JP2009243434A - ポンプ及びこれを備えた液体循環装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】インペラを正逆回転することによって、これまでにない複数の吐出機能をもつポンプおよびこれを備えた液体循環装置を提供する。
【解決手段】
一つのモータ2で二種類のインペラ2B3,2B4を正逆回転させるもので、その第一インペラ2B3は、液体を、モータ2の回転軸方向に吸水し、かつ半径方向外方に吐出することができる形状であり、第二インペラ2B4は、液体をその回転軸方向に吸水し、かつ吐出することができる形状である。両インペラ2B3,2B4は一つのポンプ室4に収容されている。ポンプ室4に吸水された液体は、正転時又は反転時によって両インペラ2B3,2B4の吐出特性が異なるため、モータ2の回転方向を切り替えることによって、何れのインペラ2B3,2B4を主に吐出させるかを変更できる。これにより、これまでにない複数の吐出機能をもつポンプ10を実現することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、循環機能と排出機能のように二種類の吐出機能を実現するために2個の吐出口を有するポンプ及びこのポンプを備えた食器洗浄機や洗濯機等の液体循環装置に関する。
ポンプを用いて液体を循環させる構造をもつ液体循環装置として、食器洗浄機や洗濯機がある。その洗濯機では、洗濯物を入れた洗濯槽に給水し洗浄や濯ぎが行われるが、その洗濯時の洗浄力の向上、洗濯機内の送水部分に溜まる洗濯物から出た汚れや糸屑等の異物の除去、及び洗浄水の節水などのために、ポンプを用いて洗濯槽内の水を洗濯機内で循環させている(特許文献1参照)。また、使用済みの洗浄水を洗濯機外へ排出する時に、排出時間の短縮ために、ポンプを用いて強制排出する機能を持つ洗濯機もある。そして洗濯機によっては、そのような循環機能と排出機能とをもつものがあり、その循環用と排出用として二台のポンプが必要となる。
一方、ポンプには、上記洗濯機の循環機能と排出機能のように水を吐出する複数の吐出機能を一台のポンプで実現できるものがある(特許文献2、3、4参照)。このようなポンプを上記洗濯機に適用すると、ポンプを一台分、削減できることから、二台の場合に比べて、ポンプやこれに接続される配管等を設置するための設置空間、重量、コスト、及び製造のための作業工数等が削減できる。
例えば、特許文献2のポンプは、一台の正逆回転可能なモータに正転用と反転用の2枚のインペラを備え、各インペラが、吸水口と吐出口とを有する独立した2個のポンプ室にそれぞれ収容されている。この正転用インペラでは、各翼の曲面角度によって、モータ正転時に水を押し出しモータ反転時に押し出さない形状となっている。反対に、反転用インペラは、正転用インペラと逆の作用をなす形状となっている。そのため、このポンプでは、これら2枚のインペラを備えたモータの回転方向を切り換えることにより、水の吐出側を変更することができる。
特許文献3のポンプは、一枚のインペラが二個の吐出口を有するポンプ室に収容され、切換弁によって吐出口の吐出側を切り換えるものである。
特許文献4のポンプは、一枚のインペラが二個の吐出口を有するポンプ室に収容され、ポンプ室につながる流路形状を工夫することによって吐出口の吐出側を切り換えるものである。
特開2002−85894号公報 実公平3−46709号公報 実開平1−145364号公報 特開2003−106300号公報
このように、従来のポンプには、インペラを正逆回転することによって複数の機能を実現するものが知られている。
本発明は、上述した公知の技術に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、種々の要請に対応するために、インペラを正逆回転することによって、これまでにない複数の吐出機能をもつポンプおよびこれを備えた液体循環装置を提供することである。
本発明のポンプは、一つのモータで二種類のインペラを正逆回転させるもので、その第一インペラは、液体を、モータの回転軸方向に吸水し、かつ半径方向外方に吐出することができる形状であり、第二インペラは、液体をその回転軸方向に吸水し、かつ吐出することができる形状である。このように吐出特性の異なる二種類のインペラを組み合わせることにより、これまでにない複数の吐出機能をもつポンプを実現することができる。ここで、複数の吐出機能とは、例えば、ポンプ室の液体を半径方向に吐出する機能と軸方向に吐出
する機能の組み合わせ、または、揚程特性に有利な水を吐出する機能と水量特性に有利な水を吐出する機能の組み合わせ、または温水と冷水のように状態が異なる二種類の水に対して一方の水を吐出する機能と他方の水を吐出する機能の組み合わせ、等を挙げることができる。
より具体的には、本発明の請求項1によれば、液体を吐出する第一吐出モードと第二吐出モードの二種類の吐出モードで運転するポンプであって、前記第一吐出モード時に正転し、前記第二吐出モード時に反転する可逆式のモータと、前記モータに固定される第一及び第二インペラと、前記第一および第二インペラを収容する少なくとも一つのポンプ室と、前記ポンプ室の外部の液体を該ポンプ室へ案内するために、該ポンプ室に設けられた少なくとも一つの吸水口と、前記ポンプ室の液体を外部へ案内するために、該ポンプ室に設けられた少なくとも一つの吐出口と、を備え、前記第一インペラは、前記液体を、前記モータの回転軸方向の一方から吸水し、かつ半径方向外方に吐出し、前記第二インペラは、前記液体を、前記回転軸方向の一方から吸水し、かつ前記回転軸方向の他方から吐出することを特徴とする。
本発明の請求項2によれば、請求項1に係るポンプにおいて、前記ポンプ室は、前記第一及び前記第二インペラの両方を収容する単一空間によって構成され、前記吐出口は、第一及び第二吐出口からなり、前記第一インペラは、正転時に前記液体を吐出する吐出力が反転時の吐出力よりも大きく、かつ、正転時に、前記ポンプ室の前記液体を、前記第一吐出口から前記第二吐出口よりも多く吐出し、前記第二インペラは、反転時に前記液体を吐出する吐出力が反転時の吐出力よりも大きく、かつ、反転時に、前記ポンプ室の前記液体を、反転時に前記第二吐出口から前記第一吐出口よりも多く吐出することを特徴とする。
本発明の請求項3によれば、請求項2に係るポンプにおいて、前記モータは、前記ポンプ室の外部に設けられるモータ固定部と、前記ポンプ室の内部であって該モータ固定部の半径方向内方に対向するモータ回転部と、から構成され、前記第一インペラは、前記第二インペラよりも、前記モータ回転部の前記吸水口側に設けられ、前記第二インペラは、前記第一インペラよりも、前記モータ回転部の前記第二吐出口側に設けられている、ことを特徴とする。
本発明の請求項4によれば、請求項3に係るポンプにおいて、前記第一インペラの半径方向内方には、前記第一インペラ側にある前記液体と前記第二インペラ側にある前記液体とが互いに流通可能な第一連通路が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項5によれば、請求項3または4にかかるポンプにおいて、前記第一インペラと前記第二インペラとの間には、前記第二インペラが前記第一インペラ側から吸水可能な第二連通路が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項6によれば、請求項3乃至5の何れかのポンプにおいて、前記モータ固定部は、前記ポンプ室の外部に設けられ回転磁界を発生する電機子を備え、前記モータ回転部は、前記ポンプ室に前記回転軸方向に沿って設けられた固定軸に回転自在に嵌合する摺動部と、前記電機子に半径方向内方に対向する円環状のマグネットと、を備え、前記第二インペラは、前記摺動部と前記マグネットとの間において、前記摺動部と前記マグネットとを連結するように前記回転軸の周りに設けられた複数の羽根部を備えることを特徴とする。
本発明の請求項7によれば、請求項1乃至6の何れかのポンプにおいて、前記第一インペラは、円板部と、該円板部の一端面に前記回転軸の周りに設けられた複数の羽根部と、を備えることを特徴とする。
本発明の請求項8によれば、請求項3乃至5の何れかのポンプによれば、前記モータ固定部は、前記ポンプ室の外部に設けられ回転磁界を発生する電機子を備え、前記モータ回転部は、前記ポンプ室に前記回転軸方向に沿って設けられた固定軸に回転自在に嵌合する摺動部と、前記電機子に半径方向内方に対向する円環状のマグネットと、を備え、前記第一インペラは、円板部と、該円板部の一端面における前記回転軸の周りに設けられた複数の羽根部と、を備え、前記第二インペラは、前記摺動部と前記マグネットとを連結するように前記回転軸の周りに設けられた複数の羽根部を備え、前記モータ回転部は、前記摺動部、前記マグネット、前記第一インペラ、及び第二インペラが一体的に構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項9によれば、液体が流れる流路と、前記流路から吐出された液体を貯める貯水部と、前記流路に前記液体を流すと共に前記貯水部の前記液体を吸水するために設けられる請求項1乃至8の何れかに記載のポンプと、を備えることを特徴とする液体循環装置である。
本発明のポンプは、吐出特性が異なる二つのインペラを組み合わせることにより、モータの回転方向に応じて、これまでにない複数の吐出機能を選択的に切り換えることができる。本発明の液体循環装置は、装置サイズを小型にしつつ、効率良く液体を流すことができる。
本発明に係るポンプ及びこれを備えた液体循環装置の一実施形態について、食器洗浄機を用いて、図1乃至4を参照しながら説明する。
[食器洗浄機の基本構造及び動作]
図1に示すように、食器洗浄機90は、食器91を置く食器トレイ92と、食器91に対して横方向に水を噴射する横方向噴射部93と、食器91に対して縦方向に水を噴射する縦方向噴射部94と、使用済みの洗浄水を貯める貯水部95と、洗浄に使用された水を機外へ排水するための機体排水部96と、貯水部95の水を両噴射部93、94へ供給、或いは機体排水部96から排水するためのポンプ10(詳細構造は後述する)と、これらを収容する筐体98とを備えている。両噴射部93、94は、ポンプ10の吐出口(第一吐出口という)と、所定の配管93a、94aを介して接続されている。貯水部95は、ここの水を洗浄水として使用又は機外へ排水するために、ポンプ10の吸水口と、所定の配管95aを介して接続されている。機体排水部96は、ポンプ10の別の吐出口(第二吐出口という)と、所定の配管96aを介して接続されている。食器洗浄機90に使用される清浄な水は、外部の水道から図示しない配管を通じて内部に適宜供給される。
この食器洗浄機90では、洗浄される食器91を食器トレイ92に設置して電源をオンすると、ポンプ10が駆動し、食器91に向けて両噴射部93、94から水が噴射され、食器91が洗浄される。洗浄に使われた水は、貯水部95へ貯まり、再度、洗浄水として使用されるようにして、水が機内を循環する。そして、水の循環がある程度進み、水が汚れていると判断されると、機外へ排水され、追って清浄な水が取り込まれ、再度、洗浄が行われる。この水の循環と排水の切換は、ポンプ10の駆動状態の切換によって行われる。この洗浄及び排水の工程が繰り返された後、図示しない温風手段によって機内に温風が供給され、食器91が乾燥される。
このように、この食器洗浄機90では、一つのポンプ10が水の循環および排水を行う。
[ポンプの構造及び動作]
ポンプ10は、上述のように機内における水の循環および排水を行うために、二つの吐出モードで駆動する。そして、ポンプ10は、図2に示すようにモータ部2とポンプ室4とから構成され、ポンプ室4には、一つの吸水口4aと二つの第一及び第二吐出口4b、4cを備えている。モータ部2は、正逆回転するもので、二つのインペラがポンプ室4で回転するように構成されている。
より詳細には、モータ部2は、モータ固定部2Aとモータ回転部2Bとからなり、第一ケーシング5の外側にモータ固定部2A、内側にモータ回転部2Bが配置されている。第一ケーシング5は、後述の第二ケーシング6と組み合わせることによってポンプ室4を構成する。なお、以下の説明の「回転軸C1」は、回転するモータ回転部によって定義される回転軸線に相当し、回転軸が伸びる方向を軸方向と称する。同様に以下の説明の「上」又は「下」は、説明の都合上、各図の紙面の「上」又は「下」に相当するが、実際の設置方向を限定するものではない。
第一ケーシング5は、有底円筒部5aの底部に、軸方向に伸びるパイプ状の第二吐出口4cが設けられ、その有底円筒部5aの開口部に、鍔状に拡がる鍔部5bが設けられている。この有底円筒部5aの外側には、モータ固定部2Aが固定されている。また、第二吐出口4cの周囲の三箇所には、ポンプ室4内を回転軸C1に向かって伸びる三本の支持脚5cによって支持される第一軸支持部5dが設けられている。
モータ固定部2Aは、ステータ2A1及びこれに電気的に接続される回路基板2A2が合成樹脂に一体的に密着して覆われたものである。ステータ2A1は、このモータ固定部2Aから引き出された電源線2A3を通じて所定のタイミングで電流が供給されると、磁極から回転磁界を発生する。
一方、第二ケーシング6は、回転軸C1の周りを囲む周壁部6aを有し、この周壁部6aの下端が、回転軸C1に直交する方向に拡がる平坦部6bによって閉塞されている。この平坦部6bの下側には、半径方向に伸びるパイプ状の吸水口4aが設けられ、吸水口4aの一端が平坦部6bの開口を介してポンプ室4に連通している。また、周壁部6aには、回転軸C1に直交する方向に伸びるパイプ状の第一吐出口4bが設けられている。吸水口4aのポンプ室4側には、回転軸C1に沿ってポンプ室4内に伸びる第二軸支持部6cが一体的に設けられている。この第二軸支持部6cは、第一軸支持部5dと同軸に位置し、第一軸支持部5dとによって円柱状のシャフト6cを固定する。
これら第一及び第二ケーシング5、6は、鍔部5bに周壁部6aの上端を組み合わせることによって、第一ケーシング5の有底円筒部5a、第二ケーシング6の周壁部6a及び平坦部6bで囲まれた単一空間からなるポンプ室4が形成される。
モータ回転部2Bは、外周側に位置する円環状のマグネット2B1と、内周側に位置する多孔質性の金属材料からなるスリーブ2B2(摺動部に相当)と、スリーブ2B2よりも下側に位置する合成樹脂製の遠心型インペラ2B3(第一インペラに相当)と、マグネット2B1とスリーブ2B2との間に設けられる合成樹脂製の軸流型インペラ2B4(第二インペラに相当)と、を備えている。
遠心型インペラ2B3は、図2、4に示すように、円弧状の六枚の羽根2B31が、環状板部2B32の下面に回転軸C1の周りに等配して設けられ、これら羽根2B31の下端が円環状の連結部2B33にて連結されている。各羽根2B31は、図3に示すように矢印R1の方向(正転方向)において後向き羽根となるように、環状板部2B32の下面に設けられている。遠心型インペラ2B3は、連結部2B33の内径側の空隙から軸方向に吸水し、半径方向外方へ吐出するが、特に、各羽根2B31は、正転方向の回転(正転という)時の吐出力が、矢印R2の方向の回転(反転という)時の吐出力よりも大きい。
軸流型インペラ2B4は、回転軸C1の周囲に等配された六枚の羽根2B41からなり、マグネット2B1及びスリーブ2B2との間の環状空間に設けられている。各羽根2B41は、図3に示すように反転方向において後向き羽根となるように、軸方向に伸びる平坦形状である。各羽根2B41の外周端は、マグネット2B1の内周面を覆うマグネット保持部2B5を介してマグネット2B1を保持し、各羽根2B41の内周端は、スリーブ2B2の外周面を覆うスリーブ保持部2B6を介してスリーブ2B2を保持する。つまり、軸流型インペラ2B4は、水を撹拌するだけでなくマグネット2B1とスリーブ2B2とを接続する手段としても機能する。また、軸流型インペラ2B4は、軸方向に吸水し同じ方向に吐出するが、特に、各羽根2B41は、反転時の吐出力が、正転時の吐出力よりも大きくなるように形成されている。
モータ回転部2Bは、遠心型インペラ2B3、軸流型インペラ2B4、マグネット保持部2B5、及びスリーブ保持部2B6が、合成樹脂により一体的に射出成形されるが、成形時の金型にマグネット2B1及びスリーブ2B2を配置して成形されるため、樹脂部分にマグネット2B1およびスリーブ2B2が密着して保持されている。
さらに、モータ回転部2Bにおいては、遠心型インペラ2B3から軸流型インペラ2B4を見ると、環状板部2B32の中央孔2B34から、軸流型インペラ2B4を確認することができる(図3参照)。つまり、この中央孔2B34は、図2に示すように遠心型インペラ2B3側にある水と軸流型インペラ2B4側にある水とが互いに流通可能とする第一連通路を構成する。
また、マグネット保持部2B5の下端部の周方向の三箇所には、図2に示すように、半径方向に貫通する三個の貫通孔2B7が設けられている。これら貫通孔2B7は、そのマグネット保持部2B6の内外にある水が互いに流通可能とする第二連通路を構成する。
このようなモータ回転部2Bは、スリーブ2B2がシャフト6dに回転可能に嵌合されることにより、シャフト6dに対する横方向の移動が規制され、そのスリーブ2B2の上端面及び下端面が、シャフト6dに固定された高潤滑性樹脂製からなる一対の環状のスラスト板6e、6eに摺動可能に接触することにより、シャフト6dに対する上下方向の移動が規制されている。モータ回転部2Bがシャフト6dに対して回転自在に支持されると、マグネット2B1は、ステータ2A1の内周面に第一ケーシング5を介して対向する。
遠心型インペラ2B3は、軸流型インペラ2B4よりも吸水口4a側に位置し、軸流型インペラ2B4は、遠心型インペラ2B3よりも第二吐出口4c側に位置する。第一吐出口4cは、遠心型インペラ2B3とほぼ同じ水平面上に位置する。ステータ2A1から誘起される回転磁界は、マグネット2B1の磁束との作用によって吸引反発を繰り返し、モータ回転部2Bに回転トルクを発生させ、回転する。ステータ2A1から誘起される回転磁界は、通電を切り換えることによって、磁界の切り換え方向を反転させることができる。
次に、このポンプ10の動作について説明する。ポンプ10は、図2に示すように、食器洗浄機50において、回転軸C1が重力方向と平行であって、第一ケーシング5を上方にして設置される。このとき、ポンプ10の吸水口4aは貯水部55の底面よりも下方に位置することから、貯水部55の水は、自重によって吸水口よりポンプ室4に案内される。
ポンプ室4の水位が少なくとも遠心型インペラ2B3に浸る程度にある状態で、モータ部2が正転すると、遠心型インペラ2B3は、そのポンプ室4の水を、連結部2B33の内側の空隙を介して軸方向に吸水し、半径方向外方へ吐出する。吐出された水は、第二ケーシング6の周壁部6aに沿って正転方向に流れ、第一吐出口4bから吐出される。
このとき、ポンプ室4の水が軸流型インペラ2B4に浸る程度にあると、その水は軸流型インペラ2B4によっても掻き込まれるが、上述のように軸流型インペラ2B4は正転時の吐出力が反転時よりも小さく、自重に逆らって第二吐出口4cから吐出するのに十分な吐出力を有さないため、ポンプ室4内を流動するだけで第二吐出口4cから吐出されない。この第二吐出口4cから水が吐出されないのは、主に軸流型インペラ2B4自体の作用によるが、水を第一吐出口4b側へ積極的に吸水する遠心型インペラ2B3の作用も副次的に効いている。なお、貯水部55との関係でポンプ室4の水位が高めになるなどの場合には、ポンプ室4を流動する水が第二吐出口4cを通過することもある。
一方、ポンプ室4の水位が少なくとも軸流型インペラ2B4に浸る程度にある状態で、モータ部2が反転すると、軸流型インペラ2B4は、そのポンプ室4の水を、各羽根2B41によって軸方向に吸水及び吐出し、さらに第二吐出口4cを介してポンプ室4の外部へ吐出する。反転時の軸流型インペラ2B4の吐出力は正転時よりも大きいため、ポンプ室4の水は正転時のようにポンプ室4内を流動するだけでなく第二吐出口4cから吐出される。
このとき、ポンプ室4の水は、遠心型インペラ2B3にも掻き込まれるが、上述のように遠心型インペラ2B3は反転時の吐出力が正転時よりも小さいため、ポンプ室4内を流動するものの第一吐出口4bから正転時のようには吐出されない。第一吐出口4bから水が出にくくなるのは、主に遠心型インペラ2B3自体の作用によるが、水を第二吐出口4c側へ積極的に吸水する軸流型インペラ2B4の作用も副次的に効いている。なお、第一吐出口4bは吸水口4aとほぼ同じ水平面上に開口するため、ポンプ室4を流動する水の一部が第一吐出口4bを通過することがある。
以上より、このポンプ10は、一方の回転時(第一吐出モード)に、一方の吐出口から水が勢いよく吐出され、他方の吐出口からは吐出されないかまたは少量のだけ吐出され、回転方向が変わると(第二吐出モード)、その吐出関係が反対になる。
次に、当該ポンプ10および食器洗浄機50の特徴について説明する。このポンプ10では、モータ部2の回転方向を切り換えることにより、二つの吐出口4b、4cから水を吐出する吐出側を選択的に切り換えることができる。特に、二つのインペラを遠心型と軸流型のインペラを組み合わせることにより、水を水平方向に吐出する要請と、軸方向に吐出する要請とを、一つのポンプで実現することができる。同じ要請を、例えば、二つの遠心型インペラを組み合わせて実現しようとすると、一方の遠心型インペラ側の吐出口に接続される配管を軸方向に屈曲させなければならず、配管スペースが余計に必要となると共に、水が配管の屈曲部分を流れる時に水圧または水量の損失を伴い、ポンプの効率が低下する。
また、軸流型インペラ2B4がモータ回転部2Aの内側に設けられ、軸流型インペラ2B4とモータ部2とが同じ水平面上に位置しているため、当該ポンプ10を小型化することができる。この小型化とは、軸流型インペラ2B4とモータ部2とが軸方向にずれて軸方向の寸法を大きくしないことと、軸流型インペラ2B4がマグネット2B1とスリーブ2B2とを接続する接続部に設けられる(つまり、モータ回転部2Bの内部に設けられている。)ために半径方向の寸法が大きくならないことに起因する。
遠心型インペラ2B3側にある水と軸流型インペラ2B4側にある水とは、環状板部2B32の中央孔2B34(第一連通路)を介して互いに流通可能であるため、ポンプ室4の吸水口4a側の水が第二吐出口4c側へ流れる際に、モータ回転部2Bの外側だけでなく内側にも流路が形成される。それによって、反転時に、ポンプ室4に吸水された水が円滑に軸流型インペラ2B4へ流れ、効率良く吐出される。
これに関連して、ポンプ室4の吸水口4a側の水がモータ回転部2Bの外側を流れて第二吐出口4cへ流れる際に、マグネット保持部2B5の貫通孔2B7(第二連通路)を介して軸流型インペラ2B4へ流れるため、モータ回転部2Bの内側にも流路が形成される。それによって、反転時に、ポンプ室4に吸水された水が円滑に軸流型インペラ2B4へ流れ、効率良く吐出される。
これら第一及び第二連通路は、モータ回転部2Bにおいて必須の構成ではなく、何れか一方のみ設けられる場合や何れも設けられない場合でも、二つの吐出口に対して吐出側を選択的に切り換えて吐出する機能に支障はなく、上述した要請に対応することができる。なお、第二連通路は、上記貫通孔2B7に変えて、マグネット保持部2B5の下端部を環状板部2B32に接続せずに環状の空隙を設けるようにしても良い。
モータ回転部2Bは、遠心型インペラ2B3、軸流型インペラ2B4、マグネット保持部2B5、スリーブ保持部2B6、マグネット2B1、及びスリーブ2B2が一体品として構成されているため、モータ回転部2Bを所定部に組み付けやすい。
当該食器洗浄機50は、ポンプ10が小型であるため、機器サイズを小型化することができる。加えて、ポンプ10が二つの吐出口から選択的に吐出できるため、循環および排水を一つのポンプで実現でき、配管など機器内を簡素化できる。しかも、ポンプ10の二つのインペラ2B3、2B4は、機器内の循環用または排水用の各配管が伸びる方向と同じ方向に吐出するものであるため、配管を流れる水は大きな損失を伴うことなく流れ、それによって循環および排水が円滑に行われる。なお、それら循環用または排水用の配管の伸びる方向は、各インペラの吐出方向と完全に一致する必要はなく、平均的な方向が一致すればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。
上記ポンプ10の軸流型インペラ2B4は、軸方向に吸水および吐出することができるものであれば、例えば、図5に示すように、各羽根2B41の上端部2B42を、半径方向外方に拡大させてもよい。この羽根2B41では、羽根下部によって、水を軸方向に吸水および吐出し、羽根上端部2B42によって、遠心力が作用することから、半径方向成分が加わり、幾分斜め方向に吐出される。それによって、この羽根からなる軸流型インペラは、上記実施例の軸流型インペラ2B4に比べて吐出力が増大し、揚程特性の向上につながる。さらに、別の軸流型インペラとして、マグネット保持部2B5とスリーブ保持部2B6との間の環状空間に螺旋状に設けられる一枚または二枚以上の羽根で構成してもよい。このように同じ軸流型インペラであっても、羽根形状を変更することにより、吐出特性を変更することができ、遠心型インペラとの組み合わせにより種々のポンプ特性を実現できる。
別の変形例として、上記ポンプ10では、ポンプ室4に二つの吐出口4b、4cを備えているが、その吐出口を一つから構成することもできる(不図示)。この構成では、ポンプ室に吸水された水は、モータ部が何れの方向に回転しても同じ吐出口から吐出されるが、正転時には遠心型インペラが掻き込んだ水が中心に吐出され、反転時には軸流型インペラが掻き込んだ水が中心に吐出される。遠心型インペラは、大きな水圧を吐出するのに有利であり、軸流型インペラは、水量を稼ぐのに有利であることから、両インペラに掻き込まれたポンプ室の水は、正転時と反転時とでは、ポンプ特性を違えることができる。つまり、正転時は高圧の水が吐出されるため揚程特性が有利な水を吐出でき、反転時は水量が多い水が吐出されるため水量特性に有利な水を吐出できる。従来では、単一方向の回転のみのポンプで水の出方を変えるには、モータの回転数を変えるしかないが、本形態であれば回転方向を変更するだけで水の出方を大きく変更することができる。
さらに別の変形例として、上記ポンプ10の軸流型および遠心型インペラ2B3、2B4は一つのポンプ室4に収容されているが、ポンプ室を二つから構成し、一方のポンプ室に軸流型インペラ、他方のポンプ室に遠心型インペラを収容するように構成してもよい(不図示)。各ポンプ室には、互いに水が流通可能であっても良いし、完全に隔離されていてもよい。ポンプ室同士が隔離されていると、例えば、温水と冷水のように互いに混ざり合わないようにして選択的にポンプで加圧して流したい場合に好適である。
また、上記液体循環装置の実施形態は、食器洗浄機を例示したが、これ以外に洗濯機、給湯器、製氷機など種々の機器に適用することができる。
本発明に係る液体循環装置の一実施形態としての食器洗浄機を模式的に表した断面図 本発明に係るポンプの一実施形態であって、図1の食器洗浄機に搭載されたポンプを、回転軸C1を通る面で切断した断面図。 図2のポンプを、A−A線で切断して下側から見た断面図。 図3のポンプのモータ回転体を拡大して示す平面図。 図3に示すポンプの変形例を示す断面図。
符号の説明
10 ポンプ
2 モータ部
4 ポンプ室
5 第一ケーシング
6 第二ケーシング
90 食器洗浄機

Claims (9)

  1. 液体を吐出する第一吐出モードと第二吐出モードの二種類の吐出モードで運転するポンプであって、
    前記第一吐出モード時に正転し、前記第二吐出モード時に反転する可逆式のモータと、
    前記モータに固定される第一及び第二インペラと、
    前記第一および第二インペラを収容する少なくとも一つのポンプ室と、
    前記ポンプ室の外部の液体を該ポンプ室へ案内するために、該ポンプ室に設けられた少なくとも一つの吸水口と、
    前記ポンプ室の液体を外部へ案内するために、該ポンプ室に設けられた少なくとも一つの吐出口と、
    を備え、
    前記第一インペラは、前記液体を、前記モータの回転軸方向の一方から吸水し、かつ半径方向外方に吐出し、
    前記第二インペラは、前記液体を、前記回転軸方向の一方から吸水し、かつ前記回転軸方向の他方から吐出することを特徴とするポンプ。
  2. 前記ポンプ室は、前記第一及び前記第二インペラの両方を収容する単一空間によって構成され、
    前記吐出口は、第一及び第二吐出口からなり、
    前記第一インペラは、正転時に前記液体を吐出する吐出力が反転時の吐出力よりも大きく、かつ、正転時に、前記ポンプ室の前記液体を、前記第一吐出口から前記第二吐出口よりも多く吐出し、
    前記第二インペラは、反転時に前記液体を吐出する吐出力が反転時の吐出力よりも大きく、かつ、反転時に、前記ポンプ室の前記液体を、反転時に前記第二吐出口から前記第一吐出口よりも多く吐出することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
  3. 前記モータは、前記ポンプ室の外部に設けられるモータ固定部と、前記ポンプ室の内部であって該モータ固定部の半径方向内方に対向するモータ回転部と、から構成され、
    前記第一インペラは、前記第二インペラよりも、前記モータ回転部の前記吸水口側に設けられ、
    前記第二インペラは、前記第一インペラよりも、前記モータ回転部の前記第二吐出口側に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のポンプ。
  4. 前記第一インペラの半径方向内方には、前記第一インペラ側にある前記液体と前記第二インペラ側にある前記液体とが互いに流通可能な第一連通路が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のポンプ。
  5. 前記第一インペラと前記第二インペラとの間には、前記第二インペラが前記第一インペラ側から吸水可能な第二連通路が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のポンプ。
  6. 前記モータ固定部は、前記ポンプ室の外部に設けられ回転磁界を発生する電機子を備え、
    前記モータ回転部は、前記ポンプ室に前記回転軸方向に沿って設けられた固定軸に回転自在に嵌合する摺動部と、前記電機子に半径方向内方に対向する円環状のマグネットと、を備え、
    前記第二インペラは、前記摺動部と前記マグネットとの間において、前記摺動部と前記マグネットとを連結するように前記回転軸の周りに設けられた複数の羽根部を備えることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載のポンプ。
  7. 前記第一インペラは、円板部と、該円板部の一端面に前記回転軸の周りに設けられた複数の羽根部と、を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のポンプ。
  8. 前記モータ固定部は、前記ポンプ室の外部に設けられ回転磁界を発生する電機子を備え、
    前記モータ回転部は、前記ポンプ室に前記回転軸方向に沿って設けられた固定軸に回転自在に嵌合する摺動部と、前記電機子に半径方向内方に対向する円環状のマグネットと、を備え、
    前記第一インペラは、円板部と、該円板部の一端面における前記回転軸の周りに設けられた複数の羽根部と、を備え、
    前記第二インペラは、前記摺動部と前記マグネットとを連結するように前記回転軸の周りに設けられた複数の羽根部を備え、
    前記モータ回転部は、前記摺動部、前記マグネット、前記第一インペラ、及び第二インペラが一体的に構成されていることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載のポンプ。
  9. 液体が流れる流路と、
    前記流路から吐出された液体を貯める貯水部と、
    前記流路に前記液体を流すと共に前記貯水部の前記液体を吸水するために設けられる請求項1乃至8の何れかに記載のポンプと、を備えることを特徴とする液体循環装置。
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