JP2009245826A - 燃料電池スタック及び燃料電池システム - Google Patents

燃料電池スタック及び燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2009245826A
JP2009245826A JP2008092483A JP2008092483A JP2009245826A JP 2009245826 A JP2009245826 A JP 2009245826A JP 2008092483 A JP2008092483 A JP 2008092483A JP 2008092483 A JP2008092483 A JP 2008092483A JP 2009245826 A JP2009245826 A JP 2009245826A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel cell
polymer electrolyte
electrolyte membrane
solid polymer
cell stack
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008092483A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidemi Kato
英美 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Equos Research Co Ltd
Original Assignee
Equos Research Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Equos Research Co Ltd filed Critical Equos Research Co Ltd
Priority to JP2008092483A priority Critical patent/JP2009245826A/ja
Publication of JP2009245826A publication Critical patent/JP2009245826A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】固体高分子電解質膜のドライアップやフラッディングの防止に有効となり得る燃料電池スタック及び燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】本発明によれば、燃料電池スタックを構成する単位セルに設けられた検出部による検出値に基づいて、含水量推測手段によって、固体高分子電解質膜の含水量が推測される。ここで、燃料電池スタックを構成する少なくとも1の単位セルに設置された検出部は、固体高分子電解質膜の抵抗値を直接的に測定する。従って、検出部による検出値に基づいて直接的に固体高分子電解質膜の含水量の推測を行うことができる。よって、その推測を高精度かつ迅速に行い得ると。その結果、含水量が所定範囲に含まれない場合に行うべき対処を適切なタイミングで行うことができるので、固体高分子電解質膜の含水量を所定範囲内に維持させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、固体高分子型の燃料電池単位セルを含む燃料電池スタック及び燃料電池システムに関する。
固体高分子型燃料電池の単位セルは、水素極(燃料極、アノード極)と酸素極(空気極、カソード極)との間に固体高分子電解質膜を挟持した構成を有し、燃料極へ供給される燃料ガス(例えば、水素や改質ガス)と空気極へ供給される酸化剤ガス(例えば、空気)とを電気化学的に反応させることにより発電を行う。
複数の単位セルが導電性のセパレータを介して積層されることにより、燃料電池スタックが構成される。この燃料電池スタックを構成する単位セルの数が多くなると、燃料ガスの流量が不均一となり易く、異常電位の発生などの不具合が生じやすい。
そこで、かかる不具合を回避するために、燃料電池スタックを構成する単位セルのうち、数〜10枚程度の単位セルを含む積層体を1単位として構成し、1単位毎に燃料ガスを供給する構造が採用されている(例えば、特許文献1)。
特開2002−324564号公報
しかしながら、かかる構造は、1単位目の燃料ガスの出口が、2単位目の燃料ガスの入口となるので、1単位毎に燃料ガスの流通方向が互い違いとなり、燃料ガスの流路が長くなる。よって、燃料電池スタックにおいて燃料ガスを流通する流路の上流側において、水素極が乾燥し易い一方で、下流側において液体水が滞留し易く水素極が水分で飽和する虞があるという問題点があった。このような水素極の乾燥及び水分飽和は、それぞれ、固体高分子電解質膜のドライアップ及びフラッディングを引き起こし、燃料電池スタックの出力低下を引き起こす。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、固体高分子電解質膜のドライアップやフラッディングの防止に有効となり得る燃料電池スタック及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1記載の燃料電池スタックは、固体高分子電解質膜とその固体高分子電解質膜を両側から挟持する水素極及び酸素極とを含む単位セルの複数を電気的に直列接続させた状態で積層させて構成されるものであって、前記燃料電池スタックを構成する複数の単位セルの少なくとも1つは、前記固体高分子電解質膜の抵抗を測定可能な検出部を有しており、前記検出部は、前記燃料極及び前記空気極が共に形成されない前記固体高分子電解質膜の触媒不在領域の片面側に当接し、周囲に対して絶縁状態とされると共に、抵抗測定装置に接続される第1の端子と、前記第1の端子の対となって前記触媒不在領域の他面側に当接し、周囲に対して絶縁状態とされると共に、前記抵抗測定装置に接続される第2の端子と、を備えている。
請求項2記載の燃料電池スタックは、請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、酸化剤ガスを前記酸素極に接触させつつ流通させる酸化剤ガス流路と、燃料ガスを前記水素極に接触させつつ流通させる第1の燃料ガス流路と、前記第1の燃料ガス流路における下縁部と前記酸化剤ガス流路の下縁部との間において、前記固体高分子電解質膜における前記触媒不在領域を延出して構成される第1の隔壁と、前記酸化剤ガス流路に対して前記酸化剤ガスを遮断可能に形成される第2の隔壁との間に形成され、前記燃料ガスの流路となる第2の燃料ガス流路と、を備え、前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記第1の隔壁の両面に各々配設される。
請求項3記載の燃料電池システムは、請求項1又は2に記載の燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを構成する単位セルに設けられた前記検出部による検出値に基づいて、前記固体高分子電解質膜の含水量を推測する含水量推測手段と、を備えている。
請求項4記載の燃料電池システムは、請求項3記載の燃料電池システムにおいて、ナビゲーション装置から受信するナビゲーション情報に基づいて、該ナビゲーション装置により設定されたルート上において前記固体高分子電解質膜の含水量が必然的に乾燥されると予想される乾燥領域を設定する乾燥領域設定手段と、前記乾燥領域推定手段により設定された乾燥領域よりルート始点側の領域において、前記固体高分子電解質膜に水分を強制的に蓄水させる強制蓄水手段と、前記含水量推測手段により推測される前記固体高分子電解質膜の含水量が前記所定範囲内に設定された閾値以上である場合に、前記強制蓄水手段による強制的な蓄水を停止する強制蓄水停止手段と、を備えている。
請求項5記載の燃料電池システムは、請求項3又は4に記載の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池スタックへ酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、前記燃料電池スタックへ燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記含水量推測手段により推測される前記固体高分子電解質膜の含水量が前記所定範囲の下限の閾値以下である場合に、前記酸化剤ガス供給手段により前記燃料電池スタックへ供給する酸化剤ガス、又は、前記燃料ガス供給手段により前記燃料電池スタックへ供給する燃料ガスに水分を供給する加湿手段と、前記固体高分子電解質膜の含水量が不足することを示唆した前記検出部の個数に応じて、前記加湿手段により前記酸化剤ガス又は前記燃料ガスへ供給する水分の量を調整する水分量調整手段と、を備えている。
請求項1記載の燃料電池スタックによれば、積層される複数の単位セルの少なくとも1つが、固体高分子電解質膜における燃料極も空気極も共に形成されない触媒不在領域の両面には、検出部の一部である、第1の端子とその第1の端子の対となる第2の端子が配設されている。これらの第1及び第2の端子は、両方共、周囲に対して絶縁状態とされており、抵抗測定装置に接続されている。
よって、かかる検出部が設けられた単位セルについては、固体高分子電解質膜の抵抗値を直接的に測定でき、この固体高分子電解質膜の含水量に関する情報を得ることができる。その結果、固体高分子電解質膜の含水量が不足又は水分飽和した状態を高精度に推測することが可能になり、それに伴い、固体高分子電解質膜のドライアップやフラッディングを有効に防止し得るという効果がある。
請求項2記載の燃料電池スタックによれば、請求項1記載の燃料電池スタックの奏する効果に加えて、次の効果を奏する。燃料ガスを水素極に接触させつつ流通させる第1の燃料ガス流路における下縁部と、酸化剤ガスを酸素極に接触させつつ流通させる酸化剤ガス流路の下縁部との間には、第2の燃料ガス流路が形成されている。
この第2の燃料ガス流路は、固体高分子電解質膜における触媒不在領域を延出して構成される第1の隔壁と、酸化剤ガス流路に対して酸化剤ガスを遮断可能に形成される第2の隔壁との間に形成される。
よって、第1の燃料ガス流路における下縁部に液体水が滞留すると、固体高分子電解質膜を構成材料とする第1の隔壁を介して、滞留する液体水と第2の燃料ガス流路を流れる燃料ガスとの間で湿度交換が生じ、第2の燃料ガス流路を流れる燃料ガスを加湿することができる。従って、燃料電池スタックにおける固体高分子電解質膜のドライアップ(特に、上流側に位置する単位セルにおけるドライアップ)を防止することができるという効果がある。
さらに、この第1の隔壁は、固体高分子電解質膜における触媒不在領域であるので、この第1の隔壁の両面に、各々、第1の端子と第2の端子とを配設することにより、固体高分子電解質膜に関する情報を得ることもできるという効果がある。
請求項3記載の燃料電池システムによれば、請求項1又は2に記載の燃料電池スタックを含んでいるので、請求項1又は2に記載の燃料電池スタックと同様の効果を奏する。
また、燃料電池スタックを構成する単位セルに設けられた検出部による検出値に基づいて、含水量推測手段によって、固体高分子電解質膜の含水量が推測される。
ここで、燃料電池スタックを構成する少なくとも1の単位セルに設置された検出部は、固体高分子電解質膜の抵抗値を直接的に測定する。従って、検出部による検出値に基づいて直接的に固体高分子電解質膜の含水量の推測を行うことができる。よって、その推測を高精度かつ迅速に行い得るという効果がある。
その結果、含水量が所定範囲に含まれない場合に行うべき対処を適切なタイミングで行うことができるので、固体高分子電解質膜の含水量を所定範囲内に維持させることができる。この所定範囲をドライアップやフラッディングの防止に有効な範囲に設定することによって、ドライアップやフラッディングの発生を有効に防止することができるので、結果として、燃料電池システムの出力低下を有効に抑制することができる。
請求項4記載の燃料電池システムによれば、請求項3記載の燃料電池システムの奏する効果に加えて、次の効果を奏する。ナビゲーション装置から受信したナビゲーション情報に基づいて、該ナビゲーション装置により設定されたルート上において固体高分子電解質膜の含水量が必然的に乾燥されると予想される乾燥領域が、乾燥領域設定手段によって設定される。このとき、乾燥領域推定手段により設定された乾燥領域よりルート始点側の領域において、強制蓄水手段による固体高分子電解質膜への強制的な水分の蓄水が行われる。
よって、ナビゲーション情報が示す車両の走行環境(道路状況や気温など)が、固体高分子電解質膜が必然的に乾燥されて、その水分量が不足すると推測される乾燥領域に到達する前の領域において、固体高分子電解質膜に水分が強制的に蓄水されるので、乾燥領域における固体高分子電解質膜のドライアップを防ぐことができ、固体高分子電解質膜のドライアップによる出力低下によって走行に支障をきたすことを抑制することができるという効果がある。
また、含水量推測手段により推測される固体高分子電解質膜の含水量が、所定範囲内に設定された閾値以上になると、強制蓄水手段による強制的な蓄水が、強制蓄水停止手段によって停止される。よって、検出部によって固体高分子電解質膜の含水量が管理されるので、固体高分子電解質膜への強制的な蓄水による固体高分子電解質膜のフラッディングを有効に防止できる。よって、ナビゲーション装置により案内される目的地に到達するまで、固体高分子電解質膜の水分量を適切に維持することができ、安定な走行を可能にするという効果がある。
請求項5記載の燃料電池システムによれば、請求項3又は4に記載の燃料電池システムの奏する効果に加えて、次の効果を奏する。含水量推測手段によって固体高分子電解質膜の含水量が所定範囲の下限の閾値以下である場合には、加湿手段によって、酸化剤ガス供給手段により燃料電池スタックへ供給する酸化剤ガス、又は、燃料ガス供給手段により燃料電池スタックへ供給する燃料ガスに対し、水分が供給される。よって、固体高分子電解質膜を容易に湿潤することができ、ドライアップの発生を有効に防止することができるという効果がある。
また、加湿手段によって酸化剤ガス又は燃料ガスへ供給する水分の量が、水分量調整手段により、固体高分子電解質膜の含水量が不足することを示唆した検出部の個数に応じて調整される。よって、加湿のために供給する水分量の過不足が抑制され、固体高分子電解質膜の含水量を所定範囲へと有効に回復することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の燃料電池システムである燃料電池システム100の第1実施形態を示すブロック図である。
この燃料電池システム100は、本発明の燃料電池スタックである燃料電池スタック40と、燃料ガスとしての水素ガスを、燃料電池スタック40を構成する各単位セル10(図2参照)の燃料極(水素極、アノード極)13(図2参照)へ供給するための水素ガス供給系50と、酸化剤ガスとしての空気を、燃料電池スタック40を構成する各単位セル10の空気極(酸素極、カソード極)12(図2参照)へ供給するための空気供給系60と、燃料電池スタック40を構成する各単位セル10の空気極12へ霧状の液体水を供給して単位セル10を冷却し加湿(保湿)する水供給系80と、燃料電池スタック40(各単位セル10の空気極12)から排出される排気を系外へ排出する排気系110と、燃料電池スタック40を冷却する水冷式の冷却機構である水冷系120とを備えている。
なお、図1に示す燃料電池システム100では、空気(供給空気、排気)の流通経路(空気供給路63や空気排出路111など)を最も太い実線により表しており、水素ガスの流通経路(水素ガス供給流路51aやガス排出路51bなど)を次に太い実線で表している。また、水供給系80における水の流通経路(導水路81aや給水路81bなど)を点線で表しており、水冷系120を構成する経路(冷却水循環路121a、バイパス流路121b)を一点鎖線で表している。また、燃料電池スタック40からの電気的な出力経路を二点鎖線で表している。
燃料電池スタック40は、単位セル10(図2参照)の複数個を、導電性のセパレータ20を介して厚み方向に積層し、隣接する単位セル間を電気的に直列接続した構成とされている。
水素ガス供給系50は、本発明の燃料電池システムを構成する燃料ガス供給手段に該当し、水素源となる水素ボンベである水素貯蔵タンク52と、その水素貯蔵タンク52に一端側が接続され。他端側が燃料電池スタック40のガス取入口41に接続される水素ガス供給流路51aを含んで構成される。
この水素ガス供給流路51aには、水素貯蔵タンク52の側から水素ガスの流通方向に向かって、水素元電磁弁(図示せず)と、一次圧センサ(図示せず)と、レギュレータ(図示せず)と、二次圧センサSE1と、並列接続される水素調圧弁53a及び水素起動電磁弁(図示せず)と、ガス供給弁53bと、三次圧センサSE2とが順に設けられている。
また、水素ガス供給系50は、燃料電池スタック40のガス排出口42に一端側が接続され、燃料電池スタック40の燃料極13から排出されたガスを系外へ排出するためのガス排出路51bを含んでいる。このガス排出路51bには、ガス排出口42の側から、排出されたガスの流通方向に向かって、逆止弁54と、水素排気電磁弁53cとが設けられている。
空気供給系60は、給気経路である空気供給路63と、燃料電池スタック40における図示されない空気流路の上流側に設けられ、空気供給路63の出口側の端部が接続される空気マニホールド62とを含んで構成される。
空気供給路63には、外気の取入口側から空気の流通方向に向かって、フィルタ64と、外気温センサSE3と、シロッコファンやターボファンなどの空気ファン61と、外気を加温するためのヒータ66と、空気入口温度センサSE4とが順に設けられている。
かかる構成を有する空気供給系60は、空気ファン61の駆動によって系外から取り入れた外気を、空気供給路63及び空気マニホールド62を介して、燃料電池スタック40の空気流路へ供給する。なお、この空気供給系60は、本発明の燃料電池システムを構成する酸化剤ガス供給手段に該当する。
排気系110は、燃料電池スタック40における空気流路の下流側に設けられた図示されない排気マニホールドに一端側が接続される排気経路として空気排出路111を含んで構成される。
この空気排出路111の経路上には、燃料電池スタック40の側から空気(排気)の流通方向に向かって、排気温度センサSE5と、凝縮器112と、フィルタ113とが順に設けられ、フィルタ113を通過した排気が系外へと排出される。
凝縮器112は、外気温との熱交換によって排気の温度を冷却し、排気中に含まれる水分を凝縮して液体水として分離するものである。なお、この凝縮器112により排気から回収された水は、後述する水供給系80における導水路81aを介して水タンク82へと移送される。
水供給系80は、水タンク82と、その水タンク82に一端側が接続され、水タンク82に貯留されている水を燃料電池スタック40へ供給するための給水路81bを含んで構成される。
水タンク82は、燃料電池スタック40へ冷却水及び加湿水(保湿水)となる水を供給するための水を貯留するものである。この水タンク82には、水温センサSE6と、水位センサSE7とが設けられている。
給水路81bには、水タンク82の側から水の流通方向に向かって、フィルタ84と、給水ポンプ85と、水供給電磁弁86と、給水路81bからの水の出口となるノズル83とが順に設けられている。
ノズル83の先端は、空気マニホールド62に向けられており、給水路81bを介して水タンク82から導かれた水は、ノズル83の先端から噴射される。ノズル83から空気マニホールド62へ向けて噴射された水は、空気供給系60を流通する供給空気の流れによって霧状となって燃料電池スタック40へ送り込まれる。
この霧状に噴射された水は、各単位セル10(図2参照)の空気極12へと流れ込み、燃料電池スタック40に対する冷却水及び加湿水(保湿水)として作用する。即ち、本実施形態の燃料電池システム100は、液体水を噴霧することによって、燃料電池スタック40(空気極12)を冷却すると共に、固体個分子電解質膜11(図2参照)を保湿できる直噴水タイプの燃料電池システムとして構成されるものである。
また、図1に示すように、水供給系80は、一端側が凝縮器112に接続され、他端側が水タンク82に接続されて、凝縮器112により回収された水を水タンク82へ導く導水路81aを含んでいる。
水冷系120は、燃料電池スタック40を冷却する冷媒としての冷却水を循環させる冷却水循環路121aを含んで構成される。この冷却水循環路121aには、燃料電池スタック40から下流側(冷却水の流通方向側)に向かって順に、冷却水出口温度センサSE8と、冷却水を冷却するラジエータ122と、循環電磁弁124と、冷却水を燃料電池スタック40へ圧送する循環ポンプ123と、ヒータ126と、冷却水入口温度センサSE9とが設けられている。なお、図1に示すように、ラジエータ122には、放熱(冷却)を促進するラジエータファン122aが設けられている。
また、水冷系120は、ラジエータ122の上流側にて冷却水循環路121aから分岐し、循環電磁弁124と循環ポンプ123との間にて冷却水循環路121aと合流するバイパス流路121bを含んでいる。このバイパス流路121bには、バイパス切替電磁弁125が設けられており、冷却水がバイパス流路121bを流す必要が生じた場合(例えば、冷却水入口温度センサSE9による検出値が、冷却水が過剰に冷却されていることを示す場合)に、制御装置70の制御によって開放される。
以上のように構成された燃料電池システム100を運転する場合には、空気ファン61を駆動させ、系外から取り入れた外気(空気)を燃料電池スタック40の空気流路内へ供給すると共に、水供給系80の給水ポンプ85を駆動させて水を供給する。一方で、水素ガス供給系50の各電磁弁(電磁弁53a,53bなど)を調整し、水素ガスを所定の圧力として燃料電池スタック40の水素ガス流路内へ供給する。
その結果、燃料電池スタック40を構成する各単位セル10にて水素と酸素とによる水生成反応(電極反応)が行われ、生じた電流が負荷系90へ流れる。かかる燃料電池システム100の運転中は、霧状となって供給される水によって各単位セル10が冷却及び加湿される。
上記構成を有する燃料電池システム100には、負荷系90が接続されており、燃料電池スタック40から出力される電力は、この負荷系90に供給される。燃料電池スタック40の電極は、配線91を介して、リレー92,93に接続されている。さらに、これらのリレー92,93には、インバータ94を介してモータ95に接続されている。また、インバータ94には、出力制御装置96を介して補助電源97が接続されている。
また、図1に示すように、本実施形態の燃料電池システム100は、燃料電池システム100の運転を制御する制御装置70をさらに有している。なお、この制御装置70の詳細な構成については、図5を参照して後述する。
詳細は後述するが、本実施形態における制御装置70は、燃料電池スタック40を構成する単位セル10(図2参照)に設けられた含水量センサ装置Rの検出値から得られる固体高分子電解質膜11の含水状態に関する情報に基づいて、固体高分子電解質膜11の含水量の調整を行う。
また、制御装置70は、運転者が所望する目的地に対してナビゲーション装置201(図5参照)により設定されたルートにおいて、そのルート上の運転環境に応じて、固体高分子電解質膜11の含水量の調整を行う。
次に、図2を参照して、燃料電池スタック40を構成する単位セル10について説明する。図2は、単位セル10を模式的に示す断面図である。図2に示すように、単位セル10は、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)15と、その膜電極接合体15における空気極12側に設けられた空気流路16と、膜電極接合体15における燃料極13側に設けられた第1の水素ガス流路17と、後述する第2の水素ガス流路31と、空気流路16及び水素ガス流路17の外面側に配された導電性のセパレータ20と、シール材21とを主に含んで構成される。
膜電極接合体15は、固体高分子電解質膜11と、その固体高分子電解質11の両面を挟持する空気極12及び燃料極13とから構成される積層体である。
固体高分子電解質膜11としては、例えば、Nafion(登録商標:デュポン社製)やAciplex(登録商標:旭化成(株)製)など、固体高分子型燃料電池に適用可能な固体高分子電解質膜を使用することができる。
空気極12は、固体高分子電解質膜11に当接する反応層(図示せず)と、その反応層における固体高分子電解質膜11とは反対側の面に当接する拡散層(図示せず)とから構成される。
また、燃料極13は、固体高分子電解質膜11に当接する反応層(図示せず)と、その反応層における固体高分子電解質膜11とは反対側の面に当接する拡散層(図示せず)とから構成される。
ここで、空気極12における図示されない反応層は、固体高分子電解質膜11に当接されて空気極12における電極反応を促進するための触媒層であり、固体高分子電解質膜11における他方の面に当接する燃料極13の反応層と共に、酸素と水素との水生成反応を促進する。空気極12及び燃料極13の反応層としては、例えば、カーボン粒子にプラチナなどの触媒が担持された触媒担持カーボンと電解質とを含んで構成された反応層を採用することができる。
空気極12及び燃料極13における拡散層は、ガス拡散が可能なカーボン製の織物やカーボン製の紙等の多孔質基材から構成されるものであり、例えば、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボン繊維からなる不織布等を用いることができる。
図2に示すように、本実施形態では、固体高分子電解質膜11は、膜電極接合体15から下方側(燃料電池スタック40の設置時における重力方向側)に延出して、第1の隔壁11aとして機能するように構成されている。
より具体的には、固体高分子電解質膜11は、膜電極接合体15から下方側に延出し、膜電極接合体15(燃料極13)の下面に沿って屈折されて、下方側へ延出される。この第1の隔壁11aには、反応層は積層されていない。また、第1の隔壁11aにおける第1の水素ガス流路17側の表面は、燃料極13における第1の水素ガス流路17側の表面とほぼ面一であり、かかる側面(第1の隔壁11aの側面)の一部は、第1の水素ガス流路17の下縁部に表出している。
第1の水素ガス流路17は、セパレータ20と燃料極13との間に形成され、水素供給系50(図1参照)により供給された水素ガスを流通させる流路である。水素ガスは、紙面手前側から奥側(紙面垂直方向)に流通する。なお、第1の水素ガス流路17に隣接するセパレータ20には、第1の水素ガス流路17における水素ガスの流れを均一化すると共に、機械的安定性を確保するために、水素ガスの流通方向に沿った複数本のリブが形成されている。なお、図2に示すように、第1の水素ガス流路17の下方には、滞留水Wが滞留することがある(図3(b)参照)。
空気流路16は、セパレータ20と空気極12との間に形成され、空気供給系60(図1参照)により供給された空気を流通させる流路であり、空気は紙面上側から下側方向に流通する。なお、空気流路16に隣接するセパレータ20には、空気流路16における空気の流れを均一化すると共に、機械的安定性を確保するために、空気の流通方向に沿った複数本のリブが形成されている。
第2の水素ガス流路31は、第1の隔壁11aの空気極12側の側面と、空気流路16との間を気密に隔離する第2の隔壁33との間に形成される空隙から構成される。なお、この第2の水素ガス流路31の上面及び下面はそれぞれシール材29によりシールされている。なお、本実施形態では、第2の水素ガス流路31を空隙として構成されるが、圧力損失の小さい網状体や多孔体などから第2の水素ガス流路31を構成する構成であってもよい。
第2の水素ガス流路31の厚さは、空気極12の厚さと燃料極13の厚さとの和にほぼ等しく構成されている。その結果、第2の隔壁33における空気流路16側の表面を、空気極12における空気流路16側の表面とほぼ面一にすることができ、第2の水素ガス流路31の配設に伴う単位セル10の厚さの増大を防ぐことができる。
この第2の水素ガス流路31は、水素ガスの流路としてだけでなく、水素ガスを加湿する加湿室としても機能する。
具体的には、燃料極13の下方に滞留水Wが滞留した場合に、固体高分子電解質膜からなる第1の隔壁11aは、滞留水Wを吸水して湿潤される。図2に示すように、第1の隔壁11aは、第2の水素ガス流路31に表出するので、滞留水Wによって湿潤された第1の隔壁11aとの湿度交換により、第2の水素ガス流路31を流通する水素ガスを加湿することができる。
詳細は後述するが、図2に示す単位セル10から構成される燃料電池スタック40では、水素ガスは、まず、第2の水素ガス流路31を流通してから、第1の水素ガス流路17を流通する。よって、水素ガスは、第2の水素ガス流路31において加湿されてから、第1の水素ガス流路17へと導入されるので、燃料極13、延いては膜電極接合体15のドライアップ防止に効果的である。
第2の隔壁33は、例えば、セパレータ20と同じ材質の金属板を使用することができる。なお、第2の隔壁33を構成する材質としては、第2の水素ガス流路31と空気流路16との間を機密に隔離し得る材質であればよく、導電性を有さない材料であってもよい。この第2の隔壁33は、金属板以外にも、例えば、カーボン板や、樹脂板や、セラミック板などから構成することができる。
また、本実施形態では、固体高分子電解質膜11の一部を第1の隔壁11aとして構成しているので、固体高分子電解質膜11の一部を第1の隔壁11aとして構成することにより、部品点数の削減することができる。
また、この第1の隔壁11aは、両面に空気極12及び燃料極13が形成されていない固体高分子電解質膜11の露出領域でもあるので、後述する含水量センサ装置Rを配設することによって、固体高分子電解質膜11の含水状態に関する情報を得ることができ、得られた情報に基づいて、固体高分子電解質膜11を適切な含水状態(含水量)とするための制御が可能となる。
次に、図3を参照して、上記構成を有する単位セル10から構成される燃料電池スタック40における水素ガスの流れについて説明する。図3は、燃料電池スタック40における水素ガスの流通経路を示す模式図である。
より詳細には、図3(a)は、第2の水素ガス流路31における水素ガスの流通経路を示す模式図であり、図3(b)は、第1の水素ガス流路17における水素ガスの流通経路を示す模式図である。なお、図3(a)におけるB部及びC部は、図2におけるB部及びC部に対応し、図3(b)におけるA部は、図2におけるA部に対応する。
上記構成を有する単位セル10は、例えば、10枚の単位セル10の積層体が1組となって、1のモジュールMを構成する。複数個のモジュールMが積層されて燃料電池スタック40を構成する。なお、図3では、1の燃料電池スタック40は、10個のモジュールMの積層体として構成されている。
図3(a)に示すように、かかる燃料電池スタック40では、乾燥した水素ガスが、水素貯蔵タンク52から水素ガス供給流路51aを経てガス取入口41から流入し、最前列のモジュールM1における第2の水素ガス流路31へ導入される。その後、水素ガスは、各単位セル10における第2の水素ガス流路31に沿って流れる(図3(a)における左又は右方向の破線矢印)。
第1の貫通孔41は、セパレータ20に穿設された貫通孔であり、図3(a)における上向きの破線矢印で示すように、第2の燃料ガス流路31を流通してきた水素ガスは、この第1の貫通孔41を通って燃料電池スタック40の厚さ方向へ流れる。
一方、第2の貫通孔44もまた、セパレータ20に穿設された貫通孔である。この第2の貫通孔44は、図3(b)における上向きの実線矢印で示すように、水素ガスを、燃料電池スタック40の厚さ方向へと流し、各単位セル10における第1の燃料ガス流路17へ導入させる。
燃料電池スタック40において最後列のモジュールMLでは、水素ガスを流通させる貫通孔となる第2の貫通孔44が、第2の貫通孔43より長く形成されており、隣接するモジュールMの第2の貫通孔43だけでなく、第1の貫通孔41にも連通している。
かかる構造により、第2の燃料ガス流路31を流通してきた水素ガスは、第1の貫通孔41を経て第2の貫通孔44へ流れ込み、第2の貫通孔43を経て、各単位セル10における第1の燃料ガス流路17へと供給される。なお、最後列のモジュールMLを構成する各単位セル10は、汎用的な単位セルであり、第2のガス流路31を有していない。
その後の水素ガスの流れは、図3(b)における右又は左方向の実線矢印が示すように、最後列のモジュールMLから、最前列のモジュールM1へと、モジュール毎に、水素ガスの向きを変えつつ第1の水素ガス流路17を流れ、排気される。
本実施形態では、燃料電池スタック40を構成する全ての単位セル10のうち、一部又は全ての単位セルに、滞留水Wと第2の水素ガス流路31との間で湿度交換を行う第1の隔壁11aの抵抗を測定する含水量センサ装置Rを設けている。なお、図3(a)では、最前列のモジュールM1と、5列目及び9列目のモジュールMに、含水量センサ装置Rを有する単位セル10が含まれている。
詳細は後述するが、本実施形態の燃料電池システム100では、この含水量センサ装置Rを用いて、第1の隔壁11aの抵抗値(即ち、第1の隔壁11aの含水量)を把握し、膜電極接合体15のフラッディングやドライアップを防止するよう制御が行われる。
ここで、図4を参照して、含水量センサ装置Rについて説明する。図4(a)及び図4(b)は、両方とも、図2におけるIV部の拡大図である。ここで、図4(a)は、含水量センサ装置Rが設けられていない単位セル10におけるIV部の拡大図であり、図4(b)は、含水量センサ装置Rが設けられている単位セル10におけるIV部の拡大図である。
図4(b)に示すように、含水量センサ装置Rは、第1の隔壁11aの空気極12側に配置する第1の検出部151と、第1の隔壁11aの燃料極13側に配置する第2の検出部152と、第1及び第2の検出部151,152に接続される抵抗測定装置(図示せず)とから構成される。なお、第1の検出部151と第2の検出部152とから、本発明における検出部が構成される。
第1の検出部151は、第1の隔壁11aに当接する第1の端子としての電極151aと、電極151aを周囲から絶縁する絶縁部151bと、一端が電極151aに接続されて他端が単位セル10の外部に設けられている抵抗測定装置(図示せず)の端子に接続される導線151cとを含んで構成される。
第2の検出部152は、電極151aに重なる位置にて第1の隔壁11aに当接する第2の端子としての電極152aと、電極152aを周囲から絶縁する絶縁部152bと、一端が電極152aに接続されて他端が単位セル10の外部に設けられている抵抗測定装置(図示せず)の端子に接続される導線152cとを含んで構成される。
電極151a,152aは、触媒を含む固体高分子電解質により構成される。また、絶縁部151a,152bは、絶縁材料を電極151a,152aの該当部分にコーティングすることによって構成される。
かかる構成を有する含水量センサ装置Rにより、第1の隔壁11a(即ち、固体高分子電解質膜11)の抵抗を測定することにより、固体高分子電解質膜11の含水状態に関する情報を得ることができる。よって、得られた含水状態に関する情報に基づいて、固体高分子電解質膜11を適切な含水状態(含水量)とするための制御を行うことができる。
例えば、含水量センサ装置Rによる検出値が、固体高分子電解質膜11の含水量が少ないことを示す場合には、空気ファン61の回転数を下げて空気極12へ送られる空気の量を減らすことによって、膜電極接合体15からの水分の持ち去り量を低減することができ、固体高分子電解質膜11の含水量を増加させることができる。
あるいは、含水量センサ装置Rによる検出値が、固体高分子電解質膜11の含水量が少ないことを示す場合には、循環ポンプ123の開度を上げ燃料電池スタック40を冷却するための冷却水量を増やしたり、ラジエータファン122aの回転数を上げて冷却水温を下げたりすることによっても、固体高分子電解質膜11の含水量を増加させることができる。
次に、図5を参照して、本実施形態の燃料電池システム100に搭載され、この燃料電池システム100の運転を制御する制御装置70について説明する。図5は、制御装置70の電気的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、制御装置70は、中央演算処理装置であるCPU71と、CPU71により実行される制御プログラムや固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであるROM72と、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するRAM73と、これらのCPU71、ROM72、及びRAM73とバスライン74を介して接続される入出力ポート75とから主に構成される。
図5に示すように、入出力ポート75には、燃料電池スタック40内に配設されたn個の含水量センサ装置R(第1含水量センサ装置R1〜第n含水量センサ装置Rn)と、空気供給系60の空気ファン61とが接続されている。
詳細は後述するが、この制御装置70は、含水量センサ装置R(R1〜Rn)による検出値に基づいて、燃料電池システム40を構成する単位セル10の固体高分子電解質膜11の含水状態(即ち、固体高分子電解質膜11を湿潤する水分量の状態)を推測し、その推測に基づき、空気ファン61の回転数を調整して、固体高分子電解質膜11の含水状態を調整するように構成されている。
また、入出力ポート75には、ナビゲーション装置201が接続されている。このナビゲーション装置201は、汎用的なプログラムに基づき指定された目的地までのルートを設定して保存する。
ナビゲーション装置201は、図示されない記憶装置に記憶されるナビゲーション用地図データを参照し、ルート上における道路の道路データを取得して、ナビゲーション情報として制御装置70(CPU71)へ出力する。なお、この道路データには、道路の種類(高速道路、自動車専用道路、一般道路)や、道路の傾斜角度なども含まれている。
また、ナビゲーション装置201は、設定されたルートに基づき各ノード地点への到達時刻を予測することができ、予測により得られた予測到達時刻をナビゲーション情報として制御装置70(CPU71)へ出力する。
また、ナビゲーション装置201は、図示されないGPS装置を有しており、図示されないGPS衛星から位置情報(例えば、緯度情報及び経度情報)を取得し、燃料電池システム100を搭載する車両(図示せず)の現在位置を取得し、取得した現在位置をナビゲーション情報として制御装置70(CPU71)へ出力する。
このナビゲーション装置201は、図示されない通信インターフェイスを有しており、インターネットなどの通信回線202を介して、外部情報提供サーバ203に接続することができ、この外部情報提供サーバ203から各種情報を取得することができる。ナビゲーション装置201は、外部情報提供サーバ203から取得した情報をナビゲーション情報として制御装置70(CPU71)へ出力する。
本実施形態では、外部情報提供サーバ203は、気象台の発表データに基づき、ナビゲーション用地図データにおいてルートの始点と終点とを設定するノード地点における温度履歴(温度の時間変化)を保存するものとする。
なお、この制御装置70には、図示されない配線によって、燃料電池システム100に含まれるその他のセンサや、燃料電池システム100に含まれるその他電磁弁や、燃料電池システム100に含まれるその他のポンプや、負荷系90に含まれるインバータなどにも接続されており、CPU71は、各センサからの検出値の入力に基づいて、制御対象(電磁弁やポンプなど)に対し、燃料電池システム100を運転するための各種制御を行う。
次に、図6から図9を参照して、上記構成を有する燃料電池システム100対する運転制御について説明する。図6は、制御装置70において実行される含水量制御処理を示すフローチャートである。
含水量制御処理は、ナビゲーション装置201によるルート運転時に燃料電池スタック40を構成する単位セル10における固体高分子電解質膜11の含水量を制御する処理である。なお、この含水量制御処理を実行するプログラムは、ROM72に格納されている。
この含水量制御処理は、ナビゲーション装置201に対し目的地を設定した場合に起動し、まず、現在位置から設定された目的地までのルートを設定し(S1)、設定されたルートの中から、燃料電池スタック40を構成する単位セル10の固体高分子電解質膜11が必然的に乾燥されていく領域(乾燥領域)を抽出する乾燥領域抽出処理を実行する(S2)。なお、この乾燥領域抽出処理(S2)の詳細については、図7を参照して後述する。
乾燥領域抽出処理(S2)の実行後、抽出された乾燥領域に対し、強制蓄水運転モード領域を設定する(S3)。この強制蓄水モード領域は、S2により抽出された各乾燥領域の始点と、当該始点からルートの手前側(ルート始点側)に所定距離(例えば、10km)の地点との間の区間である。S3の処理では、S2により抽出された各乾燥領域の始点からルートの手前側に所定距離の地点をマークすることにより、そのマーク地点と乾燥領域の始点との間のルート区間を強制蓄水運転モード領域として設定する。
S3の処理後、ナビゲーション装置201から車両の現在位置を取得し(S4)、現在位置が強制蓄水運転モード領域であるかを確認する(S5)。S5の処理により確認した結果、強制蓄水運転モードでなければ(S5:No)、含水状態確認処理を実行する(S6)。
この含水状態確認処理(S6)の詳細については、図7を参照して後述するが、現状における固体高分子電解質膜11の含水状態を確認し、固体高分子電解質膜11を湿潤する水分量(含水量)が最適湿度範囲外であると推測される場合に、各状態に応じた運転モードとし、固体高分子電解質膜11の含水量を最適湿度範囲に回復する処理である。
含水状態確認処理(S6)の実行後は、固体高分子電解質膜11の含水量が最適湿度範囲とされているので、燃料電池スタック40にかかる負荷(負荷系90による負荷)に応じて燃料電池システム100を運転する普通運転モードを実行する(S7)。
一方、S5の処理により確認した結果、強制蓄水運転モードであれば(S5:Yes)、固体高分子電解質膜11への水分の蓄水を強制的に行う強制蓄水運転モード実行処理を実行する(S9)。この強制蓄水運転モード実行処理(S9)の詳細については、図9(a)を参照して後述する。
S7又はS9の処理後、目的地に到達したかを確認する(S8)。S8の処理により確認した結果、未だ目的地に到達していなければ(S8:No)、S4の処理に移行し、S4〜S7,S9の処理を繰り返す。一方で、S8の処理により確認した結果、目的地に到達した場合には(S8:Yes)、この含水量制御処理を終了する。
図7は、上記した含水量制御処理の中で実行される乾燥領域抽出処理(S2)を示すフローチャートである。この乾燥領域抽出処理(S2)では、まず、S1により設定されたルート上における道路の道路データをナビゲーション装置201から取得し(S21)、取得した道路データを参照して、ルート上に高速道路又は自動車専用道路が存在するかを確認する(S22)。S22の処理により確認した結果、ルート上に高速道路又は自動車専用道路が存在する場合には、当該領域を乾燥領域として抽出し(S28)、S27の処理へ移行する。
一方で、S22の処理により確認した結果、ルート上に高速道路又は自動車専用道路がなければ(S22:Yes)、ルート上に勾配が所定角度(例えば、5°)以上の登坂道路が存在するかを確認し(S23)、条件を満たす登坂道路が存在する場合には(S23:Yes)、その登坂道路が所定距離(例えば、1km)以上連続するかを確認する(S24)。このとき、登坂道路が所定距離以上連続していれば(S24:Yes)、当該領域を乾燥領域として抽出し(S28)、S27の処理へ移行する。
勾配が所定角度以上の登坂道路がない場合(S23:No)又は勾配が所定角度以上の登坂道路であるが所定距離以上連続していない場合(S24:No)には、ナビゲーション装置70により予測されたルート上における各ノード地点への予測到達時刻と、ナビゲーション装置70を介して外部情報提供サーバ203から読み出した各ノード地点における温度履歴とに基づき、予測到達時刻における各ノード地点の外気温を、例えば、外挿法により予測し、その予測される外気温度が所定温度(例えば、35℃)以上である地点が存在するかを確認する(S25)。
S25の処理により確認した結果、予測される外気温度が所定温度以上である地点が存在する場合には(S25:Yes)、当該地点が所定距離(例えば。1km)以上連続するかを確認し(S26)、連続していれば(S26:Yes)、当該領域を乾燥領域として抽出すし(S28)、S27の処理へ移行する。
一方、予測される外気温度が所定温度以上である地点が存在しない場合(S25:No)又は予測される外気温度が所定温度以上である地点が所定距離以上連続していない場合(S26:No)には、S27の処理へ移行する。
S27の処理では、ルート上における全てのノード地点に対して処理が行われたかを確認する(S27)。ここで、ルート上における全てのノード地点に対して処理が行われていなければ(S27:No)、S32の処理へ移行する。一方で、ルート上における全てのノード地点に対して処理が行われている場合には(S27:Yes)、この乾燥領域抽出処理(S2)を終了する。
図8は、図6の含水量制御処理の中で実行される含水状態確認処理(S6)を示すフローチャートである。この含水状態確認処理(S6)では、まず、含水量センサ装置R(R1〜Rn)による検出値(抵抗値)の平均値を取得し(S61)、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量(湿潤する水分量)が最適湿度範囲の下限である第1閾値以下を示す値であるかを確認する(S62)。
S62の処理により確認した結果、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第1閾値以下を示す値であれば(S62:Yes)、固体高分子電解質膜11を湿潤する水分量に不足が生じると推測されるので、固体高分子電解質膜11への水分の蓄水を強制的に行う強制蓄水運転モード実行処理を実行し(S9)、この含水状態確認処理(S6)を終了する。なお、この強制蓄水運転モード実行処理(S9)は、上記した含水量制御処理の中で実行される強制蓄水運転モード実行処理(S9)と同一の処理であり、その詳細については、図9(a)を参照して後述する。
S62の処理により確認した結果、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第1閾値以下を示す値でなければ(S62:No)、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が最適湿度範囲の上限である第2閾値以上を示す値であるかを確認する(S63)。なお、第2閾値は、第1閾値より高く設定される閾値である。
S63の処理により確認した結果、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第2閾値以上を示す値であれば(S63:Yes)、固体高分子電解質膜11を湿潤する水分量が過剰になると推測されるので、強制的に固体高分子電解質膜11の乾燥を行う強制乾燥運転モード実行処理を実行し(S64)、含水状態確認処理(S6)を終了する。なお、この強制乾燥運転モード実行処理(S9)の詳細については、図9(b)を参照して後述する。
一方で、S63の処理により確認した結果、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第2閾値以上を示す値でなければ(S63:No)、固体高分子電解質膜11の含水量は最適湿度範囲内であると推測されるので、この含水状態確認処理(S6)を終了する。
図9(a)は、含水量制御処理(図6参照)又は含水状態確認処理(S6)の中で実行される強制蓄水運転モード実行処理(S9)を示すフローチャートである。この強制蓄水運転モード実行処理(S9)では、固体高分子電解質膜11への水分の蓄水を強制的に行う。
具体的には、図9(a)に示すように、まず、空気ファン61の回転数を下げる(S91)。空気ファン61の回転数を下げることにより、空気極12へ送られる空気の量が減るので、膜電極接合体15からの水分の持ち去り量が低減される。その結果、固体高分子電解質膜11に水分を蓄水(即ち、含水量を増加)させることができる。
S91の処理後、含水量センサ装置R(R1〜Rn)による検出値の平均値を取得し(S92)、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第3閾値以上であるかを確認する(S93)。なお、第3閾値は、上記した第1閾値より高く設定される閾値であると共に、第2閾値と同じ又はそれ以下に設定される閾値である。
S93の処理により確認した結果、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第3閾値以上を示す値でなければ(S93:No)、S92の処理へ移行する。一方で、S93の処理により確認した結果、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第3閾値以上を示す値であれば(S93:Yes)、強制蓄水運転モードを解除し、空気ファン61の回転数を負荷に応じた値に戻し(S94)、この強制蓄水運転モード実行処理(S9)を終了する。
よって、この強制蓄水運転モード実行処理(S9)を実行することにより、固体高分子電解質膜11の含水量を、最適湿度範囲の下限である第1閾値以上、かつ、第3閾値以下の範囲に調整することができる。
図9(b)は、図6の含水量制御処理の中で実行される強制乾燥運転モード実行処理(S64)を示すフローチャートである。この強制乾燥運転モード実行処理(S64)では、固体高分子電解質膜11の乾燥を強制的に行う。
具体的には、図9(b)に示すように、まず、空気ファン61の回転数を上げる(S641)。空気ファン61の回転数を上げることにより、空気極12へ送られる空気の量が増えるので、膜電極接合体15からの水分の持ち去り量が増加される。その結果、固体高分子電解質膜11の乾燥(即ち、含水量の低下)を促すことができる。
S641の処理後、含水量センサ装置R(R1〜Rn)による検出値の平均値を取得し(S642)、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第4閾値以下であるかを確認する(S643)。なお、第4閾値は、上記した第2閾値より低く設定される閾値であると共に、第1閾値と同じ又はそれ以上に設定される閾値である。
S643の処理により確認した結果、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第4閾値以下を示す値でなければ(S643:No)、S642の処理へ移行する。一方で、S643の処理により確認した結果、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第4閾値以下を示す値であれば(S643:Yes)、強制乾燥運転モードを解除し、空気ファン61の回転数を負荷に応じた値に戻し(S644)、この強制乾燥運転モード実行処理(S64)を終了する。
よって、この強制乾燥運転モード実行処理(S64)を実行することにより、固体高分子電解質膜11の含水量を、第4閾値以上、かつ、最適湿度範囲の下限である第2閾値以下の範囲に調整することができる。
以上説明したように、上記した第1実施形態によれば、燃料電池スタック40を構成する複数の単位セル10のうち、一部又は全ての単位セル10に含水量センサ装置Rを配設するので、燃料電池スタック40内における固体高分子電解質膜の含水量に関する情報を抵抗値として直接的に得ることができる。従って、燃料電池スタック40内において固体高分子電解質膜11の含水量が不足又は水分飽和した状態を高精度かつ迅速に推測することが可能になる。
よって、含水量が所定範囲に含まれない場合に行うべき対処を適切なタイミングで行うことができるので、固体高分子電解質膜11の含水量を最適湿度範囲内に維持させることができる。その結果、ドライアップやフラッディングの発生を有効に防止することができ、燃料電池システムの出力低下を有効に抑制することができる。
なお、燃料電池スタック40内に設ける含水量センサ装置Rの数は、特に限定されないが、その数は多ければ多い程、燃料電池スタック40内における固体高分子電解質膜の含水量に関する情報を増やすことができるので、含水量制御をより正確に行うことができるので好ましい。
また、上記した第1実施形態によれば、加湿室として機能する第2の水素ガス流路31と、第1の水素ガス流路17との隔壁である第1の隔壁11aに含水量センサ装置Rの電極151,152を配設するので、第2の水素ガス流路31における水素の加湿状態を把握することができる。よって、含水量センサ装置Rが示す検出値(抵抗値)に基づき、第2の水素ガス流路31を流通する水素の加湿を制御することができ、燃料電池スタック40内における固体高分子電解質膜の含水量を好適に維持させることが可能になる。
特に、加湿室として機能する第2の水素ガス流路31と、第1の水素ガス流路17との隔壁である第1の隔壁11aに、含水量センサ装置Rの電極151,152が配設されるので、第2の水素ガス流路31における水素の加湿状態を把握することができる。よって、含水量センサ装置Rが示す検出値(抵抗値)に基づき、第2の水素ガス流路31を流通する水素の加湿を制御することができ、燃料電池スタック40内における固体高分子電解質膜の含水量を好適に維持させることが可能になる。
また、本実施形態の燃料電池システム100において、含水量制御処理(図6参照)が制御装置70によって実行されることによって、ナビゲーション装置201から受信したナビゲーション情報(道路データや予測到着時刻や現在位置など)に基づいて設定された乾燥領域よりルート始点側の領域(強制蓄水運転モード領域)において、固体高分子電解質膜11への強制的な水分の蓄水が行われる。
よって、ナビゲーション情報が示す車両の走行環境(道路状況など)が、固体高分子電解質膜が必然的に乾燥されて、その水分量が不足すると推測される乾燥領域に到達する前に、固体高分子電解質膜11に水分が強制的に蓄水されるので、乾燥領域における固体高分子電解質膜のドライアップを防ぐことができ、固体高分子電解質膜のドライアップによる出力低下によって走行に支障をきたすことを抑制することができる。
一方で、含水量制御処理の一部である強制蓄水運転モード実行処理(図9(a)参照)によれば、固体高分子電解質膜11の含水量が最適湿度範囲内に設定された閾値(第3閾値)以上になると、固体高分子電解質膜11への強制的な蓄水が停止されるように構成されている。
即ち、強制蓄水運転モードであっても、含水量センサ装置Rにより固体高分子電解質膜の含水量が管理されるので、強制的な蓄水による固体高分子電解質膜11のフラッディングを有効に防止できる。よって、ナビゲーション装置により案内される目的地に到達するまで、固体高分子電解質膜の水分量を適切に維持することができ、安定な走行を可能にする。
また、普通運転モードであっても、含水量センサ装置Rが固体高分子電解質膜11の含水量が最適湿度範囲に含まれない場合、即ち、含水量が最適湿度範囲より多い、又は、含水量が最適湿度範囲より少ない場合には、空気ファン61の回転数を調整することによって含水量の回復が図られる。よって、固体高分子電解質膜11の含水量に影響する空気の流れによる水分の持ち去り量を調整することにより、固体高分子電解質膜11の含水量を最適湿度範囲へと有効に回復することができる。
次に、図10〜図13を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。上記した第1実施形態は、固体高分子電解質膜11の含水量が最適湿度範囲の下限である第1閾値以下である場合に、空気ファン61の回転数を上げることにより、含水量の回復を図る構成であったのに対し、この第2実施形態は、固体高分子電解質膜11の含水量が第1閾値以下である場合に、液体水を用いて加湿した水素ガスを燃料電池スタック40へ供給し、第2の水素ガス流路を直接的に加湿する。なお、上記した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図10は、第2実施形態の要部構成を模式的に示すブロック図である。図10に示すように、第2実施形態の燃料電池システム100では、水供給系80の水タンク82は、同水路81a及び給水路81bに加えて、水素ガス供給流路51aに合流し、水素ガス供給流路51aを流通する水素ガスを液体水によって加湿する加湿流路81cを有している。
この加湿流路81cには、水タンク82から液体水の流通方向に向かって順に、水タンク81の液体水を圧送する加湿ポンプ89と、液体水の逆流を防止するための逆止弁181とが設けられている。一方で、第2実施形態における水素ガス供給流路51aには、加湿流路81cとの合流地点の上流側に液体水の流入を防止するための逆止弁55が設けられている。
この第2実施形態の燃料電池システム100では、含水量センサ装置R(R1〜Rn)が1つでも、固体高分子電解質膜11の含水量の不足を示した場合に、加湿ポンプ89を作動させ、水素ガスを加湿する。加湿された水素ガスは、図10に示すように、第2の水素ガス流路31をハッチングの入った矢印方向に流れ、燃料電池スタック40内における固体高分子電解質膜11を湿潤する。
図11は、第2実施形態の燃料電池システム100の運転を制御する制御装置70の電気的構成を示すブロック図である。図11に示すように、この第2実施形態では、制御装置70の入出力ポート75に、含水量センサ装置R(R1〜Rn)や空気ファン61などに加えて、加湿ポンプ89が接続されている。
上記構成を有する第2実施形態の燃料電池システム100で実行される含水量制御処理、即ち、ナビゲーション装置201によるルート運転時に燃料電池スタック40を構成する単位セル10における固体高分子電解質膜11の含水量を制御する処理は、含水状態確認処理(S6)と、強制蓄水運転モード実行処理(S9)の内容が相違する以外は、第1実施形態の含水量制御処理(図6参照)と同じ処理が行われる。
図12(a)は、第2実施形態における含水状態確認処理(S6)を示すフローチャートである。図12(a)に示すように、第2実施形態における含水状態確認処理(S6)では、まず、閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置R(R1〜Rn)があるか、即ち、固体高分子電解質膜11の含水量が低いことを示す含水量センサ装置Rがあるかを確認する(S161)。
S161の処理により確認した結果、閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置R(R1〜Rn)があれば(S161:Yes)、図12(b)を参照して後述する第2実施形態の強制蓄水運転モード実行処理(S9)を実行し、この含水状態確認処理(S6)を終了する。
一方で、S161の処理により確認した結果、閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置R(R1〜Rn)がなければ(S161:No)、含水量センサ装置R(R1〜Rn)による検出値の平均値を取得し(S61)、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第2閾値以上を示す値であるかを確認し(S63)、第2閾値以上を示す値であれば(S63:Yes)、強制乾燥運転モード実行処理を実行し(S64)、この含水状態確認処理(S6)を終了する。また、S63の処理により確認した結果、取得した平均値が固体高分子電解質膜11の含水量が第2閾値以上を示す値でなければ(S63:No)、この含水状態確認処理(S6)を終了する。
図12(b)は、第2実施形態における強制蓄水運転モード実行処理(S9)を示すフローチャートである。図12(b)に示すように、第2実施形態における強制蓄水運転モード実行処理(S9)では、まず、加湿ポンプ89の流量を決定する(S191)。本実施形態では、閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置R(R1〜Rn)の数に応じて加湿ポンプ89の流量を決定する。
ここで、図13を参照して、加湿ポンプ89の流量の決定方法について説明する。図13は、閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置R(R1〜Rn)の数と、加湿ポンプ89の流量との関係を示すマップの
内容を示す模式図である。図13に示すマップにおいて、横軸は、閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置Rの数(即ち、0個からn個)を示す軸である。一方、縦軸は、加湿ポンプ89の流量を示す軸である。
縦軸における「max」は、全ての含水量センサ装置R(即ち、含水量センサ装置R1〜Rnの全て)が閾値以上の抵抗を示した場合に設定される最大のポンプ流量である。この最大ポンプ流量は、水素ガス供給系50が燃料電池スタック40へ供給する水素の流量と、燃料電池スタック40の温度とから、ROM72に格納される図示されないマップを用いて、フラッディングが生じない程度の値として取得される。
図13に示すように、最大ポンプ流量(max)が決定されると、(0,0)と(n,max)とを結ぶ直線によってマップが構成される。閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置Rの数が決まると、かかるマップから、加湿ポンプ89の流量が決定する。
再度、図12(b)に戻って説明する。S191の処理により加湿ポンプ89の流量が決定されると、決定された流量に基づいて、加湿ポンプ89の圧力が調整される(S192)。
S192の処理後、閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置Rがあるかを確認し(S193)、閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置Rが1つでもあれば(S193:Yes)、S191の処理へ移行し、S191〜S193を繰り返す。
一方、S193の処理により確認した結果、閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置Rが全くなければ(S193:No)、加湿ポンプ89の流量をゼロとして、強制蓄水運転モードを解除する(S194)。そして、この強制蓄水運転モード実行処理(S9)を終了する。
以上説明したように、第2実施形態の燃料電池システム100によれば、燃料電池スタック40内に設置される含水量センサ装置Rが1つでも固体高分子電解質膜11の含水量が最適湿度範囲を下回ることを示すと、加湿ポンプ89を作動させて、燃料電池スタック40へ供給する水素ガスを、水タンク82に貯留される液体水によって加湿する。よって、加湿された水素ガスを、燃料電池スタック40内の第2の水素ガス流路31(そして、その後の第1の水素ガス流路17)を流通させることによって固体高分子電解質膜11を容易に湿潤することができ、固体高分子電解質膜11のドライアップの発生を有効に防止することができる。
ここで、第2実施形態の燃料電池システム100によれば、水素ガスへ供給する水分の量が、固体高分子電解質膜11の含水量が低いことを示す含水量センサ装置Rの個数に応じて調整される。よって、加湿のために供給する水分量の過不足が抑制され、固体高分子電解質膜11の含水量を最適湿度範囲へと有効に回復することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施形態では、ルート上から抽出された乾燥領域に対し、強制蓄水運転モード領域を設定して、強制蓄水運転モード実行処理(S9)を行う構成としたが、これに加え、ルート上から乾燥すべき領域を抽出し、かかる乾燥すべき領域が抽出された場合に、その領域に対して強制乾燥運転モード領域を設定し、強制乾燥運転モード実行処理(S64)を行う構成としてもよい。
なお、強制乾燥運転モード領域は、強制乾燥運転モード領域の設定と同様に、抽出された乾燥すべき領域の始点と、その始点からルートの手前側(ルート始点側)に所定距離(例えば、10km)の地点との間の区間とすることができる。
また、乾燥すべき領域としては、目的地の予測温度が氷点以下になる領域が例示される。なお、目的地の予測温度は、ナビゲーション装置70により予測されたルート上における各ノード地点への予測到達時刻と、ナビゲーション装置70を介して外部情報提供サーバ203から読み出した各ノード地点における温度履歴とに基づき、予測到達時刻における各ノード地点の温度を、例えば、外挿法により予測することができる。
また、上記第1実施形態では、含水量センサ装置Rが固体高分子電解質膜11の含水量が最適湿度範囲に含まれない場合に、空気ファン61の回転数を調整することによって含水量の回復を図る構成としたが、燃料電池スタック40の温度の調整によって含水量の回復を図る構成としてもよい。
燃料電池スタック40の温度を調整することにより、固体高分子電解質膜11の含水量に影響する水分の蒸発量を調整することができ、固体高分子電解質膜11の含水量を正常範囲内へと有効に回復することができる。より具体的には、燃料電池スタック40の温度を下げることにより、水分の蒸発量を低減することができ、固体高分子電解質膜11の含水量を上げることができる。一方で、燃料電池スタック40の温度を上げることにより、水分の蒸発量を増やすことができ、固体高分子電解質膜11の含水量を下げることができる。
なお、燃料電池スタック40の温度調整は、ラジエータファン122aの回転数の調整により行うことができる。即ち、ラジエータファン122aをオンする(又は回転数を上げる)ことにより、冷却水温を下げることができるので、燃料電池スタック40の温度を下げることができる。一方、ラジエータファン122aをオフする(又は回転数を下げる)ことにより、冷却水温を上げることができるので、燃料電池スタック40の温度を上げることができる。
あるいは、バイパス切替電磁弁125の開閉により燃料電池スタック40の温度調整を行う構成としてもよい。冷却水をバイパス流路121bを流れるようにすることによって燃料電池スタック40の温度を上げることができる。
また、上記実施形態では、常圧の空気を燃料電池スタック40へ供給する燃料電池システムとして構成したが、本発明は、加圧空気を燃料電池スタックへ供給する燃料電池システムにおいても適用できる。この場合には、固体高分子電解質膜11の含水量の調整は、燃料電池スタック40の温度調整によって行われる。
また、上記第2実施形態では、水素ガスを加湿する液体水の供給源として水供給系890の水タンク82を流用する構成としたが、水素ガスを加湿する液体水の供給源として専用の水タンクを設ける構成としてもよい。
また、上記第2実施形態は、燃料電池スタック40へ供給する水素ガスを加湿する構成としたが、空気供給系60により燃料電池スタック40へ供給する空気を加湿する構成であってもよい。
また、上記各実施形態では、第2の水素ガス流路31を有する単位セル10に含水量センサ装置Rを設けたが、汎用的な単位セルにおける固体高分子電解質膜の触媒不在領域に含水量センサ装置Rを設ける構成としてもよい。
なお、本発明における含水量推測手段としては、S62,S63,S93,S643,S161,S193の処理が該当する。また、本発明における乾燥領域設定手段としては、S2の処理が該当する。また、本発明における強制蓄水手段としては、S91,S191の処理が該当する。また、本発明における強制蓄水停止手段としては、S94,S194の処理が該当する。また、本発明における加湿手段としては、S192の処理が該当する。また、本発明における水分量調整手段としては、S191の処理が該当する。
本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態を示すブロック図である。 単位セルを模式的に示す断面図である。 (a)は、第2の水素ガス流路における水素ガスの流通経路を示す模式図であり、(b)は、第1の水素ガス流路における水素ガスの流通経路を示す模式図である。 (a)は、含水量センサ装置が設けられていない単位セルにおけるIV部1(図2)の拡大図であり、(b)は、含水量センサ装置が設けられている単位セルにおけるIV部(図2)の拡大図である。 制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 制御装置において実行される含水量制御処理を示すフローチャートである。 図6の含水量制御処理の中で実行される乾燥領域抽出処理を示すフローチャートである。 図6の含水量制御処理の中で実行される含水状態確認処理を示すフローチャートである。 (a)は、図6の含水量制御処理又は図8の含水状態確認処理の中で実行される強制蓄水運転モード実行処理を示すフローチャートであり、(b)は、図6の含水量制御処理の中で実行される強制乾燥運転モード実行処理を示すフローチャートである。 第2実施形態の要部構成を模式的に示すブロック図である。 第2実施形態の制御装置70の電気的構成を示すブロック図である。 (a)は、第2実施形態の含水状態確認処理を示すフローチャートであり、(b)は、第2実施形態の強制蓄水運転モード実行処理を示すフローチャートである。 閾値以上の抵抗を示す含水量センサ装置の数と、加湿ポンプの流量との関係を示すマップの内容を示す模式図である。
符号の説明
10 単位セル
11 固体高分子電解質膜
11a 第1の隔壁(触媒不在領域)
12 空気極(酸素極)
13 燃料極(水素極)
16 空気流路(酸化剤ガス流路)
17 第1の水素ガス流路(第1の水素ガス流路)
31 第2の水素ガス流路(第2の水素ガス流路)
33 第2の隔壁
40 燃料電池スタック
50 水素供給系(燃料ガス供給手段)
60 空気供給系(酸化剤ガス供給手段)
100 燃料電池システム
151 第1の検出部(検出部の一部)
151a 電極(第1の端子)
152 第2の検出部(検出部の一部)
152a 電極(第2の端子)
152 電極(検出部の一部,第2の端子)
201 ナビゲーション装置

Claims (5)

  1. 固体高分子電解質膜とその固体高分子電解質膜を両側から挟持する水素極及び酸素極とを含む単位セルの複数を電気的に直列接続させた状態で積層させて構成される燃料電池スタックであって、
    前記燃料電池スタックを構成する複数の単位セルの少なくとも1つは、前記固体高分子電解質膜の抵抗を測定可能な検出部を有しており、
    前記検出部は、前記燃料極及び前記空気極が共に形成されない前記固体高分子電解質膜の触媒不在領域の片面側に当接し、周囲に対して絶縁状態とされると共に、抵抗測定装置に接続される第1の端子と、
    前記第1の端子の対となって前記触媒不在領域の他面側に当接し、周囲に対して絶縁状態とされると共に、前記抵抗測定装置に接続される第2の端子と、を備えていることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 酸化剤ガスを前記酸素極に接触させつつ流通させる酸化剤ガス流路と、
    燃料ガスを前記水素極に接触させつつ流通させる第1の燃料ガス流路と、
    前記第1の燃料ガス流路における下縁部と前記酸化剤ガス流路の下縁部との間において、前記固体高分子電解質膜における前記触媒不在領域を延出して構成される第1の隔壁と、前記酸化剤ガス流路に対して前記酸化剤ガスを遮断可能に形成される第2の隔壁との間に形成され、前記燃料ガスの流路となる第2の燃料ガス流路と、を備え、
    前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記第1の隔壁の両面に各々配設されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池スタック。
  3. 請求項1又は2に記載の燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックを構成する単位セルに設けられた前記検出部による検出値に基づいて、前記固体高分子電解質膜の含水量を推測する含水量推測手段と、を備えていることを特徴とする燃料電池システム。
  4. ナビゲーション装置から受信するナビゲーション情報に基づいて、該ナビゲーション装置により設定されたルート上において前記固体高分子電解質膜の含水量が必然的に乾燥されると予想される乾燥領域を設定する乾燥領域設定手段と、
    前記乾燥領域推定手段により設定された乾燥領域よりルート始点側の領域において、前記固体高分子電解質膜に水分を強制的に蓄水させる強制蓄水手段と、
    前記含水量推測手段により推測される前記固体高分子電解質膜の含水量が前記所定範囲内に設定された閾値以上である場合に、前記強制蓄水手段による強制的な蓄水を停止する強制蓄水停止手段と、を備えていることを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池スタックへ酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
    前記燃料電池スタックへ燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
    前記含水量推測手段により推測される前記固体高分子電解質膜の含水量が前記所定範囲の下限の閾値以下である場合に、前記酸化剤ガス供給手段により前記燃料電池スタックへ供給する酸化剤ガス、又は、前記燃料ガス供給手段により前記燃料電池スタックへ供給する燃料ガスに水分を供給する加湿手段と、
    前記固体高分子電解質膜の含水量が不足することを示唆した前記検出部の個数に応じて、前記加湿手段により前記酸化剤ガス又は前記燃料ガスへ供給する水分の量を調整する水分量調整手段と、を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の燃料電池システム。



JP2008092483A 2008-03-31 2008-03-31 燃料電池スタック及び燃料電池システム Pending JP2009245826A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008092483A JP2009245826A (ja) 2008-03-31 2008-03-31 燃料電池スタック及び燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008092483A JP2009245826A (ja) 2008-03-31 2008-03-31 燃料電池スタック及び燃料電池システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009245826A true JP2009245826A (ja) 2009-10-22

Family

ID=41307478

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008092483A Pending JP2009245826A (ja) 2008-03-31 2008-03-31 燃料電池スタック及び燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009245826A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013038453A1 (ja) 2011-09-15 2013-03-21 トヨタ自動車株式会社 燃料電池システム
WO2016157320A1 (ja) * 2015-03-27 2016-10-06 日産自動車株式会社 燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法
JP2020047438A (ja) * 2018-09-18 2020-03-26 トヨタ自動車株式会社 燃料電池システム

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013038453A1 (ja) 2011-09-15 2013-03-21 トヨタ自動車株式会社 燃料電池システム
US9397353B2 (en) 2011-09-15 2016-07-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Fuel cell system
WO2016157320A1 (ja) * 2015-03-27 2016-10-06 日産自動車株式会社 燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法
CN107431226A (zh) * 2015-03-27 2017-12-01 日产自动车株式会社 燃料电池系统以及燃料电池系统的控制方法
JPWO2016157320A1 (ja) * 2015-03-27 2018-02-01 日産自動車株式会社 燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法
US10020523B2 (en) 2015-03-27 2018-07-10 Nissan Motor Co., Ltd. Fuel cell system and control method for fuel cell system
CN107431226B (zh) * 2015-03-27 2019-06-21 日产自动车株式会社 燃料电池系统以及燃料电池系统的控制方法
JP2020047438A (ja) * 2018-09-18 2020-03-26 トヨタ自動車株式会社 燃料電池システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101248254B1 (ko) 전기 생산 장치
JP2006210004A (ja) 燃料電池システム
JP5351651B2 (ja) 燃料電池システム
US10199668B2 (en) Fuel cell system and performance improvement method of fuel cell system
JP6325013B2 (ja) 燃料電池システムの低温起動方法
JP2008112647A (ja) 車両用燃料電池システム
JP2004165058A (ja) 燃料電池システムの制御装置
JP2009037870A (ja) 燃料電池システム
JP2006147484A (ja) 加湿装置
JP2013258111A (ja) 燃料電池システム
JP5459223B2 (ja) 燃料電池システム
JP5287184B2 (ja) 燃料電池システム
JP2009245826A (ja) 燃料電池スタック及び燃料電池システム
JP5066358B2 (ja) 燃料電池システム及びその掃気方法
JP2007220322A (ja) 燃料電池システム
JP2000243422A (ja) 燃料電池システムおよび燃料電池の冷却方法
JP2011216370A (ja) 燃料電池システム及びその制御方法
JP5437089B2 (ja) 燃料電池システム
JP2009183120A (ja) 車輌制御システム
JP2009238669A (ja) 燃料電池システム
JP4397686B2 (ja) 燃料電池の反応ガス供給装置
JP2017147038A (ja) 燃料電池システムの出力加速時における圧力制御方法
JP5512387B2 (ja) 燃料電池の運転方法
JPWO2010073381A1 (ja) 燃料電池システム
JP2006093028A (ja) 燃料電池システム及び燃料電池の膜乾燥状態推定方法