JP2009243973A - 非破壊検査用標準サンプルの作製方法、非破壊検査用標準サンプルおよびこれを用いた非破壊検査方法 - Google Patents

非破壊検査用標準サンプルの作製方法、非破壊検査用標準サンプルおよびこれを用いた非破壊検査方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 チタン材料の所望の部分に、所望の濃度で水素を付加させることができ、容易かつ大量に標準サンプルを作製することができる非破壊検査用標準サンプルの作製方法、非破壊検査用標準サンプルおよびこれを用いた非破壊検査方法を提供する。
【解決手段】 前処理工程では、チタン管7の水素を付加する部分の素地を露出させ、水素を付加する部分以外の部分を被覆部9で被覆する。設置工程で、参照電極3と対極4と作用電極となる前処理されたチタン材料7とを、3電極方式の電気化学セルの電解液中に設置する。印加工程で、ガルバノスタット2により、チタン管7に定電流または定電位を、所定時間印加する
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素を含有したチタン製材料の非破壊検査用標準サンプルの作製方法、非破壊検査用標準サンプルおよびこれを用いた非破壊検査方法に関する。
チタンは海水などの塩化物環境で非常に耐食性が良いため、化学プラントの熱交換器伝熱管に多く用いられている。
しかし、チタンは水素との親和力が大きいために水素を吸収し、その水素を吸収した水素化物部分が脆化することがある。
脆化した水素化物部分は、材料強度が落ちて伝熱管の割れに繋がる可能性がある。
このため、プラントの実機に用いられている伝熱管の健全性を確認するために水素化物が生成しているかどうかを確認するための非破壊検査を行う必要がある。
特許文献1記載の水素脆化判定方法は、参照コイル2a及び検出コイル2bを備えた渦流センサ2を、チタン管6内に挿入し、所定周波数の交流電流を参照コイル2aに印加してチタン管6に渦電流を流し、検出コイル2bによってチタン管6のインピーダンス変化を測定する。測定結果からチタン管6の内径変動成分、外部導電体影響成分及び温度による比抵抗変化成分をノイズとして排除し、ノイズが排除されたインピーダンス変化量に基づいてチタン管6の水素吸収量を求める。
水素化物の生成によるチタン管の強度劣化度合いは、水素吸収の程度で異なるので、非破壊検査では検査の標準となるように、水素吸収量の異なる複数種類の標準サンプルが求められている。
しかし、現状では、実機から水素吸収により実際に劣化した伝熱管を取り出して標準サンプルとしている。詳細には、まず実機から伝熱管を取り出して水素濃度を実測する。実測には伝熱管の破壊が伴うので、標準サンプルすなわち水素濃度が既知のサンプルとしては、実測するために取り出した伝熱管の近傍に位置する伝熱管を切り出し、これを標準サンプルとしている。実測した伝熱管の近傍に位置する伝熱管を、実測した伝熱管と同じ水素濃度であるものとみなし、切り出した伝熱管の水素濃度と実測した伝熱管の水素濃度が同じであるとして濃度既知の標準サンプルとしている。
このような標準サンプルでは、実測した伝熱管の水素濃度と、近傍の伝熱管の水素濃度とがどの程度同じであるかが不明である。また、標準サンプルの水素濃度は、実測濃度であるので、所望の濃度のサンプルが取り出せるとは限らない。また、標準サンプルを実機から切り出すために必要かつ十分な量を確保できない。
特許文献2記載のチタン材は、純チタンまたはチタン合金の表面にチタン水素化物含有層を形成させたチタン材であって、チタン水素化物含有層の厚みが0.1〜80μmであると共に、前記チタン水素化物含有層中のチタン水素化物の濃度が10〜50%であることを特徴としている。
特開2001−141698号公報 特開2005−36314号公報
特許文献2記載のチタン材は、表面に形成されたチタン水素化物含有層中のチタン水素化物の濃度を10〜50%としているが、このチタン材は水素吸収が起こり難くて耐水素吸収性に優れたチタン材を目的としており、種々の水素濃度が必要な標準サンプルとしては適さない。
チタン水素化物含有層の形成方法は、特に限定されておらず、一例としてチタンを陰極として硫酸などの非酸化性の酸溶液中で電解する電解処理による方法が挙げられているのみである。
標準サンプルとして、種々の水素濃度のサンプルを再現性よく繰り返し作製する方法については不明である。
本発明の目的は、チタン材料の所望の部分に、所望の濃度で水素を付加させることができ、容易かつ大量に標準サンプルを作製することができる非破壊検査用標準サンプルの作製方法、非破壊検査用標準サンプルおよびこれを用いた非破壊検査方法を提供することである。
本発明は、水素を含有したチタン材料の非破壊検査用標準サンプルの作製方法であって、
チタン材料の水素を付加する部分の素地を露出させ、水素を付加する部分以外の部分を絶縁材料で被覆する前処理工程と、
対極と作用電極となる前処理されたチタン材料とを、電気化学セルの電解液中に設置する設置工程と、
電気化学セルに接続された電源により、前記チタン材料に定電流または定電位を、所定時間印加する印加工程とを有することを特徴とする非破壊検査用標準サンプルの作製方法である。
また本発明は、前記チタン材料が管状部材である場合、前記前処理工程では、チタン管の開放端を栓によって塞ぐとともに、チタン管の軸線方向中央部で周方向に対して一定幅の露出領域を設け、露出領域以外の領域は、管の両端から軸線方向中央部にかけて絶縁部材による被覆部を設けることを特徴とする。
また本発明は、前記対極は、円環形状を有し、前記設置工程では、電解液中で対極の中心軸線がチタン管の中心軸線と一致するように同心状に配置することを特徴とする。
また本発明は、前記印加工程では、チタン材料に付加させる水素濃度に応じて、少なくとも定電流値、定電位値、印加時間または電解液温度を調整することを特徴とする。
また本発明は、前記非破壊検査用標準サンプルの作製方法で作製されたことを特徴とする非破壊検査用標準サンプルである。
また本発明は、1つの標準サンプルに、水素濃度が異なる複数の水素含有領域を設けたことを特徴とする。
また本発明は、前記非破壊検査用標準サンプルを用いた非破壊検査方法であって、
前記非破壊検査用標準サンプルを所定の非破壊測定方法で測定し、
水素濃度ごとに得られた測定値に基づいて、水素濃度と測定値との相関性を算出し、
相関性の算出に用いた測定値の測定方法と同じ非破壊測定方法を用いて検査対象となる被検査物を測定し、
算出された相関性を参照し、被検査物の測定値から被検査物の含有水素濃度を算出することを特徴とする非破壊検査方法である。
本発明によれば、水素を含有したチタン材料の非破壊検査用標準サンプルの作製方法であって、前処理工程では、チタン材料の水素を付加する部分の素地を露出させ、水素を付加する部分以外の部分を絶縁材料で被覆する。設置工程で、対極と作用電極となる前処理されたチタン材料とを、電気化学セルの電解液中に設置する。印加工程で、電気化学セルに接続された電源により、前記チタン材料に定電流または定電位を、所定時間印加する。
これにより、チタン材料の素地が露出した部分で水素が発生し、発生した水素を当該露出部分に付加することで、チタン材料の所望の部分に、所望の濃度で水素を付加させることができ、容易かつ大量に標準サンプルを作製することができる。
また本発明によれば、前記チタン材料が管状部材である場合、前記前処理工程では、まずチタン管の開放端を栓によって塞ぐ必要がある。栓によって管内空間を密閉して、管内への電解液の進入を防止する。また、露出領域以外の領域は、管の両端から軸線方向中央部にかけて絶縁部材による被覆部を設ける。
これにより、チタン材料の外表面の所望の部分に所望の濃度で水素を付加させることができる。
また本発明によれば、前記対極は、円環形状を有し、前記設置工程では、電解液中で対極の中心軸線がチタン管の中心軸線と一致するように同心状に配置する。
これにより、チタン管の露出領域に周方向にわたって偏りなく一様に水素を付加することができる。
また本発明によれば、前記印加工程では、少なくとも定電流値、定電位値、印加時間または電解液温度を調整することで、容易にチタン材料に付加させる水素濃度を制御することができる。
また本発明によれば、上記の非破壊検査用標準サンプルの作製方法で作製することにより、非破壊検査であればその検査方法によらず標準サンプルとして使用することができる。
また本発明によれば、1つの標準サンプルに、水素濃度が異なる複数の水素含有領域を設けることで、複数の水素濃度に対する測定を1回の測定で行うことができる。
また本発明によれば、上記の非破壊検査用標準サンプルを所定の非破壊測定方法で測定し、水素濃度ごとに得られた測定値に基づいて、水素濃度と測定値との相関性を算出する。検査対象となる被検査物については、相関性の算出に用いた測定値の測定方法と同じ非破壊測定方法を用いて測定し、算出された相関性を参照して、被検査物の測定値から被検査物の含有水素濃度を算出する。
本発明の標準サンプルは、水素の含有位置および濃度を所望の位置と濃度に設定できるので、水素濃度と測定値との相関性をより高精度に算出することができる。
図1は、本発明の実施形態である標準サンプル製造方法に用いる水素付加装置1の構成を示す概略図である。水素付加装置1は、電源2、参照電極3、対極4、電解液槽5および導線6で構成される。
電解液槽5に貯留された電解液に、参照電極3、対極4が浸漬され、水素付加処理の対象となる被処理物であるチタン管7も導線6に接続されて他の電極とともに電解液10に浸漬される。
水素付加装置1は、3電極方式の電気化学セルで実現され、電気化学的処理によって作用電極となるチタン管7表面に水素を発生させてチタン管7に発生した水素を付加させることで、標準サンプルを作製する。
電源2は、本発明の水素付加処理のような電気化学処理で使用される電源である。電源2としては、ポテンショスタットまたはガルバノスタットを用いることができるが、本実施形態では、図1に示すように電源2としてガルバノスタット2を用いており、以下ではガルバノスタット2を用いた例について説明する。ガルバノスタット2は、参照電極3、対極4および作用電極に相当するチタン管7が接続され、対極4とチタン管7との間に定電流を印加するように動的に制御する。なお、ガルバノスタット2では、参照電極は3は必須の構成ではないので、参照電極を用いずとも水素付加は可能である。
また、電源2として、ポテンショスタットを用いた場合は、参照電極3は必須であり、参照電極3の電位を基準として、チタン管7に定電位を付加することができる。
参照電極3は、被処理物として接続したチタン管7の電極電位を測定する際に基準となる棒状電極であり、水素電極あるいは水素電極との電位差が液温や接している電解液の組成により一義的に定まる電極である。
対極4は、チタン管7の電位を所望の電位に設定するにあたって、電流を流れやすくするために設けられる板状電極である。
チタン管7は、本発明の水素付加装置1においては、いわゆる作用電極に相当する。
図2は、前処理が施されたチタン管7を示す図である。
チタン管7は、材質としてたとえば純チタン(JIS規格2種)で構成される円管状部材である。管長さ、管壁厚み、管径は、標準サンプルとして必要な大きさによって適宜選定すればよく、非破壊検査の対象となる伝熱管と同じサイズのものを標準サンプルとして作製することになる。
本発明では、管長さ、管壁厚み、管径がどのようなものであっても所望の含有水素濃度となる標準サンプルを作製することができる。
チタン管7を標準サンプルとするにあたっては、管の軸線方向中央部で周方向に対して一定幅の露出領域8を設ける。この露出領域8は、管の両端から軸線方向中央部にかけて絶縁部材による被覆部9を設ければよい。露出領域8は、被覆部9によって被覆されずに、チタン管7の素地が直接電解質8に接触する領域であり、この露出領域8の管表面から水素が進入する。
被覆部9は、電気絶縁部材で構成され、電解質に浸漬した状態でも管表面から剥がれない、たとえば絶縁テープなどを巻きつける。被覆部9の周方向に対する幅は、少なくとも70mm以上、好ましくは100mm以上とすることが好ましい。被覆部9の周方向に対する幅が小さいと、露出領域8が管の端部に近くなりすぎて露出領域の含有水素濃度の制御が困難となる。露出領域8の周方向に対する幅は、バッフル幅と同じになるようにすることが好ましい。バッフル幅は、熱交換器などで伝熱管群の間に設けられる板状、リング状部材であるバッフルの幅である。熱交換のための流体がバッフルに衝突するとバッフルが振動することにより、バッフルと伝熱管とが接触して、伝熱管表面を損傷させることになる。この損傷部分において、水素の含有が生じやすく、すなわち伝熱管において水素濃度が高くなりやすい領域がバッフル幅となる。したがって、標準サンプルとしては、このバッフル幅と同じ幅に所望の水素濃度となる水素含有領域を設ける。
また、標準サンプル作製にあたっては、チタン管7の内周面からの水素の進入を防ぐ必要がある。実機での使用状態では、チタン管(伝熱管)の内部からの水素の進入はほとんどなく、外部からの進入のみであると考えてもよい。したがって、伝熱管の標準サンプルとしては、水素の進入は管の外周面からのみにすることが好ましい。チタン管7の内周面からの水素の進入を防ぐには、チタン管7の開放端を栓11によって塞ぎ、チタン管7の管内空間を密閉して、管内への電解液の進入を防止する。
チタン管7の開放端を塞ぐ栓11は、電解液10に対する耐性を有し、電気絶縁性を有する部材で構成され、たとえばシリコンゴムなどで構成される。
このように、所定幅の露出領域8に、外周面からのみ水素を進入させて、バッフル幅相当の水素含有領域を形成するためには、電解液10への浸漬前に被覆部9によるチタン管7表面の被覆と、栓11による開放端の密閉を行い、導線6に接続したのち、参照電極3、対極4などとともに電解液10に浸漬させる。
電解液10は、所定のpHに調整された導電性の液体であり、本発明を実施するに当たっては、公知の電解液であれば特に限定されないが、たとえばNaSO水溶液に酸を加えてpH調整したもの、NaCl水溶液に酸を加えてpH調整したものなどが利用できる。
以上のように、被処理物であるチタン管7に処理前の準備を施したのち、電解チャージを行ってチタン管7に所望濃度の水素を付加する。
図1では、チタン管7は、1個しか示していないが、複数のチタン管7を電解液10に同時に浸漬させても良い。この状態で、電解液10中には、たとえばカロメル電極で構成される参照電極3、たとえば白金から成る対極4が浸漬され、これらがガルバノスタット2に導線6を介して接続される。そして、ガルバノスタット2を動作させ、チタン管7に定電流を印加することにより、電気化学的にチタン管7の露出領域8表面で水素を発生させる。ここで、チタン管7に印加される電流は、白金製対極4から電解液10を通りチタン管7へと流れる電流を示す。
チタン管7に電位を付与する過程で、電解液10に電流が良好に流れるように、電解液10の電気伝導度は0.01S/m以上とすることが好ましい。
さらに、チタン管7の表面で十分な量の水素が発生するように、電解液10中の水素イオン濃度が高くなければならない。したがって、電解液10のpHは7以下、好ましくは5以下とする。
また、チタン管7への水素の進入を促進するために、触媒として、たとえば0.1〜1重量%のチオシアン酸アンモニウムを電解液10に添加しても良い。
ここで、ガルバノスタット2によりチタン管7に流れる定電流を調節して、チタン管7への水素の含有量を制御する。チタン管7へ流れる電流を適切に保つことで、チタン管7へ連続的に水素が浸透することになる。水素の含有量は、定電流値、電流印加時間、電解液温度および電解液のpHを調整することで、所望の値に制御することができる。
たとえば、熱交換器の伝熱管として使用されるチタン管に対する標準サンプルを作製する場合には、水素が浸透するような条件として、チタン管7に流れる電流を定電流に保持する。具体的に、伝熱管に対する標準サンプルを作製する場合は、露出領域8に流れる電流を定電流(たとえば−10.03mA/cm)に保持する。
電源としてポテンショスタットを用いる場合は、チタン管7の電位を調節して、チタン管7への水素の含有量を制御する。このとき、水素の含有量は、定電位値、電流印加時間、電解液温度および電解液のpHを調整することで、所望の値に制御することができる。
定電流値、定電位値、印加時間、電解液温度とチタン管7の含有水素濃度との関係は、予め測定などにより決定しておけば、所望の水素濃度が含有した標準サンプルを容易にかつ大量に作製することが可能となる。
図3は、本発明の他の実施形態である標準サンプル製造方法に用いる水素付加装置21の構成を示す概略図である。
本実施形態で用いる水素付加装置21と図1に示した水素付加装置1とは、対極22の形状が異なっている。なお、対極22の形状以外の構成については、上記の実施形態と同じ構成であるので、同じ参照符号を付して説明を省略する。
水素付加装置1における対極4は、一般的な電気化学セルで用いられる板状電極である。チタン管7の水素付加を目的とする露出領域8は周方向にわたって設けられているので、対極4が棒状電極の場合、対極4とチタン管7の位置関係によって、たとえば露出領域8のうち対極4と最も近い領域と最も離れた領域とでは、水素の発生量に差異が発生する可能性があり、水素含有濃度に偏りが生じる。作製したい標準サンプルによっては、偏りが生じたほうが好ましい場合もあり、そのような場合いは、板状の対極4を用いることが有効である。
チタン管7の周方向にわたって偏りなく露出領域8に水素を付加させたい場合には、本実施形態のように円環形状の対極22を用いることが好ましい。円環形状の対極22を、その中心軸線がチタン管7の中心軸線と一致するように同心状に配置し、チタン管7に定電流または定電位を印加する。
対極22の周方向に対する幅は、チタン管7の露出領域8の周方向の幅と同じであることが好ましいが、そうするとチタン管7によって対極22も交換しなければならなくなる。露出領域8の周方向幅は、作製したい標準サンプルによって異なるので、作製するであろう標準サンプルのうち最も露出領域8の幅が大きいサンプルの大きさに合わせ、共通の対極22とすることが好ましい。
対極22の直径についても、チタン管7の露出領域8と対極22の内周面との距離が所定の距離となるような寸法とすることが好ましいが、そうするとチタン管7によって対極22も交換しなければならなくなる。チタン管7の直径は作製したい標準サンプルによって異なるので、チタン管7の露出領域8と対極22の内周面との距離が広過ぎると、溶液抵抗が大きくなるので、作製するであろう標準サンプルのうち最も直径が小さいサンプルを考慮し、最大の管が入る程度の最小の大きさにするのが好ましい。
このように、対極22の形状を円環形状とすることで、チタン管7の露出領域8に、周方向にわたって偏りなく一様に水素を付加することができる。
上記の水素付加装置1,21を用いた製造方法により製造された標準サンプルは、非破壊検査であればその検査方法によらず標準サンプルとして使用することができる。
図4は、本発明の他の実施形態である標準サンプルの例を示す図である。図4(a)は、1つのサンプルに1つの水素含有領域を設けたものであり、図4(b)は、1つのサンプルに複数の水素含有領域を設けたものである。
たとえば、熱交換器の伝熱管検査用の標準サンプルを作製するにあたっては、伝熱管に使用されるチタン管7の管壁厚みおよび管径は、複数種類の寸法に限られたものになる。管壁厚みについては、たとえば0.8mm、1.0mm、1.6mmなどであり、管径については、たとえば10mm、19mm、25.4mmなどである。本発明では、これらの寸法のチタン管の軸線方向中央部に所定濃度の水素が付加された水素含有領域が設けられた標準サンプルが得られる。
図4(a)に示す標準サンプル30は、1つの標準サンプル30において1つの水素含有領域31を設けたサンプルである。水素含有領域31は、肉眼ではチタンの素地領域32とは区別できない場合と、水素付加条件によっては着色するためチタンの素地領域32と区別できる場合があり、本図ではわかりやすいように水素含有領域31と素地領域32とを明確に区別して図示している。標準サンプル30の水素含有領域31には、一様に所定の濃度で水素が含有されている。
このような標準サンプルを用いた非破壊検査方法について説明する。
予め水素含有領域31の水素含有濃度を種々に変えて、水素濃度が異なる複数種類の標準サンプル30を作製する。公知の検査方法により、水素濃度既知のこれら複数の標準サンプル30を測定する。水素濃度ごとに得られた測定値(周波数や電圧値など検査方法により異なる)を用いて、水素濃度と測定値との相関性を算出し、算出した相関性をデータベースなどに記憶する。
相関性の算出に用いた測定値の測定方法と同じ方法を用いて検査対象となる被検査物(たとえば伝熱管)を測定する。
データベースに記憶されている相関性を参照して、被検査物の測定値から被検査物の含有水素濃度を算出する。
含有水素濃度とチタンの脆化状態などとの相関性については、実際に材料強度測定などを行って別途設定しておき、上記のようにして得られた含有水素濃度に基づいて、脆化状態を判断する。
本発明の標準サンプル30は、水素の含有濃度を自由に設定できるので、水素濃度と測定値との相関性をより高精度に算出することができる。
標準サンプルの他の例としては、図4(b)に示すように、1つの標準サンプル40に複数の水素含有領域41,42,43を設けたものである。
水素含有領域41,42,43は、肉眼ではチタンの素地領域44とは区別できない場合と、水素付加条件によっては着色するためチタンの素地領域44と区別できる場合があり、本図ではわかりやすいように各水素含有領域41,42,43と素地領域44とを明確に区別して図示している。標準サンプル40の水素含有領域41,42,43には、それぞれ異なる濃度の水素が含有されている。
このような標準サンプル40は、本発明の製造方法を用いて以下のように作製することができる。水素含有領域41となる露出領域を1つだけ設けるように所定の位置に被覆部9を設け、所望の水素濃度となるように電解チャージを行う。水素含有領域41が形成されると、次に水素含有領域42となる露出領域を1つだけ設けるように水素含有領域41を含めて所定の位置に被覆部9を設け、水素含有領域41の水素濃度とは異なる所望の水素濃度となるように電解チャージを行う。水素含有領域42が形成されると、次に水素含有領域43となる露出領域を1つだけ設けるように水素含有領域41,42を含めて所定の位置に被覆部9を設け、水素含有領域41,42の水素濃度とは異なる所望の水素濃度となるように電解チャージを行う。
上記では3つの水素含有領域41,42,43を1つの標準サンプル40に設けた例を示したが、これに限らず4つ以上の水素含有領域を設けるようにしてもよい。ただし、測定時に隣接する他の水素含有領域の影響を受けないために、水素含有領域同士の間隔が50mm以上となるように離して設けることが好ましい。また、両端の水素含有領域は、上記と同様に管の両端から70mm以上、好ましくは100mm以上離れて設けることが好ましい。
図4(a)に示した標準サンプル30を用いた場合、複数の水素濃度に対する測定を行うためには、標準サンプル30を交換しながら複数回の測定を行う必要がある。これに対して、図4(b)に示した標準サンプル40では、1つの標準サンプル40に複数の水素含有領域が設けられているので、複数の水素濃度に対する測定を1回の測定で行うことができる。
(実施例)
・チタン管7
純チタン(JIS規格2種)を用い、管外径19.05mm、管壁厚み1.465mm、管長さ150mmのチタン管を用いた。
・前処理
管の端部に導線を接続し、管の中央に10mm幅の素地露出領域を設け、その他の表面を絶縁テープで被覆する。管の両端はシリコン製の栓をはめ込み、管内へ電解液が入らないように密閉する。
・電解液
1%NaSO水溶液を硫酸でpH1に調整して電解液とした。
・処理条件
温度は常温にて、露出領域に−10.03mA/cmの定電流を、168時間印加した後、400℃で24時間熱処理を施した。この操作を2回繰り返すことで、水素含有量が600ppmの標準サンプルが得られた。
・測定方法および測定結果
水素含有量は、渦流探傷法により測定した。上記のようにして作製した標準サンプルを用いて測定したところ、測定値と水素濃度との間には良好な相関が得られた。
本発明の実施形態である標準サンプル製造方法に用いる水素付加装置1の構成を示す概略図である。 前処理が施されたチタン管7を示す図である。 本発明の他の実施形態である標準サンプル製造方法に用いる水素付加装置21の構成を示す概略図である。 本発明の他の実施形態である標準サンプルの例を示す図である。
符号の説明
1 水素付加装置
2 ポテンショスタット
3 参照電極
4 対極
5 電解槽
6 導線
7 チタン管
8 露出領域
9 被覆部
10 電解液
11 栓

Claims (7)

  1. 水素を含有したチタン材料の非破壊検査用標準サンプルの作製方法であって、
    チタン材料の水素を付加する部分の素地を露出させ、水素を付加する部分以外の部分を絶縁材料で被覆する前処理工程と、
    対極と作用電極となる前処理されたチタン材料とを、電気化学セルの電解液中に設置する設置工程と、
    電気化学セルに接続された電源により、前記チタン材料に定電流または定電位を、所定時間印加する印加工程とを有することを特徴とする非破壊検査用標準サンプルの作製方法。
  2. 前記チタン材料が管状部材である場合、前記前処理工程では、チタン管の開放端を栓によって塞ぐとともに、チタン管の軸線方向中央部で周方向に対して一定幅の露出領域を設け、露出領域以外の領域は、管の両端から軸線方向中央部にかけて絶縁部材による被覆部を設けることを特徴とする請求項1記載の非破壊検査用標準サンプルの作製方法。
  3. 前記対極は、円環形状を有し、前記設置工程では、電解液中で対極の中心軸線がチタン管の中心軸線と一致するように同心状に配置することを特徴とする請求項2記載の非破壊検査用標準サンプルの作製方法。
  4. 前記印加工程では、チタン材料に付加させる水素濃度に応じて、少なくとも定電流値、定電位値、印加時間または電解液温度を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の非破壊検査用標準サンプルの作製方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の非破壊検査用標準サンプルの作製方法で作製されたことを特徴とする非破壊検査用標準サンプル。
  6. 1つの標準サンプルに、水素濃度が異なる複数の水素含有領域を設けたことを特徴とする請求項5記載の非破壊検査用標準サンプル。
  7. 請求項5または6記載の非破壊検査用標準サンプルを用いた非破壊検査方法であって、
    前記非破壊検査用標準サンプルを所定の非破壊測定方法で測定し、
    水素濃度ごとに得られた測定値に基づいて、水素濃度と測定値との相関性を算出し、
    相関性の算出に用いた測定値の測定方法と同じ非破壊測定方法を用いて検査対象となる被検査物を測定し、
    算出された相関性を参照し、被検査物の測定値から被検査物の含有水素濃度を算出することを特徴とする非破壊検査方法。
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