JP2009248450A - 未加硫タイヤの製造装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】図4Aに示すように、フィルム42aの先端部分を抑えローラ42でタイヤ成型体Tの内面に抑えつけながらタイヤ成型体Tを図1に示した押圧部11で回転させることで、貼付部50がフィルム供給装置40からフィルム42aを引き出しつつ、タイヤ周方向にフィルム42aを貼り付けていく(図4B参照)。このとき、タイヤ成型体Tの内周張り付け面に対応して、貼付部50の位置及びフィルム42aの貼付面の角度を変更しつつ、タイヤ成型体Tを回転させる。続いて、タイヤ成型体Tを回転させて、フィルム42aに引張応力及び曲げ応力を加えて変形させ、タイヤ成型体T内面に周方向螺旋状に、即ち貼り付けたフィルム42aとその幅方向の縁部が重なるように引き続きフィルム42aを貼り付けていく(図4C参照)。
【選択図】図4
Description
このインナーライナー77は、少なくともタイヤ成型ドラムの円周以上の長さに裁断されたフィルム状シートを、タイヤ成型ドラムに貼り付けて、その端部同士を熱処理して接合して形成している。
タイヤ成型ドラム81は、図8Aに示すように、供給手段(図示せず)から供給されたフィルム状シート82の先端部82aを同成型ドラム81上の図示しない吸着手段で吸着しながら、図中の矢印方向に回転して巻き取りを行う。
なお、この現象はフィルム同士を溶着してインナーライナーを製造する場合だけではなく、例えば後端部82bに接着剤を塗布し、先端部82aと後端部82bとを接着して、フィルムインナーライナーを製造する場合においても起こり得る。即ち、上記ジョイント部82cの二枚のフィルム状シート82が接着剤の固化によって一体化すると、その部分の剛性が高くなり、伸張性が低下する。
この未加硫タイヤの製造方法では、フィルムの重なり部分がタイヤ幅方向等間隔に形成されるため、タイヤ成型ドラム上に貼り付けられたタイヤ構成部材を拡張させても、タイヤ全体として均一に拡張することができる。
しかしながら、この未加硫タイヤの製造方法は、タイヤ成型体内部に貼り付けるフィルムを所定長に切断する必要があり、タクトタイムが掛かるという問題がある。また、タイヤ成型体内面の曲率半径が小さい部分にはフィルムとタイヤ成型体内面との間にエア残りが発生する虞がある。
また、本願の発明は、タイヤ成型体の内面に帯状のフィルムから成るフィルム層を備えた未加硫タイヤの製造方法であって、帯状フィルムをタイヤ成型体の内面に供給する工程と、タイヤ成型体を回転させる工程と、回転するタイヤ成型体の内周面に沿って、帯状フィルムをその幅方向縁部同士を重ねて貼り付ける工程と、前記貼り付けたフィルムを前記タイヤ成型体内部全面に圧着する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の未加硫タイヤの製造装置の実施形態であるフィルムインナーライナー貼付装置は、タイヤ成型体を保持するタイヤ成型体ホルダと、熱可塑性樹脂から成るフィルムインナーライナー(以下、単にフィルムという)をタイヤ成型体の内面に周方向螺旋状に貼り付けるフィルム貼付手段であるフィルム貼付装置と、フィルムをフィルム貼付装置に供給するためのフィルム供給装置とから成っている。
タイヤ成型体ホルダ10は、シリンダ機構やボールネジ機構等の図示しない駆動機構を有する本発明の回転手段に対応する複数の(図示されているのは上下2つ)押圧部11を備えており、この押圧部11はタイヤ成型体ホルダ10の図示しない本体部と固着している。この複数の押圧部11は環状に配置されており、その半径中心方向にタイヤ成型体Tに当接する略平面状の当接部11aを備えている。
タイヤ成型体Tを保持するときは、図示のように、この複数の押圧部11の内側にタイヤ成型体Tを配置して、押圧部11の当接部11aを図示しない駆動機構によりタイヤ成型体Tの半径中心方向に駆動して、タイヤ成型体Tの外周面上に当接部11aを当接させてタイヤ成型体Tを押圧して保持する。
フィルム貼付装置20は、フィルム供給装置40から供給されるフィルムをタイヤ成型体T内に貼り付けて、インナーライナーを形成する。
フィルム貼付装置20は、床面上を図中Y軸方向(タイヤ幅方向)に走行可能で図中X軸方向(Y軸と直交方法)に所定幅の溝21を有し、フィルムを貼り付けるタイヤ幅方向の位置を変更する位置変更手段である台車22と、その台車22の溝21上を摺動可能なスライド板23上に設置した支柱24と、その上端部に上記Y軸方向に取り付けたアーム26と、その先端部分に上記X軸方向に回転可能に取り付けられた回転軸27と、回転軸27を所定角度回転させるモータやギアなどから成る駆動装置25と、回転軸27の他端に鉛直下方向に取り付けられた鉛直板28aと鉛直板28aの下端部から上記X軸方向に延在する水平板28bとから成り、後述する貼付部50を支持するL字型の支持板28と、鉛直板28aの上下略中央部にX軸方向に取り付けられた円柱部材29と、水平板28bの先端に取り付けられ、フィルム供給装置40からフィルム42aを引き出しつつ、タイヤ成型体T内面に貼り付ける貼付部50とから成っている。
なお、以上の説明では、支柱24はその長さが一定であるが、支柱24の内部に、例えばねじ杆などによる長さ変更手段を設けておき、この長さ変更手段により支柱24の長さを調節し、アーム26を上方に移動させるようにすれば、製造するタイヤサイズに合わせて、アーム26の高さを変更することができる。
また、貼付部50の位置を、サイズの異なるタイヤ成型体Tの内面に容易に合わせることができるよう、鉛直板28bの鉛直方向の長さを変更自在に構成してもよい。
フィルムロール42からY軸方向に引き出されたフィルム42aは、フィルム貼付装置20の円柱部材29の外周に沿ってねじられながら鉛直下方向に、また、貼付部50の内部に設けられた後述するローラの外周に沿ってX軸方向に引き出される。
なお、このフィルム42aの接着剤の塗布面に予め剥離紙を貼り付けておき、剥離ライナーで剥がしながらフィルム貼付装置20にフィルム42aを供給してもよい。
貼付部50は、上面が開口して鉛直下方向に延在した箱状体51aと箱状体51aの下端部からX軸方向に延在した、一端面にフィルム42aを引き出すための引出口51cを形成した箱状体51bとから成り、全体として略L字型を成した箱体51と、箱体51の内部下方に回転可能に取り付けられたローラ52と、上記箱状体51bの引出口51cから引き出されるフィルム42aをタイヤ成型体T内面に抑えつけるための円筒状の抑えローラ53と、抑えローラ53を回転可能かつ、フィルム42aから接離自在に支持する抑えローラ支持杆54と、抑えローラ支持杆54上端に設けられた後述する直立杆54aの端部付近を押して、抑えローラ53をフィルム42aから接離させるピストンシリンダ機構56とから成っている。
ピストンシリンダ機構56は、箱状体51aに任意の固定手段で固定されており、そのピストンの先端は抑えローラ支持杆54の直立杆54aの側面に当接している。
抑えローラ53をフィルム42aから離隔させるときには、ピストンシリンダ機構56を駆動させて、シリンダの先端で抑えローラ支持杆54の直立杆54aを図中矢印A方向に押して揺動させる。直立杆54aが揺動するのに連動して、抑えローラ支持杆54に取り付けられた抑えローラ53は、揺動杆54cを中心に所定の角度だけ図中矢印B方向に揺動し、フィルム42aから離隔する。
このフィルム貼付装置20を用いてタイヤ成型体T内面にフィルム42aを貼り付けるときは、まず、フィルム供給装置40からフィルム貼付装置20にフィルム42aを供給し、フィルム貼付装置20を移動させて、タイヤ成型体Tの中心穴内に貼付部50を挿入する。即ち、タイヤ成型体の内面にフィルム42aを供給する。続いて、駆動手段25により回転軸27(図2参照)を回転させて、即ち、貼付部50を回転軸27を中心に円弧状に揺動させて、貼付部50の抑えローラ53及び貼付部50から引き出されるフィルム42aの貼付面の角度を変更してタイヤ成型体T内面の幅方向の傾斜に合わせる。
図5は、フィルム押付装置30の側面図である。
フィルム押付装置30は、床面に設置された板状の基部31の上面に設けられた二本の支柱32と、その支柱32に水平に支えられた板状の部材33aとその両端から上方に延在した側面33bから成る断面コ字型のねじ杆支持部33と、このねじ杆支持部33の側面33b間に水平に取り付けたねじ杆34と、このねじ杆34に螺合する部分を有する断面かぎ型の部材35aとこの部材35aの他端に縦方向に一体に形成された板状の部材35bとその両端から水平に延在した側面35cとからなるねじ杆支持部35と、このねじ杆支持部35の側面35c間に鉛直に取り付けられたねじ杆36と、このねじ杆36に螺合したアーム支持部材37と、これに一端が固着され、その他端にフィルム圧着手段であるローラ39を回動自在に取り付けた略U字型のローラアーム38とから成る。
なお、このフィルム押付装置30は、タイヤ成型体Tの幅方向にローラ39を移動させる構成であるが、これに限らず、例えばローラ39の回動軸方向がタイヤ成型体Tの軸方向に一致するようにローラアーム38で保持して、ローラ39をタイヤ成型体Tの周方向に沿って移動させるように構成してもよい。
また、ローラ39の代わりとして、例えばブラダーなど、フィルム42aをタイヤ成型体Tの内面に圧着することができるものを用いてもよい。また、本実施形態では、ねじ杆34,36をサーボモータで回転させることでローラ39をタイヤ成型体Tの内面に沿って移動させているが、例えばシリンダ機構など、他の駆動機構でローラ39を駆動させてもよい。このローラ39とローラアーム38とをバネを介して接続すれば、ローラアーム38からローラ39へ伝達される押し付け力を一定に調整することもできる。
図示のように、タイヤ成型体Tの内面に貼り付けられたフィルム42aは、その幅方向の端部が重なるように貼り付けられている、即ち幅方向にジョイント部が形成されている。このジョイント量(ジョイント部の幅)は一定でなくてもよく、例えば、タイヤ中央部とビード部付近とでジョイント量が異なっていてもよい。
また、フィルム貼付装置20で貼り付けたフィルム42aは、既に説明したフィルム押付装置30で押し付けられ、また加硫時に加硫ブラダーによってもフィルム42aをタイヤ成型体内面に圧着させるから、フィルム貼付装置20でタイヤ成型体Tに貼り付けたときのフィルム42aに多少の皺が生じていても製品タイヤの品質に問題はない。
また、本実施形態では、フィルム42aを切断することなくタイヤ成型体Tの内面に貼り付けることができるから、切断することによるタクトタイムを低減し、生産性を向上させることができる。
従来のフィルムインナーライナーをタイヤ成型体の内面に貼り付けて未加硫タイヤを製造する方法と比して、エア残りのない良質のタイヤを製造することができる。
加えて、インナーライナーにゴム材料よりも軽量な熱可塑性樹脂のフィルムを用いているため、インナーライナーにゴム材料を用いた場合に比してタイヤ重量が軽減され、延いては自動車の燃費向上などのメリットが得られる他、エアの漏洩も少なくロングライフ化が可能である。また、使用部材を省資源化することができ、加硫時間の短縮など、生産性の向上も期待できる。
また、本実施形態では、フィルム42aの片面に接着剤を塗布してあるとして説明したが、フィルム42a自体に吸着性があるため、接着剤を必ずしも塗布しなくともよい。
また、本実施形態に係るタイヤ成型体Tの内面に貼り付ける上記フィルム42aはゴム製のインナーライナーと併用することもできる。
Claims (9)
- タイヤ成型体の内面に帯状のフィルムから成るフィルム層を備えた未加硫タイヤの製造装置であって、
タイヤ成型体をタイヤ周方向に回転させる回転手段と、
タイヤ成型体内面に帯状フィルムを供給するフィルム供給手段と、
前記回転するタイヤ成型体の内周面に沿って、帯状フィルムをその幅方向縁部同士を重ねて貼り付けるフィルム貼付手段と、を有することを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。 - 請求項1に記載された未加硫タイヤの製造装置において、
前記タイヤ成型体の内面に貼り付けられたフィルムを圧着するフィルム圧着手段を有することを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。 - 請求項1又は2に記載された未加硫タイヤの製造装置において、
前記フィルム貼付手段は、前記帯状フィルムをタイヤ成型体内面に螺旋状に貼り付けることを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載された未加硫タイヤの製造装置において、
前記フィルム貼付手段は、前記帯状フィルムを貼り付けるタイヤ幅方向の位置を変更する位置変更手段と、前記帯状フィルムを貼り付ける角度を変更する角度変更手段と、を有することを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。 - 請求項4に記載された未加硫タイヤの製造装置において、
前記角度変更手段は、前記フィルム供給手段から供給された帯状フィルムを円弧に沿って回転移動させる回転移動手段を有することを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。 - タイヤ成型体の内面に帯状のフィルムから成るフィルム層を備えた未加硫タイヤの製造方法であって、
帯状フィルムをタイヤ成型体の内面に供給する工程と、
タイヤ成型体を回転させる工程と、
回転するタイヤ成型体の内周面に沿って、帯状フィルムをその幅方向縁部同士を重ねて貼り付ける工程と、を備えたことを特徴とする未加硫タイヤの製造方法。 - 請求項6に記載された未加硫タイヤの製造方法において、
前記貼り付けたフィルムを前記タイヤ成型体内部全面に圧着する工程を備えたことを特徴とする未加硫タイヤの製造方法。 - 請求項6又は7に記載された未加硫タイヤの製造方法において、
前記重ねて貼り付ける工程は、前記帯状のフィルムをタイヤ成型体内面に螺旋状に貼り付けることを特徴とする未加硫タイヤの製造方法。 - 請求項6ないし8のいずれかに記載された未加硫タイヤの製造方法において、
前記重ねて貼り付ける工程は、タイヤ成型体の内周張り付け面に対応して帯状フィルム面の角度を変更して貼り付けることを特徴とする未加硫タイヤの製造方法。
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