JP2009246064A - 有機el素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】高エネルギーギャップを有するホスト材料を使用する場合であっても発光効率を向上させることが可能な有機EL素子を提供する。
【解決手段】複数層からなる有機層5を陽極2と陰極6との間に積層形成してなる有機EL素子である。有機層5は、少なくとも正孔輸送性材料5eあるいは電子輸送性材料を含む輸送層5a,5c及びホスト材料5gにドーパント5fを加えてなる発光層5bを有する。輸送層5a,5cに発光層5bと同一のドーパント5fを加えてなる。ホスト材料5gは、そのエネルギーギャップが正孔輸送性材料5eあるいは前記電子輸送性材料のエネルギーギャップより大きいことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】複数層からなる有機層5を陽極2と陰極6との間に積層形成してなる有機EL素子である。有機層5は、少なくとも正孔輸送性材料5eあるいは電子輸送性材料を含む輸送層5a,5c及びホスト材料5gにドーパント5fを加えてなる発光層5bを有する。輸送層5a,5cに発光層5bと同一のドーパント5fを加えてなる。ホスト材料5gは、そのエネルギーギャップが正孔輸送性材料5eあるいは前記電子輸送性材料のエネルギーギャップより大きいことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に関し、特に有機EL素子の高効率化に関するものである。
従来、有機材料によって形成される自発光素子である有機EL素子は、例えば、陽極となるITO(Indium Tin Oxide)等からなる第一電極と、少なくとも発光層を有する有機層と、陰極となるアルミニウム(Al)等からなる非透光性の第二電極と、を順次積層して前記有機EL素子を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかる有機EL素子は、前記第一電極から正孔を注入し、また、第二電極から電子を注入して正孔及び電子が前記発光層にて再結合することによって光を発するものであり、所定の電流で高い輝度を出す高効率素子が望まれている。
特開昭59−194393号公報
しかしながら、有機EL素子の発光色において、特に純青色発光は高エネルギーであるため、前記発光層を構成する材料は高いエネルギーギャップを持つものに限られ、材料の選択の自由度が少なく高効率化が困難であるといった問題点があった。
そこで本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、特に高エネルギーギャップを有するホスト材料を使用する場合であっても発光効率を向上させることが可能な有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために、複数層からなる有機層を陽極と陰極との間に積層形成してなる有機EL素子であって、前記有機層は、少なくとも正孔輸送性材料あるいは電子輸送性材料を含む輸送層及びホスト材料にドーパントを加えてなる発光層を有し、前記輸送層に前記発光層と同一のドーパントを加えてなることを特徴とする。
また、前記ホスト材料は、そのエネルギーギャップが前記正孔輸送性材料あるいは前記電子輸送性材料のエネルギーギャップより大きいことを特徴とする。
また、前記ドーパントは、そのエネルギーギャップが前記ホスト材料のエネルギーギャップより小さいことを特徴とする。
また、前記ドーパントは、そのエネルギーギャップが前記正孔輸送性材料あるいは前記電子輸送性材料のエネルギーギャップより小さいことを特徴とする。
また、前記ドーパントは、蛍光ドーパントからなることを特徴とする。
また、前記輸送層は、前記正孔輸送性材料を含む正孔注入輸送層であることを特徴とする。
また、前記発光層と前記陰極との間に、電子移動度が10−4cm2/V・s以上である電子輸送性材料を含む電子輸送層を形成してなることを特徴とする。
また、前記輸送層は、前記電子輸送性材料を含む電子輸送層であることを特徴とする。
本発明は、有機EL素子に関し、高エネルギーギャップを有するホスト材料を使用する場合であっても発光効率を向上させることが可能となるものである。
以下に、ドットマトリクス型の有機ELパネルに本発明を適用した実施形態を添付の図面に基いて説明する。
図1において、有機ELパネルは、支持基板1と、第一電極(陽極)2と、絶縁層3と、隔壁部4と、有機層5と、第二電極(陰極)6と、封止部材7とから主に構成されている。
支持基板1は、長方形形状からなる透光性のガラス基板である。
第一電極2は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性の導電材料をスパッタリングあるいは蒸着法等の方法で支持基板1上に層状に形成し、例えばフォトリソグラフィー法にてストライプ状にパターニングしてなるものである。第一電極2は、図1(a)に示すように陽極配線部2a及び陽極部2bを有しており、陽極配線部2aは終端部に外部電源と電気的に接続するための陽極端子部2cを備える。また、第一電極2は、表面がプラズマ処理等の表面処理を施されている。
絶縁層3は、ポリイミド系やフェノール系等の絶縁材料からなるものでフォトリソグラフィー法等の手段によって支持基板1上の非発光個所に所定の形状にて形成される。絶縁層3は、第一電極2の各陽極部2bの間に形成されるとともに第一電極2と若干重なるように形成され、第一電極2と第二電極6との間を絶縁するものである。
隔壁部4は、例えばフェノール系等の絶縁材料からなるものであり、フォトリソグラフィー法等の手段によって断面が例えば逆テーパー状に形成される。隔壁部4は第一電極2及び絶縁層3上においては陽極部2bと略直角に交わるように形成され、また、支持基板1上の後述する陰極配線部に対応する個所においては図1(a)に示すように支持基板1の有機EL素子形成面側から見て円弧状となるように形成される。
有機層5は、第一電極2及び絶縁層3上に形成されるものであり、図2に示すように、正孔注入輸送層(正孔輸送層)5a,発光層5b,電子輸送層5c及び電子注入層5dを蒸着法等の手段によって順次積層形成してなり、膜厚60〜200nm程度の層状となるものである。
正孔注入輸送層5aは、第一電極2から正孔を取り込み発光層5bへ伝達する機能を有し、例えばアミン系化合物等の正孔移動度が高い正孔輸送性材料5eを蒸着法等の手段によって膜厚20〜80nm程度の層状に形成してなる。正孔輸送性材料5eは、ガラス転移温度が85℃以上(さらに好ましくは130℃以上)であり、エネルギーギャップは3.1eV程度である。さらに、発光層5bと接する部分には正孔輸送材料5eよりもエネルギーギャップの小さいドーパント5f(例えばエネルギーギャップが2.8eV程度)がドーピングされている。ドーパント5fは、発光層5bのドーパントに用いられる材料と同一材料からなり、本実施形態においては青色発光を示す蛍光ドーパントからなる。
発光層5bは、ホスト材料5gにゲスト材料としてドーパント5fを蒸着法等の手段によってドープし、膜厚20〜60nm程度の層状に形成してなる。ホスト材料5gは、正孔及び電子の輸送が可能であり、正孔及び電子が輸送されて再結合することで発光を示す発光材料からなり、例えば3.3eV程度のエネルギーギャップを持つアントラセン誘導体等からなる。ドーパント5fは、電子と正孔との再結合に反応して発光する機能を有し、所定の発光色を示し、例えば青色発光を示す蛍光ドーパントからなる。尚、ドーパント5fのドーピング量は濃度消光を起こさない程度となるように構成することが望ましく、本実施の形態では、発光層5bにおける濃度が2〜20%となるようにドーパント5fが添加されている。
電子輸送層5cは、電子を発光層5bへ伝達する機能を有し、例えばキレート系化合物であるアルミキノリノール(Alq3)等の電子移動度が高い電子輸送性材料を蒸着法等の手段によって膜厚20〜60nm程度の層状に形成してなる。あるいは、10−4cm2/V・s以上の電子移動度を持つシロール系の有機材料を用いる。
電子注入層5dは、第二電極6から電子を注入する機能を有し、例えばフッ化リチウム(LiF)を蒸着法等の手段によって膜厚1nm程度の層状に形成してなる。
第二電極6は、アルミニウム(Al)やマグネシウム銀(Mg:Ag)等の導電性材料を蒸着法等の手段によって膜厚50〜200nm程度の層状に形成してなるものであり、隔壁部4によってストライプ状に切断され、円弧状の陰極配線部6a及び透明電極2に略直角に交わる陰極部6bが形成される(図1(a)参照)。また、陰極配線部6aは接続配線部8に電気的に接続されている。接続配線部8は、第一電極2とともに形成されるものであり、同一材料のITOからなるものである。また、接続配線部8は、終端部に前記外部電源と電気的に接続するための陰極端子部8aが形成されている。
以上のように、支持基板1上に第一電極2と絶縁層3と隔壁部4と有機層5と第二電極6とを順次積層して積層体を形成する。マトリクス状に設けられた陽極部2bと陰極部6bの対向箇所が発光画素(有機EL素子)となる。
封止部材7は、例えばガラス材料からなる成型ガラス或いは平板部材をサンドブラスト、切削及びエッチング等の適宜方法で凹形状に形成してなるものである。封止部材7は、例えば紫外線硬化性エポキシ樹脂からなる接着剤7aを介して支持基板1上に気密的に配設することで、封止部材7と支持基板1とで前記積層体を封止する。封止部材7は、第一電極2の陽極端子部2cおよび第二電極6に接続される陰極端子部8aが外部に露出するように支持基板1よりも若干小さめに構成されている。なお、封止部材7は平板状であってもよく、その場合封止部材7はスペーサーを介して支持基板1上に配設される。
以上のように、前記発光画素からなる表示部を有するドットマトリクス型の有機ELパネルが得られる。この有機ELパネルは、第一電極2からの正孔と第二電極6からの電子とが発光層5bにて再結合することによって純青色の発光を得るものである。また、有機ELパネルはストライプ状に形成された複数の陽極部2bと複数の陰極部6bのそれぞれ何れかを選択して定電流を印加し、選択された陽極部2bと陰極部6bの対向箇所に該当する発光画素を発光させる、いわゆるパッシブ駆動で発光駆動するものである。
本願発明者は、ドーパントを加えた発光層を有する有機EL素子の発光スペクトルを解析し、発光効率が低下する要因を突き止めた。発光効率の低い有機EL素子の発光スペクトルを解析すると、発光に関わる前記ドーパントからの発光の他に輸送性材料からの発光が加わっていることが分かった。これは、高エネルギーギャップの発光材料(ホスト材料)で形成される励起子が前記ドーパントにエネルギー移動する以外に、前記発光材料のエネルギーギャップより小さいエネルギーギャップを持つ前記輸送性材料にもエネルギー移動が起こり、前記輸送性材料が発光することで起きていることが判明した。一般的に前記輸送性材料は発光効率が低いため、前記輸送性材料にエネルギー移動が生じると有機EL素子全体として発光効率が低下してしまう。本願発明者は、前記発光層で形成した励起子を効率よく前記ドーパントにエネルギー移動させるために前記輸送層に移動したエネルギーを更に前記ドーパントに移動させる素子構成とすることで発光効率が向上することを見い出した。具体的には、前記輸送層である正孔注入輸送層あるいは電子輸送層に発光層にドーピングしているのと同一のドーパントをドーピングすることにより達成できる。
したがって、本実施形態における有機EL素子は、有機層5が少なくとも正孔注入輸送層5a及び発光層5bを有し、正孔注入輸送層5aに発光層5bと同一のドーパント5fを加えてなることを特徴とする。また、ホスト材料5gのエネルギーギャップが、正孔輸送性材料5eのエネルギーギャップより大きいことを特徴とする。また、ドーパント5fのエネルギーギャップが、ホスト材料5gエネルギーギャップより小さいことを特徴とする。また、ドーパント5fのエネルギーギャップが、正孔輸送性材料5eのエネルギーギャップより小さいことを特徴とする。ホスト材料5gから正孔輸送性材料5eに移動したエネルギーをさらにドーパント5fに移動させるためである。また、ドーパント5fは、蛍光ドーパントであることを特徴とする。また、電子輸送層5cに10−4cm2/V・s以上の高い電子移動度を有する電子輸送性材料を用いる場合、電子の移動が活発となり発光領域が正孔注入輸送層5a側に移るため正孔注入輸送層5aにドーパント5fを加えることによる効果をさらに高めることができる。
図3は、同一発光面積の従来の有機EL素子を備える有機ELパネル及び本実施形態の有機EL素子を備える有機ELパネルを所定の電流密度で駆動した場合の発光輝度の変化を示す実験結果である。なお、特性S1は本実施形態の有機ELパネルの特性を示しており、特性S2は従来の有機ELパネルの特性を示している。本実施形態の有機EL素子を備える有機ELパネルが、従来の有機ELパネルよりも高い発光輝度を得ており、発光効率が従来よりも向上しているのは図3からも明らかである。
なお、本実施形態は、正孔注入輸送層5aに発光層5bと同一のドーパント5fを加えるものであったが、電子輸送層5cに発光層5bに含まれるのと同一のドーパント5fを加える構成であっても十分な効果を得ることが可能である。かかる構成は、ホスト材料5gのエネルギーギャップが電子輸送層5cを構成する前記電子輸送性材料のエネルギーギャップより大きい場合に好適である。また、ドーパント5fは、そのエネルギーギャップがホスト材料5gのエネルギーギャップより小さいことが望ましい。また、ドーパント5fは、そのエネルギーギャップが前記電子輸送性材料のエネルギーギャップより小さいことが望ましい。ホスト材料5gから前記電子輸送性材料に移動したエネルギーをさらにドーパント5fに移動させるためである。
なお、本実施形態はドットマトリクス型の有機ELパネルであったが、本発明は、セグメント型の有機ELパネルにも適用可能であり、アクティブ駆動にも適用可能である。
また、本実施形態は、正孔注入輸送層5aが単一層にて構成されるものであったが、本発明においては、正孔注入層及び正孔輸送層が順次積層形成されて正孔注入輸送層を複数層で構成するものであってもよい。
また、本実施形態における発光層5bは、ホスト材料5gに青色にて発光するドーパント5fをドープするものであったが、本発明は、ホスト材料に高エネルギーギャップの材料を用いる有機EL素子に適用可能であって、ドーパントは他の発光色にて発光するものであってもよい。
1 支持基板
2 第一電極(陽極)
3 絶縁層
5 有機層
5a 正孔注入輸送層(輸送層)
5b 発光層
5c 電子輸送層(輸送層)
5d 電子注入層
5e 正孔輸送性材料
5f ドーパント
5g ホスト材料
6 第二電極(陰極)
2 第一電極(陽極)
3 絶縁層
5 有機層
5a 正孔注入輸送層(輸送層)
5b 発光層
5c 電子輸送層(輸送層)
5d 電子注入層
5e 正孔輸送性材料
5f ドーパント
5g ホスト材料
6 第二電極(陰極)
Claims (8)
- 複数層からなる有機層を陽極と陰極との間に積層形成してなる有機EL素子であって、
前記有機層は、少なくとも正孔輸送性材料あるいは電子輸送性材料を含む輸送層及びホスト材料にドーパントを加えてなる発光層を有し、前記輸送層に前記発光層と同一のドーパントを加えてなることを特徴とする有機EL素子。 - 前記ホスト材料は、そのエネルギーギャップが前記正孔輸送性材料あるいは前記電子輸送性材料のエネルギーギャップより大きいことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記ドーパントは、そのエネルギーギャップが前記ホスト材料のエネルギーギャップより小さいことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記ドーパントは、そのエネルギーギャップが前記正孔輸送性材料あるいは前記電子輸送性材料のエネルギーギャップより小さいことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記ドーパントは、蛍光ドーパントからなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記輸送層は、前記正孔輸送性材料を含む正孔注入輸送層であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記発光層と前記陰極との間に、電子移動度が10−4cm2/V・s以上である電子輸送性材料を含む電子輸送層を形成してなることを特徴とする請求項6に記載の有機EL素子。
- 前記輸送層は、前記電子輸送性材料を含む電子輸送層であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008089202A JP2009246064A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | 有機el素子 |
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JP2009246064A true JP2009246064A (ja) | 2009-10-22 |
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JP (1) | JP2009246064A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012070330A1 (ja) * | 2010-11-25 | 2012-05-31 | 日本精機株式会社 | 有機el素子 |
-
2008
- 2008-03-31 JP JP2008089202A patent/JP2009246064A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012070330A1 (ja) * | 2010-11-25 | 2012-05-31 | 日本精機株式会社 | 有機el素子 |
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