JP2009243557A - 自動変速機のパーキング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変速機ケース上部のエンジンスタータとの干渉を防止し、自動変速機の高さを低くすること。
【解決手段】変速機ケース10のサイドにバルブボディー11を配設し、その上部にエンジンスタータ100を配設した自動変速機のパーキング装置において、セレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフト20には、変速機ケース10の上部側及び下部側を軸支し、かつ、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の上部内側でバルブボディー11に配設されたマニュアルバルブ70のマニュアルバルブレバー61及びマニュアルバルブロッド64からなる駆動系を配設し、そして、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の下部内側で、パーキングギヤ50と係合または解除を行うパーキングポール40を変位させるパーキングレバー31及びカム部32aを含むパーキングロッド30、パーキングギヤ50に噛み合う係合部41及びカム当接部42を含むパーキングポール40からなる駆動系を配設したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動変速機のパーキング装置に関し、特に、自動変速機のパーキング装置の機構に関するものである。
従来の自動変速機のパーキング装置としては、特許文献1が公知である。
特許文献1は、自動変速機のパーキングギヤ(5)(なお、ここで( )内の数字は特許文献1の図面に記載の構成部品を示すものである)をケース(1)に係止し、車軸の回転を阻止する自動変速機のパーキング装置において、ケース(1)の開口端面(10)に取付けられたオイルポンプ(4)の位置決め穴(15)の延長上に穿設され、パーキングギヤ(5)を取り巻くケース周壁(11)に沿って軸方向に延び、ケース周壁(11)の端面に開口するポールシャフト(3)用の軸孔(13)と、その軸孔(13)を横断してケース周壁(11)を切り欠くパーキングポール(2)のスリット(14)を形成し、パーキングポール(2)は、その一端をスリット(14)に嵌合され、軸孔(13)に嵌挿されたポールシャフト(3)によってケース周壁(11)に回転自在となるように支持されている。
このような構成にすることによって、ポールシャフト(3)を嵌挿する軸孔(13)の加工をケース端面側から行うことができ、従来のようなケース(1)の複雑な内部構造に制約された加工と異なり、作業性よく、軸孔(13)を加工することができる。また、軸孔(13)に対するポールシャフト(3)の組付性も向上する。
特開平11−82736号公報
ところが、特許文献1の技術は、自動変速機のパーキングギヤ(5)とマニュアルシャフトの位置が離れて配設される場合の対応について何ら開示するものがない。
特に、自動変速機の高さを制限する場合には、変速機の車両フロント側にバルブボディーを配設し、かつ、パーキング機構が変速機の上側に配置する構成が採用される可能性が高くなる。しかし、この自動変速機の構成については、変速機の上側にエンジンスタータを配設すると、特に、小排気量のエンジンスタータはそのリングギヤの外形が小さくなるので、取付け位置が変速機ケースの上面に近づきパーキング機構との干渉が問題になってくる。
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、自動変速機の高さを低くすることが可能な自動変速機のパーキング装置の提供を目的とするものである。
請求項1にかかる自動変速機のパーキング装置は、レンジ位置を選択するセレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフトは、前記変速機ケースの上部側及び下部側の複数個所で軸支され、かつ、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側に、前記バルブボディーに配設されたマニュアルバルブの駆動系を配設し、また、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの下部内側に、前記パーキングギヤを拘束またはその拘束を解除する駆動系を配設したものである。
ここで、上記マニュアルシャフトは、レンジ位置を選択するセレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたものであればよい。
また、上記変速機ケースの上部側及び下部側の軸支は、2箇所以上の複数個所で支持できるものであればよい。
そして、上記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの下部内側とは、内部と外部とに区画したときに前記変速機ケースの外表面を基準に内側を特定するものである。したがって、突出部分であっても外表面から分離していない限り内側であり、肉厚部分も内側である。
更に、上記パーキングギヤを拘束または拘束解除するパーキングポールとは、前記パーキングギヤに噛み合う突起を有しているものであればよい。
請求項2にかかる前記変速機ケースの上部内側に配設した前記マニュアルバルブの駆動系は、前記マニュアルシャフトに固定したマニュアルバルブレバー及び前記マニュアルバルブレバーと前記バルブボディーの前記マニュアルバルブとの間に配設されたマニュアルバルブロッドを具備するものである。
ここで、前記変速機ケースの上部内側に配設した前記マニュアルバルブの駆動系は、少なくとも、前記マニュアルシャフトに固定したマニュアルバルブレバーを介して前記バルブボディーに配設された前記マニュアルバルブを具備するものであり、他に、ディテントレバー、ディテントスプリングが構成に加わってもよい。
請求項3にかかる前記パーキングギヤを拘束または拘束解除する駆動系は、前記マニュアルシャフトに取付けたパーキングレバー及び前記パーキングレバーに取付けたパーキングロッドのカム部によって変位させられ、前記パーキングギヤの歯部に噛み合う係合部及びカム当接部を含むパーキングポールを具備するものである。
ここで、前記パーキングギヤを拘束または拘束解除するパーキングポールを変位させる駆動系は、少なくとも、前記パーキングポールを変位させるパーキングロッド及び前記パーキングロッドを前記マニュアルシャフトに取付けたパーキングレバーを具備するものであり、他に、パーキングローラ、スプリングが構成に加わってもよい。
請求項4にかかる前記変速機ケースの周囲の特定個所に配設したバルブボディーは、前記変速機ケースの前方に配設したものである。
ここで、前記バルブボディーを前記変速機ケースの前方に配設した自動変速機は、従来から使用されているものにも設計変更なしに適用されるものである。
請求項5にかかる前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部外には、レンジ位置を検出するニュートラルスイッチを配設したものである。
ここで、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部外には、レンジ位置を検出するニュートラルスイッチを配設することは、前記変速機ケースの内部のマニュアルバルブの駆動系に対応した位置が望ましい。
請求項6にかかる前記パーキングポールは、前記パーキングギヤを拘束またはその拘束の解除を行う位置が、前記パーキングギヤの中心よりも下側の位置で行うものである。
ここで、前記パーキングギヤの中心よりも下側の位置とは、前記パーキングギヤの中心の水平線よりも下方の位置を意味するものである。
請求項7にかかる前記マニュアルシャフトは、前記変速機ケースの開口部側に沿って配設したものである。
ここで、前記変速機ケースの開口部側に沿ってとは、好ましくは、開口を結ぶ直線に平行な位置であるが、厳格に開口を結ぶ直線に平行な位置のみを意味するものではなく、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部側及び下部側が、前記変速機ケースの開口部側に配設されておればよい。
請求項8にかかる自動変速機のパーキング装置の前記変速機ケースの上部には、エンジンスタータを配設したものである。
ここで、この請求項1乃至請求項7の発明は、エンジンスタータを上部に配置しないものにも適用されるが、請求項8では、上部に配置されたものにも適用できる。
請求項1の発明は、レンジ位置を選択するセレクトレバーがパーキング位置のとき、パーキングギヤの回転を拘束する自動変速機のパーキング装置において、変速機ケースの周囲にバルブボディーを配設し、前記セレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフトは、前記変速機ケースの上部側及び下部側の複数個所で軸支し、かつ、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側に、前記バルブボディーに配設されたマニュアルバルブの駆動系を配設し、また、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの下部内側に、前記パーキングギヤを拘束またはその拘束を解除する駆動系を配設したものである。
即ち、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側に、前記バルブボディーに配設されたマニュアルバルブの駆動系を配設し、また、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの下部内側に、前記パーキングギヤを拘束またはその拘束を解除する駆動系を配設し、前記マニュアルシャフトを前記変速機ケースの上部側と下部側で軸支したものである。したがって、前記変速機ケースの上部側と下部側で軸支した前記マニュアルシャフトで、マニュアルバルブの駆動系とパーキングギヤを拘束またはその拘束を解除する駆動系を少なくとも2分して配置できるから、両駆動系を限られた空間に分割して配置でき、前記変速機ケースの高さを低くすることができる。
また、前記変速機ケースの上部側と下部側で軸支した前記マニュアルシャフトで、マニュアルバルブの駆動系とパーキングギヤを拘束またはその拘束を解除する駆動系を2分割して配置でき、前記マニュアルシャフトの上部側と下部側に負荷を2分割して配置でき、前記マニュアルシャフトの下部側で両駆動系を操作する場合に比較して、前記マニュアルシャフトに加わる捩れを軽減することができ、それだけ、仕上げ精度を上げなくてよくなる。特に、マニュアルバルブの駆動系は、常にマニュアルバルブの駆動負荷が加わるが、パーキングポールを変位させる駆動系は、パーキング位置のみ大きな負荷が加わるものであるから、マニュアルシャフトのストレスを大きくすることのない機構にできる。
そして、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側に、前記バルブボディーに配設されたマニュアルバルブの駆動系を配設したものであるから、メンテナンスを考慮した場合に好適となる。
請求項2の発明の自動変速機のパーキング装置において、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側に配設した前記マニュアルバルブの駆動系を、前記マニュアルシャフトに固定したマニュアルバルブレバー及び前記マニュアルバルブレバーと前記バルブボディーの前記マニュアルバルブとの間に配設されたマニュアルバルブロッドを具備するものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、少なくとも、前記マニュアルバルブの移動に伴う負荷を分離することができる。また、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側に、前記バルブボディーに配設されたマニュアルバルブの駆動系を配設したものであり、メンテナンスを考慮した場合に好適となる。
請求項3の発明の自動変速機のパーキング装置において、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの下部内側に配設した前記パーキングギヤを拘束または拘束解除する駆動系を、前記マニュアルシャフトに取付けたパーキングレバー及び前記パーキングレバーに取付けたパーキングロッドのカム部によって変位させられ、前記パーキングギヤの歯部に噛み合う係合部及びカム当接部を含むパーキングポールを具備するものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、少なくとも、前記マニュアルシャフトの下部の負荷を、前記パーキングポールを変位させる駆動系のみに軽減することができる。
請求項4の発明の自動変速機のパーキング装置において、前記変速機ケースの周囲の特定個所にバルブボディーは、前記変速機ケースの前方に配設したものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、従来からの前記変速機ケースの前方に配設した自動変速機のパーキング装置にも適用することができる。
請求項5の発明の自動変速機のパーキング装置において、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部外に、レンジ位置を検出するニュートラルスイッチを配設したものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側と外側の負荷のバランスをよくし、また、軸支した機構の安定性をよくすることができる。
請求項6の発明の自動変速機のパーキング装置において、前記パーキングポールを、前記パーキングギヤを拘束またはその拘束の解除を行う位置が、前記パーキングギヤの中心の水平位置よりも下側の位置で行うものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、パーキングギヤに噛み合うパーキングポールを付勢するスプリングの有無にかかわることなく、パーキングギヤとパーキングポールとの噛み合いを制御できるので、フェールセーフ性から好適な機構とすることができる。
請求項7の発明の自動変速機のパーキング装置において、前記マニュアルシャフトを前記変速機ケースの開口部側に沿って配設したものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、前記マニュアルシャフトを取付ける軸の作業性及び加工性から、その組付精度を上げることができる。
請求項8の発明の自動変速機のパーキング装置において、前記変速機ケースの上部には、エンジンスタータを配設したものであるから、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、エンジンスタータを上部に配置したものであっても、干渉を生じさせないで高さを低く構成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、図1乃至図4の本発明の実施の形態及び図5の従来例を基に想定される構造の比較例において、図中、同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここでは重複する説明を省略する。
図1は本発明の実施の形態にかかる自動変速機のパーキング装置の全体を説明する断面図であり、図2は図1の自動変速機のパーキング装置をマニュアルシャフトの左側から見た要部断面図であり、図3は本発明の実施の形態にかかる自動変速機のパーキング装置のマニュアルバルブの駆動系を説明する断面の説明図であり、図4は本発明の実施の形態にかかる自動変速機のパーキング装置のパーキングポールを変位させる駆動系を説明する断面の説明図である。更に、図5は従来の自動変速機のパーキング装置を元に設計変更する事例を説明する比較例の全体を説明する断面図である。
図1乃至図4において、変速機ケース10は、内部に自動変速機構が格納されたハウジングである。変速機ケース10の周囲には、自動変速機構に取付けられたバルブボディー11が配設されている。変速機ケース10の開口部11a側に配置されたバルブボディー11を覆うようにオイルパン12が配設されている。このオイルパン12は、変速機ケース10の開口部11aの端部にボルト13で締付けられており、変速機ケース10の閉空間を一体に広くしている。
変速機ケース10の開口部11aの端部側には、図示しないセレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフト20が配設されている。マニュアルシャフト20の下端は、変速機ケース10の開口側の下部に穿設した嵌合孔14に回動自在に挿入されている。また、マニュアルシャフト20の上部は、変速機ケース10の開口側の上部に配設したメタル15に回動自在、かつ、シール性を確保した状態で貫通している。なお、変速機ケース10の中央上部には、エンジンスタータ100が配設されている。
マニュアルシャフト20の下部には、パーキングレバー31が嵌め込まれ、マニュアルシャフト20とパーキングレバー31が一体に回動するよう軸部22で両者が固定されている。パーキングレバー31の外周はパーキングロッド30と結合し、パーキングロッド30の結合部がパーキングレバー31の結合部内を回動自在となっている。
パーキングロッド30は、カム部32a及び直線部32d及びクランク部32c、ストッパー部32e並びにスプリング32bから構成され、カム部32aは直線部32dをストッパー部32e側にスプリング32bによって付勢されている。通常状態では、カム部32aがストッパー部32e側にスプリング32bによって付勢され、両者は接触している。パーキングロッド30が図2の左方向に移動する際に、カム部32aとパーキングポール40のカム当接部42との当接が滑らかに行われるように、スプリング32bが弾性変形する。
パーキングロッド30の大径部からなるカム部32aは、パーキングローラピン91によって回動自在に取付けられたパーキングローラ90に載るように配置されており、パーキングロッド30のカム部32aとパーキングローラ90の接触抵抗を小さくしている。
また、パーキングロッド30の小径部からなる直線部32dについても同様に、パーキングローラ90に載るように配置されており、両者間の接触抵抗を小さくしている。
変速機ケース10の下部内側でパーキングギヤ50の中心の水平位置よりも下側の位置で係合またはその係合の解除を行うパーキングポール40は、出力軸に固定されたパーキングギヤ50の歯部51に噛み合う係合部41、パーキングロッド30のカム部32aに当接するカム当接部42及びパーキングポールシャフト44、パーキングポールシャフト44を軸に回動自在に弾性力を付与するトーションスプリング43から構成されている。パーキングポール40はパーキングポールシャフト44によって変速機ケース10に取付けられている取付基台45に軸支され、変速機ケース10に対してパーキングポールシャフト44が回動自在に配設されている。
パーキングギヤ50の山、谷からなる歯部51は、パーキングギヤ50の周囲に必要数の歯が形成されていて、パーキングポール40の係合部41と噛み合うことによってパーキングギヤ50の回転を拘束し、また、パーキングポール40の係合部41との噛み合いを解かれることによってパーキングギヤ50の回転の拘束を解除して、その回転出力を許容する。このように、パーキングロッド30のカム部32aに当接するパーキングポール40のカム当接部42は、パーキングロッド30の直線部32dの外周面に接触しているとき、パーキングポール40の係合部41とパーキングギヤ50の歯部51との噛み合いが解かれている。また、パーキングロッド30のカム部32aの外周面に接触しているとき、パーキングポール40の係合部41との噛み合い状態にある。
即ち、パーキングポール40はトーションスプリング43によって、パーキングポールシャフト44を軸に、図1の右回転方向である下方向に弾性力が付与されている。したがって、トーションスプリング43の弾性力によって、カム当接部42は、直線移動するパーキングロッド30の直線部32dの外周面またはカム部32aの外周面に接触し、マニュアルシャフト20の回動によって、パーキングポール40の当接位置が直線部32dになるか、または、カム部32aになるかが決定され、パーキングロッド30の位置の変位となる。
そして、マニュアルシャフト20の回動によってパーキングロッド30の位置が変位すると、パーキングポール40の当接位置が直線部32dの外周にあるとき、パーキングギヤ50の歯部51と係合部41との噛み合いはなくなり、パーキングギヤ50の回転を許容する。マニュアルシャフト20の回動によってパーキングロッド30の位置が変位し、パーキングポール40の当接位置がカム部32aの外周にあるとき、パーキングギヤ50の歯部51と係合部41との噛み合いが生じ、パーキングギヤ50の回転を拘束する。
したがって、マニュアルシャフト20の回動によってパーキングロッド30の位置が変位し、パーキングポール40の当接位置がカム部32aの外周にあるとき、パーキングギヤ50の回転を拘束し、マニュアルシャフト20の回動によってパーキングロッド30の位置が変位し、パーキングポール40の当接位置が直線部32dの外周になると、パーキングギヤ50の拘束を解くことになる。
マニュアルシャフト20の変速機ケース10の内側上部には、マニュアルバルブレバー61とディテントレバー62が一体となったマニュアルプレート60が、マニュアルシャフト20と一体となって回動するように軸部21で堅固に両者を固定している。
バルブボディー11は、レンジ位置によって油路を決定する直線方向に移動するマニュアルバルブ70を内蔵しており、マニュアルバルブ70の移動位置によって自動変速機の変速段を決定する油路を切替える。
バルブボディー11はマニュアルバルブロッド64によって連結されており、マニュアルシャフト20の回動をマニュアルバルブレバー61の角変位とし、マニュアルバルブロッド64を介して油路を切替えるマニュアルバルブ70の位置を変化させている。
なお、マニュアルバルブロッド64は、クランク状に両端が折曲されており、マニュアルバルブレバー61の回転運動をマニュアルバルブ70の直線運動に切替えている。
マニュアルプレート60としてマニュアルバルブレバー61と一体となっているディテントレバー62は、自動変速機のレンジを決定するマニュアルバルブ70の移動位置を特定するディテントカム65が形成されている。ディテントカム65には、変速機ケース10に一端をボルト67等で固定されたディテントスプリング66の自由端が弾性力を付与すべく弾接し、マニュアルバルブ70の位置が変位しないように特定されている。このため、ディテントスプリング66の自由端は、Yの字状に2方向に分かれ、ディテントカム65の凹部とガタツキが少ないように嵌合できるような円柱状のローラ66aとしている。因みに、本実施の形態では、Yの字状に2方向に分かれた端部を巻回し、そこにローラ66aの軸を保持させている。
ここで、マニュアルシャフト20が回動すると、マニュアルプレート60を構成するマニュアルバルブレバー61及びディテントレバー62が同時に回動し、マニュアルバルブレバー61の角変位によりマニュアルバルブ70の位置が直線運動を行い、マニュアルバルブ70が油路を切替える。同時に、マニュアルプレート60を構成するディテントレバー62がディテントカム65の位置を変化させる。ディテントカム65の位置は円周上に形成されているから、マニュアルシャフト20の回動角度に応じたマニュアルバルブ70の油路の切替え位置として設定される。即ち、ディテントレバー62がディテントカム65の位置を直線位置変化したものが、マニュアルバルブ70の位置ということになる。
マニュアルシャフト20の変速機ケース10の外側上部には、ニュートラルスイッチ80が配設されている。ニュートラルスイッチ80は、マニュアルシャフト20の回動角度によって、自動変速機のニュートラル位置を検出するものである。
ニュートラルスイッチ80は変速機ケース10の開口側の上部に配設したメタル15を中心に、マニュアルプレート60の取付けの軸部21の上下対称位置で、好ましくは、変速機ケース10に面して、変速機ケース10の外側に取付けられている。特に、マニュアルシャフト20からみて、ニュートラルスイッチ80の負荷と、マニュアルプレート60側の負荷を略等しくするのが望ましい。しかし、本発明の実施の形態では、マニュアルバルブ70の駆動系とパーキングポール40を変位させる駆動系を分離しているので、負荷のバラツキが少なくなっており、両者間を話すことによって設計的に大きな支障が生じるものではない。
このように、本実施の形態の自動変速機のパーキング装置は、変速機ケース10の前方または後方または左右の何れかのサイドにバルブボディー11を配設し、かつ、上部にエンジンスタータ100を配設した自動変速機のパーキング装置において、図示しない自動変速機のレンジを変更するセレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフト20は、変速機ケース10の上部側をメタル15で、及び下部側を嵌合孔14で軸支し、かつ、変速機ケース10上部からマニュアルシャフト20を突出させて前記セレクトレバーに連繋すると共に、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の上部内側で、マニュアルバルブレバー61を介してバルブボディー11に配設されたマニュアルバルブ70と接続し、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の下部内側で、車軸に取付けられたパーキングギヤ50の歯部51と係合またはその係合の解除を行うパーキングポール40を変位させるパーキングロッド30をパーキングレバー31を介して接続したものである。
したがって、自動変速機のセレクトレバーポジションを変更するセレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフト20の回動は、変速機ケース10上部において、マニュアルバルブレバー61とディテントレバー62が一体となったマニュアルプレート60が、マニュアルシャフト20と一体となって回動する。
バルブボディー11には、レンジ位置を決定する直線方向に移動するマニュアルバルブ70を内蔵しており、マニュアルプレート60のマニュアルバルブレバー61の回動によって、マニュアルバルブロッド64がマニュアルバルブ70の直線移動位置を変化させ、自動変速機のレンジを決定する油路を切替える。
同時に、マニュアルプレート60のディテントレバー62側では、マニュアルシャフト20が回動すると、ディテントレバー62が同時に回動し、ディテントカム65の位置はディテントスプリング66の自由端に配設されたローラ66aによって固定され、マニュアルバルブレバー61の角変位により切替えたマニュアルバルブ70の油路を保持する。
また、自動変速機のレンジを変更するセレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフト20の回動は、パーキングレバー31の回動となる。
セレクトレバーのD(ドライブ)、L(ロー)、R(リバース)、N(ニュートラル)位置では、トーションスプリング43の弾性力によってパーキングポール40は図1の下方に回動し、パーキングポール40とパーキングロッド30の当接位置が直線部32dの外周にあり、パーキングギヤ50の歯部51と係合部41との噛み合いが行われない。
しかし、セレクトレバーのP(パーキング)位置では、トーションスプリング43の弾性力によって図1の下方に回動している位置に、パーキングポール40のカム当接部42とパーキングローラ90との間にカム部32aが位置し、パーキングポール40がトーションスプリング43の弾性力に抗して図1の上方に回動し、パーキングギヤ50の歯部51とパーキングポール40の係合部41との噛み合いが行われ、パーキングギヤ50の回転を拘束する。
したがって、マニュアルシャフト20の回動によってパーキングロッド30の回動角が変位し、セレクトレバーのD(ドライブ)、L(ロー)、R(リバース)、N(ニュートラル)位置で、パーキングポール40のカム当接部42の当接位置がカム部32aの外周にあるとき、パーキングギヤ50の回転を拘束する。また、マニュアルシャフト20の回動によってパーキングロッド30の位置が変位すると、セレクトレバーのP(パーキング)位置でパーキングポール40のカム当接部42の当接位置が直線部32dの外周になると、パーキングギヤ50の拘束を解くことになる。
更に、図5の従来例を基に想定される構造の比較例のように、従来の変速機ケース10の前方にバルブボディー11を配設し、かつ、上部にエンジンスタータ100を配設した自動変速機のパーキング装置においては、変速機ケース10の上部にパーキング装置をまとめようとすると、エンジンスタータ100の位置を低くする場合には、エンジンスタータ100のサイズを変更しないとすれば、変速機ケース10の上部にエンジンスタータ100を収容する空間を形成する必要が生ずる。即ち、エンジンスタータ100とパーキング装置とが干渉し、パーキングロッド30を複雑に切曲しても、変速機ケース10の上部にエンジンスタータ100を収容する空間を確保するのが困難である。
そこで、本実施の形態の自動変速機のパーキング装置は、変速機ケース10の前方または後方、左右の何れかのサイドにバルブボディー11を配設し、かつ、上部にエンジンスタータ100を配設した自動変速機のパーキング装置において、図示しないセレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフト20には、変速機ケース10の上部側及び下部側を軸支し、かつ、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の上部内側でマニュアルシャフト20に固定したマニュアルバルブレバー61及びマニュアルバルブレバー61とバルブボディー11のマニュアルバルブ70との間に配設されたマニュアルバルブロッド64を具備する駆動系を配設し、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の下部内側でマニュアルシャフト20に取付けたパーキングレバー31及びパーキングレバーに取付けたパーキングロッド30のカム部32aによって変位させられ、パーキングギヤ50の歯部51に噛み合う係合部41及びカム当接部42を含むパーキングポール40を具備する駆動系を配設したものである。
したがって、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の上部内側に、マニュアルシャフト20に固定したマニュアルバルブレバー61及びマニュアルバルブレバー61とバルブボディー11のマニュアルバルブ70との間に配設されたマニュアルバルブロッド64等からなるマニュアルバルブ70の駆動系を配設し、また、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の下部内側に、マニュアルシャフト20に取付けたパーキングレバー31及びパーキングレバーに取付けたパーキングロッド30のカム部32aによって変位させられ、パーキングギヤ50の歯部51に噛み合う係合部41及びカム当接部42を含むパーキングポール40等からなるパーキングギヤ50を拘束またはその拘束を解除する駆動系を配設するように、マニュアルシャフト20を変速機ケース10の上部側と下部側で軸支し、かつ、そこにマニュアルバルブ70の駆動系とパーキングギヤ50を拘束またはその拘束を解除する駆動系を配設したものである。よって、変速機ケース10の上部側と下部側で軸支したマニュアルシャフト20で、マニュアルバルブ70の駆動系とパーキングギヤ50を拘束またはその拘束を解除する駆動系を2分割して配置できるから、両駆動系を限られた空間に分割して配置でき、変速機ケース10の高さを低くすることができる。
また、変速機ケース10の上部側と下部側で軸支したマニュアルシャフト20で、マニュアルバルブ70の駆動系とパーキングギヤ50を拘束またはその拘束を解除する駆動系を2分割して配置でき、マニュアルシャフト20の上部側と下部側に負荷を2分でき、マニュアルシャフト20の下部側で両駆動系を操作する場合に比較して、マニュアルシャフト20に加わる捩れを軽減することができ、それだけ、材料の選択自由度が広がり、かつ、仕上げ精度を上げなくてよくなる。特に、マニュアルバルブ70の駆動系は、常にマニュアルバルブ70の駆動負荷が加わるが、パーキングギヤ50を拘束またはその拘束を解除する駆動系は、セレクトレバーのP(パーキング)位置で大きな負荷が加わるものであるから、マニュアルシャフト20に加わるストレスの頻度を少なくすることができる。そして、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の上部内側に、バルブボディー11に配設されたマニュアルバルブ70の駆動系を配設したものであるから、メンテナンスを考慮した場合に好適となる。
そして、本実施の形態の自動変速機のパーキング装置における変速機ケース10のサイドに配設したバルブボディー11は、変速機ケース10の前方に配設したものであるから、現在、一般的に使用されている構成においても、使用可能となる。
また、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の上部外には、ニュートラルスイッチ80を配設したものである。故に、マニュアルシャフト20の変速機ケース10の上部内側と外側の負荷のバランスをよくし、また、軸支した機構の安定性をよくすることができる。
更に、本実施の形態のパーキングポール40は、パーキングギヤ50を拘束またはその拘束の解除を行う位置が、パーキングギヤ50の中心の水平線よりも下側の位置で行うものである。故に、パーキングギヤ50の歯部51に噛み合うパーキングポール40の係合部41を付勢するトーションスプリング43の劣化が生じたと仮定しても、それに左右されることなく、パーキングギヤ50とパーキングポール40との噛み合いを制御でき、フェールセーフ性に好適な機構にできる。
更にまた、本実施の形態のマニュアルシャフト20は、変速機ケース10の開口部11a側に沿って配設したものであり、マニュアルシャフト20を取付ける軸の作業性及び加工性から、その組付精度を上げることができる。なお、この変速機ケース10の開口部11a側に沿った構成は、開口部11aに平行な面に限定されるものではなく、開口部11aから内部に深くない位置を意味する。
また、変速機ケース10の上部には、エンジンスタータ100を配設したものであるから、エンジンスタータ100を上部に配置したものであっても、エンジンスタータ100とパーキング機構とが干渉を生じさせないで、その高さを低く構成することができる。
そして、本実施の形態のマニュアルバルブ70の駆動系は、マニュアルシャフト20に固定したマニュアルバルブレバー61を介してバルブボディー11に配設されたマニュアルバルブ70を駆動するものであればよい。ここで、マニュアルプレート60のディテントレバー62側は、マニュアルシャフト20が回動すると略均一な負荷を有するものであり、ディテントカム65の位置はマニュアルシャフト20の何れの位置にも設定できる。しかし、本実施の形態のように、マニュアルプレート60のマニュアルバルブレバー61及びディテントレバー62側を同時に一体形成するとコンパクトに構成することができる。特に、変速機ケース10の上部に配設したものでは、マニュアルバルブ70の駆動系及びディテントレバー62の停止機構は、常にマニュアルバルブ70の駆動負荷が加わり、パーキングポール40を変位させる駆動系は、セレクトレバーのP(パーキング)位置でのみ大きな負荷が加わるものであるから、マニュアルシャフトのストレスを大きくしないので精度及び機械的強度を格別高くする必要がない。
加えて、本実施の形態のパーキングギヤ50を拘束またはその拘束を解除する駆動系は、パーキングポール40を変位させるパーキングロッド30及びパーキングロッド30をマニュアルシャフト20に取付けたパーキングレバー31を具備するものである。
したがって、少なくとも、マニュアルシャフト20の変速機ケース11の下部の負荷を、セレクトレバーのP(パーキング)位置でのみ大きな負荷が加わるパーキングポール40を変位させる駆動系のみにマニュアルシャフト20の負担を軽減することができる。
また、本実施の形態のセレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフト20は、変速機ケース11の上部側及び下部側の2個所で軸支するものであるが、本発明を実施する場合には、加工性によって、2箇所以上を支持する形態とすることができる。
そして、本実施の形態のマニュアルシャフト20を変速機ケース11の開口部11a側に沿って配設したものであるから、マニュアルシャフト20を取付ける軸の作業性及び加工性から、その組付精度を上げることができる。
上記実施の形態の自動変速機のパーキング装置では、変速機ケース10の上部にエンジンスタータ100を配設したもので説明したが、変速機ケース10の上部にエンジンスタータ100を配設しないものでは、特に、全体の自動変速機の高さを抑えることができる。当然、変速機ケース10の上部にエンジンスタータ100を配設したものでは、その干渉を防止することができる。特に、図1のように変速機ケース10の上部とエンジンスタータ100の下部との間に間隔を形成することができる。
図1は本発明の実施の形態にかかる自動変速機のパーキング装置の全体を説明する断面図である。 図2は図1の自動変速機のパーキング装置をマニュアルシャフトの左側から見た要部断面図である。 図3は本発明の実施の形態にかかる自動変速機のパーキング装置のマニュアルバルブの駆動系を説明する断面の説明図である。 図4は本発明の実施の形態にかかる自動変速機のパーキング装置のパーキングポールを変位させる駆動系を説明する断面の説明図である。 図5は従来の自動変速機のパーキング装置を元に設計変更する事例を説明する比較例の全体を説明する断面図である。
符号の説明
10 変速機ケース
11 バルブボディー
11a バルブボディーの開口部
12 オイルパン
14 嵌合孔
15 メタル
20 マニュアルシャフト
30 パーキングロッド
31 パーキングレバー
32a カム部
40 パーキングポール
41 係合部
42 カム当接部
50 パーキングギヤ
51 歯部
61 マニュアルバルブレバー
64 マニュアルバルブロッド
70 マニュアルバルブ
100 エンジンスタータ

Claims (8)

  1. 変速機ケースの周囲の特定個所にバルブボディーを配設し、セレクトレバーポジションがパーキング位置のとき、パーキングギヤの回転を拘束する自動変速機のパーキング装置において、
    前記セレクトレバーの操作を回動角度の変化として伝達されたマニュアルシャフトは、前記変速機ケースの上部側及び下部側の複数個所で軸支し、かつ、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側に、前記バルブボディーに配設されたマニュアルバルブの駆動系を配設し、また、前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの下部内側に、前記パーキングギヤを拘束または拘束解除する駆動系を配設したことを特徴とする自動変速機のパーキング装置。
  2. 前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部内側に配設した前記マニュアルバルブの駆動系は、前記マニュアルシャフトに固定したマニュアルバルブレバー及び前記マニュアルバルブレバーと前記バルブボディーの前記マニュアルバルブとの間に配設されたマニュアルバルブロッドを具備することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機のパーキング装置。
  3. 前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの下部内側に配設した前記パーキングギヤを拘束またはその拘束を解除する駆動系は、前記マニュアルシャフトに取付けたパーキングレバー及び前記パーキングレバーに取付けたパーキングロッドのカム部によって変位させられ、前記パーキングギヤの歯部に噛み合う係合部及びカム当接部を含むパーキングポールを具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機のパーキング装置。
  4. 前記変速機ケースの周囲に配設するバルブボディーは、前記変速機ケースの前方に配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の自動変速機のパーキング装置。
  5. 前記マニュアルシャフトの前記変速機ケースの上部外には、セレクトレバーのレンジ位置を検出するニュートラルスイッチを配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の自動変速機のパーキング装置。
  6. 前記パーキングポールは、前記パーキングギヤを拘束またはその拘束の解除を行う位置が、前記パーキングギヤの中心よりも下側の位置で行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の自動変速機のパーキング装置。
  7. 前記マニュアルシャフトは、前記変速機ケースの開口部側に沿って配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の自動変速機のパーキング装置。
  8. 前記変速機ケースの上部には、エンジンスタータを配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の自動変速機のパーキング装置。
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