3〜1.0%を含有し、残部が実質的にFeからなる高強度・高耐食含窒素オーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、このような組成にすることによって、室温での0.2%耐力および引張強さが向上し、SUS316Lよりはるかに優れた耐孔食性が得られる点が記載されている。
また、特許文献2には、重量%で、C:≦0.10%、Si:≦1.0%、Mn:1.0〜10.0%、S:≦0.01%、Cu:≦3.0%、Ni:7.0〜15.0%、Cr:15.0〜25.0%、Mo:≦5.0%、N:0.35〜0.8%、Al:≦0.02%を含有し、残部が実質的にFeからなるメタルガスケット用オーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、このような組成を有する鋼を300〜650℃で時効処理すると、強度が向上する点が記載されている。
また、特許文献3には、重量%で、C:≦0.10%、Si:<1.0%、Mn:1.0〜10.0%、P:≦0.03%、S:≦0.01%、Cu:0.01〜3.0%、Ni:7.0〜15.0%、Cr:15.0〜25.0%、Mo:0.5〜5.0%、Al:≦0.03%、N:0.4〜0.8%を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなる耐熱オーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、このような組成を有する鋼を400〜650℃で時効処理することにより、初期硬さが45HRC以上である耐熱オーステナイト系ステンレス鋼が得られる点が記載されている。
また、特許文献4には、重量%で、C:≦0.3%、Mn:2〜26%、Cr:11〜24%、Mo:2.5超〜10%、W:0〜8%、N:0.55超〜1.2%、Ni:≦0.5%、Si:≦2%を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなるオーステナイト系合金鋼が開示されている。
同文献には、このような組成にすることにより、耐食性、靭性、非磁性を有し、かつ皮膚適合性を持つオーステナイト系合金鋼が得られる点が記載されている。
また、特許文献5には、重量%で、C:≦0.15%、Si:≦1.0%、Mn:3.0〜12.0%、P:≦0.030%、Ni:≦0.50%、Cr:15.0〜21.0%、N:0.70〜1.50%、Al:≦0.020%、O:≦0.020%を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなる高強度高耐食非磁性ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、このような組成にすることにより、耐食性に優れ、より人体に安全で、かつ様々な腐食環境下でも耐え得る高強度高耐食非磁性ステンレスが得られる点が記載されている。
また、特許文献6には、重量%で、Feの含有量が50%以上であり、Cr:15.0〜35.0%、Mo:0.05〜8.0%、Mn:0.2〜10.0%、Cu:0.01〜4.0%、N:0.8〜1.5%、C:≦0.20%、Si:≦2.0%、P:≦0.03%、S:≦0.05%、Ni:≦0.5%、Al:≦0.03%、O:≦0.020%であり、Cr、Mo、N及びMnの含有量を所定の範囲に調整した高窒素オーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、このような組成にすることにより、Ni含有率が低いにも関わらず、耐食性及び強度ともに従来よりも優れた高窒素オーステナイト系ステンレス鋼が得られる点が記載されている。
また、特許文献7には、重量%で、C:≦0.2%、Si:0.2〜2.0%、Mn:4〜15%、S:≦0.01%、Cr:15〜40%、Ni:5〜15%、N:0.5〜1.5%を含有し、Ca:0.001〜0.02%、Mg:0.001〜0.02%の1種以上を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなる高強度非磁性ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、このような組成にすることにより、加工性が良好な安価な高強度非磁性ステンレス鋼が得られる点が記載されている。
また、特許文献8には、重量%で、C:≦0.2%、Si:0.1〜2%、Mn:0.5〜4%未満、S:≦0.01%、Cr:20〜40%、Ni:5〜15%、Mo:1.5〜5%、N:0.6〜1.5%を含有し、Ca:0.001〜0.02%、Mg:0.001〜0.02%の1種以上を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなる高強度非磁性ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、このような組成にすることにより、強度、熱間加工性、冷間加工後の延性、及び、耐食性を備えた高強度非磁性ステンレス鋼が得られる点が記載されている。
また、特許文献9には、重量%で、Cr:15〜30%、Ni:≦25%、Mo:1〜10%、N:0.3〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、耐食性指数及び非金属介在物の面積率が所定の関係を満たすステンレス鋼が開示されている。
同文献には、このような組成にすることにより、海水環境において優れた耐食性を有する、より実用的なステンレス鋼が得られる点が記載されている。
さらに、特許文献10には、重量%で、C:0.005〜0.25%、Cr:15.0〜35.0%、Mn:0.2%超〜10.0%未満、Mo:0.05〜8.0%、Cu:0.01〜4.0%、Ni:0.01〜5.0%未満、N:0.8超〜1.8%、Si:≦2.0%、P:≦0.03%、S:≦0.05%、Al:≦0.030%、O:≦0.020%からなり、PRE及びCREが所定の範囲にある高窒素オーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
同文献には、PRE及びCREが所定の範囲となるように、各成分元素の含有量を最適化すると、耐海水腐食性が向上すると同時に、高い強度が得られる点が記載されている。
特開平08−269632号公報 特開平09−279315号公報 特開2005−281855号公報 特開平10−183303号公報 特開2002−235153号公報 特開2006−052452号公報 特開平03−090536号公報 特開平04−026740号公報 特開2000−309857号公報 特開2007−146287号公報
特許文献1〜3、7〜9には、Ni含有量が5%以上であるオーステナイト系ステンレス鋼において、N量を増加させると、常温強度、耐食性、高温強度などが向上する点が記載されている。また、特許文献2、3には、7%以上のNiを含むオーステナイト系ステンレス鋼において、N量を増加させ、かつ、300〜650℃で時効処理すると、強度や硬さが向上する点が記載されている。
しかしながら、従来の材料は、N含有量が比較的低く、7%以上のNiを含有しているため、固溶化熱処理及び時効処理のみでは十分な硬さが得られない。また、700℃を超える温度雰囲気に対する十分な耐過時効性も有していない。
また、特許文献4〜6、10には、Ni含有量が5%未満であるオーステナイト系ステンレス鋼において、N含有量を増加させると、耐食性、強度、皮膚適合性などが向上する点が記載されている。
しかしながら、高価な元素を多量に使用せず、しかも、700℃を超える使用環境に耐えうる材料が提案された例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、高温強度が高く、700℃を超える使用環境に耐えうる耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、耐過時効性に優れた耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、
0.005≦C≦0.25mass%、
Si<1.0mass%、
0.2<Mn<10.0mass%、
P≦0.05mass%、
S≦0.10mass%、
15.0≦Cr≦25.0mass%、
0.5≦Mo≦8.0mass%、
0.8<N≦1.5mass%、
Al≦0.030mass%、
Ti≦0.030mass%、及び、
O≦0.020mass%、
を含み、残部がFe及び不可避的な不純物からなり、固溶化熱処理を施すことにより得られるものからなる。
耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、前記固溶化熱処理後に冷間加工を施すことにより得られるものが好ましい。
さらに、耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、前記固溶化熱処理後又は前記冷間加工後に、650℃〜950℃の温度で時効処理することにより得られるものが好ましい。
Ni含有量が5.0mass%未満であるオーステナイト系ステンレス鋼において、N含有量を0.8mass%超とし、かつ、適量のMn、Cr及びMoを添加すると、650℃以上の使用環境において、Fe基超合金やNi基超合金と同等以上の高温強度、耐過時効性、及び、耐へたり性が得られる。
これは、このような組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼を、固溶化熱処理後に650℃以上の温度で使用し、又は、固溶加熱処理後に650〜950℃で時効処理することによって、結晶粒内にCr系窒化物又は又はFe−Cr−Mo系金属間化合物からなる微細な強化相が多量に析出するためと考えられる。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼]
[1.1 成分元素]
[1.1.1 主元素]
本発明に係る耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、以下のような元素を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる。添加元素の種類、その成分範囲、及び、その限定理由は、以下の通りである。
(1) 0.005≦C≦0.25mass%。
Cは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト相の安定化に寄与する。また、凝固時において、窒素溶解度の低いδ−フェライト相の生成を抑制するため、窒素ブローの抑制に有効である。さらに、侵入型元素であるため、強度の向上に寄与する。このような効果を得るためには、C含有量は、0.005mass%以上が好ましい。C含有量は、さらに好ましくは、0.02mass%超である。
一方、Cの過剰添加は、溶湯中の窒素溶解度の低下、固溶化熱処理時の粗大な未固溶Cr系炭窒化物の残存量の増大、時効強度の低下、及び、著しい靱延性の低下を招く。従って、C含有量は、0.25mass%以下が好ましい。C含有量は、さらに好ましくは、0.15mass%以下、さらに好ましくは、0.10mass%以下である。
(2) Si<1.0mass%。
Siは、脱酸元素として有効である。一般的な鋼種における脱酸元素としては、SiよりもAl、Tiの方が有効である。しかしながら、窒素含有量の高い鋼種においては、Al、Tiの過剰添加は、靱延性の著しい低下を招く粗大なAlN、TiNを生成させる原因となる。そのため、主要な脱酸材として、MnとともにSiを使用することが望ましい。Siを使用する場合、Si含有量は、0.05mass%以上が好ましい。
一方、Siは、フェライト生成元素であるため、Siの過剰添加は、オーステナイト相を不安定化させる。その結果、凝固時において窒素溶解度の低いδ−フェライト相の生成を促進し、窒素ブローを誘発する。また、時効処理時にフェライト相を生成するため、強度の確保が困難となる。さらに、Cr系窒化物の析出温度を上昇させるので、鍛造時に有害となるだけでなく、鋼の靱延性を低下させる。従って、Si含有量は、1.0mass%未満が好ましい。Si含有量は、さらに好ましくは、0.50mass%以下である。
(3) 0.2<Mn<10.0mass%。
Mnは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト相の安定化に寄与する。特に、時効処理時において窒素固溶度の低い軟質なフェライト相の生成を抑制するため、時効強度を上昇させるのに重要な合金元素である。また、溶湯中の窒素溶解度を著しく増加させるため、窒素ブローの抑制に有効である。さらに、Cr系窒化物の固溶温度を低下させるために、固溶化熱処理時の未固溶Cr系窒化物の残存量を低下させる。その結果、固溶窒素量を十分に確保することができ、時効強度の確保に寄与する。また、固溶化熱処理温度の低下は、結晶粒粗大化抑制に寄与し、粒界から生成する析出物が結晶粒内全域まで成長するまでの時間が短縮されるので、強度の上昇に寄与する。しかも、Mnは、脱酸、脱硫元素としても有効である。このような効果を得るためには、Mn含有量は、0.2mass%超が好ましい。Mn含有量は、さらに好ましくは、3.0mass%以上、さらに好ましくは、4.0mass%超である。
一方、Mnの過剰添加は、時効処理時の析出物(強化相)の生成量を低下させ、強度及び耐過時効性を低下させる。従って、Mn含有量は、10.0mass%未満が好ましい。Mn含有量は、さらに好ましくは、9.0mass%以下である。
(4) P≦0.05mass%。
Pは、熱間加工性、粒界強度、靱延性を低下させる原因となる。一方、必要以上の低減は、コストの上昇を招く。従って、P含有量は、0.05mass%以下が好ましい。
(5) S≦0.10mass%。
Sは、熱間加工性、粒界強度、靱延性を低下させる原因となる。一方、必要以上の低減は、コストの上昇を招く。従って、S含有量は、0.10mass%以下が好ましい。S含有量は、さらに好ましくは、0.02mass%以下である。
(6) 15.0≦Cr≦25.0mass%。
Crは、Cr系窒化物及びFe−Cr−Mo系金属間化合物を形成する元素であり、時効処理時の強度の上昇に寄与する重要な元素である。また、溶湯中の窒素溶解度を著しく増加させるため、窒素ブローの抑制に有効であるだけでなく、耐酸化性向上にも寄与する。このような効果を得るためには、Cr含有量は、15.0mass%以上が好ましい。Cr含有量は、さらに好ましくは、19.0mass%以上、さらに好ましくは、21.0mass%超である。
一方、Crは、フェライト生成元素であるため、過剰添加は、オーステナイト相を不安定化させる。時効処理時に軟質なフェライト相が生成すると、強度の確保が困難となる。また、固溶化熱処理時に未固溶の粗大なCr系窒化物の残存量を増大させ、靱延性を著しく低下させる。従って、Cr含有量は、25.0mass%以下が好ましい。Cr含有量は、さらに好ましくは、24.0mass%以下、さらに好ましくは、23.0mass%以下である。
(7) 0.5≦Mo≦8.0mass%。
Moは、Fe−Cr−Mo系金属間化合物相を形成する元素であり、時効処理時の強度の上昇に寄与する重要な合金元素である。また、溶湯中の窒素溶解度の増加に有効であり、固溶強化元素として強度の向上に有効である。このような効果を得るためには、Mo含有量は、0.5mass%以上が好ましい。Mo含有量は、さらに好ましくは、2.3mass%以上、さらに好ましくは、3.5mass%以上である。
一方、Moは、フェライト生成元素であるため、過剰添加は、オーステナイト相を不安定化させる。時効処理時にフェライト相が析出すると、強度の確保が困難となる。また、凝固時において窒素溶解度の低いδ−フェライト相の生成を促進するため、窒素ブローを誘発させると同時に、熱間加工性を低下させる。さらに、固溶化熱処理時に未固溶の粗大なCr系窒化物の残存量を増大させ、靱延性を著しく低下させる。従って、Mo含有量は、8.0mass%以下が好ましい。Mo含有量は、さらに好ましくは、7.0mass%以下、さらに好ましくは、5.0mass%以下である。
(8) 0.8<N≦1.5mass%。
Nは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト相の安定化に寄与する。また、侵入型元素であるために、強度の向上に寄与する。さらに、時効処理時において、窒素固溶度の低い軟質なフェライト相の生成を抑制するため、時効強度の上昇に寄与する重要な合金元素である。このような効果を得るためには、N含有量は、0.8mass%超が好ましい。N含有量は、さらに好ましくは、0.85%以上、さらに好ましくは、0.90mass%以上である。
一方、Nの過剰添加は、窒素ブローの生成を誘発させる。また、固溶化熱処理時に未固溶の粗大なCr系窒化物の残存量を増大させ、靱延性を著しく低下させる。従って、N含有量は、1.5mass%以下が好ましい。N含有量は、さらに好ましくは、1.30mass%以下、さらに好ましくは、1.25mass%以下である。
(9) Al≦0.030mass%。
Alは、Si、Mnと同様に脱酸元素として有効である。しかしながら、Alの過剰添加は、多量の粗大なAlNを生成し、靱延性の著しい低下を招く。従って、Al含有量は、0.030mass%以下が好ましい。Al含有量は、さらに好ましくは、0.025mass%以下、さらに好ましくは、0.020mass%以下である。
(10) Ti≦0.030mass%。
Tiは、Si、Mn、Alと同様に脱酸元素として有効である。しかしながら、Tiの過剰添加は、多量の粗大なTiNを生成し、靱延性の著しい低下を招く。従って、Ti含有量は、0.030mass%以下が好ましい。Ti含有量は、さらに好ましくは、0.025mass%以下、さらに好ましくは、0.020mass%以下である。
(11) O≦0.020mass%。
Oは、鋼の清浄度を低下させ、靱延性を低下させる。従って、O含有量は、0.020mass%以下が好ましい。O含有量は、さらに好ましくは、0.015mass%以下、さらに好ましくは、0.010mass%以下である。
[1.1.2 副元素(1)]
本発明に係る耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、上述した元素に加えて、さらに以下のいずれか1以上の元素をさらに含んでいても良い。添加元素の種類、その成分範囲、及び、その限定理由は、以下の通りである。
(12) 0.01≦Cu≦4.0mass%。
Cuは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト相の安定化に寄与する。また、凝固時において窒素溶解度の低いδ−フェライト相の生成を抑制するため、窒素ブローの抑制に有効である。また、時効処理時において、窒素固溶度の低いδ−フェライト相の生成を抑制するため、時効強度の上昇に寄与する。さらに、靱性、衝撃特性の向上にも有効である。このような効果を得るためには、Cu含有量は、0.01mass%以上が好ましい。Cu含有量は、さらに好ましくは、0.02mass%以上、さらに好ましくは、0.05mass%以上である。
一方、Cuの過剰添加は、固溶化熱処理時に未固溶のCr系窒化物の残存量を増大させ、靱延性を著しく低下させる。また、これと同時に、熱間加工性も低下させる。従って、Cu含有量は、4.0mass%以下が好ましい。Cu含有量は、さらに好ましくは、2.0mass%以下、さらに好ましくは、1.5mass%以下である。
(13) 0.05≦Ni<5.0mass%。
Niは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト相の安定化に寄与する。また、凝固時において窒素溶解度の低いδ−フェライト相の生成を抑制するため、窒素ブローの抑制に有効である。また、時効処理時において、窒素固溶度の低い軟質なフェライト相の生成を抑制するため、時効強度の上昇に寄与する。さらに、靱性、衝撃特性の向上にも有効である。このような効果を得るためには、Ni含有量は、0.05mass%以上が好ましい。Ni含有量は、さらに好ましくは、0.5mass%超、さらに好ましくは、0.8mass%以上である。
一方、Niの過剰添加は、時効処理時においてFe−Cr−Mo系金属間化合物相の生成量を著しく低下させるため、時効強度を低下させる。また、溶湯中の窒素溶解度を著しく低下させると同時に、固溶化熱処理時に未固溶のCr系窒化物の残存量を増大させ、靱延性を低下させる。さらに、固溶化熱処理温度を上昇させるために、結晶粒を粗大化させ、時効強度を低下させる。従って、Ni含有量は、5.0mass%未満が好ましい。Ni含有量は、さらに好ましくは、4.0mass%以下、さらに好ましくは、3.0mass%未満である。
(14) 0.01≦Co≦6.0mass%。
Coは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト相の安定化に寄与する。また、凝固時において窒素溶解度の低いδ−フェライト相の生成を抑制するため、窒素ブローの抑制に有効である。このような効果を得るためには、Co含有量は、0.01mass%以上が好ましい。Co含有量は、さらに好ましくは、0.1mass%以上である。
一方、Coの過剰添加は、コストの上昇を招く。また、固溶化熱処理時に未固溶のCr系窒化物の残存量を増大させ、靱延性を著しく低下させる。従って、Co含有量は、6.0mass%以下が好ましい。Co含有量は、さらに好ましくは、4.0mass%以下、さらに好ましくは、3.0mass%以下である。
(15) 0.01≦W≦8.0mass%。
Wは、Moと同様に固溶強化元素として強度の向上に有効である。また、時効処理時の強度の上昇に寄与し、耐過時効性の向上に有効である。このような効果を得るためには、W含有量は、0.01mass%以上が好ましい。W含有量は、さらに好ましくは、0.05mass%以上である。
一方、Wの過剰添加は、熱間加工性を低下させる。また、固溶化熱処理時の未固溶のCr系窒化物の残存量を増大させ、靱延性を著しく低下させる。従って、W含有量は、8.0mass%以下が好ましい。W含有量は、さらに好ましくは、4.0mass%以下である。
[1.1.3 副元素(2)]
本発明に係る耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、上述した副元素(1)に加えて又はこれらに代えて、さらに以下のいずれか1以上の元素をさらに含んでいても良い。添加元素の種類、その成分範囲、及び、その限定理由は、以下の通りである。
(16) 0.01≦V<1.0mass%。
Vは、C又はNと結合して、強度の向上、及び、結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、V含有量は、0.01mass%以上が好ましい。V含有量は、さらに好ましくは、0.02mass%以上、さらに好ましくは、0.03mass%以上である。
一方、Vの過剰添加は、鋼中に多量の窒化物を残存させ、靱延性を著しく低下させる。従って、V含有量は、1.0mass%未満が好ましい。V含有量は、さらに好ましくは、0.9mass%以下、さらに好ましくは、0.5mass%以下である。
(17) 0.01≦Nb≦0.50mass%。
Nbは、Vと同様に、C又はNと結合して、強度の向上及び結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、Nb含有量は、0.01mass%以上が好ましい。Nb含有量は、さらに好ましくは、0.02mass%以上である。
一方、Nbの過剰添加は、鋼中に多量の窒化物を残存させ、靱延性を著しく低下させる。従って、Nb含有量は、さらに好ましくは、0.50mass%以下である。Nb含有量は、さらに好ましくは、0.40mass%以下、さらに好ましくは、0.20mass%以下である。
(18) 0.01≦Ta≦0.50mass%。
Taは、V及びNbと同様に、C又はNと結合して、強度の向上及び結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、Ta含有量は、0.01mass%以上が好ましい。Ta含有量は、さらに好ましくは、0.02mass%以上である。
一方、Taの過剰添加は、鋼中に多量の窒化物を残存させ、靱延性を著しく低下させる。従って、Ta含有量は、0.50mass%以下である。Ta含有量は、さらに好ましくは、0.40mass%以下、さらに好ましくは、0.20mass%以下である。
(19) 0.01≦Zr≦0.50mass%。
Zrは、V、Nb及びTaと同様に、C又はNと結合して、強度の向上及び結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、Zr含有量は、0.01mass%以上が好ましい。Zr含有量は、さらに好ましくは、0.02mass%以上である。
一方、Zrの過剰添加は、鋼中に多量の窒化物を残存させ、靱延性を著しく低下させる。従って、Zr含有量は、0.50mass%以下が好ましい。Zr含有量は、さらに好ましくは、0.40mass%以下、さらに好ましくは、0.20mass%以下である。
[1.1.4 副元素(3)]
本発明に係る耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、上述した副元素(1)(2)に加えて又はこれらに代えて、さらに以下のいずれか1以上の元素をさらに含んでいても良い。添加元素の種類、その成分範囲、及び、その限定理由は、以下の通りである。
(20) 0.0005≦B≦0.01mass%。
(21) 0.0005≦Ca≦0.01mass%。
(22) 0.0005≦Mg≦0.01mass%。
これらの元素は、熱間加工性の向上に有効である。このような効果を得るためには、これらの元素の含有量は、それぞれ0.0005mass%以上が好ましい。これらの元素の含有量は、さらに好ましくは、それぞれ0.001mass%以上である。
一方、これらの元素の過剰添加は、熱間加工性を害すると同時に、耐食性を劣化させる。従って、これらの元素の含有量は、それぞれ、0.01mass%以下が好ましい。これらの元素の含有量は、さらに好ましくは、それぞれ0.005mass%以下、さらに好ましくは、それぞれ0.003mass%以下である。
[1.2 固溶化熱処理]
本発明の第1の実施の形態に係る耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、上述した組成を有する鋼に対して固溶化熱処理を施すことにより得られる。
固溶化熱処理温度は、オーステナイト単相となる温度であれば良い。オーステナイト単相となる温度は、組成によって異なるが、通常、1050〜1200℃である。
固溶化熱処理時間は、オーステナイト単相となり、未固溶の窒化物や炭化物を固溶させ、かつ、成分の均一化を図ることができる時間であれば良い。一般に、固溶化熱処理温度が高くなるほど、短時間でオーステナイト単相組織が得られる。
固溶化熱処理温度で所定時間保持した後、材料は急冷される。
固溶化熱処理を施した材料を所定の形状に加工し、これを650〜960℃で使用すると、次第に硬さが増加し、ある一定の硬さで飽和する。これは、成分元素を上述のように最適化した素材を650〜950℃の温度に曝すと、結晶粒内にCr系窒化物又はFe−Cr−Mo系金属間化合物からなる微細な強化相が多量に析出するためと考えられる。すなわち、固溶化熱処理をした材料を高温で使用すると、時効処理とほぼ同等の効果が得られる。
そのため、固溶化熱処理を施した材料は、650〜950℃の温度範囲で使用される耐熱部品用の素材として特に好適である。
[1.3 冷間加工]
本発明の第2の実施の形態に係る耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、上述した組成を有する鋼に対して固溶化熱処理を施した後、さらに冷間加工を施すことにより得られる。
冷間加工の効果は、
(1)断面減少による結晶粒間隔の減少と、
(2)塑性加工により粒内に歪みを付与することによる、Cr系窒化物及びFe−Cr−Mo系金属間化合物の粒内全面への析出時間の短縮、
である。
一般に、冷間加工時の断面減少率が大きくなるほど、高温での使用時又は後述する時効処理時における強化相の析出が促進される。一方、必要以上の冷間加工は、効果に差が無く、実益がない。従って、冷間加工の断面減少率は80%以下が好ましい。
なお、本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼は、多量の窒素の固溶を特徴としているため、加工硬化が非常に大きい。そのため、断面減少率30%以上の冷間加工を行うと、冷間加工後の強度は、高温使用時又は時効処理後の強度を上回ることがある。このような材料を高温で使用すると、高温組織が安定化し、一定時間経過後にその強度が時効処理後の強度とほぼ同等になる。
固溶化熱処理及び所定の断面減少率での冷間加工を施した材料を所定の形状に加工し、これを650〜950℃で使用すると、冷間加工時の断面減少率に応じて硬さが増加又は減少し、ある一定の硬さで飽和する。これは、成分元素を上述のように最適化した素材を650〜950℃の温度に曝すと、結晶粒内にCr系窒化物又はFe−Cr−Mo系金属間化合物からなる微細な強化相が多量に析出するためと考えられる。
また、冷間加工を施した材料は、単に固溶化熱処理のみを施した材料に比べて、短時間で硬さが飽和する。これは、材料内部に導入された歪みが結晶粒内への強化相の析出又は高温組織の安定化を促進するためと考えられる。
そのため、固溶化熱処理及び所定の断面減少率での冷間加工を施した材料は、650〜950℃の温度範囲で使用される耐熱部品用の素材として特に好適である。
[1.4 時効処理]
本発明の第3の実施の形態に係る耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、上述した組成を有する鋼に対して固溶化熱処理を施した後、又は、固溶化熱処理及び冷間加工を施した後、650℃〜950℃の温度で時効処理することにより得られる。
時効処理は、結晶粒内に微細なCr系窒化物又はFe−Cr−Mo系金属間化合物からなる強化相を析出させるために行う。また、冷間加工後の強度が時効処理後の強度を上回る場合、時効処理は、高温組織の安定化による耐過時効性向上のためにも行われる。
時効処理温度は、強化相を析出可能な温度であれば良い。一般に、時効処理温度が低すぎると、結晶粒内に強化相を析出させるのが困難となる。従って、時効処理温度は、650℃以上が好ましい。
一方、時効処理温度が高くなりすぎると、析出した強化相がオーステナイト相に再固溶する。従って、時効処理温度は、950℃以下が好ましい。
時効処理時間は、時効処理温度に応じて最適な時間を選択する。一般に、時効処理温度が高くなるほど、短時間で所定量の強化相を析出させ、あるいは、短時間で高温組織を安定化させることができる。
固溶化熱処理後に時効処理を行う場合、時効処理時間は、次の(1)式に示すAPが16〜20の範囲内とするのが好ましい。
AP=(273+[T])×(15+log[t])×10-3 ・・・(1)
但し、[T]:温度(℃)、[t]:時間(hr)
具体的には、650〜750℃の温度範囲では10時間以上、750〜950℃の温度範囲では1時間以上が好ましい。
一方、固溶化熱処理+冷間加工後に時効処理を行う場合、粒内に歪みが付与されているため、(1)式に示すAPより短い時効処理時間であっても、所定量の強化相を析出させ、あるいは、高温組織を安定化させることができる。冷間加工を行った場合には、時効処理は、650〜950℃の温度で1時間以上行うのが好ましい。
固溶化熱処理後の材料を所定の温度で時効処理すると、その硬さが増加し、ある一定の硬さで飽和する。これは、成分元素を上述のように最適化した素材を所定の温度で時効処理すると、結晶粒内にCr系窒化物又はFe−Cr−Mo系金属間化合物からなる微細な強化相が多量に析出するためと考えられる。
また、固溶化熱処理+冷間加工を施した材料を所定の温度で時効処理すると、冷間加工の断面減少率に応じて硬さが増加又は減少し、ある一定の硬さで飽和する。しかも、単に固溶化熱処理のみを施した材料に比べて、短時間で硬さが飽和する。これは、材料内部に導入された歪みが結晶粒内への強化相の析出又は高温組織の安定化を促進するためと考えられる。
そのため、時効処理を施した材料は、650〜950℃の温度範囲で使用される耐熱部品用の素材として特に好適である。
[1.5 強化相]
上述したように、固溶化熱処理(及び冷間加工)後の材料をそのまま高温で使用し、又は、所定の温度で時効処理すると、Cr系窒化物又はFe−Mo−N系金属間化合物からなる強化相が結晶粒内に析出する。各種処理条件を最適化すると、強化相の大きさ、含有量などを制御することができる。
ここで、「Cr系窒化物」とは、Cr2Nを基本的な化学組成とする窒化物相をいう。Cr系窒化物相は、一般に、Cr≧65mass%、0≦Mo≦20mass%、0≦Mn≦10mass%、0≦Fe≦10mass%を含み、残部が実質的にNからなる組成を有する。Cr系窒化物相には、鋼中に添加されたその他の元素が含まれる場合がある。
また、「Fe−Cr−Mo系金属間化合物」とは、Fe36Cr12Mo10又はFeCrを基本的な化学組成とする金属間化合物相をいう。Fe−Cr−Mo系金属間化合物は、一般に、15≦Cr≦40mass%、5≦Mo≦35mass%、0≦Mn≦10%を含み、残部が実質的にFeからなる。Fe−Cr−Mo系金属間化合物は、鋼中に添加されたその他の元素が含まれる場合がある。
結晶粒内に析出した強化相の大きさ及び析出量は、耐熱部品の高温強度、耐過時効性、及び耐ヘタリ性に影響を与える。一般に、微細な強化相が多量に析出するほど、高い高温特性が得られる。
例えば、Cr系窒化物は、時効処理又は高温での使用によって、微細層状又はロッド状に粒界より生成し、適切な温度で適切な時間保持することにより粒内全体に析出する。高い高温特性を得るためには、Cr系窒化物の短径は、1μm以下が好ましい。
一方、Fe−Cr−Mo系金属間化合物は、適切な固溶化熱処理が施されている場合には、時効処理又は高温での使用によって、微細粒状に粒内に析出する。高い高温特性を得るためには、Fe−Cr−Mo系金属間化合物の直径は、1μm以下が好ましい。
鋼中には、1μmを超える粗大な強化相が含まれていても良いが、粗大な強化相は、強度上昇にあまり寄与しない。
具体的には、短径が1μm以下であるCr系窒化物が占める面積率(A%)及び直径が1μm以下であるFe−Cr−Mo系金属化合物が占める面積率(B%)の和(A+B)は、10%以上が好ましい。A+Bが10%以上になると、Fe基超合金やNi基超合金と同等以上の時効強度が得られる。
[1.6 フェライト相]
フェライト相は、窒素の固溶度をほとんど持たないので、非常に強度が低い。そのため、マトリックス中にこのような軟質の相が生成すると、時効処理後の強度は、著しく低下する。従って、金属組織に占めるフェライト相の体積率は、5体積%以下が好ましい。
「金属組織」とは、Cr系窒化物及びFe−Cr−Mo系金属間化合物以外の領域をいう。
フェライト相の生成を抑制するには、まず、固溶化熱処理時において、オーステナイト単相組織とする必要がある。そのためには、凝固時に生成するδ−フェライト相の生成を抑制し、かつ、固溶化熱処理温度に保持した状態においてフェライト相が生成しないように、オーステナイト相の安定性を確保する必要がある。
これを考慮したのが(2)式に示すX値である。X>0となるように成分バランスを最適化すると、凝固時に生成するδ−フェライト相の生成を抑制することができ、固溶化熱処理によってオーステナイト単相組織とするのが容易化する。
X=19[%N]+25[%C]+[%Ni]+[%Cu]+[%Co]−1.2[%Cr]−1.8[%Mo]−0.6[%Si]+13.5 ・・・(2)
但し、[%M]は、各種合金元素(M)のmass%。
次に、時効処理温度である650〜950℃の温度範囲において、フェライト相の生成を抑制する必要がある。これを考慮したのが(3)式に示すY値である。Y>0となるように成分バランスを最適化すると、時効処理時のフェライト相の生成を抑制するのが容易化する。
Y=18[%N]+18[%C]+1.5[%Mn]+[%Ni]+[%Cu]+[%Co]−[%Cr]−[%Mo] ・・・(3)
但し、[%M]は、各種合金元素(M)のmass%。
X>0、かつ、Y>0となるように成分バランスを最適化すると、オーステナイト相が十分安定となるので、固溶化熱処理条件及び時効処理条件を最適化することにより、金属組織に占めるフェライト相の体積率を5体積%以下にすることができる。また、これによって、Fe基超合金やNi基超合金と同等以上の時効強度が得られる。
[2. 耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼の作用]
Ni含有量が5.0mass%未満であるオーステナイト系ステンレス鋼において、N含有量を0.8mass%超とし、かつ、適量のMn、Cr及びMoを添加すると、700℃を超える使用環境において、Fe基超合金やNi基超合金と同等以上の高温強度、耐過時効性、及び、耐へたり性が得られる。また、800℃で100時間以上の時効処理後又はこれと同等の熱履歴を受けた後の硬さが450Hv以上となる。
これは、
(1)このような組成を有する鋼を、固溶化熱処理後若しくは固溶化熱処理+冷間加工後に650〜950℃の温度(特に、700℃を超える温度)で使用し、又は、固溶加熱処理後若しくは固溶化熱処理+冷間加工後に650〜950℃で時効処理することによって、結晶粒内にCr系窒化物又は又はFe−Mo−N系金属間化合物からなる微細な強化相が多量に析出するため、及び、
(2)成分元素を最適化することにより、650〜950℃の温度範囲において強度低下の原因となる軟質なフェライト相の生成が抑制されるため、
と考えられる。
(実施例1〜30、比較例1〜18)
[1. 試料の作製]
雰囲気圧力を2気圧以上に加圧可能な高周波誘導炉により、表1の化学成分の合金を溶解・鋳造し、50kgの鋼塊を得た。次の、この鋼塊を均質加熱後、熱間鍛造及び熱間圧延し、板材とした。得られた板材に対して、1050〜1150℃で保持した後、水冷する固溶化熱処理を行った。また、固溶化熱処理を施した板材に対して、引き続き断面減少率0〜50%で冷間加工を行った。
時効処理は、固溶化熱処理を施した素材、及び固溶化熱処理を施した後に冷間加工を行った素材に対し、700〜900℃の温度で行った。時効処理時間は、最大で300時間とした。
なお、現用鋼の代表として、Fe基超合金:SUS660相当材(比較例17)、Ni基超合金:インコネル(登録商標)718相当材(比較例18)についても試験に供した。但し、固溶化熱処理については、一般的に用いられる温度条件である980℃で行った。
Figure 2009249658
[2. 試験方法]
[2.1 窒素ブローの有無]
鋳造鋼塊の中央部より試験片を切り出し、窒素ブロー(鋼塊内部の泡状欠陥)の有無を目視にて確認した。
[2.2 析出物の面積率、フェライト相の体積率、硬さ]
(a)固溶化熱処理状態の素材、
(b)固溶化熱処理を施した後、時効処理を行った素材、
(c)固溶化熱処理及び断面減少率0〜50%の冷間圧延を行った後、時効処理を行った素材、
より試料を採取し、析出物の面積率、フェライト相の体積率、及び硬さを測定した。
析出物の面積率(A+B)は、EDXにより析出物の組成を確認した上で、FE−SEMの反射電子像にて組織写真を撮影し、写真を画像解析することにより求めた。
また、フェライト相の体積率は、フェライトメーターを用いて測定した。
さらに、硬さは、JIS Z2244に準拠してビッカース硬さを測定した。
[3. 結果]
表2に、その結果を示す。比較例1〜18は、いずれも実施例1〜30に比べて時効処理後の硬さが低い。
比較例1及び比較例9の硬さが低いのは、Niが過剰であるために、結晶粒内での強化相の生成量が減少したためと考えられる。
比較例2及び比較例3の硬さが低いのは、Niが過剰であることに加えて、Nが不足しているためと考えられる。
比較例4及び比較例6の硬さが低いのは、Mnが過剰であるために、強化相の生成量が減少したためと考えられる。
比較例5の硬さが低いのは、Moが不足しているために、強化相の生成量が減少したためと考えられる。
比較例7及び比較例12の硬さが低いのは、Crが過剰であるために、時効処理時に軟質なフェライト相が多量に生成したためと考えられる。
比較例8の硬さが低いのは、Ni及びMnが過剰であるために、強化相の生成量が減少したためと考えられる。
比較例10の硬さが低いのは、Mnが不足しているために、時効処理時に軟質なフェライト相が多量に生成したためと考えられる。
比較例11の硬さが低いのは、Niが過剰であるために、結晶粒内での強化相の生成量が減少したためと考えられる。
比較例13の硬さが低いのは、Cr及びNが不足しているために、強化相の生成量が減少したためと考えられる。
比較例14の硬さが低いのは、Cが過剰であるために、強化相の生成量が減少したためと考えられる。また。Cが過剰であるために、冷間加工において割れが生じた。
比較例15は、Cuが過剰であるため、鍛造割れを生じた。さらに、比較例16は、Nが過剰であるために、鋼塊にNブローが生じた。
これに対し、実施例1〜30は、いずれも鋼塊にNブローが生じなかった。また、固溶化熱処理後に時効処理を行ったものの硬さ、及び固溶化熱処理+冷間加工後に時効処理を行ったものの硬さは、いずれも比較例17(Fe基超合金:SUH660相当材)よりも高く、比較例18(Ni基超合金:インコネル(登録商標)718相当材)と同等以上であることがわかった。
断面減少率50%の冷間加工後、長時間の時効処理を行ったものについても、比較例18と同等以上の硬さを示し、耐へたり性に優れていることが分かった。
Figure 2009249658
図1に、固溶化熱処理+800℃×100hの時効処理を行った実施例1の材料の光学顕微鏡写真及びSEM−反射電子像を示す。また、図2に、固溶化熱処理+800℃×100hrの時効処理を行った比較例2の材料の光学顕微鏡写真を示す。
図1〜2より、比較例2の材料は、時効処理を行っても粒内に強化相がほとんど析出しないのに対し、実施例1の材料は、時効処理によって微細な強化相が多量に析出していることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼は、650〜950℃で使用される高強度耐熱部材、例えば、
(1)コイルバネ、板バネ、ボルト、ナット、シャフト、パイプ、リング、シリンダーライナー、ハブ、コネクター、軸受、レース、レール、ピン、ロール、タービンブレード、金型、ダイス、バルブ、ノズル、
(2)工業炉部材、ごみ焼却炉部材、蒸気タービン部材、ガスタービン部材、原子炉部材、航空機部材、工業プラント部材、
などに使用することができる。
また、オーステナイト相の安定性を十分確保した鋼種は、非磁性・高強度部材として、(1)精密電子部品用のバネ、シャフト、軸受、レース、ピン、レール、
(2)MRI部品、MRI対応可能な医療器具、
(3)リニアモーターカー部品、
(4)ピンセット、鋏、刃物、
などにも有効である。
固溶化熱処理+800℃×100hの時効処理を行った実施例1の材料の光学顕微鏡写真及びSEM−反射電子像である。 固溶化熱処理+800℃×100hrの時効処理を行った比較例2の材料の光学顕微鏡写真である。

Claims (9)

  1. 0.005≦C≦0.25mass%、
    Si<1.0mass%、
    0.2<Mn<10.0mass%、
    P≦0.05mass%、
    S≦0.10mass%、
    15.0≦Cr≦25.0mass%、
    0.5≦Mo≦8.0mass%、
    0.8<N≦1.5mass%、
    Al≦0.030mass%、
    Ti≦0.030mass%、及び、
    O≦0.020mass%、
    を含み、残部がFe及び不可避的な不純物からなり、
    固溶化熱処理を施すことにより得られる耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼。
  2. 前記固溶化熱処理後に冷間加工を施すことにより得られる請求項1に記載の耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼。
  3. 前記固溶化熱処理又は前記冷間加工後に、650℃〜950℃の温度で時効処理することにより得られる請求項1又は2に記載の耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼。
  4. 結晶粒内に分散しているCr系窒化物及び/又はFe−Cr−Mo系金属間化合物からなる強化相を備え、
    短径が1μm以下である前記Cr系窒化物が占める面積率(A%)及び直径が1μm以下である前記Fe−Cr−Mo系金属間化合物が占める面積率(B%)の和(A+B)が10%以上であり、
    金属組織に占めるフェライト相の体積割合が5体積%以下である
    請求項3に記載の耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼。
  5. 0.01≦Cu≦4.0mass%、
    0.05≦Ni<5.0mass%、
    0.01≦Co≦6.0mass%、及び、
    0.01≦W≦8.0mass%、
    から選ばれるいずれか1種以上の元素をさらに含む請求項1から4までのいずれかに記載の耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼。
  6. 0.01≦V<1.0mass%、
    0.01≦Nb≦0.50mass%、
    0.01≦Ta≦0.50mass%、及び、
    0.01≦Zr≦0.50mass%、
    から選ばれるいずれか1種以上の元素をさらに含む請求項1から5までのいずれかに記載の耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼。
  7. 0.0005≦B≦0.01mass%、
    0.0005≦Ca≦0.01mass%、及び、
    0.0005≦Mg≦0.01mass%、
    から選ばれるいずれか1種以上の元素をさらに含む請求項1から6までのいずれかに記載の耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼。
  8. 800℃で100時間以上の時効処理後における硬さが450Hv以上である請求項3から7までのいずれかに記載の耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼。
  9. 請求項1から8までのいずれかに記載の耐熱部品用オーステナイト系ステンレス鋼を用いた耐熱部品。
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